069 動揺
■動揺■
SSたちの説明が続いた。
「いい、女神さま宣誓には、ちゃんとステップを踏む必要があるの。順番を間違えると大変由々しき状況になるわ」
アンニフィルドは和人が理解しているか確かめるように言った。
「まずは、『わたしの女神さま』が最初で、『わたくしの神さま』が次。この言葉は、二人が跪いてお互いを見つめ合い、手を取り合って尊敬の念を込めて言うもの。対になっているの。あまりに厳格で古めかしいんで、結婚式ですら使うカップルはいないわ。本当に生涯に唯一、最愛の人だと二人ともが確信していなきゃ、とても口にすることはできないの。今時、離婚、再婚なんて当たり前でしょ、地球じゃ」
「地球だけなのか?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「そりゃ、そうよ。宣誓した後じゃ、認められなくなるんだもの」
「エルフィアにはないの、離婚って?」
「少ないけどゼロではないわ」
アンニフィルドは真っ先にトルフォの顔を思い出した。
「げげ・・・。やなヤツ思い浮かべちゃった・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「宣誓は、結婚以外のすべての恋愛も対象。いいえ、すべての発言にすら拘束力は有効よ」
「・・・」
「いい、問題は拘束されるのがあなただけじゃないということ。ユティスも拘束されるのよ、一生涯・・・」
「ええっ!ユティスもだってぇ?」
「リーエス。和人はそんなこととはつゆ知らず、でしょうけど・・・」
「そ、そんなぁ!」
「ユティスにしてみれば、想いはすれど、恋については何の意思表示もしてこない和人から、『リーエス』、としか答えることのできない、選択権なしの禁断のプロポーズの言葉を、だしぬけに言われたんだからね。おまけに、すべてのステップを完全に無視しているから、ユティスには、受け答えのしようがないわ。ショックなのは当然でしょ!完全な反則ね。レッドカード100億枚よ!」
--- ^_^ わっはっは! ---
「うっ・・・!」
「問題はその次!」
「えっ、まだあるの?いったい、何?」
「あれが宣誓だったとしたら、宣誓の後は相互承認のステップに決まってるじゃない?」
「相互承認のステップ?」
「あなた、ユティスの両手を取って立ち上がらせてあげた?そして優しく抱きしめて目を閉じた彼女に・・・」
「キッスでもするって・・・?」
「そこだけは、ちゃんとわかってるじゃない」
--- ^_^ わっはっは! ---
「だって、オレ、ここじゃ精神体だよ。いくらそうしようと思ったところで、できっこないじゃないか。第一・・・」
「それよ、それ!だから問題なの!実体と精神体の間では、宣誓は成立しても完遂しないのよ」
「で、完遂しないとどうなるの?」
「さっきの言葉は偽りってことになるわねぇ」
「えーっ!そんなこと・・・」
「和人が知ってるわけないし・・・」
「オレって・・・」
「最悪中の最悪・・・」
「とにかく、地球人のあなたの場合は適用外かもしれないけど、地球語ではなく、一応由緒正しき古代エルフィア語で言ったんだからね、一字一句間違わず・・・」
「そうなのか・・・?」
「リーエス。どうみたって、適用外の範囲を超えていると思うわ・・・」
「じゃぁ、有効ってこと?」
「恐らくね・・・」
「にしても相当ひどいわね・・・」
「そんなこと言われても、知らなかったことは知らなかったんだら・・・」
「常識よ、常識!銀河を超えて、100億光年先の大宇宙のすべての常識!」
--- ^_^ わっはっは! ---
「何も、そこまで言わなくても・・・。でも、どうしよう・・・」
