表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/63

月が綺麗ですね

8月に入り、ひときわ厳しい日差しが照りつけている。

クロちゃん神社では、沢山のお盆草が植えられいた。

お盆草は、釜のフタが空き、亡霊が出てきて、閻魔様が後

で笑っていた。

又べえの作った可愛いバージョンと、親方が作ったリアルバージョン

があり、参拝に来た人々を和ませていた。

まだまだ中国風邪は、油断がならないが、マスク草と、消毒草

、平癒マン達のおかげで、クロちゃん神社は、マスクなしでも

いい数少ない観光、デートスポットして連日人が押し寄せて

いた。

特に中国人は、驚くほど沢山買い物をして、驚く程お賽銭を

入れていた。

「凄い、あんなにお札いれたわ。」

クロちゃんが驚いていると、

「『中国政府が、クロちゃんを怒らせたから景気がドンドン

悪くなるんで、お許しください。』

とか、『自分だけは、罰があたりませんように』とか、

言ってるね。」

星明が言った。

「星明は、中国語もわかるのね。」

クロちゃんが感心すると、

「長く生きているから沢山勉強したんだよ。

でも、旅している流程じゃないよ、今、色々と、流に

調べて貰っているよ。」

星明が言った、すると、

「あれ、誠さんだ。」

クロちゃんの目線の先には、成仏した美咲の彼氏の誠が

可愛い二十歳くらいの女性を連れて、クロちゃん神社にお参りしていた。

「もう、新しい彼女出来たんだね。」

星明は、複雑な気持ちになった。

「美咲さんが亡くなって、1年くらいたつし、

美咲さんは、もう成仏して、生まれ変わっているかも

しれないよ。」

みっちゃんが言うと、

「わかっているよ、・・・ただ何か・・・そんなに

簡単に割り切れるのかな。」

まだ、美咲をひきずっている自分としては、何か割り切れ

ない気持ちなのである。

「あ、鶴屋に行こうよ、美味しいお菓子を食べたら

気分も変わるわよ。」

クロちゃんが笑った。


鶴屋千年堂は、沢山の人で賑わっていた。

「クロちゃん、いらっしゃい。」

鶴ちゃんがご機嫌に迎えた。

「今日のおススメはね、この金魚あんみつだよ。

寒天で作った、赤い金魚が可愛いって人気なんだよ。」

鶴ちゃんが、クロちゃん達をテーブルに座らせ

金魚あんみつを運んで来た。

かわいい金魚寒天をパクリ。

「美味しいわ。」

クロちゃんが言うと、更に沢山の人が押し寄せた。

「あ、人が沢山、早く食べてお店出ないと。」

クロちゃんが入口の方を見ると、誠が女の子と、

「あ、一杯だね、残念だな。」

「あ~食べてみたかったね。」

と話しながら外へ、出て行った。

星明の方を見ると、ちょっと不機嫌になっていた。

「これ食べたら亀屋に行かないと、亀ちゃんが迎えに

来てるわ。」

クロちゃんは、横で早く食べて、うちの店に来いと、

待っている亀ちゃんを見て言った。


亀屋では、亀ちゃんが自慢げに、

「クロちゃん、亀屋の新作、カステラアイスを食べて

くれよ。」

