水神様からの使者
桜の花びらが風に舞い、春光うららかな季節になったが、
まさかこんな世界になってしまうなんて、想像した事も
なかった。
今まで経験した事のない事が起きていた。
緊急事態宣言である、飲食店、生活必需品の店は時短
営業、他の店や劇場、映画館、遊技場等は営業自粛。
学校は新学期というのに、休校。
不要不急の外出は控えるよう政府から要請があった。
マスク、消毒薬、除菌スプレー、除菌ウエットティッシュ
等が店頭から消えた。
「マスク用のダブルガーゼやマスク用のゴムまで売って
ないのよ、戦時中みたいね、考えられないわ。」
おばあちゃんが言った。
使い捨てマスクも品薄なので、手作りマスクを作って
くれている。
中国風邪がここまで大事になるなんて。
「昔、スペイン風邪が、流行った時もこんな感じだったの?」
クロちゃんが聞くと、
「私が、まだ生まれる前の事よ。」
おばあちゃんが言った。
「そんな大昔の事だったんですか!?」
チョコが言うと、
「チョコ!失礼よ。」
ママが怒った。
「仕方がないわ奥さん、この子達、私の1/8も生きてないんです
もの。
戦争中は、私も小さくて、あんまり覚えてないの。
昭和初期の人間なんて、この子達からしたら大昔の
人間なんでしょうね。」
おばあちゃんは、言った。
・・・そんな大昔の事だったのか。
「あ、星明に呼ばれているんで、行ってくわ。」
クロちゃんが外に出ようとすると、
「外に出る時は、マスクをしてね。」
おばあちゃんは、クロちゃんにスヌーピー柄のマスクを
渡した。
「ありがとう、おばあちゃん。」
スヌーピーマスクをして、クロちゃんは、万福商店街
に向かった。
万福商店街は、食べ物屋さん以外は閉まっていた。
それでも大勢の人で賑わっている、不要不急の外出に
ならないのだろうか?と思うが、
彼らの目的は、クロちゃんの水である。
クロちゃんの水を飲むと、中国風邪にかかっても
治ったり、重症化しないと口コミで話題になって、
連日の人出である。
色々な店が苦しい時だというのに、クロちゃん神社と、
万福商店街の食べ物屋さんは、大儲けしていた。
クロちゃんの水の水処は、長蛇の列ができていて、
巫女さん達が、並んでいる人達に2M以上離れるように
指示していた。
「あんなに人がいて、クラスター発生しないのかしら?」
クロちゃんが言うと、
「みんなクロちゃんの水を飲むから、かかっても
すぐ治るんじゃない?」
みっちゃんが言った。
ふと後を見ると、セヒとチョコがついて来ている。
「兄ちゃん達、何でついてきたの?
不要不急の外出は、駄目なのよ。」
クロちゃんが、言うと、
「可愛い弟の護衛です!不要不急の外出じゃありません。」
チョコが言った。
「ま、硬い事言うなよ、退屈なんだ、家の中飽きたし、
テレビで、子供の運動不足が問題になってたろう?」
セヒが言った。
クロちゃんと、みっちゃんは、やれやれと言う顔をした。
佐藤古本屋は、休業していた。
「今日は星明、何かわかった?」
クロちゃんが聞くと、
「色々試しているんだけど、決定的なのは見つからないんだ。
ほら、クロちゃんから水神様から貰った水、飲んだら
鱗生えるヤツ、あれも分析して貰ったけど、タダの水
だった。
水神様のご加護は、科学じゃ分析できないんだ。
困ったな。」
星明が困っていると、セヒはサンタさんから貰った缶から
キャンデーを取り出して食べた。
すると、ピ、ピーピーッ!とひらめいた。
「あ、クロちゃん、水神様に中国風邪を祓ってもらったら
どうかな?頼んでみたらどうだ。」
セヒが言った。
「あ、その手があったわ!頼んでみるわ。」
クロちゃんは、言った。
「あ、盲点だったね、早く気が付けばよかったよ。
セヒちゃんありがとう。」
星明は、セヒの頭を撫でた。
「じゃあ、親方の所へ行って、連絡をとって貰おう。」
みっちゃんが言った。
クロちゃん神社では、又べえと親方がイースター草を
花壇に植えていた。
ウサギが卵を運んでいる可愛い花である。
「可愛いな、星華が見たら喜ぶなあ。」
又べえが言うと、
「今月末には、嫁入支度が整うらしいからな。
嫁を貰うんじゃ、お前しっかりするんじゃぞ!」
親方は、言った。
「もちろんだ、楽しみだなあ。」
星華の事を思うと、又べえは嬉しくなった。
すると、向こうからクロちゃん達がやって来た。
「親方、又べえ、精が出るわね。
今度の花も可愛いわね。
・・・ところで親方、お願いがあるの
水神様にお願いがあるの連絡取れないかしら?」
クロちゃんが頼むと、
「じゃ、カッパ池に行って、水神様を呼び出すぞ。」
親方は、言った。
クロちゃん神社の裏のカッパ池で、クロちゃん達は、水神様の
お出ましを待った。
カッパ池がピカっと光、水面が盛り上がり、雄大な水神様が
現れた。
「久しいのう、クロちゃん何か用かい?」
水神様がご機嫌に言った。
「今日は、水神様、今中国風邪が蔓延して、困っているの。
沢山の人が苦しんでいるの水神様の力で祓って貰えない
かしら。」
クロちゃんが頼むと、水神様は考えて、
「世界中に蔓延しておるな儂がこの辺を祓っても
他所からまた中国風邪が入ってきて、蔓延するな。
う~ん、よし、病に特化した奴に対処させよう。
後で行くように言っておくから待っとれ。
じゃあなクロちゃん、また遊びに来てくれ。」
水神様は、そう言って消えてしまった。
「あ、行っちゃった。」
「水神様も忙しいんだよ、雨降らせたり、大洪水起こしたり、
色々あるんだよ。」
みっちゃんが言った。
「そうです、家に帰って、星明に貰った桃太郎電鉄でも
しましょう。」
チョコが言った。
「そうね、おやつの時間だし、家に帰るわ。」
クロちゃんは、とりあえず帰る事にした。
家に帰ると、
「あ、クロちゃん、お客様よ。」
ママが言った。
応接間に行くと、お客様は、ママ達の手作りの苺のショート
ケーキを食べながら、優雅に紅茶を飲んでいた。
鱗のドレス、裾と袖が肴のヒレ風、長い髪、優雅な細面の
美しい顔にとがった唇・・・。
「初めまして、アマビエでだ。
水神様様より、常世の中国風邪を駆逐する為に派遣されて
来た。
中国風邪を祓う術を伝授する。」
アマビエは、ニッコリとほほ笑んだ。
・・・あのアマビエ絵より綺麗で優雅だ。
あの絵は、その辺の人が描いただんから仕方ないか。
「初めまして、クロちゃんです。」
クロちゃんが挨拶すると、
「あ、アマビエ!知ってる!私の姿を描いてみんなに見せろ!
