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058 友人

■友人■




セレアムの事務所では、二宮から電話が入っていた。


「それで、和人は?」

「お出かけです」

石橋がWebスケジュールを確かめながら答えた。


「じゃぁ、ユティス・・・、いやなんでもない。ありがとう、石橋」

「あ、はい・・・」


「それじゃ」

「いってらっしゃい・・・」


「いってきます」

「あ、あの、二宮さん、ユティ・・・」


ぷっ。

二宮の電話は既に切れていた。


(ユティスって、女の人の名前みたいだけど・・・。だれのことかしら?)


石橋は不安の雲が体中にどんどん広がっていくのを感じた。


(二宮さん、和人さんのことできっとなにか知ってるのね。わたしだけが知らない・・・)




「ふぅ・・・」

二宮は、電話をしまうと、溜息をついた。


(危ねぇ。石橋、完全に気づいてるよなぁ。今日のところは、聞こえないふりをしてとっさに電話を切って難を逃れたけど、面と向かってきかれたら、どうする?和人に好きな女がいるなんてオレの口から言えるかってんだ。恨まれ役なんて、まっぴらだね)


--- ^_^ わっはっは! ---




「エルフィアの人は、みんな美しいんだね」

和人は目を見張った。そして、ユティスを振り返りざま、思わず言ってしまった。


「ユティス、でも、きみは最高にステキだよ・・・」

「まあ、和人さん・・・」


かぁーーー。

ユティスはたちまち赤くなった。


「でも、わたくしは・・・、ごくごく、平均的なんですのよ・・・」


ぷるぷる・・・。

「平均的だなんて、とんでもない」


--- ^_^ わっはっは! ---


和人は即座に否定した。100000歩譲って、ユティスがよしんば平均的だとしても、エルフィアの標準は大宇宙の中でもとてつもなくレベルは高い、と思った。和人には、ユティスの美しさが精神的な内面から出て来ているように思えた。


(自分を受け入れることで、精神の安定がもたらされることによるものだろうか?)


にっこり。

ユティスは嬉しそうに笑うと下を向いた。


「でも、和人さんがそうおっしゃってくださるなら、わたくし、とっても嬉しいです・・・」


「うん。本当に、そう思うよ。あはは・・・」

「うふふ」




また別の日・・・。


「和人、さん・・・」

「あ、ユティス!」


「今、よろしいですか?」

和人は事務所で昼休みに入ったばかりだった。


「もちろん。大歓迎さ。お昼休みだから1時間くらいしかいれないけど」

「事務所にお戻りにならないといけないんですの?」

ユティスは少し残念そうに言った。


「うん・・・。でも、きみはいつでも地球に来れるんだろ?」

「リーエス。緊急の場合は・・・」


「だったら、オレはいつでも緊急さ。助けてぇーーー、ユティスぅ!」

「まぁ!」


--- ^_^ わっはっは! ---


ぱっ。

にっこり。

ユティスはすぐに笑顔になった。


「エルフィアに行くの?」

「リーエス。さぁ、わたくしのイメージにおつかまりになって」


「リーエス」

「今日は、和人さんに是非わたくしの友人をご紹介したいのです」


「友人・・・?」

「はい。とっても仲のいい人たちです」


(男だったら、どうしよう・・・。勝つ自信ないぞぉ・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


「うふふ。大丈夫です。女性ですわよ」

「あははは。そりゃ、ステキだ。会ってみたいなぁ!」


(ほっ。よかったぁ・・・)


「まぁ!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「それでは、しっかり、おつかまりくださいね」

「リーエス」




ぽわーーーんっ。

ぱっ。


ユティスは和人を精神体としてエルフィアに召還した。


「和人さん。わたくしのお友達をご紹介しますわ」


ユティスはスーパーモデル並みのスタイル抜群の美女2人を連れてきた。


「ユティスの友人って・・・。この2人かい?」


ぽーーー。


にこ。

ぱちん。

プラチナブロンドの方の女性がウィンクした。


「はぁーーーい、和人」

「ど、どうも・・・」


「あぁら、地球語で一番よく使われるっていう便利な言葉ね」


--- ^_^ わっはっは! ---


「で、この場合はなんて意味に取ればいいの?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「なんのこと?」

