美々茸
桃の花が咲く頃、クロちゃん神社では、ひな祭りが催されて
いた。
又べえと、親方が植えた、ひな祭り草は、お内裏様と、
お雛様、三人官女と、
右大臣、左大臣、五人囃子が、雅な楽を奏でていた。
本堂では、レア物の白いお雛様が、優雅な姿で、雅な楽を奏で
ている。
それを目当てに、沢山の観光客で、ごった返していた。
「観光客が、沢山来ているわね。」
クロちゃんビルからクロちゃんは、眺めながら言った。
「去年より人が、増えているね。」
みっちゃんが、鶴屋のお雛様どら焼きを食べながら言った。
テーブルの上には、桃のケーキ、桃カステラ、桃チョコ、桃の
シュークリーム、
桃ゼリー、桃のメロンパンと、ズラリと、お菓子が、並んで
いた。
「アマビエ様が、喜びそうなお菓子が、沢山あるのに・・・
アマビエ様、どうしているかしら・・・。」
アマビエは、仕事が、溜まっているからと、ツキビエが連れて
行って、しまったのだった。
「きっと、お仕事頑張っているんだよ。
ツキビエ様に、こき使われて、悲鳴あげてそうだね。」
星明が、言った。
テレビのニュースでは、ガザ地区のイスラエル軍の攻撃のニュ
ースが、
流れている。
「何で、あんなに、イスラエル軍は、攻撃するのかしら
病院まで、攻撃して・・・。」
クロちゃんは、悲しそうに、言った。
「イスラエルは、負けたら国を無くすと、思っているんだよ。
ローマ帝国によって滅ぼされたユダヤ人が、パレスチナを追い
出されて
2000年以上さ迷っていたんだよ。
そのユダヤ人が、アメリカの助けを借りて、作ったのが、
イスラエルだ。
日本人は、戦争に負けても国を取られる事はないと、思って
るけど、戦争に、負けるというのは、国を無くすと、いう事
なんだ。
日本だって、北方領土はロシアに取られて、済んでいた人達は、
帰れないだろう。」
星明は、言った。
「・・・そんな事情が、あったのね。
・・・アメリカも何で、イスラエルの味方なのかしら?」
クロちゃんが、尋ねると、
「アメリカは、ユダヤ人の力が、強いんだ。
ユダヤ人は、商売が上手いんで、経済界の力が強い。
アメリカの「ロスチャイルド」「ロックフェラー」
「サッスーン」「クーン・ローブ」「モルガン」
「ベクテル」「ザハロフ」が、「ユダヤ系七大財閥」
と言って、世界の経済で、大きな力を持っているんだよ。
だから、アメリカは、イスラエルの味方なんだ、金は、
強しだね。」
星明が、言うと、
「『ペンは剣より強し』て、言うけど、現実は『金は
剣より強し』なんだよ。
お金が、ないと、戦争できないからね。」
みっちゃんは、言った。
「そうね・・・でも、戦争とか、地震とか嫌なニュース
ばかりね。お正月早々、大地震あったし。」
クロちゃんが、言うと、
「地震鯰様が、怒っているのかもしれないね。
だと、すると、お供え物を持って行った方がいいかも。
東京もいつ、大地震あっても不思議はないもんね。」
みっちゃんが、言うと、
「地震鯰様が、地震を起こしているの!?」
クロちゃんが、聞くと、
「そうだよ、地震鯰様が機嫌悪くなると、大地震が起きる
んだ。
クロちゃんも格が、上がって、神社持ちの神様だから
お供え物を持って、挨拶に行った方がいいかも。
・・・問題は・・・。」
「問題は?」
「どうやって、地震鯰様の所に行くかだし、場所も移動さ
れるからどこにいるか解らないんだよ。」
みっちゃんは、考え込んだ。
「留に、相談してみようか?探知機とか、龍の戦車を改造
すれば、行けるかもしれないよ。」
星明は、言った。
「じゃあ、留の所へ、行きましょう。」
クロちゃんビルの留の仕事場では、留と、弟子の工と造が、
せっせと、ペンペン号を作っていた。
「留!精が出るわね!おやつ持って来たわ!休んだら!」
クロちゃんが言うと、
「あ!クロちゃん!おい!みんな休憩だ!」
留は、工と造に叫んだ。
「随分、ペンペン号を沢山作っているのね。」
クロちゃんが、沢山のペンペン号を見て目を丸くしている
と、
「クロちゃんのパパが、大量のアメリカの注文を受けさせ
られそうなんだよ。」
留が、渋い顔をすると、
「え!パパが?何でアメリカの注文受けるの???」
「パパは、最初は、断ってたらしいけど、日本の5倍出す
からって、押され、日本の10倍注文するから!と、押され、
もしも、有事の際の対応が、変わると、押し切られそう
だよ。
挙句の果ては、『お前は、アメリカ人だろう?愛国心は、
ないのか?』と、言われてたもんな。」
留は、ため息をついた。
「大変ね、・・・ところで、留、地震鯰様ってしってる?」
「ああ、知ってるよ、たまに、仕事を頼まれる。」
「え!知り合い!?」
「ああ、御殿の修理に行くよ。」
「じゃ、案内してくれない?東京が、大震災にならないよう
に、貢物をもって、挨拶に行くの。」
すると、留は、困った顔をして、
「でも、俺も呼ばれないと行けないんだ。
仕事が、ある時は、お呼びが来て、鯰御殿への道が、出来る
んだ。」
「あ、ドリルの付いた車とかで行く訳じゃないのね。」
クロちゃんが、尋ねると、
「今は、水道管や下水やら電線やら通ってるから
むやみやたらと、掘れないし、凄く時間かかるよ。」
留は、言った。
「それは、そうね。」
クロちゃんが、ガッカリすると、
「留、お客さんだよ。」
天鯉21号が、鯰の男の子の妖怪を連れて来た。
「初めまして、僕は、地震鯰様に使える者で、地鯰
と言います。
実は、最近、地震鯰様の好物の美々茸が、手に入り難くなった
ので、天津甕星様と、ご友人のクロちゃんに頼んで、手に入れ
ていて
欲しいとの事です、よろしくお願いします。」
地鯰は、深々と、頭を下げた。
「お土産も頂きました。」
天鯉21号は、砂金が、沢山詰まった壺を見せた。
「こんなに沢山!?いらないわ、内緒だけど、家に美々茸の
生る木があるの 分けてあげる。」
クロちゃんが言うと、
「ありがとうございます!でも土産は、御収め下さい。」
地鯰は、深々と頭を下げた。
「じゃ、美々茸の所へ行きましょう。」
クロちゃんは、笑った。
家に帰る途中、クロちゃんはパパの事が気になって、
社長室に寄る事した。
中では、パパが、中年のアメリカ人と交渉中だった。
「ですから大量注文をされても妖怪が、3人で作って
いるので、出来ません。
そうでなくても時間外労働で、かなり無理をしてくれて
ます!
アメリカならストライキを起こされてますよ!」
パパが、激しく言っている。
「もっと、人数を増やせばいいんじゃないか?」
中年のアメリカ人が、言うと、
「技術と、知識のある精鋭の妖怪達が、精魂込めて
作ってるんです!
求人サイトで、気軽に募集できないんですよ!
アメリカの英知を駆使しても作れないからこうして、
無理を言うんでしょう?
彼らだって、休んだり、遊んだりする権利があるはず
です!」
パパが、言うと、
「いいのか?危ないのは、日本だろう?中国が進攻
して来た時、アメリカの支援なく勝つ事は、
できないぞ?
よく考えてみてくれないか?ウクライナの様に、
なりたくないだろう?」
アメリカ人は、圧をかけた。
その時、クロちゃんが、ドアを開けて、入って来た。
「妖怪だって、疲れるの!無理を言わないでね!」
クロちゃんは、言った。
「おお!これは、クロちゃん、可愛いね!
