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敬老の日

10月になり、木の葉も色づき始めたこの頃、クロちゃん神社で

敬老の日のイベント会議をしていた。

企画担当の星明が、

「敬老の日に、どんなイベントしたらいいと思う?」

皆に意見を聞いていた。

「敬老の日だから、妖怪が、じいちゃん、ばあちゃんの

肩たたきのサービスっのはどうだ。」

「妖怪が怖くて、心臓麻痺でぽっくり逝ったらどうする。」

「じゃあさ、妖怪の怖さを競う、『怖いで賞コンテスト』

ってのは、どうだい。」

「それも、心臓麻痺で死人が出たら、どうする。」

と、なかなか決まらない。

「それなら、また、うなぎ祭りをして、70歳以上は、タダで

鰻を配ったらどうじゃ。」

親方が言うと、

「いいね!それ!盛り上がるよ!ただ気になる事があるけど。」

星明は言った。

「気になる事?」

「この間のうなぎ祭りで、クロちゃんがビーガンの連中に

鰻や、肉食べさせたろう、連中ビーガン辞めたんだよ。」

「いいんじゃない、やっぱり、鰻も肉も美味しくて

食べたいってだけでしょう。」

クロちゃんが不思議そうに言うと、

「ビーガンのコミュニティが、あって、ビーガン辞めた

連中の事を転びビーガンって、言って糾弾してるんだよ。」

「転びビーガン?」

「昔、日本がキリスト教を禁止していた頃、外国人の宣教師

を拷問して、キリスト教を捨てさせたんだよ。

それになぞられて、言ってるんだよ。」

「鰻や、肉を食べるのが拷問?美味しいからやめれない

だけでしょう????」

クロちゃんは、謎だらけになった。

「そういう訳のわからない連中だから、何かまたしで

かすかもしれないかと、ちょっと思っただけだよ。」

星明が言うと、

「じゃ、また踊って、鰻の美味しさに気づいてもらうわ。」

クロちゃんは、ニッコリ笑った。

「ビーガンにとっちゃクロちゃんは、天敵だからね、

知ってる?この間の『うなぎ祭り』のクロちゃんが

踊っている動画がネットに上がっているんだけど、

ビーガンの間では、『その動画見てはいけない』と言われて

いるんだよ。

見ると鰻や、肉が食べたくなるらしい。」

星明が言うと、

「そうなの?」

クロちゃんが不思議そうに言うと、

「俺、気になったんで、この間うちの店に来たビーガンに

試しに見せてみたんだ。

そいつら、精進料理のコース食べてたんだけど、突然、

鰻、肉が食べたいと、言い出して、魚や肉料理注文

して食べて言ったよ。」

一之介が言うと、

「鰻、肉、一度食べると、もうビーガンに戻れないらしい。」

星明が言うと、

「連中にとっちゃ、ホラーなんだね。」

一之介が笑った。

「たんに、少しは、魚や肉食べる方が、体にはいい事に

気が付くんだよね。」

みっちゃんが、笑った。

「栄養学をよく知らない馬鹿が、ビーガンなんだよ。

そりゃ、バクバク食べるのは良くないけど、

バランスよく食べないとね。

病気や、体調不良になるんだよ。

人間は、そういう風に出来ているんだ、理想と現実は、

違うよ。

何事も極端なんだよ、いきなり0にはできないよね。

少しずつ減らそうね、ていうのは、可能なのにね。」

星明は、言った。

・・・そうか、極端な人達なんだ、変な人達。

クロちゃんは、思った。


クロちゃん神社「敬老の日」企画会議が終わった後、

クロちゃんは、家に帰ろうとすると、佐藤古本屋の前に

誠が立っていた。

「誠さん、どうしたの?」

「あ、クロちゃん、今日は、美咲ちゃんが成仏したらしいね。

鶴屋で聞いてね、美咲ちゃんが憑いていた、コケシを見に

来たんだ。」

「あ、あるわよ。」

クロちゃんは、佐藤古本屋に入って行った。

「あ、星明!美咲さんのコケシ見せて。」

「あ、クロちゃん、いいよ。」

そう言って、クロちゃんに星明は、コケシを渡した。

クロちゃんは、誠に渡した。

誠は、愛しそうにコケシを撫でると、

「ありがとうございます。・・・このコケシを

譲ってもらう訳にはいきませんか。」

星明は、ジロッと誠を見た。

「ダメだよ、美咲ちゃんは、アンタが悲しむと思って

内緒にしていたんだ。

それに、自分のコケシ姿なんて、アンタに覚えて欲しく

ないんだよ。」

「はい、ありがとうございました。」

誠は、名残惜しそうに、コケシを星明に戻した。

帰り際に、

「アンタ、美咲ちゃんとの結婚式の写真持ってるだろ、

