ゴブリン殲滅クエスト後編 旅立ちの朝
デカイゴブリンが切り下ろした剣が俺に刺さろうとしていた。
皮の鎧は肩とお腹部分は鉄板が付いているが、ゴブリンが切り下ろす軌道には無い。というか頭だ。
RPGとかだと余りにLV差がないと一撃死はないが、この世界はゲームの様に攻撃力や防御力の計算だけで食らうダメージが決まるわけではない。
攻撃が当たる場所によってダメージはいくらでも変わる。
このゴブリンの攻撃は頭に当る。いくら俺のステータスが高くなってきたといっても振り下ろされる剣を頭皮が防げるほどスーパーマンではないのだ。
死か。
思えばMOBとしてこの世界にきた時点で生き残るのは難しかったのかもしれない。
翔が死を悟った、その時だった。
「ゔぁかやろーー!!」
左の脇腹より上のあたりにすごい鈍痛がして体が吹き飛ばされ転がる。
なんだ!?何が起こった。
いってぇー、起き上がるとそこには右足が切り飛ばされ、倒れているガイナスがいた。
おそらく蹴り飛ばされたおかげで俺は助かり、ガイナスは右足が切り飛ばされたんだろう。俺と鍔迫り合いしていたゴブリンはさっきの縦斬りで真っ二つになっていた。
「ガイナス!!だ、大丈夫か!」
「いってぇー大丈夫じゃねーよ!それより早くやつを!」
デカゴブリンはその場で倒れているガイナスに止めを刺そうとガイナスに迫っていた。
「短剣!」
目の前に短剣が出現する、それを掴んで投げる。
デカゴブリンの腕に刺さりやつの注意は俺に向いた。
素早く走り上段から袈裟斬りをするが相手の剣に受け止められる。
鍔迫り合いだ、上から振り下ろす俺に対して相手は剣を上に掲げ下から受け止めるような形だ、力の乗り方は上から振りをろしている俺の方が明らかに上なのに拮抗している。
ステータスの【力】はゴブリンの方が上なんだろう。
「ブロードソード!」
左側に剣が現れる。体を右に捻り相手の胴体に押し込む。
鍔迫り合い状態での捻りの為、速度が遅く余りダメージにならない。しかしゴブリンも脇腹に食い込む剣の痛みからか鍔迫り合いしている剣を右に払い、後ろに逃げる。
距離が離れたなら離れたでこちらには遠距離攻撃がある。
ファイアーボールを多数身体の周辺に出現させる、
俺はほとんどの魔力を込めた。
その数40個
いささか自分でも出しすぎたと思う。しかし今は確実に仕留めたい。
俺の周りを40個もの火の玉が円を描き舞始める。暑い、汗が俺の額から流れ落ちた。
ゴブリンも流石にやばいと思ったのか逃げ出した。
「逃がすか!」
40個のファイアボールが勢い良く飛んでいった。最初の2個は横に避けうまく交わしたが3つ目の火の玉が当たると後ろに吹き飛びそこに残りのファイアボールが連続で当たる。
全てのファイアボールが当たり終わった頃には骨しか残っていなかった。
「ガイナス!」
ガイナスに近づき顔を見ると血の気がひいて真っ白な顔をしている、意識がない、血が流れ過ぎたのかもしれない。
「痛いの痛いの飛んで行け!」
ほんとならちゃんとしたヒールを使ってあげたいが今のところ発動できそうな治癒魔法はこれしかない、切断面の血は止まりかけてたが回復しているという実感がない、この傷に対しては弱すぎるのだろう。
「痛いの痛いの飛んで行け!」
それでもまだしないよりましか、だめだ血は止まったが流れ出た血が多すぎるのだろう。しかもMPが切れてしまった。クソっ!どうする!
「治療院に運んだ方が」
見ると先ほどの戦闘から隠れてた女性が声をかけていた。
「治療院!?」
「オルステラの町の入り口すぐのところにあります。」
「西口!?東口!?」
「どっちの入り口にもあるはずです。」
「ありがと!悪いけど急いで行くから付いて来れなければごめん。気をつけてね」
ガイナスの状況を見て連れて行ってとも言えないと思ったのか、頷いた。
ガイナスのちぎれた足を握り、ガイナスを担ぎ本気で走る、ステータスの上昇とともに走る速度も上がっている為、今ならガイナスを背負っても自動車並みの速度は出てると思う。
ここから約10キロか。近いようで遠いな。
オルステラの町に着いた、申し訳ないが女性は置き去りだ
入り口の門番に訪ねる。
「すみません!治療院ってどこですか!?」
「ガイナス!!入ってすぐに2軒目の右側の建物だ」
「ありがとうございます!」
町に入ると入り口にたむろしていた冒険者達もガイナスに気づき、口々にガイナスを呼んでいた、相手をしている暇はないのですぐに治療院に入る。
「すみません急患です!」
白髪の老人と美人な女性がいて白髪の老人が医者のようだ。
ガイナスを近くのベッドに寝かせる。
「どれどれ、 、 、 、血が少なくなっているようだね。」
そんなことは解ってるんだよ!それをどうにかしてくれ!
