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俺は彼女を監禁する / 白銀の剣閃  作者: 清水
始動 〜 Silver Slashing ripping the Darkness.
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LVNH//O//2038/04/13/08/13//TE-01/2021/05/22//FCE

 魔術。

 ……と呼ばれる、胡散臭い技術がある。

 手の平に火を発生させたり、人の傷を癒したり、道具を頑丈にしたり……その有り様は多種多様、千差万別だ。ギリシア神話やオリエント神話のような神話、キリスト教や仏教のような宗教、イデア論や陰陽術のようなある種の哲学及び学問、錬金術や算術のような科学、人間の生み出してきた文化の集大成こそが、魔術という技術の根源だ。

 元々はこの世界側からの働きかけである自然現象という概念に対して、人間側からの働きかけであるこの現象を魔術現象、或いは簡単に魔術と呼んだそうだ。この魔術という言い方自体が世間で定着したのが、冷戦終結後くらいなのだから、魔術とは割りかし研究の浅い領域である。

 それでも、俺の生きるこの西暦二◯三八年の魔術とはそれなりに発展しているように感じられる。定番どころでは各国の要所に置かれている国営の同質空間配備魔術の大結界(要はテレポーテーション、転送装置みたいなもんだ。お偉いさん方は漢字とその羅列を良く好む)によってモノの移動が世界レベルで活発となり、共振消滅の魔術によってガンは人類を悩ませる病ではなくなった。世界中の廃棄物は錬金術の応用で有用な物質への変換がなされ、ゴミ問題は一気に収束に向かった。太陽信仰や雨乞いの魔術でも農作物の任意の収穫量を実現させ、更には世界の飢餓事情も回復しつつある。

 そう考えると、世界は、人類は、魔術という技術によってそれはそれは贅沢になったと言えよう。

 一方で、冷戦終結以前の魔術というものは、それはもう魔術という技術とは呼べない代物で、魔法や超能力と呼ばれるならまだ良い方であった。多くの場合は神様から授かりし奇跡だとか、悪魔や鬼、憑き物の仕業だとか、特に酷い場合は一種の奇病、障害とさえ認定されていた。

 そんなアンチ魔術の風潮が蔓延る世界では、魔術なんてものは今のように華々しく世界を着飾るアクセサリーではなかったのだ。

 故に、魔術の始まりは冷戦終結後、米露という世界の二大強国が真の共通の敵を発見した時であった。


 世界の強国が認定する、共通の敵。

 二十一世紀の火薬庫ならぬ、爆薬庫。

 日本から半独立状態にある、目と鼻の先の脅威。


 それこそが、港元(つもと)帝国。

 通称、港元市。


 港元市。

 一九四五年九月一日成立、及び日本から独立。

 総人口三万人弱、面積二九◯平方キロメートル。

 所在地は東京都と神奈川県の県境と、東京湾上に跨る港元半島。

 歴史も、人口も、面積も、何もかもがちっぽけな国家だ。


 全日本軍の無条件降伏を突き付けた十三ヵ条からなる宣言、所謂、ポツダム宣言が連合国から出された。小中学校で歴史を学んだ者なら誰でも知っているであろう。この降伏勧告に、大日本帝国は屈服、崩壊した。栄えある大日本帝国は、連合国に踏み荒らされた元に生まれた日本国となった。こうして、長きに渡って世界を恐怖に陥れた大戦は終結した……かのように見えた。

 しかし、そうはならなかった。大戦の終結後、即ち、日本敗戦の直後に日本国内部から湧き上がった元帝国民の一つの大きな怒りが爆発した。彼ら元帝国民は、認められなかった。敗北という、その現実を。


 かの者共は怒号を上げた。「帝国は、負けない」と。

 かの者共は咆哮を放った。「帝国は、降伏しない」と。


 彼らは大戦の勝者である連合国に従おうとしなかった。いや、連合国だけではない。彼らは敗北を受け入れた日本国にさえ従わなかった。彼らが従うのは、あくまでも、大東亜共栄圏の覇者、大日本帝国だけであった。そんな行く先の無い亡国の民である彼らを拾ったのが、当時日本内国部にある一市でしかなかった、港元市であった。

 市はこの血気盛んな元帝国民にこの地で古より研鑽された最強の武器を与え、市はこの日より、世界地図から失われた「大日本帝国」として復活し、独立し、成立した。

 大日本帝国と名乗った港元帝国、通称、港元市が有する古より研鑽された最強の武器の前に、世界は圧倒された。旧大日本帝国が占有していた東南アジアが奪還され、連合国の首都や重要な軍事拠点が破壊され、太平洋に於ける制海権、制空権を獲得した。冷戦中には米露への圧迫として北極も帝国の直轄地となった。彼ら新帝国民の快進撃に対して、世界は恐らく疑問しか浮かべられなかったはずだ。


 あんなちっぽけな市とも呼べぬ市のどこに、

 そんな火力が、そんな資源が、そんな技術が、あるのか?


