用語解説 状態異常編 ネタバレ注意
※注意!
ここには本作最新話までの重大なネタバレを含みます。本作を初めて読む方は、“第0話 魔女の戯れ”からお読みください。
本用語解説は作中での状態異常についての仕様等を、本編で公開された範囲で解説して行く物です。本編ではありません。状態異常について更に詳しく知りたい、もしくは細かい所を忘れてしまったが読み返す場所も分からないという方向けになります。
基本的には本編で一度説明したものを紹介していきますが、一部本編で説明されていない内容が含まれると思います。ご了承下さい。
用語解説・状態異常編
状態異常
キャラクターが何らかの正常ではない状態になっている事、もしくはその状態の事。作中では特に、単純な能力値低下以外のデバフ(悪性の状態異常)を状態異常と呼んでいるが、バフ(良性の状態異常)も存在する。能力値の低下、上昇は単にデバフ、バフと呼ばれることが多く、状態異常とはあまり言わない。
悪性状態異常になっているキャラクターは、魔法視で認識した場合、オーラの外側に色の付いた円(または弧)が見える様になる。
この円は状態異常の進行度も表しており、影響力の蓄積によって小さな弧から円へと伸びていく。言ってみれば細いドーナツ型の立体円グラフであり、横から見るとかなり見づらいはずだが、主人公は簡単に何倍耐性なのかを読み解いてしまう。何気にこれが一番凄い特技の気がする。
状態異常の残り時間が短くなってくると、円は細く薄くなっていく。一部の例外を除いて、円が薄くなっても状態異常が弱まったりはしない。つまり、残り時間によって効き具合が変わったりはしない。
良性の状態異常の場合、魔法視で見るとオーラの周囲を球が回転している。残り時間が短くなっていくと球が小さくなっていく。
良性、悪性双方の状態異常が沢山つくと、オーラの周りが色取り取りでちょっと綺麗。
状態異常の一覧(作中未発表の物は含まれません)
毒、麻痺、昏睡、恐怖、混乱、封印、暗闇(初級呪術)
石化、呪い、魅了(中級呪術)
狂化、不屈、再生、覇気、霊能、多次元詠唱(良性)
影響力
本作では、状態異常が対象に対してどの程度進行したかを示す数字の事。
能力値の変動以外のすべての状態異常にある仕様であり、あまり目立たないが、良性の状態異常にも影響力は存在する。
魔法や攻撃によって数字が加算され、最大値は99。100を超えると対応する状態異常が発生し、影響力は一旦0に戻る。この時、累積耐性が進行する。
影響力は、影響力を受けて一定時間経過した後、カウントダウンの様に少しずつ減っていく。つまり影響力が100に到達せず、状態異常攻撃を連続で受けなかった場合、時間経過で影響力を0にすることが可能。逆に無駄なく影響力を蓄積させたい場合、連続で状態異常効果を当てる必要がある。
他に影響力減らす方法としては、状態異常解除の回復魔法と対象の死亡がある。状態異常解除のスキルを使用すると状態異常だけでなく影響力も0にすることができ、対象が一度死んで蘇生した場合は影響力や累積耐性が完全にリセットされる。後者は良性状態異常も解除してしまう点に注意が必要。
魔法や攻撃毎に与えられる基本の影響力が決まっており、例えば呪術師の初期魔法の“毒弾”は影響力100。無耐性相手に一発で毒状態にすることができる。これを基本にして魔法陣のカスタムで影響力を上げても精々150程度となる。
ダメージと影響力が同時に発生する攻撃は、この双方共に低い傾向があり、かなり不遇な扱いを受けている。そのためノーダメージ技で蓄積させていく方が効率は良い。初級蠱術にはこれが存在しなかったため、状態異常特化のコーディリアの戦闘能力を著しく下げる大きな要因になってしまっていた。
状態異常の発動中でも同じ状態異常の影響力を蓄積させる事が可能だが、深度のない状態異常の場合やり過ぎると無駄になってしまう。
例えば、麻痺には深度が存在しないが、麻痺状態の相手に麻痺の魔法を使って影響力を加算させることは可能。しかし、麻痺状態の途中で麻痺の影響力が100を超えた場合、状態異常フラグはそのままで影響力のリセットと累積耐性の進行が実行されるため、麻痺の残り時間は増えないまま、影響力だけが下がり、対象の麻痺耐性まで上昇することになる。
