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師走

冬のひだまりがことのほか暖かく感じられる頃、クロちゃん神社

では、お正月の準備に、大忙しだった。

クロちゃん神社では、妖怪達が餅つきをしていた。

「ほら、つきたての餅だよ。」

鶴ちゃんが、亀ちゃんと、ついた餅を丸めて、クロちゃんに、

差し出した。

台の上には、きなこ、鰹節、海苔、醤油、卵、餡子が並んでいる。

「え?卵?」

クロちゃんが驚いていると、

「美味しいよ、こうやって、卵を溶いて、醤油をたらした中に、

餅を入れて、皿に取り出し、鰹節をまぶして、海苔をまく。

食べてごらん。」

クロちゃんは、お餅をパクリ!

「美味しい!卵かけご飯の味ね!」

クロちゃんが、言うと、大勢の人が、集まって来た。

「あ、しまった。」

クロちゃんが、あわてて、逃げようと、すると、

「あ、コレ、アマビエ様に、持って行ってくれ。」

鶴ちゃんは、手提げ袋をクロちゃんに、渡した。


クロちゃんビルのアマビエの部屋では、アマビエが、

嬉しそうに、荷物をまとめていた。

すると、ノックをする音が聞こえて、クロちゃんが、

入って来た。

「こんにちは、アマビエ様、鶴ちゃんから預かってきました。」

「あ、ありがとう、それは、我の家族の土産のお菓子だ。

鶴屋のクリーム餡フルーツ最中と、亀屋の

チョココーティングカステラと、まん丸の琥珀糖串刺し団子

みんな喜ぶぞ。」

嬉しそうに、アマビエが、言った。

「アマビエ様、帰っちゃうの?」

「天鯉部隊が、人手不足なんで、増員しに行くんだ。」

「え?人手が、そんなにいるの?」

「パパが、あちらこちらに、派遣しているからな。

大黒様の酒も無くなって、平癒マンを作れなくなってるらしい。」

「そう言えば、最近、大黒のおっちゃん見ないわね。」

クロちゃんは、ちょっと考えて、言った。

「大黒様は、大黒殿に帰っていのかもな、気まぐれ

な方だからな。」

アマビエは、言った。

「いないと、寂しいわね。」

クロちゃんが、呟くと、

「そうだ、クロちゃんも水神池で、天鯉部隊の増員を手伝って

くれないか?」

「え?いいけど、何で?」

「クロちゃんは、見る目があるからだ。

鯉を選別するのを手伝ってくれ。」

「いいわよ、丁度、冬休みだし、水神池にも行きたいわ。」

こうして、クロちゃんは、水神池に、天鯉部隊の増員に

行く事になった。


次の日、クロちゃんは、アマビエと、馬鯉に、乗って、

水神池に向かった。

竜宮城では、沢山の魚の妖怪達に、出迎えられた、

そして、嬉しそうに、水神様が、お出ましになった。

「クロちゃん、よく来たの~。」

「今日は、水神様。」

クロちゃんは、元気に挨拶した。

「水神様、今、帰りました。」

アマビエが、言うと、

「あ、アマビエか、ごくろうだったのう~。」

「クロちゃんは、天鯉部隊の増員するんで、鯉の選別を

手伝って貰う為に、連れてきました。

遊んでいる暇は、ありません。」

アマビエが、言うと、けんもほろろで、クロちゃんを

引っ張って行った。

「残念だの~、終わったらおいで、沢山お菓子と、御馳走を

用意しているからな。」

水神様は、手を振った。


鯉の養殖池では、沢山の鯉が、滝登りをしていた。

「さあ、クロちゃん1000匹選べ!」

「1000ひき!そんなに!戦争でもするみたい!?」

クロちゃんが、驚くと、

「もう、戦争してるだろう?この間から妖怪が、

襲ってきてるじゃないか。」

「・・・あ・そうか。」

「とにかく、1000匹ずつ訓練する!1000匹選べ。」

アマビエは、クロちゃんをせかした。

クロちゃんが、池を見ると、

「僕を選んで!」

「俺を選んで!」

「私を選んで!」

「僕を選んで!」

「俺を選んで!」

「私を選んで!」

と、鯉が、寄って来た。

「やる気が、あって、見込みのありそうなヤツを1000匹だ。」

アマビエが、言った。