「思いっきり、落ち込みなさい、和人!」
しゅん・・・。
「・・・」
「で、今はどういうことになっているかというと・・・。和人の言葉に対して、ユティスは未回答の状態、つまり回答保留中ってとこね」
「じゃあ、そんなに悪いわけじゃないじゃないか・・・」
「ホント、わかってないわね!」
「わたくしの神・・・。うわっ!うっかり口にするところだったわ」
--- ^_^ わっはっは! ---
「とにかく、そう言わなきゃいけないところで、ユティスは答えられなかったのよ。これは女性側の責任になるの」
「女性側の責任って?」
「いい?女性側の受け答えは『リーエス』しかないのよ。なのに、答えることができなかった、てことは、『偽りの気持ちであなたと接してましたわ。わたしは悪い女よ』って言ってるのと同じこと。わかる・・・?」
「あわわわ・・・」
「いい?そんな女は、誰も相手にしないわよ。少なくともエルフィア文明圏ではね」
「ウッソだぁ!」
「ウソ言って何の得になるのよ!あなた、ユティスのこと好きなんでしょ?」
「うん。でも、あの言葉はオレの無知から来た誤解だよ」
「だったら、どうにかしなさいよ!このまんまじゃ、ユティスはあなたに応えられなかった自分を責め続けるわ。あの娘は相手を責めるような性格じゃないんだから。いくら相手に非があったとしてもね、和人!」
しゅん・・・。
--- ^_^ わっはっは! ---
「けれどさぁ、当人同士でしかわかんない話じゃないの?ハイパーラインだって専用線のはずだよ」
「和人!あなた、相当なお人よしね。でなきゃ、おバカ」
「なんだよ。バカ、バカって。勝手に何万年前か知らないけど、変なしきたりを押し付けられる身にもなってくれよ。いくらなんでも、ひどいんじゃないかぁ?」
「だから、おバカ。『お』を付けて、一応、こっちも遠慮してるんだからね」
--- ^_^ わっはっは! ---
「そんなの慰めにもなってないよ」
「いい?これは、当人たちが黙ってりゃいいってもんでもないの。あの言葉を発した途端、エルフィアの教会本部に、結婚式申し込みのハイパー通知が飛ぶのよ!」
--- ^_^ わっはっは! ---
「ええっ、なんで?」
「教会っていえば、結婚式じゃない。エルフィアのような文明が成熟した社会では、結婚式はそうそうあることではないの。ましてや、何千年かぶりに、古式、由緒正しき伝統に則った宣誓が行なわれたのよ。司祭様だって準備ってものが必要でしょ」
「そんな無茶苦茶な・・・」
「あなたのバイオメトリクス情報は、エルフィアのシステム・センターに登録されているから、間違いなく本人識別されてるわね。発信者=宇都宮和人=未婚者=結婚式候補該当者⇒ユティス=婚約者ってことよ。で、花嫁候補からは返事は未回答って結果になっているんだから、一大事ってわけ」
「本当なの、それ?」
「あったりまえじゃない!『悪事、一千万光年を走る』、ていうでしょ」
--- ^_^ わっはっは! ---
「そういうことは、あっというまに、超銀河、スーパークラスタ中に広まるんだから」
「一千万光年だってぇ?それに、それって悪事なのかぁ?」
「あら、違ったかしら?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「だーぁ、アンニフィルド!じゃぁ、さっきのきみのも宣誓として、司祭様に飛んだの?」
「あれは飛んでないわ。あなたが本気では言ってないから。ユティスに言った時は。マジで言ったでしょ。思いっきり、想いを込めて」
「リーエス。マジで言いました・・・」
「やっぱり・・・」
「ユティスから、返事がなしのつぶてだと、教会から式の申込確認依頼がくるわよ」
