順序が色々と変!!
次はヴァレリア様のラブラブコメコメ。
そういえばこの人たち両思いのくせに色々ぶっ飛ばしてるなぁと思って。
※視点がウロウロして読みにくいかもしれません
セトがエリーを追いかけている間、私は出かける準備をしていた。
たかがお散歩なのに、どうしてこんなにも心が躍るのだろう。きっとレクターがいるからだわ。
「あ、そうだ」
私は髪飾りがあるのに気づいて、それを付けた。髪飾り。私は嫌いだったけど、レクター褒めてくれるかな‥‥‥
階下に降りていくと、すでに準備万端なレクターとケルベロスがいた。
「お待たせ〜」
「ん?」
レクターが何かを見つけて私の髪を撫でる。
「髪飾り。嫌いじゃなかったのか?」
ええッ? もう気付かれた!
「レクターが、お好きかなと思って」
私は髪飾りを照れ臭そうに撫でる。
「うん! 似合ってる! 俺のために付けてくれたのか? 嬉しいな」
そっ、それは確かにそうだけど!
「いちいち言わなくていいのですわ!!」
「可愛いよ‥‥‥。ヴァレリア」
私の髪を撫でながら爽やかな笑みを添えて言う。そ、そんな台詞サラッと言えちゃうの、どうなの?!
「あの、レクターって。その」
ケルベロスを散歩させながら私は口を開いた。
ケルベロスは今は一つの頭だけ起きている。
婚約者候補のお嬢様以外にもたくさん女性がいるから、あんな言葉サラッと言えちゃうのかな。そういうの、女性慣れしてる? ていうのかな。なんだろう、胸がチクチクしますわ‥‥‥
「ん?」
振り向いたレクターと目が合う。この人、すっかり馴染んでるけど一応王子で、お城には当然女中や婚約者候補のお嬢様もいて‥‥‥
「婚約者候補のお嬢様たちにも先程のような歯の浮くような台詞〜王子の爽やかな笑顔を添えて〜みたいな事やってたのですか?」
「えっ? 何? 俺が何だって?」
「だから〜! まだレクターがお城にいた時、私以外のお嬢様たちにも先程私に仰ったようにしていたのかなって‥‥‥」
私がそう聞くとレクターは一瞬ポカンとしたあと、はははと笑った。
「それはまぁな。一応形だけ王子らしい事はするかな。これでも一応王子だからね、国の代表が不甲斐ないのでは、対面が悪いだろう」
でも‥‥‥
「俺はそういう対面を気にする事も嫌だったな。城の作法や礼儀。全てどうでも良かったが、威厳を保つためにはどうしてもそうしなければならなかった」
だがヴァレリアと冒険をするようになって、だいぶ肩の荷が降りたよ。俺はヴァレリアの前では素の自分が出せる。
そう言いながら、王子は露店に寄った。
いや、聞きたいのはそういう事じゃなくて、なんか、もっと違う事で‥‥‥
私以外のお嬢様たちにも、先程のような事をしていたと思うと何か。
「ヴァレリア。髪飾りの他に、何か欲しい物はあるか?」
「どうされたんです??」
「ヴァレリアに贈り物をしたいと思ってね、髪飾りだけでは寂しいからな」
と言ってレクターが私の首に当てがったのはハート型にくり抜かれたアメジストのネックレスだった。
「ヴァレリアと同じ瞳の色だ」
「えっ? えっ!?」
「そういえば今までヴァレリアには贈り物をしたことがないと思ってな。店主、これをくれ」
そう言いながらレクターは私の首に慣れた手付きでネックレスをかける。
なんだろう、嬉しいはずなのに胸が落ち着かない、ザワザワしますわ。
「他の‥‥‥。お嬢様たちにもこんな贈り物をされたことがあるんですか?」
「えっ」
レクターが変な顔をして私を見ている! 私も絶対変な顔をしてる!! なんでこんな、今まで気にならなかった事が気になるの?!
