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クロちゃん祭り

夏、まっさかり、朝からセミの声が響き渡っていた。

楽しい夏休み!クロちゃん達は、柔道の朝練をしていた。

講師はもちろんおばあちゃんである。

日替わりで、空手、剣道と、毎朝ビシバシである。

「とりゃぁ~!」

と、クロちゃんは、チョコを投げ飛ばした。

「クロちゃん、強いです!つうか、クロちゃんの方が

体が大きいからですね。」

チョコが負け惜しみを言った。

「ハハッ!負け惜しみ言ってるぞ、こいつ!」

セヒが笑った。

「兄ちゃんも、沢山食べて大きくなってね!」

クロちゃんも笑った。

横を見ると、パパと、カダ兄ちゃんが剣道の練習を

している。

今日は、土曜なので、パパが、剣道の稽古を

おばあちゃんにつけて貰っているのである。

元々パパは、侍に憧れて剣道をしていたのだが、ガマ吉

が暴れた時に、何も出来なかったのが悔しかったらしい。

「ご主人、筋がいいわ!これなら、すぐ免許皆伝よ!」

おばあちゃんは、褒めまくっている。

「免許皆伝になれば、名刀桜鬼丸(オウキマル)を頂ける

んですよね!妖魔も退治できるという。」

「ええ、もう少し上達したら真剣扱えると思うの。

御主人が守ってくれたら、クロちゃんも安泰ね。」

パパは元々運動神経はいいんだけど、いくら強くなっても、

妖怪は、人の手に負えないと、思うのだが、結構

クロちゃんの予想外の事をする人だからな。

大丈夫かしら・・・。

「カダちゃんも筋いいわ!運動神経いいのね!」

おばあちゃんが褒める。

「うん!僕も免許皆伝になったら、刀頂戴ね!僕が皆

を守ってあげるよ。」

「まあ、頼もしい事」

おばあちゃんは、喜んだ。

が、実は、二人ともかなりしごかれている、クタクタなので、

空元気なのである。

「二人共、クロちゃんを守ってあげたいんだよ。

それが親心さ、ガダ兄ちゃんもそうだよ。」

歳さんが言った。


お昼ご飯は、お好み焼きだ!

クロちゃんの好きな、豚玉、それに海鮮、子供が大好きな

コーンチーズだ!

ふっくらジューシーなお好み焼きをぱくついた。


お昼ご飯を食べた後、クロちゃん神社に向かった。

今日は、パパと、兄ちゃん達と一緒である。

クロちゃん神社の本堂が増築されていた、作ったのは留さんで

ある。

元々宮大工で、400年腕を磨いてたのだ、素晴らしい

出来栄えだった。

欄間の繊細な彫刻はどんな名人の手による物か、評判である。

妖怪が作ったとあって、各方面の職人や、芸術家、専門家も

興味津々で見に来るのである。

中には、木彫りの像が奉納されていた、先だってクロちゃんが

たっちゃんに乗って空高く舞い上がっているのを見た、

有名な彫刻家が奉納したのである。

たっちゃんの迫力も凄いが、今にも動きそうなクロちゃんは、

『龍の子クロちゃん』と呼ばれている。

「凄いね、流石現代の名工 高村明虹タカムラミョウコウ先生の作だね。」

パパは、感心している。

「クロちゃんをジロジロ見て、最後に拝んで行った、変な

爺ちゃんだったわ。

『是非、彫刻を奉納させて頂きます』って、言っていたの。」

クロちゃんは、言った。

今や大評判で、SNSでは、時々動き出すと評判なのである。

「ほら、また『龍の子クロちゃん』が万福商店を徘徊してます。」

チョコがスマホを見せると、

『龍の子クロちゃんがアイスクリーム食べてたよ(^^)』

『龍の子クロちゃん発見!コケシと遊んでいた(*゜▽゜)ノ』

『龍の子クロちゃん、お散歩中(⌒∇⌒)』

と沢山の龍の子クロちゃんの写真がSNSで、出回っていた。

「これ、本物のクロちゃんの写真を加工しているだけだよ。」

パパが言った。

「でも、信じている人結構多いのよ。」

クロちゃんが言った。

「仕方ないですよ、妖怪が堂々と徘徊しているような所

ですから。」

チョコが言った。

そう話していると、いきなり、知らないおじさんがツカツカ

やってきた 。

「これがクロちゃん!」

クロちゃんをジロジロ見ている。

「おっちゃん、誰?」

「僕は、岡村太陽!芸術家だ!」

おっちゃんが言った。

「あ、CMで『芸術は、コンブスティビレだ!』って叫んでる

おっちゃんですね。」

「そう!クロちゃんの彫刻を奉納しょうと思うんだ!僕の

作ったクロちゃんも、動き出すぞ!」

おっちゃんは、叫んだ!

