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天使とすごした10月4日  作者: 直木 新
11/28

11話

 今日は長居さんが、たくさん時間をとってくれた。

ひさしぶりに沢山樹里と会話が出来そうで、わくわくしている。


「仕事はほとんど片付けてきたから、今日は好きなだけ話せるよ。夕飯の時までだけどね」

「ありがとうございます。いっぱい、はなします」


いつもは樹里の好きなことばかり聞いていたけど、今日は嫌いなものを中心に聞いてみた。


 樹里から出てきたのは、生き物のことばっかりだった。

 ネズミは、テレビで見る分には好き。実際に出会ったら逃げる。カエルはかわいいけど、カタツムリは怖い。

 ムカデを見ると鳥肌が立つ。ゴキブリなんかは、想像したくない。


 鳥が好き、爬虫類が苦手。ワニは怖すぎる。

 魚が好き。見るのも食べるのも。

 パンダもコアラも好き。ダチョウは鳥だけど微妙。


 好きな食べものは寿司。 好きなネタは、うに、あなご、えんがわ。

 嫌いな食べ物は、ナス。スカスカしてて食べてるのかどうか良くわからない。

 洋食にパセリがついてきたら、つい食べてしまう。 それらを一方的に教えてくれたけど、それもまた楽しかった


「あと……、樹里に聞きたいことがあるんだけど」

 嫌いなものの話が一段落したところで、僕は口をはさんだ。


「昨日、僕が言ったこと、聞いてた?」

 ちょっと、結構、かなり恥ずかしいけど、確認のため聞いてみた。


「聞いてないよ」

 長居さんの口を借りて、樹里は言った。

 その言葉をきいて、正直ホッとした。自分の気持ちを好きな人に全部伝えるって、よくわからないけど、とても恥ずかしい。

 この気持ちは、やっぱりこのまま隠してしまおう。


「聞いてるけどね」

 長居さんの口からもう一言、別の答えが出た。

 一体どっちなんだろう。

「さっきのからは、長居さんの台詞になるからね」

 長居さんは言った。


「だって樹里ちゃん、めちゃくちゃ挙動不審になってるし、顔がみるみる赤くなってるよ。一体何を言ったの?」

「すみません。あまり言いたくないです」


「まあ聞かずともだいたい想像はつくし、当たってると思うけど」

「わかるんですか?すごい」


「うん。私も聞きたかったなぁ。それともまたここで言っちゃう?」

長居さんは、ニヤニヤしている隠そうともせず、僕をからかう。流石に無理だ。人が居るところであの台詞を言うなんて、想像しただけで冷や汗が出る。


「ちなみに、今樹里ちゃん、顔を手で覆って臥せっちゃったからね。ああ、こりゃ、予想よりもすごいこと言ってるな」


 やっぱりあの言葉は、樹里が聞いても恥ずかしいものだったんだなぁ。

 今度から、不用意につぶやかないように気をつけよう。

 でも僕の気持ちを全部知ってもらったとおもったら、なんか心がスッキリした。


「まあ、間違いが起こるはずなんかないし、私は別にいいんだけど」


 長居さんの言う、間違いってなんだろう。やっぱりに恋には正解とか間違いとかあるのだろうか。

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