「あ、じゃあの鯉、この鯉、その鯉、・・・・。」

と、クロちゃんは、クタクタになるまで、鯉を選別した。


「あ~疲れた。」

クロちゃんは、アマビエ邸で、グッタリして、おやつを

食べた。

ふわふわして、中には、甘酸っぱいジェルが入っている。

サクッと、かじると、程よくとろけるクッキー、

サクッと香ばしい焼き菓子、中に甘くて、いい匂いのナッツが

入ってた。

とりどりの果物は、甘酸っぱい洋ナシのような果物。

林檎ぐらいの大きさのベリー、パイナップルのような

味のオレンジ。

クロちゃんは、美味しくて、パクパク食べた。

「沢山召し上がれ。」

ユキビエが、言った。

「そう言えば、アマビエ様の母上に、会わないわね。」

クロちゃんは、言った。

「母上に、会いに行くか?」

アマビエが、言った。


アマビエの実家は、綺麗な白い大邸宅だった。

「アマビエ様のお家も大きくて、素敵だけど、

ここも素敵ね、ところで、アマビエ様の母上は?」

クロちゃんが、聞くと、

「母上は、こちらの部屋だ。」

部屋には、大きなふわふわの雲のようなベッドに、

アマビエによく似た婦人、タイ・ヨウビエが、眠っていた。

「眠っているの?」

「ああ、100年くらい寝ている。」

「100年!何で!?」

「母上は、一族の巫女で、100年前、災いがあったので、

それを祓う為に、力を使いつくして、この100年は、

殆ど寝ている。」

アマビエは、母を見ながら言った。

「あ、でもツチビエに、桃鯉をスパイに、送った時、

母上の紹介状を持たせてたわ。」

「馬鹿のツチビエに、母上が、目覚めたかどうか

わかるもんか。

それに、母上は、たまに、腹が空いたら目覚めて、喰って、又

寝てたららしいんだ。

腹は、すくみたいいだ。」

「あ、そうなんだ。」

クロちゃんは、アマビエの母上を見つめた。

「一角獣の守っている虹林檎(コウリンゴ)を喰えば、目覚める

かもしれないが・・・・。

一角獣は、穢れを嫌うから我が行く訳には、行かなくてな。」

アマビエは、言った。

「そうなのね・・・。」

「おい!ここは、クロちゃんが、取ってきてあげる!

って、いう流れだろう!」

「え!クロちゃんが、取ってくるの!?」

「他に、誰がいる!」

アマビエが、クロちゃんに、迫ると、

「た、助けてよ、みっちゃん!」

クロちゃんが、助けを求めると、

「みっちゃんは、妖怪も人も随分殺したから

穢れているから・・・ついて行って、あげられないよ。」

みっちゃんは、心配そうに言った。

「そんな~!」

「安心しろ!お前には、天ちゃんが、ついている!

たっちゃんも一角獣は、入れてくれるかもな。」

アマビエは、ニンマリ笑った。


馬鯉に跨り、クロちゃん達は、一角獣の住む山へ、向かった。

一角獣の住む山の入口で、クロちゃん達は、降りた。

「ここが、入口だ、又べえをつけてやる、頑張ってくれ。」

アマビエは、言った。

「あの~クロちゃんも又べえも結構、妖怪殺してるけど、

穢れてないの?」

クロちゃんが、聞くと、

「殺した数が、違う。

我や、みっちゃんは、完全にアウトだ。」

アマビエは、言った。

「あ、数の問題ね。」

・・・アマビエ様とみっちゃん、一体どれぐらい殺戮

したんだろう・・・。

「今まで、生きていて、虫一匹殺したことのない奴は、

いないだろう?

兎に角、クロちゃんに賭けた!よろしく頼んだぞ!」

アマビエは、言った。

「あの、取って来て言っていたけど、どうやるの?

お願いして貰うの?まさか盗んでくるの!?」

クロちゃんが、聞くと、アマビエは、考え込んで

「クロちゃんに、任せる。」

と、ニッコリ笑った。

「え!そんな・・・丸投げ。」

くろちゃんは、頭を抱えた。

そして、ちょっと考え込んで、

「あ、そうだ、一角獣の好物をあげたらどうかしら?」

「好物・・・肉食らしい・・くらいか。」

「・・・まさか、子供の肉が、好物とか?」

クロちゃんが、恐る恐る尋ねると、

「わからん、情報が、ない!我らは、ほら見ろ!