魔法視では、状態異常であることを示す円と、影響力の蓄積を示す弧は同一の物である。
そのため状態異常中、同じ状態異常の影響力の蓄積を確認する術は、戦闘ログ以外に存在せず、使う影響力が大きくなればなるほど、魔法視で耐性値が確認しづらくなっていくという欠点がある。
例えば、毒耐性2倍の対象に対して影響力200の毒魔法を使った場合、一発で影響力の蓄積が100を超えてしまう。その場合、既に対象は毒状態になってしまっているので、影響力の加算を見ることが出来ず、対象の毒耐性が1倍なのか2倍なのかを魔法視で確認する術ができない。
初見の相手に状態異常を効率よく回すためには、影響力の小さい(100以下が望ましい)耐性確認用の魔法が必要になるだろう。
状態異常耐性(累積耐性)
魔物には状態異常の種類毎に耐性があり、毒2倍耐性や麻痺5倍耐性、混乱完全耐性(完全無効)等の能力値が魔物毎に決められている。
これを状態異常耐性と呼ぶ。当然各キャラ毎に状態異常の数だけ存在する。また、魔物の場合良性状態異常に対する耐性が設定されていたりするが、生徒は素の状態で状態異常耐性を一切持たない。
耐性とは言うが、実際には状態異常その物に対する影響が変わるわけではなく、状態異常への“かかりにくさ”、つまり影響力を軽減するための数字。
そのため麻痺耐性が仮に10倍あったとしても麻痺影響力が100を超えた瞬間から動けなくなり、その時間は無耐性と一切変わらない。
ちなみに、完全耐性は影響力の進行を一切させない耐性なので、どうにかして状態異常のフラグを立てる事さえできれば、こちらも無耐性と同じ様に状態異常が進行する。
累積耐性は、戦闘中同じ状態異常にかかりにくくなっていく、自力で自然に獲得できる耐性のこと。実は良性状態異常にも存在する仕様。
例えば、無耐性の対象が一度麻痺にかかった場合、影響力がリセットされると同時に累積耐性が進行し、麻痺に対して2倍耐性となる。
累積耐性が進行すると、耐性値が2倍になるため、例えば2倍耐性の魔物が“累積耐性1”を得ると、4倍耐性。影響力が25%で計算される。
2度同じ状態異常にかかると耐性4倍、3度かかると8倍……と倍々になっていくため、基本的には無耐性相手でも3回程度が限度になって来る。4度目の12.5%を無理矢理通すのは流石に骨が折れるし時間がかかる。余程他にやることのない呪術師くらいではないと。
累積耐性対策として影響力が大きい(300とか500とかの)魔法を使っても、むしろ序盤に無駄に累積耐性を進行させてしまい、あまり有効にはならない。出来れば無耐性相手には100、二倍耐性相手には200ピッタリの影響力を与えたい。
これは状態異常中でも影響力と累積耐性が、状態異常に関係なく進行してしまうため。例えば深度のない麻痺の影響力を300、無耐性の対象に与えると、麻痺に一度しかかかってないのに、累積耐性は2つ進行してしまう
ちなみに現状、累積耐性は最大10倍。8倍の次は16倍ではなく10倍になる。5回目以降何度受けても完全耐性にはならない。
つまり、無耐性相手なら影響力が1000あれば無限にハメる事も可能。呪術師が5人でパーティを組んで、影響力200の麻痺魔法を無耐性の魔物相手に使い続ければ対象は何もできない。
ただし基本の麻痺耐性2倍だと最終的に必要な影響力は2000に跳ね上がり、一人当たり必要な影響力は400。3倍なら一人当たり600……。魔物の全てに使えるわけではないし、何より瞬間火力が足りないため普通に殴った方が早い。
深度
状態異常の進行度(影響力とは別。状態異常の深さ)を表す数字。
状態異常全体での最大は3だが、大抵の状態異常は最大深度が1に設定されている。最大深度1の状態異常は深度がない物として扱われる。
深度が深くなればなるほど効果が高まるが、深度3まで上げるのに必要な影響力は最低でも700とかなり高い。それこそ呪術師でもない限りはかなり厳しい数字となっている。
