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誰でも勇者になれる世界  作者: ゆゆゆゆゆ
第3章 勇者に友達ができる話
26/27

第26話 「てんねんたらし」

……エタらないようにチビチビ頑張ります……

 僕の目の前にいる3人は明らかに納得出来ない顔をしている。

 我ながら白々しい返答だと思ったが、こればかりはどうしようもない。

 

(こういう時は逃げるが一番か)


「あの……そろそろ僕達は入学式がありますのでこれで失礼させていただきますね?ほら、君も新入生でしょ?一緒に行こう」

「あっ、う、うん」


 これ以上詮索されて面倒なことになってもまずいので入学式という大義名分のもと銀髪の女の子の手をとってこの場を後にする。


「何勝手に行こうとしてやがる!!待ちやがれこの糞ガキ!!」

「……逃がさない……」


 やっぱりそう簡単に行かせてはもらえないかと頭を抱えそうになると---


「いや、確かにそろそろ式もはじまるだろう。これ以上引き止めてもお互い(・・・)後々面倒になる」


 意外にも物分かりの良いレノン様の発言でキースと取り巻き2の女性も渋々引き下がってくれた。

 思わず去ろうとしていた体の向きを変え、レノン様の方を見れば、あちらも僕をじっと見つめてきた。


「君、名前はなんというんだい?」

「ええと……名乗るほどの者ではございませんので……」

「あぁ、よく見たら君もずいぶんと可愛らしい顔をしているね。それに……綺麗な金髪だ」


(あっ……この人、深く関わったらダメな人だ)


 先ほどとは打って変わって恍惚の表情を浮かべて僕を品定めするようなレノン様の視線に悪寒が走った。 


「そ、それじゃあ失礼します!!」


 その視線から早く逃れるべく、銀髪の女の子の手を引きながらその場を走り去った。


(そう言えば取り巻き2の女性の名前だけ分からなかったな。まあ別に関係ないしいいか)




























「面白そうな子を見つけたなぁ……」















§§§§§§§§§§§§§§§§



「ふぅ」

「はぁ、はぁ」


 噴水広場の所まで戻ってきた所で走っていた足を止める。

 先ほどまで多くの人が行き来していたが式の時間が近いためか広場には僕達しかいなかった。

 そしてここまで来てようやく僕は気づく。


(思わず手を引いてここまで走ってきたけど、今の僕の身体能力で引っ張ってきちゃって大丈夫だったかな……?)


 先ほどまで掴んでいた手を離し後ろを振り向けば膝に手をつきながら息も切れ切れな銀髪の女の子の姿があった。


「大丈夫?」

「はぁ、はぁ、だ、大丈夫」


 どう見ても大丈夫ではなさそうであるが少し休めば大丈夫だろうと判断した僕は女の子を噴水のそばに備えられたベンチに連れて行き一緒に座る。

 しばらく休んでいると女の子の息も整ってきたようなので改めて声をかける。


「さっきはいきなり引っ張ってきちゃってごめんね」

「ううん、こっちこそ助けてくれてありがとう」

「それで、いきなりで悪いんだけど君の名前ってもしかしてカナンて言わないかな?」

「えっ?そうだけど何で私の名前……」


 どうやら僕の勘は正しかったようである。


「ああ、いきなりごめんね。僕の名前はヒロマサって言うんだけど覚えてないかな?」


(確か最後に会ったのは3歳くらいの頃だったし、流石に覚えていないかな?)


「ヒロマサ……あっ、もしかしてアルフレッド様の?」

「そうそう。よく覚えてたね」

「えっと、ずっと前に会ったことがあった……よね?」

「うん。何年か前に父さんとアレッディオ様のお屋敷を訪ねた時にね」


といっても当時はお互い小さかったので少し挨拶をした位だった気がする。


「それにしてもよく覚えていたね」

「ううん、最初は誰か分からなかったけど名前と……その、綺麗な髪の色で思い出したの」 


(そう言えばアルフレッドとアレッディオさんと僕以外で金髪の人は見たことがないな……まあ銀髪の人もエミーさん以外見たことがないけど……髪の色って何か特別な意味があるのかな?)


「でも、その……よく私がカナンだって分かったね」


そりゃあ出会った当時の僕の精神年齢からすれば忘れるわけは無いであろうし、数年程度の成長があったとしても自身で予め想定していれば人物を特定することは難しいことではないだろう。

むしろこの問いにどう答えるかの方が難しい。

「君と出会った時の僕はもう大人だったからね」と素直に答えるわけにはいかない。


(まあこの場合は相手の言葉を借りるのが一番かな)


「えーと、僕も君の綺麗な銀髪の事を覚えててね」


そう言いながら目線をずらすとその綺麗な銀髪は風に美しくなびいいており、僕はついそのなびく髪を手で受け止め指でクルクルしてしまった。

何時だか触れた幼女の髪に劣らない触り心地である。


(うーん、猫じゃらしに魅かれる猫はこんな気分なんだろうか)


「あ、あの……」


声の方へ視線を戻せば先ほどよりも赤みを増したカナンの顔があった。

やはり急に走ったせいであろうか、また少し呼吸も早くなっているようだ。


「ああ、ごめんね。大丈夫?もう少し休む?」

「ううん……だ、大丈夫……ありがとう」

「本当に?さっきより顔が赤くなってるけど……もしかして熱でもあるんじゃあ---」


 僕は自身のおでこをカナンのおでこにくっつける。


「っ……!!ぁ……ぁぅ……」

「うーん、そこまで熱はなさそうだね」


 おでこを離すと心なしか先ほどよりもカナンの顔の赤みが増しているような気がした。


「あっ、そろそろ行かないと入学式が始まっちゃうかな。カナンちゃん立てる?」

「ふぁ……ふぁぃ……」


 ゆっくりと立ち上がったカナンだがどうやら足取りがおぼつかないようだ。

 

「大丈夫?ほら、手を貸して?」


 僕は罪悪感からかカナンの手を引きつつ今度はゆっくりと歩き出す。


「うぅ……」


 後ろから聞こえるか細い声に何かまずいことをしてしまったのだろうかと不安を抱えつつ、僕達は入学式の会場へ向かった。












実際こんなことしたら事案ですわ……

なんか王道?テンプレって逆に書くの難しい気が……

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