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西の洞窟

 門番さんに手続きをして貰い外に出る。外へ出てすぐに動物さん達が、ドロップ品を持ってきてくれる。動物さん達にお礼を言うと、動物さん達がドロップ品とか果物を置いて帰っていく。


「……こんなに街の近くにも魔物が来ているんだね」


『そうくまね。こんなに街の近くにいるなんておかしいくまね』


 くっきーが鑑定を掛けてくれたので、薬草や食べられるキノコを採取したりして進む。洞窟がどの辺りにあるか分からないので、くっきーに任せて歩いて行く。


「そういえば、くっきーの言葉を分かるようにも出来るんだね」


『そうくまね。話そうと思えばできるくまね~』


「普通の従魔ってお話できるの?」


『出来るのもいるくまよ。くま……いちいち魔法掛けるの面倒だし、誰でもお話できるようにしておくくまよ』


「わぁ、くっきーは魔法でなんでもできて凄いね~」


『そんなこともないくまよ。だってぼくはヒールとかは出来ないのくま。だからサラが薬草を採取していてくれて、とっても助かったくま』


「そっかぁ。魔法が使えても、目の前の怪我をしている人は助けられなくて苦しかったんだね」


 くっきーを抱っこしながらなでなでする。


「でも、薬草が役にたって良かったよ。やっぱりフェリク王国で売って来なくて正解だったね!」


『そうくまね!』


「みんなの怪我も早くポーションを飲んで治って欲しいね」


『くまっ!』



 それからも洞窟を目指して歩いている間に、動物達が大量の魔石とかお肉とかを持ってきてくれる。


「すごい量だね……こんなに魔物がいたんだね……私にはどんな魔物か分からないけれど、こんなにいたら冒険者さん達も怪我をするよね」


『そうくまね……あまりにも多すぎるくまね』


「うん、魔石の数が半端ないもんね……」


 魔石は魔物の心臓の部分にある魔力の塊だそうだ。だから魔石がこんなに大量にあるってことは大量の魔物がいたって事だ。


 持ってきてくれた動物さんにもお礼を言いながら、くっきーにアイテムを仕舞っておいてもらう。そんな事を繰り返していると、洞窟が見えてきた。


『サラ、ご飯を食べてから行くくまよ』


「えっ!? 早く洞窟に行かないとじゃ?」


『そんな事したらサラが倒れちゃうくま。ご飯はちゃんと食べなきゃだめくまよ! それに今からそんなに力が入っていたら、疲れて倒れちゃうくま』


「うっ、はぁい」


 確かに焦っていた。強そうな冒険者さん達が怪我をして倒れているのを見たら、早くどうにかしなきゃって……でも、私が倒れたらそれこそみんな困っちゃうもんね。うん、ちゃんとご飯は食べよう!


 くっきーがアイテムボックスからパンと、動物達に貰った果物を少し出してくれた。くっきーと半分こしてもぐもぐと食べる。


『この洞窟……何かおかしな気配が残っているくま』


「そうなんだ……気を付けて行かないとだね」


『そうくまね』


 ご飯を食べた後は、洞窟へ入っていく。


「わわっ、暗いっ!」


『ちょっと待つくまよ』


 くっきーが魔法で明るくしてくれた。


「ありがとう。ってくっきー、このドロップ品の山どうしようか?」


『うーん……大量すぎるくま。一気に集めるくまよ』


 くっきーが手を伸ばすと、沢山あったドロップ品が一瞬でアイテムボックスに仕舞われた。


「わぁ、凄い!」


『えへへくま~』


 ゆっくりと洞窟内を進んで行くと、一番奥に着いたみたいだ。特にドロップ品以外は何も見当たらない。


『くま~……何か怪しいのくまよ』


「そうなの?」


『魔物が溢れたなら、ここはダンジョンじゃなきゃおかしいくま。だけど、魔物は沢山いたけどダンジョンじゃなかったくまよ』


「う、うん」


(何がおかしいのかよく分からないけれど、聞いてみよう)


『サラ、地面とか壁におかしな所がないか一緒に見てくま』


「うん、分かったよ」


 くっきーを降ろして地面と壁をくまなく探していく。うーん……特におかしいと思う所がないけれど……。


(ん?? あそこに何かある?)