あ、クロちゃんからも妖怪達に、頼んでくれないかい?
これは、日本の防衛にも関わる事だよ。
ウクライナの様に、なりたくないよね。」
中年のアメリカ人は、クロちゃんに、言った。
「妖怪達には、これ以上無理は、させらえないわ。
アメリカは、ウクライナみたいに、武器だけ渡して、
一緒に戦ってくれないかもしれないけど、
妖怪達は、一緒に戦ってくれるわ!妖怪達の方が、
大事よ。」
クロちゃんが、言うと、
「でもね、中国は、巨大な国だ、沢山のミサイル、
戦艦と、戦闘機、戦車、兵を送り込んでくるよ。
アメリカの支援無しで勝つのは、難しいと思うよ。」
アメリカ人は、言い諭す様に、クロちゃんに言った。
「その時は、留特製の地の果てまで追いかていく、
迎撃ミサイル
『フセギマース』や、龍の戦車で、上陸する前に、
撃沈させるさ。
上陸しそうになったら『アタリマース』で、ボコボコ
にするだけだ。」
星明が、強い口調で言った。
「しかしね、・・・。」
その時、ドアが開いて、おばあちゃんが、太陽の花の
鉢植えを抱えて、入って来た。
「アメリカさんが来てるって聞いたから持ってきたの。
太陽の花、素敵でしょう?輸入しませんか?」
おばあちゃんは、ニッコリと、笑った。
「おお!なんと美しい!キラキラと輝いていて、心が、
洗われるようだ・・・。
・・・クロちゃん、すまなかった。」
「え?」
「仕事とは、いえ無理を言った。
素晴らしい武器だが、作れる範囲でいいから受注させて
くれないか?」
コロリと、神妙な面持ちに、なって、クロちゃんは、
ドギマギした。
「素敵でしょう?悪の心を挫く神の花よ。
一鉢70000$で、どうかしら?」
「一鉢70000$!?」
アメリカ人は、驚愕したが、
「各国に、贈り物にしたら戦争を回避できるかもよ、
そう考えると、お安いでしょう?」
おばあちゃんが、言うと、考え込んで、
「検討する価値は、ありますね。」
そう言って、太陽の花を見入った。
「そう、検討よろしくね。」
・・・さすが、おあばあちゃん、相変わらず、商売が
上手だ。
ついでに、まるく収めてしまった。
「あら見かけない妖怪の子ね。」
「あ、地震を起こす、地震鯰様に、お仕えしている子で、
地鯰君、美々茸を分けて欲しいって、お土産持って来て
くれたの。」
「まあ、じゃあ万福商店街で、美味しい物を食べさせて
あげたら?気にいった物があれば、お土産に買ってあげ
てね。
私に、つけておいていいからよろしく頼むわね。」
おばあちゃんが言うと、
「御親切痛み入ります。」
地鯰は、軽く頭を下げた。
万福商店街に、着くと、
「あ、まず、MPK48のダンスショーを見に行かない?」
クロちゃん達は、MPK48の劇場へダンスショーを見に行
った。
華やかな衣装の華麗なるリカちゃん人形のダンス、
ヒゲ子のキレキレのダンスは、見事で、圧巻だった。
「わあ~!凄いね!こんな踊りは、初めて、見るよ。」
地鯰は、目を丸くして、喜んだ。
「次は、お化け屋敷ね!」
お化け屋敷は、案内してくれた女の人の口が、裂けて、
巨大化して、追っかけて来たり、座った椅子に喰われ
そうに、なったりと、妖怪達が、気合を入れて
脅かしてくれた。
地鯰は、真っ青に、なって、
「あ~怖った!」
「でしょう?本当の妖怪が、脅かすから評判なの!
さ、おやつをどうぞ!」
セブンスパラダイスで、チョコパフェ、プリンアラモ
ード、ミルクセーキ、パンケーキが、ずら~と、並ん
でいた。
それを地鯰は、
「美味しいね。」
全部ペロリと、食べてしまった。
「凄い!全部食べちゃった、まだ、入る?」
「入るよ!」
その後、地鯰は、たこ焼き、肉まん、お好み焼き、焼き
そば・・・等をペロリと、食べた。
「あ、クロちゃんの大好物の鰻も食べないとね。
でも、そろそろ家に帰らないと、おやつの時間だし。」
そう言って、クロちゃん達は、家に向かった。
「宝満神社を抜けて行くと、速いのよ。」
クロちゃん達は、宝満神社に入ると、桜が、チラホラ
咲き始めていた。
お祭りのような賑わいのクロちゃん神社と、違って、
人もポツリ、ポツリと、少ない。
「綺麗だね、薄紅色。」
地鯰は、桜を見て言った。
「桜は、まだ、三分咲きくらいね。」
クロちゃんは、桜並木を眺めていると、
「クロちゃん、クロちゃんだね!良かった、ここに
来れば会えると、思ったよ。」
・・・誰だっけ?クロちゃんが、考え込むと、
「ほら、以前、津波で、何もかも無くして、自殺
しょうとした所を助けてもらった、おっちゃん
だよ。」
60半ばぐらいのおっちゃんが、小さな女の子を
連れている。
「あ、あの自殺しょうとしたおっちゃん!」
「あの時は、本当に、ありがとう。
クロちゃんが、くれたお金で、工場も家も建て
直したよ。
他の工場や、お店も再建出来て、みんな助かったよ。
まだ、まだ、元通りと、いう訳には、いかないが、
それでも、少し、儲けられるようになったから
クロちゃんに、戻しに来たんだよ。」
そう言って、おっちゃんは、ビジネスバックから
札束を取り出した。
「いらないわよ!まだまだ、お金がいるでしょう?
困っている人達に、使ってあげて。」
クロちゃんが、笑うと、
「ありがとう、でも、クロちゃんに、受け取って
欲しいんだ。
みんなの感謝の気持ちだ、クロちゃんの背負ってる
リュックサックに、お金を入れると、御利益が
あると言うからね。」
そう言って、クロちゃんのリュックサックに、
札束を入れた。
「これで、少し恩を返せて、嬉しいよ。
あの時、死んでいたらこの子に、会えなかったか
らね。
な、さくら、ほらクロちゃんに、ご挨拶しなさい。」
すると、女の子は、モジモジしながら
「今日は、さくらです・・・綺麗な碧のお目目・・・
銀髪も綺麗ね。」
「え、あ、ありがとう。
さくらちゃんも可愛いわ。」
クロちゃんが、言うと、さくらは、真っ赤になった。
「可愛い!クロちゃん、モテるね。」
みっちゃん達は、冷やかした。
「仕事の取引で、上京するんで、この子に、ここの
桜を見せてやりたくて、連れて来たんだ。
クロちゃんにも会えるかもしれないからお金を用意
していたんだよ。
・・・お礼を言いたかった、ありがとう、生きてて
良かった。
クロちゃんには、感謝しきれないよ。」
おっちゃんは、ポロリと、涙を流した。
「何、言っているの!当り前の事をしただけよ。」
クロちゃんは、笑った。
「クロちゃん、折角だから桜を満開にさせようよ!
地鯰君にも見せたいし、ね。」
みっちゃんは、笑った。
「うん!任せて!」
クロちゃんは、打ち出の小槌を取り出して、踊り
始めた。
すると、桜の花が、次々と咲き始めて、満開に
なった。
「わあ~!綺麗!」
地鯰もあまりの美しさに、驚いた!
