お化け屋敷
長かった梅雨もようやく明け、日がまぶしくなってきた。
お庭で、飼っていた桜鳥も若鳥になりつつある。
「綺麗ね、もうすぐ食べられるわ!楽しみv」
小梅ちゃんが、言った。
「この綺麗な羽根で、髪飾り作るの楽しみv」
蛍ちゃんが、言った。
「可愛いなあ!よしよし」
とセヒは、純粋にペットとして可愛がっている。
「これ、美味しいらしいですよ。」
チョコが言った。
「可哀そうだから駄目だ!俺が守るぞ!」
セヒは、息巻いた!
・・・桜鳥食べる時は、一波乱ありそうだ。
庭の花壇では、又べえが七夕草を育てていた。
「あ!クロちゃん見てくれ!七夕草が綺麗に咲いたぞ!」
アニメのキャラの様な愛くるしい織姫と、彦星である。
その周りに、小さな星型のキラキラ光る花が咲いていた。
「わぁ!可愛い!しかもこれ動くんだ!凄いね又べえ!」
織姫と、彦星は、小さな星の花の川を挟んで、
お互い手を振っていた。
「七夕には、彦星は、織姫の所へ行くんだぞ。」
又べえは、言った。
「素敵ね、皆喜ぶね。」
クロちゃんは、言った。
「明日から、親方と、『クロちゃん神社』の花壇に植え
たり、万福商店街の店に飾ってもらう分の鉢植えをする
んだ。」
嬉しそうに、又べえは言った。
おばあちゃんン家に行くと、親方が七夕草を育てていた。
「あ、クロちゃん、どうだい儂の七夕草は!」
親方のは、ひな人形のように綺麗な織姫と、彦星だった。
「こっちは、綺麗ね。老舗のお店が喜ぶわ。」
クロちゃんは、笑った。
「又べえのおもちゃみたいな七夕草も需要が、あるから
な。」
親方は、言った。
「おばあちゃんは、いないの?」
クロちゃんが尋ねると、
「櫻子ちゃんは、また空き店舗ができたんで、万福商店街
に行ってるよ。
長年の店子だから、なんとかしてやらないと、って
言ってた。」
みっちゃんが答えた。
「・・・またクロちゃんが潰したお店?」
クロちゃんが恐る恐る尋ねると、
「うん、そうだよ。ほら、あの不味いた定食屋だよ。
・・・色々あったけど、とどめ刺した感じかな。」
みっちゃんが、答えた。
「え、そのお店の人は・・・。」
クロちゃんが心配そうに尋ねると、
「大丈夫!櫻子ちゃんがどうにかしてあげるよ!
凄く面倒見がいいんだよ。」
みっちゃんが答えた。
クロちゃんは、定食屋の武骨なおっちゃんが
気になった。
「クロちゃん、おやつかい?」
話しかけたのは、最近みっちゃんがスカウトして
きた、留だ。
留は、人間だった時は、腕のいい大工で、家のメンテや、
増築をしてくれている。
「今日は、水ようかんと、キウィのクレープよ。」
クロちゃんが言うと、
「楽しみだね、何があったら遠慮なくいいな!色々
作ってやるよ!、細工は得意だ。」
留が言った。
「その時は、お願いね。」
クロちゃんは言った。
万福商店街で、クロちゃんは、鶴屋千年堂でお茶を
していた。
鶴屋特製の抹茶アイスくクリームは、わらび餅と、
甘さ控えの粒あん、ホイップクリーム付きで
ひんやりと、体を冷やしてくれた。
「ほら、潰れた定食屋があったでしょう?
あの後に、お店何だったら流行るかしら・・・。」
鶴ちゃんに尋ねると、
「ここらは、食べ物屋多いからな。・・・・
あ、季節柄、お化け屋敷どうだい!」
鶴ちゃんが、言った。
「お化け屋敷で沢山人来るかしら?」
クロちゃんが言うと、
「本物の妖怪が、脅かすんだ!絶対受けるよ!
