表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/63

闇の花

金木犀の香りが、秋を感じ始める頃というのに、暑い日々が、続いて

いた。

もう10月と、いうにのに、かき氷が、美味しい。

「いつまでも暑いわね。」

鶴屋千年堂の夏季限定の台湾風かき氷をつつきながらクロちゃんは、

言った。

イスラエルと、ガザ戦争まで始まり、嫌な世の中に、なったなあと

思う。

「何で戦争するのかしら。」

「宗教戦争と、民族紛争だよ。

エルサレムは、キリスト教と、イスラム教、ユダヤ教の聖地なんで、

取り合っているんだ。

2000年以上前から争っているんだ、お互い相手をせん滅して、

自分の国を広めようと、しているんだよ。」

星明は、言った。

「何で、仲良く暮らせないないのかな。」

クロちゃんが、言うと、

「しかたないよ、他の国の事は、他の国の歴史と、事情が

あるからね。

それより、コレ食べたらアマビエ様が、クロちゃんビルに、

来るように、言われてるんだ。」

「え~クロちゃんは、宿題があるのに。」

「俺が、手伝ってあげるよ。」

星明は、クロちゃんをなだめた。


クロちゃんビルの食堂では、アマビエが、天鯉部隊と、

平癒マン達と、おやつを食べていた。

テーブルの上には、アップルパイ、スイートポテト、

パンプキンケーキ、モンブラン、金団、栗ようかん、月見団子

焼き芋と、ズラリと、お菓子が並んでいた。

「美味しいなあ!やはり栗やリンゴや芋が旨い!」

アマビエは、ごきげんに、スイートポテトに、かぶりついた。

その時、ドアが、開いて、クロちゃんが、やって来た。

「アマビエ様、又、どこか行くの?

学校が、始まったから、出掛けるのは、休みの日だけに、してね。」

クロちゃんが、嫌そうに言うと、

「もちろん、学業優先だ、安心しろ。

次の行先は、『闇の花』を手に入れに行く。」

「『闇の花』?」

「『闇の花』は、辺り一面を暗闇にする事が出来るらしい。

あの薄気味悪いペンペン号の力を効果的に、発揮するには、

暗闇の方がいいからな。

ほら、あの薄気味悪いのが、暗闇で、襲ってきたら

戦意喪失で、トラウマになるだろう?」

アマビエは、ニタリと、笑った。

「なるほどね、じゃ次は、どこに行くの?