「ああ~綺麗だ!又、満開の桜を見られるなんてね。
ありがとうクロちゃん、こんな不思議な光景を二度
も見れるなんてね。」
おっちゃんは、嬉しさに、震えていた。
「あの津波って?」
地鯰が、たずねると、
「海底の下で大きな地震が発生すると、プレートの
運動によって海底が持ち上がってね、
海面も変動し、大きな波となって広がるんだよ。
津波が、大きいと、人間や、人間の作った物は、
ひとたまりもなく飲み込まれてしまうんだ。
あのおっちゃんも家族も家も津波に、飲み込まれて、
全てをなくしたんだ。」
星明が、言うと、
「・・・地震は、大変なんだね。」
地鯰は、呟いた。
「そうなんだけど、悪い事ばかりじゃないよ。
地震も自然として、大きな目で見ると、地形が
変わる事で、湖が出来たり、平地が出来たり、
温泉や湧水がわいたりするからね。」
星明は、言った。
「悪い事ばかりじゃなんだね。」
地鯰がちょっと安心すると、
「でも、クロちゃん達みたいな小さな存在には、
大災害なの。
だから地震鯰様に、地震を起こさないで、お願い
したいの。」
クロちゃんは、言った。
そして、おっちゃんの方を向いて、
「クロちゃん、そろそろ帰らないと、駄目なの。
会えて嬉しかったわ!
おっちゃん、さくらちゃん、又、来てね。」
「うん、又、来るね。」
さくらちゃんと、おっちゃんは、手を振って、
見送った。
クロちゃん達は、宝満神社を後にした。
「あら、クロちゃん、見かけない子ね、お友達?」
ママは、地鯰を見て言った。
「初めまして、御母堂様ですか、僕は、地震鯰様に
お仕え
している者で地鯰と、申します。
よろしくお願いします。」
地鯰は、会釈をした。
「地震鯰様の好物の美々茸を分けて貰いに来たの。」
クロちゃんが、言うと、
「じゃあ 美々茸のお料理作るわね。」
そう言って、星華ちゃん、小梅ちゃんと、美々茸
料理を作り始めた。
しばらくすると、テーブルには、美々茸料理が、
ズラリと、並んだ。
「沢山、食べてね。」
ママが言うと、
「わあ~!美味しそうですね。
お言葉に甘えて、頂きます。」
地鯰は、嬉しそうに食べ始めた。
地鯰は、焼いた美々茸を一口食べた。
「これ、凄く美味しい!」
「それは、鰻のタレを付けて焼いたのよ。」
ママが、言った。
「そう言えば、美々茸は、食感は違うけど、鰻に、
味が似てるのよね。
こっちは、クロちゃんの好物の鰻の蒲焼よ、食べて
みて。」
クロちゃんが、そう言って、鰻の蒲焼を地鯰に勧
めた。
「あ、確かに味似てるね。
・・・でもこの美々茸は、少し、味が違うね。
独特の苦みというか、エグミがないね、食べやすい
けど、地震鯰様は、どうかな?」
地鯰は、考え込んだ。
「あ、そう言えば、本当の美々茸を食べた事は、
1回しかないわ。」
クロちゃんは、ハタと、気が付いた。
食べ慣れてると、違いがわかるのかもしれない。
「高級食材で、誰も食べれる物ではないですからね。
アマビエ様なら食べ慣れていらっしゃるでしょうが、
いらっしゃらないし。」
星華が、言った。
「え、そうなんだ・・・。
実は、コレは、本当の美々茸じゃないの。」
クロちゃんが、言うと、
「え!そうなの?じゃコレは?」
地鯰が、たずねると、
「又べえが、作った類似品なの。
本当の美々茸は、妖怪を捕まえて食べる食妖植物なの。
だから退治しちゃって、本当の美々茸は、
もう手に入らないの。」
クロちゃんは、言いにくそうに言った。
「地震鯰様に、なんて言ったら・・・。
最近機嫌が、悪いのに・・・。」
地鯰は、困り果ててしまった。
「訳を話して、解ってもらったらどうかしら?」
クロちゃんが、言うと、
「どうかな・・・。」
ションボリしている。
「天津甕星の国に、行ったらまだ、あの食妖植物いる
かな?」
みっちゃんが、言った。
「解らないし、それならこの又べえが、作った美々茸
を食べてもらったらどうかしら?
他の神様は、特に、何も言ってなかったし。」
クロちゃんはが、言うと、
「どうでしょう・・・でも、このまま手ぶらで、帰る
訳にいきませんし。」
「じゃ、次の土曜に、行きましょう。」
こうして、地震鯰様の所へ行く事になった。
土曜の昼下がり、地鯰は、庭で地面に向かって、祈り
始めた。
すると、扉が出て来て、扉が開いた。
「これが、地震鯰御殿への道です、さあ、
行きましょう。」
地鯰が、言った。
中は、虹色、ふんわり輝いて綺麗だった。
「わあ~!綺麗ね。」
クロちゃん達は、虹色の道をテクテクと、
地震鯰御殿へ向かった。
「最近、大きな地震が、多いでしょう。
地震鯰様のご機嫌が、悪いせいなんですよ。」
地鯰が、言った。
「え!機嫌損ねると、又、大地震が、来るの!?」
クロちゃんが、驚いて言うと、
「そうなんです、だから大好物の美々茸を食べて、
ご機嫌を直してもらおうと、思ったのですが・・・
類似品で、大丈夫でしょうか・・・。」
「クロちゃん達も本物を一度食べた事が、あるけど、
区別が、つかなかったの。
でも、地鯰君は、解るのね。」
「僕は、地震鯰様の毒見役なんだ。」
「そうなんだ、じゃ舌も肥えてるわね。」
「うん、口に合わないと、暴れて大きな地震を
おこされるんだ。」
「え!そうなの!?絶対、口に合わない物
食べされられないわね。」
・・・お土産口に合うかしら?
テクテク歩いていくと、大きな御殿が見えた。
「あれが、鯰御殿だよ。」
そういって、地鯰は、中に案内した。
中は、アンティーク調の壁や床で、落ち着いた感じ
だった。
「地震鯰様は、こちらだよ。」
大きな扉が、開かれ、中には、ド~ンと大きな鯰が
いた。
「お前がクロちゃんか、美々茸を分けてくれて
ありがとう。
儂は、これが大好物なんじゃ。」
そう言って、地震鯰様は、美々茸をパクリと食べた。
・・・にっこりして・・・微妙な顔をした。
「確かに、美々茸なんじゃが、あの独特の苦みと
いうか、エグミがないのう・・・。」
ちょっと、不機嫌になった。
「ごめんなさい、実は、それは・・・類似品なの。
本物は、妖怪を捕まえて食べる食妖植物なんで、
退治してしまって、もう、本物は手に入らないの。
・・・この砂金は、返します。」
クロちゃんは、そう言うと、みっちゃんが、砂金の
壺を返した。
すると、地震鯰は、みるみる顔色が、変わった!
「何て事をしてくれた!儂は、コレが大好物なのに!
妖怪くらい餌に、くれてやれ!」
すると、周りが、グラグラと、揺れ始めた。
・・・や、やばい!
「まだ、天津甕星の国に、美々茸が、生える
食妖植物が、生き残っているかもしれないし、
探しにいくわ。」
クロちゃんが、言うと、地震鯰はピタッと、動きを
止めて、
「そうか、楽しみに待っているぞ。」
と、機嫌よく地震鯰は言った。
「任せて・・・。」
クロちゃんは、鈍い返事をした。
「・・・どうしょう。」
クロちゃんは、頭を抱えていた。
テレビから四国の地震の速報が、流れていた。
「あの地震は、クロちゃん達が、地震鯰様のご機嫌を
悪くしたせいね。」
クロちゃんは、深いため息をついた。
「アマビエ様ならどうしたかしら・・・。」
「きっと、にがりとか、適当にふりかけて、
『コレでよし!』だと思うよ。」
みっちゃんが、笑った。
「やりそう、ズルは得意だもんね。
・・・でも匙加減が、わからないわ・・・。
下手して、大地震は、困るもの。」
「天津甕星の国に行って、あの食妖植物を捜してみる
しかないね。」
星明が言った。
「ついでに、アマビエ様の家に行って、様子見て
来よう。」
みっちゃんが、クロちゃんの肩をポン!と、叩いて
笑った。
水神池のアマビエの家では、アマビエが、憔悴して
いた。
領地の状況の書類を見ながらツキビエが、テレパシ
ーで、
ガンガン情報を送っていた。
「あ~少し休もう、もう何日もこういう作業だし、
疲れてしまった。」
アマビエが、弱弱しくいうと、
「明日から水神の依頼の仕事で、出張だ。
今日中に終わらせないと、いけない。」
ツキビエは、怖い顔をしてアマビエを睨んだ。
「は~い・・・。」
アマビエは、蛇に睨まれた蛙状態である。
その時、ドアが開いて、ユキビエがクロちゃん達
を連れて来た。
「今日はアマビエ様、凄く疲れているわね。」
「そうなんだ、ツキビエがこき使うから我は、
過労死寸前だ。」
アマビエは、力なく言った。
「私もずっとお前に、付き合ってる!
