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台風

イチョウの葉が黄色く色づいた頃、尖閣諸島の上では、とりどり

の龍が空を舞っていた。

留が作った『龍の戦車』である、戦車と留は、言っているが、

『空母ではないか』?と星明が突っ込みを入れたが、

留が戦車と言い張るので、戦車である。

毎日、やってくる中国の船に、雷や、竜巻、水鉄砲で威嚇して

おっぱらっている。

それでも、突っ込んでくる船は、突風でひっくり返て、慌てた

所を回収して、中国に運んでいるが、懲りないので、

次は、中国の近くの海に、見捨てて放置しようという事になった。

本当に、毎日、毎日あきないものである。


「たまに、当番で龍の船に乗ると、ストレス解消だよ。

結構、中国の船をからかうのも楽しいよ。」

星明は、言った。

尖閣には、クロちゃん神社の分社が建った。

それに海上自衛隊の基地が出来て、毎日、新鮮な胡瓜を海カッパに

届ているらしい。

「海カッパは、お返しに魚を届けているらしいよ。」

「仲良くご近所付き合いしているのね。」

クロちゃんは、ちょっと嬉しくなった。

「でもね、中国は50年計画で、自国の領土と、海にしようとして

いるから、50年くらいは、やって来ると思うよ。」

星明は、言った。

「ごじゅうねん!?なんて気が長いの!?」

「気長に構えないといけないんだ。」

星明は、言った。


家に帰ると、かぼちゃのパウンドケーキの香りがした。

「お帰りなさいくろちゃん、おやつは、かぼちゃのパウンド

とかぼちゃプリンよ。」

ママが、かぼちゃのパウンドケーキと、プリンのお盆を

渡した。

「あ、みんなに持っていくわね。」

クロちゃんは、みっちゃんと手分けして、おばあちゃんン家

におやつを持って行った。


「みんなおやつだよ!」

みっちゃんが叫んだ。

みんなは、おやつに集まって来た。

「旨そうだな、そう言えば台風が近づいてきてるな、今まで

経験した事のないような被害が出るらしい。」

親方が言った。

「あの龍の戦車は、台風を熱帯低気圧に変えれるから、台風

を消せばじゃない?」

クロちゃんが、言うと。

「クロちゃん、台風は、何で出来るか知っているかい?