それ以外の生徒にとってはそこまでして深度を上げる必要があるのかは考える必要がある。詳しい効果は各種状態異常の項を参照。
深度のある悪性状態異常の一覧(作中未発表の物は含まれません)
毒、暗闇、石化、呪い。
毒
悪性状態異常の一種。
5秒毎にダメージを与えるという単純な効果だが、賢者の花冠の中では珍しく、最大HP割合ダメージという個性を持っているので高耐久の相手に入れると効果的になる。
深度1の時の合計ダメージ量は最大HPの10%。効果時間は50秒、一回のダメージ量は1%。
深度2の時の合計ダメージ量は最大HPの45%。効果時間は75秒、一回のダメージ量は3%。
深度3の時の合計ダメージ量は最大HPの100%。効果時間は100秒、一回のダメージ量は5%。
深度2に必要な影響力が深度1の3倍なのに対して、合計ダメージは4.5倍なのでちょっとお得。同じく深度3までの影響力は7倍で、ダメージは10倍。そのため毒を使う場合は基本的に深度を上げた方が良い。
しかし、気を付けなければならないのが効果時間の落とし穴。深度3をフルタイムで入れるためには、5秒以内に影響力を700蓄積させる必要がある。
例えば、深度1から深度2に上げるために25秒経過してしまうと、深度の進行によって効果時間は更新されず、深度2の効果時間が75秒から25秒を引いた50秒になる。この時はもちろん合計で45%のダメージは与えられず、
(5回分の深度1のダメージ5%)+(10回分の深度2のダメージ30%)=合計ダメージ35%
となってしまう。
つまり深度の進行度合いに関係せず、深度毎に“一度の毒で与えられるダメージの回数”が決まっている。深度2なら15回、深度3なら20回。
このため毒を効率的に使いたい場合は、なるべく素早く影響力を蓄積させる必要がある。
ちなみに、地味な話だが“0秒目”にはダメージがなく、最初の効果は“5秒目”。そのため毒は状態異常になってから5秒目までに解除されると、一切の効果が出ない状態異常になる。
深度3がフルタイムで入ると(前述の理由により普通はあり得ない仮定なのだが)どんな敵でも即死する強力な効果なのだが、深度の情報が広まらなかったためリリース直後から散々馬鹿にされ、呪術師の評判を落とすことになった最大の要因。
ちなみに先行体験版では深度の概念がなく、一度かければ現在HPの1割のスリップダメージという破格の強さを誇っていた。ただし効果時間は短めで、10秒に一度のダメージ。
呪術師5人パーティを組んで縛りプレイをする場合、序盤の火力はこれに頼らざるを得ない。影響力特化に改造した魔法陣なら、5人で順番に魔法を使い一瞬で深度3に到達できるが、やはり100秒間を足止め系でハメる必要がある。当然対象が、毒、麻痺、昏睡のいずれかに耐性がある場合勝負にならない。
というか、そもそも5人も要らない。2人も居ればハメと毒が十分に回る。
尤も、他に3人もメンバーが居るなら火力を他人に任せられるのだが……。
後述する呪いや石化との相性はすこぶる良く、特に毒と呪いは双方を深度3にして放置すると基本的にどんな生徒も耐え切れない。
回復なしで死なないためには、呪いダメージを最大HPの数%から1割ほどの数値で耐え抜かねばならないが、少なくとも生徒の成長限界から見ると途方もない数字になって来る。
麻痺
足止め系と呼ばれる悪性状態異常の一種。最大深度は1。
効果は読んで字の如く、対象の動きを一定時間完全に封じる。この時魔法も使えない。
同じような効果の昏睡と比べると効果時間は短いが、直接攻撃で解除されることはない。攻撃役が揃っていて、攻めを継続したいならこちらの方が有用と言える。地味だが昏睡と違って視界は生きていると言う特徴も。
最大の利点は、“解除後に”効果を引きずる事。
麻痺にかかると解除魔法で解除しても時間経過で自然回復しても、麻痺の効果を一部残す。この間は体の自由が効かずに動きが鈍くなる。
このため麻痺解除後に拘束を入れたり、毒沼に落としたりすると高確率で身動きが取れなくなる。サクラはこれをハメの一部に取り込んでいた。