「輸血とかないんですか!?」
「輸血?他の人から血を移すやつかい?」
キョトンとしてる、俺なんか変なこといったか?
「昔そういう魔法も治療魔法を作る過程で有ったけど、他人の血液を輸血するとだいたい死んでしまう。今は増血の魔法を使うのが一般的だよ」
血液型とかがまだ把握されてないのかもしれないな。
「ミレイン、増血を」
老医師は陶器から液体をガイナスの足の切断面のにかける。
匂いからするとアルコールか。
「わかりました〜」
なんか緩いな、大丈夫か
「インクリーズブラッド〜」
ガイナスの体が光る、少しづつ顔の色が良くなってきているようだ。
「あの、足は、治りませんか?」
手に握ってたガイナスの足を渡す、
老医師は首を横に振り
「すまんな、ワシらのレベルでは接合や再生の魔法は使えん、申し訳ないが諦めてくれ。」
「そうですか、 、 、」
ガイナスを治療院に寝かしたまま治療費5000ルクスとしばらくの入院費として5000ルクスを払いでてきた。
なんだろう頭がぼ~とする。なんも考えつかない、
あっゴブリン襲われてた人の迎えに行かなきゃ。
全力で走ってきたのですぐに見えなくなってしまったが帰りにまたモンスターに襲われたらかわいそうだ。
と思い、門を抜けたところで向こうもちょうど着いたようだ。
「ごめん。ほっぽりだして」
「いえ 、 、仲間、だったんですか?」
ガイナスのことか、、仲間なんだろうか、教官、友達、どれにも当てはまるし、どれにも当てはまらない。
「わからない、でも兄貴みたいな人だ」
「ごめんなさい。私を助けたせいで」
「君が謝ることじゃないよ、僕は冒険者なんだ、危険を承知で命を元手に食ってるんだから。それはガイナスも同じだ」
そうは言ってもガイナスは俺を助ける為に足を失った。
彼女を見るとぼろぼろの服に俺のワイシャツを着ているという状態に気づいた。
「服買ってくるからまってて」
「え、あ、はい」
とりあえず門の前で待っててもらう、門番からは
「ガイナス大丈夫か?」
と聞かれ
「命に別状はありません、 、 、」
門番もガイナスの切れた足を見ているから察したようだ。
「そうか、冒険者をしていたらいろいろある、坊主も気をつけろ」
頷いて服を買いに行く、おしゃれとかわからないし、そんなのを考える余裕はない、適当に服を買って門に戻り女性に渡した、
ん、なんでこっちを見てもじもじしてんだ?
「えっと 向こう向いてて欲しいのですが」
少し顔を紅くしながら言う、かわいい、いかんいかん、そりゃそうか
「スマン」
しばらく後ろを向いてたら肩を叩かれた、
「もう大丈夫ですありがとうございました。」
「俺は今からギルドに報告に行く。君はどうする?」
「エレーヌです。先ほどの方の怪我の経緯などを聞かれた時、私がいたほうが役立つかもしれません。ついていってもいいですか?」
名前聞いてなかったな。確かに弱くても熟練のガイナスが怪我をしたんだ、新参者の俺は疑われかもしれない。しかし実際俺のせいでガイナスは怪我したんだ、言い訳する気はない。
「そうか、ありがとう俺はカケルだ」
ギルドに入る、ゴッツ親父と朝の職員の女の人のが話あってた、
「馬鹿者!あれほど注意書きはよく見て説明しろといっていたのに」
なんか絞られてるな、どうした
そこで女性は目を泳がせていた為俺に気づいた。
「あ!無事だったんですねぇ〜よかった!」
ゴッツ親父も胸をなでおろしたようだ。
「無事だったか、まぁ流石にレベルの低いお前さんがゴブリンの群れに突っ込むなんて無茶はしなかったようだな。」
えっ、突っ込み増したけど何か?