て奴だろう!ほら、コレ。」
セヒは、スマホで、アマビエの画像を見せた。
「・・・下手ですね、コレ我か?・・・。」
アマビエは、不機嫌そうに言った、すごく怒っている。
「それより、一緒に写メ撮らせて貰っていいですか?」
カダ兄ちゃんがいつの間にかやって来て、アマビエと
写メを取り始めた。
「あ、俺も!写メ撮る。」
セヒが言った。
「チョコも撮って、友達に自慢します。」
「この写メ広めれば中国風邪が終息するね。」
カダ兄ちゃんが言って、
みんなが大喜びで写メ撮っていると、
「我は、我の姿を皆に描いて広めろとは、言っていない。」
アマビエが言った。
「え、間違って伝わったている?」
クロちゃんが聞くと、
「病を祓う、我の舞を描いて広めよと、言ったのだ。
舞を伝授するから、皆で広めよ」
アマビエが言った。
MPK48の稽古場で、クロちゃんは、アマビエに中国風邪払いの
舞を習う事になった。
クロちゃん、みっちゃん、カダ兄ちゃん、セヒ、チョコ
たろべえ、ヒゲ子、MPK48が連日稽古に励んだ。
「手の動きが美しくない!」
「ポーズが決まっていない!」
「なんだ、そのへっぴり腰は!」
「姿勢が悪い!やる気があるのか!」
アマビエ様は、優雅な姿と違って、鬼コーチだった。
クロちゃんは、クタクタになってしまった。
舞と言うと聞こえは、いいが、結構変な踊りで、
クロちゃんが必死で踊れば、踊るほど、みんなが
大笑いするのである。
「みんな頑張っている?おやつよ、一休みしたら~。」
おばあちゃんが、おやつを持ってきてくれた。
ピロシキと桜蒸しパン、苺ゼリーだ。
ピロシキは、揚げたてで、やけどしないようフーフーしながら
一口パクリ、肉汁がジュワ~と広がった。
桜蒸しパンは、優しいふんわりした食感で、桜の香りが
口の中に広がる。
苺ゼリーでサッパリと、口の中をさました。
果汁100%のオレンジジュースが美味しい。
カダ兄ちゃんは、ポカリを飲んでいる。
アマビエは、紅茶を気に入ったようだ。
ガッツリしたおやつだが、体を動かすので、
いくらでも食べられる、カロリー消費が多い舞なのだ。
「随分上達したのね、いつどこで踊るの?」
おばあちゃんが聞くと、
「そろそろ各病院施設で、披露していいと思う。
みんなよく頑張った。」
アマビエは、言った。
「言いにくいんだけど、あの舞を今、医療が崩壊した病院に
行って踊るの?見舞い客でさえ出入り禁止なのに。
病院が許可するかしら?」
おばあちゃんは、言った。
「え!舞が披露できないのですか!?じゃ私にできる事は、
無い!帰らせもらう。」
アマビエが言った。
「ち、ちょっと待って、中国風邪が広まっちゃうじゃない。」
クロちゃんが、慌てて言うと、
「我と、水神様を信心せぬ者には、加護はない!
滅びよ!」
アマビエは、言った。
・・・アマビエ様、厳しい。
滅びはしなくても、中国風邪広がるわ・・・。
クロちゃんは、暗い気持ちになった。
しかし、あの面白い舞を踊らせてくれる病院が
あるだろうか・・・。
すると、セヒがサンタさんから貰った缶からキャンデーを
取り出して、食べた。
すると、ピ、ピーピーッ!と閃いた。
「神威病院なら踊らせてくれるんじゃないかな。
それを動画で撮って、SNSで発信して、踊らせて
くれる所だけで、踊ればいいんじゃないかな。」
セヒが言った。
「そうね、あそこは、豆まきも許可してくれたし、水神様も
みんな信じているわ。」
クロちゃんが言った。
「丁度、パパがリモワークで家にいるから撮影させよう
よ。」
ガダ兄ちゃんが言った。
「じゃ、神威病院に頼みに行ってくるわ。」
「それからね、クロちゃん神社で舞いを披露しても
いいかもね。
呼べば、テレビ局も新聞社も来ると思うの。
中国風邪のせいで、番組の穴埋め大変らしいし。
それから、あの舞、プロのダンサー雇って躍らせたら
どうかしら?」
おばあちゃんが言うと、
「その者は、水神様と、我を信心するか?
信心無き者が、いかに上手く踊ろうとも効果は、ない。
信心が大切だ。」
アマビエは、言った。
「そうね、クロちゃんファンは多くても、水神様や
アマビエ様を信心しているかって言うと・・・・
どうかしら。」
おばあちゃんが考えた。
「クロちゃん達は、水神様も我も信心して、頑張ってきた。
彼らには、中国風邪を祓う力がある。」
アマビエは、言った。
話は決まって、クロちゃん達は、神威病院に向かった。
神威病院も中国風邪患者で、大忙しだ。
中国風邪病棟は足りないので、中庭に沢山のプレハブ病棟を
設置して、軽症者は、ここで治療というか、クロちゃんの
水をガンガン飲ませて、ウィルスを駆除していた。
クロちゃんの水のおかげで、中国風邪の病人の完治率は、
都内、№1である。
医療スタッフも毎日、クロちゃんの水を飲んでいるので、
感染者は、一人もいない。
クロちゃん達は、病院に着くと、入口で検温と、消毒を
した。
「みっちゃんは、妖怪だから検温しなくてもいい。」
みっちゃんが言った。
「我も人間では、なく神である必要ない。」
アマビエが言った。
「すいません、決まりなんですよ。
私は、しなくていいと思うのですが、決まりなので、
よろしくお願いします。」
看護婦さんが、困ったように言った。
・・・そりゃ困るだろう。
「歳さん呼んで、今から中国風邪のお祓いしたいの。」
クロちゃんが頼むと、
「すぐ呼びますね、お待ちください。」
次の日、神威病院の中庭で、クロちゃん達は、舞を披露する事に
なった。
「クロちゃん、パパがバッチり撮ってあげるよ。」
パパは、ハンディカムを片手に言った。
自分で動ける患者や、お医者さん、看護師さんや、窓から
見ている人もいる。
みんな、クロちゃんと、噂のアマビエを一目見ようと必死で
ある。
「皆!我の舞う姿を目に焼き付けよ!そして、この舞を広めよ!」
すごい歓声が沸いた!
「黒い靄が大陸よりやって来た~♪中国風邪に~♪
人々は、病み~♪苦しみ~♪死んでゆく~♪
祓いたまえ清めたまえ~♪中国風邪~♪大和の国より
消えたまえ~♪邪悪な病は消えたまえ~♪清き風~
戻りたまえ~♪」
アマビエが優雅に舞始めた、クロちゃん達も続いた。
皆最初ガニ股で、ノッシノシと、舞い悪い病を踊り
次第に優しい顔をして、軽やかに舞始める。
最初大笑いしていた人々もどんどん魅入ってきた。
踊り終わった時、医師と看護師は、一斉にPCR検査を始めた。
結果は、
「みんな陰性です!」
みんなどよめきが起こった。
「皆の者!我と水神様を崇めて、この舞を広めよ!