次に恋人ができたら、その写真は捨てるんだよ。

女は、嫉妬深いよ、怖いからね、幸せになれないよ。」

お政が言った。

誠は、驚いて、

「はい・・・。」

そう言った。

クロちゃんは、誠を途中まで送りながら、

「誠さん、あの・・・みんな悪気は、ないの。」

クロちゃんは、気の毒そうに言った。

「わかってるよ、美咲ちゃんは、ここの人達に好かれて

たんだね。」

誠は、言った。

「ここでの事は、夢だと思って、忘れてね。」

みっちゃんは、言った。

「うん、わかったよ。」

そう言って、誠は寂しそうに笑った。

誠の背中を見送りながら、幸せになってね、

と思った。


家に帰ると、

「ただいま~。」

「お帰りなさいませ。」

星華がいた。

「星華ちゃん来てたの。」

「はい、父と結納返しを持ってまいりました。」

「結納返し?」

クロちゃんは、聞いた。

「結納の際に贈られた結納品に対して、女性側がお返し

をする事だよ。」

みっちゃんが言った。

「あ、ペンダントのお礼ね。」

クロちゃんは、納得した。


お座敷に行くと、

立派な銀狐の敷物が2つ飾ってあり、沢山の果物

穀物、そして、中央には、金糸銀糸、の見事な

麒麟の刺繍が施された、羽織が飾ってあった。

「わあ、凄いね。」

思わず声をあげると、元星が座卓に座っていて、

パパ、ママ、おばあちゃんと、話し込んでいた。

座卓には、真ん中にでっかい鯛が据えてあり、

刺身の盛り合わせ、天ぷら、オードブル盛り合わせ

ローストチキン、ローストビーフ、ミートローフ

等の御馳走がずらりと、並んでいた。

「あ、元星いらっしゃい。」

「おお、クロちゃん、お帰り、クロちゃんの家は

立派だな。」

「いえ、おばあちゃんの家なの。」

クロちゃんが言うと、

「私が死んだら、クロちゃんに譲るから、クロちゃんの

家よ。」

おばあちゃんは、言った。

「又ちゃんも水臭いわ、お嫁さん貰うなら、部屋も

新婚さんに用意してあげるのに。

もう、結納品はあげたそうね、言ってくれれば、

私も用意してあげたのに。」

おばあちゃんが残念そうに言った。

「でも、又べえがあげたのは、ペンダント1つよ。」

クロちゃんが言うと、

「あのペンダントは、天津甕星様からの賜り物だ。

素晴らしい黒ダイヤで、純金の上に何か力が籠って

いる、途方もない宝だ。

それをポン!と星華にくれてやる、気前のいい婿殿だ。

顔は、間抜け面だが、儂は気に入った。」

元星は、言った。

「確かに、素晴らしい細工だし、普通に1000万くらいの

価値は、あるわ。」

おばちゃんは、言った。

「いっせんまん!」

クロちゃんは、絶句した!・・・

「天津甕星、国は貧しいのにいい物持ってるわ。」

「他の神様に負ける前は、力もあって、国も豊だったん

だよ。」

みっちゃんは言った。

「いい神様なのね。」

「・・・それは、どうかな・・・クロちゃんとは、

仲良くしておいた方が得策だから、よくしてくれる

けど、クロちゃんが死んじゃったら、わからないよ。」

みっちゃんは、言った。

「じゃ、又べえと星華ちゃんを結婚させたがっていたのは?」

「クロちゃんの眷属の又べえを手なずけておこうって、

ところだと思うよ。」

「みっちゃんは、又べえの結婚どう思うの?」

「又べえは、弱くて、セコイ奴だと思ってたんだけど。

大事な人の為になら、あんなにがんばって強くなる。

クロちゃんの寿命が尽きても、大事な人を作って

おいた方が役にたつからね。

又べえには、守ってあげる人が必要なんだよ。」

みっちゃんは、言った。

「そうなのね。」

クロちゃんは、納得した。

そうすると、

「ただいま~。」

親方と、又べえが帰って来た。

「又べえ様、お帰りなさいませ。」

「あ、星華!どうしたんだ。」

「はい、父と結納返しを持ってまいりました。」

お座敷の品々を見て、

「何だ、あれ?」

「結納をやったら、お返しがくるんじゃ、そういう

もんだ。」

親方は、説明した。

「そうなんだ。」

又べえは、納得した。

「又ちゃん、お嫁さん貰うなら言ってくれれば、いいのに

支度してあげたのに。」

おばあちゃんと、ママが言った。

「あ、なりゆきで・・・本当に嫁にくるのか?」

又べえは星華に聞いた。

「当たり前ですわ、何でそんな事聞くんですの?」

星華は、ビックリして聞いた。

「お前、可愛いから嫁の貰い手は、いくらでもいるだろう。

許婚もいたろう?