カステラにバニラアイスと餡が挟まっているもう一つは、

抹茶アイスに餡入りだ。

「美味しい!あんまり甘くないのね。」

クロちゃんは、パクパク食べた、すると、人だかりに

なった。

「大変出ないと、あ。」

クロちゃんは、店内の隅の席で、誠が可愛いさっきの彼女と

楽し気にカステラアイスを食べている。

横を見ると、星明は、苦み潰したような顔をして、

「俺、先に出るね。」

と言って、出て行ってしまった。


なんとなく気になって、クロちゃんと、みっちゃんは、

佐藤古本屋へ向かった。

佐藤古本屋では、お政さんが店番をしていた。

「あ、お政さん。」

「おや、クロちゃん来たのかい?」

「うん、星明が気になって、・・・誠さんに会ったの

誠さん、新しい彼女連れていて、それ見たら星明は、

不機嫌になっちゃったの。」

クロちゃんが言うと、

「星明も色々と複雑なんだよ、クロちゃんみたいな

子供は、もう1年もたって思うけど、大人になるとね、

まだ1年しかたってないと思うんだよ。

それだけ、美咲ちゃんに惚れていたんだよ。」

お政は、クロちゃんを撫でた。

「あ、そうだ、お政さん、明後日、誕生日でしょう。」

クロちゃんが言うと、

「あれ、覚えていてくれたのかい。」

「おばあちゃんが、お政さんの好きな舌平目のクリーム煮

を作ってあげるって言っていたもの。

星明も誘って、一緒にお祝いしましょうって言ってたわ。」

クロちゃんが言うと、

「あ、そうだったの?是非お邪魔するよ。

そうだ、お政さん、何か欲しい物があればプレゼンするよ。」

星明が奥から出て来てきた。

「そうだね、じゃ洋服を買って貰おうかね。」

お政は嬉しそうに言った。

すると、棚に置いておいた、美咲の抜け殻のコケシが、

ピョン、ピョンと動き出した。

「また、下級妖怪が憑りついたみたいだね。」

お政が言うと、

「失せろ!」

星明が睨むと、ピカッと!光りコケシは、動かなくなった。

星明は、コケシを拾って、棚に戻した。

「あのね、星明・・・。」

お政が言いかけると、

「わかっているよ、でも、抜け殻でも美咲ちゃんのコケシに

憑りつかれるのは、嫌なんだ。」

星明は、怖い顔で言った。

「ほら、そんな怖い顔したらクロちゃん達ビックリするよ。」

お政が言うと、

「あ、ごめんね。」

星明は、謝って、奥へ行った。

・・・クロちゃんは、なんともいえない気持ちになった。


万福商店街のエンターテインメント、MPK48劇場と、お化け屋敷

の隣に映画館が出来ていた。

今一番人気は、「暴れん坊神アマビエ」である、運がいいと、

アマビエに会えて、サインや写真を撮らせて貰えると、

人気スポットである。

映画館の奥の休憩所では、アマビエが連日届く花束を

眺めながら大好きなお菓子を頬張っていた。

「うん、うん『暴れん坊神アマビエ』は、大人気だな。」

『暴れん坊神アマビエ』のポスターを見て、アマビエは、

言った。

「こんにちは、アマビエ様、ここにいたの?」

クロちゃんが言うと、

「お、クロちゃん、亀屋の『クロちゃん最中』を食べるか?