我らの加護がつく!皆で、中国風邪を祓ってしまえ!」
アマビエは、叫んだ。
「おお!中国風邪が治る!」
皆は狂喜乱舞した。
「このビデオは、YouTubeにUPするよ。」
パパが言った。
「僕もSNSで、紹介するよ、要請があれば舞を踊りに
行こうね。」
カダ兄ちゃんが言った。
「あ、アマビエ様ありがとうございました。」
クロちゃんがお礼を言うと、
「皆よく頑張った、私の役目は終わった。
さらば、わが弟子達。
みんな心して、舞を広めよ。」
そう言って、アマビエは去って行った。
「あ、行っちゃた・・・。」
クロちゃん達は、アマビエを見送った。
その日の夜、クロちゃん達の舞のニュースが流れた。
クロちゃん達が舞を披露した後、PCR検査をしたところ
患者がみんな陰性になった事が報じられた。
「すごいのね、クロちゃん、これで中国風邪が減る
といいわね。」
ママが言った。
すると、
「クロちゃん、早速、舞の依頼が来たよ。」
カダ兄ちゃんが言った。
「早いわね、どこの病院?」
「それが・・・北海道なんだ。
今、感染者多くて大変らしいからね。
どうやって行く?県をまたいでの移動は駄目だったよね。」
みんなは、顔を見合わせた。
セヒがまたサンタさんから貰った缶からキャンデーを出して
食べた。
「なあ、県をまたいでの移動が駄目なのは、感染防止の為
だろう?
俺達は、クロちゃんの水のおかげで、感染しないよな。
中国風邪を祓いに行くのは、不要不急の外出じゃないよな。
行っていいいんじゃないか?」
セヒが言った。
「そうね、龍の戦車でみんなで行こう!」
クロちゃんは、言った。
次の日、クロちゃん達は、龍の戦車に乗って北海道に
向かった。
「ねえ、留、すごい勢いで飛んでるけど、北海道まで
どれぐらいかかるの?」
クロちゃんが聞くと、
「30分くらいかな。」
留は、言った。
「30分!そんなに早く着くの!?」
クロちゃんが驚くと、
「この龍の戦車は、水神様から貰った龍玉で動いているから
こんなに早く飛ぶ事ができるんだよ。」
留が説明した。
「クロちゃん、依頼があった病院が見えて来た。」
下を見ると大きな病院が見えて来た。
みんな龍の戦車を見つけて大騒ぎだ。
「驚いているわね。」
「普通驚くよ、僕たちは慣れちゃったからね。」
カダ兄ちゃんが言った。
龍の戦車は、病院の中庭に降りた。
クロちゃん達は、中庭に出ると、みんなどよめいた。
お年寄りが拝んでいる・・・。
「今日は、クロちゃんです。」
クロちゃんが言うと、歓声が上がった。
院長先生がやって来て、
「この中国風邪過の中よく来てくれたね。
クロちゃんは、龍に乗って来るんだね、龍を初めて見たよ。
本当にいたんだね。」
そう言った。
「あ、あれは、龍に見えるけど、妖怪が作った、龍の戦車なの。
龍は、飼っているけど、今、クロちゃんの髪の中で寝てるの。」
クロちゃんが言うと、院長が首をひねった。
龍の戦車は、クネクネと蠢き生きているようにしか見えない。
「そうなのかい、すごいね。
舞台は、ないけど中庭で踊ってくれるかい?
今、院内はクラスターが発生して大変なんだよ。
よろしく頼むよ。」
憔悴しきったように院長が言った。
藁にも縋るほど困窮していたようだった。
「任せて!」
クロちゃんは、笑った。
中庭に着くと、
「みんな!水神様と、アマビエ様を崇めて、この舞を広めてね!
水神様と、アマビエ様の加護がつくから!
皆で、中国風邪を祓ってね!」
クロちゃんが言った。拍手が起こり、
クロちゃん達は、舞い始めた。
「黒い靄が大陸よりやって来た~♪中国風邪は~♪
人々は、病み~♪苦しみ~♪死んでゆく~♪
祓いたまえ清めたまえ~♪中国風邪~♪大和の国より
消えたまえ~♪邪悪な病は消えたまえ~♪清き風~
戻りたまえ~♪」
クロちゃん達が優雅に舞始めた。
皆最初ガニ股で、ノッシノシと、舞い悪い病を踊り
次第に優しい顔をして、軽やかに舞始める。
最初大笑いしていた人々もどんどん魅入ってきた。
踊り終わった時、医師と看護師は、一斉にPCR検査を始めた。
結果は、
「みんな陰性です!」
みんなどよめきが起こった。
窓から元気に手を振る大勢の人々がいた。
「来て、良かったわ。」
「良かったね。」
クロちゃん達が喜んでいると、看護婦さんが花束を持って
来た。
「受付に、クロちゃんに渡してくださいと、届いた
そうです。」
「え?紫のバラ???なんかこの花、水草ぽいわ。」
クロちゃんが言った。
「その人、鱗ぽい服来てませんでした?」
みっちゃんが聞くと、
「ええ、ほら、今流行りのアマビエに似ているので、
受付の者がコッソリ、写メとったらしいです。」
看護婦さんがスマホを見せた。
「アマビエ様だ。」
「あ、本当だ。」
「見守りに、来てくれたのね。」
クロちゃんが、言うと、
「やっぱり、そうですか!凄いですね!スタッフ一同
これお守りにして頑張ります!」
看護婦さんは嬉しそうに言った。
「アマビエ様、ママの『ガラスの仮面』を読んで
いたらな。」
カダ兄ちゃんが言った。
「あ、紫のバラの人ね。」
「見守らないで、一緒に踊ってくれたら、
みんな喜ぶのに、めんどくさいな。」
セヒが言った。
「でも、さっき踊っていたら、何か邪悪な物を感じたわ。」
クロちゃんが心配そうに言った。
「クロちゃん、皆さんご苦労様です。
お茶でもいかがでしょうか、お茶とお菓子を用意しました。」
院長はお茶を勧めた。
「あ、でも急いで戻らないと・・・。」
クロちゃんが言うと、
「そうですか、お菓子は、マルセイバターサンド、白い恋人、
ポテトチップチョコレート、三方六の小割、チョコマロン
ですが。」
院長が言うと、
「マルセイバターサンド、白い恋人、ポテトチップチョコレ
ート、三方六の小割、チョコマロン!」
クロちゃんが言った。
「それ、お土産に櫻子ちゃんが頼んだお菓子だよね。」
みっちゃんが言った。
「お土産にも差し上げますよ、夕張メロンもありますよ。」
院長は、笑った。
「あ、じゃあ少しだけ。
それから、放送でアマビエ様を呼び出してもらえない?