どんな専攻学科でも相性がいい状態異常なので、特にアタッカーが多い場合、呪術師はとりあえずこれを撃っとくと丸い。反撃も来ない、回避も防御もしないためDPSが跳ね上がる。
逆にヒーラーとの相性は微妙で、ないよりはマシだが効果時間が長い昏睡の方が好まれやすい。
昏睡
足止め系状態異常の一種。最大深度は1。
相手を眠らせて動きを止める状態異常。生徒は完全に動けなくなってしまうが、魔物によっては寝返りや寝言、昏睡中の特殊行動なんかも見られる。
麻痺に比べると効果時間の長さで優るが、パーティアタックを含む直接攻撃で簡単に解除されてしまう。そのため、寝かせた直後に範囲攻撃に巻き込んでしまったりすると完全に無駄になる。(一度倒れて起き上がるという小さな隙を作るという意味では、多少の効果はあるが……)
そのため“溜め攻撃”のない一部の物理アタッカーとの相性は非常に悪く、戦闘のテンポが悪くなるため、多数相手に数的有利を作り出す以外の手段として使うのは止めてくれと頼む人もいる。中には普通の戦闘でまさか昏睡を使うとは思っていない人も。
しかし効果時間の長さから、魔法の詠唱や再使用時間といった、何かと時間が必要になってくる魔法系には重要な状態異常で、特に時間もMPも重い回復系や召喚系にとってはこれ以上ない程の足止めとなる。直接攻撃を捨てた(捨てても戦闘力のある)呪術師もかなり好相性。この間、デバフが撒き放題なのでサクラも積極的に使用する。
万人に好まれる麻痺程ではないが、こちらも人気な状態異常。
恐怖
ダメージ補助の悪性状態異常の一つ。最大深度は1。
主な効果は二つ。恐怖心を煽って魔物の行動を抑制、そして弱点攻撃時の攻撃倍率の上昇である。
作中でサクラは“ダメージ”の上昇と誤認しているが、実は弱点の“ダメージ倍率”の上昇効果。まぁ結果は同じなのでどっちでもいいのだが。
そのため魔物によって、そして狙う弱点によって上昇率に差が生まれることもあるが、大弱点(防御力0)には効果がない。そのためダメージ補助の状態異常でありながら、ダメージコンテストには呼ばれなかった。
魔物が相手の時は暗闇と併用することで見えない物への恐怖を煽り、かなりの行動を抑制することが可能。こうなると近寄ったり攻撃したりしない限りほぼ何もしない。
ちなみに当然だが、プレイヤーへの心情の影響はない。そのため生徒へ使った場合、効果は弱点ダメージ倍率の上昇のみとなる。
混乱
精神系の状態異常の一つ。最大深度は1。
敵味方の区別を消し去る効果で、魔物に使った場合は自身を含めたランダムなキャラクターを攻撃対象として認識するようになる。生徒に使った場合はパーティアタックにダメージ判定が付き、更に学院生が(パーティ内外問わず)魔物に見えるようになるという効果が付く。見た目だけではなく声も変化するが、魔物は基本的に喋らないので魔物に使われる分には見分けるのも容易。ただし、学院生同士の戦いで口調まで真似されると判別は困難であり、予め仲間と敵の見分け方を話し合っておく必要があるだろう。
同じく精神系の恐怖に比べると効果時間はやや短め。
混乱中の魔物は完全にランダムで攻撃対象を選ぶので、乱戦の中遠い位置にいる魔法使いを突然狙うこともある。そのため遠距離攻撃持ちにとっては若干扱いづらく、そうでなくともタンクのヘイト管理を一度でぶっ壊してしまうので、敬遠されがちな状態異常の一つ。
ただし、混乱解除後はヘイト値が真っ新に戻っているという特性を生かして、逆にヘイト管理に利用することもできる。
暗闇と併用すると、視界が狭まり遠くの対象を認識できなくなる。その結果、近くのキャラクターのみを襲うようになり、近くに誰もいない場合は自分を確定で攻撃する。
魔物の密集地帯でこれを使えば、かなり惨たらしい同士討ちを見る事が出来る。サクラは結構好んで使う戦法。
封印
行動制限系の状態異常。最大深度は1。
魔法系の攻撃を封印する状態異常で、これにかかると通常攻撃しか出せなくなる。だたし、事前に使っていたバフが消えたりはしない。
