表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誰でも勇者になれる世界  作者: ゆゆゆゆゆ
第1章 勇者が誕生するまでの話
5/27

第5話 「見た目は幼女、頭脳はアダルト」

「はぁ……あまり来たくはないのですが……」

 高野さんは溜息と共にそう言葉を漏らしたかと思うと意を決したようにドアをノックする。

 そして扉の向こう側から発せられた返事に僕は思わず心のなかで突っ込んでしまった。




「はいってまーす」




(……トイレ?……それに声がなんというか……幼女?)


 その言葉を聞いた高野さんは再び溜息をつくとドアノブに手を掛けようやく僕に口を開いてくれた。


「はぁ……須藤さん、私に続いてこの部屋に入ってください。それと……須藤さんの宗教観は存じておりませんがくれぐれも……くれぐれもッ!!……ショックを受けない様どうかお願い致します」

「わ、分かりました……」


 あまりにも念を入れてくる高野さんに僕は思わずたじろんでしまう。

 そして高野さんは手に掛けていたドアノブを回し扉を開いた。

 その瞬間ドアの向こうから影が飛び出してきて---


「た・か・の・く~ん♥」


 その影は高野さんに抱きついた。

 

 高野さんに抱きついたその影の正体は---可愛らしい幼女だった。

 見た目的には10歳そこらという印象を受ける。

 ピンクや緑を基調とした巫女服に近い明るい服装、そして服とは対照的に、まるでその奥に宇宙空間が広がるかの様な奥行きのある美しく長い黒髪が絶妙なバランスを保っている。

 そしてなにより、その幼女は『神々しい』という形容以外の言葉が見つからない雰囲気を醸し出していた。

 この子が町中でも歩けば警察に捕まるような事をする紳士---いや、馬鹿が出てきてもおかしくないだろう。


 そして僕はその幼女を見た瞬間、まだ紹介すらされていないにも関わらず本能的に理解した。


(ああ……この可愛らしい幼女が神様なんだ) 


 確かに見る人が見ればショックを受けるのも分かる気がした。


(でも見た目は幼女でも明らかにただの幼女ではないし、むしろこんな神様なら泣いて拝む人が出てくる可能性もある……?高野さんがあんなに念を押すほどの事でもないような気が---)


 そう思いつつ幼女の抱きつき攻撃を受けている高野さんを見るが、彼女は困惑した笑みを浮かべているものの至って冷静であった。

 そしてドアを開けてすぐに抱きつかれたため未だ部屋の中に入れていない僕らの現状を変えようと口を開くが---


「……中にはいりますよ」

「えっ……私の……?……高野くんなら……いいよ?(赤らむ頬)」





 高野さんがショックを受けない様に言ってくれた本当の意味が分かった気がした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