餅入りと、季節限定の寒天いりだ。」

アマビエは、かわいいクロちゃんの最中を見せた。

小判を抱いているバージョンと、打ち出の小槌を持って

いるバージョンだ。

「可愛いね、コレ美味しいんだよね。」

嬉しそうにみっちゃんが言った。

「あ、そうだ、亀ちゃんと、鶴ちゃんに新作お菓子

を貰ったの食べる?」

クロちゃんは、かわいい金魚あんみつお持ち帰りバージョン

と、カステラアイスを差し出した。

「旨そうだな。」嬉しそうにアマビエは、パクついた。

「アマビエ様は、随分長く、ここにいるけど、

中国風邪撲滅の旅に、行かなくていいの?」

クロちゃんが尋ねると、

「平癒マン達が頑張っているから任せている。

それより、クロちゃんが狙われているから

我は、ここにいた方がいいかと思ってな。」

「クロちゃんを心配してくれているのね。」

クロちゃんが嬉しそうに言うと、

「それもあるが、強い中国の神や妖怪が来るから

打倒しして、我の力とする!」

アマビエは、得意げに言った。

「アマビエ様らしいわ。

・・・まだ強い妖怪や神様がくるのね。」

クロちゃんが聞くと、

「来る、きっと来る。

来たら我が叩き潰す!はっはっはっはっは!」

アマビエは、豪快に笑った。

「頼もしいわね、『暴れん坊神アマビエ』は、大人気だけど、

出演料貰えたの?」

クロちゃんが聞くと、

「映画の動員が増えれば、増えた分、我の懐に入るように、

交渉した。」

アマビエは、ご機嫌に言った。

「打ち出の小槌で、お金は、いくらでも出るのに、そんなに

お金欲しいの?」

「金は、あればある程いいぞ、贅沢は、しなくてもいいが、

部下に報いてやるのは、ランク上げと、金が一番だ。」

アマビエは、笑った。

「アマビエ様は、部下を大事にするから慕われるのね。」

クロちゃんは、感心した。

「部下と、金は、使い様だからな。

上手く使えば、みんなウインウインだ!」

アマビエは、カラカラと、笑った。

「ねえ、アマビエ様、最近ね、星明が様子が変なの。」

クロちゃんが心配そうに言った。

「何あったのか?」

クロちゃんは、今までのいきさつを話した。

「ああ、アイツは失恋をひきずるタイプか、ま、その内

立ち直るからきにするな。」

アマビエは、軽く言った。

「でも。」

「こういうのは、デリケートな問題だ。

もうその美咲ちゃんは、生まれ変わって、赤ちゃんかも

しれんが、星明が忘れたくないだけだ。

そっとしておくしかないな時間が、かかるかもな。」

「クロちゃん、何かしてあげれないかしら・・・。」

クロちゃんが言うと、

「心配するな、その内また中国妖怪か神が人間が、

クロちゃんに何か仕掛けてくるから

ショゲてばかりいられないさ。」

アマビエは、クロちゃんの頭を撫でた。


夕方、佐藤古本屋に、又べえと星華がやって来た。

「今晩は、星明、ほら花だ、美咲さんのコケシに

お供えてやってくれ。」

又べえは、キラキラ七色に光るミニひまわりを渡した。

「いつもありがとう又べえ、美咲ちゃん喜ぶよ。

・・・又べえは、美咲ちゃん忘れてないんだな。」

星明が、嬉しそうに言うと、

「当たり前だ、美咲さんは、又べえの命の恩人だ。

美咲さんが、助けてくれなかったら今頃どうなっていたか。」

又べえは、しみじみと言った。

「そんな事もあったなあ・・・なかなか果敢なところが

あったね。」

星明は、美咲を思い出しながら言った。

「私は、少しお会いしただけですが、

とてもお料理が、上手で可愛い方だったとお聞きしますわ。」

星華がそう言うと、

「ああ、確かにかぐや姫に扮した時は、本当のお姫様みたい

だったよ。

・・・でも俺は、コケシの美咲ちゃんが好きだったよ。」