俺、そん時は、仲間にも声かけてやるからさ。」
鶴ちゃんは、言った。
・・・そっか、いいかも。
潰れた定食屋の中で、おばあちゃんは、悩んでいた。
次なる商売を考えていたが、どれも、今一つな感じだ。
「おばあちゃん!」
「あら、クロちゃん来たの。」
「あのね、ここ、夏なんで、お化け屋敷にしたらどうかし
ら?鶴屋の鶴ちゃんが、妖怪の仲間集めてくれるって!
おばあちゃんン家に新しく来た、妖怪で留さんって
いうんだけど、材料さえ用意してくれれば、内装
してくれるって・・・どうかしら?」
クロちゃんが、言うと、
「流石、クロちゃん!凄いわあ!妖怪使って、お化け屋敷!
しかも内装が材料代だけ!願ったり叶ったりよ!」
おばあちゃんは、喜んだ。
潰れた定食屋の隣の隣は、MPK48劇場である。
今でも大人気で、長い人の列が並んでいた。
クロちゃんは、コッソリ裏口から中にはいった。
そして、MPK48の控室に、入った。
「あ、クロちゃん!」
支配人のおっちゃんが言った。
「今日も盛況ね。」
クロちゃんが言うと、
「大人気でね、若くて可愛い女の子を雇って運営してるよ。
随分楽させて貰って、大儲け!蕎麦屋をしていた時じゃ
考えられないよ、ありがとうね。
沢山、お菓子やジュースがあるから、ゆっくり
していっておくれ、あ!コレ、劇場で売っている
クリームソーダだよ。」
おっちゃんは、そういってクリームソーダをクロちゃん
に渡した。
働いている女の子は、ミニスカの萌えメイドスタイルだ。
MPK48は、皆嬉しそうに、クロちゃんに寄ってきて、
手に持ったお菓子をクロちゃんに渡した。
「皆ありがとうね。」
何気なく見た窓に黒い影が、ぬうっと見えた。
窓を開いて見たが、何もいない・・・。
最近、何かに見られているような・・・。
クロちゃんは、お菓子をリュックに入れた。
潰れた定食屋の中では、留がお化け屋敷の
内装を作っていた。
「おや、クロちゃん来たのかい。明日にはできあがるよ。」
留さんが言った。
「凄いわね!あんまり早いんで、おばあちゃん吃驚してた
わ。
何か、お礼に、欲しい物ないか聞いておいてって、
おばあちゃんが、言ってたわ。
あ、これ、MPK48から貰ったお菓子よ、食べて。
冷たいジュースも、貰ってきたわ。」
そう言って、クロちゃんは、お菓子と、ジュースを渡した。
「ありがとよ!お礼か、何か考えておくよ。」
留は、嬉しそうにお菓子と、ジュースを貰った。
クロちゃんが中をアチコチ見ていると、また、ぬうっと、
黒い影が、窓に映った。
留が窓を開けると、何もいなかった。
「クロちゃん、何か付けられてないかい?」
留が尋ねると、
「そうなの、何なのかしら。」
クロちゃんが、答えると、
「一人じゃ心配だな、帰りは、クロちゃん神社のシロに
送ってもらいな。」
留は、言った。
クロちゃん神社では、こけしと、二ポポ人形がウロウロ
していた。
あるものは、観光客と、記念写真や、動画を撮られて
あげたり、あるものは、シロと、警備したり、
ダラダラと、俳諧するだけのや、観光客にエサを
たかるもの・・・結構壮観である。
「シロはどこ?」
クロちゃんは、その中の一匹を捕まえて、言った。
「おい!クロちゃん!」
呼びかけられて振り向くと、そこには、巨大な
オタマジャクシがいた、手足が生えて、微妙にカエル
になりかけの可愛くないヤツである。
「誰?」
クロちゃんが尋ねると、
「俺は、ガマ之介!ガマ吉と、雪乃の子供だ!両親の
敵とらせてもらう!」
見上げるような巨漢のオタマジャクシの肩には、小さな
カエルが、乗っていた。
「クロちゃん!お前のせいでこのざまだ!この恨みを晴
らせて貰うぞ!」
ガマガエルは、凄んだ!