この間七紫華様に、又、クマコロリを貰いに行った時、

ダンスダンスレボリューションをして、飲んで、食べて、

騒いで楽しんで、帰ってきたら10月に、なっていたじゃない。

夏休みどころか、学校をひと月近く休んでいたのよ。」

クロちゃんが、不機嫌そうに、言った。

「それが、まだ『闇の花』の場所の情報が、ないんだ。

だが、我は、天津甕星が知っているんじゃないかと、

睨んでいる。」

アマビエは、考え深げに言った。

「何で、天津甕星が、知っていると思うの?」

クロちゃんが、尋ねると、

「あいつは、そういう闇系の事は、詳しいと、思う。

・・・なぜなら。」

「なぜなら?」

「根暗だからだ!」

アマビエは、ドヤ顔で、言った。

「・・・つまり根拠は、ないのね。」

クロちゃんは、ガックリきた。

「と、いう訳で、次の土日で、行くからよろしくな。」

アマビエは、笑った。

「次の休みは、クロちゃん神社の『十五夜祭り』の準備が、

あるのよ!ダメよ!」

クロちゃんは、言った。

「あ、じゃ、かぐや姫は?」

「今年は、又べえと、星華ちゃんよ。」

「残念、我じゃないのか。」

アマビエは、ガッカリした。

「兎に角駄目!」

そう言って、クロちゃんは、部屋を出た。

そして、留の仕事部屋へ、行った。


留の仕事部屋では、工と、造がせっせと、薄気味悪い

ペンペン号を作っていた。

「沢山出来たのね、前のと比べ物にならないくらい

気持ち悪くて、怖いわね。」

沢山のペンペン号を見ていった。

「そんなのまだまだだ!俺のペンペン号を見ろ!」

留作のペンペン号を見せた、トラウマになりそうなくらい

薄気味悪く、怖い!流石だ。

「さすが、留!めちゃ怖いわね。」

クロちゃんが、感心すると、

「俺、頑張って、ペンペン号を作るよ。

だからアマビエ様と、神玉を沢山貰って来てくれよ。」

留が、目をキラキラさせて、言った。

「わかったわ、でも、クロちゃんは、学校があるから

行くのは、お休みの時だけね。

それに、この間、七紫華様の所に、行った時、うっかり

ひと月近くもいたから学校を随分休んでしまったの・・・。」

クロちゃんが、言いにくそうに、言うと、

「あ、それなら俺、星明に頼まれて、現世時間時計を作ったよ。」

留は、腕時計を取り出した。

「ほら、クロちゃんの好きなスヌーピーのイラスト付きで、

タイマーもかけられる、これで、大丈夫だ。」

留が、ドヤ顔で、言った。

「ありがとう。」

・・・このスヌーピー、呪いそうに怖い顔をしていなあ・・・。

クロちゃんは、微妙な気持ちに、なった。

「やあ、クロちゃん、久しぶり。」

流が、星明と、やって来た。

「あ、流久しぶりね、今度は、どこに行って来たの?」

「ガザ地区の方に、様子を見て来た。

酷いもんだよ、何もかも滅茶苦茶だった。

今度の紛争の原因は、イスラエルの音楽祭に、ハマスって

言う、イスラム抵抗運動してる組織が、襲撃しているのが、

原因だ。

ハマスは、一般市民を盾にして、病院の地下に潜り込む

ような連中なんだ。」

「なんて、卑怯なの!?」

クロちゃんが、驚くと、

「それは、お国柄でね、あちらの国では、別に卑怯と、思って

ないんだよ、だから支持されているんだよ。

しかも、ハマスの幹部は、カタールで、豪遊している。

イスラエルが、ガザをせん滅しても、中東が味方して、

又、イスラエルを攻撃しにくるかもしれない。」

「そんな・・・。」

「本当に、物騒な世に中になったよね。

明日は、わが身だよ、だからクロちゃん、アマビエ様と、

天津甕星の所に、行ってくれないかい。

頼むよ、『十五夜祭り』の準備は、俺達で、するよ。」

星明は、言った。

「わかったわ。」

クロちゃんは、渋々承知した。

そして、食堂の方へ、向かった。


「そろそろ帰って来い!お前の仕事は、私が、代わりに、

行ってるんだぞ!」

食堂では、ツキビエが、来ていて、アマビエを怒っていた。

「しかし、今、我が、ここを離れると、黄熊と、ハゲ白熊が、

襲って来たらクロちゃん達が、危ない!」

アマビエは、言った。

・・・アマビエ様、クロちゃん達の為に・・・。

クロちゃんは、嬉しくなった。

「クロちゃんは、案外大丈夫だろう?大黒様もウロウロ

してるし、牡丹マンは、無茶苦茶強いしな。

お前、黄熊と、ハゲ白熊に、ボコられて、逃げ帰ったから

仕返ししたいだけだろう。」

ツキビエは、怖い顔で、言った。

「バレてた?」

アマビエは、シレッと、言った。

・・・アマビエ様らしい・・・。

クロちゃんは、呆れた。

「ツキビエさん、アマビエ様、帰っちゃうの?」

クロちゃんが、困ったような目で、ツキビエを見た。

「これでも忙しいんだ、アマビエは、今は、休暇中だと、

言い張ってるが、ソロソロ帰って、仕事をしてもらわないとな。」

ツキビエが、怖い顔で、言った。

「なあ、せめて『闇の花』を手に入れるまで、いるのは、駄目か?」

アマビエが、言うと、

「『闇の花』か、手に入れるのは、難しいだろう。

あれは、生物兵器だからな。」

ツキビエが、言うと、

「生物兵器?」

アマビエが、キョトンと、していると、

「忘れたか?1万年前、天津甕星と戦争をしていた時、

辺り一面、いきなり暗くなって、化け物が、次から次へと

襲ってくる幻覚を兵全員が、見て、パニックになって、

大変な目に、あっただだろう?

その時、一面に、咲いていた花が、『闇の花』だ。」

「あ、あれか、あれは、凄かったな。

トラウマになって、使い物にならない、兵続出したな・・・。

そうか、じゃ天津甕星に、分けてもらうか。」

アマビエは、思い出したように、言うと、

「あの秘密兵器を簡単に、分けてくれるかな?」

ツキビエが、言うと、

「大丈夫だ、天津甕星は、クロちゃんのマブダチだ。

な、クロちゃん♡」

アマビエは、ニタリと、笑った。

「え!むり!むり!第一、マブダチじゃないわ!

お友達程度よ。」

クロちゃんが、焦りまくると、

「あの天津甕星と、友達なのか!?