又べえは、間抜け面で、へっぽこで、卑怯で

ダメ駄目なヤツだ。本気とは、思えない。」

すると、星華は、目を丸くして言った。

「又べえは、お強いですわ、我が国一番の星剛様も

その師の父も倒しました。

しかも、非礼をして、足をくじいた私をずっと

文句も言わずに、背負ってくださいました。

とっても、お優しい方です。

結納に、めったに下されない天津甕星の賜り物を

下されたので、喜んで、私を貰って下さるものと

思ってましたのに。」

星華が言うと、

「凄く、セコイ勝ち方だし、クロちゃんは、背負えない

から、又べえが背負っただけだ。

当たり前の事だ、特に褒められる事じゃない。

あのペンダントは、使うと死ぬかもしれない

物だから、いいやと思ってやった。」

又べえが言うと、

「又べえ様、セコイ勝ち方でも勝った方が強いのですよ。

カッコよくても死んだら終わりですわ。

ペンダントは、使わなかったら、凄いお宝ですよ。

さり気ない優しさが当たり前なんて、

凄くカッコイイと思います。」

星華が言うと、

「良かったね!又べえ!」

周りは、拍手喝采で、大宴会になった。

パパや、元星の隣でクロちゃんは、お酒をこそっと飲んで、

いつの間にか、大黒のおっちゃんと、クロちゃんは、

一緒に踊り出していた。

「ほら、祝儀だ!」

と、金銀財宝出しまくりの踊りを踊りまくった。


目が覚めると、朝で、星華がみんなとご飯を食べていた。

「あれ?元星は?」

「父は、昨晩帰りました。

私は、何日か、お世話になる事になりました。」

星華が笑った。


ご飯の後、又べえは、星華を連れて万福商店街へ行った。

「親方が、星華がいる間は、仕事は、休みをやる

から、かまってやれと、言ったんだ。

親方、いい奴だ。」

「本当にいい親方ですね。

あら、可愛い服ですね。」

星華は、子供服の「ぷちハート」さんのショーウィンドウ

に飾ってある、ピンクのワンピースを見て言った。

「入ってみるか?」

「はい。」

嬉しそうに、星華は言った。

「おばちゃん、今日は、ショーウィンドウに飾ってある、

ワンピースな、この子が着てみたいって。」

又べえが言うと、

「又ちゃん、いらっしゃい。

その子は?」

「あ~又べえの彼女だ。」

二人でテレる姿に、おばちゃんは、

「又ちゃんも隅に置けないね!いいよ、サイズは、

丁度の出してくるよ。」

そう言って、おばちゃんは、ワンピースと、可愛い

サンダルを持って来た。

星華がワンピースに着替えて、くるりと回った。

「どうですか?」

「可愛いなあ、おばちゃん、これくれ。

料金は、クロちゃんのママに貰ってくれ。」

「ええ!いいんですの!」

「又べえは、やせるドリンクや、虫を食べる花を

沢山作って稼いでいる、稼いだ金は、クロちゃんの

ママに預けている。」

又べえが自慢げに言うと、

「電話したら、綾小路の御隠居さんが電話にでてね、

自分につけてていいって、好きなだけ彼女にプレゼント

していいよって。」

ぷちハートのおばちゃんは、笑った。

