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8:前の職場が大変でした

 いつものようにレイ・コンサルタントに出勤すると、建物の前に人影があった。

 異空間は事務所の応接室だけではないことがわかったので、ちょっと警戒するのは許して下さい。

 高級そうな白い日傘を差した和服の女性。きっちり着こんでいるにも関わらず、淡い青の紗の着物と、白っぽい帯は涼しげにさえ見える。黒髪は襟足でまとめられていて、玄関前で困惑している横顔はおっとりと臈長けた美少女……ではなく、そんな雰囲気を残した私と同世代の女性。

 現代社会からはちょっと浮いている、数世代前の良家の深窓のお嬢様といった風情。そんな時代のお嬢様なら御付きの人無しでは出歩かないだろうから、独りなところは今風なのか。

 多分人間さんだと思うけれど、どう声をかけようかと考えていると、彼女が振り向いた。

 ただ、視線は私の顔ではなく手元、鞄からひょこっと顔を出している狐のマスコットに向けられている。


 あ、確実に「見える」方ですね。


 ……て。

 こらー! ちゃんとファスナー付きのポケットに仕舞ったのに、何を勝手に出てきているんですか。表で動くんじゃありません!

 あ、あれ? 表でも動くんですか?!

 封印してあるはずなのに。封印の概念が違うのかもしれない。なにしろラベルシールだし。

 和服の女性は狐を見て表情を和らげると、日傘を畳み、声をかけてきた。

「こちらの事務所の方でいらっしゃいますか?」

 ふんわりとした穏やかな声。

「はい。こちらで事務をしております。何か御用でしょうか?」

「わたくし、高嶺(たかみね)清香(さやか)と申します。夫と義姉(あね)がお世話になっております」

 背筋を伸ばしたままきれいに頭を下げられた。

 高嶺、で、夫と義姉。ということは。

「さっしーさ、高嶺先生の奥様ですか?」

「はい」

「芦田と申します。こちらこそ、レイさんにも高嶺先生にもお世話になっております!」

 さっしーさんが既婚者でお子さんがいることは知っている。

 早瀬法律事務所では、自分の為に男性育児休暇制度を拡充し、夕方以降には極力予定を入れず、定時ダッシュで帰るイクメンとして有名。

 なお、お子さんは双子で、只今イヤイヤ期まっさかりの魔の二歳児だそうで、さまざまなやんちゃエピソード(親バカ視点)を聞いてはいるのですが。

 この方がそのお母さんなんですかー。色々な意味で浮き世離れ感がすごい。

「レイさんなら事務所にいらっしゃると思いますし、どうぞ?」

 促すと、奥様――清香さんはなぜかしばし沈黙し、やがて、ぐっと日傘を握って、意を決したように頷いた。

「え、ええ。そうです、わね」

 その対応は、やっぱり応接の皆さんのせいでしょうか。




 一階の玄関を開けて、清香さんを先導して階段を上り、二階玄関のカードキーを取り出す。

 最近、二階の鍵も預けてもらえるようになった。こちらはIDカードのようなもので、レイさんが事務所にいるときのみ有効と設定されているらしい。

 とはいえ、レイさんが切り替えをこまめにやるタイプには思えないし、どうなっているのかは不明。カードの中央にぺったり貼られた「封」のラベルシールの存在も、向こうの事務所で早瀬さんに「また変なモノを憑けられて……」と引かれるのも、もはやお約束な感じで突っ込む気にもなれなかった。