 今、その疑問に答えて差し上げるのが、以上の長ったらしい文章を意味あるものとして完結する唯一の方法である。勿体振るのは俺の信条に合わないからさっさと言ってしまおう、俺個人としてもあの帝国について語ることを望ましいとは思っていない。

 前半の文脈を考えればすぐ分かると思うが、港元市が有する「古より研鑽された最強の武器」とは、「技術」として文字通り研鑽された「魔術」だ。

 歴史も、人口も、面積も、何もかもがちっぽけな存在である港元市は、魔術という技術の使用によって今や世界の頂に据えられた国家となった。

 世界はこの事実に対して一種のパラダイムシフトを起こした。それはそうだ。自分たちが今まで悪魔や鬼、果ては奇病や障害とも考えていた代物がここまでの脅威となるとは想像だにしていなかったのだから。

 こうして、このパラダイムシフトが冷戦終結という形で実を結び、世界は確実に、魔術先進国家港元帝国と魔術という技術を軸に、新たな戦争の世を生み出した。

 このパラダイムシフトから数十年経った西暦二◯三八年。世界は魔術開発を巡る戦争や紛争の渦中にあった。港元市はその闘争の渦を巻き起こした張本人であり、同時に世界の悪の根源であった。今や港元市は世界の敵であった。

 人類は新たな武器を手に、互いを殺し合った。つまり、この世に最高の贅沢はあれども、平和なんてものは、まるっきりなかった。ここは、地上に完成された一つの地獄であった。

 この時代を生きる俺も港元帝国民にして、魔術師の一人。世界の魔術覇権を持つ帝国の民として、平和の無い今日を生きる。


   ***


 ……というわけで、世界の諸悪の根源港元市を出身地とする俺だが、なんと、良いか、驚くなよ、なんと、今、俺は、日本の、関東地方の、山奥の、小さな山村に住んでいるのだ。

 戦蓮社(せんれんじゃ)村という、人口数百人程度の小さな村だ。村は多くの山々に囲まれ、村には畑と畑と畑と畑と畑、それから畑があるくらいで、他には駅前の田舎特有の小さな寂れたショッピングモールしかない。寂れた、と言うからにはこのショッピングモールは以前栄えていた、ということもなく、今のは単純にこの物語の書き手であり、語り手であり、元港元市民の死ねない魔術師にして、この村に位置する戦蓮社高校の男子高生の藤原衛紀(ふじわらえいき)のヒューマンエラー、簡単に言うとポカミスのせいである。申し訳ない。だが、この残念な調子でも何とか本年度より高校二年生として高校生活を送れることになりました。はい、拍手。

 俺がある事件を機に港元市から、この日本の田舎に引っ越してきてはや七年経つ。いやはや、七年経った今でもなお、戦蓮社なんてヘンテコな名前であると思う。まるで何かのアニメや漫画に出てくるような宗教結社が根城にしてそうな村のようだが、残念ながらそんなものは無い。ここにはそんな、非日常的要素は欠片も存在しないのだ。

 はははは、御察しの良い皆様方は気付いたであろうか。そうだ、俺の愛すべき戦蓮社村には魔術闘争なんてものは一切存在しない。港元市や世界の多くの国、ましてや戦蓮社村の所属する日本国が魔術開発に躍起になろうと、世界各国の戦争に関与していようとも、この村は闘争から切り離された田舎だ。いわば閉鎖しきった村だ。そんなものは欠片も無い。

 流石に魔術開発がゼロというわけではないが(魔術開発の授業は悲しいかな、もはやこの時代ではどこの国でも義務教育の一環だ)、それでも、ここはあんなクソ真面目に魔術だけを見て全てを判断するような冷徹で、非常で、残酷な場所ではない。他者を凌駕せよ、他国を圧倒せよ、そんなスローガンの元できりきり舞いをするような場所ではない。

 ここはまるで、そんな闘争ばかりの世界から取り残されたような場所。朝は田畑を耕すおじさんたちの元気な声、昼は魔術開発なんぞに取り憑かれていない無邪気な子供たちの笑い声、夜は幽玄とも言える虫の奏でる音色。好きな時に野原で涼み、山で遊び、湖で安らぐ。友は魔術を競い合う仲ではなく、共に教え合う仲。他者との競争が無い、俺がずっと、ずっと恋い焦がれていた空間だ。俺は今、甘ったるく、生温く、それでも最高の人生を送っていた。


 えー……先程の痛カッコイイセリフ、撤回しよう。

 世界一平和な山村の民として、平和しかないゆるゆるな今日を俺は生きる。


 あれあれ? 俺の物語が、前述した通りの深刻極まりない港元市とかいう残酷で冷酷なエスパーシティーから始まるとでも思ったか?

