ぽーしょんつくるよ!!!
フラスコがぽこぽこと音をたてる。
時には空気のような白い液体を噴射したり、時には赤く変色したりする。
近くには素材と思われるものが幾つか転がっている。
赤い水晶だったり...蒼い粉末だったり...ただの岩のような物であったり...
それらは一見、なにかという見分けがつかない。
そう。これは魔法薬と呼ばれている物だ。
一般的に魔法薬と言ってもそれは薬草であったり毒消し草であったりするものだが、この世界ではそれに限ったことではなく―――
「えーっと...キャロウの薬はどこだっけかな...」
―――素材を調合、醸造して作るものも含まれる。
俺はここで魔法薬屋をしている。バラッグの街の大通りから少し離れた所に店を構えている。
調子はと言うと、まぁまぁという感じである。魔法薬屋はこの街に一つしかないので、儲かっていると言えば儲かっている。
ただ、ここに来る人は第1のダンジョンから第3のダンジョンという初歩的なダンジョンから来る人が多いので、レシピは覚えているが高度な魔法薬は作っても意味がない。
高度な魔法薬とはどんなものか。それはランクによって変わる。
例えば、一般的に治癒の薬と言われるキャロウの薬はランクが☆1だ。つまり、作りやすい反面、効果は期待できない。逆に、メディッドという☆5の治癒薬はレシピが難しいが、効果はかなり期待できるものだ。
しかし、魔法薬にも適正レベルというものがあり―――レベルやHPといった類は通常は可視化されないが―――使おうとしても消えるだけで効果は表れない。
さっきも言った通り、この街に来る人は皆レベルが低いので基本的には☆1〜☆3の魔法薬しか作らない。
「...広い街だってのに...」
そう呟きながら、今日も魔法薬を作る。
今日の魔法薬→キャロウの薬×10
作ったものは商品棚に置く。