MPK48
梅雨入りしたばかりで、長雨が続いていた。
学校に登校すると、案の定クロちゃんのカッパ禿に
皆驚いた。
「クロちゃん、どうしたの?その頭!」
千尋ちゃん、ちーちゃんが驚いて尋ねた。
「土日に、水神様の池に遊びに行ったの、そしたら、
兄ちゃん達が、ウロコだらけの馬を追って、悪い神様
の領域に入りこんだんで、兄ちゃ達を助けに行ったの。
逃げる時、助けてくれた妖怪、又べえが、力付きて
頭だけになったんで、クロちゃんの頭にくっいて、逃げた
んだけど、外れたら、カッパ禿になったの。」
クロちゃんは、しょんぼりと、言った。
「大変だったんだね。」
ちーちゃんは、言った。
「クロちゃん、水神様とお友達なのね、凄いね。」
ゆりちゃんが言った。
「水神様の池、楽しかった?」
湊くん、みーくんが尋ねた。
「楽しかったわ!えびと、カニの妖怪とか、人魚とか舞い
踊って、沢山御馳走や、美味しいお菓子が出たの!
クロちゃんね、コッソリお酒飲んでね、一緒に踊ったのよ!」
クロちゃんが言った。
「何ウソ言ってる!カッパ禿!」
クラスのジャイアン事、こう君が茶化した!。
「やい!カッパ禿!嘘つきのカッパ禿!」
調子にのって、茶化しだした。
すると、頭のとっぺんの髪が、パラパラと、落ちだした。
「チョッキン!チョッキン!~♪!カッパ禿を笑う
奴は、カッパ禿になって、笑われろ!」
みっちゃんがハサミで、こう君の後頭部の髪を切っていた。
皆カッパ禿のこう君を笑った!
「あ~いつの間に!」
こう君が怒鳴ると!
「みっちゃんっていう、友達の座敷童がね!カッパ禿を
笑う奴は、カッパ禿になれ!って言ってる。」
クロちゃんが笑うと、こう君はクロちゃんに殴りかかった!
その手を捕まえて、咄嗟に投げ飛ばした!
「流石クロちゃん!カッコいい!」
「流石!クロちゃん大明神!」
男子も、女子も拍手喝采である。
「クロちゃん乱暴は、嫌いよ。大丈夫?」
こう君は、泣きながら走って行った。
「あ~行っちゃた。」
クロちゃんは、呟いた。
「ただいま!」
クロちゃんが、家に帰ると、
「おかえりなさい、クロちゃん、髪の事で虐められなかった
?」
ママが心配そうに聞くと、
「虐める子もいたけど、みっちゃんが、その子の髪切って、
かっぱ禿にしたの、そしたら、クロちゃんに殴りかかった
んで、投げ飛ばしたの。
そしたら、逃げて行ったの。皆にバチが当たったって
言われてたわ。」
クロちゃんが言うと、
「ほら、クロちゃん逞しい子でしょう!だから大丈夫!
って言ったでしょう。」
おばあちゃんが言った。
「今日のおやつは、水無月よ。悪いけど、みんなに
持って行って。」
ママが、水無月の乗ったお盆を渡した。
お盆を持ってカッパ池に行った。
雨なので傘を右脇に挟んで、持っていった。
「あ、クロちゃんありがとう!美味しそうだ事」
そういって、お富は水無月を摘まんで食べた。
「又べえは、まだ復活しない?」
クロちゃんが聞くと、
「まだ、無理みたいだね。雨で日光が足りないんだろう。」
与作も水無月をつまんで食べた。
クロちゃんは、又べえの頭を置いている花壇の前で、
「早く、元気になってね。」
そう言うと、又べえの頭の上にスズメが止まった。
すると、又べえの口がカパッ!と開いて舌がシュルン
と出て、スズメを捕まえて、パクッ!と食べた。
「・・・お腹空いているのね、水無月食べる?」
神無月を又べえの頭に持ってくると、又べえの口が
カパッ!と開いて舌がシュルンと出て、水無月を
パクッ!と食べた。
「何か食べ物持ってくるわね!」
急ぎクロちゃんは、家から食べ物を持って来た。
ポテトチップス、クラッカー、クッキー、チョコレート
、フライドチキン、肉じゃが、パン。
又べえの頭は、次々にパックン!パックン!と食べた。
「クロちゃん!ステーキと、もも肉焼いてきたわ!」
ママが持って来た、ステーキと、もも肉を次々に
又べえの頭に食べさせた。
すると、頭から体が出来てきた。
ちょっと、シュールで引いたが、
「あ~クロちゃん!ご飯沢山ありがとう!」
又べえが復活した。
「よかった、又べえ!」
クロちゃんは、又べえに抱きついた。
「又ちゃん復活したの?よかったわ。」
ママは、クロちゃんが、何か抱きつてる様子を
見て言った。
おばあちゃんン家に行くと、
「皆!又べえが復活したわよ!」
クロちゃんが叫んだ!