ランクは、お前の方が高いのに、何でそんなにヘタレ
なんだ!」
ツキビエが、冷たく言うと、
「お前のランクで、何でそんなにタフなんだ?謎だ?
クロちゃん、お土産に、美味しいお菓子を持って来て
くれたか?」
「苺大福と、苺どら焼き、いちごショートケーキ、
シュークリーム
をもらいました。」
ユキビエは、貰った菓子をテーブルに並べた。
「やった!おやつタイムだ!」
アマビエは、お菓子を食べ始めた。
「あの・・・アマビエ様、相談したい事があるの。」
クロちゃんが、切り出すと。
「あ、美々茸の件か?天鯉(2号)にーちゃんから
連絡が、きてる。」
「え!そうなの!?凄い!」
「我は、何度も美々茸を食べているが、あの独特の
苦みやエグミのない又べえの作った美々茸の方が、
旨いぞ。
・・・思うに、あの苦みやエグミは、喰われた妖怪
の苦しみや悲しみの味なんじゃないかな。」
「え!そんな・・・じゃもう無理だわ。」
クロちゃんが、ショゲると、
「方法が一つある。」
アマビエが言った。
「え!あるの!」
「あ~手っ取り早く、又べえの作った美々茸が、
生る木に、
死刑囚の妖怪を食わせればいいだ。」
アマビエが、シレっと言った。
「だ、駄目よ!そんなの駄目!」
「いいのか?死刑囚は、どうせ死刑だぞ?
都心に、大地震が来たらクロちゃんもクロちゃんの
家族もタダじゃすまないかもしてないぞ?」
「そんな・・・でも死刑囚でも何のうらみもない
妖怪を犠牲になんて・・・できないわ。」
クロちゃんが、困っていると、
「じゃ恨みのある相手ならどうだ?
ほら クロちゃんを殺そうとしたジャリビエは、
どうだ?長の権限で、餌にできるぞ。」
アマビエは、シレッと言った。
「駄目よ!後味が悪いわ!」
クロちゃんは、慌てた。
「ま、クロちゃんはそうだな・・・・。
天津甕星の所へ行くんだろう?妖怪の恨みつらみが、
集まっている場所を教えてもらって、美々茸に
味付けしたらどうだ?
たぶん、妖怪の悲しみや苦しみが、地震鯰様は、
美味しいんだろう。」
「何だか、地震鯰様は、嫌な感じね。」
クロちゃんが、呟くと、
「日本の神様は、祟り神が多い。
お供えをして、祟らないで下さいとお願いする事が、
多いらしいからな。
神様としては、普通だ。」
アマビエは、言った。
「ええ!そうなの!?怖い物なのね。」
クロちゃんが、驚いていると、
「すまないが、クロちゃん、アマビエは、仕事が
てんこ盛りだ。
そろそろ仕事をさせないといけない、
悪いが、天津甕星の所へは、一緒に行って
あげられないよ。」
ツキビエが、申し訳なさそうに言った。
「あ、いいのよ。久しぶりに、アマビエ様に会えて
良かったわ。
それじゃ、天津甕星の国へ行って来ます。」
そういって、クロちゃんが部屋を出ようとすると、
「お~い!クロちゃん!上手くいかないときは、
ジャリビエを餌にするから安心して、いいぞ!」
アマビエは、優しく叫んだ。
「・・・そうならないように、頑張るわ。」
そう言って、クロちゃん達は、天津甕星の国へ
向かった。
天津甕星の国は、来るたびに、緑は青々として、
美しい花が、咲き乱れていた。
「ここ来る度に、綺麗になって行くわね。」
クロちゃんが、言うと、
「クロちゃん効果で、悪い物が、一掃されたからね。」
みっちゃんが、笑った。
そうしていると、天津甕星の城が、見えて来た。
前より増築されて、大きく、美しくなっている。
クロちゃん達は、城の前に、降り立った。
そして、城の中に案内された。
「やあ、クロちゃん、いらっしゃい!沢山お菓子と、
果物を用意したよ。」
天津甕星は、愛想よく、大歓迎してくれた。
「お城、随分大きくなったのね。」
「沢山、作物が取れるようになったんだよ。
すると、鉱物やらエネルギー資源も沢山採れるようにな
って、税金も沢山徴収できるように、なったんだよ。
水神池からも技師や研究者が、来て、あれよあれよと、
言う間に、発展したんだ。」
嬉しそうに、天津甕星は、言った。
「あの・・・実は、地震鯰様が、大地震を起こさない
ように、ご機嫌を取るために、美々茸が、いるの。
どこかに、美々茸が、生えてる所を知らない?」
クロちゃんが、言うと、
「この間、クロちゃんが退治したからもういないよ。
それに、又べえが作った美々茸の方が、苦みやエグミが
なくなって美味しいじゃないか。」
「え!又べえの作った美々茸の方が美味しいの!?」
「もちろんだよ。」
「地震鯰様は、本物の方が、美味しいって、
怒ったの・・・で、本物を捜しに来たんだけど・・・。」
クロちゃんが、困った様にいうと、
「もう、クロちゃん達が退治したら美々茸の生る木はな
いよ。」
「やっぱり・・・じゃ妖怪の恨みつらみが、集まって
いる場所を教えてもらえないかしら。
それで、美々茸を味付けようと思うの。」
すると、天津甕星は、困ったような顔をして、
クロちゃんが、太陽の花を沢山植えてくれたから
そんな場所は、無くなったよ。」
「そんな・・・どうしょう。」
「地震鯰は悪食だね、そもそも何で不味い方が、
いいんだろう?