甘いお菓子が大好きだから。」
クロちゃん達は、お茶をする事にした。
院長室の客間で、クロちゃん達は、お茶をしていた。
アマビエも次々とお菓子を食べまくっていた。
「コレも美味だな。」
マルセイバターサンドを食べてアマビエは、言った。
「見守りに来てくれたのね、ありがとうございます。
それから舞をしていて、邪悪な何かを感じたんだけど。」
クロちゃんが言うと、
「中国風邪を増幅させている者がいる。
そいつを退治しないとな。」
アマビエは、言った。
「あ、それ退治する為に、クロちゃん達から
離れたの?」
クロちゃんが聞くと、
「いつまでも我を頼るな、我はいずれ水神池に帰る者。
自分達でなんとかしないとな。」
・・・確かにそうね。
「お前達が舞を披露している時、出てきたら
我が成敗する!お前達は、力いっぱい踊れ。
馳走になった、では、私は帰る。」
アマビエはそう言って帰っていた。
「アマビエ様沢山食べたわね、美味しかったのね。」
アマビエが平らげた箱を見ながらクロちゃんは、言った。
クロちゃんは、ふと窓の外を見た。
「みんな、あれ見て!」
中庭で、怪しげな帽子をかぶった男が、黒い靄を出していた。
「あいつ、中国風邪をばら蒔いているね。
よし、やっけよう!」
みっちゃんが言った、みんな急いで、中庭に向かった。
中庭では、中国風邪が治って、喜んでいる人々に、
怪しげな帽子をかぶった男が、黒い靄を出していた。
クロちゃん達は、男をぐるりと囲んで、
「こら!お前中国風邪ばら蒔いているわね!
舞って、駆除したのに!」
クロちゃんは、叫んだ。
「チッ!バレたか!俺は、虎狼泣様配下の英型
中国風邪で、日本を弱体化させる為に来た!
お前達覚悟しろ!」
英型は、いきなりクロちゃんに襲いかかってきた!
みっちゃんが大筒で応戦した!
「お前覚悟できてるかい!このみっちゃんを怒らせたら
承知しないよ!」
みっちゃんは、ドンドン押していたが、英型は、ドンドン
黒い靄をばら蒔いている。
「ああ!また中国風邪のウィルスをばら蒔いて!
このクロちゃんが許さないわ!」
クロちゃんも攻撃したが、ますます黒い靄が出てくる。
「やだ、どうしょう・・・攻撃すると、ドンドン
ウィルスが出てくるわ。」
クロちゃんは、困ってしまった。
その時!何者かが英型をズバッ!と切った!
「お前達!何をグズグズしている!中国風邪が又蔓延
するだろう!」
アマビエが怒鳴った。
「あ、アマビエ様、ありがとうございました。」
クロちゃん達はお礼を言った。
「イてぇ!」
のたうち回る英型に、
「お前には、色々聞きたい事がある来い!」
アマビエが引っ張っていった・・・すると
「うあxx!ぐあxxxx!」
と、英型の悲鳴が聞こえた。
おそる、おそるクロちゃん達が様子を見に行くと、
英型は、手のひらサイズになっていた、かなり弱って
動けないようだ。
しかも、何か透明な膜で覆われていた。
「こやつの本体は、コレで、中国風邪のウィルスを身に
まとっていた。
我が、祓って、この大きさだ。」
アマビエが言った。
「えええ!あれ全部ウィルス!?」
クロちゃんは、絶句した。
「しかもコイツは、感染力が強くなった、変異種だ。」
「え!えええええ!!」
みんな驚くと、
「歳に渡して、調べてもらえ。」
アマビエは、英型をみっちゃんに渡した。
「あと2つ変異種をまとった妖怪がいるらいしい、
親玉もだ、我は探し出して退治する。
お前達も遭遇するやもしれぬ、見つけたらすぐ駆除するように!
戦闘できぬものは、中国風邪の祓いの舞を舞って援護しろ!
さっきのように、モタモタしていたら広まるぞ!
私は、他の奴を探して駆除する。
みんな心せよ!さらばだ。」
アマビエは、去っていった。
・・・変異種って・・・どうしょう・・・。
家に帰って、夕ご飯をみんなで食べていた。
夕ご飯は、クロちゃんの大好きな石狩鍋だ。
酒粕の香りがなんとも言えない。
「ああ、美味しいvお酒の香りがなんとも。」
クロちゃんが言うと、
「お前その歳で、酒好きですからね。」
チョコが言った。
テレビを見ているいると、
「クロちゃん、又、舞の依頼が入ったよ。
今度は、沖縄だよ。」
カダ兄ちゃんが言った。
「沖縄!また今度は、極端ね。
都心の病院もひっ迫しているのに。」
クロちゃんは、言った。
「あの北海道の病院の院長と、以前クロちゃんが、助けた
津波で家族も会社も流されて、自殺しようとした社長さん
の知り合いだったらしいよ。
沖縄の病院の院長と、北海道の病院の院長は、学友
なんだって。」
カダ兄ちゃんが言った。
「あ、クロちゃん達を信じているって事。」
「そう、舞を踊って治すなんて、普通信じないからね。」
カダ兄ちゃんが言った。
「ほら、SNSでも賛否両論なんだけど、最近じゃ
信じてる人が増えてるよ。」
カダ兄ちゃんは言った。
「次は、沖縄ね。」
クロちゃんは、言った。
次の日クロちゃん達は、龍の戦車に乗って、沖縄に向かった。
沖縄の病院の中庭に龍の戦車が降り立つと、みんな狂喜乱舞で
喜んで、みんな踊りだした。
・・・沖縄の人って、陽気ね。
「クロちゃん、よく来てくれたね。
院内は、クラスターが発生して大変だから中庭で踊って
くれるかい?」
院長は陽気に言った。
「任せて!・・・クラスターが発生しているわりに
ここの人元気ねえ。」
クロちゃんが言うと、
「クロちゃん達が来るまでは、みんな疲れ果てて、
元気がなかったよ。
でも、あの立派な龍を見たら救われたよ。
クロちゃん達は神様のお使いだね。」
院長が言うと、
「ちょっと違うの、神様、アマビエ様の舞の弟子なの。」
クロちゃんが言うと、
「みんな!クロちゃんは、神様のお弟子さんだそうだ!
中国風邪は、収束するよ!」
院長が叫ぶと、みんな狂喜乱舞で喜んで、みんな踊りだした。
・・・陽気な人達、頼まなくても舞を流行らせてくれそう。
中庭に着くと、
「みんな!水神様と、アマビエ様を崇めて、この舞を広めてね!
水神様と、アマビエ様の加護がつくから!