それは、凄いな。

ま、頑張ってみろ、私は、帰る!お前の仕事をしないと

いけないからな。」

ツキビエが、言うと、

「沢山、お土産を用意するから

よろしくね♡」

アマビエが、可愛らしく言った。

「気持ち悪い!」

ツキビエは、機嫌悪く、帰って行った。


と、いう訳で、クロちゃん達は、馬鯉に跨り、天津甕星の国へ

言った。

クロちゃん達は、天津甕星の城の前に、降り立って、

城の中に、案内された。

「クロちゃん、よく来たね。」

天津甕星が、機嫌よく迎えてくれた。

前は、青白いくらいの肌だったのに、随分と、血行よく

健康的な肌の色に、なっていた。

穏やかな表情、周りの妖怪達も随分温和な表情を

している。

「今日は、沢山お土産を持って来たの!」

クロちゃんは、沢山のお菓子と、果物を見せた。

「ありがとう、どれもコレも美味しそうだ。

向こうに、御馳走を用意している、

食べたら又、『豊穣の踊り』を踊ってくれないかい。」

天津甕星が、にこやかに、言った。

・・・こんな穏やかな人だったけ・・・。

クロちゃんは、ちょっと驚いた。

「もちろんよ!任せてね。」

クロちゃんは、笑った。

食事は、中庭で、沢山の果物と、御馳走が並んでいた。

どれもコレも前とは、比べ物に、ならないくらい

美味しかった。

「美味しいね。」

クロちゃんは、お腹一杯食べると、

みっちゃんと、『豊穣の踊り』を踊った。

「相変らず凄いな、稲穂が倍、実を付けた。

ほら果物もこんなに、大きく甘くなっている。

クロちゃんが、来ると、国が、豊かになるな

福の神は、素晴らしい。」

天津甕星は、満面の笑みで、言った。

「それは、よろしゅうございました。

・・・実は、クロちゃんの国が、黄熊と、ハゲ白熊と

いう妖怪に、狙われています。」

アマビエが、横から言った。

「それは、大変だな。」

「で、我々も色々と、備えをしているのですが、

暗闇で、最高の力を発揮する兵器を開発したのですが、

昼間は、夜程の効果が、ないので、暗闇を作る

伝説の花『闇の花』を分けて頂きたい。」

アマビエが、言うと、

「あ、あれか、以前は、そこら辺に、咲いていたが、

咲かなくなったな。」

「え!何で!?」

クロちゃん達が、吃驚して、尋ねると、

「あれは、私やこの国の苦しみ、憎しみを糧として

咲いていたのだ。

クロちゃん達が、『豊穣の踊り』を踊ってくれて、

国が豊かになり、暮らし向きが良くなってからは、

見なくなったな。」

「つまり、みんな幸せに、なったから咲かなく

なったんだね。」

みっちゃんが、言った。

「そうなの!良かったわね、ね、アマビエ様。」

クロちゃんが、アマビエの方を振り返ると・・・、

アマビエは、言葉になんらないくらい落胆していた。

「『闇の花』が、・・・あの我が軍をあんなに、苦しめた

あの花が、秘密兵器で、なくて、そこら辺に、咲いてる花とは・・・。

・・・しかも咲かなくなった。」

アマビエは、かなりショックを受けていた。

すると、

「だが、まだ、闇の花が生息している地域が、ある。

そこへ行けば、手に入るんじゃないかな。」

天津甕星が、言った途端、アマビエが、ピョン!と、

身を乗り出した。

「そこは、どこですか。」

清龍郷(セイリュウゴウ)、昔、水神達と、戦争を

した時、唯一勝ち取る事が、出来た元の水神の領地だ。」

天津甕星が、言うと、アマビエは、嫌そうな顔をした。

「じゃ、そこに、闇の花を採りに行こう、ね、

アマビエ様。」

クロちゃんが、言うと、

「クロちゃん、気を付けるんだよ。

あそこは、元々住んでいた、水神を崇める少数民族と、

私の国の妖怪とで、常に、紛争が、起きている。」

「え!紛争!危ないんじゃ・・・。」

クロちゃんが、心配そうに、言うと、

「昔、水神の武将で、アマビエという鬼のように、強く、

残忍なヤツが、大殺戮した所で、唯一、そいつが、

大敗した所なんだ。」

アマビエは、バツが悪そうに、聞いていた。

「あ・・・どうするの?帰る?」

クロちゃんが、アマビエの方を見ると、

アマビエは、難しい顔をして、しばらく考えていた。

そして、おもむろに、言った。

「清龍郷へ、行く!闇の花を手に入れる!」

アマビエが、言うと、

「わかったわ、行こう。」

クロちゃん達は、顔を見合わせて、頷いた。

「あ、クロちゃん、アマビエと、知り合いみたいだから

言うが、住民達は、アマビエへの憎しみが、深い。

アマビエの事は、言わない方が、いいな・・・。

おい!お前!」

アマビエの方を見て、

「お前は、アマビエに、ソックリだ、変装した方が、いいな。」

天津甕星は、ニヤリと、笑った。


クロちゃん達は、馬鯉に跨り、清龍郷へ向かった。

馬鯉の上で、クロちゃんは、難しい顔をしたアマビエに、

「良かったの?アマビエ様、凄く行きたくなさそう。」

天津甕星の力で、リスに、似た妖怪に、姿を変えられた

アマビエが、力ない声で、

「闇の花も欲しいが、我が、やった事を見届けないとな。

戦時中だから・・・仕方が、ないが、沢山の妖怪達を

苦しめたのは、事実だ。」

・・・天津甕星の国が、欲しいと、行っていたのに?

罪の意識は、あるんだな・・・なんか矛盾しているな。

クロちゃんは、思った。

地上を見渡すと、青々と、緑が茂り、畑や田んぼは、

うつくしかったが、段々と、色が、淀んできた。

「あれが、清龍郷だ。・・・降りるぞ。」

降り立った、クロちゃん達は、驚いた。

どんよりとした、空で、畑も田んぼも実りは、少なく、

建物や、家は半壊している。

そして、人々には生気が、なかった。

中央のアマビエと、水神の像は、ボコボコで、半壊していた。

「めっちゃ憎まれているなあ・・・。」

アマビエは、呟いた。

「あ、ちょっと、いいか?」

アマビエは、道行く妖怪を掴まて、尋ねた。

「なんだい?」

「あの像は、滅茶苦茶だな。」

「あ、あれは、水神と、水神の武将アマビエだ。

ここらの原住民、ミズ族が崇めているんで、

ボコボコに、している。

アイツらは、奴隷みたいな者のクセに、水が淀んで

しまうんで、追い出せなんだ。

そしたらいい気になって、テロを起こすようになって、

ここは、ずっと、紛争続きだ。」

妖怪は、吐き捨てるように、言った。

「悪い人達なのね、ミズ族。」

クロちゃんが、言うと、

「う~ん、ミズ族の言い分も聞かないとな。

前の前領主や、前の領主は、和解の方向へ歩み寄って

たと、聞くからな。」

アマビエが、言うと、

「詳しいのね、アマビエ様。」

「・・・実は、ミズ族のテロを起こしてる組織ヘイワ・ミズの

幹部は、水神池に、いて指示を出していた事が、わかった。」

「え!水神様が、裏で操っていたの!?」

クロちゃんが、驚くと、

「いいや、スナビエ達が、匿って、色々暗躍していた。

ツキビエが、色々と、スナビエに、吐かせたんだ。」

アマビエは、難しい顔で言った。

「捕まえられないの?」

クロちゃんが、尋ねると、

「我は、水神池の者だ、ヘイワ・ミズは、テロリストだが、

大事なコマでもある。

情報も持って来るし、敵対する国をかき回して、紛争させたり

と、使い道があるから囲い込む方が、メリットが、ある。」

「ここの人達が、苦しんでも?」

「それに、複雑な事に、ここらの病院もヘイワ・ミズが、

経営している。

何かあれば、支援物資を送ってくれたりするからな。

ミズ族には、必要なんだ。」

アマビエは、困ったように、言った。

「いい事もするのね。」

「でも病院は、ヘイワ・ミズが、潜んでいて、紛争が、

起きたら一般妖怪を盾にして戦うような連中だからな。

ロクでもないけど、とりあえず放置だ。

大事なのは、水神池ファーストだ。」

アマビエは、複雑な顔をして言った。

クロちゃんが、悲しそうな顔をすると、

「取り敢えず、天津甕星が、今の領主への紹介状を書いて

くれたから今の領主大奸星(カイカンセイ)に、会いに行こう。

大奸星に、なって、紛争が、酷くなったらしいからな。」

アマビエが、考えながら言うと、

「どんな人かしら。」

・・・この状況を見ても何も思わないのかな?