「あのさ、今の会話聞いてなかった?あれ本物のクロちゃん

の写真を加工しただけだから、この木彫りのクロちゃんは

動いてないよ。」

カダ兄ちゃんが言った。

「明日のクロちゃん祭りで、龍に乗って舞い上がるクロちゃん

を見に来たんだ!素晴らしい作品ができるぞ!」

と、叫んでいる。

「明日は、お御輿に乗って練り歩くだけよ、龍になんて乗ら

ないわ!」

「え!龍に乗らないのか?本物の龍見れると思ったのに。」

おっちゃんは、ガッカリした。

「岡村太陽の二ポポか、埴輪かって作風でクロちゃんの

彫刻は、クロちゃん神社に不向きだと思うよ。」

カダ兄ちゃんは言った。

「僕は、本物そっくりに作る事もできるぞ!」

岡村は、叫んだ。

「おっちゃん、クロちゃん神社に、もう彫刻いらないと

思うわ、龍には乗らないけど、楽しんでいってね。」

クロちゃんがそう言っていると、

留が、たっちゃんに乗ったクロちゃん像を運んできた。

しかも、このクロちゃんの像は、動く・・・。

「やあ、クロちゃん、儂もクロちゃん像を作ってみたよ、

どうだい!いい出来だろう?」

木彫りの像のたっちゃんは、クネクネ動いて、クロちゃん

は、そのを目々キョロして、瞬きもする、

笑ったり、手を振ったりした。

・・・後を振り向くと、岡村太陽氏が目をむいていた。

「素晴らしい!コンブスティビレだ!」

と叫んでいた!・・・何でコンブスティビレ?なのかは、

謎だ。

「あのね、おっちゃんこれ妖怪が作った物だから、人には、

無理よ。」

「妖怪が作ったのか!素晴らしい物を見た!コンブスティ

ビレだ!コンブスティビレだ!」

もう、聞こえてなさそうだ。


外に出ると、クロちゃん祭り草を盗ろうとして固まっている

馬鹿な連中が、花を盗ろうとしたまま、沢山固まっていた。

「最近ユーチューバーって奴等がさ、大勢やって大変だよ。」

そう話しかけたのは、星明(セイメイ)という、人間だった時

は学者だった妖怪だ。

実に有能で、最近は、パソコンや、スマホや、ビデオ撮影、編集、

クロちゃん神社のホームページまで手がけている。

「この間、カッパ池にジュースを入れる馬鹿がいたんで、池に

引きずり込んでやったよ。」

吾作が言った。

「お化け屋敷も、「今からライブします!」とか言って、ビデオ

に撮りながら入って行ったんで、散々脅して、放り出したカメラ

で撮ってやって、実況してやったよ。

最後に、馬鹿ユーチューバー!良い子は真似してはいけません!