「ホ、ホントに?」
「花嫁はエルフィア人で花婿がカテゴリー2の地球人。このアンバランス、話題性はバツグンだわ。銀河を超えた禁断の恋。果たして実るのか。隣の銀河からも、テレビの取材も来たりして」
--- ^_^ わっはっは! ---
「ちょっと待って、オレをサカナにして遊んでんでしょ?」
「本気よ」
「とっても、そうは思えない・・・」
「わかるわね?とにかく、和人もユティスもお互いに正しいステップを踏んで、もう一度女神さま宣誓をするしかないわ。もし、二人がお互いに一緒になる気持ちが少しでもぐらついてたら、あなたたちに人生のパートナーを得る未来は永久にない。一切の変更も許されないんだから。相手を変えたり、言ったことを取り消すとか。あの言葉は二人を結びつけるというより、縛り付けることになるのよ」
「そんなぁ!」
「いにしえの格式ばった時代ならともかく、自由恋愛の時代にそんなことする人間がいたとはねぇ・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「待ってよ」
「和人、あなたがそうしたのよ」
「ユティスは?」
「さあ、どこかしら。今会ってどうするつもり?謝ったところで、取り消しはきかないのよ。もう、冗談なんかで女性に対して『わたしの女神さま』なんて言っては絶対にダメ」
「アンニフィルドの言うとおりよ。酔った勢いで間違って口にでもしたら、即刻おしまいね。あなただけでなくユティスもよ。嘘つき地球人って呼ばれたいわけ?もし、そうなったりしたら、地球の文明促進支援なんてありえないわ」
「・・・」
和人は、言葉が出なかった。
「唯一残された道は・・・」
「なんだい?教えてよ、アンニフィルド!」
「リーエス。二人が実体同士で会って、ちゃんとしたステップを踏んで、女神さま宣誓をやり直すことよ。当然、二人は連れ合いになるってことになるわね」
「連れ合いだって言ったって・・・、吊り合うのかなぁ・・・、オレ」
「でなけりゃ、和人が天国に行っちゃうか。さすがにそうなったら、宣誓が完成してない時点なら、ユティスにとってはすべては無効になるけど・・・」
「オレが、死ぬってこと?」
「そう。その方がいい?」
「なんなら、わたしが殺してあげようか?」
きらっ。
瞳が一瞬光り、クリステアは妙に冷静に言った。
--- ^_^ わっはっは! ---
「冗談じゃない。絶対に遠慮しときます!」
「冗談よ」
「ほっ・・・」
(はぁ、はぁ・・・。クリステア、マジだったぞ、あの目・・)
「ま、ユティスは、自分の命にかけても、あなたが天国に行くなんて絶対に認めることなんかしないでしょうけど・・・」
「あ、当たり前だよ」
「それから・・・」
クリステアがつけ加えた。
「まだ、なにか?」
「今はもう、エルフィアでは、神さまとか女神さまとかいう言葉は使わないの。わたしたちがお祈りする時には、『すべてを愛でる善なるもの』って言うのよ。それが正式ね。神さま、女神さまという単語は、いにしえの呼び方。あまりに凝人化して俗物化しているから、ロマンの世界、歌や文学にしか使われないわ」
「リーエス・・・」
「もう手遅れかもしれないけど、その言葉を絶対に口にしてはダメよ」
「うん。そうするよ・・・」
「それがいいわ。和人、あなたにはユティスにしかその言葉を言う権利がないのよ。それも、ユティスがちゃんと応えてくれるって保証があればだけど・・・」
アンニフィルドが念を押した。
「でも、大いなる副産物もあるわよ」
「なんのことよ、クリステア?」
アンニフィルドはクリステアにきいた。
「和人以外の男性は、だれもユティスに愛を語れなくなったってこと。トルフォすらもね・・・」
ぽん!