こうして、クロちゃん達は、領主の館へ向かった。


強固な要塞のような屋敷が、代々の領主の館だった。

ここは、更に天気と、空気が、淀んでいるような感じだ。

「ここは、ずっと、天気と、空気が、淀んでいるのね。」

クロちゃんが、言うと、

「闇の花が、咲いているからかな。」

アマビエは、呟いた。

「闇の花って、どんな花?」

クロちゃんが、尋ねると、

「それが、よく覚えてないんだ。」

「でも、酷い目にあったんでしょう?」

クロちゃんが、驚くと、

「野外だと、色んな種類の花が、まざって群生しているからな。

小さくて、地味な花なんで、印象に、残ってないんだ。

ツキビエは、怪しいと、思って何種類か花を持ち帰って、

調べたらしいんだ。」

アマビエは、言った。

「え、じゃアマビエ様の所に、あるんじゃない?」

「全部、枯れたらしい。

・・・憎しみを糧にしないと、生きらない花なのかも

しれないと、ツキビエが、言っていた。」

「・・・そんな花なら憎しみのない所では、咲かないんじゃ

ない?あっても役にたたないかも。

それに、又べえに、作ってもらえばいいんじゃない?」

クロちゃんが、言うと、

「試しに、又べえに闇の花を作らせて、みたんだが、

ずーっと、夜のままで、全部引っこ抜いて、明るくしたんだ。

又べえは、実物を見せないと、使えない事も結構あるんだ。

なんかズレてるだ、感覚が。

クロちゃんと、会って、随分人間の感覚に、近くなったと、

親方が、言っていた。」

アマビエが、言うと、

「どういう物か、確かめたらいいのね。

・・・ねえ、アマビエ様、闇の花の情報は、誰から聞いたの?」

クロちゃんが、尋ねると、

「あ~又べえだ、そう言えば、そんな花が、あったなと、

思いだしたんだった。

おい、又べえは、闇の花なんて、誰から聞いた?」

「星華だ、前は、よく見けど、咲かなくなって日が良く

照って、作物が、良く採れるように、なって嬉しいって、

クロちゃんのおかげだって。」

又べえが、言った。

「アマビエ様、闇の花は、アマビエ様達も困ったけど、

ここの人達も困っているんじゃない?」

クロちゃんが言うと、

「・・・つまり、秘密兵器でもなく、そこら辺に、

生えている、害のある植物だったのか・・・。

・・・そんな物に、怯えて、恐れていたのか、我々は・・・。」

「アマビエ様・・・。」

クロちゃんは、ものすごくショックを受けているアマビエを見た。

すると、

「しまった!そうと、解っていたらここを放棄しないで、

総攻撃すれば、負けなかったのに!」

アマビエは、呟いた。

・・・思い込みって、怖いなと、クロちゃんは、思った。

「兎に角、大奸星に、会ってみよう。」

アマビエは、門番に、叫んだ。

「頼もう!我々は、天津甕星様の紹介で、大奸星殿に、会いに来た。

これは、紹介状だ。」

アマビエは、小さな星を渡した。

門番は、受け取り中に、屋敷に入って行った。

暫くすると、

「天津甕星様のお客様、主が、お待ちです。

中へどうぞ。」

クロちゃん達は、屋敷の中へ、案内された。

ふと、庭を見ると、沢山の武器が、あり、屈強な妖怪達が、

物々しく、武器を点検していた。

「武器が、沢山ね。」

クロちゃんが、驚くと、

「近々、総攻撃をするつもりだな。」

アマビエが、言った。

・・・総攻撃・・・沢山の妖怪が、死んだり、怪我したり、

住む所を失うのね・・・。

クロちゃんは、暗い気持ちに、なった。

そうして、クロちゃん達は、客間に、案内された。

中では、大奸星が、待っていた。

「これは、天津甕星様のご紹介で、豊穣の踊りを踊って

頂けるそうですね。

わざわざありがとうございます。」

大奸星が、嬉しそうに、言った。

「!?・・・そうじゃなくて・・・。」

クロちゃんの口を塞ぎながら

「我々の豊穣の踊りは、凄いぞ!たんと、礼を用意して

くれ!天津甕星様のキモ入りだ。」

アマビエは、ニンマリ笑った。

「あ、もちろん、出来るだけの事をさせて頂きます。

不作続きで、困っていたんですよ。」

大奸星が、嬉しそうに、言った。


中庭の広場で、クロちゃんと、みっちゃんと、アマビエは、

豊穣の踊りを歌い、踊った。

三人が、踊りだすと、稲穂も小麦も果物も実を大きく、

たわわに、実った。

緑は、鮮やかに、空は、明るく、霞を払って、晴れ渡った。

歓喜の声が、響き渡った。

みんな晴れ晴れと、明るい顔!クロちゃんは、嬉しくなった。

「素晴らしい!流石、クロちゃんだ。

さ、礼金を用意しております、中でお休みください。」


クロちゃん達は、屋敷の客間へ、案内された。

客間のテーブルには、沢山の御馳走が、並んでいた。

クロちゃんは、それを食べて、いると、

「こちらは、お礼です。」

大奸星は、宝箱に、沢山の真珠を見せた。

「わあ~真珠が、沢山。」

クロちゃんは、目を丸くした。

「じゃ、お礼は、ありがたく頂く、又、呼んでくれ。

・・・ところで、我々は、『闇の花』の研究をして

いるんだが、サンプルに、分けて貰えないか。」

アマビエが、言うと、

「え!ないですよ、と、言うか、クロちゃん達が、

豊穣の踊りを踊ったら みんな枯れました。」

「枯れた!全部か!?もう残ってないのか!」

アマビエがは、大奸星に、迫った。

「・・・そうですね、ミズ族の住処の方には、まだ咲いてる

でしょうが・・・。

危ないですよ。」

「何で、危ない?」

「この間、テロを起こしたテロリストが、潜んでいるので、

せん滅するのですよ。

体制が、整い次第、作戦を実行します。」

大奸星は、冷たく言った。

「関係ないミズ族も随分被害に、あっているようだが、強行

するのか?」

「当たり前です!連中は、水神を崇めて、天津甕星様に、

仇をなすような連中です。

水が、濁るので、数人残してせん滅します。」

大奸星が、強い口調で、言うと、

「そうか、わかった。

では、ミズ族の住処へ行こう。」

アマビエは、言った。

「え!戦闘に巻き込まれても知りませんよ!」

大奸星が、慌てて、言うと、

「自分の身は、自分で守る!文句ないな!」

アマビエは、言った。

そうして、クロちゃん達は、馬鯉に跨り、ミズ族の住処へ向かった。


ミズ族の住処は、どんよりと、暗く、作物や果物の実りも少なかった。

戦闘で、壊された建物、傷ついた妖怪達、すっかり荒れ果てて、いた。

「こんなに、荒れた所を攻撃しなくてもいいのに。」

クロちゃんが、言うと、

「それだけ憎しみが深いと、言う事だ。

・・・我にも責任が、ある事だ。」

アマビエは、力なく言った。

「・・・あの・・・闇の花を見つけて、帰りましょう。

今、どうしていいかわからいもの。」

クロちゃんは、言った。

・・・これだけ、憔悴しているアマビエをどうしていいのか

・・・。

「あの、すいません、この辺りに、闇の花って、ありません?」

クロちゃんは、近くを通ったミズ族の男に、話かけた。

「闇の花?足元に、生えてる黒い花が、そうだ。」

「あ、コレなのね。」

クロちゃんは、足元の小さな花を見て言った。

「街の中心に、もっと、群生しているが、行かない方がいい。

中で、沢山ミズ族が幻覚で、苦しんで、暴れている。

酷いもんだ。」

ミズ族の男は、力なく言った。

「あ、そうだ!アマビエ様!ここで、豊穣の踊りを踊りましょう!