って、書いた厚紙を握らせたよ!面白かった!」

星明は、ケラケラと笑った。

コケシや、二ポポ人形に火を付けようとしたり、落書きしよう

としたり、迷惑な連中である。

まあ、中には観光案内でPRしてくれたり、お店の紹介、クロ

ちゃん神社の紹介とか、好意的なユーチューバーも

いるのだけど。

そういう人達には妖怪も、大サービスで

写真に写ってくれたりと、気のいい連中なのである。

「今日は、今日はパパも一緒かい?クロちゃん。」

神主さんが話しかけた。

「クロちゃんが、いつもお世話になってます、明日の

『クロちゃん祭り』のリハーサル見に来たんですよ。」

パパは、にこやかに言った。

「お御輿見ますか?こちらです、妖怪が作ったらしいの

ですが、圧巻です!これだけでも見る価値ありです。」

そう言って神主さんは、お御輿の所に連れて行った。


お御輿は、立派な青龍や、白虎、朱雀、玄武が施され

ていて、しかも動く!鳳凰の羽根もメラメラと動いて

いた。本物の炎ではないので燃えないが、圧巻の

出来栄えであった。

「凄いでしょう?留さんの作なの。」

「これは、吃驚だ!こんな素晴らしいお御輿見た事

ないよ!」

パパは、あまりの素晴らしさに驚いた。

集まった、万福商店の男衆が、クロちゃんとみっちゃん

を乗せたお御輿を乗せて、万福商店を練り歩いた。

大体の手順を確認して、明日の本番に備えるだけ

となった。


「え!みんな!どうしたの?!」

次の日、クロちゃん神社で、男衆は麦茶を飲んでいた

が、突然!皆腹をかかえて、苦しみだした。

「どうも食中毒だな、しかも幽世の植物の中毒だ。

なんで、ここに、こんな物があるのか?」

歳さんが皆を診て言った。

皆救急車出て運ばれて行った。

「命に別状はないらしいけど、お御輿を担ぐ人がいない

から、今日のパレードは中止するしかないね。」

神主さんは、言った。

「残念ね、この凄いお御輿見てもらいたかったわね。」

クロちゃんが言うと、

「今から、人集めようか?パパと、カダは担げるし、友達

とか、同僚に聞いてみるよ。」

パパが言うと、

「人数集めてくるよ。任せとけ!」

と、それを聞いていた、その鶴ちゃんと、亀ちゃんが

そう言って走って行った。


しばらくすると、沢山の妖怪達が集まって来た。

蠢く異形の者達は、凄い迫力だった。

「凄い、リアル百鬼夜行だね!」

パパは、興奮した。

「流石クロちゃんだ!妖怪をこれだけ集められるなんて!」

神主さんも驚いていた。

「これ、夜なら滅茶怖いですね。」

チョコが言うと、

「いつもは、見えない連中も見えてるのは、何でだ?」

セヒが不思議がると、

「大黒様の御加護で、今みんな力が強くなっているんだよ、

それに、今まで姿消していた連中も最近は堂々と

姿を見せて徘徊しているからね。」

と、みっちゃんが言った。

「じゃ、後1時間後にパレードです。妖怪の皆さんは

打ち合わせをしますので、こちらに。」

神主さんは、妖怪達にパレードのコースを説明し出した。

「クロちゃん、今日のちょく食中毒の件だけど。

最近ユーチューバーが、色々騒動起こしているのと関係

があるかもしれない。」

星明が話しかけた。

「今、データーを色々集めて分析しているんだけど、

このサイトを見てみな。」

星明のタブレットをクロちゃんは、覗き込んだ。

『クロちゃん神社ゲーム』

内容は、登録して、クロちゃん神社で、やった悪戯動画

をUPして、「いいね」を10000回以上貰えば、10000円

貰える、20000回貰えば、20000円貰えると、いう

システムだ。

「このサイトのせいで、最近変なユーチューバーが

増えたのね。」

「支払いは、最近流行りの仮想通貨『ホットコイン』

だよ。

『ホットコイン』を使っているユーチューバーを

誰かが使って、クロちゃん神社に嫌がらせしてるんだよ。」

「でも、嫌がらせにしても、毒を盛るなんて!ひど過ぎる

じゃない!」

クロちゃんは、怒った!

「そうだよ!万福商店の妖怪全部に喧嘩を売ってるんだ!

見つけたら、タダじゃおかないよ!」

星明は、怒った!

「今、警察とかにハッキングして調べているから、

待っていて。」

「ちょっと、それ犯罪じゃ・・・。」

「大丈夫!ハッキングは、この間クロちゃん神社で、

コケシに火を付けようとしたり、クロちゃん祭り草

を盗もうとしたユーチューバーのパソコンでやって

いるから。」

「その人達冤罪で捕まってしまうじゃない!」

「クロちゃん神社で悪さする様な連中だ、知った事

じゃないね。

それに警察に、そいつらの事調べてもらえば、こっち

の手間はぶけるし、

警察の情報は、クロちゃん神社の交番のお巡りさん

を操れば簡単に見れるしね、任せてくれよ。」

「あの、いいのかしら。」

「大丈夫!法律は、人間用で、俺らは超自然現象だから、

裁く法はないんだよ。」

星明は、ケラケラ笑った。

さすが妖怪、お巡りさんまで操るなんて凄いわ!