「えっと多分クエストはクリア出来たと思うんですが」
そう言ってカウンターを机に置く。
『えっ!』
親父と女性がハモる
「た、確かに73だな、しかし報告では200近いゴブリンの集落のと聞いてたんだが」
「おかしいな200近いぐらいはたおしたけどな。」
「それはあそこの集落のゴブリンは大半がエースだったからだと思います。」
エレーヌが話を割って入ってきた。
「えっ!ゴブリンエースか!」
後で聞いたがこのゴブリン用のカウンターは他のモンスターを倒してもカウントしない、おそらくゴブリンエースもカウントしないんだろう。
「ゴブリンエースの集落となると完全にC級パーティに依頼するものだ、クエスト料も引き上げないと行けないな。」
「あとさ、群れの中に2メートルぐらいの奴がいたけど何なの?」
「、 、 、マスターゴブリンかもしれん。お前さん倒しのか?」
「倒したんだけどそのことで、さ」
「なんだ?」
「が、ガイナスが俺を助ける為に、 、 、」
そこでガイナスがいないことに気づいたのか、
「まさか 、 、死んだか」
「いや、足が無くなってしまいました。医者はもう冒険者としては無理だろうって」
「、 、 、そうか、この件に関してはワシらも調査不足だった、お前さんが責任を感じる必要はない、冒険者とはそういうリスクもある。ガイナスも解っていたことだ。生きていれば王都の上級治療院で足の再生もできる、それにあいつはもともと冒険者に向いてないんだ。これを気に転職を申し出ることもできる。」
「そうですか。」
それがガイナスの意志ならば構わない、けど俺のせいで意志関係なく冒険者をやめることになるなんて。
考えてもしかたないか。
俺はゴブリンの殲滅依頼の報酬を貰うことにした、
「こちらの不手際でDランクのあなたにCランクパーティに依頼するクエストをお願いしてしまいました。つきましてはCランクのゴブリンエース殲滅クエスト依頼に変更。報酬もそれに伴い変更いたします。金額は200000ルクス。又今回未確認ですがマスターゴブリンの討伐も報酬が100000ルクス、特別割増として100000ルクス、合計金額は400000ルクスとなっております。」
「え!?多!」
「いえ、変更後のクエストは4人パーティ以上が推奨される案件の為、自然と報酬も単独の方に依頼するCランククエストより4倍になっております。腕に自身があればお一人様でも問題ありません。それと今回のクエストに至っては事前調査不足もあり依頼内容から難易度が逸脱している為、当ギルドとしましては、本来の金額に増額行い報酬を支払っております。少ないかもしれませんが平にご容赦頂きますよう。お願い致します。ただマスターゴブリンに関しては当ギルトにて確認できしだいのお支払いになります。それでは300000ルクスですご確認ください。」
すごい冒険者ってもうかるな。
あっでも4人で行けば1人当たり日本円で考えると100万ぐらいか、命を賭けるには安いのかもしれない。
受け付けの女性から金色の硬貨が30枚渡される。
おー金貨だ、いつもクエストクリア時には銀貨で渡される。銀貨は日本円に治すと1万円ぐらいだからそれで成り立つんだろう。しかし今回は大金だから金貨なんだろう。
ギルドの外に出るとエレーヌが待っていた。
「すまんな、またせてしまったか。でももう帰っても大丈夫。家には帰れるかい。」
「あっ、はい帰れます。もう一度お礼だけ言いたくて。」
「いや大丈夫だよ、君も大変だっただろう、お互い今回は辛い経験だったけど頑張ろう。」
「いえ、でも、 、 、ありがとうございました。」
そして笑顔でさよならした。あれは俺に惚れたな。
まぁ俺の希望的観測だが。
帰りにガイナスのとこによった。まだ寝てたけど。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
あと今日のクエストでだいぶ刃こぼれしてしまった為アルティメットによった、
ニッパさんいわく砥石で研げばイケるレベルらしい。
「スリスリすればイケるイケる!」
とのこと、なんか卑猥だ。
帰りにいつも通りどんぐり亭でゴハンを食べた。
1人で食べるご飯はいつもより美味しくないな。
宿に戻り1人考える
これからどうするか。
ガイナスが俺と一緒に居たのは俺がEランクでレベル1のビギナーだったからだ。今朝ランクDになったからもうついてくる必要はない。
いやそれ以前にガイナスはもう冒険者をできない。
これからどうするのだろうか。
俺は手を伸ばせば天井に手が届く二段ベッドの上で天井を見ながら考えてた。
ぼけっとしていたとおもう。横においていたスマホが落ちた。
裏返しになっているスマホを拾う時ふとスマホの裏に隠し蓋らしきものがありネジが1つ刺さっている。
普通は気にしないんだろうが、ガイナスのことで悩んでいた俺は気をそらす為か気まぐれかそのネジを短剣の先で回す。
回し終えると薄いプラスチックの蓋がパコッととれた。
中には回路らしきものがある。