闇の花は、枯れるし、土地も豊かになるわ!

ね、行って、踊りましょう。」

クロちゃんは、笑った。

「あ、そうだな!出来る事を頑張ろう。」

アマビエは、懐から空飛ぶ魚を採り出し、空に、放った。

「これで、よし!じゃ、クロちゃん、みんな、行くぞ!」

アマビエは、言った。


街の中心は、破壊つくされ、一面、真っ暗だった。

沢山のミズ族が、暴れて、苦しんでいた。

荒み切った光景を見て、クロちゃんは、言葉を失った。

「酷いわ・・・。」

すると、ポン!と、アマビエは、クロちゃんの肩を叩き。

「あの暴れてるミズ族達は、我らに、まかせろ。

クロちゃんは、みっちゃんと、豊穣の踊りを踊ってくれ。」

そう言って、アマビエ達は、暴れているミズ族達を取り押さえに、

行った。

「わかったわ!じゃ、みっちゃん、準備は、いい?」

クロちゃんが、言うと、

「いつでもOK!だよ。」

みっちゃんは、笑った。

二人は、息もピッタリで、豊穣の踊りを踊り始めた。

すると、黒い闇は、消え、緑は、青々として、稲穂は、実を

沢山つけ、果実は、たわわに実り、闇の花は、枯れて、

暴れていたミズ族達は、我に、かえった。

「わあ~!」

ミズ族達は、歓声を上げた。

「良かったわね。」

クロちゃんが、ホッと、すると、ドド~ン!!ドド~ン!!

ドド~ン!!と、物凄い音と、振動がした。

見ると、沢山の戦車が、攻撃していた。

「総攻撃が、始まったな。」

アマビエが、言った。

攻撃が、始まるちと、建物が、バラバラと、壊れて、ミズ族の

妖怪達は、慌てて、身を隠した。

「お~い!クロちゃん、馬鯉に乗れ!止めにいくぞ!

他のみんなは、ミズ族を守ってくれ!」

そう言って、アマビエは、クロちゃんと、馬鯉に、跨り、

大奸星へ、飛んで行った。


ミズ族の街の外では、大奸星の大群が、街を攻撃していた。

「おい!大奸星!もう、街は、ボロボロだ、これ以上の

攻撃は、やめろ!」

アマビエが、怒鳴ると、攻撃が、停止した。

大奸星が、出て来て、

「これは、クロちゃん!無事で、良かった!さ、危ないので、

こちらに、お逃げ下さい。」

と、言うと、

「どうして、攻撃をやめないの!?

中は、ミズ族も、街もボロボロよ!」

クロちゃんが、叫ぶと、

「この中には、テロを起こす、ヘイワ・ミズが、潜んで

います!やつらをせん滅しないと、我らが、安心して

暮らせないのです!」

「それは、違うな!ヘイワ・ミズの幹部は、水神池に、潜伏して

いる!

ここに、いる下っ端共をせん滅しても又、テロリストを送り込んで

くるぞ!」

アマビエは、怒鳴った!

「その時は、又、テロリスト共をせん滅するだけです!」

大奸星が、怒鳴ると、

「その度に、他の関係ないミズ族も攻撃するのか!?

ミズ族に、憎まれて、どうする!ミズ族がいないと、

水神様の加護が、無くなり、水がよどむ!

お前達は、ミズ族と、共存しないと、生きていけないんだぞ!

お前の前の領主も、前の前の領主も共存していこうと、

していたと、聞くぞ!」

アマビエが、言うと、

「どんなに、犠牲者が、出てもテロリスト共をほっとく訳には、

いきません。」

大奸星が、強い口調で、言った。

「では、テロリスト共の顔を教えろ!我が、全員退治してやる!」

「全員の顔が、解っているのでは、ありません!」

「では、お前のやってる事は、ただの無差別殺人だ!」

アマビエが、怒鳴った!

「ミズ族は、水神を今だに、崇めるような輩だ!

こいつらは、敵なのです!数を減らすに、こした事は、ありません!」

大奸星が、怒鳴ると、

「クロちゃんのパパの国アメリカと、ママの国の日本は、昔、戦争を

していたの。でも、今は、みんな仲良くしているわ!

戦争に、負けたすぐの時は、色々揉めて、大変だったらしいし、

今でもアメリカ軍の基地周辺では、色々な問題が、あるけど。

お互いをせん滅したいなんて、思ってないわ。」

クロちゃんが、言うと、

「何でだと思う?お互いの指導者が、憎んめと、教育しなかった

からだ。

色々、あったが、共存していく事に、したんだ。

勿論、アメリカの思想が、民主主義で、お前らほど酷い連中じゃ

なかったのと、日本が、憎しみを忘れて、前に進もうと、頑張った

からだ。

それが、指導者としての正しいあり方だ!

間違っているのは、お前だ!」

アマビエが、怒鳴ると、

「理想論だ!ミズ族と、ヘイワ・ミズは、グルだ!

ミズ族は、許せん!

邪魔をするなら貴方方も攻撃します!」

大奸星は、強い怒気を込めて怒鳴った!

「な!なんで事!」

クロちゃんが、驚くと、

「な、頭のおかしなヤツに、言葉は通じないだろう。

平和憲法が、ただの理想論で、何の役にもたたない

絵にかいた餅なんだ。」

アマビエは、言った。

そして、大奸星の方を向いて、

「わかった!これ以上、攻撃するなら我らが相手だ!

どっからでもかかってこい!」

アマビエは、怒鳴った!

「撃て!」

大奸星の攻撃が、雨あられと、降って来た!

それをアマビエは、物凄い勢いで、弾き飛ばしていった。

「す、凄い!流石、アマビエ様。」

クロちゃん達が、喜ぶと、

「戦龍を出せ!」

大奸星の怒号で、大きく、黒く、不気味な龍が、出て来た。

「うあぁ~!!でか!!」

クロちゃん達が、驚くと、口から炎を出し、周りを焼き払った。

そして、その後は、黒い靄が、かかり、枯れていた闇の花が、

復活して、ミズ族は、恐ろしい幻覚で、苦しみ出した!

「うあぁ~!!!!」

ミズ族の悲鳴が、響いた。

「あの龍は、怨念の塊だ、大奸星の怨念と、妄執を糧に、

負の攻撃をしている。」

アマビエは、言った。

「あ、それならクロちゃんと、みっちゃんは、豊穣の踊りを

踊るわ!

