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074 強さ

■強さ■




一方地球では、和人は、エルフィアでの女神さま発言がエルフィアにおいてここまで大変なことになっているなど、知る由もなかった。ユティスとの通信が1日とはいえ途絶え、和人はすっかり落ち込んでいた。


「あいつ、ユティスと本当になんかあったな?」

早速、国分寺姉弟は和人の様子に気づいた。


「ケンカじゃなさそうよ」

「確かめてくる」

「お願い」




二宮も和人の様子がおかしいのに気づいていた。


石橋は、そんな和人を見て胸が締め付けられた。


「真紀社長・・・、和人さん・・・」

「ちょっと、様子が変ね」


「最近、時々そうなんです。だれもいない空間に視線があって、まるで見えないだれかに話しかけているようなんです。わたし、和人さんのなんの役にもたってない・・・」

「これこれ、役にたってないなんかないわ。石橋、あなたがいなきゃ、和人の仕事もできないし、会社だってもたないわよ」


「そんな、見えすいたお世辞なんか、いりません・・・」

「素直じゃないわねぇ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「どうせ、そうです・・・」

「はい、はい。もっと冷静に見ようよ、なにごともね」

「・・・」


「今日のところは、和人、俊介に任せようね?」

「はい・・・」




二宮が和人に落ち込んでいるわけを確かめ、なんとか元気付けようとしていた。


「おまえ、たった1日ユティスと話せなかったくらいでいちいち落ち込むなって。彼女にだってそれなりの理由があるだろう?ほれ、こっちに来るための準備とか、調査とか、チケット手配とか」

「チケットですか?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「え、いらないのか、地球までの?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「エルフィアはお金による経済じゃないんです、先輩」

「わかった。わかってるって。身体で支払うんだろ?むひひひ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「・・・」

「なんだよ?」


「先輩に貸してるお金、現金で返してくださいね」

「はいよ、地球人め」


--- ^_^ わっはっは! ---


「とはいっても、確かに一言くらい連絡あったってなぁ・・・」

「ふぅ・・・」


とその時だった。

ぴっ・・・。


「どうした?」

「来た。プライベートラインです!」


「ユティスか?」

「たぶん。ちょっとシステム室に行ってきます」。


たったった・・・。


「オレに聞かれちゃ困るってかぁ?」

「ユティスが怖がりますんで・・・」


ぴきぴきっ・・・。


--- ^_^ わっはっは! ---


「野郎、ぶっ殺されたいかぁ!」




「どうしたのよ?」

真紀がシステム室に入る和人を見ながら、怒りまくってる二宮に尋ねた。


「来たらしいんすよぉ」

「お迎え?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「縁起でもない!だれが臨終前ですか!」

「てっきり、あなたかと思った。血管切れそうみたいだし・・・」

「ひぇーーーー、そりゃないっすよぉ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ユティスからか、だれかから、とにかくエルフィアから連絡が来たらしんですぅ・・・」

「わかったわ。システム室には誰も入れないようにする」




アンニフィルドはプライベートラインで和人を呼び出した。


「和人。わたしよ。アンニフィルド・・・」

「アンニフィルドか・・・。よかった。もう、エルフィアと通信できないのかと思っちゃった・・・」


「なに言ってるのよ」

「ユティスは?」

和人は、アンニフィルドから呼びかけが来たので、不思議に思った。


「ええ、それそれ。それのことだけど・・・」


アンニフィルドからユティスの急を告げられるや、和人は目の前が真っ暗になった。


「そのトルフォって・・・、だれなの?」

和人はトルフォがなにものかよく知らなかった。


「男よ」

「・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「なによ?」

「それだけなの?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「そうね、まだあるわ。背がでかいかなぁ。長髪で挑発的で、髯に顔生やした、いけ好かないヤツよぉ」

「髯にどうやって顔生やすんだい?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あれ?変かしら・・・?」

「もういい・・・。で、ユティスは、大丈夫なの?」


「ええ。トルフォになにかされたわけじゃないわ。だから、あなたがユティスを支えてしっかり守ってあげなくちゃ。わかるでしょ?」

「リーエス・・・」

和人は不安だった。


(オレはエルフィアでは精神体だし、物理的にはユティスになんの助けもできない・・・精神体のオレが、トルフォの企みに対してユティスを守る何ができるのだろうか・・・)


「それでね・・・」


(女神さま宣誓。ユティスはオレの言葉にまだ応えていないんだ。トルフォとかいう背がでかくて長髪で挑発的で髯に顔生やしたいけ好かないヤツは、このことを知っているんだろうか?)


