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星祭

暑さが厳しくなり、七夕の飾りが風に揺れて嬉しそうである。

万福商店のお化け屋敷で、よっちゃんと、えあちゃんが

ジャンケンをしていた。

「勝った!アタシが先ね!」

そういって、えあちゃんは、クロちゃんを引っ張って、お化け

屋敷に入って行った。

そう、どっちがクロちゃんと、入るかもめていたのである。

「三人で、入ればいいじゃない。」

クロちゃんが、言うと、

「美代ちゃんとは二人で入ったんでしょう!」

と、女の子二人に凄まれて、言う事を聞くしかないのだった。

みっちゃんは、心配そうに二人を見守った。

「クロちゃん、今日は、可愛い子連れているね!モテモテ

だね!後で事務所に寄りな!プリンと、お菓子があるよ。」

お化け屋敷のおっちゃんは、愛想よく言った。

中に入ると、妖怪達は、控えめに脅かした。

一つ目小僧を見た、えあちゃんは、ぐるりと、見まわして、

「すごいね!本物初めて見た!」

振り向いた、男が骸骨になったのをまじまじと、見たり、

「これも、本物だ!ワー凄い!」

と、怖がるどころか、興味深々で見ている。

なんとも、肝が据わった子である。

「この子、肝が据わっているね。」

妖怪がこそっと、囁いた。

「えあちゃんは、とっても強いの、兄ちゃん達と

喧嘩しても負けないもの。滅茶苦茶気が強いんだから。」

クロちゃんは、言った。

お化け屋敷から出ると、

「面白かったね!あ!しまった!キャー!って言って

クロちゃんに抱きつくの忘れた!」

えあちゃんは、言った。

「別に、必ず抱きつかなくていいのよ。」

クロちゃんが言うと、

「何の為にお化け屋敷に入ったと、思うの!クロちゃんに

抱き付く為じゃない!」

えあちゃんは、凄んだ!

クロちゃんがタジタジしていると、

「クロちゃん、次は、私よ!」

よっちゃんが、クロちゃんを引っ張った。

お化け屋敷に入る時、

「この子は、怖がりだから控えめにね。」

妖怪に耳打ちした。

「了解!この子も可愛いね。」

妖怪は、言った。

よっちゃんは、「きゃ~!」と、ずーっとクロちゃんに、

しがみ付いていた。

お化け屋敷を出る時、

「本命のガールフレンドは、上手く行ったね。」

妖怪は、クロちゃんに囁いた。

「本命は、最悪だったわ。」

クロちゃんは、呟いた。

妖怪達は、凄く気まずくなってしまった。

みっちゃんは、クロちゃんの背中を軽く、ポンポンと

叩いた。


「さあ、『セブンスパラダイス』に行くわよ!」

えあちゃんは、言った。

『セブンスパラダイス』は、ママの友達の照子さんが

始めた喫茶店である。

えあちゃんのママがパートで働いているのである。

MPU48劇場と、お化け屋敷の間にあって、帰りのお客さん

を見越して作ったのだ。


『セブンスパラダイス』は、大繁盛していた。

「あ、クロちゃん、いらっしゃい!ここ一杯だから

休憩室に行ってくれる?」

照子さんが、言った。


休憩室に行くと、恵理子さんが、チョコパフェを持って

来た。

「わあ!美味しいね!」

クロちゃんがそう言うと、お客さんが更に押し寄せた。

「まあ、大変!じゃ、ゆっくりしていってね。」

恵理子さんは、お店に戻って行った。

何故か、4つあるチョコパフェの一つに、みっちゃんは、

パクついた。

「クロちゃんと、一緒だといい物が出てくるわ、アタシだけ

なら、小さいアイスクリームか、ジュースくらいよ。

流石、クロちゃん大明神ね。」

えあちゃは、嬉々とチョコレートパフェをパクついた。

クロちゃん達がチョコレートパフェを食べていると、

亀ちゃんと、鶴ちゃんと、吾作が来た。

「クロちゃん、ガマ吉を捕まえたよ。」

虫かごに、哀れな姿で、ガマ吉がいた。

「助けておくれよ、俺は、財産も、妖力も取り上げられた

上に、女房は、シロにやれて、シロに丸飲みされ、

可愛い息子は、あの凶悪な妖怪にやられて、シロに、

丸飲みされたんだよ。」

泣きながらガマ吉は言った。

「こいつは、散々こきつかったのに、姉さんを丸焼きにして

神様にお供えしょうと、したんだぞ!

