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誰でも勇者になれる世界  作者: ゆゆゆゆゆ
第2章 勇者がいろいろ知ったりする話
16/27

第16話 「これはいつか出会うパターン」

いつの間にか3000PV&1000ユニークありがとうございます。

「……それで、これはどういうことなのか説明してもらえますか?」


 ひとまずこの状況を把握しなければいけないと思い僕は目の前の幼女に尋ねる。


「なんじゃ?以前言ったではないか。『近いうちに』会えると」

「いや、まあ、それは確かにそうでしたけど……」

「なんじゃ?広将は私に会えて嬉しくないのか!?」


(だめだ、会話が噛み合っていない……)


 狼狽してる僕を余所にその幼女はテテテっと僕に駆け寄り---


「とうっ!!」


 そう言いって僕に抱きついてきたかと思うと頭の天辺を僕に向けてくる。

 言葉に出していないはずなのにその頭からは『撫でるのじゃ!!』と言う声が聞こえてくるようだっ

た。

 撫でなければ開放してもらえない雰囲気であったのでひとまずその幼女の頭を撫でる。相変わらず綺麗な髪だ。


「ふわぁ……///やはり、お主のナデナデスキルは相当のものじゃな……」

「はぁ……そうですか……」

「やはり私専属ナデリストにすべきであったか……どうじゃ広将、死んだら私の下に来ぬか?」

「ハハッ……1歳で死後の就職先が決まるなんてウレシイデス……」


 白い部屋内に僕の乾いた笑い声が響くと同時に---


「2人ともなに和んでいるんですか!!神様もいつまでも須藤さんにくっついていないで離れてください!!」


 高野さんの声が僕の笑い声をかき消した。


(僕は別に和んでないんだけどなぁ……) 


「なんじゃ?私が羨ましいのか?ん?」


 からかうようなニヤニヤした表情で幼女は高野さんを見返す。


「……」


 高野さんは何も言わずただ笑っている---だがその笑顔が喜怒哀楽のどの感情によってもたらされたものであるかは想像に難くない。

 だがその幼女には想像ができなかったようだ。


「なんじゃ?いつの間に私達の近くに寄って来おって。どうしてもと言うなら変わってやらんことも---」


 その幼女の口は最後まで言葉を発し終えることはできなかった。


 高野さんの手が幼女に伸ばされ---……そこから先の幼女に起きた出来事(悲劇)についてはあまり思い出したくはない。


 ただひとつ言えるのは、あまり高野さんを怒らせてはいけないということだ。










「……そ、それで、何でお二人がここに?」

「私にも分かりません。急に部屋に呼ばれたと思ったらいつの間にかここに……」

「それじゃあ……」

「そうですね……」


 そうして僕と高野さんは現状を作り出したであろう人物へ説明を求めるため視線を向ける。








「はぁ///はぁ……んっ///」


 真っ白な床に横たわり時折体をビクンッと震わせている幼女から説明をしてもらえるまでにはもう少し時間がかかりそうであった。




§§§§§§§§§§§§§§§§




「ふぅ……今回はいつにも増して強烈じゃったのう……」

「では、それそろ説明していただけますか?」

「ん?何についての説明じゃ?」


 高野さんにの問に対してその幼女は惚けているとかそういったものは一切ない---心の底から『何の説明をしろと?』と思った顔をしている。


「あの……なんでお二人がここにいるのか説明してもらいたいんですけど」

「なんじゃ、お主はこの世界の誰かから『受名の儀』についての説明を聞いておらんのか?」

「いえ、説明は聞きましたけど……」

「ならばそういうことじゃ」


(どういうことですか……)


「つまり……受名の儀では本当に神様と対話をするということなんですか……?」

「うむ、そうじゃ」


(フィアラさんの説明は本当だったのか……)


「ちょっと待ってください……受名の儀については神様の神務(しんむ)ですし、私にも多少の知識はあります。なので現状は大体把握しました……それじゃあ何故私もここに来ることになったんでしょうか?」


 高野さんがその疑問を口にする。

 確かに百歩譲って受名の儀のために神様がここに現れるのは良いとして、高野さんまで現れる理由はないはずだ。


「何故って、高野くんが広将のことを気にし「わあああああああああああ分かりました分かりましたこの話はおしまいです。私はたまたま巻き込まれただけです!!」」


 幼女の言葉が途中で遮られてしまったため、理由はよく分からないが高野さんの言っていることが明らかに支離滅裂であることは分かった。ただ高野さんがこれ以上言及するなと言っているならそれで良いだろう。


「そもそもなんでこの世界には受名の儀なんてものがあるんですか?これ、相当面倒な儀式の気がするんですけど」

「やはりお主もそう思うか!!」


(……ん?これって神様が決めたことじゃないのか?)


「私も忙しい身でのう、正直な所いちいちこのようなことはしたくないのじゃよ」


(なんだろう……『神様』の口からはこんな言葉は聞きたくなかったなぁ……)


 その後も---『だいたい名前くらい神ではなく自分たちで決めればようじゃろう』とか『腹いせでわざと変な名前をつけてやったこともあったのう』等々、幼女の口から愚痴まがいな言葉が紡がれるに連れ、僕の頭の中では『神とは何であるか?』という哲学的な問が肥大化していくのを感じた。

 幼女は相当鬱憤が溜まっていたのか未だ言葉が途切れない。

 僕は質問先を変えることにした。


「高野さんも受名の儀を知っているみたいでしたけど、この儀式ってそもそもなんなんですか?」

「あー……それはですね……」


 高野さんはあきらかに言葉に詰まっている。


「うむ、それは私の前任の神のせいじゃな」


 言葉を詰まらせている高野さんの代わりに、言いたいことを言い終えてスッキリした顔をした幼女が答える。


「前任の神?」

「神は天界の議会の指名で選ばれるのじゃよ。任期はお主の時間間隔でいうところの1000年じゃ」

「1000年……」


 僕にとっては永遠とも言える長さだった。


「それでその前任の神は少々変わった嗜好を持っておってのう」

「……どういうことですか?」


 僕のその問には今まで口を閉じていた高野さんが答えてくれた。


「えーとですね、つまり……その方は……小さな子供が大好きだったんです……それで神様の権限を濫用して世界の改竄を……」

「……」


 はっきり言って僕はドン引きしていた。

 大人は入れな(・・・・・・)い密室の空間(・・・・・・)室内での記憶(・・・・・・)を失う子供(・・・・・)、完全にアウトである。


「あっ、誤解をなさらないように言っておきますが、小さな子供が好きというのは純粋な意味でですよ!!小動物を愛でるとかそういう意味ですよ!!」


(なんだ、それなら……いやいや、それでも本質は対して変わらない気が……)


「まぁそれが原因で議会で不信任案が出されて失職したのじゃがな。たしか私情で色々な世界に干渉した罰で神の力を取り上げられて何処かの世界へ落とされたはずじゃ」


 その議会は妥当な判断をしたと思った。


「そして代わりに選ばれたのが私というわけじゃ」


 その議会は妥当な判断をしたのかなあと思った。


「もしかしたらその者もセトナにいるかもしれんぞ?」


その元神様が僕の前に現れないことを---もし現れるとしても僕がもう少し成長してからであることを願う僕であった。

この章は説明章なので退屈かもしれませんがもう少しでスキルやら魔法ネタが出ると思います。たぶん。

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