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ホワイト-white-  作者: サクラダファミリア
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ホワイト6


莉亜のことだろう。自分でもこうしてこの子と合えたのが不思議に思っている。集まったみんながそう思ってただろう。

「無理して言えとは言わない。けれど悩んでんだったらいつでも言ってね。私は絶対に二音を守るから」

 体が震えた。

 2年前に僕が言ったせりふと同じだ。

 こう言われると嬉しい。

 あの頃、秦もそう思ってたのかな。

 そう考えるとすごく申し訳ない。もう1回やり直したいと感じる。

 あの時夏祭りに行かなかったら、きっと助かってたのかもしれない。

「ありがとう」

 母に御礼をした。さっきの母と同じくらいに微笑んだ。でもそれは苦笑いにしか見えなかった。

 母は台所に移動した。

 それと同じく二音も自分の部屋に向かった。

 莉亜は、勉強机に座ってた。そして勉強机に貼ってあった写真を見てる。

 その写真には、二音、のん、泉、そして秦も写ってた。

「この子誰?」

 莉亜が秦を指しながら言う。

「厳島秦って子」

 丁寧にフルネームで言った。でも莉亜は、

「その子知ってるよ。二音と会ったとき秦君にも会った。」

 確かにこの頃秦の予告を見たから出来るだけ2人で歩いてたんだ。

 そして僕は、知ってる限りのことを莉亜に話した。

「それは大変だ!」

 そんなこと100も承知だ。

「君にも手伝ってほしいんだ。もちろん僕達も君の事件に着いては一緒に探すからさ」

「もちろん!」

 莉亜は元気に答えた。

「そんなことより今、私達もその事について調べてみない?」

 それもそうだな。二音そう思って机の引き出しを開けてパソコンを取り出した。色は好きな色の緑にしてある。言うほど大きくもないパソコンを机に置いた。

 莉亜は、そのパソコンを貸してっと言って操作しはじめた。

 電源が点き、草が辺り一面に広がった緑の壁紙が表示されると迷わずにインターネットのアプリボタンを押した。インターネットが開くと早速カーソルを検索バーにもって行き入力し始めた。

 驚いた。

 パソコンを打つスピードがすごく早い。カタカタカタっとあっという間に打ち終わっていた。

「早いね。」

「普段からパソコン使っているからね。」

 よほど長いこと使ってたんだろう。

 莉亜は、1番上のの見出しを開いた。

 それは『予告』についてのページだった。

・予告の能力を持つ人は、この世に2000人くらいしかいないと言うこと。

・『予告』は、一部の血のつながった人が持っている。

・今から約800年前に日本にその能力を持った人が生まれた。

 僕達は血が繋がっているんだと感じた。

・『予告』を持つものはあまりに低い確率で未来、または過去にタイムスリップする。

・『予告』を持つものは残酷な死体、または死に方を見ると、その光景を自動的に約7日前のその場所から1番近くにいた自分以外のものに送る。

 つまり犯人は『予告』の能力を持つものなのか。そう考えるとかなり選択肢が減る。

・『予告』を送るときまたは受信するとき目の瞳の横に青紫色の点々ができる。

・『予告』を持つものを『モノクロ』という。

 ホームページには以上の6つのことが書かれてた。

 読み終えたとき、僕は言葉が出なかった。

 2つ目のぽちがホントの場合、泉や、莉亜と僕は血がつながっていたのか。

 ホントに僕らは奇跡的に出会ったんだな。

 そう思うとなんか嬉しくって怖くなって、

 読み終わった莉亜が、ノートにそれらを書き写す。

 莉亜はページを戻って次は「紀伊町 シャイン橋崩壊事件」と検索していた。

 二音は眠くなってきたので、莉亜に終わったら電源切っといてと言って寝てしまった。

 莉亜は元気にハーイと言った。 

 二音はすぐに寝てしまった。

 莉亜は、1番上に出てた見出しを押した。

 かなり有名な事件だったらしい。多くの意見が書かれている。見たことあるタレントの名前もある。紀伊町出身なんだったけ。

 その日の新聞にも大きく書かれていたみたいだ。

 田島晴とも書かれている。本当に死んじゃうんだなと思った。

 そんなことを考えるとまたまたほ頬が痛くなってくる。今日だけでどれだけ頬をつねったことか。

 二音の父も言ってた通り自分が1番夢じゃないかと思っている。実際今でも夢だと思っている。

 でもここまでよくできた夢を僕は作れるだろうか。作れないだろう。やはり、時空を超えてきてしまったのか。

 そんなことを思いながらそのページを読む。

・7月14日にシャイン橋で田島晴(16)が、背負っていたリュックの中に入っていた爆発物が爆発したことによる自爆死。その後、巻き添えを喰らったその他4名が亡くなった。また、6名が重傷、8名が軽傷。

 7月14日!

 明後日じゃん!

 この現象が覚めたらちゃんと7月12日の歩道橋の下から始まるのだろうか?

 自爆死。そんなことはあの予告では見受けられなかった。

 そして本当にそうだとしたら晴は何で自爆死なんかしたんだ?