アンニフィルドは手を打った。
「そうっかぁ。結果、和人はユティスを完璧に守ったんだわ!」
「そういうこと!」
「あははは、和人、あなたは大物よ!トルフォの顔が見たいわ!」
アンニフィルドは心から喜んだ。
「なんのこと?トルフォ。それ、だれだい?」
「まぁ、今は知らなくていいわ」
「そのうち、イヤでも対決するようになるわよ、ユティスをめぐって・・・」
「対決?なんだってぇ!」
「心配ないわ。女神さま宣誓したんでしょ、あなた?アイツに勝ち目はないわ」
和人がエルドに呼ばれてしまい、後にはSSの二人が残った。
「わたし、和人に、ちょっと言いすぎちゃったかしら?」
「いいんじゃないの、アンニフィルド」
「そうよね」
「あれくらい炊き付けとかないと、あいつはユティスにちゃんとした告白なんかしないわよ」
「そうね。なんだかんだと言ってるけど、肝心な一言は言ってないもの」
「肝心な一言ね・・・」
「『好きだよ。愛してるよ、ユティス。ボクと連れ合いになってくれ』!」
アンニフィルドは唇を細めてキスするマネをした。
ぷふぁっ。
--- ^_^ わっはっは! ---
「あはははは。なあに、アンニフィルドったら。止めてよ!」
「受けたぁ?」
「和人が可哀想になってきたわ・・・」
「自分だって、『殺してあげようか』なんて言ってたじゃない!」
--- ^_^ わっはっは! ---
「冗談に決まってるじゃない。和人、本当にびびってた?」
「リーエス。寿命が100年は確実に縮んだわね」
--- ^_^ わっはっは! ---
「あははは」
「あははは」
エルドは和人に謝った。
「申し訳ない、和人。こちらからきみを呼んでいながら、ずいぶん待たせてしまった」
「いえ。気にしてはいません」
「それで、どうしてもきみに確認したいことがあって、この場を作ったんだが・・・」
エルドはためらいがちに質問した。
「単刀直入に言おう・・・」
「はい」
和人は緊張した。
「女神さま宣誓のことは、知っているかね?エルフィア古来から伝わる特別な・・・」
「ええ。アンニフィルドから聞きました。じゃあ、皆さん、もうご存知なんですね」
「まぁ、そういうことだ・・・」
「申し訳ありません。そんなに大切な意味があるなんて、ぜんぜん知りませんでした」
「そうだろうな・・・。致し方ない・・・」
「エルド、あなたは怒ってらっしゃいますか?」
和人は直球を投げかけた。
「とんでもない。むしろ、きみに、感謝すべきかもしれん」
「オレに感謝ですか?」
「まぁ、いずれ、きみにもわかる時が来る」
「宣誓は、取り消しも修正も、できないのですよね?」
ぴくっ。
「ああ、そうだ・・・。きみは、取り消すつもりか?」
エルドは眉をひそめた。
--- ^_^ わっはっは! ---
「ナナン。そんなつもりはまったくありません。ただ、ユティスを傷つけてしまったことが・・・」
「うむ。良かった。きみが地球人だということは十二分に承知しているよ。これについて、なにも知らない立場であることも・・・」
「すみません・・・」
「だが、それでもなお、この言葉には大変重要な意味があると言わざるをえない」
「『アルティア』と呼んだことですね?」
「そうだ」
「最初は確かにパニックでした。しかし、わたしの正直な気持ちに、偽りはありません。ユティスへの責任となれば・・・」
「待ってくれ。誤解してもらっては困る。わたしが言いたいのは責任とか、そんなことではない」
「ユティスへの責任ではないと、おっしゃるんで?」
「ああ。委員会の最高理事として心配しているのは、それによって評議会に火種ができたということ。それ、そのものなんだ」
「火種ですか?」
「ああ。きみには、是非とも話しておかなければならない」
「なにをでしょうか?」
「委員会には、地球の文明促進支援をめぐって小さからぬ対立がある。きみとユティスの精神体を通じて集められた情報から、われわれの文明促進支援をするには時期尚早として、今なお反対する勢力があるのだ。きみは知っているかもしれないが、その中心人物がユティスにひつこく言い寄っている。ユティスから直接聞いたわけではないがね。彼が、今回のきみの女神宣誓のことを、いずれ知ることになったら・・・」