効果自体は強力だが、魔物相手に効果的に使うのはやや難しく、そもそも積極的に使いたい魔法系は封印に対する耐性が高い傾向があり、物理系も通常攻撃だけで十分に強い相手がほとんど。
ただし、範囲攻撃が使えなくなる場合もあるので、使うなら範囲攻撃が強い一部の物理型になる。
かなり使える範囲が限定される状態異常だが、逆に魔物側が使い、生徒がこれにかかるとかなり厳しい。
特に魔法系の後衛は完全に無力化する。中でも回復役の場合、解除魔法も封じられてしまうので、状態異常の中では珍しく耐性装備が優先されているという、極めて例外的な状態異常。
格闘系のクラスも魔法を頻繁に使ってDPSを上げるので、生徒の中でこれを受けても元気なのは狂戦士くらいだろう。
生徒にとって使い道は少ないが、それでも存在感はあるという独特な立ち位置。
暗闇
行動制限系の状態異常。最大深度は3。
効果は対象の視界を塞ぐ。視界がやや暗くなり、遠くの物が見えなくなる。対象となった視界から見ると、まるで影のドームで覆われたように見え、遠くに行くほど黒い霧に覆われる様に霞んでいく。
深度1ではかなりの範囲が見えており、現実的な戦闘範囲の中でも近距離はほぼ確実に見えていると言っても過言ではない。ちょっと離れていても気付かれるときは気付かれる。
深度2では完全に近距離しか見えず、深度3では鼻先くらいまでしか見えなくなる。震度3まで上げれば近距離から殴ってもどこにいるのか分からない状況にできるが、そこまでしても闇雲に武器や爪を振り回すことは出来るので、深度3まで優先してあげるべきかは疑問が残る。
魔物相手に狙うなら、遠距離型の魔物に使いたい。攻撃頻度や距離調整の頻度を大きく減らすことができる。
魔物でも耐性が薄い傾向があるのが特徴で、状態異常の数に応じて威力の上がる武器を使う際の“足し”にしたりすることもあるが、暗闇の真骨頂は組合せにある。
混乱や恐怖と同時に付与することで、かなりの行動を制限することができるのだ。しかも恐怖や混乱は魔物の判断力の低下させる効果もあるため、見えていている物を見逃す可能性が格段に上がる。
基本的には組み合わせた際の効果が主になっていくのだが、こちらも一般には広まっていない。そのため毒と並んで使えない状態異常として認識されがちな内の一つ。
呪い
呪術科中級で増えたダメージ系の状態異常。最大深度3。
効果は対象が受けるダメージの増加と、ダメージを受けた際に追加ダメージが発生する事。とにかくダメージが増える効果で、毒と恐怖を組み合わせたような存在。
ダメージの増加は恐怖に比べると控え目だが、体のどこに攻撃を当てても効果が発動するため、小さいダメージを連続で与えるのに向いている。そうでなくとも恐怖と併用すればダメージ倍率が加算されて更に火力が上がるので、基本的には使っておいて損はない。
追加ダメージはそこそこの威力だが、使用者(最後の影響力を加算させた人物)の魔力(魔法攻撃力に関連する能力値)の値によって威力が変わるため、呪術師ではあまり効果的に使えない。
ただし、この追加ダメージは固定ダメージであり、防御力の無視効果が付いている。そのため、例え防御力が高過ぎて攻撃が一切通らない相手でも攻撃が当たりさえすればダメージを与えられる。この辺りも毒に少し似ている。
HPの割合ではなく使用者に依存した固定ダメージなので、高HPの相手は若干苦手。
深度が上がっても基本的な効果は変わらず、ダメージの上昇効果と追加ダメージの量が増えるだけ。
そして毒との併用で真価を発揮する。
毒のダメージが上昇し、更に追加で固定ダメージを与える事が出来るので、どちらも深度3にできればHP全損は圧倒言う間。麻痺や昏睡が通る場合、本当に何も出来ずに沈める事が出来る。
ちなみに中級呪術師が一人しかない上に、呪いが若干珍しい状態異常。その上毒の使用者がほとんどいない状況なので、もちろん一般には広まっていない。
石化
呪術科中級で追加された、足止め系の状態異常の一種。最大深度は3。実は授業範囲では呪術科のみ扱う事が出来る状態異常で、結構珍しい。