「おはようございます。レイさーん、お客様です」

 扉を開けて声を掛けると、レイさんがすでに玄関まで出てきていた。

「おはよう、アシちゃん。来たばかりで悪いけれど、お茶をいれてもらえるかしら。清香ちゃん、上がって」

「いえ、わたくしはここで……」

「清香ちゃんがわさわざ事務所まで来るなら込み入った話でしょう? 予想はつくけれど」

 玄関で揉めているお二人の声を聞きながら、キッチンに入ってお茶の準備をする。紅茶でいいかな。

「これをお茶請けにお願い。アシちゃんも一緒にどうぞ」

「はい」

 お湯を沸かしている間にレイさんがキッチンに持ってきたのは、清香さんのお持たせであるらしい和菓子の袋。

 む、これは有名な老舗の数量限定入手困難な最中(もなか)。秘書時代に何度か予約の電話をしたけれど手に入らなかったお品。これは確かに気合いが入っている。

 あ、お茶は緑茶に変更しなければ。


 さっそく最中を小皿に乗せて応接に運ぶと、清香さんが居心地悪そうにしていた。

 けれど。あれ。

 お茶を置いて部屋を見渡す。

 静かだ。静かすぎる。部屋に並べてある諸々が、どれも動かないししゃべらない。

 いえ、これが当たり前なんですけども。

 不思議に思いつつ、レイさんに促されたので私も座ると、清香さんが立ち上がった。

「この度は……もう何度目かわからないくらいですが、兄が失礼をいたしました」

 深々と頭を下げる。清香さんの、お兄さん?

「清香ちゃんが謝ることでも、わざわざお詫びに来てもらうほどのことでもないわよ。でもここの最中は嬉しいわ」

 表情を変えずに淡々と消費しているように見えますが、ちゃんと嬉しいんですね。

「依頼があちらに行くのは、顧客側の都合だから仕方がないことよ。私が担当していた案件と知って、一言の断りも無しなのは失礼だけれど、あちらも自負があるのでしょうし」

「ですが、きちんと怜子さんにお話を通しておけば、仕事も順調に進むでしょうに……」

 話からすると、清香さんのお兄さんはレイさんの同業者さんらしい。そして仲はあまり良くない。

「怪我をしたそうね?」

「ご存知でしたか。打ち身程度と足首を傷めた程度で大事はないそうです。どうしたいきさつかは話したがりませんが」

「装束を引っ掛けて階段を踏み外しただけだから、詳しくは語らないでしょうね」

「まぁ……」

「結界が破られたから見に行かせれば、そんな有様だったわ」

 監視カメラや警備員の配置をしているかのような会話。でも、そんな物の利用に関わるモノを見たことはないので、監視しているのも、現場に急行するのもつまり……。

 ……さすが名店の最中。美味しいなぁ。

「お見苦しいところをお目にかけまして」

「いいのよ。次に顔を会わせた時に笑ってやるわ」

 レイさんの笑みがいまだかつて見たことないくらい黒い。

 訂正。とても険悪な間柄のようです。

「この件がもともと怜子さんのものだと知った父は、早瀬の小父(おじ)様を通して怜子さんにお仕事を御返しすることにしたと聞きました。兄が手を加えたことで余計なお手数をお掛け致しまして、申し訳ございません」

滝淵(たきぶち)の小父様が筋を通して下さったから、私の方に異存はないわ。ただ、肝心の依頼主はどうかしらね」

 そうでしたー。レイさんの基本方針は、解約金なしだけど再契約の際はお値段倍増。契約を切るということは、それまでの契約がコストに見合わないと思われていたわけで、大幅増額を受け入れるかというと。

 ところで、私はどうしてここに並んでお茶とお菓子を頂きながら、こんな物騒な話を聞かされているんでしょうか。


 


 しばらく世間話というか、高嶺家のお子さんのお話などをして、清香さんは帰っていった。

 一階の玄関が閉まる音が階段から僅かに響くと。

『にゃー、やっと帰ったか』

『あの娘は子を産んでも変わらんのう』

 いつもの面々がごそごそと動き出した。むしろたまにしか動かないものや、初めて見かけるモノまでが伸びをしたりしている。

「清香ちゃんが来てくれると、静かになって助かるのだけれど」

 レイさんがふぅ、と溜め息をつく。

『ただでさえ食まれて息苦しいというに、あの奥に居座られては、息の根までも止まるでありんす』

 木彫りの熊の口に咥えられた錦鯉がびたんびたんしている。

 ずっと空気中にいるのに今日も元気ですね。

「……ええと?」

 清香さんは、玄関前では事務所に入りたくなさそうだったのに。

 実際には応接の皆さんの方が嫌がっていた?