星明を頼もしく思った。


クロちゃんが、クロちゃん神社の事務所に行くと、

万福商店街のお店からの差し入れが届いていた。

大福、クッキー、ケーキ、饅頭、肉まん、シューマイ、

ステーキ、ハンバーグ、パスタ、ハンバーガー、おにぎり、

肉団子、鰻、ぶどう、パイン、桃、夏ミカン、それに

お酒だ。

妖怪達が、嬉しそうにパクついていた。

ふと、窓の外に何かの気配がした。

「何かしら?」

窓の外を見てクロちゃんは、つぶやいた。

「クロちゃんも食べなよ。」

みっちゃんが手招きした。

「うん、食べる。」

クロちゃんは、気になりながらも、お菓子とケーキにパク

ついた。

すると、

「クロちゃん!差し入れ!焼きたてのメロンパンよ!」

福ちゃんと、山田パン屋のおっちゃんがやってきた。

「遅くなって、ごめんよ。うちの店員が売る物が無くなるから、

持っていくなって、怒るんだよ。もぎ取って持ってきたよ。」

山田パン屋のおっちゃんが言った。

「あの差し入れ沢山あるから、無理しなくていいのよ。」

「他の店は、沢山差し入れているのにうちが、何も無いなんて

できないよ、食べておくれ。

そうそう、さっき変な連中が『クロちゃんが妖怪を使って

暴動を起こそうとしている』って叫んでいたよ。」

「え!何それ!何でクロちゃんが、暴動を起こさないと

いけないの?!」

あまりにも唐突な事でクロちゃんは、吃驚した。

「そろそろ出発しますよ、妖怪の皆さん集まって下さい!」

神主さんが皆に叫んだ。


妖怪達は、みんな外に出た。

すると、沢山の人々が待ち構えていた。

「わぁ~!本物の妖怪だ!」

「凄い!滅茶苦茶怖い!」

「妖怪って本当に要るんだ!」

人々は、わ~わ~!と大興奮した!人、人、人である!

すると、

「クロちゃん!妖怪を使って反乱を起こそうとしている

だろう!とんでもない奴だ!」

「実は、クロちゃんは妖怪で、日本征服を企んでいる!

皆騙されるな!」

口々にそう叫んでいる集団がやって来た。

「な、何なの!」

クロちゃんは、驚いた!

「何訳の分からない事を言っている!クロちゃんは、人間だ!

それに、まだ6歳だぞ!日本征服してどうする!

祭りの邪魔をするなら警察を呼ぶぞ!」

パパが怒鳴った!

「ほら!今からこの万福商店街が、血祭に上げられるぞ!」

ひと際背の高い、目つきが鋭い男が怒鳴った!

「子供は、喰われるぞ!妖怪達が暴れるぞ!」

男は、周りの人間を煽った!

皆ざわざわと、男の言葉に反応していった!

周りの人間が、襲ってきそうな雰囲気になってきた。

「皆さん、落ち着いて下さい!クロちゃんが、日本征服

して、何になりますか?

テレビアニメじゃあるまいし、現実的に考えて下さい!」

神主さんも説得し始めたが、

「ほら、あの神主も妖怪どもの仲間だぞ!」

益々、男は、皆を煽った。

「あ~!煩い連中め!」

妖怪達が恐ろしい姿で、脅しにかかった!

「おお!」

「こわ~!?」

「やっぱり、恐ろしい連中だ!」

周りの人間は、少しずつ恐怖に染まっていった。

「皆やられる前に、やるぞ!」

男は、更に煽った!

「おお!やられる前にやれ!」

完全にその集団は、先導に乗った!その時!

「クロちゃんを怒らせたわね!妖怪で人間を

襲って世界征服?大人の癖になんて馬鹿なの!!

このクロちゃんが、本当の世界征服を見せて

上げる!後悔してもおそいわ!」

そう言うと、すくっと、打ち出の小槌を取り出した。

「あ~ホットコインの価値下がれ~!下がれ~!~♪

下がれ~!あ~それ!あ~それ!ドンドン下がれ!~♪

あ~それ!それ!それ!!~♪」

と、打ち出の小槌を振り回しながら踊って!歌い始めた!