・その後の調査で殺人事件だと判明。リュックはすり替えられたもので紀伊駅周辺で晴のリュックが見つかる。

 自分でやったわけではなかったか。少し心に光が灯った。

 でも、晴を殺した人なんているだろうか。あの平凡などこにでもいそうな奴のどこを恨んでいたんだろう。

 駅で待ち伏せでもして犯人を捕らえてやろうか。

 でも予告通り来るとは限らないし、するだけ無駄か。

 そんなことよりもとにかく晴を守らなくてはいけない。

・春手のん(14)は、両親がこの事故で亡くなりさらに重傷を負った。


       *****

キイイィィィーーン

 また目覚ましの音だ。

 ほんとに不愉快にさせてくれる音だ。

 あっ!忘れてた。隣に莉亜がいるんだった。

「起こしちゃった? ごめん。」

 すると莉亜は、いつもの笑顔で

「ううん。前から起きてた。」

 と言った。昨日、なんかすごいことを知っちゃったのだろうか。それで寝付けなかったとか

 そうだ。知ったんだった。寝つけないのも当然か。

 運がいいことに今日は学校が午前授業だ。学校が終わったら、この町に唯一1つだけある紀伊図書館に行く。集合場所も図書館だ。

「じゃあこれから学校行ってくるね」

「ハーイ、じゃあ事故しないように」

 莉亜と別れ1階に向かった。

 1階では母がもう朝食を作ってたみたいだ。

 いつものパンと味噌汁を食べて学校に向かった。

 バスに乗った。やはりのんはいない。あれから1度も来ない。

 のんの両親は死んだ。のんは「自分だけ残してみんな死んでいくようだ」と言ってた。

 今は認知症の祖母と住んでいる。認知症の祖母はいつまで立っても自分のことを昔の職業だった警察官だと思い込んでいるんだ。

 おかげで細長い丸い物を見るとずっと首から下げてる笛を鳴らしそれを振り回しながら追いかけてくる。前にそれにぶつかったときなんかは顔に何か所もあざができてた。

 のんは祖母のことが嫌いだ。おまけに祖母は「いちじゅんにゃろう」とうるさい。何の事かもわからない。

 正門は、やはり学生で混んでいる。どこを見ても色とりどりのリュックで賑わっている。

「やあ、二音。元気だった?」 

 上根津也だ。のんがいない今は、津也と喋っている。津也は、僕以外にももっと仲がいい人はたくさんいるはずなのに僕の元気が無くなったせいか、僕に気を使ってくれる。ほんとに優しい人だ。

 あの日、のんが作文を発表したように僕も作文を発表した。僕はのんをモデルにした作文を発表したのだ。しかし僕は作文を金曜日に発表した。金曜日はのんの祖母がもともと警察署の見張りをする番だったので絶対に外に出させてくれない。

 だからのんは毎週金曜日だけは休んでいる。これは先生方も納得している。先生が祖母を納得させようとしたときに実感したからだ。あの日祖母は先生を叩いた。

 あれじゃあ納得させられないだろう。先生方も諦めたみたいだ。

 それからのんは金曜日を地獄のような日と言っていた。

 そりゃあ、あんな祖母と1日中いるのはかなり大変だ。そのためか、土日は毎回二音の家に来る。

 1時間目は国語だった。この前の時間同様にまずは作文の発表だ。

 といってもクラスのみんなはもう終わっている。今日はこの学校の伝統らしい教師による作文だ。生徒との違いを見せるために出来たらしいが、今では先生よりもうまい生徒もいる。

 まず国語を担当してる先生から。この先生はほんとに日本語力があり、作文は聞いてても飽きない。

 題名も文章も面白かった。この作文は、生徒よりも上手といえるだろう。

 続いては、担任の発表だ。この先生はユーモアがある。だからそれなりに楽しませてくれるが、文章力が全然といってもいいほどない。

 題名は、『スターウォーズについて』だ。そういえば前にスターウォーズ大好きとか言ってたな。

 確か明日くらいにでも会いに行きたい白神先生は、ターミネーターが好きなんだった。

 それも、ものすごい熱狂的なファンだった。

 懐かしい。

 今でも好きなのかな。

 2、3、4時間目はあっという間に過ぎた。

 そしてあっという間に下校の時間になった。

 これから直接図書館に向かう。莉亜には、12時になったら図書館に向かってと言っておいた。図書館のところくらいは分かるだろう。

 案の定みんな集合していた。泉は、今日学校なので部活は休むらしいが3時からの途中参加になる。

「お待たせ」

 待ってはいないだろうけど言ってみた。

「別に待ってないぜ」

 いつもどうりだった。何か遊ぶにしても毎回のんの方が早く来る。そして僕が「待った?」って聞くのだ。

 それがなぜかおかしくて笑った。

 おかしく思えてきた。

 何が面白いのか分からないところが面白かった。

 のんもそう思ったのかな。一緒に笑った。

 莉亜は首を傾げていえる。なんで笑っているんだろうって感じ。

 僕は気づかなかった。

 のんの目から涙が出てくることに。

 辛い思いをしていたことに。


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