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ホワイト-white-  作者: サクラダファミリア
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ホワイト4


たぶんのんはここ1年くらい休んだことはなかっただろう。いつも朝いっしょに登校してる二音でも休んだのを見たことがない。

 それでも2年前のあの日の後も休んでいた。

 のんは意外と悲しいことを後々まで引きずるのかもしれない。

 でも今回の場合は、昨日の脱走の後だから入りずらいのかもしれない。そんなことを言うと二音も入りずらいし、それにのんがいたほうが入りやすかったかもしれない。

「こ、こんにちは、、、」

 勇気を入れてドアを開けてみた。

 意外とみんな無反応。

 まぁクラスで目立ったほうではないから普通に何してもこんな感じなのかもしれない。また、のんがいたら少し反応が変わってたのかもしれない。

 それにしても、無反応過ぎる。先生になんか言われたりでもしたのか。

 っと考えていたら、担任が来た。

「倉土さんか。今日は来たんだな。ちょっと話があるから付いて来てくれないか」

「も、もちろんです。先生」

 二音は、呼び出しを喰らった。二音にすれば高校に入ってからまだ一回も呼び出されてないのでちょっとびっくりした。

 二音は使っているのか?ってくらい人がいるところを見たことがない立会室に連れて行かれた。

「倉土さん、急に呼び出しちゃってごめんね」

 謝られた。

 どちらかというとこちらが謝るところだっただろう。なので、

「いえいえ。こちらこそ昨日は迷惑をおかけしましてすみませんでした。」

「倉土さんはいつもまじめだなぁ」

 先生の口調がややおかしい。

「白神先生から聞きました。中学校の頃にあったことも、すべて…」

 白神先生、懐かしい。

 僕らが中学2年生と3年生のころの担任だ。

 あの事件の時のちょうどの担任だ。

「昨日は、ゆっくりできましたか?なんか困ったことがあったら先生に言ってね。」

 やはりいつもと違う。こんな先生初めて見た。

「先生は白神先生の住所とか知ってますか。」

「住所は知らないけど、今もまだ紀伊中の講師をやってるよ」

 紀伊中、二音やのん、泉が通っていた中学校だ。それほど頭のいい学校ではないが、過ごしやすかった。 

 でも、あの事件の後から世間の紀伊中に対する目が変わった。あの事件の後、紀伊中の教員は、国から身分検査を依頼されて中学校は半年閉鎖された。

 紀伊中の職員や、この事件の調査をしてた人達もこの事件は、紀伊中にダメージを与えるものとばかり思っていた。

 しかしどうやら違うみたいだ。

 前回の身分検査でも分かっていたように犯人は、紀伊中には潜んでなかった。

 それどころか、未だに犯人は分からぬままこうして2年が過ぎた。警察はまだ犯人を追っているみたいだ。

 2年も経ってまた動き出したのか。

 よほど強い執念を持っているのだなぁ

 犯人は、この2年間何をしてたのだろう

「これから紀伊中を訪れてみるか?」

 先生が聞いてきた。もちろんそれもいいと思うし、言われずとも予告が実現するまでには訪ねてみようと思っていた。

 でも、今からよりも、のんや泉もいた方のがいいとも思ったので。

「今日は大丈夫です。また今度、春手達も連れて行きます。」

「そうか。あまり無理しないでね。」

 無理はしない。だけど前回みたいにはしない。

 今回の予告の謎の解析にいち早く立ち向かおう。前回もそうだったようにこの予告は70パーセントくらいしか正しくない。臨機応変に日付や場所が変わる。

「これから授業は受けていくの?」

「はい、もちろん」

 授業を受けに来たんだろ、と突っ込みたくなった。

 教室に戻った。

 どうせみんなの反応なら分かってる。今回の予告が、俺だけだったらいいのに、そうだったら回りも悲しくなんないだろう。

 白くはならないだろう…


        *****

 6時間目だ。これで授業は終わる。

 家に帰れる。

 春手と話せる。

 6時間目は国語だった。国語は、二音ものんも嫌いな教科だ。

 何せ国語は眠くなる。クラスの3分の1は寝てるといっても過言でない。実際二音は寝たことないが、のんは毎回寝てる。

「えーー今日は古文の……」

 またなんか話してる。

 国語の先生は、説明がすごく下手だ。何言ってんのかが全く分からない。