他の仲間も、お前らが気に入らなって、丸焼きにして

喰ったな!散々こき使って!」

吾作は、訴えた。

「こいつの息子は、クロちゃん神社で暴れて、仲間も酷い

目にあったからな、お咎め無しってのは、納得できないぞ。」

亀ちゃんは言った。

皆の言い分をクロちゃんは、考えて尋ねた。

「ねえ、ガマ吉、天津甕星の右手をガマ之介が、飲み込んで

いたのは、どうして?」

クロちゃんは、尋ねた。

「天津甕星に、力を貸してくれるように、頼みに行ったんだが、

アイツは、けんもほろろに断って、俺達を無視しやがった!

アイツの屋敷で、イライラしていたら、クロちゃん達が

来て、あの凶悪な妖怪が、ハサミで天津甕星の右手を

ちょん切って、暴れている内に、ガマ之介が、天津甕星の

右手を飲み込んだんだ。

な、ちゃんと話したから、許してくれよ、頼むよ。」

ガマ吉は、涙ながらに頼んだ。

クロちゃんは、妖怪達を見まわして、考えた。

そして、口を開いた。

「ねえ、雪乃は、シロを操ってクロちゃんを殺そうと、したわ。

ガマ之介もクロちゃんを殺そうとして、クロちゃん神社で暴れて

ここの妖怪は、それで酷い目にあったわ。

ガマ吉は、今まで酷い事を色々してきたんでしょう?

報いは受けるべきだと、思うわ。

ガマ吉の事は、ここの妖怪達に任せるわ!皆気が済むようにして

いいわよ!」

クロちゃんは、言った。

ガマ吉は、血の気が引いた。

「わかった!好きにするぞ!覚悟しやがれ!」

と言って、亀ちゃん達は、ガマ吉を連れて行った。

「お願いです!助けて下さいよ!」

哀れな、声は響いたが、仕方がないなとクロちゃんは

思った。

不思議と胸は痛まなかった。

横を見ると、みっちゃんもコクコクと頷いていた。


家の花壇では、又べえの首が置いてあった。

「今日のおやつは、フルーツポンチと、ホイップクリームたっぷり、

アイスクリーム付き、マンゴーと、パパイヤたっぷりの

リコッタチーズのパンケーキよ。

食べれる?」

クロちゃんが言うと、又べえの口がパカッと開いた。

クロちゃんは、パンケーキと、フルーツポンチを又べえの口の中に

放り込んだ。

「今回は、回復が遅いわね、七夕までに復活するといいんだけど。

あんなに嬉しそうに、七夕になったら、織姫と、彦星が出会うと、

言ってたんだもの。」

クロちゃんは、呟いた。

「クロちゃん、ローストチキンと、ハンバーグを焼いてきたの、

又ちゃんに食べさせてあげて。」

ママと、おばあちゃんは、ローストチキンやら、ハンバーグやら、

もも肉やらを大皿に盛って、持ってきた。

クロちゃんは、又ベえの口に次々と、入れた。

パックンと、瞬く間に食べてしまったが、ちっとも動かない。

「MPU48は、クロちゃんほどヒットポイントと、マジックポントを

ためてなかったから、その分無理したんだよ。」

みっちゃんは、言った。

「そうか、無理したのね、ありがとね、又べえ。」

クロちゃんは、言った。

「又ちゃん、まだ復活できないのね。鰻もあげてみる?」

ママが聞いた。

「鰻あるの?」

クロちゃんが聞くと、

「うな八さんの御隠居さんが、毎日持ってくるもの。」

ママが言うと、

「クロちゃん食べなくていいから、持って来て。」

クロちゃんが言うと、

「いいの?クロちゃんが大好きが鰻だよ、又べえは、

鰻でなくてもいいと、思うよ。」

みっちゃんが言った。

「いいの!鰻あげて!」

クロちゃんの勢いに押されて、ママと、おばあちゃんは、

鰻丼を作った。

「又べえ、食べて!」

クロちゃんは、又べえに鰻を食べさせた。

又べえは、大きな口を開けて、パックンと、食べた。

すると、又べえの体が段々出来てきて、又べえは、

復活した。

「又べえ、良かった!復活したわね!」

クロちゃんは、又べえに抱き付いた!

