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サントーンの街での浄化と救助

 洞窟の魔石も回収したので、またくっきーの背中に乗せて貰ってサントーンの街へ急ぐ。


『もうすぐサントーンの街へ着くくまよ』


「うん。くっきーありがとう。もう少し頑張ってね」


『任せるくまよ!』


 でもサントーンの街へもうすぐ着くというのに、ドロップ品の数が増えている気がする……。街のみんなが無事でありますように!


「くっきー様……サラ様を連れて行って大丈夫でしょうか……」


『そうくまね……』


「えっ、もちろん行くよ! 待ってても不安なだけだもん!」


「でも、サラ様……良くない物を見るかもしれません」


「うん、ジークさんの言っている事も分かるし、この感じはそれもありうると思う……だけど、何もしないでいるわけにもいかないよ。私が出来る事をやらないと!」


「サラ様……」


 うん、みんなが心配してくれるのもとても良く分かるし、とてもありがたい。確かに、見るのが怖い……だけど、だからと言って1人安全な所で待っているなんて出来ないし、したくない。


『サラ、ダメだったらぼくに抱き着いているくまよ。絶対に一緒にいるから無理しすぎないでくま』


「うん、くっきーありがとう。一緒にがんばろうね!」


『くまっ!』


 そんな話をしていると、サントーンの街へ着いた。門は壊されていないみたい……大丈夫かなぁ?


「誰か! 誰か開けられるか!」


 ジークさんが大声で中の人に声を掛ける。なかなか返事がない……。


「誰か外にいるのか!?」


 中からの声が聞こえてちょっとホッとした。


「もうここら辺の魔物は居ないから開けられるか?」


「なにっ!? 倒してくれたのか!!」


 そういうと、門をそぉっと開けてくれた。だけど、中にも魔物が居たんだろう……街が壊されている……。


「あんなに大量の魔物よく倒せたな……だがまだ中にもいるかもしれん」


「分かった。街の人達はどうしている?」


「大体は冒険者ギルドと商業ギルドの地下へ逃げている」


 そう聞いてホッとした。だけど、街の中にも魔物が来ているだなんて……。くっきーの浄化が500メートル以内だから大体浄化出来てそうな気がするけれど、まだ分からないね。


「各門で2名ずつ門で守っていたが、他は魔物がいたから分からないんだ」


「では、街を確認してきます」


「よろしく頼む!」


 そういうと門番さんは頭を下げた。でもこの門番さん達も、命がけでここを守ってくれたんだろう。凄くホッとした表情をしていたのが印象的だった。


『ぼくとサラで街を見て回ってくるくま。ジークとレイナは商業ギルドと冒険者ギルドを頼むくまよ』


「分かりました!」

「はっ!」


 ジークさんとレイナさんが凄い速さで駆けて行った。私も大きくなったくっきーの背中に乗って、街を走り回る。


「くっきー、街の中も大分壊されているね……」


『そうくまね』


「でもほとんどは地下に逃げているんだよね。生きていれば街は直せるもんね!」


『そうくまよ! だからきっと大丈夫くま!』


「そうだね。よし、私達の出来る事をしよう!」


 壊された街の中を走りながら、浄化されてない魔物が街の中にいないように、くまなく走っていく。ルートはくっきーに任せているので、私は目で見て確認している。


 どうか、どうか……無事でありますように……。


 聖女って言うなら回復の魔法くらい使わせて欲しかったよ……何の力もない自分が悔しい……。


 

 くっきーと町中を走り回り、商業ギルドと冒険者ギルドの前に着いた。くっきーから降りて、小さくなったくっきーを抱っこして、冒険者ギルドへまずは入ってみる。

 冒険者ギルドも大分壊されているけれど、なんとか地下へ行く事が出来た。


 そぉっと地下へ下りてみると、怪我人がすごく沢山いた……。手が震えそうになったけど、がんばれ私!

 早くくっきーに薬草を出して貰わなきゃっ! そういえばポーションってどうやったら出来るんだろう? 


「くっきー、薬草を出してあげよう!」


『そうくまね』


(心が痛い……みんなを助けたい……どうしたら良い?)


「くっきー、ポーションってどうやって作るの?」


『くま? ポーションだったら薬草と水を煮出して作るくまよ』


 水と煮出す……お料理にしたら……スープにしたらどうかな? 沢山の人に飲んで貰えるんじゃ?


