星願魚
残暑を乗り越え、朝夕はずいぶん涼しくなり、セミの声も
ツクツクボウシに変わる頃、クロちゃんは、夏休みの宿題の
追い込みに入っていた。
中国風邪を祓う舞は、天鯉部隊と、MPK48の補欠部隊が、
交代で、踊りに行っているので、クロちゃんは、順調に
夏休みの宿題を片付けていた。
「プリントもドリルも絵日記も朝顔の観察も大体終わったわ。
後は、工作と、夏休みの思い出の絵ね。」
クロちゃんが、言うと、
「お前、夏休みの宿題ほぼ終わっているのですか!?」
ちょこが、驚愕の声をあげた。
「クロちゃん、偉いな、俺もまだ、国語プリント残ってるぞ。」
セピが、言った。
「チョコは、殆ど終わってないです。」
チョコが、ばつが悪そうに言うと。
「しょうがないから俺の急いで写せ!」
セヒが、自分の終わった宿題を差し出した。
「セヒ、ありがとうです。」
チョコは、喜んで宿題を写し始めた。
「クロちゃん、宿題済んだか?」
アマビエがやって来た。
「殆ど終わったわ、後は、工作と、夏休みの思い出の絵を
ぐらいよ。」
クロちゃんが言うと、
「お!よし、よし、それなら我と、天龍様の所に
行かないか?手伝いを頼まれている。」
アマビエが言うと、
「行く!」
「行く!」
チョコとセヒが元気よく言った。
「セヒ兄ちゃんは、ともかく、チョコ兄ちゃんは、
宿題終わってないじゃない。」
クロちゃんは、呆れた。
「クロちゃんだけでいいからお前らは、留守番だ。」
アマビエに、けんもほろろに言われて、二人は、がっかり
した。
「天龍様のお手伝いって何するの?」
クロちゃんが尋ねると、
「天龍様は、気が向いた時に、星願魚を地上に放す。
星願魚、その名の通り、捕まえて食すれば、願いが、かなう。
お前達が流れ星と、言ってるやつだ。」
「流れ星のお手伝いなんて、素敵ね、夏休みの思い出の絵が
描けるわね。」
クロちゃんは、ウキウキした。
「みっちゃんも夏休みの思い出の絵は、それにする。」
みっちゃんも笑った。
「あ、そういえば、みっちゃんも夏休みの宿題していたわね。」
「うん、クロちゃんと、一緒に大きくなるから同じ様に
宿題するよ。
めんどくさいとか、文句も言うの。
そういうのに憧れてたから。」
・・・あ、そうか、みっちゃんの願いは、普通に大きくなる
事だった。
「なんだか夢のあるお手伝いね、楽しみ。」
クロちゃんが、ご機嫌に言った。
「じゃ、しっかり黄金の星願魚をゲットするんだぞ!」
アマビエは、言った。
「え?星願魚を逃すお手伝いをするんでしょう?」
クロちゃんが不思議そうに言うと、
「そうだ、どこに逃すのも自由だから天鯉部隊部隊に
回収させる。
クロちゃんは、運が強いから一番レアな黄金の星願魚
の当番になる確率が高いから天鯉部隊のいる方へ逃せ。」
「それ、ズルじゃないかしら。」
クロちゃんが言うと、
「そういう特典がないと、誰が手伝いなんかするか。」
アマビエは、言った。
「四の五の言わずについて来い!」
アマビエは、叫んだ。
こうして、クロちゃん達は、天龍様の元に行く事になった。
アマビエ、クロちゃん、みっちゃん、親方、又べえ、星明
は、馬龍に跨り、大空に馬龍は、舞い上がった。
青い空は、段々と虹色に輝き、うっすらと輝く、天龍の国に、
着いた。
七色に輝く天龍宮城に、着いた。
「わあ~!綺麗な所ね。」
クロちゃん達は、大はしゃぎである。
「この先に、天竜様がいらっしゃる、失礼のないようにな。」
長い廊下を進んで、天竜の元に着いた。
白いふわふわの鳥の妖怪が出迎え、案内してくれた。
「ここの妖怪は、鳥の妖怪なのね。
ふわふわで、可愛いわ。」
アマビエに、深々と挨拶する鳥の妖怪を見て、クロちゃんは、
言った。
大きな扉が開かれると、七色に輝く天龍様がいた。
「これは、天龍様、ご機嫌麗しゅうございます。
これなるが、噂の私の弟子達を