海水の温度が上がりすぎて、蒸発した水蒸気で出来てる雲が、

台風の元になるんだよ。

雲のまわりでは、しめった熱い空気がどんどん集まってきて、

うずをまくようになる。

うずをまく空気の流れはどんどん早くなって、風がますます強く

なり、台風になるんだよ。

台風は、海水の温度を下げるんだよ、周りの空気や海水をかき回

しながら進むから、空気も海水も温度が下がるんだよ。

沖縄では、台風が来なくて、海水の温度が上がりすぎて、珊瑚が

死滅した事があるんだよ。

自然がする事は、意味があるから、勝手に弄れないし、

今度の台風みたいに、関東を暴風雨で覆うような大型だと、龍の

戦車のパワーじゃ無理だよ。」

歳さんが説明した。

「龍の戦車は、まだ3台しかないからね。

留が、尖閣に試運転しに行って、帰って来ないの。

遊んでいるんだよ。」

みっちゃんがため息をついた。


その頃、留は、龍の戦車に乗っていた。

仲良くなった、私服の自衛隊員を乗せている。

「すごい!乗り心地最高だ!」

彼らは、大喜びだ。

「お!中国の船だ、懲りんな。

おい、操縦は、妖力がいるが、攻撃は人間でもできるぞ。

このレバーをここの照準を定めて撃てばいい、あんたら

プロだろ?やっていいぞ。」

留が言うと、

「いいのか?やった!俺やる!日頃の恨みタラタラだ!」

自衛隊員は、容赦なく水鉄砲攻撃で、威嚇した。

「次は、俺にやらせてくれ!これは、日本の船じゃ

ないから、憲法に引っかからないよな。」

「ああ、内緒にしとくから、心ゆく迄、日ごろの恨みを

はらせ。」

留は、言った。

憲法が引っかかって、銃を持った相手に、銃で応戦する

事が許されない彼らは、常に危険にさらされている。

だから、とっても楽しそうだった。

それを見て、留もいい気持ちになった、明日は帰ろうと

思いは、するのだが。


「て、いう感じで、戦車も作らず、中国の船をおっぱら

っているらしいよ。」

みっちゃんは、言った。

「自衛隊の基地内に、海カッパ用の胡瓜や、トマトとかの

野菜や果物を作ってる畑があるらしいよ。

そこで、もぎたての野菜や果物を毎日食べに行ってるら

しいよ。」

歳さんが言った。

「基地内のレストランで、毎日お昼を御馳走になっている

と、言ってたな。

自分達は、特別メニューだって自慢していた。」

ゴンベエが言った。

「基地内には、遊技場があって、そこで楽しく遊んで

いるとも言ってたぞ。」

親方が言った。

「素敵なリーゾート生活ね、そりゃ楽しくて帰って

来ないわ。」

クロちゃんは、納得した。

又べえは、星華とイチャイチャしている。・・・いいな。

「私もそろそろ家に帰ろうと思います。」

星華が言った。

「婚礼の支度もあるから、一度戻った方がいいじゃろう。」

親方が言うと、

「何も持って来なくてもいいぞ。

全部こっちで用意するって、ばあちゃん言ってたぞ。」

又べえが言うと、

「それでも親は、用意してやりたいんじゃよ。」

親方が言った。

「そうか、じゃあ何か土産を買いに行ってこい。」

歳さんが言った。

「わかった、星華行こうな。」

「はい。」

二人は、手をつないで、出て行った。

「二人ともラブラブね。」

クロちゃんは、羨ましそうに言った。

「台風が近づて来てるから、来る前に返した方がいいね。

水神池の道が台風で、ゆがむといけないからね。」

みっちゃんが言った。


万福商店でも、明後日の台風の備えをしていた。

「明日は、夕方3時までで、お店閉めるの、帰れなくなるから。」

セブンスパラダイスで抹茶パフェと、フルーツパフェ、プリンアラモード

を食べている又べえ達に、照子さんは、言った。

「そうか、じゃ明日は、早めに来ような。」

「嬉しい、帰る前に、また、ここのパフェを食べれるのですね。」

星華は喜んだ。

周りに置いている沢山の紙袋は、又べえが買ってくれた家族への

土産である。

星華は、みんなの喜ぶ顔を思い浮かべて嬉しくなった。

「星華ちゃん明日帰えるの?」

「はい、台風がくるまでに帰らないと、水神池への道が歪むと

帰れなくなるので。」

「明日、親方が軽トラで送ってくれるんだ。

又べえもついていくんだ。」

「ねっ。」

二人は見つめあって、頷いた。

「まあ、ラブラブね。」

照子さんは、笑った。


クロちゃん神社では、台風に備えて、建物の補強をしていた。

「こんな時、留のヤツいつまで遊んでいるんだ。」

親方が不機嫌に言った。

「じゃ、又べえにも手伝わせればいいのに。」

星明が窓ガラスにテープを貼りながら言った。

「星華ちゃんがいる間くらいは、一緒にいさせてやろうと思ってな。

・・・最初の女房は、仕事、仕事でかまってやらん内に、

死んじまってな。」

親方が言うと、

「親方、いい人だねえ!何回くらい結婚したの?」

星明が言うと、

「12回嫁を貰った、みんな人間だから先立たれた。

先立たれるのは、辛いな。」

「あ、そうか・・・。」

「星明は、何回嫁貰った?」

「・・・ない、結婚した事ない・・・。」

「え!そうなのか?嫁もらってみたらどうだ。」

「結婚いいもんなんだろうな。」

「ま、こればっかりは、してみないとわからんな。

いい女房の時は、楽しいが、結婚したら性格が変わる

のもいたしな。」

「・・・まるで、ギャンブルだね。」

「ま、運だ。・・・お政は悪くないと思うがな。」

親方がニッと笑った。

「え、お政さんは、そんなんじゃ・・・。」

星明は、慌てた。

「いつまでもコケシを思っても成仏しちまったからな。」

「わかっているよ。」

星明は、寂しそうに言った。

「親方、星明、精が出るわね。」

クロちゃんと、みっちゃんがやって来た。

「今度の台風大きいもんね。」

みっちゃんが言うと、

「大きいから海の龍の神様のせいかもね。」

星明が言った。

「え!台風って、海が暑くなりすぎて、水蒸気になって雲に

なって、それが渦まいて、大きくなったものなんでしょう?」

クロちゃんが言うと、

「クロちゃん、詳しいね、そうだよ。

ま、原理はそうなんだけど、神様が作っている場合もあるん

だよ。」

「そうなんだ。」

クロちゃんは、言った。

「龍の戦車で、台風見に行く?」

「え、危なくない?」

「大丈夫、動力は、水神様の龍玉だ、ご加護がある。

それに、クロちゃんもご加護があるからね。」

星明が言った。

「ご加護?」

「大黒様が運をうんと上げてくれてるし、水神様のご加護

もあるしね。」

星明が、言った。


星明は、クロちゃん神社の奥に連れて行くと、扉が自動で

開いた、奥に巨大なペンギンロボットがいた。

「あれは?」

「留が作った、ペンギン型ヘリコブター『ペンペン号だよ』

龍の戦車は、ここにないから、あれで、尖閣まで行くんだよ。」

星明が言った。

「留・・・謎の趣味してるわね、あんな見事な龍の戦車作る

のに、ペンギンヘリコブターなんて??」

クロちゃんは、呆れた。

「留は、職業は大工で、色んな意味で天才なんだけど、

勉強嫌いで、カンで色々作るんだ。

だから、謎のセンスなんだ。」

星明が、苦笑いをした。

「じゃ、クロちゃん乗って」

みんなは、ペンペン号に乗り込んだ。

「じゃあ、出発!」

星明が発信ボタンを押すと、バビューン!と尖閣まで、

凄い勢いで飛んでった!

「これ、ヘリコブターじゃななくて、ロケットよ!」

クロちゃんは、叫んだ!