心が穢れているんだろうね。
案外、地震鯰御殿には、そういう嫌な場所が、
あるかもしれない。」
天津甕星が言うと、
「あ、確かに、仕えている周りの妖怪達は、
怯えていたわ。」
クロちゃんは、地鯰達を思い浮かべた。
「じゃ、地震鯰御殿の所へ戻って、探してみるわ!」
クロちゃんが、引き返そうと、すると、
「クロちゃん、食べないならこのお菓子を持って
帰ると、いいよ。
お土産に、野菜や果物も持って行くと、いいよ。」
クロちゃん達は、沢山野菜や果物を貰った。
「ありがとう!又、来るわね~!」
クロちゃん達は、手を振って、天津甕星の国を後にした。
クロちゃん達は、お土産を置いてくる為、一旦、家に
帰る事にした。
「まあ!珍しい、野菜や果物や、お米や、小麦、お豆ね。」
おばあちゃんが、喜んだ。
「天津甕星に貰ったの これで、何か美味しい物
作れる?地震鯰様へのお土産にしたいの。」
クロちゃんが言うと、
「頑張ってみるわ!鶴ちゃんや、亀ちゃんや、山田パン屋の
ご主人にも頼んでみるわ。」
そう言うと、おばあちゃんは、タロベエをお供に、
珍しい、野菜や果物や、お米や、小麦来粉、お豆を
持って、出て行った。
ママ達もお料理やお菓子を考え始めた。
そして、星華は、天津甕星に貰ったお菓子の箱を
開いた。
中には、ふよふよ、ぷるぷるした透明のゼリーのような
お菓子で、中には沢山の小さな花と、赤い蜜が、入って
いた。
一口食べると、口の中で、透明なふよふよぷるぷるは、
サッと、溶けて、口の中に、甘い花と、果物の香りが、
広がった。
「綺麗で、美味しいわね。」
クロちゃんが、驚くと、
「これは、水を味わうお菓子だよ。
水神池の美味しいお水と、それで、育まれた、花と、果物
の融合だね。」
みっちゃんが言うと、
「水神様の恵みと、技術で、作ったお菓子か・・・
天津甕星は、水神池と、仲良くしているって事なのね。
・・・これ、太陽の花を入れて作ったら綺麗よね。」
クロちゃんは、言った。
「あ、それいいかも・・・でも太陽の花は、食べても
大丈夫なの?星明。」
みっちゃんが、言うと、
「別に、毒もなし、大丈夫だと思うよ。」
星明が言うと、
「太陽の花は、、マンゴーに似た味がして、旨いぞ。」
又べえが、言った。
「え!食べたの!?」
「ああ、いい匂いだったんで美味いかなと、思ってな。」
クロちゃんは、太陽の花の花びらをちぎって食べた。
「あ、甘いし、いい香り、果物と花を混ぜた様な・・・
マンゴーぽい。」
クロちゃんは、驚いた。
「高い観賞用の花を食べるなんて、又べえしかしないよ。」
みっちゃんが、笑った。
「これ、鶴ちゃんに頼んで、太陽の花バージョンを
作って貰おう。
ママ達もこの太陽の花をケーキに、飾ってね。」
クロちゃんは、明るく言った。
「クロちゃん、任せて、美味しいの作るわね。」
ママ達は、ケーキを作り始めた。
「綾小路の大奥さん、初めての食材だね。」
山田パン屋のおっちゃんは、珍しい、野菜や果物や、お米や、
小麦粉、お豆を眺めて言った。
「クロちゃんが、地震鯰様へのお土産に、美味しい物を
持って行きたいらしいの。
何か美味しい物を作って貰えないかしら。」
おばあちゃんが、頼むと、
「クロちゃんの頼みだ!任せてくれ!」
そう言って、山田パン屋のおっちゃんは、パンを作り
始めた。
「これは、珍しい食材だ。」
鶴屋で、鶴ちゃん、亀ちゃん、一之介が、食材を眺めて
言った。
「クロちゃんが、地震鯰様へのお土産に、美味しい物を
持って行きたいらしいの。
何か美味しい物を作って貰えないかしら。」
おばあちゃんが、頼むと、
「任せとけ!」
みんなは、食材を握りしめて、自分の店へ持って帰った。
すると、
「鶴ちゃん、お願いがあるの」
クロちゃん達が、やって来た。
「あ、クロちゃん、地震鯰様へのお土産は、今から
作ろうとしてところだよ。」
「あ、それとは別に、作って貰いたい物があるの。
このお菓子の太陽の花バージョンを作って欲しいの。」
クロちゃんは、天津甕星に貰ったお菓子の箱を
開いた。
「あ、綺麗な菓子だな。
食べるよ。」
鶴ちゃんは、一口食べて、
「美味い!なるほど、解った!すぐ作るね。
出来たらクロちゃんン家に届けるよ、待っててくれ。」
そう言って、鶴ちゃんは、お菓子を作り始めた。
「クロちゃん、出来たわよ。」
ママ達が、太陽の花の花びらをあしらったケーキを作った。
大きな花の様に見える。
「綺麗ね、キラキラ花びらが、輝いているわ。」
すると、亀ちゃんが、綺麗な最中を持って来た。
「ほら、最中の中は、綺麗な色の餡と、カステラと、
太陽の花を入れたぞ。」
「わあ~この餡、フルーティーな香り!
この餡のお豆は、フルーティーなのね。」
「クロちゃん、ほら水を生かしたお菓子だよ。
中は、太陽の花の花びらと、蜜が入ってる。」
鶴ちゃんは、クロちゃんにお菓子の皿を渡した。
「わあ~!す~っと溶けて、美味しい!凄くいい香りと
甘さが、残るわ。」
「クロちゃん、俺は、特製幕の内弁当だ。
クロちゃんの持って来た材料と、俺の自慢の料理の
詰め合わせだ。」
一之介は、三段お重のお弁当をクロちゃんに、渡した。
「ありがとう!コレ凄くおいしそう。」
クロちゃんが喜ぶと、
「亀屋自慢のカステラに、このフルーティーな豆の
餡を挟んで、最中の皮の中に入れたんだ。」
亀ちゃんは、カステラ最中をクロちゃんに、渡した。
「コレ、絶対美味しいね!カステラに、フルーティーな
豆の餡、サクサク最中が、最高!」
クロちゃんは、カステラ最中を食べながら言った。
すると、
「クロちゃん!あのフルーティーな豆のあんぱんだよ、
こっちは、ドレッシングで合えて、ハムも挟んだ
サンドイッチだよ。」
山田パン屋のおっちゃんは、クロちゃんに、パンと、
サンドイッチを渡した。
「ありがとう!2つとも食べた事ない感じだけど、
凄く美味しい!」
クロちゃんが、驚くと、
「はい、クロちゃん、八に頼んで、鰻の蒲焼を焼いて
貰ったわ。」
おばあちゃんは、鰻の蒲焼の包をクロちゃんに、渡した。
「ありがとう、おばあちゃん。」
鰻の蒲焼を受け取って、クロちゃん達は、庭に行き
「地震鯰様、鯰御殿への道を開いて下さい。」
クロちゃんは、一生懸命祈った・・・・が、道は、
開かれない。
「駄目だわ・・・、どうしょう。」
クロちゃんが、困っていると、
「地震鯰様、とびきりの御馳走を用意しました、
道を開いて下さい!」
アマビエが、叫んだ。
「え!アマビエ様!どうして!?」
「時間制限付きで、ツキビエに許可を貰った。」
アマビエの後ろでは、不機嫌そうに、ツキビエが、
立っていた。すると、いきなり扉が現れ、開いた。
「さあ、皆、馬鯉に跨れ!行くぞ!」
アマビエが言うと、クロちゃん達は馬鯉に跨り、
虹色の道を進んで、鯰御殿へ向かった。
鯰御殿の奥では地震鯰が、御馳走を楽しみに、待ち構えて
いた。
「おお!クロちゃん、待ちかねたぞ!素晴らしい御馳走とは、
美々茸の事だろう!」
地震鯰が、舌なめずりすると、
「いいえ、クロちゃんの家族と、友達が作ってくれた
御馳走よ。
凄く美味しいの!ね、食べて!」
クロちゃん達は、御馳走をズラリと、並べた。
すると、地震鯰は不機嫌そうに、
「こんな物は、いらん!美々茸を持って来い!」
「美々茸は、持って来たわ!今から最後の味付けを
しないと、いけないの。
地鯰君を借りるわね、その間、この御馳走を食べて