入口から押し戻される。」

アマビエが、入口に入ろうと、すると、押し戻された。

「鯉レンジャーも入れん、ここは、クロちゃんに、

かけるしかない。」

「又べえも妖怪は、大分倒しているような。」

クロちゃんが言うと、

「又べえは、大物を倒してるから数は、少ないんだ。

頼りないが、御供に、つけてやれるのは、コイツ

くらいだ、頼むぞ!又べえ!」

アマビエは、言った。

「まかせとけ!」

又べえは、嬉しそうに、言った。

「・・・じゃ、クロちゃん!頼んだぞ!」

アマビエは、言った。

「行って来ます・・・。」

クロちゃんは、渋々入口に、入った。

クロちゃんと、又べえは、難なく通過出来た。

「無事通過した!流石だ!クロちゃん!健闘を祈る!」

アマビエと、みっちゃんは、あの恥ずかしい

クロちゃんマークの旭日旗を振って、見送った。


クロちゃんと、又べえは、テクテクと、山を登って行った。

暫くすると、腹が空いて来た。

「クロちゃん、腹が空いたから飯にしよう。」

「そうね、疲れてきたわね、お昼にしょうか。」

クロちゃんは、背中からリュックサックを降ろして、

水神様の信玄袋を取り出して、中から弁当の包を

取り出した。

三段お重には、三のお重には、色々な物を混ぜた、綺麗な

おにぎり、二のお重には、美味しそうな、おかずが、一の

お重には、果物と、デザートが、入っていた。

「わ~!美味しそう!頂きます!。」

クロちゃんと、又べえは、パクパク食べた。

すると、角の生えたペンギンが、近づいて来た。

「美味しい?」

ペンギンは、尋ねた。

「美味しいわよ、食べる?」

「食べる!」

クロちゃんは、ペンギンに、御馳走を分けてあげた。

「チョコレートと、ポテチも食べる?キャラメルも

好きかしら?キャンデーもあるのよ。」

クロちゃんは、気前よくお菓子を分けてあげた。

「ねえ、この山に何しにきたの?」

「虹林檎を分けて貰いにきたの。」

「え!虹林檎!神様の食べ物だよ!とてつもない霊力が

得られるけど、盗ると、罰が当たるよ!」

一角ペンギンは、言った。

「お師匠のアマビエ様の母上が、ずっと、眠っているの。

100年前の厄さいを祓う時に、力を使い果たされたらしいの。

訳を話せば、譲ってくれると、思うわ。」

クロちゃんは、言った。

「あ、俺、黒丸・・・分けてくれるといいね。

食べ物分けてくれてありがとう、最近この辺りは、

魚が捕れなくなって、お腹ペコペコだったんだ。」

一角ペンギンは、言った。

「それは、大変ね、果物や野菜なら又べえに、

木を植えて貰えばいいけど。」

クロちゃんが、気の毒そうに言った。

「じゃ、魚がなる木を植えればいいぞ!」

「え!そんなの出来るの?」

クロちゃんが驚くと、

「まかせとけ!この小箱は、桜の大樹の神様の力で

何でも作れるぞ。」

最近、ドラえもんとなりつつある又べえは、言った。


黒丸の村に着くと、一角ペンギンが、ワラワラと、寄って

来た。

「おーい!みんな!お客さんだ!」

黒丸が、言うと、

「え!獲物じゃないのか!?」

みんな目が血走っている。

「みんな、落ち着け!まあ見ていろ!」

又べえは、そう言うと、小箱を取り出し、願いを込めて、

種を取り出し、土に植えて、太るドリンクをかけた。

すると、芽が出て、木になり、花が咲き、魚がたわわに実った。

「わ!魚だ!」

一角ペンギン達は、歓喜して、魚を採った。

「他にも食べ物が実る木を植えてやる!

もう、みんな飢えなくてもいいぞ!

俺は、又べえ!ここにいるクロちゃんの眷族だ!

みんな、クロちゃんを崇めろ!」

又べえは、叫んだ!

「おお!クロちゃん!又べえ!ありがとう!」

一角ペンギン達は、狂喜乱舞した!

「じゃ、先を急いでいるからクロちゃん達行くわね。」

クロちゃん達が、行こうとすると、

「あ、俺、案内するよ、お礼だ。」

黒丸が、言った。

「ありがとう、助かるわ。」

クロちゃん達は、一角ペンギン達に、見送られながら

村を出た。

「クロちゃん、ごめんね、俺、本当は、クロちゃん達を

食べようと、つけ狙っていたんだ。」

黒丸は、言った。

「え!そうだったの!?・・・食べ物持ってて

良かった。」

クロちゃんは、胸をなでおろした。

すると、大きな影が襲って来た!

「何!?」

バキッ!

思わず打ち出の小槌で、応戦すると、それは、角の生えた

アザラシだった。

「おう!美味そうだな。」

一角アザラシは、舌なめずりをした。

「ここは、アイツらの縄張りなんだ、アイツら俺達を

餌にしてるんだ!」

黒丸は、言った。

「必殺!桜吹雪!」

クロちゃんの桜吹雪が、さく裂した!