「留に日本語の意味おしえてね!」

みっちゃんが叫んだ。

「無理だよ!国語教えてたら、30分で寝るんだから!」

星明は、叫んだ。


すぐに尖閣諸島が見えて来た。

「あ、海保の基地が見えた。」

星明が、言うと

「クロちゃん神社だよ、あれ。」

みっちゃんが言った。

神社が見えて、クロちゃんの旗がたなびいている。

基地の近くに降りると、サイレンが大音響で鳴っていた。

「なんか、大騒動になってない?」

外に出ると、自衛隊員に囲まれて、銃を構えられていた。

「な、なんなの!?」

クロちゃんが驚くと、

「クロちゃん!ひょっとしてクロちゃんかい!」

自衛隊員が口々に叫んだ。

「そうよ、どうしたの?」

「怪しい中国の偽ディズニーランドのキャラみたいな

パチモンのようなペンギンロボットが飛んで来たんで、

中国の爆弾かもしれないだろう?警告しても反応がないから、

危うく撃ち落とす所だったよ。」

自衛隊員は、言った。

「撃ち落とす!?ヤバかったのね・・・。

ところで、留は?」

クロちゃんが尋ねると、

「留は、海カッパ達と領海侵犯した、中国の船を拿捕しに

行ったよ。」

「留と、海カッパが?何故?」

「連中は危険だから、妖力で捕まえてくれるんだよ。」


その頃、留と海カッパは、海保の船に乗っていた。

「中国の船に近づいたぞ。」

自衛隊員が叫ぶと、

「よし、任せておけ!」

留と、海カッパは、一心不乱に中国船の乗組員の生気を

吸い取り始めた。

「そろそろいいぞ!」

留が、叫ぶと、

小型ペンペン号を連れて、中国船に留と、海カッパは、

乗り込んだ。

そして、片っ端から、生気を吸われて倒れている中国人を

ペンペン号が飲み込んだ。

その後、自衛隊員が乗り込み船内捜査が始まった。


小ペンペン号は、空を飛んで、基地に着いた。

そして、基地内で、ぺっぺっと、中国人を吐き出した。

どこにそんなに飲み込んでいたのかと思う程中国人を

吐き出した。

それを隊員達は、次々に逮捕していった。

それを見た星明は、眉をひそめた。

「すごいね、みんな。」

クロちゃんが、言うと、

「留、海造、あんな事までしなくていいよ。

俺達は、龍の戦車で、中国の船を追っ払うだけだよ。

いいように使われるんじゃない。」

星明は、言った。

そして、隊員達を見て、

「あれは、貴方方の仕事ですよね、契約書にはありません!」

星明は、言った。

「でも、星明よお、みんな危なくて、大変なんだ。

だから俺達が捕まえるんだ。」

留が言うと、

「俺達は、妖怪だ、過ぎた事をすると、泥をかぶるよ!

それで一番迷惑するのは、クロちゃんとクロちゃんの

家族だ!

俺達が、一番守らないといけないのは、クロちゃんだ!」

星明が睨むと、

「わ、わかったよ。」

留と、海造は、ショゲた。

「悪かったな、つい留達に甘えて、これから中国船拿捕には

使わないから。」

隊長は、言った。

「じゃあ!今から屋上のビアガーデンで、ビール飲むぞ!

クロちゃん、歓迎するよ!」

隊員達は、言った。

「ありがたいけど、クロちゃんビールは、飲まないわ。

それに、ここに来たのは、龍の戦車を借りて、

台風の様子を見に行こうとしたの。」

「台風?そういえば来てたな。

ま、龍の戦車があれば、水神様のご加護で、基地と神社と

海カッパの住処は大丈夫なんで、気にしてなかったな。」

留が言った。

「今度の台風は、凄く大きいから小さくして、被害を少なく

したいの。」

クロちゃんは、言った。

「じゃ、天竜号を持ってくるよ。」

留は、そう言って、走って行った。

「クロちゃん、あっちに、おやつを用意したよ。

バームクーヘンと、ケーキ、アイスクリーム、チョコレートだけど、

飲み物は、ジュースとココアと、紅茶どれがいい?

今、厨房で、パンケーキを焼いているよ。」

隊長は言った。

「え!パンケーキ?」

「ホイップクリームたっぷりで、栗と、焼きリンゴと

アイスクリーム添えだ。」

「美味しそう!ここは、何でそんなのが出来るの?」

「この基地の任務は、尖閣諸島の防衛の他に、妖怪の接待だからね、

妖怪達が喜ぶ物を沢山用意してるんだよ。

内緒だよ、マスコミと、野党に知れたら不要に騒ぐから。」

隊員は、言った。

・・・凄いな、確かにみんな懐柔されている。

だから、ここの人みんなフレンドリーで、愛想が

いいんだわ・・・。

「あ、でも時間がないの。」

クロちゃんが言うと、

「じゃあ、おやつを持って行きなよ。」

隊員は、おやつを入れた紙袋を渡した。

「ありがとう。」

クロちゃんは、笑った。

「それから、お願いがあるの。

基地の周りに、旭日旗にクロちゃんと海カッパの顔がプリント

されてる、大きな旗が一杯立ってるでしょう?