みんな正気に、戻るし、あの戦龍にもダメージを与えられる

かも。」

クロちゃんは、言って、みっちゃんもうなずいた。

「攻撃は、我らで防ぐ!頼んだぞ!クロちゃん!」

アマビエは、クロちゃんと、みっちゃんを降ろして、

言った。

「アマビエ トリプルウォーターガン!」

ドド~ッ!

3つの大きな水柱が、絡みあいながら大奸星を攻撃した!

「アマビエ トリプルウォーターガン!」

「アマビエ トリプルウォーターガン!」

「アマビエ トリプルウォーターガン!」

アマビエは、連続技を繰り出した!

「みっちゃん、いい?」

「いつでもOKだよ。」

みっちゃんと、クロちゃんは、二人で、豊穣の踊りを踊り

始めた。

すると、戦龍が、苦しみ始め黒い靄が、晴れてきた。

「わあ~!やったあ~!」

クロちゃん達が、喜ぶと、空の向こうから黒い物が飛んで来た。

それは、10匹の戦龍だった。

「あんなのが、10匹!?」

クロちゃんは、絶句した。

10匹の龍は、一斉に、クロちゃん達に、襲い掛かって来た!

「アマビエ トリプルウォーターガン!」

「アマビエ トリプルウォーターガン!」

「アマビエ トリプルウォーターガン!」

「アマビエ トリプルウォーターガン!」

「アマビエ トリプルウォーターガン!」

「アマビエ トリプルウォーターガン!」

アマビエは、連続技を出しまくったが、

それをかいくぐった3匹が、物凄い勢いで、クロちゃん達に、

炎を吐いた!

ゴォオオオオ!!!物凄い炎で、避けても周りは、日の海と、

なった!物凄い暑さと、噴煙で、苦しくなった。

「クロちゃん!」

クロちゃんは、段々気が遠くなってきた。

ふと、気が付くと、周りは、地獄の様な惨状に、なって

いた。

クロちゃんは、みっちゃん、親方、又べえ、星明が、ぐるっと

囲んで、守ってくれていた。

「クロちゃん、大丈夫!?」

みんなは、クロちゃんを覗き込んだ。

「クロちゃんは、大丈夫!それより、火を消さないと!」

アマビエは、戦龍達を相手にしていて、火事を消すどころでは、

ない。

「どうしょう・・・!!!!わぁああ~!」

いきなり、クロちゃん達を3匹の戦龍が、一斉に、炎を吐いた!

暑く、真っ赤に、なった!