待っていて。」
クロちゃんが、言うと、
「しかたないのう・・・。」
地震鯰は、渋々御馳走を食べ始めた。
「さ、この竜神様の酒もどうぞ。」
ツキビエが、水神様の酒を盃に、注ぎ始めた。
「ツキビエは、神様を転がすのが上手いんだ。
ほら、地震鯰様は上機嫌だ、今の内に、妖怪達の恨み
つらみの溜まった場所に、行くぞ。
さ、地鯰、案内しろ。」
アマビエが、ニタリと笑った。
「妖怪達の恨みつらみの溜まった場所って?」
地鯰が、首を傾げた。
「地震鯰様の料理を作っている所、もしくは、材料の所だ。
ああいうのは、気に入らないヤツを食べたりするだろう?」
アマビエが、言うと、
「よく、御存じですね。」
地鯰が、言った。
「食べるの!?」
クロちゃんが驚くと、
「地震鯰様は、そういうタイプの神様だ。
苦しんで死んだ、妖怪の怨念が、溜まった場所が絶対ある。
その怨念で、この美々茸を味付けたら完成だ。」
アマビエが、ドヤ顔で言った。
「では、案内します。」
地鯰は、クロちゃん達を食料保存庫へ案内した。
「あ、あそこです。」
食料保存庫に、近づくと、中から禍々しい気配がした。
「なに、この嫌な感じ・・・。」
クロちゃんは、思わず怯んだ。
「思った以上に、禍々しいな。」
アマビエは、眉をひそめた。
「入ります!」
地鯰が扉を開けると、そこには、禍々しい大きな鯰
の妖怪が、仁王立ちしていた。
「はっ!妖怪!」
クロちゃん達と、アマビエが、攻撃しようとすると、
「あ、待って下さい!あれは、ここの料理長の|
血鯰さんです。
「え!?」
クロちゃん達は、まじまじと地鯰を見た、どう見ても
悪そうである。
「驚かしてごめんなさい、クロちゃんです。
怖い悪い妖怪かと思ったの。」
クロちゃんが謝ると、
「・・・それは、間違いではないです。
地震鯰様の機嫌を損ねた妖怪を問答無用で、殺して
料理されますから。」
言いにくそうに、地鯰は言った。
「今日の夕飯は、お前達かあ~。」
血鯰は、ニタリと、笑って舌なめずりをした。
あまりの怖さにぞっとした。
「クロちゃん達は、美々茸に、妖怪達の恨みつらみ
の味付けをするために、いらしたので、料理しては、駄目です。」
慌てて地鯰が、言った。
「お!美々茸が手に入ったのか!?」
血鯰が、聞くと、
「はい、でも、この美々茸は、苦みやエグミがないらしくて、
地震鯰様は、気に入らないの。」
クロちゃんが、美々茸を差し出すと、血鯰は、それを少し
ちぎって食べた。
「確かに美々茸、クセがなくて食べやすい!?」
血鯰は、驚いた。
「血鯰さんもこっちの方が、おいしいの?」
クロちゃんが、尋ねると、
「ああ、あの苦みやエグミは、妖怪の恨みつらみの
味だったのか・・・なるほど。」
血鯰は、呟いた。
「では、恨みつらみの味付けをしょう。
こっちに来い。」
血鯰は、そう言って、クロちゃん達を奥の食品貯蔵庫へ
案内した。
「ここが、一番禍々しい食材を置いている所だ。」
血鯰が言うと、
ドアの前からゾッとするような禍々しい感じがした。
「・・・なんか嫌な感じだが、行ってみよう。
で、どんな食材なんだ?」
アマビエが聞くと、
「地震で亡くなった者達の怨念だ。」
「!?めっちゃヤバいもんじゃないか!」
アマビエは、眉をしかめた。
「怖いか?俺は、毎日扱ってるから平気だが。」
血鯰は、鼻先で笑った。
「血鯰みたいに、穢れてるようなヤツは、平気だろうが、
クロちゃんには、良くないと思う。
我が中に入って、取ってくるからクロちゃんは、
ここで、待ってろ。」
「え!アマビエ様だけで大丈夫なの?」
クロちゃんが、心配そうに聞くと、
「大丈夫だ、これでも神だぞ。」
アマビエは、ニッと笑った。
「あ、そうね、アマビエ様は強いもの。」
「そういう事、じゃ、ここで、良い子で待ってろ。」
そう言って、アマビエは地鯰と、ドアを開いて中へ
入って行った。
すると、ド、ド~ン!!と、物凄い音がして、
アマビエの怒号が聞こえた!
「アマビエ様、頑張っているわね。」
「アマビエ様は、強いからね、そろそろ出てくるかな?」
と、みっちゃんと話していると、
急に、静かになった。
「・・・ちょっと、様子見に行く?」
クロちゃん達は、心配になってドアを開いて、
中に入って行った。
中は、真っ暗で、スマホの明かりを頼りに、歩いて
行くと、血鯰が倒れていた。
「血鯰さん、どうしたの?」
「う、う、う・・・・アイツ、憑りつかれやがった・・・。
攻撃されて・・・。」
「え!?攻撃って、アマビエ様は?」
「ク、クロちゃん!後ろ!」
「え!?」
振り向くと、鬼の形相のアマビエが、立っていて、
物凄い勢いで、攻撃してきた!
「アマビエ様!全然大丈夫じゃないじゃない!」
クロちゃん達は、一斉に、逃げた。
が、すぐ追いつかれ、鬼の形相のアマビエが、攻撃してきた!
アマビエの連続攻撃がさく裂した!
クロちゃんは、ギリギリで、避けたが、アマビエの刀を
みっちゃんは、刀で受けた!
カ~ン!ドサッ!叩きのめされてしまった。
「クロちゃんを狙っている!?
・・・地鯰君!急いで、ツキビエさんを呼んで来て!
クロちゃんが、アマビエ様を引き付けるから!
急いで!」
クロちゃんが、叫ぶと、
「わ、わかった!」
血鯰は、必死で走って、助けを呼びに行った。
クロちゃんは、避けまくったが、物凄い勢いで、アマビエは、
攻撃する!
「はあ、はあ・・・もう、無理!どうしょう・・・。」
クロちゃんは、逃げて、逃げて、やっとドアを開いて、
食品貯蔵庫の外に出た。
振り向くと、アマビエが、禍々しい怨念を纏って
黒く、ドロドロとしていた。
ヨダレをたらして、ギラギラの血走った目!
あまりの怖さに、クロちゃんは、ひきつった。
「天ちゃん!たっちゃん!助けて~!」
クロちゃんは、叫びながら必死で逃げた。
すると、
「クロちゃん!大丈夫か!?」
ツキビエが、走って来た!
「はあ、はあ、ツキビエさん、助かった・・・。」
ツキビエと、アマビエの激しい打ち合いが、始まった。
クロちゃんが、へたり込むと、
「おい!クロちゃん、応戦してくれ!」
「え!無理!」
クロちゃんが、ひきつると、
「私より、アマビエの方が、強い!このままだと、
私は、負かされ、又、クロちゃんを追いかける!
みんなも応戦してくれ!」
ツキビエが、叫んだ!
「え~・・・」
クロちゃんは、ヘトヘトながらアマビエに、向かって行った。
アマビエは、鬼のような強さだった。
ツキビエはの刀から矢が出て、一斉にアマビエを攻撃した!
アマビエは、次々に矢をはじいた。
次はマシンガンが出て、アマビエを攻撃した!
が、全部、刀に弾き飛ばされた。
と、次々に、攻撃をかわして、攻撃してくるのだ。
・・・確かに、ツキビエさんより強いわ。
「・・・どうしたらアマビエ様を元に戻せるのかしら
・・・。」
クロちゃんが、言うと、
「とにかく、クロちゃんに、アマビエをひきつけてくれ!」
ツキビエは、叫んだ。
「はい!」
クロちゃんは、必死で逃げた!避けて避けて、逃げまくっ
たが、遂に、アマビエの剣が、クロちゃんを襲った!
・・・もう・・・駄目・・・・。
バシッ!!!気が付くと、クロちゃんの蹴りが、アマビエの
ほほに、決まった!
・・・え??自分の方を見てみると、牡丹マンに、変身していた。
すると、ツキビエの刀から、鎖の網が出て、アマビエを
捕獲した。
「よくやった、クロちゃん!
