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ホワイト-white-  作者: サクラダファミリア
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ホワイト7


すごく良さそうな本を見つけた。というかこれしかない。

 『紀伊町連続殺人について』というタイトル。

「見つけたよ」

 二音が席に戻ると、もう莉亜はあのノートに早速見つけてきた本に書いてあったことを書いてるみたいだ。

「早いね」

 ノートはもう半分くらい書きつくしてある。昨日かなり夜起きたんだな。 

「いつ戻っちゃうかわかんないから時間を無駄にしたくないんだ。あっ、それとこのノート昨日、二音がお母さんと話してるときに見つけて勝手に使っちゃった」

 軽く顔の前に両手を合わせている。二音は別にいいよと言った。

 よほどあの事件をなくしたいと思ってんだな。ちょっと見せてと言ってみる。

「いいよ。字が汚いけれどね」

 全然キレイじゃないか。それにしてもよく書いてある。1ページだけ見てみるか。

 えっ!

 なんだこれは・・・・

・春手のんさんの両親がこの事故で死亡。

 確かにのんの両親は事故で死んだとは聞いてたけどこの事故だったのか。

 莉亜が来た時なんかいつもと違うと思ったんだ。のんもこの事故を防いでほしいと思ってるに違いない。

「絶対に失敗しないでね。頑張って」

 こう答えるしか思いつかなかった。もっといい答え方があったはずなのに。

ちょっとしてからのんが戻ってきた。

「いい本見つかった?」

「だめだ。全然ない」

 二音の持っていた1冊しかないみたい。早速僕たちは中身を開いた。

 ほとんど僕たちも知ってることだ。もう残りが少ない。のんが次のページを開いた。するとそこには・・「被害者の携帯に残された不可解なメッセージ」と書かれてあった。

「何だこれ」

 のんが二音の思った通りのことを言った。なんだこれ

 それは秦宛に送られた被害者と書かれた者からのメールだった。そこには「再挑戦」と書かれてあった。

「再挑戦?どういう意味だ?」

 犯人は何を考えて再挑戦という言葉を送ったんだ?

 また次のコラムには晴の携帯に送られた言葉も載っていた。  

「莉亜、これ見て。」

 そういって莉亜にも見せてあげた。

 そこには、またも同じく被害者と書かれた者からのメールが載っていた。そこには、「未来の」と書かれていた。

「これがこの事件に関係する言葉なんですか?」

「うん。たぶんそうだと思うよ」

 本当に合っているのかと疑わせるような文だが、事実だから仕方ない。

 そしてこの事件の最後の被害者であると思われるコラム3を見た。秦も晴も2年前に起こっているのにこの人だけ1年前に起こっている。

 六木香苗というらしい。なんと衝撃的なことは、この人もまた中2だったということだ。

 この3人がこの被害者とやらに殺されているのか。何の繋がりがあるのだろう。とりあえず詳しそうな莉亜に尋ねてみるか。

「莉亜、この人知らない?」

 莉亜がこっちの本を見る。えっ、という顔をする。

「六木香苗・・・、六木あんの妹じゃなかったっけ。」

 六木あん。誰だろう、知らないな。

「私、六木あんと8年前の小4まで仲良かったよ。今どこにいるかは知らないけど」

 うそっ

 この人もまた莉亜と関係があるの。

 二音はコラムを読み始めた。香苗もまた被害者と書かれた者からのメールを受け取っていった。そしてそこには、「justiceを」と書かれていたみたいだ。

 つまり3語を並べると「未来のjusticeを再挑戦」となる。

 意味が分かんない。何を表しているのだろうか。justiceとは、ジャスティス、つまり正義のことを表す。

 ただ、再挑戦の意味が分からない。

 そして、もしものんが殺されたらなんて送られてくるのだろうか。

 その後僕たちは、莉亜の提案で六木香苗について調べることにした。香苗は、自宅の裏庭に死体が埋められていたみたいで、手には携帯が握られていたらしい。そして、この事件の犯人として第1発見者、そして香苗の携帯に送られたメールの発信元が六木家の母だったことから母が今も捕まっている。

 しかしそれとは別で、母じゃないんじゃないかと言っている人もいるみたいだ。

 二音ものんも莉亜も違うと思った。この犯人がそう簡単に捕まる訳ない。それに、母親が娘を殺す理由が分からない。

 そうこうしてる内に、泉が来た。

「ごめんね、部活潰しちゃって」

「いや、もともと行く気なかったし」

「泉この人知らない?」

 駄目元で聞いてみた。知るはずがない。

 しかし泉は、

「知っているよ。テニス部に先輩にいるよ」

 き、奇跡だ。

 ここまで来ると奇跡としか言いようがない。

 でも、六木香苗の予告は誰が受けたのだろうか。

 

 僕達はそれぞれ目的を持ち探し続けた。

 二音とのんは、厳島秦について

 莉亜は、田島晴について

 そして泉は、六月香苗について

 解散の時には午後の7時を回っていた。気づかぬうちに7時間も調べてたのか。 

 

       *****

 今から1年前の7月12日

 僕は悪夢を見た。見ず知らずの女子が土の中に埋まっているのだ。手には携帯が握り締められていた。

 怖かった。

 なんで死んでいるの?

 この子は誰?

 これが二音のいう『予告』ってやつ?

 暗くなりかけの空に花火が上がった。

 ぴゅうぅぅーードーン!

 赤とオレンジを混ぜたような色に輝く花火が散った。


       *****

 図書館から帰ってこようと思ってた。

 何事もなく帰れる予定だった。

 それなのに後ろから足音がする。沢山の人がいるみたいだ。二音は振り返った。

 警察だ。僕達を狙ってる。

「逃げて!」

 莉亜が叫ぶ。それと同時に僕達は走り出した。さすがテニス部の泉、足が速い。僕らバスケ部も負けてはいられない。みんな一斉に走る

 莉亜が遅れた。

 いや、止まってる。走る気はないようだ。

「なにしてんの!走って!」

 二音が怒鳴った。それでも走らない。二音は少し戻った。もちろん莉亜を助けるためだ。

「戻らないで!走ってよ!二音、お願い!」

 莉亜が怒鳴る。それでも戻る。莉亜を助けないと、そう思ったからだ。

 しかし、警察の方が早く莉亜を捕まえた。駄目だった。助けられなかった。後悔が残る。

「莉亜ぁー!」

 無意識に叫んでいた。ここで捕まっては晴が助けられない。のんの両親が戻ってこない。

 莉亜の手は押さえられてる。この町の署長みたいな人が

「署までご同行お願いします。」

 と言う。そして、その隣の人が、

「指紋の鑑定を行ったところ、あなたの指紋が確認されました。」

 と言う。

 莉亜の手に手錠がまわる。

 その瞬間、時間が変わった。

 警察が消えた。

 莉亜が消えた。

 手に持っていたはずの「シャイン橋崩壊事件」と言う本が消えた。

 シャイン橋が現れた。どこからともなく。

 今の今まであったように。すごく自然に。違和感なく全てが一瞬にして変わった。刹那的に・・・

「莉亜、救えたんだ」

 二音は独り言をつぶやく。


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