「ばあちゃん、気前がいいな。」

「おばば様いい方ですのね。」

星華は嬉しそうに言った。

二人は、沢山服や靴を買って、両手に紙袋を抱えて、

店を出た。

そして『セブンスパラダイス』に入った。

「今日は~。」

「あら、又ちゃんいらっしゃい。

可愛い子と一緒ね。」

照子さんは、言った。

「又べえの彼女だ、チョコレートパフェを

食べさせてやりたい、お代は、又べえが稼いだ金を

うちのママに預けてるから、ママから貰ってくれ!

チョコレートをたっぷりサービスしてくれ。」

そう言って、二人はテーブルに座った。

照子さんは、チョコレートパフェを持ってきて、

「はい、チョコたっぷりサービスしたわよ。

お代はサービスするわ、いつも珍しい花を飾って

くれるもの。」

照子さんは、笑った。

「いいのか、ありがとうな。

星華喰え!うまいぞ。」

又べえが言った。

「この綺麗なの食べ物なんですの?」

そう言って、一口パクリと食べた。

「美味しい!」

「だろ、照子さんは、料理上手だ。」

そう言って、二人で、美味しそうに食べた。

食べ終わって、店を出てクロちゃん神社に

向かった。

すると、外人のカップルが食べていた、焼き鳥の棒をポイ

捨てした。

「わん!」

といつの間にかシロがやって来て吠えた。

二人は、固まってしまった。

「ここで、ポイ捨てするヤツは、30分くらい固まるんだ。

特に外人は、行儀が悪い。」

又べえが言った。

「だから、ここは、綺麗なんですね。」

「ここが有名になって、人が沢山くるようになって、

ポイ捨てが多くなったんで、シロが厳しくなったんだ。」

又べえは、言った。

「困った人達ですね。」

「そうなんだ、次はクロちゃん神社だ。」

又べえは、星華を連れて、クロちゃん神社に向かった。


クロちゃん神社では、星明を中心に、敬老の日のイベント

会議が行われていた。

「鰻は、水神様から貰って、今、業者に育てて貰っている。

後何かアイディアは、ないかな。」

星明が聞くと、

「抽選で、10人、当たった人は、歳さんが、腰痛か、肩こりを

治してくれるってのはどうだ。」

又べえが言った。

「あ、又べえ、いいね!あれ、その子が噂の婚約者?」

星明が聞くと、

「そうなんだ、可愛いだろ。星華って言うんだ。」

又べえは、照れながら言った。

「星華と申します、よろしくお願いいたします。」

そう言って、星華は、頭を下げた。

「いいね、又べえ!幸せだと、アイディアも出るねえ。」

皆は、冷やかした。

「俺は、認めてないぞ!」

突然リスに似た少年が出て来た。

「俺は、星西(セイセイ)星華の婚約者だ!」

「あ、星華に振られたヤツか。」

又べえは、言った。

皆は、ドッと笑った。

「だ、だまれ!お前みたなヤツ、俺がやっけてやる!」

星西は、言った。

「あ~アイツ、俺を誘拐した奴だ!」

セヒが叫んだ。

「天津甕星様のご命令だったんだ。」

星西が言うと、

「又べえ!コイツやっけてくれ!」

セヒが叫んだ!