ポツリと、星明が言うと、

「美咲さんは、いい人だったもんな。

ほら、このハサミ入れるシザーケースは、美咲さんが

成仏する前に、又べえと親方に、くれたんだ。」

又べえは、腰につけたシザーケースを見せた。

「美咲さんこの辺りでバイトしてた。バイト料で、御世話に

なった人に、プレセントしてたんだ。

自分で、使えばいいのに、もう自分は、成仏するから

何もいらないって言うんだ。

・・・又べえなんて、咲かせた花をやるくらしいしか

してないのにな。」

又べえがそう言うと、

「それでもこうやって、花を持って来てくれるじゃないか。」

「又べえは、花を供えて、生まれ変わった美咲さんの幸せ

を願うしかないからな。」

それを聞いて、星明は、少し心が軽くなった。

「そうだな皆は、美咲ちゃんを覚えているよな。」

星明が言うと、

「星明は、美咲さんを覚えたまんま幸せになって

いいと思うぞ。

美咲さんは、成仏する前、クロちゃん神社の事務室の机で、

星明へ色々と、ノートを書いていたって、留が言ってた。

星明は、特別に美咲さんに好かれていたからな。」

又べえが言うと、

「え、そんな事ないよ。」

星明が照れて言うと、

「一番、時間をかけた贈り物だろう?」

又べえが言うと、星明は、心の中のシコリが

少しずつ溶けていくような気がした。

「ありがとう、又べえ、お前の言う通りだ。」

星明は、美咲のくれたノートを見つめた。

「良かった、クロちゃんが心配していたぞ、もう心配かけるなよ。

じゃあな、帰るよ。」

「お邪魔しました。」

そう言って、又べえはと星華は、手を繋いで帰って

行った。

それを星明は、微笑ましいなと見送った。

「いいもんだね、新婚さん。」

お政が言った。

「ああ、いいもんだ。」

星明は、言った。


クロちゃんが家に帰ると、

「クロちゃん、今、実家から連絡が来て、天津甕星様が

そろそろクロちゃんに、豊穣の踊りを踊りに来て欲しい

そうなんですが。」

星華が言うと、

「それは、踊りに行ってやらないと、そうだ、我も

行ってやろう。

ついでに、星明も誘う。」

アマビエがそう言うと、

「良かった、それに、なんか変な病も流行っているらしくて。」

星華が、心配そうに言うと、

「病?こっちの世界と、リンクしているのかもな。

じゃ、非番の平癒マンを連れて行くか。」

アマビエは、考えながら言った。


次の日、星明は、怪訝そうに言った。

「俺達は、ともかく、いいんですか?昔の戦いで、

アマビエ様、大活躍されたでしょう?憎まれているんじゃ

ないですか?」

星明が言った。

「そうだった、大虐殺してるんじゃないですか?」

みっちゃんが言った。

「もう戦後だ、昔の事だし、我の本業は、病を払う事

だし、副業は、福の神で、バレる要素は、ゼロで大丈夫だ。

何、しらばっくれれば、大丈夫だ。」

アマビエは、カラカラ笑っている。

「大虐殺したの?絶対怒っているわ。」

クロちゃんが心配そうに言うと、

「大丈夫だ、我らビエ一族の区別は、なかなかつかない

から大丈夫だ。」

アマビエは、自信満々で言った。

「さあ、行くぞ!」

アマビエがそう言うと、みんな龍の戦車に乗り込んだ。


天津甕星の城の前にくると、クロちゃん達は、龍の戦車

から出た。

すると、天津甕星が待ち構えていた。

「よく来たね、クロちゃん待っていたよ。

豊穣の踊りを踊って欲しいのと、変な病が流行って

いてね・・・おや、どっかで見た顔だな。」

天津甕星は、アマビエに気が付いた。

アマビエは、地味な衣装を身に着けていた。

地味な大島の衣装で、細かい織で、絹製で、色も