皆で、中国風邪を祓ってね!」
クロちゃんが言った。拍手が起こり、
クロちゃん達は、舞い始めた。
「黒い靄が大陸よりやって来た~♪中国風邪に~♪
人々は、病み~♪苦しみ~♪死んでゆく~♪
祓いたまえ清めたまえ~♪中国風邪~♪大和の国より
消えたまえ~♪邪悪な病は消えたまえ~♪清き風~
戻りたまえ~♪」
クロちゃん達が優雅に舞始めた。
皆最初ガニ股で、ノッシノシと、舞い悪い病を踊り
次第に優しい顔をして、軽やかに舞始める。
最初大笑いしていた人々もどんどん魅入ってきた。
踊り終わった時、医師と看護師は、一斉にPCR検査を始めた。
結果は、
「みんな陰性です!」
みんな狂喜乱舞して、一斉に踊り出した。
「本当に、陽気な人達ね。」
クロちゃんが言うと、
「もう、思わず踊りたくなるくらい嬉しいね、みんな限界
だったからね。
お茶の準備をしているんで、休んでね。」
院長が言うと、
「クロちゃん、受付に、クロちゃん渡して下さいとお花が
届いてます。」
看護婦さんが、水草っぽい紫のバラを持って来た。
「アマビエ様だわ。すいません放送で、アマビエ様を
呼んでくれないかしら。」
クロちゃんが言うと、
「その必要は、ないですよ。
あそこで、みんなに捕まって写真撮影会になってます。」
向こうを見ると、アマビエ様を囲んで写真を撮りながら
みんな踊っていた。
「アマビエ様、大人気ね、お花ありがとう。」
クロちゃんが言うと、
「ああ、気にするな、お前達頑張ったからな。」
「院長先生が、お茶を用意してくれたらしいから
一緒にお茶しない?美味しいお菓子もあるわよ。
クロちゃんが笑った。
すると、向こうから嫌な気配がした。
「あそこに、なんか禍々しいものがいるな。」
アマビエが言った。
行ってみると、背の高い女が黒い靄を身にまとっていた。
「成敗!」
アマビエが背の高い女を叩き切った!
パーン!
黒い靄が辺り一面に飛び散った!
「しまった!本体は、あの頭か!」
アマビエが忌々しそうに言うと、女の頭は、ピョンピョン
飛び跳ねて逃げて行く。
「我は、ここで舞いを舞う!クロちゃん、みっちゃん!
奴をすぐ捕まえろ!」
そう言うと、アマビエは、華麗に舞い出した。
すると、黒い靄がドンドン晴れて来た。
「凄いわね、ドンドン、ウィルスが消えていくわ。」
女の頭を追っかけながらクロちゃんは、言った。
「さあ、覚悟しろ!お前は、虎狼泣の手下だろう!
みっちゃんが、叩ききってやる!」
みっちゃんは、スラリと日本刀を抜いた。
「私は、虎狼泣様配下の南阿
中国風邪の変異種をバラ蒔きに来たのさ!
ケケケ・・・。」
みっちゃんが切りかかると、ヒラリと逃げる!
又、切りかかると、ヒラリと逃げる。
そして、ドンドン、ウィルスを巻き散らかすのだ。
「どうだ、南アフリカの変異種は!」
と、得意になっていると、バコ~ン!
クロちゃんが打ち出の小槌で、ぶっ叩いた!
「なんて事するの!許さない!」
クロちゃんは、容赦なくぶっ叩いた。
弱ったところをみっちゃんが、真っ二つにした!が
中から、又小さい妖怪が出て来て、逃げだした。
「気持ちわる~!日本ガイシのコマーシャルで、ああいうの
あったわね。」
クロちゃんは、言った。
南阿は、ドンドン逃げたが、虫網がカパッ!と被さった。
「捕まえた。」
飄々としたゆるい顔をした妖怪が、南阿を捕まえて、
ビニール袋に入れて、結んだ。
「で、コイツどうする?」
「今日は、クロちゃんです。捕まえてくれてありがとう。
お兄さんは?」
クロちゃんは、
「俺は、音次郎て言う楽士の妖怪だ。
さっきの舞を見ていたよ、なかなかのもんだ。
ただな、あのぬる~い雅楽のような音楽じゃ
今は、流行らないな。
俺ならもっと、テンポのいい曲にするね。」
そう言って、ギターを取り出すと、弾き出した。
ずいぶん楽し気な明るい曲になった。
「ずいぶん楽しい曲ね、踊りたくなるわね。
でも、特別の舞だから編曲してもいいのかしら?」
クロちゃんが言うと、
「構わん、みんなが信じて、踊る事が大事だ。
音次郎、いい腕だ、クロちゃん達の楽士となり、
みんなを盛り立ててくれ。」
アマビエが言った。
・・・いいんだ、編曲して、なんでいきなり、お抱え楽士?
勝手に話が・・・。
「え、いいんですか?神様配下のクロちゃんの眷属
になるんですね。」
音次郎は、嬉しそうに言った。
・・・え、いきなり、クロちゃんの眷属!?
クロちゃんは神様の配下なの???