 これから、魔術と陰謀だかが渦巻く厨二病の少年の憧れるような物語が描かれていくとでも思ったか?


「連続斬殺殺人事件だと? 何だその、ファンタジー染みた展開は。朝っぱらから余り俺を笑わせないでくれ、頰が筋肉痛になってしまうだろう」


 ぷっ、くくく、はははは。大外れも良いところだ、大バカ者め。やーい、まんまとひっかかってやんの。釣り乙。済まないが、この物語は俺の田舎でのちょっとした魔術が絡むスローライフを書き綴ったものなのだ。世界の闘争や陰謀なんざ知るか。一ミリたりとも知らん。

 物語はいつものように俺の通う戦蓮高校、その三階にある我が教室から始まるのだ。さあ、本日は一限に世界史、二限に古典、三、四限は魔術開発、そうして帰宅という、まあ、凡そこの時代の日本の高校生が誰でも送るスケジュールだ。これぞ、日常。

 窓から見える大きな空にはお天道様がにこりと微笑み、教室の中では去年度のクラスでの出来事や本年度初の授業となる世界史の持ち物を確認し合う生徒たちの声。いつも通りの風景、何一つ異物の無い日常。ああ、日常ここに極まれり、ってな。


 ……というわけで、

 俺の前にいる二人よ。


「えっと、いや、三人目の犠牲者だとか、そんなマジな顔で言うなよ。えっ、マジなの?」


 このとんでもなく平和ボケした俺(平和最高!)にも理解出来る言語でもう一度詳しく説明していただきたい、と俺は切に願う。

 俺は机に突っ伏していた姿勢を解除して、二人の話に耳を傾けてやる。視界には、俺の日常の一ピースを占める幼馴染と悪友の必死に話す姿が映る。


「私が昔、住んでいた村で起きている事件(・・)なんだよ、衛紀くん。衛紀くんもよく来たから覚えているでしょ? 少しは危機感持ってよ……」


 少し呆れた調子で、俺のことを「衛紀くん」と呼んでくれる可憐でやや小柄な美少女は、俺のこの村での幼馴染の滝沢玲華(たきざわれいか)だ。控えめな胸に黒髪のセミロング、何よりサファイアのような青い瞳が特徴的だ。外国人の血でも混ざっているのだろうか。とても魅力的である。

 また、彼女は今時の女の子には珍しい大和撫子とでも呼ぶべき存在で、加えて頑固という域にまで達する凄まじい努力家。文武両道を極めたクラス一の優等生で、純粋な心の持ち主である。仮に人生で一度も嘘を吐いたことが無いと言っても、それが彼女の言葉であるなら信じてしまいそうだ。というか信じる。

 そして彼女にとって特に大事な点は、彼女は俺の幼馴染であるということだ。俺がこの村に来たのが七年前で、それ以来彼女とは家族ぐるみの仲がある。

 で、今はとある事情で彼女は俺の家に住んでいるのだ。別に、やましいことは何一つ無く、単に彼女の両親がお亡くなりになったから我が家の部屋を貸して世話をしているというだけのことだ。料理も洗濯も掃除も彼女がしてくれるから、ぶっちゃけて言うと世話になっているのは俺なんだけどね。

 黒髪のセミロングを揺らして、頬を膨らませている彼女だが……今回の「驚かし」もとい、「脅かし」は少々彼女らしくないと言わざるを得ない。極めて、珍しい。


「戦蓮より少し山の方にある村で、斬殺事件(・・・・)が発生したって言っているだろ! 毎晩女の子の夢ばっかり見ているらしいが、こっちが現実だ! 目を覚ませ、この平和ボケアホンダラカス女郎」


 一方で、斬殺事件の発生だとか他人の夢やラノベに有りがちなふざけた事を抜かす奴は、俺の悪友の天草燎弥(あまくさりょうや)だ。この村の中では珍しく金髪のツンツン頭で、滅茶苦茶チャラい格好をしている。ヤンキーみたいな奴だ。その癖、中身は全然ヤンキーでもないし、というか成績も優秀で真面目な奴なのだ。もう本当に気に食わない。

 しかも、アニメオタクでありながら、俺の好きな二次元キャラの好みも一切合わない(寝取られのシチュエーションがNGというのがこの辺の領域に於ける俺と燎弥の唯一の共通項であろうか)。もう本当に気に食わない。

 とにかく気に食わない点が多過ぎて困る。枚挙に暇が無い。何度気に食わないと言わせれば気が済むというのだ。ああ、気に食わない。気に食わない。まあ、許せるのは魔術技術が俺と同じくらいに使えない、って所かな。そ、それと、女の子の夢は本当に毎晩見るんだってば!