「ここ地元では、こういう歌が読まれてました。」

 外は雨か。これでは帰るのも大変だ。あいにく傘を持ってきていない。

「夏色や 昔に戻る 海の色」

 犯人はこの二年間何をしてたのだろう。どこか行ってたのか。どんなところに行ってたのだろうか。

「時の流れや その花の名は」

 そういえば昨日泉の家に行った時に、不思議なことを聞いたなあ

 まさか泉が予告を使えたとは思わなかった。さらにそのターゲットがまさかまさかの自分というと何とも言えないビミョーな気持ちになる。

 そういえば、【シャイン橋を歩いていた二音が、後ろから黒いジャケットを着た不審な人に殺される】と書いてが…

 あまり深く考えていなかったけど、考えてみるとこの言葉変だ。

 犯人はなぜシャイン橋で殺したんだ?

 なんかシャイン橋に執着があるのか?

「この詩に書いてあるこの花の名前は…」

 俺はなんでシャイン橋に行ったんだ?

 そして泉はなぜシャイン橋というワードを使ったんだ?

 どうして、どうして

「ユークリッドって言う白い花なんだ。この花は未来に戻れる花として有名で花言葉は『未来』」

 シャイン橋は1年前にある事件で崩壊したというのに!

「2年ごとに一部の人はこの花を食べると未来に行けるという不思議な昔話で有名な花です」

 時間がずれてるのか?

キンコーンカーンコーン

「ということで授業は終わりです。復習を忘れぬように」

 やばいやばい、ボーっとしててノートとってないや。

 んん?

 未来に行ける花、ユークリッド

 確か、ブルースカイは、過去に戻れる花だったかな。そんなことを昨日春手が言ってたな。

 シャイン橋の再生、未来の花ユークリッド

 今回の事件に大きくかかわる2つの要素を見つけた。しかしまだ、これからの行方を二音は知らない。

 この事件の後でもあなたは、二音として生きていけるでしょうか。


        *****

 雨は嫌いだ。

 むしむしする。

 おまけに雨具も持ってない

 少しあの歩道橋の下で休むか。

 そう思いながら二音は歩道橋の下に向かう。あいにくそこには先客がいた。

「こんにちは、今日は寒いですね」

 とりあえず挨拶をする。別にバスケ部に所属してるからとかそういうわけではないけれど。礼儀として二音は幼い頃から身につけていた。

「!」

 そんなに驚くことかと思った。日本人としては普通なはずだが。

「あっ、あなたどっかで見たことあります。確か…倉土…二音でなかったですか?」

 な、何で知ってると、ビックリしてしまう。

 その二音と同じくらいの女の子は、そんなに驚くことかと言わんばかりに口をあけている。

「何で僕の名前を・・・」

 何で知らないのと言ってきそうだ。

 この子は心情が顔に出やすいんだと思う。

「私の名前は、桜田莉亜です。知らないんですか。」

 この男本当に知らないのかという感じで見られる。

 そんな感じで見られたところでも知らないは知らない。

「すみません。本当に知りません」

 いいのよ謝らないでと言われた。別にこっちだって本気で謝ってるわけではない。

「やっぱり変なのよね。シャイン橋も無いわけだし、どうやら君は私の名前を知らないらしいし・・・」

 何が変なんだ。

 1年前にはシャイン橋は崩壊してるし、君の名前など初めて聞いた。別に変なことはない。

でもなぜシャイン橋のことを知ってんだ?

「シャイン橋でなんかあったんですか?」

 素直に聞いてみた。今1番気になってきたころだ。 

 なにせ将来自分が死ぬんだから。死ぬはずだったところなんだから。

「いやーそれがどういう訳だか、さっきまで自分のいた世界と違う場所なんだよここ」

「さっきまでどこにいたんですか。」

「ここだけどね。」

なんなんだ。初対面なのになれなれしい。ここにずっといたなら急にシャイン橋がなくなるわけないでしょ。

「んー、どうやら『タイムスリップ』したのかなぁ」

 タイムスリップ‥‥時空を超えて時の流れに乗り、過去か未来に行けるというとてもうらやましい現象

 まぁ、あくまで空想の世界での出来事であって現実世界では出来ないだろう。

 この人が何か勘違いしてるに違いない。

 ん?待てよ、確か1日前の理科室でのんが「過去」とか、「未来」とか言ってたな。

もしかしてこれが関係あるのかもしれないな。


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