グレー系の出で立ちである。

「お前、先の大戦で、鬼のように、わが軍に被害を与えた

アマビエじゃないか。」

天津甕星が怪訝そうに、言うと、

「他人の空似でしょう、我は、アマ・ビエと言う

クロちゃんの師匠で、病を祓う神で、副業は、福の神だ。

ほれ、この打ち出の小槌が証拠だ。」

アマビエは、打ち出の小槌を振って、札束を出した。

天津甕星は、怪訝なお顔をして、

「でも、お前、滅茶苦茶戦闘能力が高いが。」

「我の趣味は、武術だからな。

あ~気に喰わんならクロちゃんを連れて帰るぞ。」

アマビエは、しれっと言った。

「仕方がない、さ、クロちゃんお菓子を用意しているよ。」

天津甕星は、クロちゃん達を奥の客間に通した。

なんか前来た時より豪華になっている。

「前に来た時より、豪華になっているわね。」

クロちゃんが言うと、

「クロちゃんのおかげで、随分豊かになったんだよ。

さ、沢山おあがり。」

テーブルの上のお菓子を勧めた。

「あ、この果物旨い!お!この菓子も!バターがたっぷり

生クリームたっぷり!。」

「これ美咲さんが教えたお菓子よ、このタルトタタンは、

星明の好物ね、クロちゃんの好きなチョコレートケーキ

も懐かしいわ。」

クロちゃんは、チョコケーキを食べた。

「この苺ケーキもよく作ってくれたね、マドレーヌや

クッキーもよく貰ったね。」

みっちゃんが言った。

「あ~ここにない、チョコやらバターやらチーズや

アーモンドやらどうしたんだ?」

アマビエが不思議そうに聞くと、

「又べえが、色々と、植えた木から実っている。」

天津甕星が言うと、

「最近流れてくる、バターやらチョコやらは、ここから

の輸入品だったんだな。」

アマビエは、一人納得した。

「ところで、病が流行っているらしいが。」

アマビエが尋ねると、

「悪い風邪で、高熱が出て、肺がやられて、バタバタと死人が

出ている。

無症状の感染者もいて、知らず知らずのうちに、病を蔓延

させている、困ったもんだ。」

天津甕星が言うと、

「中国風邪に、似ているな、我をそこに連れていけ。

我は、病を祓う神だ、病を祓ってやろう。」

アマビエが言った。

「いいのか?親切な事だな。」

天津甕星が言うと、

「その代わりに、料金を払ってくれ、出張手当もくれ。」

アマビエが言った。

「料金取るの?」

クロちゃんが聞くと、

「当たり前だ、ただより怖い物はないだろう?」

アマビエは、チロりと天津甕星を見た。

「じゃ、これでどうだ。」

天津甕星は、黒ダイヤのペンダントを出した。

それを見て、アマビエは、ニンマリと笑って、

「よし、引き受けた。」


クロちゃん達は、病が蔓延している村にやって来た。

皆マスクをして、疲労して、気力の無い陰気な顔をしていた。

「酷いもんだ、アレは、死人を焼いている煙だ。」

天津甕星が、暗い顔をして行った。

「これは、天津甕星様、この通りたちの悪い風邪が流行り、

高熱が続いて、肺がやられて、亡くなる者が後を絶ちません。」

村長が、搾り出ような声で言った。

「みんな安心しろ!このアマ・ビエが、病を祓ってやる!

平癒マン達は、急いでワクチンを生成しろ!

村長、動ける村人をここに集めてくれ、ワクチン接種する!」

アマビエは、歳さんを指さして、

「医者を連れて来ている、重傷者の家を案内してくれ。

すぐ治療させる。」

「わかりました。」

村長は、すぐ手配をした。

「さあ、我は、病を祓う者!アマ・ビエ!

悪い風邪を祓う舞を今から舞う。」

そう言うと、アマビエは、華麗に舞始めた。

すると、みんなは、体が軽くなった。

アマビエは、舞い終わると、

「お前らもこの舞を覚えろ!ウィルスが減る!