主に、体を石にして動きを止める効果と、最大HPを減らす効果の二種類の効果を持つ。石化部位はランダムなので、深度2程度では元気に動き回る事もある。
深度1では小規模な範囲が石になるが、動けないという程ではない。最大HPは1割減少。
深度2では体の2割程度が石になり、自由が利かなくなってくる。最大HPは3割減少。
深度3では体の半分ほどが石になり、もうほとんど動けなくなる。最大HPは7割減少。
最大HPと同じ割合の現在HPも減少させるが、石化が解除されると最大HPと同時に減っていた現在HPは変換される。
そのため時間経過で解除された場合、疑似的に回復してしまうことも。
他の足止め系とは違い、実はどれだけ石化しても魔法は使えるという抜け道があるため、詠唱系の魔法なら問答無用で通せる。ただし、深度3の場合首が回らず視界が動かない事が予想されるので、狙うのは至難の業となる。自爆の様に自分を中心にした範囲魔法が有効かもしれない。
また、最大HPの減少と言う効果故に、毒のダメージを減少させてしまう。ただし、“毒+呪い”のコンボの場合最大HPは低い方が都合がいいため、相性自体は悪くない。
最大の欠点は、魔法陣が範囲化に対応していないこと。そのため密集地帯に一気に石化をばら撒くという使い方はできない。
他にも欠点があり、弱点部位を石化させてしまうと弱点が消えてしまう。この時部位へのダメージ倍率が1に固定されるという計算がされているので、他よりもダメージを軽減してしまう防御部位が石化した場合が逆に柔らかくなることもある。
魅了
呪術科中級で追加された精神系状態異常の一種。深度はなし。
対象に対する影響力を100にした術者に対して、魅了状態の敵が攻撃不可能になる状態異常。攻撃しようとしても意志に反して体が動かなくなる。遠距離攻撃の場合は、当たる可能性のある攻撃をすることができない。(銃の場合引き金が引けない、魔法の場合発動しない)
この時、味方の補助等を受けて(内側から剣を叩く等で)偶発的に攻撃が命中した場合、攻撃判定は消える。つまり体が動いても動かなくても攻撃できない。
術者側が範囲攻撃に飛び込んだりしても術者に対しての攻撃判定だけが消え、通常通りに発動する。
魅了の状態異常の使い手が限られる上に、ヘイトを集めるタンク役は基本的にこの状態異常を使いこなせない。そもそも前衛で使える学科も数える程しかいない。
ただし、前に出る学科ならばどれでも強い。また、二人以上魅了の使い手がパーティに居る場合、100にした術者に対しての効果になるため、補助役の影響力を99止まりしにて、本命の低い影響力を補う事も可能。
効果時間が足止め系に次いで短い精神系の状態異常に分類されるが、効果時間は結構長め。その分敵に使われると大変厄介。
疫病
悪性の状態異常。最大深度は測定されていない。
効果は体力に対して一定時間定数ダメージを与え続ける。毒がHPの割合ダメージなのに対して、こちらは定数で損傷を与える。このダメージ量は深度に比例する。
また、重要な特徴としてこの状態異常は“自然回復しない”。
つまり回復手段がない状態で疫病状態になる事は緩やかな死を意味する。ただし、深度が低い内は自然回復で相殺できる上に、状態異常の解除は薬や魔法の手段を問わずに可能。
狂化
良性状態異常の一つ。狂戦士特有の状態異常だと思われていたが、呪術として変換することができた。
効果は能力値の上昇。デメリットとして被ダメージの増加と魔法と道具の封印がある。
良性の状態異常とは思えない程にデメリットが大きい。
被ダメージの増加は割合で増えるため、防御力の上昇効果で相殺できることもあるが、相手の攻撃力がこちらの防御力に比べてある程度低くなければならず、狂戦士は防御力が伸び悩むクラスなのであまり当てにはならない。
更に魔法の封印が痛い。魔法クラスは当然として、格闘クラスもDPSや防御性能、ヘイト管理を魔法に頼っている場合が多く、能力値が多少増加した所で強くなったりはしない。地味だが道具も使えなくなり、緊急回復で薬も使えない。