「あ、又べえ!良かったね!」
みっちゃんが言った。
「あ、又べえ!元気になったか!」
歳さんが言った。
「又べえ!復活したか!良かったな!」
ゴンベエが言った。
「おやつ喰ったら、修行だ!」
親方が怒鳴った、そして新しいハサミを又べえに渡した。
「あ、新しいハサミだ!ありがとう親方!」
又べえは、大喜びだ!
「水神様からクロちゃん達を助けた、ご褒美だ!大事にしろ!」
親方が怒鳴った!
「ありがとう水神様!」
又べえは、ハサミを抱きしめた。
「又べえ、この小箱も返すわ!」
クロちゃんは、唐草模様の小箱を又べえに返した。
「あ、小箱良かった!桜の大樹の神様から貰った宝物だ!
クロちゃん、ありがとよ!」
又べえは、大事そうに小箱を撫でた。
小箱を開くと、種が入っていた。
「七夕草の種だ!また花を咲かせるぞ!」
又べえが嬉しそうに言った。
「儂は、その箱使えなかった!それは、又べえ専用だ。
早く花咲かせろ!
また、妖力で花咲かせて、種取って増やすか。」
親方が言った。
そうやって、親方花咲かせていたのね。
すると、
「兄ちゃん!着せ替え!」
クラリスが叫んだ!
「クロちゃん、着せ替えするわよ!早く!」
恵愛ちゃんが言った。
えあちゃんは、ママのお友達の恵理子さんの娘で、
よく遊びにくるのである、女の子が集まると、
リカちゃん人形の着せ替え遊びをするのだが、
クロちゃんを呼びつけ、何回もはると君の
着替えをさせるのである。・・・何が楽しいのか?
女の子は謎である。
「クロちゃん、着替えはあんまり好きじゃないけど。」
クロちゃんが言うと、
「何言ってんの!はると君は、クロちゃん担当よ!」
と、二人に無理やり引っ張って行かれた。
「クロちゃん、大変だね。手伝ってあげないと」
みっちゃんが、ついて行った。
女の子達は、リカちゃん人形を広げて遊んでいた。
あ、よっちゃん!美代ちゃんvvって女の子が
増えてる;はると君が4人・・・全部クロちゃん
が担当?
「クロちゃん、今度は、タキシードよ!」
「クロちゃん、こっちは、ジーンズと、Tシャツよ。、」
「クロちゃん、オーバーオール着せて。」
「クロちゃん、ジャケットと、パンツ着せて。」
と、着せ替えて、パパの役だの、デートの彼氏の役だの、
新婚の旦那様の役だのさせられる。
そして、着せ替え。
横で、みっちゃんが手伝ってくれるが、女の子4人なので、
間に合わない。
はあ・・・疲れた・・・。
すると、クロちゃんの持ってる、はると君が動きだした。
つたない動作で、ジーンズをはき始めた。
「え!凄い!クロちゃん!アタシのはると君も動かして!」
えあちゃんが、言った。
「え、じゃ着替えできる?」
クロちゃんが聞くと、はると君は、つたない仕草で着替え
始めた。
「兄ちゃん!このリカちゃんも!」
と、クラリスが落書きしたリカちゃんを渡した。
ほっぺに薄巻、鼻の下にひげと言う、ひどい落書きの
リカちゃんである。
「着替えできる?」
クロちゃんが聞くを、リカちゃんは、動き出した。
そして、着替え始めた。
「近くにいた下級妖怪が、付いたんだよ!
又べえみたいに、クロちゃんの眷属になって、強くなりたい
んだよ。」
みっちゃんが、言った。
「え!又べえは下級妖怪が憧れる程、強いの!?」
クロちゃんが、驚くと、
「天津甕星に、致命傷を与えて逃げたよね。
あれは、クロちゃんが、ボクシングのヘビー級チャンピオン
をKO勝ちするより凄い事なんだよ。
クロちゃんの力を借りたとはいえ、よくやったよ!
皆又べえを見直したんだよ。」
みっちゃんが言った。
・・・そんなに、頑張ったんだ、又べえ・・・。
「あの、はると君もリカちゃんも自分で着替えるので、
クロちゃんは、外に遊びに行くわ!」
クロちゃんは、そう言って逃げだそうとすると!
