表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天使とすごした10月4日  作者: 直木 新
5/28

5話


「私、あそこに行きたいんだ」

 樹里が指さしたのは、パステルカラーが基調の、ファンシーな雑貨屋だった。

「じゃあ私は入り口の付近にいるからね」

 看護師さんは店内までは付き添いしないみたいだ。



「わたしって、どんなアクセサリが似合うと思う?」

 樹里が迫ってきて言う。

「ねえ、有希くん。わたしに似合うものを買ってください」

「ごめん、僕お金持ってないんだ」

「あ、そうだったね。ちょっとまってね」


 バッグの中をあさり出して、ごそごそと何かをし始めた。

「はい、これ、私からの誕生日プレゼント」


 ピンクと白色の封筒の中には、千円札が2枚入っていた。


「……これで何か買ってほしいってことだよね」

「そのとおり!」


 もらったお金でプレゼントを買うのは情けないけど、

 それでも嬉しいと思ってくれるのなら、ありがたくもらって、買ってあげることにしよう。


 雑貨屋をぐるぐる回っていると、目に止まったのは、薄いピンク色をした、透明なプラスチックで出来た、ハート型のイヤリングだ。それを手にとって検分していると、となりの樹里が目を輝かせてるのがわかった

「うん、これを買ってあげよう」

「いいね! ありがとう」

 こういうとき、わかりやすいのはこの子の美点だ。


 隣に並んでいる、造花の冠の一つを手にとってみる。

 これは、ふわふわした髪質の樹里によく似合う気がした。

「ちょっと屈んで」


 同じくらいの背丈の樹里に屈んでもらい、花冠を乗っけてみる。

 思ったよりも、ずっと似合っている。


「なんか、ヨーロッパの結婚式のお嫁さんみたいだね」

 何気なく呟いたら、顔を背けられてしまった。

 少しセリフがキザすぎただろうか。


「ふふ」

 それでも嬉しそうだったからよしとしよう。


 店を出ると、お昼を少し過ぎたところだった。


「お昼御飯どうする?」

「はい!あのクレープが食べたいです!」

 指をさすと、ワゴン車の前に人だかりができていた。

 どうやらクレープの移動販売のようだ。


「お腹にたまらなくない?」

「大丈夫、甘いものは主食です!」

 看護師さんは悩んでいたけど、今日の主役は樹里だから、仕方ないな。

 結局3人ともクレープを買い、公園のベンチでのんびり食べた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