今日の星願魚放流の手伝いに、連れてまいりました。」
アマビエが、挨拶した。
天龍様は、じっとクロちゃんを見て、
「お前が、クロちゃんか?」
「はい、クロちゃんです、よろしくね。」
クロちゃんが、ニコッと笑うと、
「おお!噂にたがわず可愛いのう。」
猫好きに劇可愛いの子猫を見せた時の様な顔で、笑った。
「星願魚の放流が、終わったら、みんなで踊りますよ。」
アマビエがは、笑った。
「では、頼むぞ。」
天龍様は、言った。
「任せてください。」
アマビエは、返事した。
長い廊下を歩て、星願魚の放流所に、着いた。
「ここは、みんな、ぼんやり七色に光っているのね。」
クロちゃんは、周りを見回した。
沢山の大きな水滴が、宙を浮いていて、沢山の
輝く魚が泳いでいた。
「わ、お魚~!あの大きいのが、黄金の星願魚かしら」
クロちゃんが、指さすと、
「違う、あの大きな魚は、みんな雑魚だ。
黄金の星願魚は、凄く小さく、とても美しく輝いている。
とても尊い魂だからな。」
アマビエは、いった。
「え!あれ魂なの?」
「厳密には、動物や、人、妖怪等死んで、なんらかの
理由で、心残りのある魂が、願いをかなえる事で
魂が浄化され、生まれ変わる儀式だ。」
「でも、コレ掴めるぞ。」
又べえが、水滴に手を突っ込んで、魚を掴んだ。
「つかの間の肉体を与えられているんだ。」
アマビエが言うと、
「食べたら痛くないの?」
クロちゃんが尋ねた。
「さあ、どうだろう?魚に聞いた事は、ないな。
今、聞いてみろ。」
すると、又べえがギュッと魚を握った。
「痛い!ヤメテ!」
魚は、叫んだ。
「痛いみたい。」
クロちゃんは、言った。
「食べたら痛いわよね。」
クロちゃんは、魚たちを見た。
「食べらるとは、限らない。
流れ星にが、消える前に、3回お願い事を繰り替えせば
叶うというだろう。」
「あ、3回お願い事を繰り替えせばいいのね。」
クロちゃんが、納得すると、
「いいや、基本魚の気の向くままだ、願いをキャッチして
それをかなえて、消えていくのが殆どだ。
たまに捕まえて、喰われるヤツもいるが。」
アマビエが、言うと、
「殆どのお魚は、食べられないのね。
良かった。」
クロちゃんが言うと、
「大きな魚は、大雑把な願いしか叶えられない。
『明日、天気にしてね』『お腹一杯食べられますように』
『テストの点が上がりますように』
のレベルだ。」
「そうなの・・・アマビエ様は、黄金の星願魚に、
何を願うの?『中国風邪が収束しますように?』」
クロちゃんが尋ねると、
「我の出世だ!中国風邪は、ワクチンや、薬が出来たから
その内収束する。
そのワクチン草やマスク草、数々の珍しい種を生み出す箱を
作る、とてつもない能力だ。
桜の大樹のじじいの力を見せつけられると、我の力なんか
微々たるものだと思う。
出世して、大きな力を得たい。」
アマビエは、しんみりと言った。
「アマビエ様、いつも自信満々だから
そんな事思っていたのは、意外ね。」
クロちゃんは、言った。
「我は、有能な中間管理職の神の位置付けだ。」
アマビエは、言った。
「そうなの。」
・・・神様の世界も色々大変だ。
「じゃ、この水滴を神通力で運ぶ、その際に、
黄金の星願魚を逃す事があったら教えてくれ。
黄金の星願魚は、逃す者を選ぶ、
黄金の星願魚に選ばれたら天竜様から特別の
ご褒美を頂ける。」
アマビエが言うと、
「それ横取りするんですか?」
みっちゃんが言うと、
「そんなみみっちいことは、言わん、天鯉部隊の
方へ逃がしてくれ、特殊アイテムで、捕まえる。
ご褒美は、選ばれた者の物だ。」
「クロちゃんが、見つけたらアマビエ様に、あげるわ。
どうせ価値なんて、わからないもの。
アマビエ様が喜んでくれたら嬉しいわ。」
クロちゃんは、笑った。
「クロちゃんは、いい子だな。」
アマビエは、クロちゃんの頭をなでた。
「よう、アマビエ、お前も手伝いを頼まれたのか?
