ある1人の少年の絶望
最初、気分を害する人もいると思うのでその場合は読むのやめてもらって構いません。
何処にでもある高校の風景。授業中、真面目にノートをとる生徒。居眠りをする生徒。早弁する生徒。放課後には部活に専念し青春の汗を流す生徒。学校帰りに友達と遊びに行く生徒。彼氏、彼女と帰るカップ達。
そしてここにもどの学校にも、クラスにもある風景があった。
学校裏。建物の陰になり日当たりは悪い。だからここに人がいるのは珍しい。
「うっ」
男子生徒の声がする。楽しげな声は数名聞えるが話をしている訳ではない。だが、1人の呻き声がこの空間が嫌なものにしている。
「ほら、どうしたよ。倉島く~ん。まだ、寝る時間じゃないでしょ?」
地面に倒れていた男子生徒を・・・倉島を無理やり立たせる。自分で態勢を立て直せていない状態で襟を掴まれたせいで首が締まる。
倉島と呼ばれた生徒の制服は砂埃で汚れている。他に三人いるが倉島と比べると打って変わって汚れがない。そうこれもどの学校にも、どのクラスにもある風景・・・イジメ。
「そうそう、これからが面白んじゃないか」
もう一人の男子生徒が倉島の顔に近付く。不敵な笑みを浮かべながら。
「ほら!ちゃんと自分で立てよ!」
襟を掴んでいた生徒に突き飛ばさせる。足に力が入っておらず倉島は尻もちをつく。そして、よろよろと立ち上がる。立ち上がったのは自分の意志ではない。相手に言われたからだ。ここで言われた通りにしなければさらに酷くなる。だがそれは、立っても立たなくても同じことである。これからの仕打ちが変わる訳ではない。ただ、言われたら、逆らえないから立った。ただ、それだけのこと。
立ったまま相手三人を見る。
「ああ!?てめー何だその面は!ケンカ売ってのか!」
ただ、見ただけ。それだけなのに・・・。長めの前髪と眼鏡で倉島の顔を半分隠している。実際の彼の表情を読み取れたかは定かではない。結局、何をやっても相手を苛立たせてします。
(・・・じゃあ、僕はどうすれば良かったんだよ・・・)
倉島の言葉は声喉を通ることはなかった。下手に何か言ってしまうと逆効果になる。だから、話す事を辞めてしまった。
「まぁ、いいじゃねーか。これからたっぷりいたぶってやるからさ」
奴らの楽しいお遊びが始まる。
それからどれくらいの時間が過ぎただろうか。倉島にとってはとても長く感じる苦痛の時間。早く終わらないかと何度も思っていた。
辺りには誰も居なくなっていた。倉島の少し離れた場所に眼鏡が吹き飛んでいた。幸い壊れてはいないようだ。
倉島は空を見ていた。意図的に見ている訳ではない。仰向けに倒れてその視線の先に空があるだけ。
虚ろな目で虚空を見る。
「・・・何で僕だけこんな目に遭わないといけないんだ・・・」
喉から声を漏らす。とても弱々しく声。遠くの野球部の部員にも負けている。今、ここで吹いているそよ風にも木々の葉が擦れる音にも負けそうなほどだった。
入学してそれほど経っていない制服は砂塗れ。三年間普通に着ていてもここまではならないだろう。しかし、顔はそれほどではなかった。顔の痣や傷は目立つ。相手もそれを考えてのお遊びなのだろう。その分、身体を動かそうとすると痛みが走り動くことができない。
「・・・こんな世界、何処が面白いんだよ・・・」
いつもは心で話す言葉を声に出す。ここには誰もいない。だから、声に出す。今。思っている事を。
「何が面白いだ。人のことこんなにして。こっちは全然楽しくねーよ。馬鹿じゃないか」
さっきのことを思い出し言葉にする。怒りはない。ただ、あるのは悲しみ、虚しさ。それしかなかった。
「・・・こんな世界なら無くなればいいのに・・・」
ここには誰もいない。そんな倉島の言葉を聞くものいなかった。
倉島 結斗の人生が絶望でしかなかった。
最後まで読んで下さってありがとうございました。気分を害された方は申し訳ございませんでした。
この作品は自分が思った事、やりたい事をどんどん盛り込んでいこう思っています。だからと言って1話の事を私がやりたいという訳ではあえいません。ここから結斗が成長していく事を書いていこうと思ってます。
頑張って書いていくのでよろしくお願いします。