驚いているクロちゃんをそっちのけで、話は進んで、
ピロロ~ン~♪音次郎が仲間になった。
家に帰ると、
「お帰りなさい、あらその妖怪さんは?」
ママが聞いた。
「あ、音次郎、今度、新しい舞の音楽を演奏して
くれる事になったの。」
「お世話になります、音次郎です。」
音二郎は、挨拶した。
その時、又べえが、走って来た。
「クロちゃん来てくれ、新しい花を作ったぞ、
見てくれ。」
又べえは、クロちゃん神社の入り口に連れて行った。
入口の花壇には、綺麗な淡いブルーの花が咲いていた。
「綺麗な花ね、でも、この花、普通ね。」
クロちゃんが不思議に思っていると、
近くを歩いていた青年に、ピ!ピピ~!と反応して、
沢山の青い花は、青年の所に飛んで行った。
「こいつは、中国風邪!消毒!」
「こいつは、中国風邪!消毒!」
「こいつは、中国風邪!消毒!」
「こいつは、中国風邪!消毒!」
「こいつは、中国風邪!消毒!」
と言って、消毒液を青年を囲んで、吹きかけ出した。
呆然としている青年をペンペン号が回収して行った。
「な、凄いだろう!中国風邪の患者を見つけたら
追っかけて行って、取り囲んで消毒液で消毒するんだ。
この『消毒草』をばあちゃんが、売り出すから
クロちゃん達が、舞を踊りに行く病院に、10株ばかり、
サンプルを配って宣伝くれ。
病院が使ってくれると、ショッピングモール、公共施設
、飲食店が買ってくれる。」
又べえが得意げに言った。
「凄いわ!これお店とかにも置いてもらうと、
中国風邪の患者をすぐ消毒してくれるし、ウィルスを
ばら蒔かれる前に隔離できるわね。
沢山配るわ!任せてね!」
クロちゃんは、言った。
「さあ、明日から新しい曲で練習よ。」
「おう!」
みんな気合が入った。
それから、クロちゃん達の所に、都心は、もちろん、日本中
から舞の依頼が入り、毎日日本中を踊りまくった。
・・・が、思ったように中国風邪は、収まらなかった。
クロちゃん神社で、又べえが新しい花をクロちゃん達に
見せていた。
「今、問題になってるマスクしないで、夜の店でお酒
飲んで飛沫をばら蒔く奴がいるだろう。
それで、この『マスク草』を作った。
マスクをしてないヤツを見ると・・・。」
その時、マスクしてないおじさんが近くを通ると、
マスク草は、おじさんの口に葉っぱをペタッ!と貼った。
おじさんが外そうと、暴れると、
「それを外して欲しくば、マスクをしろ!あの雑貨屋に
売っている!マスクをしないと、罰が当たるぞ!」
マスク草は、おじさんを脅した。
おじさんは、あわてて、雑貨屋に走って行った。
「あのまま、マスクしなかったらどうなるの?」
クロちゃんが聞くと、
「『マスク草』が寄生して、マスクをさせて、
1日中「自分はマスクをしない悪い人間だ!」と
大声で、街を練り歩くんだ。」
「・・・メチャ恥ずかしいわね。」
クロちゃんは、笑った。
すると、流がやって来て、
「クロちゃん、今暴れている変異種の親玉の妖怪は、都心に
いるみたいだ。
さっきこいつを捕まえた。」
流は、小さな妖怪を入れたビニール袋を見せた。
「こいつは、虎狼泣の部下で、伯刺だ。
こいつがブラジルの変異種をばら蒔いていたんで、
捕獲した。
虎狼泣が都心にいるらしい。クロちゃん気を付けるんだよ。」
流が言った。
「虎狼泣が中国風邪のウィルスをドンドンばら蒔いていたら
また感染者が増えるわね。」
クロちゃんは、不安そうに言った。
すると、又べえが、
「おい、歳さんから頼まれている、そいつを又べえにくれ!」
「ほらよ、どうするんだコイツ?」
流が伯刺を又べえに渡して聞くと、
「まあ、ついて来い。」
又べえは、おばあちゃんの家の庭に連れて来た。
綺麗な赤い花が咲いていた。
「わあ、綺麗な花。コレが何か?」
クロちゃんが不思議に思っていると、
又べえは、ビニール袋ごと伯刺を花に投げた、すると、
花は、伯刺をパクッと食べて、ビニール袋をペッ!と吐いた。
すると、葉っぱと茎の間に瓢箪のような実が沢山実った。
「ほら、中国風邪のワクチンだ!南アフリカ変異種と、
ブラジル変異種にも効くぞ。『ワクチン草』だ」
又べえは、笑った。
「ええ!凄い!又べえ」
クロちゃんは、驚いた。
「今、ばあちゃんの会社の傘下の製薬会社に、
色々検査して貰ってる。
アレルギーも出てないらしいぞ。
こうやって、変異種の妖怪を喰わせると、その変異種
にも効くぞ。
虎狼泣も捕まえて、花に喰わせると、全変異種に効く
ワクチンの完成だ!
親方と、全変異種に効く『ワクチン草』を沢山作って、
みんなに打つと中国風邪は、収束するぞ!」
又べえが得意げに言った。
「又べえ凄い!頑張って虎狼泣を捕まえるわ!」
「又べえ偉いね。」
みっちゃんが褒めた。
「俺も情報集めて来るな、頑張るよ。」
流はそう言って虎狼泣を探しに、行った。
「クロちゃん、今月末には、又べえの婚礼がある。
ばあちゃんが、ばあちゃんのグループ会社の結婚式場で
結婚式を挙げてくれるらしいんだ。
結婚したら、星華と、みんなで隠世の大桜を見に行こうな。
隠世の大桜の神様にお礼を言いに行くんだ。」
又べえは嬉しそうに言った。
「そうね、約束したから御馳走を沢山持って、みんなで
花見に行こうね。」
クロちゃん笑った。
・・・早く中国風邪のない世界にしなきゃ!
クロちゃんは、思った。
次の日、クロちゃん達は、都心の病院で舞を披露する事に
なった。
「都心なのに、龍の戦車で行くの?」
クロちゃんが、聞くと、
「そりゃ龍の戦車で行く方が、有難みがあるからだよ。
信心が大事だよ。」
みっちゃんが言った。
いつの間にか小雪姫がメンバーに入っていた。
「あの変な舞を踊るのは、ちょっとなんですが、
虎狼泣が襲ってきた時の用心棒ですわ。」
小雪姫は、ニッコリ笑った。
「ありがとう、頼りにしているわ。」
クロちゃんは、ニッコリ笑った。
小雪姫は、クロちゃんをギュっと抱きしめて、
「ああ~もう可愛くて、キュンキュンしますわ。
クロちゃん、くれぐれも気を付けてね。」
「あ、ありがとう。」
クロちゃんは、照れた。
「クロちゃん、モテるね。」
みっちゃんが冷やかした。
クロちゃんは、赤くなった。
クロちゃん達は、龍の戦車から降りると、大歓声に
包まれた。
「クロちゃん、よく来てくれたね。中庭で踊ってくれるかい?
コロナ患者が増えて、みんな疲れ切っていたんだ、
中国風邪を祓ってくれるのを楽しみにしていたんだよ。」
院長が、言うと、
「あ、お土産というか、お花のサンプルを持って来たの。」
クロちゃんは、消毒草と、マスク草を見せた。
「これは、消毒草と言って、・・・!」
いきなり沢山の青い花は、院長の所に飛んで行った。
「こいつは、中国風邪!消毒!」
「こいつは、中国風邪!消毒!」
「こいつは、中国風邪!消毒!」
「こいつは、中国風邪!消毒!」
「こいつは、中国風邪!消毒!」
と言って、消毒液を院長を囲んで、吹きかけ出した。
「え、院長先生コロナみたいよ・・・!?」
院長は、苦しみ始め妖怪の姿になった!
「虎狼泣なの?」
みんな身構えた。
「俺は、菲律!虎狼泣様の部下だ!
虎狼泣様は、今頃クロちゃん神社のクロちゃんの水を
汚しに行っている!
クロちゃんの水が、なければ、中国風邪が蔓延する!」
ズバッ!言ってる傍から小雪姫が切りつけた。
「うゎ!卑怯だぞ!」
菲律が怒鳴ると、
「お前、名前から言ってフィリピン変異種ね!
