ホワイト10
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後ろからでもわかる。昨日と同じジャケットだ。
「こんにちは、二音。」
「おはよう!」
莉亜と晴だ。どうやらこの2人も、六木あんについて知っているらしいのでついて来てもらうことにした。
3分後くらいにのんと泉も来た。
それじゃあ行くか。と、泉が言うのと共に僕達の足は進みだした。
この道は通いなれていた。
何せ中学生のときに嫌でもかというほど通った道だからだ。その時は自転車ではあったものの体にはしっかりと刻まれている。
チャイムが鳴った。
グランドにいた人たちが一斉に校舎に戻る。みんなジャージに着替えているせいか、より一層新鮮だ。
懐かしい。この光景がすぐこの前まであったのだ。
すると校舎から見覚えのあるスーツ姿の人が現れた。あの頃から全く変わらない黒に少し白がかかった色をしている。ネクタイの色と非常にマッチしていた。
「お久しぶりです。白神先生。」
白神先生はまだ若い。確か僕が中2のときに30歳だったはずだ。ということは今は31歳くらいか。
「こちらこそ元気にしてたか心配だったよ。さあどうぞ中へ上がって。」
それと莉亜や晴に向かってはじめましてといった。莉亜たちも丁寧に答えた。
僕達は校舎に向かって歩き出した。そして僕達は初めて職員玄関から上がったのだ。
二音はまた立会室にはいった。高校のと中学のは違う。どっちかというと中学のが豪華だ。周りには当時強かった野球部の賞状や、書道部の出品作品などが飾られていた。
高校の部活動は少ないし弱い。なんと半分以上が部活に入ってないのだ。そのため、立会室に置くものがないのだろう。
「当時は君達に本当に心配や不安をかけたね。申し訳なかった。」
そういって白神先生は頭を下げた。
「いえいえ。こちらこそ先生方には迷惑をかけました。それに、それはもう過ぎたことです。」
二音が優しい口調で言う。隣から泉が、
「謝るのは僕らにじゃなくて秦にですよ。」
という。ごもっともな正論だ。
それにあの事件では1番白神先生が疑われただろう。半年も謹慎されてたのは白神先生だけだった。
「ところで、ここに来たのには理由があるんだよね。もしかしてあの事件と関係があるの?いや、ないわけないか。」
白神先生は自問自答した。
実際関係はありすぎるのだが。
あの事件からちょうど2年後にこのような予告が流れるのはとても偶然とは思えない。あの事件の犯人が再び動き出したんだと思う。
そしてあの事件に関してよく知っているのは白神先生が1番だと思う。実際あの事件の後僕たちはそのことに関して何もいわれなかった。まるで部外者のように。1番関係があるのに。
「はい。秦の殺人事件と同じようなことが紀伊高校で起きようとしているのです。」
「それは二音が再び予告を見たということか。」
二音が話している最中なのに突っ込んでくる。よほど気になったんだなと自己解釈する。
「いや、少し違うんです。今回は僕と泉が見ました。」
さすがに白神先生も驚く。今年は2回も起こると確信したみたいだ。これではこの前の2倍以上疑われるとも思ったのかもしれない。
「そうか。それは残念だ。それで誰が狙われるとかは分かってるのか。」
「はい。今回はのんと二音らしいです。」
少し暗い声で泉が言う。
莉亜と晴が驚く。そういえば僕も狙われてるとはいってなかった。隣で莉亜と晴がしゃべっている。ほんと?さぁ、わからない。の繰り返しだ。
この予告には1番自分が驚いている。最初の方はどうせ泉の冗談だろくらいに考えていたが、莉亜が過去に戻りシャイン橋崩壊事件を防いだことでますます本当らしく思えてきた。今では始終信じている。
「それはこちらも全面サポートするからなんとしてでも助けなくてはいけませんね。」
白神先生はすごく前向きだ。自分のことよりも他人のことを心配している。僕はいつの間にかそんな先生を尊敬してたのかもしれない。それを見たからこんなにものんを絶対に守ると思っているのかもしれない。
「覚えてるかな私が君達の担任になった時にいったことを。」
それに関しては今まで会ってきたどの担任の先生よりも印象的だった。感動した。
2年前の4月、白神先生は僕達の担任になった。学校内では熱血で授業も分かりやすいと噂の先生だったので当たったときには嬉しかった。