クロちゃんの攻撃に、一角アザラシは、吹っ飛んだ!

「く、くそう・・・3日ぶりの飯だったのに・・・。」

一角アザラシは、悔しそうに、言った。

「お腹が、すいていたのね。

又べえ、さっき見たいに、食べ物の木を植えてあげて。」

クロちゃんが、言うと、

「任せとけ!」

又べえは、そう言うと、小箱を取り出し、願いを込めて、

種を取り出し、土に植えて、太るドリンクをかけた。

すると、芽が出て、木になり、一角ペンギンが、たわわに

実った。

「又べえ、いくらなんでもコレは、ちょっと・・・。」

クロちゃんは、言った。

「こいつらの食べ物だ、これ喰って、一角ペンギンを

襲わなくなるなら、その方が、いいぞ。」

又べえは、言った。

「こりゃあ凄い!味も一角ペンギンだ!美味い!」

一角アザラシは、旨そうに喰った。

それを黒丸は、微妙な顔をして、眺めていた。

「この木を沢山植えてあげるから

もう、一角ペンギンを襲うのは、やめて。」

クロちゃんが、言うと、

「悪くは、ないな。

村に、この木を沢山植えてくれ。」

一角アザラシは、そう言った。

そして、一角アザラシの村で、沢山の一角ペンギンの

実木を植えた。

一角アザラシみんな歓喜して、クロちゃん達を

見送っていると、

「あ、言い忘れた!お前達が、又、一角ペンギンを襲ったり、

喰ったりしたら、コレは、実を付けなくなるし、

逆に、お前達を襲う様になるぞ。」

又べえが、言った。

「ええ!!」

一角アザラシみんな驚くと、

「みんなで、仲良く暮らせないなら罰が当たる!

クロちゃん大明神の意志だ!

みんな!くれぐれも忘れるなよ!」

又べえは、叫んだ!

「はは~!心得ました。」

一角アザラシ達は、叫んだ。


暫く歩くと、

「本当に、ありがとう!これで、もう一角アザラシに、

仲間が喰われる事は、なくなったよ。

なんて、お礼をいったらいいか。」

黒丸は、何度も頭を下げた。

「いいってことよ!よかったな。」

「又べえ、凄いのね、これで、もう一角ペンギンが

襲われなくなったわ。」

クロちゃんが、言うと、

「又べえもずっと、喰われる側だったからな。

気持ちは、わかるんだ。」

又べえは、言った。

・・・いや、以前の又べえなら、ここまで考えなかった。

又べえも色々と、成長しているのだ。

クロちゃんは、嬉しくなった。

暫く行くと、

「これより先に、俺行ったことがないんだ。

この山の神域なんだ、勝手に入っていいかどうか・・・。」

そう言って、黒丸は、入口に入ろうとすると、押し戻された。

「神様が、勝手に入るのを許さないんだ。」

「そんな・・・ここまで来て・・・。」

クロちゃんが、入口のところを押すと、スカッと、手が

通った。

「あ、通れた。」

クロちゃんが、通ると、

「又べえも通れたぞ!」

またべえも通った。

「・・・呼ばれているのね。

黒丸、ありがとう、ここまででいいわ。」

「あ、でも・・・。」

「入れないし、ここまで案内してくれてありがとう。

みんなに、よろしくね。」

黒丸に、手を振って、クロちゃん達は、先を急いだ。

ドンドン歩いて行くと、周りの草木が少なくなってきた。

「なんか草や木が元気ないわね。」

「数も少なくなってきたな。」

二人で話していると、大きな白い鳥居のような入口が

見えた。

「これが、神様の所への入口かしら?」

二人は、入口に、入った。

中は広い広間で、でっかい角の付いた亀がいた。

「今日は、この山の神様ですか?」

でっかい亀は、振り返って

「そうだ、この山の神神虹亀(シンコウキ)だ。

お前達、勝手に、人の山の生態系を崩したな!

あんな木を沢山植えると、一角ペンギンと、一角アザラシが、

増えすぎるだろう!」

神虹亀は、怒った。

「え!だって、一角ペンギンも一角アザラシも話すし、

友達になったわ、困っているのに、知らん顔なんて

出来ないわ。」

「それは、勝手に、お前が思っているだけだろう!