「又べえ、良かったね!でも何で鰻で復活したの?」

みっちゃんが聞くと、

「よくわかんないけど、[アタリ!」って大黒様の声が

したぞ。」

又べえが言った。

「大黒のおっちゃん!遊ばないでね!クロちゃん心配した

んだから!」

クロちゃんは、怒った。

大黒様が、クロちゃんの頭を撫でて

「ほら、賢さが上がった。」

と言って笑った。


七夕の日、クロちゃん神社では、大きな笹が飾らていた。

短冊が沢山つけられ、短冊で葉っぱが殆ど、見えない

くらいだ。

花壇の七夕草には、『お願い星』が沢山見えていた。

『お願い星』それは、金の星型短冊の土に突き刺すタイプ

で、1枚500円するのだが、願いが叶うと、大人気なのだ。

そして、クロちゃんの水100円を飲み、クロちゃんのスイカ

500円を食べて、おみくじクロちゃんのマスコット付き700円

を買うという流れらしい。

「ぼったくりじゃないの!!」

と、クロちゃんは、思うのだが、大人気である。

こうやって、儲かるのね。

クロちゃん神社に押し寄せる、沢山の人を見てクロちゃんは

、思った。

すると、向こうから美代ちゃんが、やって来た。

「クロちゃん!この間はごめんね、怖くて、大嫌いなんて、

クロちゃんのせいじゃないのに・・・。」

美代ちゃんは、謝った。

「いいのよ、今日は七夕よ、この彦星と、織姫がこの星の

花の川を渡って出会うのよ。」

クロちゃんは言った。

「わあ、素敵ね。」

美代ちゃんは喜んだ。

すると、七夕草に水をやっていた、又べえが、

「今夜は、雨降るって天気予報で言ってたからな。

彦星と、織姫は星花の川を渡れないぞ。」

と、言った。

「え!なんで!?」

クロちゃんが尋ねると、

「雨が降ると、彦星と、織姫は天の川を渡れないだろう?