 連発で苦情を叫んで申し訳ない。反省はしている。


「んなわけないだろ……ここはド田舎。そんな物騒な事件なんか起こるものか」

「これだよ」


 そう呟く俺に玲華が偉そうに今朝の朝刊を見せつけ、チェックメイトだ。何で、えっへん、なんて偉そうに無い胸を張って言っているんだ、この女は(なお、この直後に玲華から凄まじい眼光を俺は浴びている)。いけないな。彼女は胸の話題に大変厳しいのだった。貧乳キャラとしてはテンプレとも呼ぶべき特徴だからな、しっかり胸に刻んでおこう。

 それはさておき、玲華の見せつけたこの辺の地方新聞の大見出しには「果処無(はてかむ)連続斬殺事件」と厳しい漢字ばかりがズラリと並ぶ物騒な文字列を見て、俺は負けを認めた。はいはい、ポツダム宣言ポツダム宣言、無条件降伏しますよ。俺の負けだ。


「果処無村で連続斬殺事件、かあ。果処無はここ少し登って行ったとこの村だしなあ、危険と言えば危険かもな。近所と言えば近所なんだし」

「妙に危機感が薄いなあ、衛紀。そりゃ、お前は死なないかもしれねえが」


 果処無、というのは四年前まで玲華が住んでいた村の名前で、戦蓮社村よりやや山の方へ登った所にある村だ。玲華のご両親が亡くなったのもその四年前であり、彼女の身寄りが無くなって俺の家で暮らすようになったという話はさっき話した通りだ。それ以来、果処無の夏祭りでくらいしか件の村には訪れない。果処無村は、寒村、という言葉がしっくり来るような場所で、交通の便もさして整っていないが、自然が豊かでここ戦蓮社村よりも物静かでこじんまりとした村だ。それこそ、人口が数十人とかそういう村のはずだ。

 で、今回の事件だ。この戦蓮社よりものどかな村で連続斬殺事件が起きているというらしい。三日前ほどから村人が刃物でバッサリと切られ、殺されているという物騒な話が記事に記されている。こんな所に取材に行く新聞記者も相当の度胸だな……。


「……分かったから。気を付けるって。本当に心配性なんだから」

「にしても、最近は物騒だよな。ドイツ近辺の核テロとか、『統一協会』(ユナイト)のフィリップ大総統の失踪とか」


 お偉いさんの夜逃げとドイツの核テロ未遂、なのか未だに膠着状態にあるんだかは知らんが、今はとにかくそのニュースが一大(二大)センセーショナルとなっているらしい。

 燎弥は指先でスマホを弄くりながら昨今の世界情勢への嘆きを呟く。どうせ、最近また流行り始めたTwitterでもやっているのだろう。その指の動きで分かる。ほら、えーと……指を下ろす動きだ。

 この田舎ではスマホは愚か、普通のガラケーさえも存在するのは珍しい。しかし、コイツも俺と同様、関東地方のどこかしらの都会から戦蓮社に引っ越して来た身なのだ。去年だけどな。


「うん……。あ、次の授業始まるね」

「じゃあ、次の授業は来週のお別れ会の企画考えとくから!」


 燎弥は高らかに授業おサボり宣言を出し、ペラペラとルーズリーフを振って自身の机に戻った。玲華は俺の隣の席なので、そのまま座り、次の授業の準備をいそいそと始めた。真面目な奴だ。玲華の爪の垢を煎じて燎弥に飲ませたい。ついでに俺も飲みたい。主に下心からだけどな、ぐへへ。

 無慈悲にも地獄のチャイムが鳴って、授業が始まる。ああ、魔術の開発自体は義務教育だが、それとは別に通常の科目も勉強しなければならないのだ。面倒なこった。勉強に粉骨砕身の思いで打ち込んでいた時期もあったが、今では面倒なことでしかない。

 現在は一応、文系に身を置く俺だが、生物の方がテストで良い点数を取るくらいに社会科系の科目が出来ないという恥ずかしい身にまで失墜してしまった。というか、暗記が苦手なのよね。

 さて、一限は暗記科目の代名詞である世界史の授業だし、寝てしまおうか。本年度初の授業らしいが、正直どうでも良い。良い子の皆、お休みなさいだ。


   ***


 とは、行かないのだ。果処無村の斬殺事件について、ではなく、燎弥の言った「お別れ会」についてである。このお別れ会というのは果処無村で起きた事件の被害者の弔いというわけではない。

 いや、だが、弔いという言い方もあながち間違いではないことに気が付いてしまった。こんなこと、まったく、気付きたくはなかった。


 それは、誰の「お別れ会」なのか。

 その答えは、彼女、滝沢玲華。


 俺の幼馴染のお別れ会であり、広義に解釈するならば弔いでもあるのだ。彼女は既に死んでいるだとか、これから間もなく死ぬというわけではなく、彼女は単に戦蓮社高校を転校するのだ。