ま、黄金の星願魚は、俺が見つける!」
いきなりリクビエがやって来た。
「こちらも良い子を連れて来た、黄金の星願魚は、
必ずこの子を気に入る。」
そう言って、リクビエは、小さな白い鯉の男の子の
肩をポン!と叩いた。
「お前じゃ性格悪すぎて、嫌われるのは自覚があるんだな。」
アマビエは、シレっと言った。
「何!」
「図星だ!我は、我の人徳で、黄金の星願魚に選ばれる!
自信がある!」
アマビエは、自信満々に言った。
「ふん!今にわかる」
リクビエは、捨て台詞を吐いて、向こうに行った。
向こうを見ると、ウミビエ、カワビエも部下の妖怪を
引き連れて、星願魚の水滴を下に、落としている。
「沢山あるのね、あれ、クロちゃん動かせるかしら?」
クロちゃんが、心配そうに言うと、
「お前は、下っ端だが、福の神だ、神通力がある。
打ち出の小槌を使えば、思いのままだ。」
「そうなんだ。」
クロちゃん達は、せっせと水滴を下に落とし始めた。
大分落とした頃。
「皆さま休憩して下さい、休憩所を設けてますから
ご案内いたします。」
白鳥の妖怪が、クロちゃん達を休憩所に案内した。
「黄金の星願魚いたか?」
アマビエが尋ねた。
「ううん、よく見て放したけど、いなかったわ。」
クロちゃんは、答えた。
「ま、一服するか。」
皆は、テーブルに、ついた。
でも、クロちゃん、アマビエ、みっちゃんは、同じ
テーブル。
親方、又べえ、星明は、別のテーブルだ。
「何でテーブル離れているの?」
クロちゃんが、聞くと、
「こっちは、神様席、あっちは、従者席だ。」
アマビエが、言うと、
「一緒に食べる方が、楽しいのに。」
クロちゃんが言うと、
「それもそうだな、おい、お前らそのテーブルをこっちに
くっけろ。」
アマビエが、言うと、
親方、又べえ、星明は、自分達のテーブルをくっけた。
テーブルには、数々のお菓子や飲み物が並んでいた。
が、やはり、菓子も飲み物も違う。
中央の器には、桃に似た果物が置いてあって、
神様席は、赤く七色に輝き、従者席では、赤い色を
していた。
「果物も違うのね。」
クロちゃんが言うと、
「こっちは、神様用の高級食だからな。」
アマビエが言った。
「あ、親方、水神様の信玄袋から包丁出して、
クロちゃんの果物は、4つに切って、親方や星明や、又べえにも
食べて欲しいわ。
きっと美味しいもの。」
クロちゃんが言うと、
「この天水蜜桃は、神用は、凄い霊力が回復する上に、
霊力が増すぞ。」
アマビエが、言うと、
「クロちゃんは、良くわからないから別にいいわ。」
クロちゃんは、笑った。
「そうだね、みっちゃんの分もみんなと分けるよ。」
みっちゃんが、言うと、アマビエは、考えて、
「そうだな我の分もみんなで分けよう。」
「え!いいんですか!?」
親方達は、驚いた。
「この機会に、従者に出されている物を食べるのも
いいかもしれない。」
アマビエは、言った。
「じゃ、切りますよ。」
親方が、神様用の天水蜜桃を半分に切ると、天水蜜桃は2つに
増えた。
「え!?果物が増えた!?」
みんなは、驚いた。
「おい、もっと切ってみろ!」
親方は、天水蜜桃をまた2つに切ると、天水蜜桃は、また
増えた。
「親方、その包丁は、水神様からの賜り物か?」
「そうですじゃ。」
「それで、増えたのね。」
クロちゃんが、言うと、
「そのせいなのか?天竜様が試していて、外に出たら
切っても増えないかもしれない。
兎に角、親方、ドンドン切ってくれ!