私は、この山の中で、生き物のバランスをとる様に、

作っている!勝手な事をするな!」

「だって、魚が、急に獲れなくなったって、一角ペンギンは、

言っていていたわ。

それに、ここの草や木は、元気がないわ。

小さな動物もあんまりいないし、神様の管理が、悪いんじゃ

ない?」

クロちゃんは、言った。

「お前は、私の力が足りないと、言いに来たのか!」

神虹亀は、怒った。

「ごめんなさい、僕は、クロちゃんと、言います。

お師匠のアマビエ様の母上が、100年前の厄さいを

祓って、ずっと、眠っているの。

アマビエ様の母上が、目覚めるように、虹林檎を食べさせて

あげたいので、分けて下さい。

お願いします。」

クロちゃんと、又べえは、頭を下げた。

「虹林檎は、あそこに、一つだけ実っている、もうない。

欲しければ、私を倒して、盗っていけ!」

神虹亀は、怒鳴った。

「ご、ごめんなさい。そんな貴重な物とは、知りません

でした。

諦めて、帰ります。」

クロちゃんは、ションボリして、元来た道を帰ろうと、すると、

「おい!お前達!私を怒らせたまま帰る気か!?」

神虹亀は、怒鳴った。

振り返れると、神虹亀は、物凄い形相で、怒っていた。

「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」

クロちゃんは、謝ったが、神虹亀は、亀とは思えない

スピードで、攻撃してきた!あっと、言う間に追いつき!

両方の手で攻撃する!バシッ!

間一髪!クロちゃんと、又べえは、逃れた!

「又べえ!左右反対に、逃げるわよ!」

「ガッテンだ!」

二人は、右と左に、別れたが、ドンガラガッシャン!

クロちゃんは、神虹亀の雷の連続攻撃を受けた!

間一髪全部避ける事が、できたが、

「ひゃ!ひゃ!ひゃ!」

神虹亀の右腕の連続攻撃を受けて、とうとう捕まって

しまった!

「コイツ!潰してやる!」

「うあああ!」

又べえを潰そうとした、その時!

「ウオーターガン!」

クロちゃんは、打ち出の小槌からウオーターガンを

連発した!

神虹亀は、ポロリと、又べえを落とした。

又べえは、慌てて逃げた。

「私を怒らせたな!」

神虹亀は、周りをバンバン!破壊しながら攻撃する!

ドンガラガッシャン!ドンガラガッシャン!ドンガラガッシャン!

雷攻撃は、いつまで避けれるだろう・・・。

その時、でっかい亀の腕が、クロちゃんを押しつぶそうと

した!その時、でっかい龍が、押し返した!たっちゃんだ!

「大丈夫か、クロちゃん?」

バキッ!!でっかい麒麟が、神虹亀を容赦なく蹴っている!

「天ちゃん!」

・・・麒麟は、穢れを嫌うとか、草花を走る時、潰さない

様に、纏足してるとか聞いていたが・・・。

天ちゃんは、容赦ない!たっちゃんと、天ちゃんで、ボコボコ

に、している。

「ね、やめて!それ以上は、死んじゃうわ!

悪いのは、クロちゃんだからやめて!」

クロちゃんは、一生懸命止めた。

「いいんだ、クロちゃん、私は、もう寿命だ。ここで死ぬ。」

神虹亀は、力なく言った

「そんな、お年寄りって、知らなくて、ごめんなさい。」

クロちゃんが、慌ててかけよると、

「寿命が近く、私に、力がなくなってきたら・・・

魚が獲れなくなり、草木も実を付ける元気がなくなった。

新しい主を見つけなければ、死ぬに死ねないところだった。

・・・よかった、新しい主を見つけた。

・・・クロちゃん、新しい主は、クロちゃんだ・・・

ずっと、見ていた・・・。

穢れなく、一角ペンギンや、一角アザラシを助けてやる、優しさ。

勇敢な上に、強い従者もいる・・・良い主に、なるだろう・・・。

後は、頼む・・・主の証に、このべっ甲の欠片をやる・・・。

これは、ひとつだけ願いを叶えられる・・・。

頼んだぞ・・・。クロちゃん・・・。」

神虹亀は、絶命した・・・。

「死んじゃった・・・。

・・・クロちゃんが、主?・・・。」

「凄いなクロちゃん!こんなでっかい山の主だ。」

又べえが、言った。

・・・ちょっと!この亀、何勝手に決めてるのかしら!

お正月には、帰らないと、お年玉貰えないわ。

歳が明けたら、スケートや映画に、行く予定だった

のに・・・宿題もしてないわ。

どうしょう・・・。

クロちゃんは、あまりの事に呆然と、してしまった。

「・・・たっちゃん、アマビエ様に、知らせて来て。」

・・・アマビエを頼るしかないわ。


馬鯉に跨り、アマビエと、みっちゃんが、やって来た。

「クロちゃん!でかした!虹林檎も手に入れて、ここの

主に、なったそうだな!おめでとう!