皆で、舞って、病を撲滅しろ!」

アマビエは、大きな響き渡る声で、言った。

皆並んで、平癒マン達からワクチンを接種した。

人々に明るい笑顔が戻って来た。

「さあ、クロちゃん、みっちゃん、豊穣の踊りを踊れ!」

アマビエが言った。

「うん、わかった!」

クロちゃんと、みっちゃんは、二人で豊穣の踊りを踊った。

息もピッタリでシンクロしていた。

木々も草花も生き生きして、豊になって行った。

「我の力を見たか!」

アマビエは、自慢げに言った。

「驚いた、たいしたものだ。」

天津甕星は、目を丸くして、言った。

「お前は、豊穣の踊りを踊らないのか?」

天津甕星が、言うと、

「豊穣の踊りも踊ると、疲れるだろう!どうしてもと

いうなら追加料金をくれ!高いぞ!」

アマビエは、言った。

「がめつい奴だな。」

天津甕星は、呆れた。

そうこうしているうちに、村人達の病は、治った。

「ありがとうございます。」「ありがとうございます。」

と、村人達は、皆クロちゃん達に感謝した。

歓喜の声に見送られ、クロちゃん達は、悪い病の村々を

回った。

そして、すっかり日が暮れてしまった。

「さあ、夕飯を食べて行ってくれ。」

沢山の御馳走が、テーブルに並べてあった。

クロちゃん達は、沢山の御馳走を食べた。

「ところで、天津甕星殿、あの風邪は、自然発生したもの

じゃないな?」

アマビエはが、チロっと天津甕星を見ながら言った。

「では、人為的なものと言う事か?」

天津甕星が言うと、

「現世の方では、中国の細菌研究所の管理がずさんで、

ウィルスが漏れてしまったのが、原因で、中国風邪が

流行っている。

こちらでも人為的に、生物兵器を作っていたんじゃないのか?」

アマビエは、ジロッと天津甕星を見た。

「おや、証拠でもあるのか?」

天津甕星が言うと、

「証拠なんざ調べれば、すぐ見つかる。

だから、ほれ、水神様に内緒にしてやるから口止め料を

よこせ。」

アマビエは、ニタリと、笑った。

天津甕星は、黒ダイヤのブローチを取り出して、

「かなわんな、コレは、今日の礼だ。」

アマビエは、ニンマリ笑って、

「ま、そういう事にしておいてやる。」

嬉しそうに、黒ダイヤのブローチを付けた。

「クロちゃん、みっちゃん、今日の礼だ。」

天津甕星は、黒ダイヤの付いたキーホルダーを

二人に渡した。

「これを付けておけば、鍵を落としても必ず戻ってくる。

財布に入れておくと、落としても必ず戻ってくる。」

「ありがとう。」

二人は、喜んだ。

天津甕星は、平癒マンと、歳さんに、小さな黒ダイヤの

ペンダントを渡した。

「それを身につけると、妖力の消耗が減る、

これからも病を治す為に頑張って欲しい。」

「ありがとうございます。」

歳さんと、平癒マン達は、喜んだ。

「それから星明、美咲の料理レシピのコピーを料理人達に

くれたそうだな、礼を言うぞ。

それから一番気になる美咲の今の姿を見せてやる。」

天津甕星は、そう言うと、部屋が少し暗くなり、

部屋の中心がぼうっと白く輝き、

若い母親に抱かれた赤ん坊が映った、横では、若い父親が

愛しそうに眺めている。

「あれ美咲ちゃんだね・・・幸せそうだね。

良かった・・・。」

星明は、嬉しそうに言った。

「今度は、長生きできるから人生をエンジョイして

くれるといいね。」

みっちゃんは、笑った。

「本当ね。」

クロちゃんも笑った。

そして、夕飯も食べ終わり帰る事となった。

クロちゃん達も龍の戦車に乗り、

「また秋においで、沢山の美味しい物

が実っているから。」

天津甕星は、手を振った。

「また、来るわね~。」

クロちゃんも言った。

そして、竜神池へ飛んで行った。


竜神池に着くと、クロちゃん達は、竜宮城の奥の水神様

に面会した。

「で、おかしな病は、どうだった?」

「我が踊って、平癒マン達がワクチン接種して収束しました。

ま、蔓延しても、どって事は、ありません。

これは、ご褒美に貰ったお宝です、吟味して下さい。