みんな!喰えるだけ喰え!残りは、土産だ!菓子も
持ち帰れる分は、土産だ。」
アマビエは、ご機嫌に、言った。
「従者用は、切っても増えませんな。」
親方が、従者用の天水蜜桃を切って、言うと、
「それは、増やさんでもいいぞ!
又べえ!お前は、帰ったらこの天水蜜桃の木を作れ!
庭に植えて、みんなで食べよう。」
アマビエは、ご機嫌に言った。
天水蜜桃は、甘く、芳醇な香りがした。
ほのかな酸味と、濃い桃の香りに花の香りもする。
果肉は、柔らかく、実は締まっている。
「凄く濃い味の桃ね、なんだか体が軽くなって、
力がみなぎるような感じだわ。」
クロちゃんは、美味しくて、夢中で食べた。
「旨いな!めっちゃ力がみなぎるな!
あと、半分の逃し頑張るぞ!」
アマビエは、ご機嫌に言った。
そして、クロちゃんに、
「目を皿のようにして、黄金の星願魚を見つけるんだぞ。」
発破をかけた。
「は、はい。」
クロちゃんは、困ったように返事をした。
星願魚の放流場所に、ついてクロちゃんは、せっせと、
星願魚を放流した。
「なかなかいないね、黄金の星願魚。」
クロちゃんは、ため息をついた。
ふと、向こうを見ると、リクビエが連れてた、白い鯉の男の子
が、元気なさそうに、星願魚を放流している。
「どうかしたの?」
その元気のない様子が、気になってクロちゃんは、声をかけた。
「あ、うん・・・黄金の星願魚は、いた?
僕、黄金の星願魚をまだ見つけてないんだ。」
「まだよ、見つけられないかもしれないわ。
仕方ないわね。」
クロちゃんが、言うと、
「僕は、元々食用の鯉で、リクビエ様が、星願魚の話を
していたから・・・食べられたくなくて、星願魚を
見つけられる!と、叫んじゃったんだ。
・・・見つからないと、刺身なんだ・・・。」
白い鯉の男の子は、弱弱しく言った。
「そうだったの・・・見つかると、いいわね。
クロちゃんが、見つけたら教えてあげるわ。」
クロちゃんが、言うと、
「・・・ありがとう。
僕、あっちに逃してくるよ。」
白い鯉の男の子は、弱弱しく言った。
それを見送っていると、
「クロちゃん、駄目だよ!アマビエ様怒るよ!」
みっちゃんが、言った。
「でも、クロちゃんも見つからない気がするわ。
だいたい、アマビエ様は、クロちゃんを買いかぶって
いるもの。」
クロちゃんは、言った。
「そうかな?アマビエ様は、結構色々見ているよ。」
みっちゃんは、笑った。
・・・でも大分、星願魚を逃したから残りは、少ないな。
クロちゃん達は、ドンドン放流したが黄金の星願魚は、
出て来なかった。
「アマビエ様、いなかったわ。」
クロちゃん達は、困ったように言った。
「う~ん・・・逃げて隠れているかもしれんから
その辺を捜してみろ。
我は、あっちを捜してくる。」
そう言って、アマビエは、黄金の星願魚を捜しに行った。
「いないね。」
「本当にいるのかな?」
クロちゃん達は、ブツブツ言いながら探した。
ふと、向こうを見ると、リクビエが、白い鯉の男の子を
怒鳴っている!
「お前!黄金の星願魚を見つけられなかったな!
帰ったら刺身だ!」
「え!えええ!もう少し探させてください!
お願いします!」
白い鯉の男の子は、一生懸命頼んだ。
「ふん!役立たずが、他の奴を連れてくれば、良かった!」
リクビエが白い鯉の男の子を殴ろうと、すると、バシッ!
その手をクロちゃんが、打ち出の小槌で、叩いた。
「痛い!お前何する!俺は、神だそ!」
リクビエが怒ると、
「クロちゃんだって、下っ端だけど神だわ!