ここは、結構良い山だ、時々遊びに来るな。」

アマビエは、能天気に、言った。

「クロちゃんは、そんなものなりたくないわ。

どうにかして!」

クロちゃんは、アマビエに迫った!

「クロちゃん、誰でも主になれる訳じゃないからな、

ましては、最期の力ふり絞って、闘って、

クロちゃんに、託している、無下にするのはなあ・・・。」

アマビエは、言った。

「主になったら長い事、留守にできないよ。

ここに住む事になるね。」

みっちゃんが、心配そうに、言った。

「そんな~!」

「あ、又べえ、お前、クロちゃんが、このまま主になったら

どうする?」

アマビエは、尋ねた。

「又べえは、星華と、ここに、住むぞ。

それに、万福商店街の他の妖怪もクロちゃんに、ついて来るぞ。

クロちゃんのいる所が、又べえ達のいる場所だ。」

「ありがとう、又べえ。」

「スケート場や、映画館や家や、店は、留達が建ててくれるし、

鶴亀や一之介や他の店の妖怪が美味しい物を沢山作ってくれる。

結構快適じゃないのか?」

アマビエは、言った。

「でも~。」

クロちゃんは、困った。

「それより、この亀の死体喰ってもいいか?」

又べえが、神虹亀を見ながら言った。

「た、食べるの!?」

「このまま腐ると、臭いし、神様だから喰うと、

又べえの力が、アップする!」

「でも・・・確かに、土に埋めるには、大きすぎるけど。」

クロちゃんは、マジマジと神虹亀を見た。

すると、

「クロちゃん!大丈夫!?」

黒丸が、走って、来た。

「あ、黒丸、どうしたの?」

「急に、入口が、光って、ほら草や木に実が、沢山実って、

川には、魚が戻ってきたんで、不思議に思っていたら

入口に、入れたんで、追って来たんだよ。」

「クロちゃんが、主になったんで、山が豊かになったんだ。

主が、新しくなるとは、そういう事だ。」

アマビエが、言った。

「クロちゃん、ここの神様になったの!?

良かった!あ、寝床用の干し草と、魚や、木の実を

持ってくるね~。」

黒丸は、嬉しそうに、言った。

みっちゃんは、ずっと考え込んていたが、

「クロちゃん、決めた!みっちゃんもクロちゃんと、

ここに、住むよ。」

「え!いいの?」

「うん、櫻子ちゃんをずっと、守護してたけど、

クロちゃんと、いる方が楽しいし、寿命もあるしね。」

みっちゃんは、笑った。

・・・段々この山に、住む方向に、話が、進んでいる。

「あ、このべっ甲の欠片は、何か、凄い力が宿って

いるな。」

アマビエは、べっ甲の欠片を拾った。

「あ、それは、神虹亀様が、ひとつだけ願いを叶えられる

って、言ってたわ。」

クロちゃんが、言うと、

アマビエは、べっ甲の欠片を差し出し、

「ほら、折角だから何か、お願い事してみたらどうだ。

お願いしたい事が、1つくらいあるだろう?」

クロちゃんは、じっと、考えて・・・。

「神虹亀様!生き返るか、生まれ変わるかして、又、ここの

主に、なって!

クロちゃんは、こんな山の主には、なりたくないわ!」

クロちゃんが、言うと、

神虹亀の遺体は、光り!クロちゃんの掌くらいの七色に

輝く亀が姿を現した。

「生まれ変わったのね。」

「・・・クロちゃん、頼めなかったか。」

「クロちゃんは、お家が、あるもの無理よ。」

「ここは、他より色々進化が遅れているだろう?

