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第二話 雨の中の出会い

カラン


『喫茶店フルムーン』


「ただいま」


「おっ健おかえり」


元気なく帰ってきたこの場所はとうさんの兄貴の立川誠(49)(僕はまこちゃんってよんでるんだけどね)の喫茶店だ。春からこの喫茶店で店の手伝いをしながら住み込みで生活してるだけど、ぼくが東京に出てこれたのもこの喫茶店あってのことだった。


「けんちゃん、どうした元気ないぞー」

この人はまこちゃんの奥さんの清香さん。この人はとっても若くてまこちゃんとは年の差結婚、ただいま(32)歳なんだって、僕の目には25歳くらいにしか見えないんだけどね。


「いやーね新学期早々遅刻しちゃってゼミの教授に怒られちゃったんだよね」


清香さんはニコニコして


「だって、けんちゃん全然おきないだもん」


「清香さんのイジワル。起こしてくれよ」


優しい清香さんの笑顔と喫茶店に広がるコーヒーの香りは僕の心を癒してくれた。そんなとき、まこちゃんは呆れながら笑いコーヒー豆を煎っていた


「健今日も駅にいくのか」



「あー今日は迷ってる。天気悪そうだしさ」


「まいったな駅の近くにコーヒー豆の専門店があるんだけど、そこまで豆を買ってきて欲しいんだ。いつも配達してもらってるんだけど今日はお店の人が体調崩してんだってさ」


僕は気が乗らないなが、断る理由もないので、しぶしぶ行くことに決めた

「しょうがない行ってくるよ。「雨降りそうだからそこの傘借りてくよ。駅の裏のところでしょ」


「すまん。よろしく」


僕は地元に居るときから仲間四人と路上ライブをやって、こっちに来てからは1人になったからアコギで座り込み路上ライブが主だけど地元じゃ結構大きな規模でライブしてたんだ。



コーヒー豆を買ったあと、駅を通り過ぎると、いつも僕の居る場所に誰かがギターを弾いていた。


「上手い!」んともいえないふわっとした弾き方でどこかかわいいらしいんだけど芯がしっかり残ってる。たとえられないそんな音色に僕は引きつけられた。

お客もかなりいたが、その1人1人の目はもう彼女に釘付け。彼女の近くにはアロマロウソクが置いてあり、まるで集団催眠に掛かけているかのような光景がひろかっている。


一曲終わったとき(僕が聞いたところから)


ぱっぱちという拍手とともに冷たいものが降ってきた。


ぽっ ぽつ ぽつ


雨だ。



予想されてた通り降ってきた。その場で傘を持っていたのは僕だけで傘を開いて帰ろうとしたとき、アロマの香りが消え残っていた女の子は急いで帰り支度をしていた。

その時、ふと昔を思い出した。


僕も最初は彼女のように一人でライブをしてたんだけど、ある日の路上ライブで急に雨が降ってきたんだ。その時、傘を持ってなかった僕はずぶ濡れになることを確信て諦めてたんだけど・・・・。


「やばーこれだけはぬらしたくないのに」

ぼやく僕の上の雨だけが次の瞬間にやんだ。


「ほら、傘さしてあげるから早く支度しなょ」


多分お客の中の一人の女性だと思われるひとがそこにいた。

「ありがとうございます。」

僕はこの日この言葉を何回くちにしたか分からない。


僕らはその後、実家の喫茶店(兄弟そろって喫茶店やってるんです)で一休みしながら意気投合していた。

これが、俺と公子との出会いだった。

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