・・・・あれ・・・。

気が付くと、水龍と、麒麟が、瞬く間に、戦龍を倒していた。

「たっちゃん、天ちゃん、ありがとう。」

・・・気が付くと、クロちゃんは、牡丹マンと、なり、太陽の花を一斉に、

咲かせていた。

たっちゃんが、雨雲を呼び、火事は、鎮火された。

闇の花は、枯れて、太陽の花が、キラキラと、辺り一面に、咲いていた。

大奸星軍は、と、見ると、

「クロちゃんに、悪い事をした。ごめんなさい。」

「ミズ族にも酷い事をした。悪かった。」

と、皆口々に、呟きながら攻撃をやめていた。

「でも、街は、滅茶苦茶ね。」

クロちゃんが、悲しそうに、壊れ果てた街と焼け出されたミズ族を

見た。

「わぁあ~!見ろ!水龍と、麒麟だ!水神様が、助けて下った!」

「我らを守って下さった!あの方は、水神様のお使いだ!」

ミズ族は、ボロボロなのに、凄い歓声で、クロちゃんの所へ、

集まって来た。

ミズ族の長老らしい老人が、クロちゃんに、跪き。

ポロポロ涙を流して、

「ありがとうございます!我らをお救い下さいまして、心から感謝

いたします。

お名をお聞かせください。」

「あ、クロちゃんと、言います。

水神様とは、仲良しで、とても可愛がってもらっているわ。

でも、水神様のお使いじゃないの。」

クロちゃんが、言うと、

「我は、アマ・ビエ、クロちゃんの師匠だ。」

アマビエが、馬鯉から降りて、言った。

「これは、クロちゃんのお師匠のタヌキ様。

お力添え、ありがとうございました。」

「タヌキじゃない!星栗鼠族(セイリスゾク)だ、星栗鼠族!」

アマビエが、怒鳴ると、

「お腹が、ポッコリ出てるものね。」

みっちゃんが、笑った。

「天津甕星の変化の術のせいだ!我は、スマートなのに!」

アマビエが、怒って、いると、

向こうから沢山の龍が、飛んで来た。

「何だ?」

「お~い!クロちゃ~ん!」

龍に跨ったツキビエが、手を振った。

「クロちゃん、解決したか、偉いぞ。」

隕石に、乗った天津甕星が、手を振った。

「おお!天津甕星様だ!」

周りは、騒めいた。

「支援物資を運んで来た、医者もいる。」

ツキビエは、龍から飛び降りた。

「何で、天津甕星と、一緒なの?」

「同盟を結んだ、水神池に、潜伏していたヘイワ・ミズの

幹部を天津甕星様に引き渡した。

それを条件に、ミズ族の支援を許可して貰った。

アマビエの指示だ。」

ツキビエが、言うと、

「ヘイワ・ミズを利用しなくていいの?」

「ミズ族を苦しませるわけには、いかないからな。

話には聞いていたが、酷いな。

人手も連れて来た、さ、みんな!頼んだぞ!」

ツキビエは、テキパキと、部下に、指示した。

「ご苦労!ツキビエ!」

アマビエが、話しかけると、

「あ、どこのタヌキだ?」

「我だ!」

「・・・プっ!アマビエか?!」

ツキビエは、笑いをこらえた。

「クロちゃんは、『死神のツキビエ』知っているのか?」

天津甕星が、言うと、

「『死神のツキビエ』?鬼のアマビエの懐刀で、前の戦争

の時は我が軍は、甚大な被害を受けた。

鬼の様だと、聞いていたが、

普通に会うと、こんな優男なんで、気が抜けるな。」

「お互い、辛い思い出ですね。

でも、天津甕星領の元の住人達には、天津甕星様の信仰を

許してます。

水神様もアマビエも寛容なので、税金を納めて、いれば、

国の民と、して遇してます。」

ツキビエは、穏やかに話した。

「ならば、ここのミズ族も水神を崇めるのを許可しょう。

水神池の治癒力の高い水は、得難い物がある。」

すると、ミズ族の男が、何人もクロちゃんに、近づいて来て、

「クロちゃん、俺達は、ヘイワ・ミズだ。

俺達は、取り返しのつかない事をした、申し訳ない。」

皆は、口々に、そう謝罪をした。

「あ、そうなの!でも、クロちゃんに、謝られても・・・。」

クロちゃんが、困っていると、

「こいつらを拘束しろ!私の城に連れ帰り、詮議する。」

天津甕星は、ヘイワ・ミズ達を拘束して、連れ帰る事にした。

「ヘイワ・ミズの連中も太陽の花効果で、名乗り出て

くれて、後顧の憂いは、なくなったな。

クロちゃん、偉いぞ!」

アマビエは、クロちゃんの頭を撫でた。

「クロちゃんは、何もしてないわ。

でも、みんな仲良く出来ると、いいわね。」

「出来るんじゃないか、新しい共通の信仰対象が、出来たからな。」

アマビエは、クロちゃんを見て笑った。

「え?」

ふと、気が付くと、ミズ族も大奸星軍の人々もウルウルした目で、

クロちゃんを見ていた。

「ありがとう、クロちゃん、この御恩は、忘れません。

水神様にもよろしくお伝えください。」

ミズ族も大奸星軍の人々も皆クロちゃんに、ひれ伏した。

又べえと、親方は、せっせと、お家草を植えて、沢山の仮設住宅

を作った。

そして、チーズやバターやミルクが実る木を植えてた。

「おい、長老、これを復興に役立ててくれ、

我らが、豊穣の踊りを踊った礼に、大奸星が、くれた真珠だ。

どうせミズ族から無理やり取った税だろう?」

「本当に、かたじけのうございます。

この御恩は、けして忘れません。」

それを受けとり、ミズ族の長老は、深々と、頭を下げた。

「あ、そうだ、もう一回、豊穣の踊りを踊るわね。

ここの食糧が、増えるといいわね。」

そう言って、クロちゃん、みっちゃん、アマビエは、豊穣の踊りを

踊った。

すると、焼けただれた、田畑は、緑に戻り、稲穂や、野菜は、

沢山実った。

果樹も沢山実をつけて、お家草も沢山のパンの実を付けた。

そして、又べえと、親方が植えた、チーズやバターやミルクが実る木

は、沢山の実を付けた。

親方達は、それを捥いで、パンの実を薄く切って、チーズやバターを

乗せて、網に乗せて、焼いて、ミズ族と、大奸星軍の人々に、

食べさせた。

「旨いなあ!コレ!」

皆が、大喜びすると、ミルクの入った、実を沸かして、砂糖や、

インスタントコーヒーを入れて、飲ませた。

「美味しいなあ!」

ミズ族と、大奸星軍の人々は、段々笑顔になってきた。

「じゃ、ケーキやクッキーや、チョコレートの木もあると、いいな。

インスタントコーヒーや、紅茶や、砂糖も実る木もあるといいな。」

又べえは、そう言って、小箱を取り出し、願いを込めて、中から種を

取り出し、土に植えた。

そして、太るドリンクをかけると、芽が出て、花が咲き、沢山の実を

つけた。

「これも喰え!美味いぞ!」

ミズ族と、大奸星軍の人々に、食べさせた。

「美味しいなあ。」

皆が喜ぶと、

「これからは、仲良くして、ミズ族に分けて貰え!

ミズ族は、高く吹っ掛けたりせず、分けてやれよ!

ズル言事をすると、木が怒って、お前達を襲うぞ!

クロちゃんに感謝して、仲良くわけろよ!」

又べえは、ドヤ顔で言うと、親方は、ポンと、又べえの頭を

叩いて、

「お前に、したら上出来だ。」

「親方が、褒めてくれた!」

又べえは、喜んだ。

「クロちゃん、ありがとうございます。」

ミズ族と、大奸星軍の人々は、又、クロちゃんに、頭を

下げた。

「クロちゃんは、別に・・・。」

クロちゃんが、戸惑うと、

「あのへっぽこ妖怪が、立派なもんだ、クロちゃんの傍に、

いると、変わるんだろうな。」

天津甕星が、言った。

「そんな事は、ないわ。」

クロちゃんが、戸惑うと、

「領主を変えるよ、大奸星の一族の中からミズ族と、共存

を唱えてる者を領主に、据えるよ。

ここもクロちゃんのおかげで、紛争は、無くなりそうだ。

見てごらん、さっきまで憎しみ合っていたのに、

皆、明るい顔をしている。

領主が、変わって、豊かになれば、争わなくなるだろう。」

天津甕星は、嬉しそうに、ミズ族と、大奸星軍を眺めた。

「何で、最初からミズ族と、共存するような領主に、しなかったの?」

クロちゃんが、尋ねると、

「前の領主と、その前の領主は、ミズ族と、共存するような領主を

据えていたが、暗殺されてたり、引きずり降ろされて、

大奸星が、領主になっていた。

その方が、幸せになると、ここの民は、思っていたんだろうな。」

天津甕星は、複雑そうに、答えた。

「さ、ここは、支援部隊に任せて、我々は、城に戻ろう。」

天津甕星は、クロちゃん達と、城に戻る事にした。

「じゃあ、みんな仲良くね~!もう、争ったらダメよ~!」

クロちゃんは、叫んだ!

「ありがとうございます。」

ミズ族と、大奸星軍は、いつまでも手を振っていた。

「クロちゃん、この辺りを迂回するから

あの太陽の花を咲かせてくれないか、もう争わないように。」

天津甕星が、言うと、

「あ、でも太陽の花は、牡丹マンに、なった時しか咲かせられないの。」

クロちゃんが、言うと、

「任せとけ!」

又べえが、小箱から山盛りの種を出して、

「コレをばら蒔きながら帰ろう、太るドリンクに、浸してな。」

クロちゃん達は、空から太陽の花の種を蒔いた。

すると、美しい太陽の花が、咲いて、キラキラと輝いていた。


城の客間で、天津甕星は、アマビエの変化の術を解いた。

「やっと、美しい我に、戻った。」

アマビエは、鏡を見て言った。

「おい、ツキビエ、こいつは、アマビエだろう。」

天津甕星は、ツキビエに、問うと、

「いいえ、アマビエは、ビエ族一の勇者です!