「よし、決闘だ!!」

皆は叫んだ!

「え!いきなり、みっちゃん、ねえ。」」

と、クロちゃんは、みっちゃんを見ると、

一緒に決闘だ!と叫んでいた。


クロちゃん神社の中央の広場で、又べえと、星西の決闘は、

始まった。

危ないので、周りの人を遠ざけて、決闘は始まった。

妖怪の決闘、人々は息をのんで、固唾を呑んで見守った。

が・・・出て来たのは、間抜け面の又べえと、かわいい

リスに似た星西で、あれ?と、力が抜けた。

「俺が勝ったら、星華を返してもらう!」

星西が叫ぶと、

「又べえが勝ったら、お前の力貰うぞ!」

と又べえは、叫んだ。

なんとも迫力のない、戦いが始まった。

又べえがキックした!バキッ!決まった!?

よわ~・・・。

「又べえのキックが決まるなんて!初めて見たわ!」

クロちゃんは、力が抜けた。

星西が鉄拳を繰り出すが、又べえは、避けて頭を殴った!

よろめく星西を連続キックで、倒した。

「又べえが、珍しくカッコイイわ。」

クロちゃんは言った。

すると、又べえの体から、根が出てきて星西に絡んだ。

すると、星西は、ドンドン小さくなって、リスくらいに

なった。

「お前の力貰った!」

又べえは、叫んだ!