私の頭が固いからだ。

クロちゃんなら山をもっと、進化させて、豊かにしてくれる

と、思ったが・・・。」

「そんなに、悩まなくても少しずつ変えていけばいいのよ。」

クロちゃんが、言った。

「そうだな、少しずつ変えて行くか。」

「そうだ、クロちゃん、下っ端の福の神だから実りが、多くなる

ように、『豊穣の踊り』を踊ってあげる!」

クロちゃんは、神虹亀を降ろして、みっちゃんと、踊り始めた。

すると、花は、咲き乱れ、木々は、実を付け始めた。

虹林檎の木も沢山の実をつけた。

「おお!ありがとう、クロちゃん、お礼に、好きなだけ

虹林檎を持って行ってくれ。」

神虹亀は、大喜びで、言った。

「ありがとうございます!」

と、クロちゃんより早く、アマビエは、言って、虹林檎を

捥ぎ始めた。

又べえは、べっ甲の欠片を見せながら

「神様、このべっ甲の欠片いらないならくれないか?」

又べえが、聞くと、

「ああ、構わんが、それは、役目を終えているぞ。」

「凄く綺麗だし、なんか、まだ、力がある。

クロちゃんを守る時、役にたちそうな気がする。」

又べえは、嬉しそうに、べっ甲の欠片をポケットに、

しまった。

「クロちゃん、打ち出の小槌を出してごらん。」

神虹亀が言うので、クロちゃんは、打ち出の小槌を出した。

すると、神虹亀は、打ち出の小槌に、飛び乗った、

すちと、ピカッと光った。

「私の力を込めた、クロちゃんの力になる。」

「ありがとう、神虹亀様。」

クロちゃんは、お礼を言った。

「さようなら~虹林檎ありがとう!お元気で~。」

そう言って、クロちゃん達は、山を後にして、アマビエの母の家

へ急いだ。

「クロちゃ~ん!また来てね~!」

神虹亀と、黒丸が、いつまでも手を振っていた。


タイ・ヨウビエの部屋で、アマビエは、意気揚々と、水神様の

信玄袋から虹林檎を取り出した。

「あ、干からびている、みんな・・・。」

虹林檎は、みんな干からびていた。

そして、バラバラと、砕けてしまった。

「わわ!!砕けた欠片を集めろ!お湯に溶いて、飲ませて

みよう。」

アマビエ達は、虹林檎の欠片をすりつぶして、お湯に溶いて

長い管で、タイ・ヨウビエの口に流し込んだが・・・。

タイ・ヨウビエは、目覚めなかった。

「あの山から出ると、効果が、なくなるのか・・・。

あ、そうだ、又べえ!お前、虹林檎を作って、植えてくれ!」

アマビエが、言うと、

「任せとけ!」

又べえは、そう言うと、小箱を取り出し、願いを込めて、

種を取り出し、土に植えて、太るドリンクをかけた。

すると、芽が出て、木になり、花が咲き、

虹林檎が、たわわに、実った。

それを捥いで、アマビエは、ガブリ!と喰った。

「甘くて、旨い!霊力も上がるが・・・あの山で、

喰ったほどでは、ないな・・・。」

「あ、でも、食べさせてみたら?」

「そうだな。」

虹林檎をすりつぶして、長い管で、タイ・ヨウビエの

口に流し込んだが・・・。

タイ・ヨウビエは、目覚めなかった。

「ダメか・・・母上をあの山まで、連れて行くか?

う~ん」

アマビエは、考えこんで、しまった。

「兎に角、一息入れよう。

あ、母上に、土産の菓子が、あったな。」

アマビエは、水神様の信玄袋から鶴屋のクリーム餡

フルーツ最中、亀屋のチョココーティングカステラ、

まん丸の琥珀糖串刺し団子を次々に、テーブルに

並べた。

香りの良いお茶を飲み、食べながらながら考えた。

「コレ、喰ったら母上を連れて、あの山に、行こう。」

そう話していると、いつも間にか、タイ・ヨウビエが、

モグモグと、お菓子を食べていた。

「これは、初めて食べる菓子ですね、美味しいわ。」

「母上!目覚められたのですか!?」

「だるいから必要最低限しか起きないのです。

霊力が戻らなくてね。」

元気なさげに、言った。

すると、又べえが、天水蜜桃と、虹林檎を山盛り

持って来た。

「ここの庭に、木を沢山植えたから沢山食べて、

元気になってくれ。」

タイ・ヨウビエは、天水蜜桃の皮をプリりと剥いて、

食べた。

「美味しい!霊力が、戻ってくる!」

「虹林檎も食べてくれ。」

タイ・ヨウビエは、アマビエが、皮をむいた虹林檎を

ガブリ!