「わ!動きます!凄い!一緒に踊りますか?」
と、チョコ兄ちゃんが踊り出した!
「月が出た出た!月がでた~!」
何で、炭坑節?・・・リカちゃん達は、次々に踊り出した。
「面白い!俺も踊るぞ!U-U-U.S.A.
U-U-U.S.A.C’,,,C’mon, baby」
と、USAを踊り出した!リカちゃん達は、次々に踊り出した。
・・・兄ちゃん達いたのね!クロちゃん一人に着せ替え
押し付けて、こんな時だけ出てくるのね。
子供達が、大合唱で歌い出したので、ママ達がのぞきに
来た!
「まあ!リカちゃん人形が踊っている!?」
「可愛い!写メ獲りましょう!」
ママと、恵理子さんは、大喜びだ。
「凄いわね!コレ!使えるかも!」
おばあちゃんが、言った。
「おばあちゃん、この空き店は?」
万福商店街の空き店に、連れて来られて、クロちゃんは、
尋ねた。
「老夫婦がパン屋をしてたんだけど、売れなくなって
廃業したんで、何にしょうかと思っていたの。」
おばあちゃんは、言った。
「あ!この店、クロちゃんが店の前通る度に、『ここのパン
不味いわ!』て、言ってたパン屋です!」
チョコが言った。
「そうそう、そう言うと、人が入ろうとすると、避けて
山田パン屋に行くんだよな。
あそこの方が高いんだけど、いつの間にか潰れたよな。」
セヒが言った。
・・・クロちゃんのせいで潰れたの!?え!
「クロちゃんに嫌われると、店がつぶれると、皆言って
ますよ!」
チョコが言った。
「そんな事言ったって、不味い匂いがしたもの!」
思わずクロちゃんは言った。
「ほら、不味い!って、すぐ言うじゃないか!」
セヒが言った。
「あ~あ~あのじいちゃん、ばあちゃん、どうしたんで
しょうね。
お前、不味い店にとって、祟り神でもあるんですよ。」
チョコが言った。
・・・知らなかった。クロちゃんは、自分が怖くなった。
すると、みっちゃんが背中をポンポン叩いて、
「仕方ないよ!不味いのが悪いんだよ。」
慰めてくれた。
「まあ、そんな事情があったの知らなかったわ!
たしかに不味かったものね、仕方ないわ。
それでね、
隣の潰れた蕎麦屋と合わせたら、小さな劇場になると思う
の。
で、リカちゃんダンスショーの小劇場って、どうかしら?
」
おばあちゃんが、言った。
「いいね!俺達も見たい!」
セピが言った。
「じゃ、ソーラン節も仕込みますか!鬼のパンツとか、
恋ダンスとか、男の勲章とか、3年A組ダンスとか、
パプリカとかどうですか?」
チョコがノリノリで言った。
···そう言えば、隣は不味い蕎麦屋だったわ。
あの蕎麦屋も、前通る度に、不味いっていったわ。
あの、おっちゃんどうしたかしら・・・。
「あの、クロちゃん、あれ。」
みっちゃんが指差す先には、潰れたパン屋の老夫婦が、
二人で、閉めた店を見ていた。
「おじいちゃん!おばあちゃん!」
クロちゃんは、話かけた。
「あ、クロちゃん、今日は。」
二人は、話しかけた。
「あの、お店閉めて、今どうしてるの?」
クロちゃんが尋ねると、
「今、とりあえずネットカフェにいるよ。
この年になると、なかなかアパートに入れなくてね。
働き口も、この年だとね、なかなか無いんだよ。
息子たちも、遠くに住んでいて、私達の事まではね。」
おじいさんは、悲しそうに言った。
「二人共来て!」
クロちゃんは、二人をクロちゃん神社に連れて行った。
「神主さん!」
神主さんを呼んだ!
「あ、クロちゃん、どうしたの?」
神主さんが聞くと、
「この人達、お店を閉めて、住むところも、働き口も
無くても困っているの!ここで雇ってあげて!
お願い!」
クロちゃんは、一生懸命頼んだ。
「いいよ、クロちゃん、この間増築したから、一部屋
住居に提供してあげるよ。
仕事も、お年寄りに無理のない掃除とか、雑用をして
もらうよ。
福利厚生も、ちゃんとしてあげるよ。」
神主さんは、快く承知してくれた。
「ありがとうございます!」
老夫婦は、大喜びだ!