「何だ!あれ!」

皆が呆気に取られると、

「あ!ホットコインの値段が下がっている!」

「何~!あ~!本当だ!」

「あ~!何なんだ!」

皆ざわつき、パニックになってきた!

「あ~もっと下がれ!あ~あ~それ!それ!それ!!~♪」

クロちゃんが、ますます勢いに乗って踊り始めた。

すると、妖怪達も一緒になって踊り始めた。

「あ~もっと下がれ!あ~あ~それ!それ!それ!!~♪」

「あ~もっと下がれ!あ~あ~それ!それ!それ!!~♪」

「あ~もっと下がれ!あ~あ~それ!それ!それ!!~♪」

「あ~もっと下がれ!あ~あ~それ!それ!それ!!~♪」


すると、更に値段がドンドン下がっていった。

・・・そして、ホットコインは、今クロちゃんにいる

クロちゃんを 妖怪呼ばわりしている連中だけになった。

もはやホットコインの価値はタダ同然である。

あまりの事にみんな呆然としている!

「クロちゃん!終わったよ!この連中の個人情報が

駄々洩れだ!。」

星明がケラケラ笑った。

「さあ!SNSでお前達の個人情報駄々洩れよ!」

クロちゃんを妖怪している連中は、パソコンや携帯の

情報、写真、クレジット、住所、電話番号、銀行残高

就職先等ありとあらゆる情報がSNSで駄々洩れした。

「うわ~!何でこんな事に!」

人々は、パニックになった。

「さあ~!次は、お勤めの会社の株価が下が~る!

下が~る!~♪倒産~♪倒産~♪倒産~♪よ~♪」

クロちゃんが、打ち出の小槌を振り回して、踊り出した。

「会社の株価が下が~る!下が~る!~♪倒産~♪

倒産~♪倒産~♪」

「会社の株価が下が~る!下が~る!~♪倒産~♪

倒産~♪倒産~♪」

「会社の株価が下が~る!下が~る!~♪倒産~♪

倒産~♪倒産~♪」

「会社の株価が下が~る!下が~る!~♪倒産~♪

倒産~♪倒産~♪」

妖怪達も喜んで踊り始めた!長~い舌を出したり

牙を出したり、目玉をむき出したりと、なかなか圧巻

である!

「うわ~!会社の株価がドンドン下落している!?」

ドンドン、パニックになって行く!

クロちゃんを妖怪呼ばわりした集団は、阿鼻叫喚

である。

そして!

ピ~ポ~!ピ~ポ~!ピ~ポ~!ピ~ポ~!

とパトカーが何台もやって来た。

「警察へのハッキングの疑いで逮捕する!」

と、クロちゃんを妖怪呼ばわりしていた連中は、

次々と逮捕された。

星明がニヤリと笑った。

星明はハッキングもできるのね。凄いわ・・・。

「お巡りさん!そいつが麦茶に何か入れてたよ!俺見たよ!」

突然ニポポ人形が騒いだ!

それを見たお巡りさんは、

「重要参考人で、来てくれるかい?」

ニポポ人形は、頷いた。

「わかった!やろうと思えば、お金と情報で世界も牛耳れる

のよ!妖怪使って人間なんて襲わないわ!馬鹿な人達!

このクロちゃんは、日本征服なんて馬鹿な事しやしないわ!」

クロちゃんは、叫んだ!

すると、一斉に拍手が起こった!

・・・あれ???また、大黒のおっちゃんに操られた?

すると、背の高い男が走り去った!

「あ!あの男捕まえて!」

クロちゃんが叫んだ!

妖怪達は、一斉に追っかけた。

背の高い男は、物凄い速さで逃げた!鶴ちゃんと亀ちゃんが

クロちゃん神社の大樹に追い詰めた!

背の高い男が、逃げようとすると、大樹は、背の高い男を

枝を伸ばして、鳥かごのように閉じ込めた。

男は、叩いたり、剣で切りつけたりしたが、びくともしない。

「な、どうなってる!」

背の高い男が叫ぶと、

「その大樹は、幽世の桜の大樹の大老に貰ったの。

大老の力のが籠っているから、妖怪じゃ壊せないよ。」

みっちゃんが近寄ってきた。

「お前、何であの人間たちを先導していた?

男衆に毒まで盛って、お祭りを台無しにしたね!