「え、ガマ吉!」
クロちゃんは、叫んだ!
「どうした?クロちゃん!」
花壇に七夕草を植えていた、親方と、又べえがやって
来た。
「あ、親方、又べえ、あれ、ガマ吉の子供と、肩に乗って
いるカエルは、ガマ吉だって!」
クロちゃんの目線の先のガマ之介を見た。
「なんじゃ、ありゃ!オタマジャクシでガマ之介?」
親方が言うと、
「しかも、キモイぞ!」
又べえが言った。
「うるさい!まだ子供なんだ!大きくなったら、
ガマガエルになるからガマ之介だ!」
ガマ之介がどなった。
「あ、そうか、今微妙なところね。
それから、クロちゃん、名前は、クロだから、勘違い
してない?」
クロちゃんが言うと、
「えええ!そうなのか!?」
ガマ之介は、驚いた!
そういえば、家の家族は、クロちゃんだけ、何故『ちゃん』
付けなんだろう???
「おい!クロ!とにかく覚悟しろ!」
そういうと、ガマ之介は、鋭い剣で切りかかってきた!
「わー!」
クロちゃんは、思わず避けた!剣は地面をえぐり、敷石は
吹き飛んだ!とんでもないパワーだ!
「クロちゃん大丈夫か!」
吾作がやって来た。
「あ、ガマ之介!いつの間に、こんなにパワーアップしたん
だ!」
吾作は、驚いた!
「驚いたか!さる神様にパワーアップしてもらったんだ!
クロに恨みのあるな!」
ガマ之介が自信満々で語った。
「天津甕星ね!」
クロちゃんは、答えた。
「何で解った!」
ガマ之介が怒鳴ると、
「他に神様に恨まれる覚えないもの。・・・頭は、
悪いみたいね。」
クロちゃんが、言うと、
「ガマ吉のバカ息子で、大変だったんだ!クロちゃん、
遠慮なくやっつけてくれ!」
吾作が言った。
「え、コレ、クロちゃんが退治しないといけないの!?」
クロちゃんは、周りの期待あふれる視線に気が付いた。
しかたないな・・・。
手にすくっと、打ち出の小槌を構えた!
「いくわよ!」
クロちゃんは、パッコン!パッコン!と、ぶっ叩いたが、
ガマ之介は、ビクともしなかった。
「硬い!」
クロちゃんが驚くと、
「痒い!痒い!」
ガマ之介は、笑った。
「じゃ!必殺!桜吹雪!」
クロちゃんは、必殺!桜吹雪!をおみまいした!
が、きかなかった。
「必殺!桜吹雪!がきかない!」
クロちゃんは、驚いた。
「どうした、こんなもんか、クロ!」
ガマ之介は、高笑いをした。
「ガマ之介!仲間はいないの!」
クロちゃんが聞くと、
「俺一人だ!」
ガマ之介は、言った。
「え~!一人なの!雑魚が沢山いたら、沢山倒して
レベルアップして、水神様のくれた必殺技が、出来る
のに!!
部下も、友達もいないなんて!どんだけ人望ないの!!」
クロちゃんは、悔しがった。
「うるさい!」
ガマ之介は、怒鳴った!
「クロちゃん、助太刀するぞ!」
親方、留、シロ、又べえが叫んだ!
親方と、又べえが大ばさみで切りかかったが、簡単に
はじかれた!
留ものこぎりと、トンカチで応戦したが弾かれた!
シロも喰いついたが、簡単に、弾かれて、しまった!