 彼女や俺たちに残されたタイムリミットは実に少なくなってきた。それは、四日後、つまり、四月十七日だ。これは、去年の時点で既に決定された覆せぬ事実であり、到底認められない現実であった。


「衛紀くん、もう授業始まっているんだよ……。具合が悪いのかな?」


 隣に座るお別れ会の張本人は俺の悩みなどまるで知らないかのように、俺に注意を促した。そうだな、確かに彼女の言う通り、世界史の教師は時間通りにやってきて前年度の軽いお浚いを始めていた。ハドリアヌス帝がダキアを征服しただとか(後から玲華に聞いたが、実はダキアを征服したのはハドリアヌス帝ではなく、トラヤヌス帝だと言う)、ヒッタイトのオリエント半島のアナトリア人だとか何だとか(これも玲華に聞いたのだが、オリエントのアナトリア半島のヒッタイト人だと言う。随分、長い住所だな)。だが、もう、改めて言わなくても分かると思うが、授業の話なんてまるで耳に入らない。俺はひたすら空を泳ぐ雲を眺め、考えた。転校してしまう彼女の事を。

 ……余り思い出したくないが、事実は事実なのだ。玲華が文武両道を極めた少女という先の話の続きだが、その「武」というのは単純にスポーツという意味ではなく、魔術技能という意味なのだ。彼女は俺や燎弥、はたまた高校の全生徒の中で最も魔術に秀でた存在であり、全国トップクラスの魔術師であるのだ。日本でも一位と二位を競うそうだ。

 それ故に、その才能をある都市に買われ、その都市に位置する学校への転校が決まったのだ。俺や燎弥を初めとしたクラスメイトの連中は大いに反対したが、彼女自身は転校を最終的に認めた。まあ、最終的と言うのなら、現在、彼女の保護者でもある俺の父さんが最終的に転校を説得したとも言えるから、何だか複雑な気持ちだ。父を恨みたくはなかった。

 しかし、彼女のために言うのであれば、その都市への転校は彼女の将来を確実に豊かにするであろう。何故って、その都市は世界で魔術開発の最先端に立ち、その転校先の学校は世界で最も魔術開発が発展しているのだ。最も魔術開発の進んでいる学校の一つとか、世界で三本指に入るとか、そういう曖昧な表現はいらない。世界一、そうだ。言い淀む必要はない。あの学校は世界一だ。

 だから、ここまでの点を考慮すれば彼女の転校とは実に喜ばしいことであり、進んで彼女を送り出すべきだ。ちょっぴり寂しいが、この俺も喜んで送り出そう。滝沢玲華の門出を祝して、万歳、というヤツだ。


 ところで、当然の事ではあるが、彼女の転校先の学校にも名前が付いている。

 港元帝立第一学園、というのが、彼女の転校先の学校の正式名称だ。


 その通り、彼女は世界の敵であり、俺の出身地で出身校である港元市の学校に転校してしまうということなのだ。と、同時に、彼女は港元市という日本とはまた別の国に引っ越してしまうということになる。

 ほらね、このお別れ会が弔いという意味をも含む理由が分かってきたんじゃないかね。港元市は世界の敵である以上、とりわけ元宗主国(という言い方も少し変だが)である日本国との敵対関係は凄まじいものだ。

 言い換えると、日本国と港元市は現在も戦時中。彼女と今後、一生会えなくなるという意味を持つお別れ会なのだ。

 そういう意味や事情を踏まえて、もう一度言いたい。俺は彼女に転校などしてもらいたくないのだ。それは燎弥も、戦蓮社高校の教師も、その他大勢のクラスメイトにとっても同意見であるはずだ。

 しかし、というかやはり、努力家という一線を通り越して物凄い頑固でもある玲華は、決して永遠の別れに対して弱音を吐いたりしない。だが、それでも最近は特に情緒不安定で、一種の夢遊病を起こしている。彼女は、一人で、溜め込み過ぎなのだ。

 苦しんでいるのは俺だけじゃない、彼女も苦しんでいるのだ。いやあ、もう、頭が真っ白になってき……あ、あれ。何だこれ。


「……世界史、オリエント、ギリシア、ローマのテスト。て、テストだって?」


 はい、正直に申し上げます。

 如何に世界の敵が港元市という悪の根源であっても、そこに彼女が転校してしまおうとも、俺が死ねないだけの魔術師であろうとも、所詮はたかだか普通の男子高生。そんな俺にとっての何よりの敵は、目の前に提示されたような世界史のテストなんですわ。

 っさあ、心機一転だ。彼女の転校の件でいちいちあれこれ悩んでいても仕方がない。既に決定されたことだし。まずは目の前の敵を排除するのみ……!