クロちゃんに何の恨みがあるんだい!ここは、

みっちゃんのシマだよ!こんな事しでかして

タダじゃすまないよ!さっさと白状しろ!」

みっちゃんは、名刀桜鬼丸をスッと抜き男の首に当てた。

「死にたくなかったら、吐け!」

みっちゃんは凄い剣幕で、凄んだ!

すると、男は妖怪の姿を現し巨大化した!

が、枝に阻まれボンレスハム状態だ。

「お前、馬鹿?話したくなるまで突き刺すね!」

みっちゃんは、容赦なく、グサグサ刺し始めた!

「うわぁあ~~!うわぁあ~~!」

と、妖怪は悲鳴をあげた!そして、また縮んだ。

ギラッ!と、妖怪の首に刀を当てて、

「さあ、話さないと、次は殺すよ!」

みっちゃんは、凄んだ。

「天津甕星様の部下で星鬼(セイキ)!天津甕星様の腕を取り返し

に来たんだ!クロ!お前が持っているだろう!返せ!」

星鬼は怒鳴った!

「あ!そうだったの!それは悪かったわ。」

「クロちゃん返さなくていいよ!折角、天津甕星の力が手に

入ったんだから。」

みっちゃんは、言った。

「でも、ご飯食べる時不自由だと思うわ。右手使えない

と大変よ。」

「大丈夫!もう腕生えているよ!ただ力が奪われてるから

取り返したいんだよ。

クロちゃん、ここの妖怪総がかりで、手に入れたんだから

返さないでね!」

みっちゃんが、そう言うのでクロちゃんは、困った。

「クロちゃんは、返してあげたいんだけど、打ち出の小槌に

吸収さちゃったの。

悪いけど出し方わからないんで、あきらめてね。」

クロちゃんが言うと、

「その打ち出の小槌を渡してくれ!頼む!俺には女房と

子供がいるんだ!俺が任務をしくじったら、女房と子供が

どうなるか・・・頼む!」

星鬼は、一生懸命頼んだ!

「そうなの、それは可愛そうだわ、仕方ないわね。」

クロちゃんは、打ち出の小槌を手から出した。

「はい」

と、星鬼に渡そうをした。

「ダメ!クロちゃん!嘘だよ!本当でもやらなくて

いいよ!ダメ!」

みっちゃんが止めたが、星鬼は手をニョキっと伸ばして、

クロちゃんから打ち出の小槌を奪い取った!

そして、でっかい口を開けて飲み込んだ!

すると、星鬼は、大樹の枝を叩き壊した!

「はは、確かに返してもらったぞ!」

そう叫ぶと、逃げて行った!後を追いかえようとすると、

見た事がない妖怪が何匹も現れ、行く手を阻んだ!

「星鬼の部下だよ!鶴ちゃん、亀ちゃん、雑魚は任せ

たよ!」

みっちゃんが、叫んだ!

すると、突然!凄い速さで逃げる星鬼に追いつき、

行く手を阻む者がいた!小さなお多福、福ちゃんである!

「この万福商店街で、好き勝手して、折角のお祭りの邪魔

して、タダじゃおかないわよ!」

福ちゃんは、大槌で星鬼を物凄い勢いで、バンバン攻撃

した!

「はははははは!たいして効かないぞ!」

最初は、余裕だったが、段々動きが鈍くなってきた。

「そろそろ辛くなってきたろう!妖怪がそんな巨大な力

いつまでも維持できないわよ!」

福ちゃんは、更に攻撃した!星鬼は、段々と、よろめいて

打ち出の小槌を吐き出した!

あわてて、拾おうとすると、コケシが星鬼の眉間を

思いっきりぶっ叩いた!

星鬼は、力尽きたところを福ちゃんに取り押さえられた。

「ありがとうね、コケシ、助かったわ。」

クロちゃんがお礼を言うと、

「クロちゃんの役にたって良かったわ!コケシの体を

借りたかいがあったわ!わかる?私、美咲よ!」

コケシが言った。

「え、美咲さん!?死んだんじゃ!??」

「クロちゃんに恩を返す為に、49日まで、コケシの

体で恩を返す事にしたの。」

コケシは、言った。

「え、死んでまで、そんな事気にしなくていいのよ。

スヌーピーオルゴール貰ったし、十分よ。

気にせず成仏してね。」

クロちゃんが言うと、

「うふ、大丈夫!冥途の土産に万福商店街のコケシ

ライフも楽しむわ!」

と、ピョンピョンと跳ねた!