とりあえず、アマビエを連れていくか。」
そのまま網は、アマビエをきつく縛り、それをツキビエは、
ズルズルと、引きずって行った。
広間に着くと、地震鯰は、クロちゃんのお土産を肴に、
水神様のお酒を飲んで、上機嫌だった。
「美々茸に、地震で亡くなった者達の怨念を加えて
焼きました、どうぞ。」
血鯰は、美々茸を地震鯰に、差し出した。
「おお!待っていたぞ!」
一口食べて、地震鯰は怪訝な顔をした。
「美味しくない・・・。」
「え?何で?」
「微妙な苦みと、エグミがある。」
「え?」
クロちゃんが、困った顔をすると、
「こちらが、地震で亡くなった者達の怨念を加えて
ない美々茸です。」
血鯰は、美々茸を差し出した。
「おお!今まで食べた、美々茸の中で、一番美味い!」
地震鯰は、大喜びで、美々茸を食べた。
「何で?」
クロちゃんが、ポカンとしていると、
「竜神様の酒と、太陽の花料理と、太陽の花で、
浄化されたんだよ。」
ツキビエは、言った。
周りを見ると、親方と、又べえが、せっせと、太陽の花を
植えている。
「そうだったの。」
クロちゃんは、ホッとした。
「あ、アマビエ様は?」
「今、水神様の水を飲ましているよ。」
ツキビエが、目くばせした方には、
アマビエが口に、ホースを突っ込まれ、ホースの先には
水瓶があり、どんどん、無理やり水を飲ませていた。
「アマビエは、なかなか腹黒い所があるから
憑りつかれたんだろうな。
しばらくああしてれば、清められる。」
ツキビエは、笑った。
「クロちゃん、こっちへ。」
地震鯰が、鰭で、手招きして、行ってみると、
ピカッと!光った。
「美味しいお土産のお礼に、儂の力を授けた。
中国やロシアが攻めて来たらM8の地震を北京と、
モスクワに、地震を起こせば、勝てるぞ。」
地震鯰は、ドヤ顔で、言った。
「そんな怖い力いらないわ!」
クロちゃんが、慌てると、
「神様からの頂きものだ、その力で、助かる事が、
あるかもしれない。有難く頂くといい。」
ツキビエは、クロちゃんの頭を撫でた。
・・・M8なんて、メチャ危険な兵器なんだけど・・・。
「・・・クロちゃん、良かったな・・・。
地震は、核じゃないから放射能汚染の心配は、ないから
中国と、ロシアが、攻めて来たらアイツの国を大地震で、
粉砕してやれ、大勝利は、確実だ。」
アマビエが、ホースをペッと、吐き出して、呟いた。
「あ、アマビエ様!浄化されたの?」
「ああ、心配かけたな、もう大丈夫だ。」
ツキビエは、アマビエの誡めを解いた。
「もう、あんなに、憑りつかれて、情けない!
面倒をかけるな!帰るぞ。」
ツキビエが、言った。
「ああ、面目ない・・・帰ろう。」
アマビエが話していると、
「地震鯰様、俺は、又べえ、クロちゃんの眷族だ。
俺は、弱い妖怪だけど、クロちゃんを助けたい。
沢山の神様から力を分けて貰ったので、地震鯰様も
力を下さい。」
又べえが、又おねだりしていた。
「よし、コレやる!クロちゃんの力に、なってやれ。」
小さな鯰の根付けをくれた。
「ありがとうございます。
コレどうやって使ったらいいのですか?」
「その時に、なったら解る。」
地震鯰は、言った。
「ありがとうございます。
あと、神玉も分けて頂けたら。」
・・・それは、さすがに・・・。
「ホレ!鯰玉だ。」
地震鯰は、50個の鯰の形をした、黒い鯰玉をくれた。
・・・くれるんだ・・・流石、又べえ・・・
いい神経をしている・・・言ってみるもんね。
クロちゃんは、感心した。
「じゃあ、親方、又べえ、太陽の花は、撤収してくれ。」
アマビエは、言った。
「え!?何で?」
「地震鯰様の事をちょっと、調べたんだ。
地震鯰様は、地震を起こして、地震で亡くなった者達の
怨念を食べて、浄化されるんだ。
だから悪食なんだよ、だから水神様の酒と、太陽の花で、
浄化して、一時的に悪食を治したんだよ。」
ツキビエは、クロちゃんに囁いた。
「・・・そうか・・・悪い事ばかりじゃないのね。
わざわざ、調べてくれて、ありがとうございます。」
クロちゃんは、ニコッと、笑った。
「どういたしまして。」
ツキビエは、クロちゃんの頭を撫でた。
クロちゃんの家に、帰ると、アマビエは、お菓子を
食べまくった。
「美味しいなあ!流石おばあちゃんのいちごケーキ!
パンケーキも生クリームと、いちごがたっぷり!
いちご大福もいちごカステラも旨い!」
「それ、食べたら、水神様の仕事に行くぞ。」
ツキビエが、不機嫌そうに、見ていた。
その時、アマビエが、
「おい、沢山のロシア妖怪が、海を渡って、北海道
に、向かっていると、天鯉1号から
今、連絡が入った!行くぞ!馬鯉!クロちゃんビルまで
頼む!」
アマビエは、そう言って、みんなを馬鯉に乗せて、
クロちゃんビルに、向かった。
クロちゃんビルの指令室では、留と、天鯉部隊、平癒マン達
が、集まって、海カッパから送れてきた、
龍の戦車が、撮影した画像を見ていた。
「ものすごい数だな!とても海カッパ達だけじゃ無理だ。
見ろ、あの大きなエイの妖怪の頭の所にいるヤツ!」
大きなエイの妖怪の上に、小柄な頭が剥げている白熊
をアマビエは、指さした。
「コイツは、ハゲ白クマだ!」
「あれがハゲ白熊、なんか悪そうな顔してるわ。」
クロちゃんは、言った。
「おい!応戦しにいくぞ!」
アマビエの号令で、クロちゃん達は出動した。
オホーツク海では、大きな船が、沢山の妖怪を乗せて、
日本に向かっていた。
その上空に、海カッパ達が、龍の戦車で現れた。
「おい!ここから先は、俺達の領土だ!
勝手に入るな!」
海カッパは、怒鳴った!
「北海道に住むアイヌ人は、ロシア人だ!北海道は、ロシアの
俺達の領土だ!」
「勝手に、自分達の領土にするな!
それに、ロシア人になりたいアイヌ人は、いないぞ!
これ以上近づくと、攻撃する!」
ドド~ン!龍の戦車の口から出た、火の玉が大きな船に
当たった!
しかし、船はビクともしなかった。
「そんなものか、ワハハハハ!」
ハゲ白熊は、不敵に笑った。
その時、火の玉がロシア妖怪の船に、当たった!
船は、大きな穴が出来て、ロシア妖怪達は、右往左往!
阿鼻叫喚で、パニックに、なった。
ハゲ白熊が、上を見ると、10匹の大きな龍が上空に現れた。
龍の戦車である。
「俺のバリアを破るとは!?」
ハゲ白熊は、青ざめた。
「見たか!鯰玉の威力!」
クロちゃんの旗艦『貴桜丸』の中で、留がドヤ顔で、
言った。
「つまりね、色んな神様の神玉が、その時に応じて、
攻撃できるんだ、神玉が、多ければ、バリエーションが
増えて、強力になるんだ。」
星明が、言った。
ドド~ン!バキバキ!!物凄い音がして、ハゲ白熊が、
貴桜丸を連続攻撃した!
「留!避けろ!」
アマビエが叫んだ!
「凄い速さで、避けきれない!」
留が、叫ぶと、
「ドンドン攻撃しろ!我は、外で、攻撃する!
来い、馬鯉!鯉レンジャー!」
アマビエは、馬鯉に跨り、鯉レンジャーを引き連れ
外に飛び出した!