「清香ちゃんは、私のように封じる力はないのだけれど、色々なものを『寄せ付けない』体質なのよ」

「寄せ付けない? みなさんから見たら怖かったり、嫌われてたりするんですか?」

『嫌悪はないな。それに、恐怖なら高嶺の娘の方がよほどだ』

 天狗が肩をバキバキ鳴らしながらぼやいた。

『……あし、しびれた』

 聞き覚えのない子供の声。

 あ、こけし座敷童が初めてしゃべった! こちらは足を揉んでいる。

「敬遠、というのかしら。さっしーとはある意味正反対ね」

 この部屋の住人たちにやたらと好かれ、絡まれまくるさっしーさんの姿を思い出す。

「なるほど……」

 色々な体質があるらしい。知らなくていい世界だった。

 出勤した直後からお茶の時間になってしまったので、自分と清香さんの湯飲みとお皿を片付け、三つ目の最中に手を伸ばすレイさんにお茶のおかわりを出して、書斎に入る。

 タブレットを見ると、事務所スマホと共有されている着信履歴がだーっと並んでいた。


 レイさん、朝からの怒濤の電話を完全無視してお茶してましたね。スマホも机の上に置きっぱなしだし。


 とはいえ、着信だけでメッセージを残していないようなので、無視される部類だけど。

 と、思ったそばから着信があった。

 あれ、そういえばこの番号。

 数ヵ月前までことあるごとに書いていた、前の職場の総務部の番号では?

「レイさん」

 応接の方に呼び掛ける。

「どうかしたの?」

「とてもしつこく電話が来ているのですが」

「そのようねぇ」

 レイさんは最中を三個も平らげたとは思えない優雅さでお茶を飲んでいる。

「そのぅ、私の前の職場から」

「連絡方法を引き継いでいないようね」

 全部わかっての無視なんですか。

 私は引き継ぎマニュアルに書いておきましたけど、一回契約解除したから捨てられたかもですね。

「他所にお祓いを頼んで事態が悪化したようだから、慌てているのでしょうけれど」

 他所に頼んだ、ということは。

「さっき、清香さんがお話されていたのは」

「古田さんの案件ね」

「えっと、やっぱり屋上のお稲荷さまですか?」

「他にもあるけれど、中心はそれね。もっとも、あれは稲荷というより、ただの古狐だけれど」

 現在進行形の案件に変わったせいか、レイさんはあっさりと教えてくれた。

 お稲荷さまと狐って違うんですか。お稲荷さまだと思ってお参りしてたんですけど。それに、他にもなにかいたんですかあそこ……。

 ちょっと目眩がした。




 その後も何度も着信が続いた。この、意地でも留守録を使おうとしない電話の主は一体誰なんでしょう。

 秘書ではなさそう。役員なら複数心当たりが。秘書の誰か、止めないんですか。

「頑張るわねぇ」

 さすがのレイさんも呆れ顔。

 時折別件の電話が入って話し込んだ後は「電話がとれる状態なのになぜうちだけ出ない!!」とばかりに加熱する。

 これだけ繰り返されれば、気になって折り返す人も多いだろうけれど、なにしろ相手はレイさんなのでそんなことはしない。

 そして、こちらはこちらで大変なのです。

「レイさん、これはショートカットです」

「あら、また? どうしてかしら」

 レイさんは優雅に首を傾げた。

 現在進行中の案件になったので、古田商事のファイルを移動させようとしたら、なぜか苦戦している。私には入れない休眠顧客用のサーバと、作業中のサーバのセキュリティの違いが原因らしい。今まで何事もなく移動が行われていたのは、全体の管理者であるさっしーさんが作業していたからのようなので、もしかしたらレイさんのIDの権限では足りないのかもしれない。

