バルカ城にて
ヴァレリア(アナスタシア)がほぼノープランで冒険に出たため急に魔物に遭遇する事になる
慌てて何もできないヴァレリア
そこをたまたま通りがかった赤い大男が助けてくれる
一方、バルカ城では、王子がむしゃくしゃしていた......
ヴァレリア(アナスタシア)が赤い大男に遭遇してしばらく、バルカ城にて......
レクターは政務に少しも身が入らないでいた。
あの時見たヴァレリアの笑顔が忘れられない。
何故だ?ヴァレリアの事は今までどうでもよかったはず、むしろ疎ましかった。
禁足にするほど、顔を見るのも嫌だったはず、なのに。
城とは縁遠い、まるで戦士のような見なりをして、馬を乗りこなし、マントを翻し、女中に笑いかけるヴァレリア。
前までは、あの下品な緋色の髪が気に入らなかった。
瞳の色も、紫なんて悪魔の目の色じゃないかと思っていた。
それに紫の瞳を持つ者には......
侯爵家の娘でなければ、恐らく見向きもしなかっただろう。爵位があれば、婚約者など誰でもいい。
そういえば、前に婚約者候補の皆を集めた宴で、あの者は踊りを踊っていたな。
周りの婚約者候補達が刺繍や絵画、書などを披露する中、あの者はまるで意に介さず舞っていた。
特技がそれ以外ないのだろうと見ていなかったが、確かに物珍しかった。
そういえばアナスタシアが目を輝かせて見とれていた。
クソ、もう少し見ておけばよかった。
だが何故今頃?
俺は見たいのか?
ヴァレリアの舞を......?
「うーーーーむ!!!!」
ガシガシと頭を掻きむしっていると、ノックの音が聞こえ、シリウスが入ってきた。
「ふむ、その様子だと昨日から進んでいないようですね」
シリウスが机の上に山積みになった資料を見ながら、お茶を運んで来た。
「あのお嬢様が気になるので?でもあのお嬢様は王子も疎んでいたはずでは?」
「......そう、だったんだが、昨日、あいつを見送るまでは」
胸のざわつきが収めらない。
「......決めた、俺は少しヴァレリアの様子を見てくる」
「えっ??」
この違和感の正体を突き止めるには、ヴァレリアと直接会わない事にはどうしようも無い。
「というわけで後はよろしく!」
「ちょ、ちょっと待ってください王子!! いくらなんでもわがままが過ぎますよ!」
「もう決めたのだ! 俺は、一度決めたら動かんからな、後の事は弟に任せる」
「あ、待ってください王子! 王子!!」
紅茶を持ったまま佇むシリウスと、机上に山積みになった資料を残して、王子は窓から出て行った。
「ハァ〜......相変わらず勝手なお方だ」
王子もヴァレリアの事が気になってきてますが、本人は無自覚です。
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