--- ^_^ わっはっは! ---


「ちょっとぉ、和人、聞いてる?」

「リ、リーエス・・・」


アンニフィルドは、ユティスに対する和人の煮え切らない態度にやきもきした。


「あのね、王子さま。なにをご心配されてんですか?エルフィアと地球がなんなのよ。王女さまが好きなら、ちゃんと愛していると伝えなさい。うまくいかなければなによ?最後にうまくいけばいいんでしょ。うまくいくにはどうすればいいかだけを考えなさい。王女さまを海賊に取られてもいいの?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「絶対に嫌だ。そんなことは、考えたくもない・・・」

和人は素直に答えた。


「もしもの時には、精神体のまま、トルフォに対決するしかないわ。覚悟はある、和人?」

アンニフィルドは現実を伝えた。


「どうやって?」

「ユティスが大切なら、それくらい自分で考えなさい。ユティスの気持ちをわかってあげた方が勝ちよ。トルフォの目の前でやるしかないわね」


「精神体で、どう勝負するんだよ?」

精神体でしかない和人には、まったく分がないように思えた。


いらいら・・・。


「ん、もう!和人、あなた100億光年先までぶっとばされたいの?」


--- ^_^ わっはっは! ---


ぶっとばしたくても、精神体の和人に手は出せなかったので、アンニフィルドは余計にいらだった。


「じれったいわね。男なら、好きな娘一人守れないでどうするの?」

「ごめん・・・」

「誤るな!」


しゅん・・・。


--- ^_^ わっはっは! ---


「それから・・・」

「それからなに?」


「超重要なことよ」

アンニフィルドは続けた。


「地球がどこにあるか、今すぐはっきりさせたいの。座標がわかんなきゃ、ユティスが行こうにもいけないじゃない。ユティスが言ってたけど、今のあなたの情報じゃまったく不十分だわ。和人、あなたユティスと会いたい、実際に?」


「そりゃ、もちろん!」

「だったら、ユティスが地球に行くためには、それが必要ってことくらいわかるわよね?」

「ああ・・・。リーエス」


「じゃぁ、なんで、ほったらかしにしとくのよぉ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「別に『わざと』じゃない・・・」

「『かずと』ね?」

「もしもし?言葉で遊ばないでくれますでしょうか、お嬢さん・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「なんで、調べないわけ?」

「オレ、天文学の明るい人間知らないんだ・・・」


「インターネットとかで調べりゃいいじゃない」

「オレ、エルフィアのことしゃべれるような気心知れた人はいないんだ。本当に・・・」


「だれかの伝手をたどるとかあるでしょう?とにかく調べ続けること。いい?」

「ああ・・・」


「特に大切なのは天の川銀河の実際の姿。そして、周りの銀河との位置関係。詳しい銀河地図が必要になるわね。それに、銀河内における太陽とその周りの星との位置関係よ。正確な情報が欲しいわ。できる、あなたに?」


「たぶん・・・」

「たぶん?」

ぎろっ。


--- ^_^ わっはっは! ---


「いや、するよ」

「よろしい」

アンニフィルドは、和人の言葉を確かめるように、見つめた。


「じゃあ、今から、エルフィア銀河の周りの銀河との位置関係を教えるわ。覚えるか、メモを取るかしなさい。そこから天の川銀河がどの位置にあるか算出する参考にして。少なく見積っても、半径20~30億光年くらいの範囲で探すことになるわね」


「えー、30億光年だって?」

「不足?」 


--- ^_^ わっはっは! ---


「いや、あんまりスケールが大きいんで想像もつかない・・・」


「いいこと、エルフィア銀河は、2000以上の銀河が集まるエルフィア銀河団の中にあるの。この銀河団は、さらに周辺の銀河団と重なり合いながらエルフィア銀河スーパークラスタを形成していて、泡状に長く広がっているわ。端から端まで、1億光年以上あるわね。その、エルフィア銀河団の一番中心的なのが、ワルファレラ大銀河。紡錘状の10兆個の星からなる特別に大きな銀河よ。ここまで大きい楕円銀河は、近くにそうはないから、これを目印にして探せると思うわ。それから・・・」


アンニフィルドの説明が、3Dイメージ図とともに続いた。


「エルフィアの位置がわかれば、エルフィアが地球からどの位置にあるかを、すぐに知らせてよ。わたしたちが、最終的に地球の位置を特定する大きな手がかりになるから。わかった?」