恥ずかしいから仕舞って欲しいの。」

「ええ!あれは、クロちゃん神社で買ったもので、あれを掲げて

いると、ご加護があって、台風が来ても、被害が少ないんだ。

だから、仕舞えないよ。

それに、あれは、クロちゃんの領土って印だし、

中国が、滅茶苦茶嫌がるから、絶対掲げておきたいんだ。

ごめんね。」

隊長は、謝った。

中国船への恨みは、かなり根深いらしい。


天竜号に乗ってしばらく行くと、大きな雲の塊が見えて来た。

雲は、渦巻いて、雷が鳴っていた。

「アレが台風?」

「ああ、飛び込むぞ。」

そう言って、天竜号は、台風に飛び込んだ。

凄い雷の中2匹の龍が蠢いていた。

「あれは?」

「風神様と、雷神様だよ。」

みっちゃんが言った

「風神と、雷神?鬼じゃないの?」

「それは、人間のイメージだ。」

星明が答えた。

「風神様!雷神様!お静まり下さい!」

みっちゃんが叫んだ。

「あ、座敷童子か、?水神の力?」

雷神が言うと、

「このクロちゃんは、水神様のお気に入りで、踊り

のご褒美に、水神様から龍玉を賜ったのです。」

星明が言うと、

「お前が噂のクロちゃんか?じゃ出て来て踊れ!」

雷神が怒鳴った。

「ええ!ここ空の上よ!落ちちゃう!!」

クロちゃんが言うと、

「水神の力で、浮く!出て来い!」

風神が言った。

「クロちゃん、みっちゃんも一緒に行ってあげるよ。

せーのーで行こう。」

みっちゃんが言うと、

「みっちゃん、落ちちゃうわ!」

「ほら、懐に龍玉を入れてるから大丈夫。」

みっちゃんは、懐の龍玉を見せた。

「さ、行こう、クロちゃんは、打ち出の小槌を持っておリるんだよ。」

そう言って、みっちゃんは、ポ~ンと飛び降りた。

クロちゃんも打ち出の小槌を出して、躊躇しながらもポ~ンと飛び降りた。

不思議と、体が浮いて、2匹の龍の前に出た。

「さ、面白い踊りを踊れ。」

クロちゃんは、打ち出の小槌を構えた。

そして、踊りだした。

「あ~楽し~♪あ~楽し~♪あ~楽し~♪あ~楽し~♪

箸が転がっても~笑う~♪なんでも楽し~♪

箸が転がっても~笑う~♪なんでも楽し~♪」

・・・何て歌・・・自分で歌ってて、変・・・。

あちらを見ると、龍達は、体をくねらせて笑い転げている。

「ハハハハハ!愉快!愉快!」

大うけである・・・。

みっちゃんも横で笑い転げながら踊っている・・・。

・・・クロちゃんの何がそんなにウケるのかしら・・・。

ふと、ネットで、踊ってる姿を思い出して

・・・確かに阿保みたいに面白かったわ。

踊り終わると、

「えーぞ!えーぞ!あと、うまい酒があればな。」

雷神が言うと、

「水神の所に旨い酒があったな。」

2匹は、クロちゃん達を見た。

「わかりました、水神様の所に行って、貰ってきます。」

みっちゃんが言った。

「え!行くの?」

「行かないと、収まらないよ。」

みっちゃんは、ため息をついた。

「肴も頼むぞ。」

風神が言った。

「たしか、天津甕星のとこの山に、美味いキノコがあったな。」

美味茸(ビミタケ)だ、あれを焼いて塩を振ると旨いな。」

雷神が言って、クロちゃん達を見た。

「もちろん、採って来ます。」

みっちゃんは、言った。

「頼むぞ!」

2匹はクネクネくねった。

「急いで行くので、水神池への道を開いて下さい。」

みっちゃんは、大きな声で言った。

「待ってろ!」

そう言って2匹はグルグル回り、ぽっかりと、空間の穴が

出来た。

「さ、早く行って、取って来い!」

風神が言った。

龍の戦車は、クロちゃんえと、みっちゃんを回収して、

穴に飛び込んだ。


その頃おばあちゃんン家では、

「馬鹿か!明日台風が来るから今日中に帰れ!