「くそ~!何て強さだ!」
皆驚いた。
「ワン!とりあえず動けなくなれ!」
シロが言った。
ガマ之介は、固まった。
「こいつ固まったぞ!」
と、又べえがコンコンと、ガマ之介を叩いた。
・・・が、パキーン!と、すぐ復活した。
「な、何ですぐ動けるように!」
シロが驚くと、
「驚いたか!攻撃、効果が無効になる能力を神様に
もらったんだ!」
ガマ之介は、凄んだ!
「・・・とてつもない化け物・・・でも頭は、悪いわ。」
クロちゃんは言った。
「さっきから、頭が悪いと、煩いガキめ!」
ガマ之介は、剣をブン!ブン!と何回も振り回した!
紙一重で、クロちゃんは、避けまくった!
その度に、敷石は、飛び散っり、地面をえぐった!
何でこんなに避けられるのかしら?あ!大黒のおっちゃん
やたら、運だけ上げてくれたんだわ!
でも、流石に疲れてきた。
「この〜出来損ないのオタマジャクシめ!」
親方と、留と、シロは、ガマ之介を攻撃した!
すぐに打ちのめされた。
「たっちゃん!起きて!たっちゃん!」
クロちゃんは、たっちゃんを起こすが、たっちゃんは、
起きない。
昨日髪洗った時、起こしたから、眠いのかしら?
「クロちゃん!助太刀するよ」
鶴ちゃんと、亀ちゃんも、攻撃したが、ガマ之介は、
ビクともしない!異常な強さだ!
「クロちゃん!あの変な踊り踊って、ヒットポイント
と、マジックポイントをためてくれないか?」
又べえが言った。
「わかったわ!」
クロちゃんは、又べえと、変な踊りを踊り始めた。
が、ガマ之介の鋭い剣が邪魔をする!
それでも、いつの間にかいろんな妖怪が、集まって
一緒に攻撃してくれたが、皆打ちのめされて
しまった。
ど、どうしたら・・・クロちゃんは、打ちのめされた
皆をみて思った。
「クロちゃ~ん!」
みっちゃんが、歳さんと、ゴンベエと、走ってきた!
そして、みっちゃんは、とびかかって、バキッ!バキッ!
と、でっかい大槌で、ガマ之介をぶっ叩いた!
みっちゃん強い!が、次の攻撃は、きかなくなった。
すっくと、踏ん張って、みっちゃんは、連続攻撃した!
バキ!バキ!と、ガマ之介と、討ち合う!
が、段々追い詰められてきた!
横から、歳さんがでっかいメスで切りかかったが、
弾かれた!ゴンベエも、鍬でガマ之介の頭をぶっ叩いたが、
ビクともせず、吹っ飛んだ。
ふと、横を見ると、MPK48がひげ子を中心に、変な
踊りを踊って、ガマ之介のヒットポイントと、マジック
ポイントを奪っていた。
クロちゃんは、それを見て、
「又べえ!MPK48を見て!」
又べえは、それを見て、
「あ!皆!ごめんよう、力貸してくれ!」
そう言って、MPK48をかたっぱしから捕まえて、飲み込んだ!
全部飲み込むと、パワーアップ又べえになった!
ガマ之介をも凌ぐ大きさと、パワーで周りを威圧した!
又べえは、でっかいハサミでガマ之介をバンバン殴り!
ガマ之介の腹をバッサリと、切り裂いた!
「うわぁああ!」
ガマ之介は悲鳴をあげた!
そこをすかさず、みっちゃんが、連続でぶっ叩き!、親方も
大ばさみで、攻撃!歳さんも大メスでで切りつけ、ゴンベエも、
鍬で攻撃!シロも鋭い牙で切り裂いた!
亀ちゃん、鶴ちゃん、その他の妖怪も一斉に攻撃した!
最後にクロちゃんが、ガマ之介をぶっ叩いた!