 よく見てみると、地面に何かが埋まっている。


「くっきー、ここ見て?」


『何かあったくま!?』


「何か埋まっているみたいなの」


『サラ、触らないでおいてくまよ』


「う、うん」


 くっきーは埋まっている物を魔法で掘り起こした。大きくてキレイな宝石が埋まっていたみたいだ。くっきーはアイテムボックスに急いで仕舞うと……。


『サラ、これはダメくま!』


「えっ!? 何がダメなの?」


『誰かが、これで魔物を沢山呼んでいたのくま』


「えぇぇぇ?! ま、まだ呼び出すってこと?」


『もうこれには力が残っていないくま。だけど、東の洞窟にもあるのかもしれないくま』


 誰がそんな事をするんだろう……確かアレクシス王国は今魔物が増えてるって言ってた。もし……あの宝石がアレクシス王国全体にあったら大変な事になる……。


『早く帰って、ギルマスに相談するくまよ』


「そうだね! 急いで帰ろう!」


 くっきーを抱えて急いで帰ろうと洞窟を出た所で、くっきーに止められた。


『サラ、急ぐからぼくに乗るくま!』


「えぇぇ?! つ、つぶれちゃうよ??」


 そういうと、くっきーの身体が大きくなって大きなぬいぐるみのくまみたいになった。


「えっ!? 何それ?! か、かわいいぃぃーーー!! きゃーっ!」


 思わず我を忘れて、くっきーにもふもふすりすりしてしまった。大きさは普通の大人の熊みたいだけど、大きくなってもぬいぐるみくまちゃんみたいで、くっきーがさらにもこもこもふもふしていて可愛すぎる!


『ふふ、ぼくは神獣だから大きくだってなれるのくまよ』


「凄いんだねぇ」


 くっきーの背中に乗ると、4つの手足で走り出した。いつもは2足歩行のぬいぐるみのくまちゃんみたいなのに、走る時はやっぱりこうなるんだね。


(もふもふ……ふかふか……幸せ過ぎる)


『サラ、もうすぐ着くくまよ~』


「えっ、もう着くの?! さすが神獣様は速い! 凄い! もふもふっ!」


『サラ、そのもふもふは褒めてるのくま?』


「うん、もちろん。とってもステキだよ?」


『ま、まぁいいくまよ』


「えへっ!」


 くっきーから降りると、また元のサイズのくっきーに戻ったので、抱っこして街に入る。街に入って、冒険者ギルドに急ぐ。そしてリーナさんにギルマスの部屋に案内して貰って、お話をする。ちゃんと防音の結界を張ってからくっきーが話す。


「何っ! 誰かが呼んでいるだと!?」


『これが洞窟の中に埋まっていたくま!』


「これはっ!?」


『これはもう力がなくなっているくま。だけど、これが埋まっているって事は、誰かが故意に呼び出したってことくま!』


「なんてことだ……王都の冒険者ギルドにも話を通して国王様にも話をしないとだな……」


『まずは明日、東の洞窟内を調べてくるくまよ』


「はい、くっきー様、サラ様よろしくお願いします」


 なぜか様で呼ばれた。いやいやいや……私はただの一般人ですよー! 異世界人だけど。


「あの、私は呼び捨てにしてください。様で呼ばれるのはちょっと……」


「昔から神獣様と一緒にいるのは聖女様と言われているからなぁ……小さくても敬意を払わないとなんだぞ?」


「いえいえいえ、ただの一般人ですからね?!」


「ははっ、それじゃぁお言葉に甘えてサラと呼ばせて貰おう」


 ちょっとホッとしたよ? まさか私まで様付けで呼ばれるとは思わなかったよ。


 ギルマスとの話が終わった後は、冒険者ギルドを出てローズ亭に向かう。今日も良く歩いたからぐっすり眠れそうだ。帰りはくっきーに乗せて貰ったから楽だったけどね。


 ローズ亭に着いて、まずはお夕飯を食べる事にする。今日はお肉が手に入ったからと肉野菜炒めとスープ、ごはんだった。


「野菜炒め美味しいね~」


『そうくまね』


 お夕飯を食べた後は、お部屋に戻ってくっきーにクリーン魔法を掛けて貰う。


「今日も沢山歩いたね。でも大きなくっきーにはびっくりしちゃったよ」


『くふふ、明日も帰りはぼくに乗って良いくまよ~』


「ふふっ、ありがとう。行きは薬草とか取りたいから歩こうね」


『そうくまね』


 明日は東の洞窟を確認しに行こう。今日もくっきーをむぎゅっと抱いておやすみなさい。

読んで頂き、ありがとうございます。

ブックマークや☆の応援もありがとうございます、更新の励みになります。


明日は東の洞窟へ行きます。

楽しく読んで頂けたら嬉しいです。

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