七夕草は、そうなってるんだ。」

又べえは、言った。

「そうか、残念ね。でも、この花キラキラして可愛いもの。」

美代ちゃんは、言った。でも、残念そうだ。

「なんとか、ならない?又べえ。」

クロちゃんが言うと、

「無理言うなよクロちゃん。」

又べえは、困ってしまった。

「そうね、仕方ないわ。」

クロちゃんは、しょんぼりした。

気が付くと、美代ちゃんは、又べえをしみじみ見ている。

そうか、又べえはレベルが上がったから、人に姿を見せる

事もできるようになったのね。

そういえば、結構万福商店街は、平気で妖怪が姿を見せる

ようになったなと、思う。


家に帰ると、夕飯が待っていた。

大好きなハンバーグには、星型に型抜きされた、ニンジン

やジャガイモが乗っていた。

ちらし寿司も星型のかまぼこと薄焼き卵やマグロの漬けの

角切り、エビやいくらが乗っている。

そうめんにも星型の薄焼きたまご、ハム、おくらの輪切り、

が乗ってて、七夕バージョンだ。

「ご飯たべたら、クロちゃん神社に皆でいきましょうね。」

ママが言うと、

「でも、雨が降るみたいだよ。」

パパが言った。

「そうね、小さい子もいるし、人も多いし雨が降るなら

やめましょうか。」

ママも賛同した。

「え~!」

クロちゃん達は、ガッカリした。

「クロちゃん!どうにかしてください!」

チョコが詰め寄った。

「無理よ!クロちゃんにどうしろっての!」

クロちゃんが困っていると、

「俺の力を返してくれたら、晴れにしてやるよ。」

虫かごのガマ吉が言った。

「ごめん、クロちゃん、ちょっと置き場所がないんで、

置かせてもらったよ。」

茂作が言った。

「あれから、ガマ吉どうしたの?」

クロちゃんが聞くと、

「ま、皆であれこれ仕返しをしてるよ、具体的に言って

クロちゃんの気分が悪くなるといけないから、言わない

けど。」

茂作は言った。ガマ吉は酷く憔悴している。

「・・・聞かないわ、ここはガマ吉にうっかり力返して

、失敗する流れね。口車にはのらないわよ、ガマ吉。」

クロちゃんは、ガマ吉に言った。

ガマ吉は、タジタジした。

すると、雨音がし、雨が降り出した。

「とうとう雨降ってきたね。」

ガダ兄ちゃんが言った。

「雨でも、クロちゃん『クロちゃん神社』に行きたい。

駄目?」

クロちゃんは、言った。

すると、パパが

「わかった、クラリス以外をパパが連れて行くよ。」

それで、パパが、クラリス以外連れて、クロちゃん神社に

行く事になった。

すると、ママは、三人に浴衣を出してきた。

「ママが頑張って、縫った浴衣よ。」

「ママありがとう!」

三人は、大喜びだ。

三人が浴衣を着付けてもらっていると、クラリスは、

誰もかまってくれないので、ガマ吉の虫かごに、近づいた。

「あ、かえる!」

ガマ吉に、触ろうと、虫かごの戸を開けてしまった。

「ありがとうよ!嬢ちゃん」

そう言って逃げ出した。

「あ!ガマ吉逃げた!」

クロちゃん達は、皆でガマ吉を捕まえようと、追っかけた。

「ごめんよ、封印してたんだが、人間には利かなかった

みたいだ。」

茂吉が謝った。

ガマ吉は、ピョンピョン跳ねて、万福商店街からクロちゃん神社

へ逃げた。

クロちゃん達は、ずぶ濡れになって、追いかけた。

それでも、神社の大樹の所に追い詰めた。

すると、ガマ吉は、クロちゃんの頭に飛びつき、髪の中に

もぐり込んだ。

そして、スヤスヤと寝ている、たっちゃんを見つけて飲み込んだ。

そして、ぴょ~ん!と頭から飛び出した。

そして、巨大化し、ハイグレードガマ吉になった。

みなぎる力は、他者を圧倒した!

「今まで散々いたぶってくれたな!お前達!覚悟しろ!」

ガマ吉は、亀ちゃん、鶴ちゃんを捕まえて、握りつぶそう

とした。

「鶴ちゃん!亀ちゃん!」

クロちゃんは、叫んだ!

すると、親方、歳さん、ゴンベエ、又べえが四方から

攻撃した!

親方が大ばさみで、切りかかったが、切れなかった!

「なんて、硬さだ!」

そして、亀ちゃんを親方に、投げつけた!二人は地面に

叩きつけられた!

歳さんとが大メスで切りつけ、ゴンベエが鍬で攻撃!

又べえも大ばさみで切りつけたが、ビクともしない!

三人は、打ちのめされ、鶴ちゃんを叩きつけられた!

みっちゃんが大槌で、連続攻撃したが、追い詰められた!

「くそ~!ガマ吉!」

みっちゃんが、叫んだ!

「ほら、こんなもんか、弱いね~!」

ガマ吉は、せせら笑った。

バッコン!そこへ、クロちゃんがぶっ叩いた!

みっちゃんと、クロちゃんで、方向から連続攻撃した!

が、二人は、追い詰められた!

「必殺!桜吹雪!」

クロちゃんが、必殺!桜吹雪!をおみまいしたが、

最初はひるんだものの、

「どうした、こんなもんか!」

横で、MPU48が踊り始めると、片っ端からガマ吉は、

飲み込んだ!

「その手はくわんぞ!わっはっは!」

ガマ吉は、笑った。

・・・どうしたら、いいの?どうしたら・・・。

「さあ、クロ!次は、お前の番だ!どうしてやろうか!」

ガマ吉は、クロちゃんを掴もうとしたが、クロちゃんは、

スルリと逃げた!また掴もうとするが、スルリと逃げた!

掴もうとしては、逃げ、掴もうとしては、逃げと何回も

繰り返す内に、クロちゃんは、とうとうガマ吉に捕まって

しまった。

「クロちゃんを放せ!」

みっちゃんが、連続攻撃をしたが、ガマ吉には、効かなかった。

「わっはっは!そんなもんか!」

ガマ吉は、大口を開けて笑った!

「さあ、覚悟しろ!喰ってやる!」

ガマ吉は、大きく口を開けた。

「クロちゃ~ん!」

みっちゃんが叫んだ!

すると、パ~ン!!とガマ吉が破裂してしまった。

「なんだ、こいつ!気持ちよく寝てたのに!」

中から、たっちゃんが、不機嫌そうに出て来た。

「たっちゃん!助かった・・・。」

クロちゃんは、胸をなでおろした。

たっちゃんが、不機嫌なせいか雨は酷くなった。

「折角七夕なのに、雨酷くなったわ・・・。

織姫と、彦星はもう会えないわね・・・。」

クロちゃんが、ショゲていると、

「雨降ったら、織姫と、彦星は会えないのか?