「美味しい!霊力が、戻ってくる!もっと!もっとだ!」

大喜びで、食べた。

タイ・ヨウビエの家の者総がかりで、天水蜜桃と、虹林檎の

皮を剥いた。

クロちゃん達は、は、ヘトヘトだ、手は、果物汁でヒリヒリ

してきた。

又べえも天水蜜桃と、虹林檎を作るのに、疲れてきた。

アマビエだけは、必死で、皮を剥いている。

それを見ると、疲れたと、言いにくい。

ちょっと、ウンザリしてきていると、

「みんな、ありがとう!霊力が戻りました。

心より、お礼申し上げます。」

タイ・ヨウビエは、お礼を言った。

「みんな!ありがとう!母上が、目覚めた!これで、

ビエ一族は、安泰だ!。」

「アマビエ、ありがとう。

元気そうで、何より、達者にしていましたか?」

「はい!母上!叔父上を倒して、今では、我が、

ビエ一族の長です!」

自慢げに、アマビエは、言った。

「とうとう長になりましたか!いつかは、やると思って

いましたが、流石我が子!あっぱれです!」

母上に、褒められ、アマビエは、嬉しそうだ。

すると、クロちゃんを見て、

「お前、大変ですね。」

「え!そうなんですか。」

「黄熊の妖怪と、闘わねばなりませんね。

黄熊と、つるんでいるハゲ白熊の妖怪が、春に大変な事を

しでかします。

お前の国にも影響が出てきます。」

タイ・ヨウビエは、心配そうに、言った。

「え!ど、どうしょう。」

クロちゃんが、困っていると、

「でも、頑張っていれば、解決の糸口が、見えてきます。

頑張りなさい。」

タイ・ヨウビエは、言った。

そして、又べえの方を見て、

「あ、お前、霊力のある沢山の果物をありがとう。

お前のポケットの中にある、べっ甲の欠片を

出してごらんなさい。」

「あ、コレか?」

又べえは、ポケットの中からべっ甲の欠片を出した。

タイ・ヨウビエは、それを受け取り、呪文を唱えた。

すると、優しい光が、べっ甲の欠片を包んだ。

「これで、何か一つだけ、お願いが叶う力が、復活

しました。」

「ありがとう!タイ・ヨウビエ様!何を願おう。」

又べえが、嬉しそうに、言うと、

「その願いは、クロちゃんの為に使いなさい。」

タイ・ヨウビエは、言った。

「・・・わかった!クロちゃんの為に、使う。」

又べえは、答えた。

「では、クロちゃんは、ソロソロ帰らないと、

お年玉をもらい損ないますよ。

アマビエ、送ってあげなさい。」

タイ・ヨウビエは、笑った。

「承知しました、さ、クロちゃん帰ろう。」

アマビエは、クロちゃんと、帰ろうと、すると、

「水神様の所に寄らないと、駄目じゃない?」

クロちゃんは、言った。

「あ、忘れていた。」

アマビエは、言った。


竜宮城では、水神様の歓待を受けて、クロちゃんは、

アマビエ達と、踊った。

「あ~疲れた。」

アマビエが、酒の盃をクピッと飲むと、

「アマビエ、次の任務なんじゃが、そろそろ

とりかかってくれ。」

水神様は、言った。

「わかりました、クロちゃんを送り届けたら

任務に、向かいます。」

「え!アマビエ様、水神池に戻るの?」

クロちゃんが、驚いて、尋ねると。

「我も仕事があるからな、天鯉部隊も平癒マンも

沢山いるから心配するな。」

アマビエは、笑った。

・・・アマビエ様が、いなくなる。

・・・不安が胸をよぎる。

馬鯉に跨り、アマビエに贈って貰って、クロちゃんは、

家に帰り着いた。

年越しそばを食べながらアマビエが、いないのを寂しく

思った。


年が明けると、クロちゃん神社は、沢山の参拝客で、

賑わっていた。

クロちゃんは、クロちゃんビルへ、新年の挨拶に、

行った。

クロちゃんビルの広間に入ると、

「そこ!腰が甘い!」

怒号が、聞こえる!あの怒号は!・・・。

「アマビエ様!帰ったの?!」

クロちゃんが、走って行くと、タイ・ヨウビエが、

ビシバシと、天鯉部隊に、踊りの稽古をつけていた。

「あ、明けましておめでとうございます。

タイ・ヨウビエ様、どうして、ここに?」

クロちゃんが、驚いていると、

「ここに、静養に来たのですよ。

ついでに、毎日、中国貧乏音頭と、ロシア貧乏音頭を

天鯉部隊と、クロちゃんに、躍らせるように、頼まれました。」

タイ・ヨウビエは、笑った。

「病み上がりなのに、ありがとうございます。」

クロちゃんは、言った。

「それに、私は、なかなか強いのですよ。

中国妖怪だろうが、ロシア妖怪だろうが、叩き伏せます!」

タイ・ヨウビエは、刀を取り出し、ぶん!と振って、

カッカッカッと、笑った。

・・・流石、アマビエ様の母上、女傑だ。

しかし、静養に、なるのだろうか?

「アマビエ様より、メチャ厳しいんですよ。」

天鯉33号がこっそり言った。

また、凄い方が、やって来たなと、思うクロちゃんだった。



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