ばら蒔く前に、退治します!こいつは、私一人で
十分ですわ!みんなクロちゃん神社に向かって下さい!」
小雪姫は、言った。
「わかったわ!留!龍の戦車に乗せて!クロちゃん神社
まで、急いで!」
「わかった!みんな龍の戦車に乗れ!」
みんなは、龍の戦車に乗り込み、クロちゃん神社に向かった。
クロちゃん神社では、又べえと、親方が花壇に、消毒草と
マスク草を植えていた。
「これで、クロちゃん神社に中国風邪が紛れ込んでも
すぐわかるぞ。」
又べえが言うと、
「お前にしたら上出来だ。」
親方が言うと、
「親方が珍しく褒めてくれたぞ!吃驚だ!」
そう言って、又べえが得意になっていると、
沢山の青い花は、大きな男の方に飛んで行った。
「こいつは、中国風邪!消毒!」
「こいつは、中国風邪!消毒!」
「こいつは、中国風邪!消毒!」
「こいつは、中国風邪!消毒!」
「こいつは、中国風邪!消毒!」
と言って、消毒液を誰かを囲んで、吹きかけ出した。
「早速、中国風邪の感染者を見つけたみたいだ。」
又べえと、親方が近づくと、大きな妖怪が、
消毒草に、消毒液をかけられて苦しんでいた。
すると、吾作が走って来て、
「親方!又べえ!そいつを捕まえてくれ!
そいつ、中国風邪のウィルスをカッパ池に蒔きやがった!
周りの人間が感染した!」
カッパ池の方から悲鳴と、
「こいつは、中国風邪!消毒!」
「こいつは、中国風邪!消毒!」
「こいつは、中国風邪!消毒!」
「こいつは、中国風邪!消毒!」
「こいつは、中国風邪!消毒!」
沢山の青い花の叫び声が聞こえた。
「よし、吾作は、神主さんに放送で、みんなに逃げる
ように言ってくれ!
お巡りさんにも言って、それでも逃げないヤツは、
強制退去させろ!
コイツは、儂らでやっつける!」
「わかった、ここは、任せた親方!」
吾作は、走って行った。
すると、ペンペン号がやって来て、感染者を回収し始めた。
「殺虫剤かけられたゴキブリみたいだな。」
又べえが言うと、
「無駄口叩くな!早くこいつを倒さんと、中国風邪が蔓延
するぞ!」
親方が怒鳴って、大ばさみで妖怪に攻撃した!
バシッ!
大ばさみを跳ね返されて、親方は、くるっと回転して
受け身をした。
「俺の名は虎狼泣!ウィルスを増加させる力がある!
中国風邪を蔓延させて、この辺りは我らの配下に
する!」
虎狼泣は、高笑いをした。
「あいつ、特撮の悪役みたいだな。」
又べえが言った。
「お前、闘わんなら、助っ人集めて来い!」
親方が怒鳴ると、
「わかった。」
又べえが走り出そうとすると、親方がドンドン
押される!
「親方!」
吃驚した、又べえが大ばさみで切りかかるが、弾き
飛ばされた。
虎狼泣は、ものすごいウィルスの塊で、寄生する
事も出来そうにない、又べえがヨタヨタしていると、
「お前は、クロちゃん達がいないと、弱いんだから
助っ人呼んで来い!」
親方は、倒れた又べえに怒鳴った。
「わかった!」
その時、
「何だ、この小箱?」
虎狼泣が小箱を拾った。
「あ、又べえの小箱!」
「お前のか?フン!こうしてやる!」
バキッ!虎狼泣が踏みつけて、壊してしまった。
「ああ!なんて事しやがる!桜の大樹の神様から貰った
又べえの宝なのに!」
又べえは、半泣きで虎狼泣に切りかかった!
そして、又弾き飛ばされた!
すると、また親方が虎狼泣に襲いかかった!
「又べえ!早く助っ人呼んで来い!」
「わかった。」
又べえは、踏み潰された箱を拾って走った。
「緊急のお知らせをいたします、ただ今境内に、中国風邪
ウィルスを持った妖怪が侵入して、暴れております。
多数の感染者が出ております、お客様は、速やかに境内から
避難して下さい。繰り返します・・・・・。」
境内放送が流れた。
すると、鶴ちゃん、亀ちゃん、福ちゃん、星明等の妖怪達
が集まって来た。
「こいつが中国風邪のウィルスを巻き散らかしている
のか!」
中国風邪のウィルスが、どんどん増えている!
「なんて事すんの!福ちゃんが許さないよ!」
福ちゃんが、大槌で攻撃した!
鶴ちゃん、亀ちゃんがそれに続いた!
が、中国風邪のウィルスは、どんどん増えている。
「クロちゃん達がいないからな、ウィルスを祓う舞を
踊れる奴がいないからな。
万福商店街にも避難指示をした方がいいな。」
万福商店街の飲食店は、クロちゃんの水を使っている
嫌な予感がする・・・。星明は、不安が胸をよぎった。
「星明、ここは、俺達が頑張る!早く放送してくれ!」
コケシが叫んだ!
いつの間にかコケシと、ニポポ人形達が沢山集まってきて、
ドンドン攻撃し出した。
「よし、ここは、任せた!放送した後、カッパ池の様子を
見て来る!」
が、ドンドンウィルスは、広がる!
「そいつか!中国風邪のウィルスをばら蒔いているのは!」
歳さんが、でっかいメスで切りかかった!
虎狼泣は、歳さんをはじき飛ばしたが、歳さんは
受け身をして、又攻撃した!
「みんな!頑張って、コイツを生け捕る!そしてワクチンを
作る!中国風邪を収束させるぞ!」
歳さんは、叫んだ!
「おお!」
妖怪達は、雄たけびを上げた。
だが、攻撃すればするほどウィルスは増えていく。
どうすればいいのか?
その頃、クロちゃん達は、クロちゃん神社に向かっていた。
上空から下を見ると、クロちゃん神社が黒い靄に包まれ、
万福商店街まで広がろうとしていた。
「とんでもない事になっているわ!留、急いで!」
クロちゃんは、叫んだ!
「くそう!ドンドン広がる・・・神威病院の方まで!」
攻撃すれば、するほど増える!?どうすればいい!
しかも虎狼泣は、ダメージを受けた感じがしない。
すると、龍の戦車が降りて来た。
「みんなお待たせ!急いで帰ってきたわ!」
「あ、クロちゃん!助かった!中国風邪を祓う舞を
踊ってくれ!」
星明が言った。
「わかった!任せて!」
クロちゃん達は、舞った。
「黒い靄が大陸よりやって来た~♪中国風邪に~♪
人々は、病み~♪苦しみ~♪死んでゆく~♪
祓いたまえ清めたまえ~♪中国風邪~♪大和の国より
消えたまえ~♪邪悪な病は消えたまえ~♪清き風~
戻りたまえ~♪」
クロちゃん達が優雅に舞始めた。
皆最初ガニ股で、ノッシノシと、舞い悪い病を踊り
次第に優しい顔をして、軽やかに舞始める。
黒い靄は、消えるが、又ドンドン増える!
「わっはっは!どんなもんだ!
虎狼泣は、嘲笑うかのようにドンドン大きく膨らんでいく!