ただし、攻撃力の伸びがダントツの狂戦士は特別で、戦闘力が跳ね上がる。
ただでさえ高い攻撃力が倍増し、魔法が封印されるとはいえパッシブスキルまでは封印されないため、通常攻撃の火力が爆発的に高まる。元々スキル火力が伸びないクラスでもあるので、デメリットも半減している。
しかしやはり被ダメージ上昇効果があまりに痛烈で、名前に反して繊細な戦い方を要求される戦法でもある。
狂戦士以外にはあまり使い勝手が良くない状態異常なので、サクラは敵に付与することもある。疑似的な封印として使えるが、実は魔法の“再使用時間”が物凄く長いので、次々に付与していく、という使い方はできない。
また、石化と同様、範囲化もあまり適性がなく、一度の魔法で二人に付与することは基本的に不可能。
不屈
良性状態異常の一種。
現在HP以上のダメージを受けた時に、死亡判定を回避。HP1で踏み止まるという効果。主な使用者は神聖術師と魔法医師。一部の召喚獣やタンクなどもこれを付与することもできる。一定時間経過か効果発動で解除される。
付けていて損はないが、これが有効になる様な場所で戦うのは少々戦力不足だろう。使うのは火力の高いボス戦等の特殊な場合に限られる。
ちなみに効果が発動した場合に自動で解除される他、時間経過でも解除される。ただし効果時間自体は長め。
保険としては大変優秀なのだが、前衛はこれが発動した直後にも危険な場所にいる事が多く、回復が間に合わず連続で攻撃を受けてそのまま死ぬという流れができやすい。
基本的には範囲攻撃が激しい敵に対して、後衛の保険として使われることが多いだろう。
再生等の有用な効果に比べると、あまり評価が高いとは言い難い。
ただし死亡判定を回避する関係上、他のバフを残したままなので支援系に特化したパーティの場合は優先されることもなくはない。
再生
良性状態異常の一種。
現在HPの割合で回復していく効果。毒の良性版ともいえる。ただし、毒とは比べ物にならない程に評価は高い。
実はいくつか種類があり、回復量や頻度が結構違う。中には緊急時に自動発動したり、HPが満タンの時は効果時間が進行しなかったりという便利な物も。
一撃で死ななかった場合、事実上HPが増える効果と言える。その効果はかなり優秀で、生徒からの評価も高い。毒と比べて深度がない代わりに最初から効果量が高いというのも利点。
ただし、再生に限った話ではないが、良性とは言え状態異常なので累積耐性が発動してしまう点に注意が必要。
基本的にバフ効果は耐性を気にしないため影響力を伸ばさない。そのため一度の戦闘で二度付与する場合、一人に対して三回以上の魔法を使うことになる。
精霊の加護
イベント専用の良性状態異常。特別課題でエリク達に付与された。
効果は大精霊の怒りを反映してか、かなり盛り盛り。HPの自動回復、状態異常の即時解除、能力値の倍増、精霊特効などがある。使われなかったが、里の大精霊に対応した属性攻撃力の強化もある。
能力値の増加率にはやや偏りがあり、急激に変化すると逆に動きづらくなる敏捷性はあまり変化せず、逆に防御力は属性、物理双方が倍近い値になっている。その他HPや攻撃力等もそこそこ上がっている。
ただし防御力をいくら上げても、ビクティムの様な防御力を貫通する固定ダメージ系は当然素通りしてしまう。ロザリアの嘘ではあったが、即死効果も対策になっていない。
状態異常の即時解除については、作中でサクラが「運営が強敵に通用しないと思っているから」と語っているが、実は少し違う。
道中に出現する魔物の中に昏睡を使う魔物がおり、その対策である。範囲化された昏睡効果は近接型にとってかなり厄介なため、どんなパーティでも突破できる様に設定された物。
精霊特効は、正確に言えば“精霊核特効”。精霊に対する物ではなく、コロコロ君からの攻撃を著しく軽減し、逆にコロコロ君への攻撃を強化する。それ以外の対象へは無関係で、実は精霊核が死んだ後は効果を失っている。そのためエリクの最後の一撃、彼を穿った攻撃だけは特効が付いていなかった。
