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4話
目の手術以降、僕の容態は何故か日増しに良くなっていった。
体が動かせるようになった。
手は、箸が使えるようになった。
足のリハビリも進み、少しの距離なら自力で歩けるようになるまで回復していた。
やることが色々増えて、本を読む時間を、あまりとれなくなっていった。
それでも、日々が以前よりずっと楽しくなっていた。
樹里のおかげだ。
「そろそろ誕生日だね」
「覚えてくれてるんだ、嬉しいな」
「わたしたち、双子だよ?」
「あっ、そっか、同じ日だよね」
「そうそう」
そう言われて気づいた。10月4日は二人の誕生日だ。
「その日にね、今度、外で遊ぼうよ。どっかで」
「中庭で?」
「ううん、病院の外」
「許してもらえないよ」
「わたしが許可をとります」
泣き虫の樹里が胸を張る姿は、どことなく頼りなさげで頼もしかった。
そして、看護師さんが付き添うことが条件で、外出することが決まった。