赤い大男
婚約破棄されて自由になったは良いものの、ほぼノープランで冒険に出たため森に魔物がいるとも考えていなかったヴァレリアとエリーの二人
突如現れた魔物に驚き、初めて見るそれにヴァレリアは足がすくむのだった
「だ、誰!?」
「チッ、助けてやったのに第一声がそれかよ」
「ふぁっ??」
そこには筋肉隆々としたいかにも戦士のような出立ちの大男が立っていた。
自分の身の丈と同じくらいであろう大きな剣に血を滴らせている。
恐らく先程の魔物を倒した時に付着したのだろう。
「あなたが、あの魔物を倒してくれたんですの?」
「......そうだが、ブフッ、何だその話し方、貴族か?」
近づくにつれてわかる。赤いフードを被って、赤い髪に赤い目の大男。
「助かりました! ありがとうございます!」
唐突にエリーがその男の胸元に飛び込んでいった。
「貴方が助けてくださらなければ、私達は今頃どうなっていたか......グス」
ええええエリー!!?!//
素性もわからない男にいきなり抱きつくなんて......
「お、おう、歩いてたらたまたま見つけただけだが//助かってよかったよ」
「あの、私達まだまだ冒険初心者なんです......できればその、急で申し訳ないのですが、護衛になってくださいませんか? 私達だけではすぐ倒れてしまいそうなのが、今のでわかりました......」
男は私とエリーの二人を交互に見た。
「ふぅん、確かに。女二人じゃ苦労するだろうな。だがタダでとはいかない、俺は貰えるもんは貰う主義だ! お前たちを守る代わりに俺は何を得られる?」
要するに対価って事?どうしよう婚約は破棄されたし、ヴァレリア様のお父様は、今まで通り仕送りしてくれるかしら??
その時エリーの手から光が放たれた。
『サナーレ』
エリーが何かを唱え、血塗れの剣と男のかすり傷に当たり始めた。
そのままエリーが手を離すと血塗れの剣はまるで新品のように研ぎ澄まされ、男の怪我は跡形もなく治った。
「お、おいおいお前、回復魔法が使えるのかよ」
「はい、自分が回復魔法が使えると気づいたのは6歳の頃、転けて擦りむいた怪我をなんとか親にバレないようにと自分で治す事がわかった時です。親には隠れて詠唱の練習をしていました。この世界では回復魔法は貴重なので......ヴァレリア様」
口をポカンと開けている私に向かいエリーが振り向く。
「今まで隠していてすみませんでした。でもヴァレリア様にならお見せしてもいいかと思って、それとこの方にも」
エリーが赤い髪の男を見つめて言う。
「バッ//バッカだろお前! 人をそんな簡単に信用するんじゃない! 俺が悪人だったらどうするんだよ」
男は慌ててエリーを引き離した。
「......でもまあ、お前が俺の怪我を治す、俺は魔物からお前らを守るってんならいいぜ、金は魔物が落としていくからな、だがその金は全て俺が貰う、それでいいな?」
「はい、ありがとうございます!」
パッと笑顔を浮かべ、もう一度エリーは男の胸元に顔を埋めた。
「だからやめろって//なんだよこの世間知らずなお嬢様方はよ」
後からエリーにこっそりと聞いたら、エリーの一目惚れだったとの事。
大きな殿方が前から好きだったと。
一目惚れとはいえ、一見大人しそうな子があんな大胆な行動をするとは…
さすが、気難しいヴァレリア様の元で仕えただけの事はあるわ!
と、謎理解をして納得した。
そういえば私は、どんな魔術?魔法が使えるのかしら?
お城にいるのが嫌で半ば強引に外に出てきたのはいいけど......
お裁縫や歌ではなくもっと武術やその辺の技術も覚えておくべきでしたわ
赤髪の赤い瞳の大男好きなんですよね〜
エリー積極的!
体格差カップル最高!
ここまでお読みくださってありがとうございました。
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