   ***


「ダーッ! 何で世界史の授業、突然のテストがあるんだよ! というか何でプラトンもキケロも同じタイトルの本書いてんだよッ! オカシイだろォが!」

「……ちゃんと復習してない衛紀くんが悪いんだよ」


 因みに、彼らの記した書物『国家論』のことだ。

 今回のテスト範囲の中心点はオリエントとギリシア、それからローマの繋がり、みたいなところで、やたらとアナトリアや東地中海岸の問題が多かった。教科書の隅っこに記載されていたというアナトリア半島の山間部に住むイサウリア人なんて知るものか。しかも、玲華によればこの民族について多くを触れることになる範囲はもう少し後の範囲だと言うのだから憤死直前だ。こいつらもアナトリア半島の大帝国ヒッタイトの末裔なのかい?

 失礼、怒りをぶつけ過ぎた。現在、嘘くさい例の斬殺事件の影響もあり、学校は俺たちの下校を早めた。緊急下校みたいなやつだ。そういうわけで、俺は玲華と二人で帰宅中だ。

 世界史の抜き打ちテストは余りにも理不尽で不条理に終わったが、早めの下校はラッキーではある。玲華や燎弥から聞いただけだが、死人が出ている以上、ラッキーは流石に不謹慎が過ぎたであろうか。だが、それでも良いのさ。我関せずってな。俺は巻き込まれないし、そもそも、巻き込まれたって死ねないんだから。

 一方で、世界史の抜き打ちテストを満点で切り抜けたアホな燎弥は用事があるとか言ってさっさと一人で帰ってしまった。これは大変ありがたい。多分、数日後の「玲華ちゃんお別れ会」のアポをどっかのお店に取りに行ったのだろう。この村の中ならどうせ駅前のショッピングモールのどこかだろうがな。まあ、つまり、この緊急下校は総じてラッキーだったというわけだ。


「衛紀くん、ほ、ほら、『国家論』と言えばプラトンだよね。プラトンと言えばイデア論で、イデア論と言えば第Ⅲ種魔術群(フィロゾフィ)の魔術だよね!」

「魔術関連はどうでも良い。ややこしくなるからな。っていうか、そのイデア論って何なんだよ。魔術関連でも、物質の最良化とかでイデア論ってのは聞くけど……」


 誠に悔しいが、彼女は俺の瞳に浮かぶ一抹どころじゃない大いなる悩みを感じ、無理矢理話を逸らした。不安というのは、世界史の成績なんかではなくて、彼女自身の転校の件だ。先程は突発的に湧いて出たテストによって思考を遮断されてしまったが、その栓が無い以上、彼女への不安が湧き出るのは仕方がない現象であった。

 また、同時に嫌な感覚もぬめりと背中を這う。彼女の妙に察してくれる姿勢は大変気遣いの出来る良い女の子としての面もあるのだが、俺はそうやって見透かされるのが苦手なのだ。まるで、俺の中に土足で踏み込んで、覗くだけ覗いて逃げ出してしまう、そんな感覚を覚える。


「今日、正に先生が言っていたんだよ。洞窟の比喩って。ほら、我々が見ているのは全部影で、偽物だって話。素人の高校生的には目に見えることが全てじゃない、ってくらいの感覚で良いんじゃないかな」

「目に見えることが全てじゃない、か……」


 それこそ正に玲華は教師のような口調でそう言った後に、洞窟の比喩も『国家論』に記されている旨を付け加えた。彼女の説明は教師の説明なんかよりも百億光年倍(これについてはワザとだ。ツッコミは要らない)に分かりやすい。

 だが、彼女は普段、聞きたい情報以上の追加事項を延々に解説する悪癖があるのだが、本日は割りとすっぱりと解説を終えた。俺は逆にそれが不自然だと思い、彼女の瞳を改めて観察した。

 彼女の瞳は純粋な日本人とは思えないような澄んだ青い瞳を持っている。まるで、刃物で研ぎ澄まされた青玉、サファイアのようだ。但し、少々、彼女の持ち前の魔術と相俟って鋭さが強いサファイア、ってところかな。

 その蒼い瞳には、何か妙にキラキラした輝きを感じる。なるほど、こういう時の彼女はまだ何か言いたいことを隠し、その隠している内容を言いたくて仕方ない時の目だ。まだ何か解説したいのか、それとも、或いは。


「……何が言いたい」

「ふふふ、そうやって確信的な言い方をするってことは、もう気付いたんだよね。衛紀くんのことなら何だって分かるんだよ。私に隠し事は無駄なんだよ」

「そりゃあお前も一緒だ。お前の考えている事なら大体検討が付く」


 玲華によるあらぬ深読み返しを食らって狼狽したが、まあ、確かに隠し事は苦手だからさっさと言ってしまおう。俺は玲華と同じように隠し事が結構苦手だ。俺も彼女も、そういうのはすぐ態度に出てしまうのだろうな。

