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ヴァレリアとアナスタシア  作者: 杉野仁美
第一章 ヴァレリアとアナスタシア
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領主の驚くべき姿

場所は変わって、ここはライヒの街。


ウードガルザとの邂逅を果たしたヴァレリア、翌日にはケロッとして領主ガロの城に向かうのだった。


※少し視点がウロウロします

 翌日、場所は変わって、ヴァレリアたちは領主ガロの住むクレソン城に(おもむ)いていた。


 セトとエリーは酒場に行き、ケルベロスを伴ってオシリスの依頼を受けに行った。


「わぁ〜領主様のお城、すっごく素敵ですわ!」


 手入れの行き届いた幾何学式庭園に、白いお城をまるで囲むように作られている川、お城までには長いアーチ状の橋がかかっていて。川には小さな船が何艘もぷかぷか浮かんでいて、このお城そのものも優雅に浮かんでいるように見えますわ!


「こんなに手入れが行き届いているのに、こんなに立派な城なのに結婚できないのか? 爵位とこの城さえあればすぐに結婚できるだろうに、一体どんな奴が住んでいるんだ?」


 レクターが何かブツクサ言っている。どうやら領主様が結婚してない理由がとても気になるようだ。


「領主様が結婚しているかどうかがそんなに気になります?」


「うん気になる。できれば紹介してやりたいくらいだ」


 じゃないとガロがシリウスのように(俺の)ヴァレリアに近付かんとも限らんからな。


「レクター、顔が怖いですわ」


 俺はふふふ、と笑うヴァレリアの横顔を見る。


(このお嬢様は本当に呑気なものだ。昨晩ウードガルザと会って。目を回して、寝ていたエリーを起こして、ベットに寝かせて‥‥‥。俺とエリーが一晩中どんなに心配した事か、どこ吹く風でケロッとした顔で起きてくるし‥‥‥)


 ーーーーちょっとだけお仕置きしたくなってきた。


「どうしたんですか? 私の顔何か付いてますか?」


「‥‥‥。付いてる」


 そう言うと俺はこっちに来いとちょいちょいと手でジェスチャーをする。


 頭にハテナを浮かべて近寄るヴァレリアの頬に口付けた。全くこのお嬢様は隙がありすぎだ!


「はぁ!? なっ、何なんですかいきなり!!」


「ハハハ、いきなりじゃないさ! 隙のあるヴァレリアが悪いのだ!」


 俺はそう笑って背中でヴァレリアがギャンギャンと騒いでいるのを聞きながら、門番に王家の紋章を見せた。


 たちまち武器をしまい、俺たちに道を譲り、背を正す門番たち。こういう時役に立つな、この紋章は。


「お待ちしておりましたわ、私はマリー。侯爵様の女中です」


 ドアの前で待っていたガロの女中だという女性が(うやうや)しく挨拶をする。


 ガロがいるという部屋の扉の前に通される。


「侯爵様! 侯爵様! お二人がお越しになりました」


 部屋の中からグゥーという獣のような声が聞こえてきた。


「どうぞ」


 と言って女中が開けた部屋。そこには獣かと見まごうほどの大男がいた!


 いや、実際獣だった。


 獅子の頭に、漆黒の羽根が生えている。目を凝らして見てみるが、どう見ても獣だ。とはいえ身体は人間らしく、上品な刺繍の入った黒いウエストコートとブリーチズを着ている。ご丁寧に背中の部分には翼用の穴が開いていた。半人半獣なのか? まさか自分が遭遇するとは思わなかった。結婚もせず晩餐会なども開かなかったのはこういう理由か? などと俺が考えを巡らせていると、ガロが話しかけてきた。


「レクター王子、どうぞどうぞこちらへ。一応マリーと片づけたんですよ」


 そう言って俺たちを部屋の奥の方へ案内するガロ。


 いや聞きたいのはそう言うことではなく‥‥‥。てか部屋綺麗だな!


「まぁどうなさったの!? その頭とその羽根は!?」


 と空気を読めないヴァレリアが思いっきり聞きたい事を聞いてくれた。


 ガロは困ったようにウーとかアーとか唸りながらポリポリと膨らんだウィスカーパッドを掻く。その動作に感動したヴァレリア。


「可愛い〜!!」


 と言ってガロに抱きつく。


「どんな事情があってこのような体になったのかわかりませんが、可愛いものには罪はありませんわ! 私たちにもケルベロスって言う頭が三頭ある犬が仲間にいますからもふもふで可愛いので大丈夫ですわ!」


 何が大丈夫なのか? ヴァレリアは意味のわからないことを言ってまたガロに抱きつく。


「あ、あ‥‥‥。あ、私、私は」


 ガロは困惑してか緊張してかカチコチに固まっていた。


「ヴァレリア、ガロが困っているだろう。やめろ」


「でももふもふといいこの鼻といい可愛いくてたまりませんわ! 毛並みもいいし」


 夢の世界にトリップしているヴァレリアを止める術は、いくら俺が魔剣を継承した王子といえど持ち合わせていない。俺はため息を吐きながらガロとヴァレリアを引き離す。


「わかったわかったから、落ち着け。そのままだとガロが話せないだろう!」


 俺はガロをチラリと見た。相変わらずウィスカーパッドとマズルを撫でている。どうやら癖のようだ。俺にも後ろの首を掻く癖があるからな。それはいいのだが。


「それで、なぜそのような‥‥‥。えーと、姿に? 生まれつきか??」


 俺は言葉を選びながら聞いた。


「ははは、初めてで驚きましたよね! 誰だって驚くと思います。実は呪いを受けてこうなったんですよ」


「なるほど、呪いを‥‥‥」


 そう言ってガロはまたマズルを撫で始めた。


「私が遊び回っていると言う理由で婚期を逃した、という噂が流れていますが、それはデマなんです。私は遊ぶどころか、マリー以外の女性に触れたことがなくて、こんな(なり)では街に出かけることすらできませんよ。まぁ一応領主なので時々マリーから街の様子を見てもらって来ていますが‥‥‥」


「それは気の毒だったな‥‥‥」


 まぁ、確かに仕方ないか‥‥‥。そんな噂を流す人間もどうかと思うが、とりあえず、ヴァレリアに惚れる心配はなさそうだな。()(わきま)えているようだし、見た感じ紳士のようだし、(俺の)ヴァレリアに横恋慕(よこれんぼ)しようなどとは思うまい。


 俺はとりあえず一番の不安が解消され、ホッと息を吐いて長椅子に腰を下ろした。


「さ、先程はききき緊張しました。マリー以外の女性に初めて触れたのですが、いい匂いがして柔らかかったです。す、好きになってしまいそうです」


「ガッツリ惚れかけてるじゃねぇか!!!!」


 俺は思わずツッコミを入れてしまった。



どうしてももふもふを出したくてつい‥‥‥


ガロは何をやらかしてもふもふの呪いを受けたんですかねぇ?


ウィスカーパッドとは

猫を猫たらしめる鼻周り「ω」←この部分です

「ω」←これがあったらイチコロですよ私は。


ここまでお読みくださってありがとうございます。




あなたは猫が好きですか?大好きと思った方は広告の下にある☆を漆黒に染めていってくださいね。あー猫吸いしたいクンカクンカという人は、☆を真っ黒にしていってくださいね。


ご拝読ありがとうございました。また読んでください。


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