弱い者いじめは、やめて!」
クロちゃんは、叫んだ。
「生意気な!コイツは、神に嘘をついたんだぞ!
裁くのは、当たり前だ!
生意気な貴様も、裁いてやる!」
リクビエは、スラリと抜いた刀で、クロちゃんに、
切りかかった!
バシッ!みっちゃんが、刀で受け止め!
クロちゃんは、リクビエの横っ面を打ち出の小槌で、
ぶっ叩いた!
「何する!」
「刀で切りつけるような奴を打ち出の小槌で、
叩いて何が悪いの!」
クロちゃんは、叫んだ。
「貴様ら!俺を怒らせたな!下っ端の神の分際で!」
リクビエは、怒りで、凄まじい勢いで、切りかかった!
みっちゃんが刀を受けて、それを避けて、クロちゃんが
打ち出の小槌で、バシバシ!殴った!
「う、う・・・下っ端の神のくせに!何という
神通力!?」
リクビエは、言った。
「・・・そう言えば、えらく力が漲っているわ。」
クロちゃんが言うと、
「ほら、あの天水蜜桃を沢山食べたから。」
みっちゃんは、笑った。
・・・なるほど・・・。
しかし、リクビエの怒りは、頂点に達していた。
リクビエの体から闘気が燃え上がる!
・・・やば・・・相手は、神様・・・ヤバいかも。
クロちゃんが背中に冷たい物を感じた時、
リクビエは、物凄い勢いで、切りかかっ来た!
リクビエの剣を受けるみっちゃんに、
リクビエは、ドド~ン雷を落とした。
「みっちゃん!みっちゃんに何て事するの!」
クロちゃんが、怒ると、
「大丈夫、雷って、一番背が高い奴に落ちるから。」
みっちゃんは、笑った。
リクビエを見ると、自分の雷に打たれている。
「馬鹿・・・。」
思わずクロちゃんは、呟いた。
「馬鹿だと~!」
怒り狂った、リクビエは、クロちゃんに切りかかる!
バキッ!バシュッ!
それをたやすくクロちゃんは、避けて、リクビエを
弾き飛ばした。
「あれ?案外弱い?」
クロちゃんが、呟くと、
「おのれ!許さん!」
リクビエが、更に、クロちゃんに切りかかると、
「やめとけ!恥の上塗りだ!」
アマビエが叫んだ。
「アマビエ!貴様いたのか!?」
「クロちゃん達が頑張って、貴様が、やられるのが
面白くて、しばらく見ていた。
段々、同じ中間管理職の神として恥ずかしくなった
ので、出て来た。
見ろ!お前の部下が呆れてみている。」
アマビエは、鼻先で笑った。
「くそう!貴様も許さん!が、まず、こいつらだ!」
リクビエは、クロちゃんに雷で攻撃した!
「きゃあああ~!」
クロちゃんは、思わず打ち出の小槌で、雷を
撃ち返した!リクビエは、雷に打たれて、フラフラになった。
「だから~やめとけと言ったんだ。
そのクロちゃんは、色んな神様のご加護を貰っている。
貴様ごときじゃ手が出せん。」
そう言って、アマビエは、クロちゃんを撫でた。
「アマビエ!貴様!許さん!」
リクビエは、アマビエに切りかかり、それをアマビエが、
受け止め、そのまま振り払った!
ドド~ン!!リクビエは、床に叩きつけられ、
首元に、刀を突きつけられて、
「勝負あったな!」
アマビエが、不敵に笑った。
「おのれ、アマビエ!いつの間に、そんなに強くなった!」
リクビエが、悔しそうに言うと、
「我と、お前では、戦歴が違う!お前より出世したしな。
その内、本家も乗っ取るから首を洗って待ってろ。」
アマビエが、不敵に笑った。
リクビエは、悔しそうに、
「お覚えてろ!お前も来い!」
そう言って、白い鯉の男の子の腕を引っ張って行こうと
すると、
「待て!その子は、我の戦利品だ!置いていけ!」
アマビエは、刀でリクビエに、ピタピタと、叩いた。
「ふん!」
リクビエは、白い鯉の男の子を突き飛ばして、
おいっていった。
「おい、大丈夫か?」
「あ、ありがとうごさいます。」
白い鯉の男の子は、涙を流して、喜んだ。
「お前は、今日から天鯉部隊の一員だ、頑張って戦え!」
アマビエが、言うと、
「僕・・・弱いですけど。」
「バリバリ訓練すれば強くなる!