俺は一時気自作パソコンが作りたくてパソコンのメイン基板を購入したことがある。見た目はそれとほとんど同じだが一部気になる部分があった。
基板の上に指輪にでもついていそうな宝石が1つついている、
しかも光っているのだ、反射とかではなく自発光だ。
それとその宝石が乗っている基板上の台座が他に3つある。
もしかしたらパソコンでいうメモリとかCPUの変わりなのかもしれないな。
まぁこれ以上弄って壊しでもしたら大変だからこのぐらいにしとくか。
それからスマホを組み立て、寝ることにした。
横になった時またメールが入った。このメールにはろくなことが入っていた試しがない。
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筒 真也さんが亡くなりました。
謹んでお悔やみ申し上げます。
死因:兵士による斬首
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またか、もうやめてくれ、気が滅入る。
正直俺をいじめを見てみぬふりしていたクラスメートよりも、俺のせいで足が無くなったガイナスの方が気がかりだ。
そう思い寝付きが悪いながらもよこになった。
寝付けなかったおれは翌日早めにギルドに出かけた、
ギルドに入る前、綺麗な甲冑に身を包んだ兵士が中に入って行くのが見えた、
冒険者は森や山道を走り回ることが多いため普通甲冑なんてつけない、おそらく国軍の兵士だろう、今日は何かあるのだろうか。入り口に入るとさっきの兵士らしき人が入り口に入って周りを見ている
通路につっ立って邪魔なやつだな。すると兵士が声をあげた。
「私はメルクリウス帝国第2特務機関ジークリンデ中佐だ!このギルドに黒髪、黒目の人間族の新人で、新人とは思えない成果、成長をしている者を探している!対象者の調査を行い問題なければすぐ開放する!この10日以内の新規登録者のリストを提示していただきたい。」
この世界のほとんどの人間族は茶から金に近い髪の色をしている。エルフは青から緑の髪をしている。獣人は茶色が多い、むしろ俺みたいな黒髪の方が少い。
、 、 、 、まずい俺のことかもしれん。
ゴッツ親父が兵士に近寄り声をかける。
「その者が何か悪行を行ったと言うことでしょうか。」
「いやそう言うわけではない。帝国に対し敵対勢力になり得る、もしくは帝国の利益になり得るとのことで詳しくは聞かされておりません」
小声で喋っているが甲冑に反響して割りと聞こえる。
どういう意味だ?意味が真逆、、、!!
あっわかった。
つまり俺の仲間になれ。ならないなら敵だ。ってことか。
これを指揮しているのは英雄の1人かもしれない。
よく考えたら強いからといって英雄ではない。社会的に英雄という地位をかね備えた状態でこの世界に来たということなんだろう。
なんという不平等。これがモブとのちがいか。
、 、 、 !!
昨日と一昨日のメールには兵士による斬首というのが書いていた。
もしかしたら仲間にならなかったから殺されたのかもしれない。
いや断ると殺されることが解ってるなら普通は仲間になるよな。
そう考えると、どちらを選んでも斬首という結果になる可能性も考えられる。
くそっ!!とにかく今は逃げなければ。
ゴッツ親父が俺の方を見た、アイコンタクトで行けと行っている。
俺はゆっくりギルドの扉を開き、目立たないよう普通の速度であるく。
落ち着け、こういう時こそ落ち着いて準備だ。
道具屋で野営の為のテント、鍋、などの道具を買い揃える。
金はたくさんあるから使いやすさ重視だ。フードの着いた外套を買う、撥水性に優れていて防寒、雨合羽の変わりをしてもらうつもりだ。
武器屋によって矢の補充を行う。
食材を買いあさりストレージに放り込む。
米や小麦、野菜類と塩、香辛料などを買い込む肉は現地調達だ。
準備が終わり、最後に治療院に寄った。
ガイナスはまだ眠っているようだ。ベッドの横に書き置きを残す。
『ガイナスへ
俺のせいでにガイナスには迷惑をかけた、申し訳ない。
少ないかもしれないが、この金とマスターゴブリンを倒した報酬はガイナスが受け取って欲しい。俺にとってガイナスは兄貴みたいな存在だ。ガイナスの次の人生がうまく行くよう遠くから願ってる。
カケル』
200000ルクスを横に置く。
「じゃあな、ガイナス」
治療院の扉を開ける。
「翔!、 、 、元気でな!」
振り返るとガイナスが起き上がっていた。
「ああ、ガイナスこそ、、、元気でな」
治療院を出る。
何食わぬ顔で門を通る、門番も何も言わない。大丈夫みたいだ。
これからどこに行こうか。朝日がやけに眩しい。
とりあえず国境を目指そう。横の国なら大丈夫かもしれない。
こうして俺の異世界の冒険が始まった。
この話でこの章は終わりです。
次章 暴虐の国家編
誤字脱字が多いですがここまで見て頂いた皆様ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。
誤字脱字は言って頂ければすぐ直します。




