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誰でも勇者になれる世界  作者: ゆゆゆゆゆ
第3章 勇者に友達ができる話
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第22話 「彼のひと撫ではケルベロスを番犬に」

 早いもので僕がセトナに転生してからもう4年が経ち僕は5歳になった。


 舌足らずもなくなったし、お風呂やトイレも自分一人でできるようになった。


 おねしょだって他の子よりも早く卒業した。


 けれど何故だろうか---


 セトナに来てから僕はちっとも成長していない気がした。













誰でも勇者になれる世界


第3章 勇者に友達ができる話













 セトナでは5歳から5年間学校へ通う。これは所謂義務教育だ。

 その後、通常であれば各々家業の手伝いをしたり就職をする。

 僕の前世では考えられないことであるが、この世界では子供も立派な労働力として扱われているようだ。

 ただし優秀な生徒は更に5年間、高等教育機関に進学し高度な勉強をすることができる。

 この高等教育機関を卒業したものはあらゆる分野から引く手数多で所謂エリートコース行きはまず保証される。まさにプラチナチケットである。 

 しかし進学できる子供は全体の5%ほどだ。入手度的にもまさにプラチナチケットというわけである。


「失礼致します。ヒロマサ様、ご準備はよろしいでしょうか」

「大丈夫だよ、マリーさん」


 そして今日は僕がその学校---サンオー学園に入学する日である。

 セトナの学校にも所謂学区というものが存在し、子供が通う学校はその子供が住んでいる島に依存する。

 島によっては学園がないところもあるため、その場合、島間の連絡船を使って通学するか学園内にある寮で生活をすることになる。

 5歳の頃から船通学、寮生活をしなければならないセトナの子供は大変だと思う。

 しかし、幸いなことに僕の住むサンオー島には学校がある。しかも僕の住む町、サンコスタにだ。

 そしてその学校こそがサンオー学園である。この学園にはサンオー島周辺の島の子供達が通っており、王都にある学園に次ぐ規模を持つ。

 

「ああ、よくお似合いですよ」

「ありがとうございます、マリーさん」


 今日は入学式ということもあり、僕はスーツに見を包んでいる。

 ただし、ズボンは半ズボンであるためあまり大人っぽさは感じない。


「ヒロマサ様、ネクタイが曲がっておりますよ」


 そう言うとマリーさんは僕の首元にある黄色いネクタイに手を伸ばし、軽く締め直してくれる。

 なんだか妙に照れくさい。


「……ありがとうございます」

「はい、これで完璧です」


 アルフレッド様とセリーヌ様も既に準備を済ませておりますので外へ参りましょう。

 そうしてマリーさん共に僕は自室を後にした。







 外には既に馬車が用意されており、馬車の前ではアルフレッドとセリーヌが待っていた。


「お待たせして申し訳ありませんでした父様、母様」

「おお、来たかヒロマサ。準備は---完璧だな……」

「ええ、完璧ですわ……」

「私も同意見でございます」


 僕を見て目を細めるアルフレッドとセリーヌ、そして2人の言葉に頷くマリーさん。

 既に見慣れた光景であるため僕は気にせず馬車のドアへ向かう。


「それでは行きましょうか。ああ、その前に---」


 馬車に乗車する前に馬車に繋がれている馬の所へ向かう。


「おはようポチ、今日はよろしく頼む」

「フヒーン!!」


 僕の身長ではまだポチの頭を撫でることはできないが、ポチがねだるように頭を下げてくるため容易に撫でることが可能だ。

 このポチの行動も今では見慣れたものである。

 そして僕はポチの頭を撫でるのだが---


「フヘェェー……」


 ポチの顔はなんというか恍惚としたものだった。

 どうやら僕の撫で撫ではかなり心地が良いことが分かっている。

 パネルで僕のステータスを見ると称号:【神を撫でし者】と表示されていたためヘルプで調べた所『その者のひと撫では神をも虜にする』らしい。

 以前、そんなまさかと思いふざけてマリーさんの頭を撫でてしまった時、この称号の意味を嫌という程味わったので効果については間違いないと思っている。

 称号については何かしらの特殊能力と紐付いているようだ。


「さて、そろそろ行こうか」

「フェ……」


 そろそろ時間もないので出発するため撫でるのをやめるととても名残惜しそうな声をあげるポチ。


「はぁ……また帰ったら撫でてやるから」

「フヒヒーン!!」


 ものすごく嬉しそうである。


「あの年でポチを手玉に取るとは……ヒロマサのやついったいどこまで……っ」

「末恐ろしいですね……」

「ああ、ポチが羨ましいわ……今度私のことも撫でてくれないかしら」

「……父様もマリーさんも勝手に人のことを恐れないでください。それと母様、それ普通は親と子が逆ですからね」

 

 そう突っ込みつつ僕たちは馬車に乗り込みサンオー学園に向けて出発するのであった。






 実のところ僕はサンコスタの町へは片手で数えるほどしか行ったことがない。

 そりゃまだ小さな子供が町に行く用事などないし、外に出ずともメイドさんたちが必要な物を揃えてくれるのだから尚更町への道は遠のくばかりであった。

 最初に行ったのは、アルフレッドの弟であるアレッディオさんとエミーさんの娘さんが初めて喋ったお祝いに参加する時だ。

 実はアレッディオさんはサンオー島のすぐ隣あるカータ島の島主で初めて知った時は「兄弟で島主とかハイスペックな兄弟過ぎる……」と驚いた記憶がある。

 そのため、アレッディオさんたちが住むカータ島に向かうための連絡船に乗るためサンコスタの町を通ったというわけだ。

 馬車で港へ向かう途中に窓から見るだけであったが、サンコスタの町は活気に溢れた良い雰囲気の港町という印象を受けた。

 そしてそんな町を含めた島を治めるアルフレッドに少しだけ僕は尊敬の念を抱いた。

 そういえばカータ島のアレッディオさんの屋敷でアレッディオさんの娘さんに会ったが僕と同い年であった。

 確か名前は……カナン……だったと思う。

 銀髪が綺麗な子だったことは覚えている。

 カータ島には学校は無かったので彼女もサンオー学園に通うはずだし、きっと入学式で会うことになるだろう。






 











 一応、僕の従兄弟に当たるわけだからその子だけとは(・・・・)仲良くしよう。

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