「又べえの勝ちだ!」

皆、大喜びだ。

「ちくしょ~!」

星西は、そう怒鳴って、逃げて行った。

「あ、あんなにちっちゃくなって、家に帰れるかしら?」

クロちゃんは、心配そうに言った。

「大丈夫じゃない?子供じゃなんだし、

さ、会議の続きしょう。」

みっちゃん達は、そう言ってまた、クロちゃん神社の事務所へ

向かった。


次の日曜日の午後から「敬老の日」のイベントが行われた。

クロちゃん神社に受付が設置され、身分証明書になる物を

持って、ビンゴゲームの用紙を貰った。

貰った70歳以上の人は、ビンゴゲームに参加できる、

当たると、歳さんが、肩こりや、腰痛を治してくれる。

外れても、そのビンゴゲームの用紙を神社に設置した

うな八の屋台に持って行けば、タダで鰻を貰う事が

できる。

もう大盛況である。受付には、朝から長い列が出来た。

「2回並ぶ人は、いないのかしら?」

クロちゃんが言うと、

「ほら、貰った人は、手にハンコ押して貰っているんたよ。

あれは、妖力で祭りが終わるまで取れなんだよ。」

みっちゃんが言った。

「儂は、ズルして2枚も貰らおうとした悪い人間じゃ!」

「儂は、ズルして2枚も貰った悪い人間じゃ!」

「私は、ズルして2枚貰おうとしたわ!」

と、受付付近で叫んでいるご老人方がいた。

「あれ・・・。」

「ズルして2枚貰おうとすると、ああなるんだよ、

恥ずかしい。」

みっちゃんは、言った。


しばらくすると、

「さあ!ビンゴ大会の始まりだ!」

星明の掛け声で始まった。

ビンゴマシーンを回すのは、神主さん、巫女さんが

ホワイトボードに番号を書き出した。

当たった年寄達は、ワクワクしながら、舞台に上がった。

歳さんは、順番に、老人達を治していった。

腰が曲がったお爺さんの腰を撫でると、ピシッと背筋が

伸びた。

「おお!腰の痛みが無くなって、体が軽い!」

「まあ!肩が軽くなって、こんなに手が上がるわ!」

「体の痛みが取れて、体が軽い!凄い!」

皆口々に驚いた。

中には、ピョンピョン飛び跳ねる老人もいた。

「ありがとうございます!どっかで開業したら、通います。」

「是非開業して下さい。」

老人達は、熱心に、歳さんを囲んで、懇願した。

「さあさあ、次は、鰻の解体ショーだ!」


見上げると、ドラゴンが大鰻を運んできた。それを降ろして、

一之介が捌いた。

鰻職人達が、手分けして、更に細かく切って、蒸して、炭火で

こんがり焼き上げた。

辺りには、醤油ダレの香ばしい匂いが漂っていた。

クロちゃんも、一口パクリと食べた。

「美味しいね。」

みっちゃんも笑った。

「このお酒も美味しいね、又べえのお酒だって。」

妖怪達が皆で美味しそうに飲んでいた。

すると、向こうから外人を連れた集団がやってきた。

ビーガンである、クロちゃんを探していると、

「えらいやっちゃ、えらいやっちゃ、ヨイヨイヨイヨイ、

踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら 踊らな損々!」

と、いきなりクロちゃんは、歌いながら踊り出した。

いつの間にか酒を飲んでいる。

すると、妖怪達も踊り出した。

「えらいやっちゃ、えらいやっちゃ、ヨイヨイヨイヨイ、

踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら 踊らな損々!」

皆があっけにとられていると、

「えらいやっちゃ、えらいやっちゃ、ヨイヨイヨイヨイ、

食う阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら 食わなきゃ損々!」

と歌い出した。妖怪達も続いた。

すると、ビーガン達は、近くの店に飛び込んで、肉や、魚

料理を注文して食べだした。

「えらいやっちゃ、えらいやっちゃ、ヨイヨイヨイヨイ、

食う阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら 食わなきゃ損々!」

益々調子にのって、クロちゃんは、踊り出した。


すると、今度は、

『気候や生態系の危機を危機として扱わなくても、私たちには

解決が可能だといつわるのをやめなければなりません!

化石燃料の探査と採取に対する投資をすべて停止すること!

大人が私の未来を台無しにしようとしている』

外人のいかつい顔をした女の子のついたプラカードを持った沢山

人々がやってきた、その人々が演説し出した。

「また、変な集団が来たわ!ここは、頭のおかしな集団の

主義主張する場所じゃないわ!鰻が不味くなるわ!

じゃ、電気も、ガスも、車も、船も、飛行機も、アンタ

達は、使わないなんてできるの!エアコンも!ストーブ

冷蔵庫も使わないでいられる?

いきなり0にはできないの!エコな機械の開発を待つしか

ないわ!

もう!世界一環境破壊をしている中国に、演説しに行けば!

アンタ達は、偉そうに言う前に、ゴミのポイ捨て辞める

とこから始めたらいいわ!

何でも反対って、役立たずの日本の野党か!!

もう、クロちゃん神社から出ていって!』

クロちゃんは、怒鳴った!