あれは魔力が減って装甲やレンズが軟化、関節やリングの相対位置を固定する魔法陣が効力を失ったため壊れただけ。リサが一度停止した彼を壊したのと同じ理屈。
ちなみにこの精霊の加護はあのイベント専用のバフなのだが、同じ名前のバフが別のイベントでも使われることもある。そのため今後同名のバフ効果を貰えてもこれほど強くならないかもしれない。
覇気
良性状態異常の一種。
元々呪術ではなかったが、オリジナル魔法として呪術に転用された。
効果は敵対している存在の能力値の低下。ただし、能力値低下耐性を持つ魔物には効果がない。
低下する能力値は、各種攻撃力と防御力。敏捷性は下がらないが、影響を受けた魔物は恐怖と同じくやや戦闘行為に消極的になる効果もあるので、僅かに動きは鈍くなる。
ちなみに普通の能力値低下と同時に使用すると、効果が高い方が優先して発動する。重複することはない。これは他の能力値強化や弱化も同じ仕様。
霊能
良性状態異常の一種。元は魔法医術と森林術の魔法で、サクラがオリジナル魔法として呪術に転用した。
霊能状態を付与された者は消費魔力を9割軽減する。ちなみに小数点以下切り上げなので、消費魔力1の魔法を使った場合、消費される魔力は1のまま。0より大きい数字を0にすることはできない。
霊能状態にする魔法自体の魔力消費も大きく、効果時間もやや物足りない。そのためあまり好んで使われることはなかった。魔法医術の蘇生魔法を大規模化改造し、霊能状態で使用してようやく魔力効率が逆転するほど。
ただし、多次元詠唱と同時に付与すると途端に鬼神の如き戦闘能力を持つことが出来る……が、これは不具合だった。現在は修正済みで、他の特殊な良性状態異常と上書きし合う関係になっている。現在上書きする対象として判明しているのは霊能と多次元詠唱のみ。
ちなみにこの修正、そもそも呪術師以外は他人に付与することが出来ないので、ほぼサクラ名指しの修正と言っていい。
多次元詠唱
良性状態異常。風雷術と暗黒術の古代魔法だったが、サクラが呪術へと転用した。もちろんこれはサクラに古代魔法の改造を見て貰った生徒が居たという事だが、実はその時サクラはこれを古代魔法だと認識できなかった。へぇこんなのあるんだ……くらいの感覚。
効果は詠唱時間の著しい短縮。それ故にそもそも詠唱できない格闘学部にはまったく効果のない状態異常。詠唱時間をほぼ0にすることが出来るので、連続して魔法を使う事ができる。ただし、完全同時詠唱はできない。
実はタイミングがシビアで、素早く同じ場所へ魔法陣を展開すると魔法陣同士が干渉して魔法が失敗する。
そのため魔法陣を敵の足元に敷くタイプの魔法はやや扱いにくく、レンカの様に自分の近くから“何かが飛んで行く”というモーションの魔法の方が都合がいい。比較的容易に位置がずらせるので。
もちろんタイミングを計れば地面に置く魔法陣でも連続発動が可能。
魔力は最悪薬で何とかなるので、レンカが動画を出す前は噂程度の話しかなかったが、それでも魔法系最強バフとの呼び声も高い。
これを用いた瞬間火力はまさに暴力。風雷術や暗黒術はこれが一般に広まった場合評価が激変するだろう。まぁ古代魔法なのでそれはもう少し先の話になる。
似た効果に装備の追加効果の“詠唱破棄”がある。
こちらも詠唱時間をほぼ0にする効果。デメリットとして威力の減少と消費魔力5倍の効果が付いているが、装備している限り効果時間は無限。
また、発動するかしないかを魔法の使用時に選ぶことが出来る。地味だが多次元詠唱では確定で詠唱が破棄されるので、異なる点の一つ。
ちなみに多次元詠唱状態に限らず、良性状態異常にも累積耐性が適用される。その上、良性状態異常の影響力は基本的に100。パッシブや装備の追加効果での影響力上昇がない限り、魔法陣改造でも影響力が増えない。
つまり、一戦で二回使う場合、二回目は累積耐性で200の影響力が必要になり、最低2回の魔法が必須。現実的には影響力の回復と再使用時間の関係で、3回の魔法が必要だろう。三回目は400で5回。
バフ自体の魔力消費も大きく、ボス戦でこれを何度も使い、火力でゴリ押しする……なんて事はあまりできそうもない。