「だいたい・・・」

「だいたいですって?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「いえ、わかりました」


「しっかりしてよ、和人」

「リーエス・・・」


「これね、わかると思うけど、超機密事項なのよ。エルフィアの宇宙座標。普通、文明カテゴリー2の世界には、どんなことがあっても、決して明かさないわ」


「ユティスもそのようなことを・・・」

「リーエス」


「オレを、そんなに信用していいのかい?」

「リーエス。エルドの指示よ。ユティスの信用を勝ち取った男なら、間違いはないわ。和人、あなただけが頼りなの」


ぱち。

アンニフィルドは、気持ちを込めて、和人にウィンクをした。


どきっ。


(色っぽすぎるよ、アンニフィルド・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


「嬉しいわ、和人!」

「聞こえちゃった・・・」

「自分に正直な男、好きよ」




システム室から出てきた和人に俊介が確認を急いだ。


「なにいぃ!おまえについに恋敵が現れたってことかぁ?」

国分寺はなんとも複雑な表情をした。


--- ^_^ わっはっは! ---


「あれだけ可愛いいんだから、そりゃいるでしょ」

二宮は当然だという顔をした。


「一人や二人で済むわけがないか。それで、和人、おまえはどうするつもりだ?」

「そのアンニフィルドとかいうユティスの友人は、トルフォと対決しろって」

和人は二人を見つめた。


にた・・・。

「決闘かぁ・・・」

二宮が目を輝かせた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「穏やかじゃないな・・・」

「いえ、そうではないと思います。超高文明世界のエルフィア人が、そんな野蛮なことをするとは思えません」


つかつか・・・。


「甘いわね。女性をめぐる男性間の問題解決方法は、昔から、そうそう変わらないわ」

真紀が3人に割って入った。


「女はね、連れ合い候補には、まず強さも望むものよ。わたしを守ってくれる。そして、わたしだけに優しい。わたしだけに見せる繊細さ、優しさ、思いやり」


「単に、優しい人ってわけじゃないのか・・・」


「そうよ。勘違いしてる男が多いけど。誰にも負けないだけ強くて、わたしだけに特別優しいよ。わかる?」

「なんとなく」


「そうかといって、強さを見せびらかしたり、他の女の子に冷たくしたりってわけじゃないわよ。普通でいいの」

「難しいです」


「できない、難しいは、禁句よ。どうやったらできるかだけを考えなさい」

「はい」


「まかせとけ、和人。さぁ、これからオレがきっちりしごいてやる」


がしっ。

二宮はファイティングポーズをとった。


「二宮、今は勤務中なんだけど・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あれ、これも仕事じゃぁ・・・」

「のわけないですよ、先輩」


「ちぇ・・・」

「ん、ん!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「和人ね、強さってのは暴力や体力とは限らないの。美貌も力よ。知恵、知識、技量、心の器、財力、人脈、いくらだってあるでしょ。要は、相手を打ち負かせる力があるってこと。彼女を守れるということの証明よ」


「和人、そのうちのどれか一つでもあるのか?」

俊介は答えは知ってると言わんばかりに聞いた。


「はぁ・・・」

和人は答える代わりにため息をついた。


--- ^_^ わっはっは! ---


がっくり・・・。


3人もやっぱりかという表情をした。


「ま、こいつにできることといえば、ギャグくらいかな。このオレもギクッとする時があるよな、和人のツッコミで」

「二宮先輩には鍛えられましたから・・・」


「ほれ」

「ギャグか・・・」


「うん。確かにユーモアやギャグも強さになるわね。いいこと言うじゃないの、二宮も」

真紀はパッと笑顔になった。


「和人、忘れたらダメよ。ユーモア、ツッコミだわ!」

「そんなもんで、あのトルフォに対抗できるのかなぁ?」


「バカもん。今からそんな弱気でどうする!」

俊介が和人の側で唸った。


どかーん。

二宮がハッパをかけた。


「それで、肝心な話をしてきたんだろ?」

「はい。エルフィアは地球の座標が知りたいと・・・」


「そうだろうな。やっときたか。よし、そっちはオレがなんとかしよう」


「常務、天文学者にお知り合いいるんですか?」

「ああ。T大の宇宙博士を知っている。高根沢教授だ。残念ながら美女ではない。普通の親父さんだ」


--- ^_^ わっはっは! ---


じろり・・・。

「俊介ぇ・・・」

真紀が俊介を睨んだ。


「それはさておき、教授は世界でも最高レベルの宇宙研究者だ。オレが学生時代に世話になった人間だ。彼なら協力をしてくれるだろう。じいさんから話をつけてもらうことにする」


かくして、地球の宇宙座標が系外銀河レベル、銀河内レベル、局所渦状腕恒星レベルで探られることとなった。

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