弱いままなら雑用係か、売店で働け!」
アマビエは、笑った。
「はい、頑張ります。」
白い鯉の男の子は、喜んだ。
「アマビエ様!強いのね!」
クロちゃんが、言うと、
「我は、元々強いが、さっき天水蜜桃をたらふく食べて、
ドーピングしたから更に強くなった。
つまり、クロちゃんのおかげだ、ありがとう。」
アマビエは、クロちゃんの頭を撫でた。
「そんな事は、ないわ・・・。
それから黄金の星願魚を見つけられなかったわ、
ごめんなさい。」
クロちゃんが、謝ると、
「さっき、クロちゃん達を見守っていて、気が付いたんだが、」
アマビエは、クロちゃんの後ろの髪の毛をゴソゴソと、
かき回して、黄金に光る魚を摘まんだ。
「黄金の星願魚だ!」
アマビエは、嬉しそうに言った。
「私は、お前には、喰われない!クロちゃんが見つけたんだ!
私は、昔、お前に殺された星英だ!」
黄金の星願魚は、叫んだ!
「星英!」
アマビエの顔色が変わった。
「それ本当なの?」
クロちゃんは、恐る恐る尋ねた。
「星英は、天津甕星配下の武将だった。
昔の戦いで、我と死闘を繰り広げ、我が勝った。
・・・お前、まだ成仏しないで、さ迷っていたのか?
それでも黄金の星願魚に、なるような高潔な魂なんだな。」
アマビエが尋ねると、
「私は、私の国も民も守れなかった・・・。
その後悔、無念は、いかほどのものかわかるか?」
悔しそうに、黄金の星願魚は、言った。
すると、アマビエは、
「こっちに、来い!」
皆を大きな水晶の所に、連れて行った。
水晶には、豊な田畑や果樹園や、立派な建物が映った。
「これが、元のお前の領地だ。
戦後、ご褒美に、我が貰った。
みんな幸せそうにしているだろう。」
アマビエは、自慢げに言った。
「私の民達・・・良かった・・・。」
黄金の星願魚は、呟いた。
「と、いう訳で、我の願いを・・・。」
「嫌だ!俺は、クロちゃんが見つけた、クロちゃんの
願いを叶える!」
黄金の星願魚は、言った。
「え!何で???」
「ずっと、見ていた。
クロちゃんは、優しい。
皆に自分の分の貴重な果物を分けてやったし、
弱い者が困っていたら全力で、助けてやった。
クロちゃんのような子の願いを叶えたい。」
「え、困ったわ。」
アマビエの方を見ると、
「仕方がないからお願いを言え!