でも、それがもっと強くなったのは最初のスピーチを聞いたときだった。
「私は君達のクラスの担任になったからには絶対に君達を守る。一生守る。君達がどんなに嫌がっても無視しても絶対に絶対に守る。私も大人だ。君達をどのように教育すれば守れるかもこれから安全に生活させられるかも全て知っている。 でもこの世の中には口先だけって言葉もあるんだ。言葉ではいくら言っても伝わらない。それもこれまでの長い人生で知っている。だから私はこれからの1年を通してそのことを君達に分かってもらえるようにするから。」
一瞬だった。この言葉はあまりに一瞬だった。頭がついていけてなかったかもしれない。
けれどもよく頭に残っている。頭の中を漂っていた。
だから僕の答えは決まっていた。
「覚えています。はっきりと。」
泉やのんも同じだったみたいだ。首を縦に振っている。
「そうか。それはよかった。実は毎年あのことは言ってるんだ。そして有限実行するために日々頑張っている。今回の件に関しても私はできる限り頑張るつもりだ。」
やはりこの先生のしゃべり方など全てには説得力がある。
そのおかげかもしれない。僕の将来の夢が決まったのも。
僕は将来、弁護士になろうと思っている。人を助けたいからだ。
もちろんそう思ったのの理由は秦が殺されたことと関係している。
あの事件ではこの前まで犯人は分かっていなかったが、最近犯人が見つかったのだ。でも、この前図書館で借りた新聞を見たときに確信した。あの事件の犯人は間違っていると。
警察はあの事件の犯人をのんの父親とした。理由は分からないけれども。
そしてそのあと、気の弱い母は自殺したと書いてあった。
母だって何回も講義したみたいだ。でも何度言っても信じてもらえずついにはその選択をしたみたいだ。
僕はそういう人を守りたいと思った。
そしてそういう人のことを信じてあげたいと思った。
白神先生の言葉には説得力があった。でも、だからこそ信じることの難しさに気づけたのかもしれない。
僕はどんな人の言葉も信じてあげたい。そんな大人になりたいと思った。
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結局、あまり何も発展のないまま戻ってきた。
とは言え、時刻はもう3時を回っている。2時間以上何してたんだろう。そんなに長くいたかな。
もう3時なので受験のため部活に行ってないらしい六木あんはそろそろ帰ってくるだろうということで、日光中の正門で待っていた。
ちなみに泉も二音と同じように早帰りしたみたいだ。そのため先生や生徒に見つからないように隠れながら探した。
「私、あんの顔は知ってるけどずいぶん前のことだから変わってるかもしれないし、とにかく当てにはしないでね。」
「大丈夫。俺はきちんと覚えているから。」
莉亜の発言に対して泉が返す。
「あれ違う?」
莉亜が問う。そんなことを言ってる間にだんだんと遠くに行っちゃう。
「そうだ。間違いない。あのリュックの色は間違えない。」
確かに目立つ色だ。太陽のようなオレンジと赤を混ぜた色だ。いかにも情熱って感じだ。
「追うぞ。」
晴のその一言でみんなが一斉に足を踏み出す。
晴と泉を先頭に近づいていく。のんは後ろの方からチョッコリとついてくる。
「あの、すみません。六木あんさんですか。」
二音がやや丁寧に聞く。こういうところは知り合いの莉亜や泉がいけばいいのになんで引き受けたんだろう。
答えは単純だった。
「はい、だれですか。」
この「はい」は、YESという意味なのかそれとも相槌みたいに頷いただけなのか。
すると今度は莉亜が、
「久しぶりー、覚えてる? 中3のときに同じだった桜田だよ。」
あー、と頷き莉亜ね。と納得したようだった。
どうやら彼女が六木あんらしい。背丈はやはり莉亜とおなじくらいで、それはまた二音たちとも同じということを意味する。
よく見るとリュックだけでなく靴や靴下、手提げまで全部情熱色だ。
「始めまして。莉亜の友達の倉土二音といいます。それとその友達の春手と泉です。」
全員ぶんの自己紹介をしちゃった。やっぱり泉のことは後輩として知ってたみたいだ。
「何の御用でしょうか。受験勉強中なので忙しいのですが。」
「僕たちですね、1年前に起きた連続殺人事件に関して調査しているんですよ。よかったら少しだけでも事情を聞かせてください。」