空間が歪むと、しばらく道が開かんぞ!」

親方が又べえと、星華を怒鳴った。

「でも、親方、星華は、明日もチョコレートパフェを

食べるのを楽しみに・・・」

又べえが言いかけると、

「馬鹿!危ないから言っとるんじゃ!」

怒鳴られてしまった。

「儂が軽トラで送ってやるから、すぐ準備しろ!」

親方に言われて、二人は渋々星華の帰り支度をした。

軽トラに、一杯のお土産を積み込んで、又べえ達は、出発した。


その頃クロちゃん達は、水神池に着いていた。

「今日は!水神様!お酒を分けて下さい!」

クロちゃんは、門の所で、大きな声で叫んだ。

すると、門が開き、沢山の貝や魚の妖怪がクロちゃん達を

出迎えた。

「さ、水神様がお待ちです。」

魚妖怪が奥へと、案内した。

広間では、水神様が待っていた。

「クロちゃん、よく来たな!おやつや果物を沢山用意したぞ!」

ご機嫌に、水神様が出迎えた。

「ありがとう、でもクロちゃん達急いでいるの、

おっきな台風がクロちゃん家の方に向かっていて、

被害が大きくならないように、台風を小さくしてもらうよう、

風神様と、雷神様に頼のもうと、思って、踊ったら、

酒と肴を持って来いって言われたの。

水神様のお酒を分けて貰えないかしら。」

クロちゃんが頼むと

「そりゃいいが、肴は何を持たせようか。」

「天津甕星の所にある、美味茸を焼いて、塩降って食べたいって。」

「・・・それは、難しいかもしれんぞ。」

「何で?」

「前の戦の時、風神、雷神は、天津甕星に大打撃を与えているから、

まだ、恨んでると思うぞ、あいつ執念深いからな。」

水神様は、言った。

・・・どうしよう、確かに根に持つタイプだわ・・・。

「じゃ、ママに食べさせたいとか言えばいいよ。」

みっちゃんが言った。

「そうね、流石みっちゃん頭がいいわ。」

クロちゃんは感心した。

その時、又べえ達が広間に入って来た。

「あ、クロちゃん!何でここにいる?!」

又べえ達が叫んだ。

「クロちゃん達は、台風を起こしている、風神、雷神様のご機嫌を取る

為に、水神様にお酒を貰いにきたの。

星華ちゃん、もう、帰るの?」

クロちゃんが尋ねると、

「はい、台風が近づくと水神池への道が歪んで、しばらく帰れなく

なるからって。」

星華は、言った。

「そうなの、クロちゃん達は、今から天津甕星の所に美味茸を

貰ってくるの。」

「美味茸ですか、すごく美味しいらしいですね、貴重な物で

高貴な方達しか口にできない物です。」

星華は、言った。

「ええ!そうなの・・・譲ってくれるかしら・・・。」

「大丈夫なんじゃないですか、他ならないクロちゃんの

頼みですもの。」

星華は、笑った。


親方の車で、天津甕星へ向かった。

「あ、何かお土産ないといけないかしら?」

「あ、じゃ又べえ様が私の実家に買ってくれた、お土産を

持っていかれては?」

「いいの?ありがとう」

クロちゃんと、みっちゃん、星明、留は、お土産を漁った。

かわいい洋服、アクセサリー、お化粧品、バッグ・・・・

「女の人用だね。お父さんや、お兄さんのは?」

「Tシャツと、お酒と、酒の肴ですわ。」

すると、端の方にTシャツと、お酒と、酒の肴が、あった。

「お母さんや、お姉さん達とずいぶん量が違うね。」

「父や、兄達は、威張り腐って嫌いですの。

この国の男ってみんなそうですわ。」

星華は、言った。

「じゃ、お父さんとお兄さんのお土産貰ってもいいかな?」

星明が言うと、

「遠慮なくどうぞ、父と兄達には何もなしでもいいですから。」

星華は、言った。

・・・大丈夫かな?と思いつつにTシャツと、お酒と、酒の肴と

菓子類を土産にする事にした。


天津甕星の城の前にくると、クロちゃんは、車から出て、くると、

門番達は、慌ててやって来た。

「これは、クロ様、天津甕星様に御用ですか?」

「天津甕星に会わせてくれる?」

クロちゃんは、言った。


天津甕星の広間に通された、大きなテーブルにお菓子と、

お御馳走がてんこ盛りで用意されていた。

天津甕星が愛想よくクロちゃんを出迎えた。

「よく来たね、クロちゃん、さあ、おあがり。」

「ありがとう、実は、お願いがあって・・・

あれ、いい匂い。」

「鼻が利くね、美味茸が献上して来た。」

大きな皿に山と、焼かれた美味茸が運ばれてきた。

「さ、おあがり、美味しいよ、酒の肴にも最高なんだ。」

そう言って勧められたので、クロちゃんは、一口パクリ!