「面倒ねぇ……。命令するだけでやってくれるといいのだけれど、こういう機械は、意思を持つ前に壊れるし」

「電子機器に付喪神を求めないでください」

 なにしろレイさんこういう人だし……。

 なお、さっしーさんは只今顧客先訪問中で連絡がとれないので、メッセージを送って連絡待ち。

「こういう機械を依り代にするのも嫌がられるのよねぇ」

「ご自分で操作を覚えてください。その方が早いですから」

 前の職場のおじさんたちのいう「『ええあい』とかでちゃちゃっとできないのか」とかのほうが一般的には現実に近いはずなのに、この事務所においてはレイさんの希望の方が実装が早そうなのも怖い。

 この事務所にAIを置いたら、早々に自我を持ちそう。スマートスピーカーなんて、電源をオフにしてもしゃべり続ける予感しかない。

 そんなことを考えていたら、不意に椅子に何かが当たる音がした。

 足元を見ると、円盤型の掃除機が止まっている。

 はいはい、ゴミ捨てですねー。

 ……そういえばコレ、ゴミ捨てのタイミングになると、ホームベースに帰らないで私の所に来るような。


 まさか??


 

 

 翌日。諦めたのか、何かを察したのか、怒涛の電話はいったん止んだ。

 必要なファイルは「なんでそんなことでひっかかるんだ……」とぼやきながら、さっしーさんが移動してくれたらしい。


 それを開いた私はといえば、朝から頭を抱えている。

 屋上のお稲荷さまは予想してた。でも地下倉庫の謎の信楽焼の狸や、干支の置物にしては取り替えられない役員室の鼠もそれだったなんて。

 お稲荷さまとして祀ってある狐が中心で、狸と鼠はその手下、という感じらしい。

 なんでも、ご先祖が獣を従属させて使うことができて、それを商売を有利に進めるのに使ってきたらしい。

 そして当代の主は、私の前の上司である会長。会長、見えるどころか使役できる人だったんですか。

 おまけに自分の名前が重要人物リストの上位にばっちりと、見えないけれど超気に入られている印つきで入っていた。

 備考に「狐の世話役」って書いてありますが、そんなものになっていた覚えはありません。

 とはいえ、ここまで記録があるということは。

「レイさんが私を覚えていてくださったのや、リストラを知っていれば止めたっていうのは、このせいですか」

「そういうことになるわね。もっとも、会長さんがいないあの会社にアシちゃんだけが残るのも良くないから、結局は転職を薦めることになったかしら」

 狐の備考欄に「小物で性根が悪い」ってありますもんね。

 しかも、今も残ってる役員たちには、見えないし嫌われているマークが並んでいる。こんな環境に残らなくて良かった。


 今のこの状況はどうなのか、という問題はありますけど。


 気を取り直して、早瀬法律事務所経由で届いた最近の情報を入力していく。

 アレコレは甲乙丙で書かれているので、こちらでは直さないといけない。

 地下駐車場の事故は乙(狸)、パソコンの不調は丙(鼠)、怪我人は甲(狐)が関与しているらしい、とのこと。

 狐の備考欄を見直すと、「特技は他人の足を引っ張ること(物理)」とある。

 物理?