バッコ~ン!すると、ガマ之介の腹から、
右手がゴロン!と、出てきた。
「え?何!?」
気持ち悪くて、思わず打ち出の小槌で、ぶっ叩いた!
右手は、打ち出の小槌に、吸収されてしまった。
重症のガマ之介をシロは、一飲みした。
ガマ吉は、泣きながら、逃げて行った。
「あれ、どっかで、見たような・・・あ!天津甕星の
右手だわ!あの袖の柄!又べえがハサミで切り落とし
た。」
クロちゃんは、言った。
「クロちゃん、だいじょうぶ!」
みっちゃんは、駆け寄って、抱きしめた。
「クロちゃん、良かった。」
そう言うと、又べえは、ガラガラと、崩れ落ちた。
中から、MSU48と、ひげ子が出てきた。
「皆、ありがとうな。」
又べえの頭が言った、・・・そして、又べえの頭は、動か
なくなった。
「又べえ!大丈夫?ごめんね、ありがとうね。」
クロちゃんは、又べえの頭を拾って言った。
「また、日の当たる所に置いて、美味しい物食べさせて
あげるね。」
みっちゃんが言った。
「ガマ之介は又べえがハサミで切り落とした、天津甕星
の右手を飲み込んでいたの。
それで、あんなパワーが出たのね。
又べえが暴れた、どさくさに紛れて飲んだのかしら?」
クロちゃんが言った。
「ガマ吉を今探させているから、見つかった吐かせるよ。
万福商店は、みっちゃんの縄張りだらから。」
みっちゃんが笑った。
「攻撃と、効果が無効になるって言ってたけど、又べえ
の攻撃きいたわね。」
クロちゃんが言うと、
「ガマ之介がレベル50としたら、パワーアップ又べえは、
レベル100だからな。
これだけ、レベルの差があると、攻撃と、効果が無効も
きかないんだよ。
天津甕星の右手の力、俺が欲しかったな。」
シロが言った。
「又べえ、なんて、レベル15くらいしかないのに、いきなり
レベル100の力で戦うから、とんでもないんだよ。
すごく頑張ったんだよ。」
みっちゃんは、言った。
そして、気が付くと、周りの人達が拍手していた。
・・・え?何?
気が付くと、鶴ちゃん、亀ちゃん、力の強い妖達は、
「明後日から、開店するお化け屋敷!本物の妖怪が
脅かす!超怖いお化け屋敷だよ!よろしく!」
姿を現して、ちゃっかりお化け屋敷の宣伝をしている。
横では、ひげ子達が、パプリカを踊りながら、
「MPK48!をよろしく!」
宣伝をしている。
妖怪達の商魂の逞しさに、クロちゃんが驚いていると、
「又べえ、今回も頑張ったな!ランクあげてやるぞ。」
大黒のおっちゃんが又べえを撫でた。
「クロちゃんも、頑張ったな、ランクを上げてやるぞ。」
そう言って、大黒のおっちゃんは、クロちゃんを撫でた。
「大黒様!見てたんなら助けてよ!」
みっちゃんが、不服そうに言った。
「負けそうなら、出ようと、思ったが、勝ったからな。
ご褒美に、ランクを上げてやったよ。」
大黒のおっちゃんは、笑った。
「他の妖怪も頑張ったな!クロちゃんを助けてくれた
褒美に、ランクを上げてやるぞ、並べ。」
妖怪達は、嬉々として並んで、ランクを上げてもらった。
すると、
「きゃ~クロちゃん!」血まみれじゃない!」
ママが駆け寄って来た。
「SNSで、ママ友が連絡してきたのよ!クロちゃんが、
怪物と戦っているって!怪我無い?」
ママは、クロちゃんを隅々まで調べた。
「大丈夫よ、ただ又べえが、頑張ってくれて、体が壊れ
たの。」
クロちゃんが、見えないが頭を持っている様子を見て、
