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最後の嘘/
最後の嘘/
話し出せば きっと
この大切な宝物のような
蒼い冷ややかな美しさが
理解されぬままに
打ち捨てられそうなのです
でも もしも
あなたがいいと言うのなら
わたしは これをはなします
いつだって
目を閉じると
あの星空が静かに包む
遠い彼方から呼ぶように
緑の草が揺れ足に触れる
風は斜面を上ってくる
夜の底から空のほうへと
あの目の奥へ降る
星々の下へと
哀しみよ
わたしの後ろをついてこい
痛みよ
やがて遅れて訪れよ
今 この別れの時だけは
白い顔の月よ
満ちたままでいておくれ
その笑顔でさえ
止められなかった涙を
最後の嘘をゆるしておくれ
夜が閉じ
朝が長けるまでの間に
ひっそりと咲く
あのひんやりとした悲しみ
あの香りを忘れないで
もう
二度と
沈み込んだ言葉たちが
黙ったままで立ち上っていく
見下ろす街は
まだ騒めいているのに