そうして歌って、踊りだした。

「ごみ拾い~♪一日100個拾いましょ~♪

ポイ捨てはやめましょうね~♪

ごみ拾い~♪一日100個拾いましょ~♪

ポイ捨てはやめましょうね~♪」

妖怪達も歌い踊っり出した。

「ごみ拾い~♪一日100個拾いましょ~♪

ポイ捨てはやめましょうね~♪

ごみ拾い~♪一日100個拾いましょ~♪

ポイ捨てはやめましょうね~♪」

みな楽し気に踊りだし、

外人のいかつい顔をした女の子のついたプラカードを持った人達は、

ごみ拾いをして帰って行った。

「よく、やったねクロちゃん。」 

大黒のおっちゃんは、クロちゃんの頭を撫でた。   

「ねえ、あの人達は、何であんなに出来ないない事をやれって

言うの?」

クロちゃんが聞くと、

「パフォーマンスだよ、それがカッコイイと思っているんだよ。

そりゃ、エネルギーを作る為の自然破壊は、良くないよ。

だから、今太陽熱とか、風力発電とか、水力発電とか

頑張って開発しているよ、環境に優しいエンジンを開発したりね、

そういうのに切り替えていかなきゃ

ならない。そういう人達は偉いよ、凄いよ。

でもね、あの人達は、ただ反対って言ってるだけで、こういう

風に変えようよって、提案はない。

偉そうに言っているだけで、で?何?って言いたくなるよ。」

星明が言った。

「大体、発達障害児の主張に、あれだけ共感するなんて、

馬鹿じゃないかと思うよ。

外国じゃ子供に学校を休ませて、デモに参加させた、馬鹿な

親もいたそうだよ。

学校を休ませてまでするデモなのかね?わからんな。」

歳さんは、言った。

「中身がなくて、もっともらしい事を言って、やめろ!

やめろ!って騒ぐから鼻につくのね。

クロちゃん神社でやるのは、やめて欲しいわ!」

クロちゃんは、言った。

「何であんな変な連中が、来たんだろうね。」

みっちゃんは、首を傾げた。

すると、星西が眼鏡をかけた暗そうな青年の頭に

乗っているのが見えた。

「クロちゃん、あれ、星西。」

「あ、本当だ、何してるんだろう?」


「じゃ次は、グリンピースはどうだ。」

眼鏡をかけた暗そうな青年に星西は、話した。

「外国の団体は、すぐには、来ないぞ。」

眼鏡をかけた青年は答えた。

「何話してるの?」

「クロちゃん神社に、抗議団体を呼ぶんだ。」

星西は、答えた。・・・・

「わ!何だお前ら!」

「何企んでいるの!?」

クロちゃん達は凄んだ。

星西は、慌てて逃げようとしたが、又べえの根がシュルッと

巻き付いて捕まえた。

「何を企んでいたの?」

眼鏡をかけた青年と、星西は、又べえの根に巻き付けられて、

逃げられずジタバタした。

「言わないと、又べえの栄養だよ!

死体が残らないように、丸飲みしたら、完全犯罪だから

あと腐れもないしね、どうする?」

みっちゃんは、可愛い顔をしてニッコリ笑った。

・・・みっちゃん、顔は可愛いのに、怖い。

「どうする?又べえの栄養になるか?」

そう言って、又べえは、長い舌を出して、二人をベロンと、

舐めた。

「ひぇえ!!」

二人は、悲鳴を上げた!

「クロちゃん神社で、騒ぎをおこそうと思ったんだ。

ちょっと過激な抗議団体を呼んで、爆弾を仕掛けて

騒ぎをおこそうと思ったんだ。」

眼鏡をかけた青年は答えた。

「その騒ぎの隙に、星華を取り戻そうと、

思ったんだ。」

星西が、言った。

「そんなに星華ちゃんを取り戻したいんだ。」

みっちゃんが聞くと、

「星華が好きなんだ。」

しょんぼりと星西は、言った。

「私は、星西は、嫌いです!まず弱い!前に足を怪我した時

おぶってもらたら、「お前重い」って言われました。

又べえ様は、強くて、私なんて軽々とおぶってくれて、

ほら、この服可愛いでしょう?沢山お洋服や、靴や、髪飾り

を買って下さいました。

美味しい物も沢山食べさせてくださいました、私の事、

「可愛いなあ」って、ずっと言って下さいます。

大好きなんです、又べえ様。」

それを聞くと、星西は、しょんぼりとした。

「確かに、又べえの方がいいね、お前諦めるんだよ!

眼鏡のお前、何で爆弾なんて仕掛けようと思ったの?」

みっちゃんが聞くと、

「爆弾を作ったんで、目立つ所で爆発させてみたかった

んだ。」

眼鏡男は、言った。

「はい、警察!爆弾見つけないと!どこに仕掛けたの?