ほら、お前らも貰った物は、水神様に見て貰え。」

みんなは、水神様に貰った物を差し出した。

水神様は、それを一通り吟味した。

全部、ピカッと光って、水神様は、皆に戻した。

「これで、こちらの情報が洩れる事は、ないぞ。」

「盗聴器でも仕掛けてあるの?」

クロちゃんが聞くと、

「ま、そんなもんじゃ。これで、こちらの情報は、

漏れなくなった。」

水神様が言うと、

「アイツも油断できないからな、豊かになると、又

攻めてくるかもしれんからな。

もう、我がいるから生物兵器は、役にたたないから

使わないと思う。

又、クロちゃんが、呼ばれたら我もついて行く、定期的に

様子を見に行った方が良さそうだ。

・・・だから皆!アイツに懐柔されるなよ!」

アマビエは、怒鳴った。

「でも・・・沢山お土産貰ったのに。」

クロちゃんは、複雑になった。


翌日、星明は、佐藤古本屋で本の整理をしていると、

「星明、お客さんよ。」

お政さんが呼んだ。

店のレジのところに、可愛い二十歳くらの女性が、

両親を連れて来ている。

「初めまして、私、美咲の妹です。

姉がお世話になりました。

先日、姉の命日に誠さんが来てくれて、

色々、万福商店街と、クロちゃん神社を案内してくれて

教えて貰ったんです。」

そう言われて、星明は、その女性が、誠が連れていた

彼女だと気が付いた。

「世話になったのは、俺の方だよ、美味しい料理を

作ってくれたり、みんなで遊びに行ったりした。

とてもいい子で、楽しかったよ。

ほら、これが、美咲ちゃんが憑りつていたコケシだよ。」

星明は、美咲のコケシを渡した。

「結構傷だらけね。」

「美咲は、結構お転婆だったからな。」

「ここでも頑張っていたのね。」

妹も両親も愛しそうに、コケシを撫でていた。

それを見ていた星明は、ちょっと考えて、口を開いた。

「それ、良かったら貰って下さい。」

星明が、言うと、

「いいのかい?」

お政が心配そうに言った。

「うん、ご家族にお返しするのが一番いい気がするよ。」

星明は、言った。

「ありがとうございます。」

嬉しそうに、美咲の家族は、お礼を言って帰って行った。

それを見送って、お政は、言った。

「良かったのかい?」

「うん、ご家族がわざわざ尋ねて来られたんだ、

返した方がいいと思ったんだ。

俺には、美咲ちゃんのくれたノートがあるからね。

このノートには、美咲ちゃんの心がこもっている。十分だよ。

・・・何で、あの時、俺は、ちゃんと言えなかったのかな。」

星明が、ポツリと、言った。

「あの時って?」

「美咲ちゃんが成仏した晩、二人でお月見をしていたんだ。

『月が綺麗ね。』って言ってくれたのに・・・

あれは、貴方が好きですって、意味で・・・

俺、鈍くって・・・。

気が付いた時は、美咲ちゃん成仏したんだ。

・・・俺への最後の贈り物かもしれなかったけど・・・。」

「アンタは、何て答えたかったんだい?」

「『死んでもいいです。』って、言いたかった。」

星明が言うと、

「情熱的だね、アタシが美咲ちゃんから聞いた答えは、

違うけど。」

「美咲ちゃんは、何て答えを期待したの?」

「『今なら手が届きそうです。』って言ってたね。」

「あ、そっちか・・・。

言ったらドン引きだったかな。」

星明が、心配そうに言った。

「馬鹿だね、凄く嬉しいに決まっているじゃないか。

美咲ちゃんは、アンタのを好きだったんだよ。

アンタ、本当に鈍いね、そこが可愛いとこだけね。」

お政が笑うと、

「え、可愛い??」

星明が、ドギマギしていると、

「ほら、『月が綺麗ですね、』って言ってごらん。」

お政が言うと、

「月が綺麗ですね。」

星明がポツリと、言うと、

「今なら手が届きそうです。」

お政が答えた。

「え、えええ!!俺は、お政さんが好きな、

粋でいなせな男じゃなし・・・。

それに、きっと、俺ずっと、

美咲ちゃんの事引きずると、思う・・・。」

星明が、言いにくそうに言うと、

「そこが、アンタのいい所だよ、賢くて、情に厚くて、