「狐の、足を引っ張る、かっこ物理、というのは……」

「そのままよ。霊力は低いというのに、物理的な干渉ができるのが厄介なのよね」

 他人の足を引っ張る(物理)だから、怪我人が出てるんですか。

「それ、商売にどう役に立つんでしょうか?」

「主に競合相手の妨害工作に使っていたようね。重要な約束に遅刻させるとか、接待の席で粗相させるとか」

 なんて地味でせこくて卑怯……。

 あの会社、予想を超えてブラックだったんですね。

「狐の性格もあるけれど、歴代の獣使いたちがそういった姑息で陰険なことにばかり使うから、稲荷の体裁を整えて歳を経てもただの狐のままなのでしょうね」

 そんなことを話していると電話が鳴った。

 携帯の番号。でも見覚えが。

 数回のコールの後、留守電に切り替わると、聞き覚えのある声がした。

『古田です。古田商事の前の会長の。レイさん、今、お話はできますか?』

 レイさんを見ると、私に頷いてスマホを手にしたので、キーボードをセットしてあるタブレットを持ってレイさんの机の側に行く。

「高嶺です。ご無沙汰しております、会長さん」

『もう引退してただの隠居ですよ』

「でしたら、古田のご隠居とお呼びした方がよろしいかしら」

『おお、いい響きですな。助さんも角さんもおりませんが』

 ……そういえば、会長はそういうテンションの人でした。

『昨日はご迷惑をおかけしました。引き継ぎがなっておりませんで』

「そのようですね。随分困っていらっしゃる様子ではありましたが」

『一族の者たちは自業自得ですが、従業員に被害がでるとなると、放置するわけにはいきませんので』

「早瀬への報告書はご隠居が?」

『はい。しかし、狐が臍を曲げて全く言うことを聞きません。(やしろ)をあんな場所に置いてしまったせいで、今の私の足では行くのも難儀で』

「あれは、古田の代々の扱いが透けて見えますものね……」

 屋上のお稲荷さまは、かなり急で滑りやすい非常階段の先の屋上にある。お稲荷さまの世話がある日は、パンツスーツにして、上るときには靴を履き替えたくらい。

 しかも室外機の隙間なので、夏場は榊の交換だけでもしんどかった。なんで神様にこんな酷い扱いなのかと思っていたけれど、事情を知ると動物虐待の態度が見えて更に酷い。

『素養のある者をあたっておりますが、あれを扱える者は今は私しかおりません。私で御しきれなくなったからには、やはり縁切りせねばならんでしょうか』

「もう少し神に近くなっていれば、穏当な処置もできたのですが。まずはちょっとお灸を据えなければなりませんね」

『消さずに済みましょうか』

「それはあの狐次第ですわね」

『狸と鼠はどうなりましょう』

(しもべ)たちは意思も強くありませんし、狐と縁を切れば程なく消えるでしょう。悪さをしないように処置はしておきますが」

『左様ですか。私の扱いに問題があったことは確かですが、奴は一番の相棒ではありました。縁切りをするにしても、力ずくで消すのは忍びない。よろしくお願いいたします』

「善処しましょう」

 レイさんは鷹揚に頷いた。

『ただ、(やしろ)の世話がしばらくおろそかになっていたようで。状況を確認しようにも、以前の状況をよく知る社員は退職しておるのです』

 ……ええと、それはもしかして。

『私の秘書をしておりました、芦田君なのですが』

 やっぱりー!

『可能ならば協力を頼みたいのですが、退職させた元社員を呼び出す訳にも参りません』

 レイさんが私をチラッと見て、手元の紙にさらさらとメモを書いた。

(話してもいい?)

 ええと?と思っていると追加で。

(早瀬にいると)

 レイさんとの契約はともかく、普通の仕事も多い早瀨法律事務所が古田商事の顧問であることは今も変わりなく、まぁ、そのうち知られることもあるでしょう。私、受付にも入ってますしね。

 頷くと、レイさんも頷き返してくれた。

「それなら、あまり気が進みませんが、協力は頼めると思います」

 と、その割りに、気が進まないことらしい。屋上に行って、祠の確認をするだけ……ですよね? 追加で色々あるんでしょうか。

『それは?』

「彼女は今、早瀨に勤めてくれていますので」

『左様ですか! あんな形で退職させてしまい、済まないと思っておりましたが……安心しました』

 一応悪いと思ってくれてたんですか。

「私から連絡をいれておきましょう。一度現場に同行してもらう必要がありそうです。日時の調整は、早瀨の方でお願いします」

『かしこまりました。どうぞよろしくお願いいたします』

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