でも、もったいないから美代ちゃんが好きになって
くれますようには、駄目だぞ。」
アマビエは、言った。
「みっちゃん達も小雪姫ちゃんに、その願いだけは、
阻止するように言われたよ。」
みっちゃんは、言った。
親方達もコクコクと頷いた。
「どうしょう?特にないし・・・。」
クロちゃんは、困った。
学校の成績が上がるようにとか、逆上がりが出来る
ようにとか・・・怒られそう。
「あの・・・じゃ・・・黄金の星願魚さんが、
次に生まれ変わって、沢山の人を救って、
幸せになりますように。」
クロちゃんが言うと、
「ありがとう。」
黄金の星願魚は、そう言って、光った。
・・・そして、クロちゃんの手のひらに、小さな足の付いた
龍になって、降りた。
「これは、麒麟という神獣だ。
お前、本当に、尊い魂の持ち主だっんたな。」
アマビエは、言った。
「綺麗な麒麟ね。」
クロちゃん達は、目を細めた。
「よし、お前に名前をつけてやる。
天星だ、お前の元の領地で、大事に育てる。
そこで、神獣として、領民を守れ。」
アマビエは、笑った。
「アマビエ様の出世じゃなくて、ごめんなさい。」
クロちゃんが、言うと、
「気にするな、神獣麒麟が、手に入った。
・・・実は、我は、我の部下と、星願魚の放流の手伝い
をしようと思っていたんだが、水神様が、クロちゃんを
連れて行けって、言ったんだ。」
アマビエが、言うと、
「何でクロちゃんなの?」
「多分、欲得まみれで探しても見つからないと、言う事だ。
我に足りない物をクロちゃんで、補えという事だと思う。」
アマビエがしみじみと、言った。
「それと、今度の黄金の星願魚が、星英だと、御存じだったの
かもしれない。
戦争だから仕方がないが、同じ国に生まれたら
友達だったかもしれないな。」
そう言って、アマビエは、天星を撫でた。
・・・アマビエ様、破天荒だけど、妙に素直な所があって、
憎めない方ね。
クロちゃんは、又、ちょっとアマビエが好きになった。
その時、
「クロちゃん、良く見つけたな。」
天龍様が、現れた。
「あ、天龍様。
見つけたというより、クロちゃんの頭の中に隠れて
いたから・・・。
見つけたと言ってもいいのか?」
クロちゃんが、困ったように言うと、
「黄金の星願魚に、選ばれたんだよ。」
天龍様は、笑った。
「ご褒美をあげないとな、打ち出の小槌を出してみろ。」
クロちゃんが打ち出の小槌を出すと、
天龍様は、打ち出の小槌を撫でた。
打ち出の小槌は、ぽうっと光った。
「これで、私の力を込めた、これから役に立つだろう。」
天龍様は、笑った。
すると、又べえが、
「天龍様、俺は又べえ、クロちゃんの眷属だ。
クロちゃんの役に立ちたいけど、力が足りない。
何か、又べえがクロちゃんの役に立てるように、
貰えないですか。」
・・・え!天龍様にもたかるの!?
「ああ、お前が噂のおねだり妖怪か、元々は、
タンポポのだが、クロちゃんの為に頑張っている
らしいな。
じゃ、これをやろう、クロちゃんの為に頑張れ。」
天龍様は、又べえに、小さな星を渡した。
「ありがとうございます!頑張ります!」
又べえは、嬉しそうに、袋に入れて、ポケットに
入れた。
「又べえ、お前なかなかやるな。」
アマビエは、又べえの背中をぽん!と叩いて、笑った。
「さあ、みんな奥に、酒宴の準備をしている。
飲んで騒いで、疲れを癒してくれ。」
天龍様は、言った。
城の大広間で、賑やかに、酒宴が始まった。
「ほら、クロちゃん、まずは、一献。」
アマビエは、クロちゃんに盃を渡して、酒を注いだ。
甘く、芳醇な香り、飲むと、キリリと辛い。
「美味しい!でもお酒は、20歳から・・・。」
「ここは、日本じゃないからOKだ!
それに、神様の酒は、神通力も上がるし、疲れも取れる。
悪酔いもしないから、飲め。」
勧められるままに、飲んで、ほろ酔いで、
アマビエと、クロちゃん達は、楽し気に
踊り出した。
打ち出の小槌を振ると、金銀財宝が沢山出て来た。
「あ、ほ~れ!あ、ほ~れ!」
とアマビエは、愉快に踊っている。
金銀財宝、果物、米、何かの置物???
「こら!アマビエ!これ俺ン家のもんだろう!
何で、出て来る。」
リクビエが、怒り狂った!
「そうか?しら~ん。我は、しら~ん。
文句があるなら相手をする!