「美味しい!」

松茸やトリフのような不思議な香りで、美味しくて、

みんな夢中で食べた。

皿が空になると、

「あ、お願いがあるの。コレママに食べさせたいから、

少し貰って帰っていい?」

クロちゃんが頼むと、天津甕星は困ったような顔をして、

「もうない。献上して来た美味茸は、それで全部だ。」

「えええ!!そうなの?生産地で分けてもらえないかしら?」

「どうかな?アイツは気難しいからな・・・。」

天津甕星は、難しい顔をした。

「作ってる妖怪、難しい人?」

クロちゃんが聞くと、

難果(ナンカ)という奴でな、美味茸を苦労して作り上げた。

が、法外の値段で売りつける、もしくは、無理難題を

吹っ掛けるって話だ。」

「そうだったの・・・でも、行ってみるわ。

それから、これお土産よ、はい。」

クロちゃんは、お土産を渡した。

「ありがとう、クロちゃんの国の酒と肴楽しみだ。

それに、これはクロちゃんの国の衣装かい?」

「あ、それ、普段着にでもしてね、ありがとう。

クロちゃん達、難果の所に美味茸を分けて貰いに行きわ。

紹介状とか書いて貰えるかしら?」

クロちゃんが聞くと、

「いいよ、帰りにお寄り、お土産をあげるからね。」

天津甕星は、愛想よく笑った。


難果の住む山を目指して、クロちゃん達は、龍の戦車で

急いだ。

山の中に作業をしている妖怪達が見えた。

「あ、あれだよ、降りよう。」

星明は、言った。

地上に降りると、使用人の妖怪達が近づいてきた。

「お前達は何だ!」

「今日は、こちらは、クロ様、天津甕星のご友人で、

大黒様と、水神様のご加護のある高貴な方だ。

この国が、今年豊作なのは、クロ様が豊穣の踊りを

踊ってくださったからだ。

天津甕星のご紹介で、美味茸を譲って貰いに来た。

難果に案内してくれ。」

そう言って、天津甕星の紹介状を掲げた。

天津甕星の印の付いた紹介状を見て、みなひれ伏した。

「星明、なんかクロちゃん、すごく偉い人みたい何だけど。」

クロちゃんが、心配そうに聞くと、

「自覚ないの?クロちゃんは、偉い人なんだよ。

だから、天津甕星があんなに歓待して、機嫌を取るんだよ。」

星明は、言った。

「え?」

驚いているクロちゃんをよそに、星明は、サッサっと、

話を付けて、難果の館に向かい歩き出した。


大きな家が見えてきた、難果の家である。

奥に通されると、小柄で、冴えないが、目がギラギラとした

難果が現れた。

「天津甕星様の紹介状は、拝見したが、美味茸はこれだけ

しかない。」

籠の中に5個美味茸が入っていた。

「それだけでいいので、譲って下さい。」

星明が言うと、

「これは、もう高貴な方にお譲りする事になっている。

ご自分で、採りに行かれるなら、お譲りしても

いいですよ。」

難果が意味深に笑った。

・・・なんか企んでいる。

星明は、考えこんで、

「わかりました、採りに行きます。」

答えた。


美味茸が生えてる山に、一同は、向かった。

難果の使用人の妖怪は、洞穴の前に来ると、

「美味茸は、この洞穴の奥です。

私共は、中に入るのを禁じられておりますので、ここでお待ち

します。」

「おい、案内人無しで、勝手に採ったら不都合は、ないのか?」

星明が聞くと、

「この中は、強い妖力がないと、勧めないのです。

私のような弱い妖怪では、中までは、行きつけません。」

「・・・で、勝手に採って来いか?」

「妖力の強い妖怪は、この間の収穫で、力を使いきって、

みな休んでいるのです。

あと何日かは、動けないと思います。」

難果の使用人の妖怪は、そう言った。

星明は、ちょっと考え込んだ。

「クロちゃんは、人間だから大丈夫だと思うけど、みんなは

どうだろう?」

「みっちゃんと、星明、クロちゃんで行こう、留と又べえと、

親方と、星華ちゃんは、待ってて、もしもの時は、

呼ぶから。」

みっちゃんは、言った。

「じゃ、親方、何かあったら打ち合わせどうり頼むよ。」

星明が言った。

「わかった、まかせとけ!気を付けてな。」

親方は、ドン!と胸を叩いた。


クロちゃん、みっちゃん、星明は、洞窟の奥に進んで行った。

「段々、あの美味茸のいい匂いが近くなっていくね。」

クロちゃんが言うと、

「そうだね。」

みっちゃんと、星明が段々元気が無くなってきた、

「大丈夫?」

心配そうにクロちゃんは、言った。

「うん、ちょっとね。」

星明が言った、少し顔色が悪い。

更に奥に進んで行くと、大きな巨木が見えて来た。

根本には、沢山の美味茸が生えていた。

「すご~い!」

クロちゃんは、近づいて、美味茸を取り始めた。

「ねえ、みっちゃん・・・星明・・・。」

気が付くと、二人は、倒れていた。

「どうしたの!ねえ、二人共!」

「クロちゃん、外の皆を呼んで・・・あの巨木・・・

やっぱり妖怪だ・・。」

みっちゃんが、言った。

振り向くと、巨木がニタリと笑っていた。

「わ!」

クロちゃんは、思わず飛びのいた。

よく見ると、妖怪の屍が転がっている。

巨木がクロちゃんに長い枝で襲ってきた!

それを避けながら、クロちゃんは叫んだ!

「親方!又べえ!留!助けて!」

すると、向こうから巨大なムササビ又べえが飛んできた。

又べえは、みっちゃんと、星明を掴んで、飲み込んだ。

そして、更にパワーアップした。

「又べえ!」

クロちゃんが驚いていると、

「星明に、もしもの時は、又べえにみんなを飲み込んで

パワーアップして、怪物を倒せ!と指示を貰っている!

みんなが消化されないうちに倒すぞ!クロちゃん!

クロちゃんは、妖力を吸い取る踊りを踊っていてくれ!」

又べえは、叫んだ!

クロちゃんは、妖力を吸い取る踊りを踊り始めた。

又べえは、巨木に大ばさみで切りかかった!

それを巨木は、払いのけて、又べえを襲った!

動きが速い!何本もの根や枝の攻撃が連続で、又べえを

襲った!

そして、枝に捕まり、したたかに、叩きつけられた。

パワーアップ又べえは、段々疲れて、とうとう皆を吐き

出した。

「ああ!又べえ!」

クロちゃんが叫ぶと、

「コイツ、ドンドン妖力を吸うんで、力が抜ける・・・。」

力なく又べえが、言った。

倒れている皆を見て、

「今度はクロちゃんが相手よ!必殺!桜吹雪!」

桜吹雪が連続で、巨木を襲った!

が、何度攻撃しても、巨木は、平気な顔をしてニタリと

笑った。

「次は、必殺!スクリューウォーター!」

クロちゃんは、必殺!スクリューウォーター!を

何発もお見舞いしたが、しばらくすると、また

巨木は、平気な顔で襲い掛かってくる!

・・・どうしよう!キリがないわ・・・。

「滅!滅!」

クロちゃんは、思わず叫んだ!

すると、巨木は、カビに覆われ、あっという間にカビに喰われて

しまった・・・。

「あのカビ・・・天津甕星のくれた・・・力・・・根が暗くて

地味だけど、怖い技・・・。」

クロちゃんは、それを呆然と眺めていた。

「クロちゃん、無事かい?

助かったけど・・・美々茸は、もう駄目だね。」

星明は、呟いた。

「あ!どうしょう・・・。」

カビだらけの美々茸を呆然と眺めた。

「仕方がないよ。」

みっちゃんが言った。

「他の肴・・・何かないかな?」

星明が考えこんでいると、

洞穴の入り口付近から沢山の妖怪達が籠を持って来た。

さっきの難果の使用人の妖怪達である。

「お!お前達無事だったのか!ああ!美々茸が!!

この化け物を倒したのか!?」

驚きを隠せない難果の使用人の妖怪達に、

「どういう事か、聞かせてもらおう!

言わないと、ああなるよ!」

みっちゃんは、巨木を指さして、言った。

「ひえぇえ!!言います。

この巨木の妖怪は、美々茸で妖怪を誘い込み、妖力を吸って、

いたのです。

それを見つけた難果様は、妖力の強い妖怪をこの洞穴に

誘い込み、妖力を吸って、落ち着いたところで、美味茸を

採っていたのです。」

「つまり、儂らを餌に美味茸を採ろうとしたんだな!」

「す、すいません!」

難果の使用人の妖怪達は、謝ったが、

「難果の所へ案内してもらおうか。」

星明が、凄んだ。


難果の屋敷では、難果が美しい玉を数えていた。

「ハハハハハ!また大儲けだ!」

悦にいっていると、クロちゃん達が乗り込んできた。

「難果!よくもクロちゃん達を騙して、妖怪巨木の餌に

しょうとしたわね!許さないわ!」

そう言ってクロちゃんは、打ち出の小槌を構えた。

「お前の全ての福を吸い取ってやるわ!貧乏になあれ!」

すると、家中の宝物が、打ち出の小槌の中に吸い込ま

れた!

「な、何をする!」

「沢山の妖怪の死体を見たわ!妖怪の命を何だと思ってるの!

許さないわ!」

クロちゃんが、凄むと、

「必殺!桜吹雪!」

必殺!桜吹雪!をお見舞いして、難果を連続で、ぶっ叩いた!