 それに……この話題への逸らしを行いたい玲華の真意こそ、深読み返しの深読み返しで分かっているからな。なおのこと、付き合ってやろう。


「果処無連続斬殺事件、だろ」

「分かってるじゃん、衛紀くん」


 彼女は自嘲気味に嘯いて、俺に怪しく微笑みかける。

 ブルーのサファイアの瞳が俺を静かに見つめる。

 薄いピンク色の唇が言葉を紡ぐ。


「衛紀くんはあの事件、どこまで知っているのかな?」

「俺があの村について、知っていることは……」


 果処無村は……言葉にしにくいし、差別的な問題も生じかねないから(実際のところ、血縁的、氏族的な差別というものは存在しない)曖昧な言い方しか出来ないが、要は日本国、日本政府と相性の悪い歴史を持つ村なのだ。

 地理的にはこの辺の地名を果処無・戦蓮社と呼ぶらしいが、この果処無・戦蓮社が歴史に登場するのは一五九◯年の織田信長による小田原征伐前後と言われている。また、小田原の征伐、つまり北条家と同時に没落したと言うのだから、その存在は正に彗星のように現れては消える刹那的な存在と言えよう。

 以上の歴史的史観が日本政府の見解だが、果処無村についてのみはそうならなかった、というのがこの辺の郷土資料館とかに勤める学者や学芸員の言い分だ。彼らは言う。果処無村は玲華の遠いご先祖様である滝沢家を中心に度々、時の為政者に楯突いたというのだ。

 というのも、何でもあの織田信長に対抗したという名声が世間に広く届き、果処無の地は一種の「反逆の都」という名誉なのか不名誉なのか判別し難いシンボルを持ったらしい。それ以降、江戸幕府の将軍や明治政府の官僚ら、果ては港元市独立にまで異を唱えて血生臭い戦争と謀略を繰り返したんだとか。

 しかし、昨今では果処無村の村人自体はそんな抵抗運動には碌に興味を持っていない、というのが真実らしい。他ならぬ果処無村の村長の娘、且つ現在の村長である(JKで村長って、ラノベのタイトルでありそうだよな)滝沢玲華が教えてくれたことだ。ただでさえ反逆の都と呼ぶには都らしい要素が無かったのだから、今やそのシンボルも完全に払拭されたのだろう。と言いたいが、シンボルについてはそういうわけでもないらしい。

 今、この村の反逆の都としてのシンボルを使っているのは村人ではなく、野党の政治家や熱心な活動家たちのようだ。政治家や活動家たちからしたら、果処無村という戦いの歴史は反与党、反政権の旗印としてはうってつけの標的だったのだろう。そこで、皆さんの歴史と伝統にかけて私たちは戦いますだとかそんなことを言うのだ。玲華が以前、ため息混じりに教えてくれた。実際、四年前の彼女の両親が命を落とした事件も超左翼勢力の内部リンチやらの余波らしいのだから。

 とういうわけで、今でも、この村では日本政府が有する国防軍とその装備や設備及び資金、米軍基地の撤去、政府による対港元市外交、原子力発電所の廃棄など、様々な問題に対しての反抗を行っているようだ。

 そりゃあ、日本政府と果処無村は非常に相性が悪いのも頷けるわけだ。そんで、そういう歴史、それからその野党勢力の圧力みたいなもので警察の介入も積極的ではないのだろう。難しい話は分からんが。

 っていうことしか知らない。うん、でも、そうだよな。ここが今回のポイントなのだ。警察組織の介入が消極的な故に、全国ではこの事件は大々的に報道されていない。

 どころか、この事件を報道しているのはこの寂れた地域特有の地方新聞と信憑性ゼロな村人同士の噂くらいなのだ。噂に関しては酷いったらありゃあしない。湖の龍神様の祟りだとか、神罰代行の殺人鬼だとか、村の忌まわしい呪いや風習だとか、果てはどこからやってきたと言わんばかりの港元市の陰謀だとか……馬鹿馬鹿しいにも程があるものばかりだ。

 つまりだ、今回の事件に関しての情報は、有るには有るが、まるっきり信用がならないってことだ。言い換えれば、今回の事件についての情報は、全く無いということだ。


「警察が動かないこと。事件についての情報の信憑性自体が薄いこと。それから、事件の舞台が果処無村ってことだ」

「……はあ、ダメダメだよ。衛紀くん」


 玲華は物凄く陰惨な目付きで俺の身体を舐めるようにじろりじろりと見つめ、やがて大きなため息を一つ。もう、玲華が今にも泣きそうで、頼みの綱が切れてしまった……みたいな表情で遠くの山を眺めた。