その代わり、勝ったら本家を名乗る!」
アマビエは、不敵に笑った。
「な、何だって!じゃあ!貴様が負けたら
貴様の領地を貰う!」
リクビエが、叫ぶと、
「じゃ、本家を名乗るのと、本家の領地も追加だ!」
アマビエは、笑った。
「天龍様!立会人になって下さい!」
アマビエは、叫んだ。
「承知した、では、勝負の場を設けよう」
ピカッと光り!闘技場が出来た。
「では、両名、闘技場に入れ。」
天龍様が言うと、
「ちょっと待った!今、俺は、調子が悪い!」
リクビエが言った。
「そうだろう、さっき、我に負けたばかりだからな。
武人のくせに、病を祓う我よりも弱いからな。」
アマビエは、鼻先で、笑った。
「くっ!・・・どうだ、一番弟子で戦わせるというのは?」
リクビエが、言うと、
「じゃ・・・みっちゃんだ。」
アマビエは、言った。
「おいおい、お前の一番弟子は、クロちゃんだろう。」
リクビエは、意地悪く笑った。
「クロちゃんは、まだ、7歳だ、流石に、武人に
勝つのは、無理だろう。」
アマビエは、言った。
「それでも有能な福の神だろう、文句は、ないハズだ!」
リクビエは、怒鳴った。
「よし、わかった!
クロちゃんに負けて吠えずらかくなよ!」
アマビエは、怒鳴った。
「アマビエ様~無理よ~。」
クロちゃんが心配そうに言うと、
「ほら、天竜様の天龍酒を飲め、コレも飲め。」
アマビエは、小さな小豆つぐらいの黒い塊を
渡した。
「コレは?」
「さっき天竜様に、お酌した時くすねた天竜様のヒゲの
一部だ。
負けそうに、なったら水分は、取ってもいいから
ドンドン、ドーピングして行く。
頼むぞ、本家の領地が欲しいんだ。
昔、戦の後、星英の領地をビエ一族で、貰った。
正直、100%我の手柄なのに、本家が半分持って
言った。
リクビエは、ああいうヤツだろう、あそこの領民に、
キツイ税を課している。
天星の為にも取り返したい。」
アマビエは、天星を撫でて、
「おい、天ちゃん、クロちゃんの髪の毛の中に隠れて、
クロちゃんを助けてやってくれ、天ちゃんが一緒だと
運が上がる。頼むな。」
アマビエが言うと、
「うん、任せて。」
そう言って、天星は、クロちゃんの髪に隠れた。
「さあ両名、並べ!」
天龍様の声で、クロちゃんは、闘技場に入った。
相手の武将は、大きく、2メートルくらいありそうな
巨漢だった。
「俺は、スナビエ!チビ覚悟しろ!」
・・・む、無理!絶対無理!
クロちゃんは、思わず、アマビエの方を見ると、
アマビエは、ニヤニヤしながら見ている。
「いくぞ!」
スナビエは、クロちゃんに、切りかかった!
それをスルリと、逃れて、クロちゃんは、
スナビエを連打した!
「アタタタ!!!!」
何か、気持ちが高揚して、クロちゃんの攻撃が
華麗に決まる!
最後に、あごを下から殴り!ノックアウト!
「勝負あったな!」
天龍様は、言った。
「水神に、連絡しておいた!今日からアマビエ!
お前は、ビエ一族の長だ!本家を名乗れ。」
天龍様が、ご機嫌に言った。
「お待ちください!我らは、どうなりますか!?」
リクビエが、叫ぶと、
「ビエ一族の事は、ビエ一族の長、アマビエが決める。」
天龍様が、言った。
「ぐっ!」
リクビエが、悔しそうに言うと、
「おい!領地に帰り、今後の事を話すぞ。」
アマビエは、ほくそ笑んだ。
「良かったわね。
・・・それから、そろそろクロちゃん達は、
帰えろうと思うんだけど。」
クロちゃんが、言いにくそうに言うと、
「そうだなそろそろ帰るか。」
アマビエは、言った。
「良かった、帰ったら宿題の絵を描かないとね。」
「何言ってる!我の領地に行って、本家を継いだ事の
お披露目がある。
クロちゃんは、そこで、縁起の良い豊穣の舞を
我と、披露して欲しい!いいな!」
アマビエは、グイグイと、クロちゃんに、言った。
「え!あの~。」
「よし!みんな帰るぞ!
水神池で、『麒麟をゲットだぜ!』と自慢するぞ!」
アマビエは、楽しそうに帰り支度を始めた。
こうして、クロちゃん達は、アマビエの領地へ
行く事になった。
向こうで、憎々し気に、こちらを睨んでいる
リクビエに、一抹の不安を感じるクロちゃんだった。