『やきもちだよなぁ、ただの』
その時ずーっと静かだったニーズヘッグが私の胸から頭をピョコ、と出して呆れたように言った。
『お前は色々と順序が変なんだよ。俺様が言えた事じゃないかもしれないけど、その気持ちは割と初期段階で抱く感情だと思う』
「えっえっ!? どういう事ですのニーズヘッグ! 私のこの変な気持ちは何なのですか??」
『だからただのやきもちだってば! 悪魔に聞くなそんな事!』
私はそのニーズヘッグの言葉を聞いた後ヘナヘナとその場に崩れ落ちた。
「わぁ! ヴァレリア大丈夫か!?」
咄嗟にレクターが私を抱きとめてくれる。
そうか、そうだったのね!
「レクター! 私、私あなたにやきもちを妬いていたようですわ!」
「なななな何だって?! とにかくここは人の邪魔になるから少し移動するぞ」
そう言ってレクターは私を抱っこしたまま人の少ない場所へ移動した。
「はー‥‥‥。お前が急に倒れそうになったから驚いた。で、なんだ? 俺にやきもち?」
「はい! ニーズヘッグには順序が色々変だって言われましたが、私あなたにやきもちを妬いているのです! 貴方がその手で何人もの女性に触れてきたと思うと心の中が真っ黒になって嫌ですわ!」
レクターはポカンとしている。ニーズヘッグは呆れている。ケルベロスは欠伸をしている。
レクターは自分の顔が段々と真っ赤になっていくのが分かって慌てて手で抑えた。
「ヴァレリア、お前‥‥‥。変なこと言うなよ」
「変な事? やはり変なのですかね? 私は」
ずいっとレクターに顔を寄せて見上げる。レクターの瞳は今は青い。
「ヴァレリア‥‥‥」
「?‥‥‥」
レクターが私の名前を呼んだかと思うと突然抱きしめてきた。
「へぁ??」
「確かにお前は色々と順番が間違ってる! でもそれは、ヴァレリアが(恋愛について)知らないだけだろう? ゆっくり覚えていくといい、俺と」
そう言って体を離す。馬鹿かこいつは。ヴァレリア以外、贈り物をしたいと思ったこともないのに。ヴァレリア以外に、触れたいと思ったこともないのに。でもヴァレリアに妬かれて嬉しい。俺は気を抜くと緩みそうになる顔をひたすら隠した。
「むー!? なんか謎の上から目線でムカつきますわ!」
『ヴァレリア! お前はまだまだ世間知らずのお嬢様なの! 恋愛のあれこれについてはレクターに聞いた方がいいと思うぞ! 特にお前は自分の恋愛の事となると知能レベルが一段階も二段階も低くなってんだからな? 俺様はめんどくさいのはごめんだからな! そういうのはレクターかエリーにしてくれ!』
ニーズヘッグは例のザダクの時とか、過去ヴァレリアがレクターに対して考えなしにやらかしたことを危惧して、予防線を張った。
ニーズヘッグの言葉を聞き、納得したような顔をしたヴァレリアが振り向く。
「じゃあレクター! これから色々教えてくださいね!」
言いながらヴァレリアの紫の瞳が蠱惑的に潤む。なんだそれは!? 髪を切られて生まれ変わったヴァレリアの新たな技か何かか??
「あ、ああ‥‥‥」
「ありがとう嬉しい。レクター! このネックレスもありがとうございます」
そう言ってヴァレリアは嬉しそうにレクターの腕に自分の腕を絡ませる。
ニーズヘッグはため息を吐いた。
『そういうとこだぞ、ヴァレリア』
ヴァレリアの紫の瞳が胸元のアメジストを反射してキラキラと光っていた。
楽しい楽しいお散歩回でしたね。
私はレクターも大概ニブチンだと思うのですが‥‥‥
どうやら私のキャラクターは全体的に恋愛の事となると知能指数がダダ下がりするみたいです。
ここまでお読みくださってありがとうございます。
このCPが好きだという方は広告の下にある☆に点を付けてくださいね!うーんCPは好きだけどヴァレリア様がニブチンすぎて草という方は☆にZEROを付けて行ってくださいね!
ご拝読ありがとうございました。また読んでくださいね!