 なるほど、俺は相当彼女の議論についていけない程稚拙で、愚かしいことを宣ったらしい。何様だ、この野郎。俺にも限度ってもんがある。幼馴染の玲華もそれを知っているだろうが。


「それだと五点くらいしかあげられないんだよ。ああ、百点満点でね。さっきの私の話聞いていた? 目に見えることを信じていてもダメだって」

「俺はその目にさえ例の事件を入れてなかったからな。この程度のミスは目を瞑って、それこそ何も見ないで欲しい。それでも五点はなくね?」

「五点です。はあ、衛紀くんには五十点は取って欲しかったな」


 もう少し良い点数をくれても良いじゃないか。最初はそう思ったものの、何だかそれが駄々を捏ねる子供のようで恥ずかしくなってきた。少しは自分のお頭で考えろってか。馬鹿な俺には厳しい注文ですこと。

 玲華のご期待に添えない残念な俺は気まずくなってこの戦蓮社を縦横に流れるなんとかドラゴンリバー(冗談だ。本当は何とか龍川だ。ド忘れしてしまった)の流れに一瞥をくれてやる。

 四月という春の真っ只中の季節ではあるが、いや、四月という時期だからこそ桜の花弁の残骸が虚しく流れている。そうだ、旧暦では四月は夏の始まりだったはずだ。俺はその花弁の流れから、視線をそのまま川の上流、川の起点である大きな山の方へ移した。

 そこは、俺たちが今歩いているこの位置からだと、首を上げないと見えない程高い位置にある。ここから数十メートル、若しかしたら百メートルくらいの高さにあるかもしれない。そう、その川の上流こそ、例の殺人事件の現場である果処無村のある場所だ。


 あそこで、あの村で、一体、何が起きているんだ?


 閉じられた村の中だけで起こる、斬殺事件。

 村への復讐や、村への悪意。そんな明確な、途轍もなく強い意思がそこにはある気がした。何か、その村に住む者を多く、より多く殺さなければならないという使命とも言えるような意思が。

 いずれ、その強い意思があの小さな村を破滅に追い込むような事態が、起きてしまうのではないだろうか。そんな、とんでもなく嫌な予感が背中を駆け抜けた。具体的には、徐々に近づいてきた我が家のポストに突き刺さっている地方新聞(・・・・)を見た瞬間だ。


「やっぱりね、次の犠牲者が出たんだよ」


 そうこうして、家に帰ると、ポストには案の定、丸められた新聞の緊急号が突き刺さっていた。新聞の大見出し、というか、新聞にはさしたる詳しいことも記されておらず、ただ物騒な漢字の羅列だけが目に飛び込んでくる。

 そこには、こう印字されている。「果処無連続惨殺事件、四人目、五人目の犠牲者」と。昨夜の段階では斬殺されたのは三人だけだったが、今日の昼間だけで一気に二人も斬殺されたということだ。

 そのとんでもなく物騒な羅列以外に、新聞には小さな果処無の村の地図が印刷されていた。それだけならただの地図なのだが、思わず眉間に皺を寄せてしまうような赤いばってんの印が疎らに五個記されていた。

 玲華も俺の持っている緊急号の見出しを横から見て眉間に皺を寄せた。彼女でもこんな真っ昼間にも斬殺が行われたとは考えてはいなかったのだろう。それはそうだ、この謎の斬殺事件が、加速し始めているのだから。

 俺も本気でこの問題に対して危機感を抱かなければならないだろう。村は違えど、すぐ近くには飢えた狼のような殺人鬼が潜んでいるのだ。


 うっかりでは済まされない領域。

 子供の言い訳が通用しない世界。


 そこで、ようやく、この段階に来て平和ボケの俺は思った。

 閲覧禁止のエリアを、覗き込んでしまったのではないか。

 その罰やペナルティーが、下されるのではないか。

 このエリアから、抜け出せないのではないか。


「ふふ、衛紀くん。今日は宿題も無いから、いっぱい考えてね」

「お前の話も聞かせてくれよ。俺は考える脳の無い馬鹿高校生なんだから。だいたい、玲華はもうこの謎が分かっているのか?」

「内緒だよ。ふふふ」 


 サファイアの瞳をよりキラキラと怪しく輝かせ、彼女は先に玄関に向かった。

 そのツヤのある美しい黒髪が流麗な、妖しい線を残す。


 雲一つないお昼の青い空に、白い光が俺たちの頭上で輝き、地面に黒い影を投影する。

 真っ青な空と、真っ白な光。そして、真っ黒な影。

 その真っ黒な影は、どこか俺の心の中さえも投影しているのではないかと思わされた。

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