「トリプルウォーターガン!!」
アマビエのトリプルウォーターガンが、さく裂したが、
ハゲ白熊の前に、無数の妖怪が、立ちはだかって、
盾になって、ハゲ白熊まで攻撃が届かない。
「あんなに、沢山の妖怪で、肉の盾を作るなんて!?」
「しかもバリアもしている!?なんて奴だ!?」
クロちゃん達は、ひきっつた。
「トリプルウォーターガン!!」「トリプルウォーターガン!!」
「トリプルウォーターガン!!」「トリプルウォーターガン!!」
「トリプルウォーターガン!!」「トリプルウォーターガン!!」
アマビエのトリプルウォーターガンが、炸裂したが、
ハゲ白熊の周りには、沢山の妖怪の屍が、プカプカと、
浮かんでいる。
「あんなに、仲間を犠牲にして、何で平気なの!?」
クロちゃんは、青ざめた。
「下っ端妖怪なんて、使い捨てなんだよ。
ほら、あの大きな船の強面の妖怪が、下っ端妖怪を
ドンドン前へ、押しやっている。」
星明が、言った。
下っ端妖怪が、肉の壁で、ハゲ白熊を守って、
不意を突かれたところに、攻撃をしてくる!
「ハゲ白熊の攻撃、思いっきり下っ端っ妖怪に、当たって
死んでる!?」
クロちゃんは、あまりの事に、呆然とした。
ドド~ン!ドド~ン!貴桜丸が大きく揺れた!
「ハゲ白熊の攻撃が、当たった!」
「とにかくアマビエ様を応戦しろ!」
貴桜丸は、他の龍の戦車とハゲ白熊を攻撃した!
ドド~ン!!!バキバキ!!!
その時、貴桜丸にハゲ白熊の攻撃が当たった。
「あ、やばい!」
留が叫ぶと、足元が、グラついて、そのまま真っ逆さまに、
海面に、叩きつけられた!
ドド~ン!!バシャ!ドシャ!!!!
クロちゃんは、フラつきながら周りを見渡した。
「大丈夫?クロちゃん?」
みっちゃんが、クロちゃんを心配そうに見ている。
「うん、大丈夫。」
・・・あの高さから海面叩きつけられたわりには、
たいした事はない。
クロちゃんも福の神になったから丈夫になったのかな・・・。
すると、バキバキ!!!ガシャ~ン!
壁が、壊れて、その割れ目からハゲ白熊が、ニッと笑って
いた。
「・・・ハゲ白熊!?・・・アマビエ様!!!!」
クロちゃんは、必死で叫んだが、アマビエは、大量の妖怪の
相手で、それどころではない。
「クロちゃん、下がって!」
みっちゃんが、刀を取り出し次々に襲ってくる妖怪を
切り伏せた!
親方や、又べえ、星明、雨鯉部隊も次々に、襲ってくる
妖怪達を倒していった。
クロちゃんも次々に、襲ってくる下っ端妖怪を叩きのめした!
すると、いきなり、どど~!!!と、ハゲ白熊の攻撃が、
クロちゃん達を吹き飛ばした!
「あ、いた・・・た。」
クロちゃんが、フラつきながら起き上がると、
「お前が、クロか?」
ハゲ白熊が、クロちゃんの襟首をつかんで、持ち上げた。
「行くぞ!」
クロちゃんを掴んだまま、ハゲ白熊はエイに乗って、
飛んで行った。
「クロちゃ~ん!」
みっちゃん達は、慌てて、外に飛び出した。
「はなして!!クロちゃんをどうするの!」
クロちゃんが、叫ぶと、
「お前は、福の神で富を操れるだろう、
お前は、踊って、世界中の富を集めるんだ。」
ハゲ白熊は、薄気味悪く笑った。
「え!嫌よ!その富で、戦争を続けるんでしょ!」
「嫌ならお前を喰って、その力を我が物とする。」
ハゲ白熊は、舌なめずりをした。
その気味悪さに、クロちゃんは、ゾッとした。
「絶対に、嫌!」
クロちゃんは、思わず叫んだ!
「なかなか強情だな!ならば喰うまで!」
ハゲ白熊は、クロちゃんに、喰いつこうとした時
無数の鎖が、ハゲ白熊に巻き付き付いた。
「お前が、油断するのを待っていた!」
ツキビエの剣から出ている鎖が、ハゲ白熊を拘束した。
しかし、ハゲ白熊は、ニタリと、不気味に笑った。
するとバキ!バキバキバキ!鎖が、ちぎれてしまった。
「ち、ちぎれた!?水神様から賜った、武器が壊れた!?」
ツキビエは、青ざめた!
「ワッハッハー!さあ、クロ覚悟しろ!」
ハゲ白熊は、クロちゃんを一飲み!
「もう、駄目!」
クロちゃんは、目の前が、真っ暗になった・・・・。
バキッ!
「ぐわ~っ!」
ドボ~ン!!!
気が付くと、クロちゃんは牡丹マンになり、
思いっきり、ハゲ白熊の口を尻尾がはたいていた!?
そして、海中奥深く叩きつけられ、地震が、起きた!?
「え??え??」
見ると、お尻に鯰の尻尾が、生えている!?
あまりの事にクロちゃんは、呆然とした。
「凄いな!M8の尻尾攻撃!」
ツキビエは、感心した。
「ツキビエさん、海の上なのに、どうやって!?」
クロちゃんが驚くと、
「ああ、力のあるビエ一族は、水の上を歩く事ができるんだ。
水は、水神様のご加護が貰えるからな。」
「そうなのビエ一族凄いのね。」
クロちゃんが、感心していると、
「お~い!無事か~!」
アマビエが、やって来た。
「ロシア妖怪は?」
「もちろん、全部叩きのめした!」
アマビエが、ドヤ顔で言った。
海の上には、ロシア妖怪が、死屍累々と、浮かんでいた。
「あの妖怪達、死んでるの?」
クロちゃんが、複雑な顔で、聞くと、
「死んでるのもいるかもしれないが、殆ど生きてる。
ほら、みんな泳ぎながらロシアの方へ、逃げて行く。
クロちゃんは、怖いと広めてもらわないとな。」
アマビエは、ニヤリと、笑った。
「それにしても、クロちゃん、いい尻尾だな!
M8の威力!我も欲しい!
可愛いしっぽを、ふ~りふ~り~♪」
アマビエは、歌いながらまじまじと、クロちゃんの尻尾を
眺めた。
「益々変な姿だわ・・・。」
クロちゃんは、悲しそうに、言った。
ツキビエはと見ると、
「クロちゃん、良かったな!その尻尾のおかげで、
ハゲ白熊に、喰われなくてすんだ。
私の力不足で、間に合わない所だった。
神様からの賜り物だ、多少カッコ悪くても
助かって良かっただろう?」
そう言い諭して、クロちゃんの頭を撫でた。
・・・確かに、助かったわ。
流石、ツキビエさん、言い諭すのが、上手いわ。
そして、牡丹マンの姿は解けて、元のクロちゃんの
姿に、戻った。
家に戻ると、
「あ、クロちゃん、お帰りなさい、お友達が来てるわよ。」
ママが、にこやかに言った。
見ると、大黒のおっちゃんと、見かけないおっちゃんが、
酒を酌み交わし、料理を食べていた。
「大黒のおっちゃん来てたの?
そのおっちゃんは?」
クロちゃんが、尋ねると、
「地震鯰殿だ、グルメツアーに、来たらしい。」
大黒様は、笑った。
「クロちゃん、美味しい物を食べさせてくれ。」
地震鯰は、笑った。
「え??え??」
クロちゃんが、驚いていると、
「接待に、失敗すると大地震だ。
頑張れクロちゃん!」
そう言って、アマビエは、クロちゃんの肩をポン!と、
叩いた。
・・・そんなポン!と、肩を叩かれても・・・
戸惑うしかないクロちゃんだった。