一途だ、それに、容姿に惑わされる事は、ない。

ちゃんと、人の中身を見てる人間だ。」

お政が言うと、

星明は、照れて、

「ありがとう。・・・今日は早じまいして、お政さんの

プレゼント買いに行こう。」

星明が、言うと、

「じゃ、洋服と、指輪も買って貰おうか。

アタシの誕生石は、スピネルだよ。」

お政は、笑った。

「もちろん、いいよ、いいのがあるといいね。」

星明は、恥ずかしそうに言った。


クロちゃんン家では、お政の誕生パーティーの準備をして

クロちゃん達が待っていた。

「お邪魔します。」

すると、赤いワンピースを着たお政が、星明とやって来た。

綺麗な赤い花柄のシフォンのワンピースだ、

指には、スピネルの指輪が煌めいていた。

「心配する事なかったな、星明は、立ち直っているぞ。」

アマビエは、笑った。

「え?そうなの?」

クロちゃんは??だが、おばあちゃんもニヤニヤしている。

星明もスーツを着ていて、なんとなく・・・お似合い。

そういう事かな。

クロちゃんは、嬉しくなった。

「良かったわね、アマビエ様。」

「ああ、アイツには、我が天津甕星の国を攻める時の参謀

の予定だからな、早く立ち直って貰って良かった。」

「え!アマビエ様、天津甕星の国を攻めるの!?」

クロちゃんが驚いていると、

「このまま、あの国が豊かになったら向こうが攻めて

くるかもな。」

「ええ!そんな・・・。」

「その時までに、もっと出世して、勝った時は、統治者

になれる!一国一城の主だ!」

アマビエは、誇らしげに、野望を語った。

「アマビエ様、あと何年したら攻めるおつもりですか?」

星華が心配そうに言った。

「あと千年くらいかな。」

「・・・私の寿命は、尽きてますね。

聞かなかった事にしますわ。」

星華は、言った。

「お利口さんだ、さあお政、お誕生日おめでとう。」

アマビエが言った。

「おめでとう、お政さん、何歳か解らなかったの

ケーキのロウソクは、20本にしたわ。

おばあちゃんが、永遠の20歳でいいのよって言うから・・・。」

クロちゃんが言いにくそうに言うと、

「流石、大奥さん、わかってらっしゃる。」

お政さんは、ご機嫌に言った。

「さ、クロちゃん、みっちゃん、お祝いに、景気のいい

踊りを踊るぞ!」

アマビエの掛け声で、三人は、陽気に打ち出の小槌を

持って、踊り出した。

楽しいパーティーは、夜遅くまで、続いた。


翌日、佐藤古本屋で、クロちゃん達は、星明に、

勉強を習っていた。

「また、中国の株価が暴落したね。」

星明がいった。

「クロちゃん達が『中国貧乏音頭』を派手に踊った

からですね。」

チョコが言った。

「中国貧乏音頭・・・何それ・・・。」

クロちゃんが言うと、

「でも、あれ踊ると、日本の株価が上がるんだ、

知っていたか?」

セヒが言った。

「え、そうなの?」

クロちゃんが、言うと、

「そうなんだ、凄い踊りなんだ、アマビエ様の威力が

凄すぎだね、物凄いキャラだから。」

星明は、言った。

すると、又べえが、花を持って来た。

「ほら、星明、花持って来たぞ!あれ?

美咲さんのコケシは?」

又べえが言うと、

「美咲ちゃんのご家族が尋ねて来たんで、あげたんだ。

だからもう、花は、いいよ。」

星明が、言うと、

「じゃ、このレジの所に飾ってくれ、いつも美咲さん

いつもここにいて、一緒に、世間話をしたり、

菓子もらったり、お茶飲ませてくれていたんだ。

だから、ここに飾ってくれ。」

又べえは、言った。

「・・・ありがとう又べえ。」

星明は、言った。

「また、花持ってくるよ、飾ってくれよな。」

又べえは、そう言って、出て行った。

その様子を見て、美咲さんは、ずっと心の中に、

残っているのだと、優しい思いは、ずっと残るものだと、

クロちゃんは、美咲から貰った、スヌーピーの財布を

見ながら思うクロちゃんだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