「ねぇ、それってスープにしたらどうなる?」


『くま?! そ、それはやった事ないからわからないくまね。でも、サラの思うようにやってみてもいいと思うくま。それにスープを飲んだらきっとホッとするくまよ』


「そうだよね。大きいお鍋を借りてくるね! 薬草少し残しておいてくれる?」


『任せてくま!』


 くっきーをその場に残して、私は近くの動ける人に大きなお鍋を借りたい事を伝えて、調理場に案内して貰う。

 でも、材料がもうほとんど残っていないんだそう……。くっきーの所に戻って、材料を出して貰って来よう。


「くっきー! 材料を出して欲しいの!」


『分かったくま!』


「サラ様、一体何を?」


「スープを作ります。薬草を入れて作ってみます!」


「そんな事が!?」


「効くかどうかは分かりません! だけど、少しでも元気が出せたら……」


「分かりました、何かお手伝いは必要ですか?」


「ジークさんとレイナさんは、このまま皆さんのお手伝いをお願いします。スープは私だけでなんとかなります。くっきーも薬草を出したり、みんなのお手伝いをお願いね」


『ぼくは荷物を出し終わったら、サラの所へ行くくまよ』


「うん、ありがとう」


 それぞれ役割が決まったので、私はくっきーに材料を出して貰ってからスープを作り始める。薬草を入れたスープが少しでも効けばいいな……。

 薬草入りのスープが効くかも分からないし、意味があるかも分からない……だけど、何もしないでいられない。効果がなくても、温かい物を飲んだらきっと……少しだけでも元気が出るから。


(うん、今は何も考えない。出来る事をやる……がんばろう!)


 大きなお鍋2つにスープを作っていく。お野菜を色々入れて、ハーブも薬草も入れて煮込んで行く。味見してみると味も薬草で苦くなることもなく、逆に美味しくなった感じがする。味を調えて完成!


「うっ……さすがに持てない」


『サラ、大丈夫くま?』


「あっ、くっきー! ちょうど良い所に来てくれたよ!」


『どうしたくま?』


「スープが出来たんだけど、持てなかったの~」


『くふふ、任せるくまよ!』


 そう言うと、アイテムボックスに仕舞ってくれた。私はお玉とカップを大量に持って、地下のみんながいる所に戻っていく。


「サラ様!」


「ジークさん、スープが出来ました。配りたいので、誰かにお手伝いをお願いして貰って良いですか?」


「お任せ下さい!」


 そういうと大きな声でスープがある事、お手伝いを頼みたい事を言ってくれた。近くに居た怪我をしていない人達がお手伝いに来てくれた。


 次々と並んでくれたので、スープを配っていく。なんだか……食べた人達から色々な声が聞こえてきたけど、ざわざわしていてよく聞こえない。なんだろう?


「怪我が治った!?」


「元気が出たぞ!」


「これは一体!?」


「そんなっ……あんなに大怪我だったのに!?」


 どうしたのか不思議に思っていると、くっきーが教えてくれる。


『サラ、みんなの怪我が治っているみたいくまよ!』


「えっ!? 本当!?」


 くっきーにそう言われて、周りを見回してみると……さっきまで怪我をしていた人達がにこやかにスープを飲んでいる。大怪我している人達も起き上がっている!


「どうして……?」


『サラの気持ちが通じたのくまね。みんなに治って欲しい、元気になって欲しいって思ってたから、きっと治ったのくまよ』


「本当? だったら凄くすごく嬉しい!!」


『本当くまよ。これはサラの力くまよ!』


「くっきー、ありがとう。良かった……本当に良かった。ずっと心が痛かったの……」


『ふふっ、さすが聖女くまね~』


「ふふっ、聖女なら癒しの力くらい使わせて欲しいって思ってたよ」


 その後は、元気になった人が次々に手伝いに来てくれたので、早く配り終わった。


『そうくま。あっ、まだ商業ギルドにも持って行かなきゃくまよ!』


「あっ、そうだね! よし、また作ろう!」


 空っぽになった大きなお鍋でまたスープを作りに行く。今度は商業ギルドに居る人達の分を作らなきゃね! 怪我を治せるのが分かったから頑張るぞー!


「サラ様、お手伝い致します」


「ジークさん!」


「サラ様のおかげでみんな元気になりましたからね」


「あっ、でも商業ギルドの方は?」


「そうですね、そちらの様子を見に行ってきますか」


「はい、お願いします。その間にスープを作っておきます!」


 ジークさんが、商業ギルドの地下の状況を見に行ってくれている間に、スープを大きなお鍋2つに作っていく。

いつも読んで頂きありがとうございます。

ブックマークや☆の応援もありがとうございます、更新の励みになります。


明日は商業ギルドへスープを持って行って街の支援をします。

楽しく読んで頂けたら嬉しいです。

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