死神、降り立つ
はじめての作品です
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「撃て、撃てぇ!」
銃声と共に無数の銃弾が1人の青年に向かっていく
だがそれらは一切当たらなかった
青年は銃弾を掻い潜り大鎌を振り抜く
「やめっ、やめろっ! アァァァァ!」男たちの断末魔の叫びが響く
男たちは倒れ、死体となった、のではなくポリゴンとなって消失した
そこに警報音が鳴り響いた
「訓練終了です。被弾マーカーなし、その他外傷もありません」
オペレーターからの報告に大蔵室長は重々しくうなずいた
「先の戦いから半年がたったが問題ないようだな。鎌崎心今夜から戦線に復帰してくれ」
「了解」と青年は言った
「聞きましたか天音さん、今夜から鎌崎さんが復帰するって。」
「もちろん聞いたわよ音羽ちゃん。心君もう大丈夫みたいね」と
食堂で会話をしているのは橘天音と鈴村音羽だ
「でも間に合うんですかね? 名古屋って大和国との政権戦争中は封鎖してますよね。」
「なんとかするでしょ心君なら」
「そういうもんですか? 私、鎌崎さんとは話したことがあるだけなんでわからないですけど…。」
「そういえば鎌崎さんってどんな能力なんですか?」
「そっか音羽ちゃんは心君が戦うところは見てないんだ、えっと心君の能力はね…ってもうこんな時間、音羽ちゃん訓練始まっちゃう」
「えっ!? わぁぁ廉さんに怒られる!」
時計が13時25分のところで二人は食堂をバタバタと出ていった
訓練と言ってもやることは1つしかない
仮想空間を使った戦闘訓練だけだ
スナイパーライフルを構え、ことごとく敵を打ち倒していくのが天音だ
「全弾命中、残存兵力ありません。」
「ふぅ終わった~。」と彼女は息をつく
「音羽ちゃんはどうかな?」と視線を音羽にやる
「あれ? あぁもうっ!」と時折外しながらも音羽も訓練を終えた
「お疲れ音羽ちゃん、どうだった?」と天音は音羽に聞く
「全然ダメです、20%も残しちゃいました」と落胆する音羽
「十分だと思うけど…。」
「いやいや、これが実戦だったら大問題ですよ!」と音羽が勢いよく言う
「でも、音羽ちゃんは基本能力でのサポートがメインなんだし。」
「それでもですよ、能力に頼りきりではダメですから。」
「そっそうだね、その通りだよ。」と天音が音羽の勢いに圧されていると
「そういえば能力で思い出したんですけど、鎌崎さんの能力って何なんですか?」と音羽が質問する
「そういえば話の途中だっね、えぇっとね心君の能力は死神だよ。」
「死神ですか?」と音羽は首をかしげる
「うん、正式名は英語で【死神】って言うんだけど、後は見た方がはやいかな。」
「そうですか。」とそこで会話は終わり二人は訓練に戻った
訓練が終わり、今夜の戦闘が間近になった
「今日は何人での戦闘なんでしょうね。」と音羽が天音に聞く
「各週ごとの戦闘によって違うからなぁ。」
「大和国側との合意で決まるんでしたよね。」
政権戦争とは日本の二大勢力である新日本と大和国による、どちらが日本の政権を握るかを争う戦争である。
争いはしているが基本的には同じ国なので話し合いでその日の参加人数を決めるし制限時間もある。要は試合形式の殺し合いである。そして各週ごとの戦闘の勝利側にポイントが与えられ、最終的に多い方が次の年の政権を握るのである。ちなみに今は新日本側が政権を握っているがポイントはイーブンである。
「うん、隊長が向こう側と交渉しに行ってるよ。」
「あっちょうど戻ってきたみたい」と天音が言うと作戦室の扉がガチャっと開き隊長の氷室廉が入ってきた
「廉さん、今日は何人での戦闘ですか?」と音羽が聞く
「今夜の政権戦争は3人での戦闘だ。」と氷室が報告する
そして「メンバーは天音とサポートで音羽、そして心で行く。」と言ったところで「よっしゃ今夜はもらったぜ」などという会話がする
皆が勝利を確信しているなかで作戦室のドアがバタンと開いた
青年がすたすたと入ってくる
「心君!」「鎌崎さん!」と天音と音羽が声をあげる
「すまん、遅くなった」と皆に言う
「心、着いて早々悪いがもう始まるから準備してくれ」と廉が心に言う
心はうなずいてから天音と音羽ともに戦場へと向かった