もっと、凶悪です!こんなトボけてません。」

きっぱりと、いった。

何か、言いたそうなアマビエを余所に、

「こいつは、アマ・ビエ、病を祓う者です。

悪い病を祓うのが、生業です。

悪い病が、流行りましたら応援に、行かせます。」

涼しい顔で、言った。

「食えない奴だ、流石、鬼のアマビエの夫君だ。

よく、あんなのと結婚したな。」

天津甕星が、問うと、

「私は、ビエ族の中の低い身分の生まれです。

アマビエとの結婚は、大出世です。

断る理由は、ありません。」

ツキビエは、すまして言った。

「・・・アマビエ様を愛してないの?」

クロちゃんが、心配そうに、聞くと、

「アマビエも大差はないと、思うぞ。

私を選んだ理由は、面倒くさい統治、事務手続きや、手配、

を卒なくやってくれるからと、言ってたからな。

・・・ロマンの無い答えで悪かったな。」

ツキビエは、クロちゃんの頭を撫でた。

クロちゃんが、アマビエの方を見ると(ーー)な顔をしていた。

・・・それは、それで微妙なのね。

「だが、私達は、生死を共にした仲だ。

私は、アマビエに、命を預けられるし、アマビエは、私に、命を

預けられる。

私達は、恋愛とかより、もっと強い絆で、結ばれているんだよ。」

ツキビエは、優しい笑顔で、言った。

言ってる事は、アレなんだけど・・・。

アマビエを見てると、まあまあの顔をしている。

「変わった夫婦だな、ま、鬼のアマビエと、死神のツキビエじゃ

普通じゃないな。

・・・そうだ、クロちゃん、今回のお礼をあげるよ。」

天津甕星は、クロちゃんを撫でた。

そして、

「おい!又べえ!」

又べえを呼ぶと、額に、ペタリと、黒ダイヤを貼った。

「あ、何だ?コレ取れないぞ!?」

又べえが、言うと、

「もし、クロちゃんに、命の危険が、ある時は代わりに、

お前が、死ね。」

「えええ!!!やだ~!」

又べえが、騒いだ!

「死にたくなくば、クロちゃんをしっかり、守れ!」

天津甕星が、怒鳴ると、又べえは、勢いに、押されて。

「・・・おう!任せとけ!」

と、言った。

「何で、そんなに、クロちゃんを大事にするの?

何もできないのに・・・。」

クロちゃんは、言いにくそうに、尋ねると、

「天津甕星、クロちゃんが、『豊穣の踊り』を踊ってくれて、沢山作物

が、実るように、なった。

私の国は、豊かになり、清龍郷の支援も手厚く出来た。

皆、クロちゃんを崇めていただろう?クロちゃんが、争いを

止めて、豊かさを与えたからだ。

皆、幸せになりたくて、神を崇めるのに、神が元で、争って

いては、何もならないな。

私が、一万年かけて出来なった事をクロちゃんは、解決して

しまった、凄い事だ。」

そう言って、クロちゃんの頭を撫でた。

そうして、天津甕星の家来が、何か微妙な視線を感じを感じて、

「あ、そういえば、天津甕星は、呼び捨てだったわ!

ごめんなさい!」

「大丈夫だ、私は、クロちゃんのマブダチらしいからな。

はっはっはっはっは。」

と、天津甕星は、明るく笑った。

・・・大体誰が、マブダチなんて・・・ふと、ツキビエの方を

見ると、悪戯っぽく笑っている。

「おい!他の神様は、沢山神玉をくれたぞ、水神様は、40個もくれた。

神玉を『豊穣の踊り』の礼をくれ。」

又べえが、言うと、

「そうきたか、ほら、クロちゃん。」

天津甕星は、神玉を50個出した、それをクロちゃんは、

スヌーピーリュックに、入れた。

「沢山、神玉ありがとう・・・あの・・・

要件は、済んだからクロちゃんは、お家に、

帰っていい?まだ、宿題が、終わってないの。」

クロちゃんが、言うと、

「そうだった、じゃあ帰ろうな。」

アマビエが、言うと、

「じゃ、また、おいで、待ってるよ。」

天津甕星は、明るくクロちゃん達を見送った。


水神池の竜宮城に、着くと、

「これで、支援の名目で、堂々とスパイ活動が、できるな。」

ツキビエが、言った。

「ああ、ミズ族と、元の天津甕星の領地の住民に、スパイさせるから

地元民と、区別しにくいしな。」

アマビエも言った。

「え?スパイ活動するの!?」

クロちゃんが、驚くと、

「当たり前だろう、向こうもスパイを送り込んで来ると、思うぞ。

スパイ合戦だな。」

ツキビエは、言った。

「それから天津甕星が、お土産に、沢山農作物をくれたからな

コレは、こっちでは、高く売れるから売り上げで、

清龍郷の支援金の補填をしてくれ。」

アマビエは、言った。

「了解だ、忙しくなるな。」

アマビエと、ツキビエは、楽しそうに言った。


・・・3か月後、清龍郷は、驚く程復興していた。

街は、整備され、広場の中央には、立派な銅像が、立っていた。

水神、天津甕星、中央には、牡丹マン姿で戦うクロちゃん、と、

タヌキのようなアマビエが、連続技を繰り出していた。

「・・・水神様と、天津甕星様が、仲良しの像なんて、初めて見たな。

・・・しかし、何で、我は、あんな姿・・・。」

アマビエが、言うと、

「そりゃ、清龍郷を救った、クロちゃんと、タヌキの師匠だから

皆崇めているぞ。

そうそう、ボコボコのアマビエの像は、とっとと、撤去したがな。」

天津甕星は、愉快そうに言った。 

「水神様と、一緒に、祭られていていいの?」

クロちゃんが、尋ねると、

「昔の私なら許さなかったが、クロちゃんが、この国を豊かにして、

くれた。

民は、豊かになり、争いは、減って、国は、強くなった。

美しい太陽の花を咲かせてくれて、美しい国に、なりつつある。

・・・変わらないといけないのは、私だろう。」

天津甕星の顔は、明るかった。

その見つめる眼差しは、楽し気に、牡丹マンゴッコをしている

子供達を映していた。

牡丹マンは、すっかり、人々のヒーローに、なっていた。

・・・しかし、あの牡丹マンは、やめて欲しいな。

恨めし気に、銅像を見て思うクロちゃんだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