難果は、段々縮んで、蛙くらいの大きさになって、逃げだした。

「逃がすかよ!」

それを留が捕まえた。

「くろちゃん、探したが美味茸は、納品されてたよ。」

星明が言った。

「そう・・・。とりあえず、天津甕星の所に戻ろうか。」

みっちゃんが、言った。

「あの、途中に私の家があるので、寄って行って下さい。

皆様、又べえ様に飲み込まれていたので、ベタベタですし。」

星華が言った。

「そうだね、着替えを借りよう。」

星明が言った。


星華は、家に着くと、皆を招き入れた。

みんな体を洗って着替えた。

「どうしよう、新しい肴を何か用意しないと。」

みっちゃんが、考え込んでいると、

向こうでは、星華が家族にお土産を配っていた。

「まあ、素敵な服ね!このストールもアクセサリーも

素敵ね!」

「星華もお姫様みたいに、可愛い服ね。

又べえ様ありがとうございます」

星華の母や、姉達は、大喜びだ。

「お父様や、お兄様のお土産は、そう言う訳でございません、

悪しからず。」

星華が言うと、

「悪かったなあ、そうだ、あの旨いキノコ喰わせてやるよ。」

そう言うと、又べえは、小箱を取り出し、願いを込めた。

そして、種を取り出すと、土に埋めて、太るドリンクをかけた。

すると、木になり、沢山の美味茸が木になった。

「さあ、沢山食べてくれ!この木があれば、毎日みそ汁に

いれらるぞ!」

又べえはが言うと、

「その手があった!すいません!この美味茸を焼いて下さい!」

星明は、叫んだ!

こんがりと焼かれた美味茸が大皿のに乗せて、運ばれて来た。

クロちゃんは、一口パクリ!

「美味しい!味も香りも一緒だわ!」

「本当だ、同じだ。」

星明も驚いた。

「じゃ、水神様の所に戻ろう、水神様の庭に植えさせてもらおう。

風神様、雷神様は沢山食べるだろうからね。」

みっちゃんが言った。


水神様の所に戻る途中の天津甕星の城に立ち寄る事になった。

「クロちゃん、話は聞いたよ大変な目にあったね。」

天津甕星が、クロちゃん達の部屋に入って来た。

「あの・・それお土産のTシャツ。」

しかも、お土産のTシャツを着ている!胸にクロちゃんの

イラスト入りだ・・・似合わない。

「ああ、クロちゃんの国の目出度い柄の衣装なんだろう?

涼しくて今の時期にはいいね。」

・・・いや似合わってないわ!むしろやめて欲しい、ギャグで

しかないわ!

周りの人止めないのかしら。

「これも外交だよ、きっと、貰って喜んだフリをしてるんだと

思うよ。」

星明がクロちゃんに囁いた。

「よくわからないけど、珍しがって着ているのかもしれないよ。」

みっちゃんが言った。

そういえば、確かにちょっと嬉しそうかも・・・。

見かけによらず、好奇心旺盛なのかもしれない。

「難果は、悪い噂があって、ちょっと気にはなったんだが、

私の加護を与えてるから大事には、ならないと思ってね。

私の必殺技は効いたろう?」

得意げに天津甕星が、言った。

「地味に凄い技でビックリ!だけど、助かったわ!ありがとう。」

クロちゃんは、お礼を言った。

「難果は、今、色々と取り調べているよ。

でも美味茸がダメになったんだろう?どうする?」

得意げに天津甕星が、言った。

「それは、大丈夫!又べえが木を植えて作った美味茸が、本物と

変わらないくらい美味しいの!