「なんてヤツなの!ドンドン大きくなって、
ウィルスをばら蒔くわ、キリがない。」
クロちゃん達は、困ってしまった。
「おい!クロ!お前人間のくせに中国風邪にかからんのか?」
虎狼泣が怒鳴ると、
「クロちゃんは、中国風邪にかからないように、水神様から
鱗貰っているからかかんないわ!」
クロちゃんが、そう言うと、
「ふん!じゃ他の奴は、かかるな!ドンドンウィルスを
増やしてやる!ワッハハハハハ!」
虎狼泣は、調子に乗ってドンドンウィルスを増やしていく!
・・・もうどうしたらいいの!
クロちゃん達が暗い気持ちになってきた時!
むこうから凄い勢いで飛んでくる青い絨毯が見えた!
絨毯は、とんでもない数の消毒草だった。
沢山の青い花は、虎狼泣の方に飛んで行った。
「こいつは、中国風邪!消毒!」
「こいつは、中国風邪!消毒!」
「こいつは、中国風邪!消毒!」
「こいつは、中国風邪!消毒!」
「こいつは、中国風邪!消毒!」
と言って、虎狼泣を囲んで、物凄い勢いで消毒液を
吹きかけ出した。
「うあxx!」
虎狼泣は、恐ろしく苦しみだした。
すると、黒い靄が段々薄くなっていく。
「さっきコイツが、消毒草に消毒液をかけられて苦しんで
いたのを思い出したんだ。
それで、親方と、ごんべえに頼んで、一緒に消毒草を
妖力を使って、沢山咲かせたんだ!」
又べえが自慢げに言った。
「又べえ、ナイス!皆!弱っている内にアイツをやっつけよう!」
クロちゃんが、叫んでる横で、
バッサり!
「お前達!何グズグズしている!とんでもなく中国風邪が蔓延
してるぞ!」
アマビエが虎狼泣をドンドン切っていた。
「みんな!一斉攻撃よ!」
周りの妖怪、コケシ、ニポポ人形は、一斉に攻撃した!
もうクジラ漁状態である。
「成敗!」
アマビエが最後にとどめを刺した。
みるみる小さくなった虎狼泣を膜でくるんで、又べえに渡した。
「ほら、コレでワクチンを作れ。」
「ありがとう、アマビエ様。」
又べえには、お礼を言って虎狼泣を貰って、走って行った。
「コレで、中国風邪が終息するな。
私の役目は、済んだ、水神池に帰る。
さらばだ、我が弟子達。」
アマビエが去ろうとすると、
「今日のおやつは、ザッハトルテとエクレアよ!」
クロちゃんが叫ぶと、
アマビエが、ピタッと止まった。
「夕飯は、アマビエ様の好きなハンバーグと、オムライスに
してもらうわ。」
クロちゃんが笑った。
「じゃ、ちょっと寄らせてもらおう。」
アマビエは、クロちゃんン家に寄る事になった。
アマビエは、クロちゃんン家で、お茶をしていた。
大好きなエクレアをパックンと食べて、紅茶を
飲んだ。すると、
「みんな!ワクチンが出来たぞ!」
又べえが手に一杯瓢箪を持って来た。
「まあ、ありがとう又ちゃん、私が歳さんに届けるわ。
いくつかは、うちの製薬会社に渡して調べてもらうわね。
それから売り出すわ。」
そう言って、おばあちゃんは行ってしまった。
「売るんだ、ワクチン。」
クロちゃんが呟くと、
「そりゃ、又べえ達の労力と、妖力の賜物だもん。
それに、タダだと気持ち悪いよ。
妖怪の作ったワクチンです、で一般人は接種する気に
ならないよ、だから櫻子ちゃんの会社の配下の製薬会社
から出すんだよ。」
みっちゃんが言った。
「そうか、色々あるのね。」
そう言って、ふと、又べえを見ると、ションボリしている。
「又べえ、消毒草を作ったり、ワクチンを作ったり
大活躍だったのに、何ションボリしているの?」
クロちゃんが聞くと、
「桜の大樹の神様から貰った、小箱を虎狼泣に壊された。
もう、新しい花を作る事が出来ない。
・・・桜の大樹の神様に会わせる顔がない・・・。」
又べえは、涙ぐんで言った。
「仕方がなかったのよ、桜の大樹の神様も解ってくれる
わ、ね、アマビエ様。」
クロちゃんが、アマビエに同意を求めると、
「お前!あの気難しい桜の大樹の大老からの賜物を
壊されたのか!?
滅多に賜物をくれないのに、お前、罰が当たるぞ!」
アマビエは、血相を変えて言った。
「そういえば、気難しくて、ガマ吉がよく叱られていた
らしいぞ。」
茂作が言った。
「でも、山田パン屋のおっちゃんや、ママ達にも色々
くれたわ、気前良かったじゃない。」
クロちゃんが言うと、
「えええ!そうなのか!?」
アマビエは、驚いた。
ふと、いつの間にかザッハトルテを食べている大黒様を
みつけて、
「大黒のおっちゃん、いたの。
桜の大樹の神様優しい方よね、又べえ許してくれるわよね。」
クロちゃんが聞くと、
「儂は、よく知らん、気難しいので、花見に行っても
会いに行ったのは、この間が初めてだ。」
大黒のおっちゃんは、そう言ってエクレアに喰いついた。
「あんなに、楽しそうに酒盛りしていていたのに・・・。」
クロちゃんは、よくわからなくなった。
又べえは、すっかり青ざめている。
「又べえ、お前タンポポで食っても美味くないから
丸焼きにされんから、安心しろ。
ほら、もうすぐ嫁貰うんじゃろ、そんな顔するな。」
親方が慰めた。
「神様怒るなあ・・・どんな罰が当たるんだろう。」
又べえがショゲていると、
「お前、馬鹿ですね、こんなのアロンアルファでくっければ
いいです、見た目は、バレません。」
チョコが言った。
「そうだな・・・。」
又べえが力なく言った。
そして、アロンアルフアでくっけようとした。
「くっかない・・・。ああ、神様怒ってる・・・。」
又べえは、又暗くなった。
「あ、留に直してもらおう、留なら綺麗に直して
くれるわ。」
クロちゃんは、そう言ったので、
「そうだな留に頼もう!」
又べえは、小箱を持って留の所へ急いだ。
・・・留、きっと直してくれるわ。
しばらくして、又べえが帰って来た。
「俺の手には負えないって、言われた。」
又べえは更に青ざめて言った。
「ねえ、元気出して、もうすぐ婚礼よ。」
クロちゃんが慰めると、
「いつ罰が当たるかわからない又べえは、嫁なんて
貰わない方がいいかもしれない。」
又べえが暗くなっていると、
「その時はですね、星華ちゃんは、又べえの稼いだ金で
沢山美味しい物食べたり、洋服買って、面白おかしく
暮らせばいいですよ。」
チョコが能天気に言った。
「・・・そうだな・・・。」
又べえは、力なく返事した。
又べえの憔悴ぶりを見て不安になるクロちゃんだった。