それは気の毒だな、よし、たっちゃんが雨雲を

追い払ってやる!クロちゃん、乗れ!」

たっちゃんは、ど~んと大きくなった。

クロちゃんが、たっちゃんに乗ると、空高く舞い上がった。

そして、雨雲を追い払った。

雨雲が追い払われた後からは、綺麗な星空が広がった。

綺麗な天の川が見えた。

「わぁ~綺麗ね!」

クロちゃんは喜んだ。

地上に降りると、七夕草の彦星と、織姫は星の花の川を

渡って、出会う事が出来ていた。

七夕草の織姫と、彦星は、キラキラと、幸せそうに輝いて

いた。

「クロちゃ~ん!」

ママや、パパ、兄ちゃん達や、みっちゃん達が駆け寄った。

「ママ来たの?」

クロちゃんが聞くと、

「ママ友から、クロちゃんが『クロちゃん神社』で化け物

と戦っているって、連絡があったの、動画付きで。

それで、おばあちゃんにクラリス預けて、慌てて来たら、

クロちゃんが、龍に乗って雨雲を追い払っているから

驚いたわ!怪我ない?」

ママが言った。

「大丈夫よ、それより、ママごめんなさい。

折角ママが縫ってくれたのに、浴衣泥だらけにして。」

クロちゃんが申し訳なさそうに言うと、

「いいのよ、無事で何よりよ。」

ママは、言った。

「クロちゃん、パパ武器を探しに行っている間に方が付

いたみたいだね。何もできなくてごめんね。

今度、神様に人間でも扱える、妖怪退治の武器を

貰ってくれないかな。」

パパが気の毒そうに言うと、

「気にしないで、人間には無理だから、妖怪の皆が助けて

くれるから大丈夫よ。

パパが怪我したら大変だから。」

クロちゃんは、笑った。

「クロちゃん、良かったね!」

みっちゃんや、兄ちゃん達が抱き付いた。

「クロちゃん、俺達もたっちゃんに乗りたかったな。」

セヒが言った。

「龍の子クロちゃんって感じで、SNSで動画上がってます、

見ますか?」

チョコがスマホの動画を見せた。

龍に乗って空に舞い上がるクロちゃんが映っていた。

まるで、映画みたいだった。

「クロちゃんの必殺!桜吹雪!も動画上がってるよ。」

カダ兄ちゃんが言った。

クロちゃんが、ガマ吉に必殺!桜吹雪!をおみまいすると、

桜の花と、花びらがパァ~と散って、綺麗だった。

七夕草の小さな星花がキラキラ輝いて、何とも幻想的だった。

「クロちゃん、カッコいいぞ!七夕草の小さな星花が

キラキラ輝いて綺麗だな!テレビのヒーローみたいだね。」

みっちゃんが言った。

「クロちゃんのおかげで、織姫と、彦星会えたな!

キラキラ綺麗だ、又べえは、嬉しい。」

又べえも嬉しそうに、眺めていた。

「やっぱり、儂の花はいいな!うん!」

親方も満足そうだ。

ふと、お願い星が目に入った、皆それぞれ恋のお願いを

書いている。

あ、美代ちゃんのお願い星だわ。

『セヒちゃんと、デートできますように  美代』

胸がチクッとして、・・・仕方がないわ。・・・今度

セヒ兄ちゃんと、美代ちゃん誘ってMPU48の劇場に

行こうと、思った。

美代ちゃん喜んでくれるならいいやと、思った。

よっちゃんのお願い星が目に入った。

『クロちゃんが私の事好きになって、またデートして

くれますように よしこ』

嬉しいけど、クロちゃんは複雑な気持ちになった。

ふと、えあちゃんのお願い星が目に入った。

『クロちゃんのお嫁さんになって、贅沢な暮らしが

出来ますように えあ』

・・・エライもんに好かれてしまったかも。

ちょっと、怖くなったクロちゃんだった。

「クロちゃん、今回も頑張ったな、ヒットポイントと

マジックポイントを上げてやったよ。」

いつの間にか現れた大黒のおっちゃんが言った。

「恋愛ポイントは上がらないのね。」

クロちゃんは、切なそうにつぶやいた。

思う人には、思われず、思わぬ人には、思われて

複雑なクロちゃんだった。




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