言わないと、又べえが丸飲みするよ。」

みっちゃんが凄んだ。

「クロちゃん神社の事務所の物置小屋に仕掛けた。

時限爆弾だ、もう無理だ!時間がない!」

眼鏡男が言うと、

「又べえ!そいつ連れて、神社の事務所の物置小屋に行く

わよ!」

クロちゃんは、叫んだ!

「鶴ちゃん達は、警察に電話して!すぐ!

神社で放送して、皆避難させて!」

みっちゃんが叫んだ!

又べえは、ムササビ又べえになって、飛んで行った。

神社の事務所の物置小屋に着くと、

「早く、爆弾の場所に行くの!」

クロちゃんは、叫んだ!

眼鏡男は、爆弾の所に連れていった。

「早く、止めて!」

クロちゃんは叫んだ!

「早く止めないと、妖怪達に、お前を引き裂いて食わせるよ!」

みっちゃんは、凄んだ!

眼鏡男は、爆弾を弄っていたが、

「あれ・・・止まらない!?何でだ!?」

突然慌て出した。

「どうしたの?」

「この線を切ると、止まるハズなのに止まらない?」

眼鏡男は、慌てて言った。

「他の線を切れば?」

「間違えると、ドカン!だ!もう逃げないと時間がない!」

眼鏡男が言った。

「クロちゃん、どれでもいいから、切って!」

みっちゃんが叫んだ。

「え?間違えたら、爆発するわ。」

クロちゃんが言うと、

「クロちゃんの運にかける!間に合わない時は、

又べえが飲み込む!早く!」

みっちゃんは、凄んだ!

「わ、わかったわ・・・・。」

クロちゃんは、線を選んで切った。

やっぱり、止まらない!

別の線も切った、が、止まらない!

「わぁああ!もうダメだ!」

眼鏡男が阿鼻叫喚した。

クロちゃんは、キッとした顔をして、また線を切った。

「やっと、当たりだ!」

大黒のおっちゃんが出て来た。

「あ、おっちゃん・・・。」

クロちゃんは、ヘタリ込んだ。

「大黒天様!いるなら、もっと早く出て来てよ!

危なかったんだから!」

みっちゃんは、怒った。

「まあまあ、ほら、クロちゃん、ランクが上がった。」

そう言って、大黒のおっちゃんは、クロちゃんの頭を撫でた。

すると、白皙さん達がやってきて、眼鏡男を捕まえた。

星西は、鳥かごに入れられて、明日元星に引き渡す事になった。

入口も、鳥かごも針金でグルグルに縛った。

「以前、油断してガマ吉に逃げられたからね、

今度は、妖怪も人間も手だしできないよ。」

みっちゃんが言った。

「あ、そうだ、おばあちゃんに、敬老の日のプレゼント

しなきゃ。」

クロちゃんは、湯飲みの入った包を持って、おばあちゃんの

所へ行った。

「おばあちゃん、はい。」

クロちゃんが、プレゼントを渡すと、

「まあ、可愛い!桜柄の湯飲み、大事に使うわね。」

「チョコと、セピからは、カステラです。」

「まあ、嬉しい、大好きなの。」

「はい、僕と、ママ、パパからバラの花束だよ。」

ガダ兄ちゃんが、真っ赤なバラの花束を渡した。

「まあ!嬉しい!この年になって、こんなイケメンから花束貰う

なんてね!ママ、パパ、カダちゃん、ありがとう!」

おばあちゃんは、ご満悦だ。

「みっちゃん達も何か上げようと思って、何がいいか

聞いたらね。」

「何て?」

「自分より年寄に、敬老の日のプレゼント貰わなくて、

いいって言われたの。」

みっちゃんは、言った。

「え?みっちゃん、いくつ?」

「505歳だよ。」

「ごひゃくごさい!?」

「妖怪だからね。」

・・・確かに、80歳のおばあちゃんからすると、年上から

敬老の日のプレゼントを貰うのはと、いう感じかもしれない。

他のみんなは、いったい何歳なのかしら?

改めて、みんなの歳を考えてしまう、クロちゃんだった。







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