・・・死んだっていうのに、ポジティブな人だわ。

「クロちゃ~ん!騒動は収まったようだね。

パレードできそう?」

神主さんが呼びにきた。

「もう大丈夫よ、すぐ行くわ!」

クロちゃんが、福ちゃん達と、クロちゃん神社の事務所前に

行くと、パパとカダ兄ちゃんが血まみれで立っていた。

「パパどうしたの!?大丈夫!」

「大丈夫!これは、返り血だよ!大黒様が刀くれたたんで、

パパと、カダにいちゃんも応戦したんだよ。

どうだい!この聖福神(セイフクシン)いい刀だろう!」

自慢げに語るパパの足元には、切り伏せられた下っ端

妖怪が、もがいていた。

・・・なんか、ヤバそうな名前の響きの刀だわ。

「僕の福針神(フクシンジン)も見て!いいだろう!」

自慢げにガダ兄ちゃんは、針だらけのこん棒を見せた。

足元には叩きのめされた下っ端妖怪が、もがいていた。

・・・針灸みたな名前のこん棒。

やっぱ、この人達、血見るの好きなんだわ・・・

大丈夫かしら、危険な武器渡して。

「皆頑張ったな!パレード終わったらランク上げて

やりぞ!」

大黒のおっちゃんが、叫んでいた。

周りの人々も妖怪決戦が見れて嬉しそうだった!

・・・こんな事件が、あったら普通パレード中止

じゃないかしら?


クロちゃんの心配をよそに、パレードは、始まった!

まず、前の御輿の上で、MPK48が踊って、歌った。

「あ!それ!あ!それ!それ!それ!それ!それ!それ!!」

「あ!それ!あ!それ!それ!それ!それ!それ!それ!!」

「あ!それ!あ!それ!それ!それ!それ!それ!それ!!」

「あ!それ!あ!それ!それ!それ!それ!それ!それ!!」

妖怪達の掛け声と、共に、その後、妖怪が作った妖怪御輿が

通った。

青龍、白虎、朱雀、玄武は、生きているように、蠢いた!

その中心に、クロちゃんと、みっちゃん、福ちゃんが乗って、

手を振った。

「山田パン屋は、クロちゃん神社から離れてるから、いつも

妖怪が暴れたって聞いて、駆け付けた時、間に合わない

んだけど、今日は成敗できて良かったわ!」

福ちゃんは嬉しそうだ、結構過激な性格である。

横には、美咲コケシが嬉しそうに跳ねていた。

妖怪御輿の圧巻の迫力に、皆大喜びだった。

色々あったけど、無事パレードはおわった。


後日捕まえた、天津甕星の部下は、鶴ちゃん、亀ちゃん

立ち会いの元、警察で取り調べが、あった。

妖怪なので、人間の留置場だと逃げられるので、

万福商店街の妖怪の預かりと、なった。

色々、万福商店街の妖怪に、お仕置きされていたようだ。

クロちゃんを妖怪呼ばわりした集団の勤め先の株価は、

星明が、すぐに元に戻した。

「個人情報漏洩は、もうどうにもならないね、ま、

こういう事したらこうなるって、見せしめだね。」

とケラケラ言った。

・・・いいのかしら?

そして、後日、岡村太陽氏が、妖怪御輿を題材に、彫刻を

発表した。

ピカソの「ゲルニカ」のような異様な彫刻で、凄い迫力

だった。

そして、岡村太陽氏から、本物そっくりのクロちゃんが

乗っている妖怪御輿を担ぐ妖怪達の彫刻が寄贈された。

まるで、生きているように、生き生きしていた。

素晴らしい出来栄えで、岡村太陽氏は、時々動き出して

いるのではないかと、ワクワクしながら見に来ている

ようだった。

人が作った物は、動かないと、思うけど・・・。

「クロちゃん!妖怪御輿の彫刻を作ってみたよ!」

と、留が妖怪御輿の彫刻を持って来た。

勿論、こっちは、動く!しかも素晴らしい出来だ。

負けず嫌いなのね・・・また彫刻が増えそうね。

妖怪御輿の彫刻をみて、クロちゃんは、思った。






















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