「クロちゃん、ありがとう!本当にありがとう。」
老夫婦は、クロちゃんの手を握って喜んだ。
「あらま、あのご夫婦の件、クロちゃんサッサと
解決しちゃったわね、私の出る幕は無くなっちゃたわ。」
と、おばあちゃんは嬉しそうに、言った。
「さすが、クロちゃん大明神の御威光は凄いですね!」
チョコは、言った。
「良かったな、クロちゃん、安心したろう。」
セヒが言った。
「クロちゃん!ナイス!」
みっちゃんが笑った。
「あ、蕎麦屋のおっちゃんは、どうしたかしら・・・。」
クロちゃんは、蕎麦屋のおっちゃんが心配になった。
それから一月、クロちゃん達は、連日新たに加わった、
44人のリカちゃんと44人のはると君と、
ダンスのレッスンをした。
セヒと、チョコは、ノリノリで踊りまくった!
クロちゃんは、変な踊りを踊った。
そして、小劇場も完成した。
とっても可愛い内装で、ピンク、ピンクの乙女モード
全快の内装である。
「ユニット名はね、MPK48よ!man(M)pu(P)ku(K)なの
どう?」
おばあちゃんが言った。
「それで、44人のリカちゃん買ってきたのね。」
クロちゃんが、言った。
「でも、センターは、あのクラリスが落書きした。
ほっぺ渦巻、ひげリカちゃんでいいの?」
クロちゃんが聞くと、
「だって、キレキレで、一番ダンスうまいんだもの。
総選挙もするから、人気なかったら後ろに回すわ。」
おばあちゃんは、言った。
この可愛い小劇場には、似合わないけど・・・。
「クロちゃん!クロちゃんじゃないか!」
振り向くと、潰れた蕎麦屋のおっちゃんがいた。
スーツを着て、髪もセットしている。
「おっちゃん、どうしたの?」
クロちゃんが聞くと、
「おっちゃん、ここの支配人にしてもらったんだよ。
スーツ似合っているかい?
クロちゃんが、リカちゃんを動かしてくれたおかげだよ!
ありがとうね、助かったよ!」
おっちゃんは、クロちゃんの手を握ってお礼を言った。
「良かった、本当に良かった。」
クロちゃんは、心の底から喜んだ。
すると、クロちゃんの頭を大黒のおっちゃんが撫でた。
「クロちゃん、頑張ったね、上出来だよ。」
「あ、おっちゃん!」
おっちゃんに褒められ、クロちゃんは、嬉しくなった。
それからMPK48は、大人気となった!なんせ本物の妖怪
が、とり憑いて、動かしている人形である。
特に、ひげ子!ほっぺ渦巻、口ひげ落書きのリカちゃんは、
大人気だった!不動のセンターである。
それより、クロちゃんは、30分のダンスショーで、
¥5000!って!?ぼったくりじゃないの!!
「でも、大人気だからいいんじゃないの?
だって、本物の心霊現象が見れるのよ!見たいでしょう。」
相変わらず、おばあちゃんは、しれっとしている。
それだったら、クロちゃん神社のこけしと、ニポポ人形は、
ただで見れる心霊現象なんじゃ・・・。
連日沢山の人が訪れてるか・・・。
確かに考えてみれば凄いかも、相変わらずおばあちゃん
凄い!クロちゃんは思った。
「!テレビで、MPK48のニュースやってますよ!」
チョコが言った。
「ここが、MPK48劇場です!彼女が一番人気のひげ子ちゃん
です!」
女子アナがにこやかに、ひげ子を紹介した。
ひげ子が得意げにポーズをとり、MPK48が踊り出した。
「今日の『ありがとうクロちゃん』で、MPK48誕生の
感動秘話をおおりします!」
アナウンサーは、言った。
「ニュースじゃなくて番宣だったんですね。」
チョコが言った。
『ありがとうクロちゃん』は、クロちゃんが妖怪に命令
して、リカちゃん達に憑りつかせ、
MPK48を結成し!潰れた蕎麦屋のおっちゃんを見つけて、
MPK48小劇場の支配人にすると、いう感動ストーリー
であった。
来週は、潰れたパン屋の老夫婦を救った感動秘話だ!
どんだけ話を盛るんだろう・・・。
家族は、皆感動してすすり泣いたり、目をウルウルして
いる!
無駄に力量がある脚本家である。
『ありがとうクロちゃん』の脚本を担当するようになっ
て、大きな仕事がくるようになったとか。
これも、クロちゃんのおかげだと、どんなに忙しく
なっても『ありがとうクロちゃん』の仕事を
続けているらしい。
『ありがとうクロちゃん』を嬉しそうに録画して、何回も
見る家族を恨めし気に見るしかない、クロちゃんだった。