「また、ステーキと、もも肉を焼いてあげるわ。」
ママは、笑った。
「クロちゃん!メチャかっこよかったぞ!」
セピと、チョコが駆け寄った。
「ほら、動画がSNSで配信されてます!」
チョコが、携帯で動画を見せた。
クロちゃんが、ガマ之介の攻撃を避け、打ち出の小槌で
攻撃している、カッコイイ動画だった。
周りの拍手喝采は、鳴りやまなかった。
「クロちゃん!ああ、血だらけね、大丈夫?お風呂と、
着替え用意したよ。
凄いね!カッコよくって吃驚したよ。」
神主さんが、現れてクロちゃんを神主さん達の住居に連
れて行った。
クロちゃんは、お風呂から上がると、絽の着物と、袴に
着替えた。
「クロちゃん神社に奉納されていたんだよ。」
着物は、爽やかな青い青海波で、龍が泳いでいた。
袴は、濃紺で、菱文の地模様が入っていた。
「あの、着物着て帰るの?」
クロちゃんが、聞くと、
「よく似合あってるよ。」
と、神主さん
「まあ、素敵よ。」
ママも満足である。
クロちゃんは、新品の草履を履いて歩きだした。
ふと見ると、後ろを妖怪達がついてきて万福商店の
出口まで、見送ってくれた。
翌日、学校に行くと、昨日の動画の件で大騒ぎと、
なってきた。
「クロちゃん見たよ、怪物やっけたんだね!メチャ
カッコよかったよ!」
「着物着て、妖怪引き連れて、お殿様みたいだったね!」
友達は、大興奮だ!
色々と、クロちゃんは、持ち上げあられて困惑した。
クロちゃんが、うな八の前を歩いていると、
「クロちゃん!カッコよかったね~動画見当たよ。」
美代ちゃんが褒めてくれて、凄く舞い上がってしまった。
「そうでもないわ、あ!そうだ、今度出来たお化け屋敷
の券があるの、一緒に行かない?入場券が2枚もらったの。」
クロちゃんが言うと、
「嬉しい!コレ¥5000もするのよ、楽しみ!今度の
日曜に行こうね。」
美代ちゃんは、嬉しそうに言った。
日曜日、クロちゃんは、新しいTシャツと、半ズボンを
着て、美代ちゃんと、お化け屋敷に行った。
お化け屋敷は、大盛況で、長い列が出来ていた。
入口で、潰れた定食屋のおっちゃんが、
「クロちゃん、来てくれたのかい!見てくれ大盛況だ!
楽しんで行ってくれ!」
と、愛想よくいった。
そして、美代ちゃんを見て、
「デートかい、頑張りな!帰りに事務所に寄りな、
アイスクリームと、お菓子があるよ。」
と、言った。
中では、クロちゃんが、ガールフレンドを連れて来ると、
いう事で、妖怪達は、脅かして。
「キャー!クロちゃん!」
抱きつきvvと、いうシチュエーションを作ろうと、
皆張り切っていた。
クロちゃん達が、入ると、妖怪達は、おドロドロしい
姿で、二人を脅した。
まず、一つ目小僧がおどかし、すれ違った男の人は
顔が崩れて、骸骨になった。
美代ちゃんは、半泣きになって、女の人に話しかけたら、
女の人の口は裂け、長い舌がベロ~ンと出た時、
「嫌~!」
恐怖で、泣き狂った!恐怖のあまり、おしっこまで、
漏らしてしまった。
妖怪に慣れている、クロちゃんは、
「美代ちゃん、大丈夫よ、皆優しい妖怪だから。」
一生懸命なだめたが、
「エ~ン!クロちゃんなんか、大っ嫌い!ヒック、ヒック。」
と、泣き狂って、帰ってしまった。
・・・美代ちゃん・・・。
クロちゃんの心に深い傷跡を残しまった。
その後ろで、妖怪達が気まずそうに、クロちゃんを
見守っていた。