水神様の庭を借りて、沢山栽培して、焼いて持って行くわ。」

クロちゃんが言うと、

「ダメだよ!美味茸をよそで作ったら困る。」

天津甕星が、怖い顔で言った。

「どうして?」

「美味茸は、この国の特産品だ、それで交渉の材料にもなる。

外で簡単に作られては、価値がなくなる。」

「あ、そうなの・・・どうしよう。キノコ外交出来なくなるものね。」

クロちゃんは、困った。

「じゃ、この城の庭に植えたらいい、そして外では、作らないで

欲しい。どうだい?」

天津甕星が、提案した。

「あ、ありがとう!そうするわ!」

クロちゃんは、ホッとした。


天津甕星城の庭で、又べえと親方が手分けして、種を撒き、木を

育てた。

沢山生えた美味茸をみんなで、収穫した。

「天津甕星、ありがとう!クロちゃん達帰るわ!」

クロちゃんが言うと、

「あ、クロちゃん、酒と、コケシが教えてくれた料理を料理人

達が作った、持って行ってくれ、雷神、風神も気に入るだろう。

今年は、作物の出来がいいから、酒の出来もいいんだよ。」

天津甕星が言った。

「え!バレてた!?・・・ありがとう、親切に。」

クロちゃんがお礼を言うと、

天津甕星は、

「クロちゃんの事は、お見通しだよ。

ほら、お土産と美味茸の木のお礼だよ。

沢山出来るから、キノコ外交の役にたつよ。

それに、お土産の鰹の生利節や、ポテトチップス、えびせん

は、美味しかったよ。」

・・・ポテトチップス、えびせん・・・駄菓子じゃないの。

星華ちゃんの肴の基準って・・・。

「喜んでもらって、良かったわ。

じゃ、さようなら。」

クロちゃん達は、天津甕星城を後にして、水神池の竜宮城を

目指した。


クロちゃん達は、水神池の竜宮城に、着いて、奥の広間に

通された。

そこには、水神様と、大黒のおっちゃんが酒盛りをしていた。

「おっちゃん、いたの?」

「おや、クロちゃん、無事、美味茸をGETできたね。

焼いて食べていいかい?」

「実は、さっき密輸した美味茸が届いたんで、クロちゃんが

手に入れられなかった時用にとっっといたんじゃ。」

水神様は、籠に入った5つの美味茸を見せた。

「あ、それ難果から買ったの?」

「ああ、たしかそんな名前じゃなかったかの」

水神様は、考え込んだ。

「法外の値を付けてくるヤツでな。」

「そいつは、妖怪の巨木妖怪が餌の動物や、妖怪をおびき寄せるのに

美味茸を生やしているのを知っていて、美味茸を求めてきた

妖怪を妖怪巨木の巨木の生えてる洞窟に誘い込んで、妖力を

吸い取って、巨木がお腹いっぱいになったところで、美味茸を

収穫して、高く売りつけてたの!だから成敗したわ。」

クロちゃんは、言った。

「大変だったのう、美味茸は、焼いてやる、待っとれ。」

水神様は、言った。


しばらくすると、沢山の美味茸がこんがりと焼かれて、運ばれて

来た。

「ありがとう、水神様、じゃあ行くわ。」

クロちゃん達は、竜宮城を後にした。


水神様が通してくれた道を進むと、台風の中に出た。

中では、風神様と雷神様がグルグルと機嫌悪そうに

くねっていた。

「風神様、雷神様、お待たせしました!水神様のお酒と、

美味茸です!」

みっちゃんと、クロちゃんは、ポ~ンと台風の中に飛び込んだ。

大きな重箱には、沢山の焼きたての美味茸が入っていた。

別の重箱には、天津甕星のくれた御馳走が沢山入っていた。

風神様と雷神様は、小さく人型になって、料理を肴に酒盛りを

始めた。

クロちゃんもみっちゃんと踊りまくった。

「えーぞ!えーぞ!」

二人はご機嫌になった。

「お二人共、さっきは、すごく機嫌が悪かったですね。」

星明がお酌しながら言った。

「最近人間どもが、海を荒らしていってな!」

「そう、珊瑚も魚も根こそぎ捕って行く!考えもない!

我らは、仕置きをしようと思ってな。」

「それは、日本人では、なく中国人です。方向が違います。」

星明は、タブレットを取り出し、説明し出した。

「このままだと、関係のない日本に上陸します。

中国ですと、こういうルートで行って下さい。」

「そうか、じゃこっちの大陸の方に行くとしょう。」

二人は、納得した。

「自分の利益の為には、自然破壊なんて、屁とも思ってない

連中です。本当に迷惑しているので、お仕置きをお願いします。」

みっちゃんが言った。

「わかった、まかせとけ!クロちゃんのお家の方に迷惑がかから

ないように、行くな。

酒に、肴に面白い踊りで、歓待してくれた褒美をやるな。」

雷神様は、クロちゃんの打ち出の小槌を撫でた。

「これで、我の加護と、力を与えた。」

「じゃ、我も加護を力を与えよう。」

風神様もクロちゃんの打ち出の小槌を撫でた。

すると、又べえが、ひょいと現れて、

「俺は、又べえ!クロちゃんの眷属だ!俺は、弱い、クロちゃんを

守る力が欲しい!神様お願いだ!力をください。」

又べえが頼み込んだ。

「・・・又べえ、それは図々しいんじゃ・・・。」

と言いかけると、

「よし、クロちゃんを守ってやれ!」

そう言って、雷神は、小さな輝く雷の欠片をくれた。

「いざという時は、それを飲んで戦え!雷の力を使える。」

・・・え!くれるの?!

風神も小さな風の塊をくれた。

「これを飲んで戦うと、風の力を使える。

雷の力と合わせると、嵐の力が使える、いざという時は、

これでクロちゃんを守ってやれ。」

「神様ありがとう。」

又べえは、喜んだ。

そうして、二人は、台風を引き連れて、中国大陸の方へ向かって

いた。

それを見送りながら、

「また、又べえがどさくさに紛れて、お宝getしたわ。」

「あれぐらい図々しくないと生き残れないんだよ。

ま、役にたつから助かるよ。」

みっちゃんは、言った。


後日、台風は、突如進路を変えて中国大陸に甚大な被害をもたら

した。

「星明、止めなくて良かったのかしら。」

クロちゃんが困ったように言うと、

「クロちゃん、中国人がした事に神様が、罰を与えただけだよ。

気にする事は、ないよ。自業自得だ。」

星明は、しれっと、言った。

「え!だって・・・。」

「神様のした事に口出しできないよね。」

みっちゃんが言った。

・・・それでいいのかしら・・・。

「それより、防衛相から、1億振り込まれたよ。」

「いちおく!何で!?」

「中国の船を拿捕の協力金で、今後、料金を払うから、契約に

追加して欲しいっていうんだ。

俺は、やめた方がいいと思うけど、留と海カッパがやるって

聞かないんだよ。」

星明は、ため息をついた。

そして、星明は、スマホの画面を見せた。

そこには、ツイッターや、フェイスブックで、尖閣の自衛隊員が

留や海カッパと一緒に写った写真を投稿していた。

子海カッパを抱っこしていたり、動画を投稿したりと、

イイネ!を連発している。

「なんか、尖閣いい所みたい」「子海カッパかわいい!」

と盛り上がっている。

「すっかり、仲良しになってるよ。

いいように使われないと、いいけど。」

星明は、また、ため息をついた。

「星明、大丈夫、留や、海カッパ達に泥かぶせるような

事したら、神様の天罰が下るって、言っといて。」

みっちゃんが言った。

「こっちには、龍の戦車もあるし、クロちゃんもいるし。」

「クロちゃんは、大した役にはたたないと思うわ。」

クロちゃんが、言うと、

「クロちゃんは、神様のお気に入りだからね。

いざという時は、頼むね。」

みっちゃんは、言った。

そんな事言われてもと、思ってしまうクロちゃんだった。

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