「反対運動を強め、地球の支援プロジェクトが阻止されると・・・」
「うむ。わたしとしては、絶対にそうはさせないつもりだが、今よりも、もっと・・・。状況は相当やっかいなことになる」
「そういうことでしたか・・・」
「少なくとも、ユティスの地球派遣時期が、大幅に延期されることになるかもしれん」
「本当ですか?」
「ああ。でも、万が一そうなりそうな時には、最高理事権限を発動するつもりだがね」
にっ。
エルドは突然表情をくずした。
「何よりも大切なのは当事者の気持ちだ。宣誓のことはさておいて・・・」
「あ、はい・・・」
「ユティスにはきみの本当の気持ちを伝えたのかね?」
「へっ?」
--- ^_^ わっはっは! ---
(わたくし、わかっているはずなのに、どうしてこんなに動揺するんでしょう。和人さんはエルフィア人ではないんです。あの言葉を額面どおりに受け取る必要などないのに。震えが止まらない。すぐに返答しないといけなかったのにできなかった。怖い・・・。とっても。そう、わたくしは、怖い。和人さんは、わたくしを本当に一生愛してくだるのかしら。宣誓に例外は認められないわ。どうすれば・・・。とにかく、本当に和人さんから宣誓していただいた。『オーレリ・デュール・ディア・アルティーア』、『わたしの女神さま』って。和人さん、今は精神体でしかない。宣誓を完成するには、順を追ってステップをたどらなければならないのに。精神体では、とてもムリ・・・。こればっかりは、わたくしにも、どうしようもありませんわ・・・)
ユティスは、泉の側で、独りもの思いにふけった。
(わたくしとの相性も合うことはわかってはいたけれど、意識してなかった心の底がすべて表に現れたって感じですわ。まるで裸にされたよう・・・)
どっくん、どっくん。
(和人さんはコンタクティーで、わたくしはエージェント。地球の文明促進支援の予備調査という、大切なミッションがあるというのに・・・。和人さんから、あんな言葉が出るとは予想もしてなかった・・・。わたくしが、しっかりしないといけないのに。あの一瞬で、自分がこんなにも弱かったと感じるなんて。超A級セラピストも形無しですわ・・・。和人さん、愛しい人。すべてを愛でる善なる者よ、どうか、今しばらく、お時間をください)
「和人さん!」
(あっ、ユティスだ)
「ユティス、ユティス、ごめんよ。オレ、女神さま宣誓のことぜんぜん知らなかった。アンニフィルドから聞いたんだ。決してきみを傷つけるつもりなんてなかったんだ」
「リーエス。承知していますわ・・・」
「待って、早合点しないで。オレ、きみのこと・・・」
「リーエス・・・」
「きみのこと、一番大切に想ってる。きみは、オレにとって、かけがえのない人なんだ」
「リーエス・・・」
「だから、だから・・・」
「リーエス・・・」
「その気持ちは偽りじゃないからね・・・」
和人は自分でできる限りの勇気を奮った。
「好きだよ、ユティス。きみが好きだ。なんて言ったらいいか、わかんないくらい・・・」
「リーエス・・・」
「心からそう想ってるからね・・・」
「リーエス・・・」
ユティスは『リーエス』としか答えられなかった。
ぽた、ぽた・・・。
ユティスのアメジスト色の大きな目から、涙がこぼれ落ちてきた。
「・・・」
「・・・」
しばらく二人に沈黙が訪れた。
「もう、地球に戻らなきゃ・・・。事務所に・・・」
「リーエス。あまり思いつめないでくださいね・・・。和人さん・・・」
「リーエス。ありがとう。じゃあ。ユティス、お願い・・・」
「リーエス」
「なんて、きみは優しいんだ・・・」
「和人さん。わたくしも和人さんと同じ気持ちです。わたくしにとって和人さんは特別に大切なお方・・・」
「ユティス・・・」
「それをけっしてお忘れにならないで・・・」
ぽわぁーーーん。
ユティスは引き裂かれるような想いを押さえ込み、やっとのことで和人を地球に戻した。