「ユティスの調査通りだわ」


こっくん。

濃い目の茶色のショートヘアの女性が、静かに頷いた。


「はぁ?」

和人はぜんぜん気づいていなかった。


「いいの。いいの。こっちのこと。はじめましてってことよね?」

「あ、リーエス・・・」


「で、和人。わたしはアンニフィルドよ」

「どうも・・」


「今のは、なんて意味?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「お察しいただき、ありがとうってとこかしらね」

「うふ。そのようですわ」


「はぁい、和人。わたしはクリステア」

「どうも、地球人の和人、いや、宇都宮和人です」


かぁーーーっ。


「またまた、『どうも』ね」


--- ^_^ わっはっは! ---


(しかし、二人とも、すっごい美女じゃないか・・・)


「お二人には、まるで姉妹のように、わたくしが幼い頃からずっとお世話になってますの」

ユティスが言った。


「う、うん」

「はじめまして、アンニフィルド、クリステア・・・」

和人は二人に挨拶した。


「はじめまして、和人」


すく。


「あー・・・。二人とも、背、高いんだね・・・」

「あら、そう?」


さぁーーーっ。


アンニフィルドは銀色にも見える輝くロングヘアを右から左に大きく流し、そのまま頭の後ろで束ねていた。クリステアは濃い茶色のショートヘアだった。髪型は対照的な二人であったがどちらにせよ、その大きな目でじっと見つめられたら、和人はたまらないだろうと思った。アンニフィルドは、明るくよく笑った。クリステアは落ち着いた感じで、口調も比較的ゆっくりだった。


「さ、お二方。和人さんにご挨拶をいたしましょうか」

アンニフィルドがいたずらっぽく言った。


「リーエス」

ユティスもクリステアも了解した。


さぁーーーっ。

ささぁ。


(うっ・・・)


さーーーぁ。

3人娘は和人に近づいた。


「ちょっとぉ・・・。いったいなにをしようというんだい?」

「だから、ご挨拶・・・」

アンニフィルドのあらたまった言葉に和人はひるんだ。


にっこり。


「和人さん、ようこそエルフィアへ」

「んーん・・・」


3人のエルフィア娘は和人の数センチ手前まで顔を近づけた。アンニフィルドが右頬、クリステアが左頬、そしてユティスは真正面から、目一杯愛想をふりまき、和人に片目をつむりキッスをしてきた。


「ちゅ!」

3人は同時に言った。


--- ^_^ わっはっは! ---


和人は精神体だから、彼女たちに直接触れることなどないわけだったが、精神体とはいえ、そこには和人の意識が存在するのだ。


「うわーーーっ」


和人は心臓が止まりそうになくらい動揺して、自分の顔に手をやり、思わず後退りした。


「あらあら、3人の美女がせっかくのご挨拶というのに、そでにするわけ」


「きみたち、悪い冗談はよしてくれよ」

「冗談なんかでしないわ。和人、あなただからよ」


「そうそう。あーあ、精神体でなきゃ、ちゃんとキスできたんだけどなあ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「こうなると知ってて、やったんじゃないのかい?」

「バレちゃったか。えへ・・・」


にこにこ・・・。

アンニフィルドが茶目っ気たっぷりに笑った。


「きみたち、勘弁してよ・・・」


「お互い実体の時にもう一度、ちゃんとしてあげるわ」

アンニフィルドは意味深な言葉を続けた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「和人、あなた、とってもステキよ。その黒い瞳・・・」


にこにこ・・・。

クリステアも楽しげに言った。


「からかうなてっば・・・」

「あら、本心よ。ユティスもそう思うでしょ?」


かぁ・・・。


「リーエ・・・?アンニフィルド・・・」


ユティスはすっかり赤くなって、アンニフィルドに困ったように訴えた。


--- ^_^ わっはっは! ---


(やっぱり、ユティス、オレのこと恋人の対象として、好きってことなのかなぁ・・・)


和人は動悸が激しくなり胸が苦しくなってきた。


どきどき。

かぁーーー。


「和人、あなた、赤くなったわね」

アンニフィルドがすかさず言った。


「違うってば・・・」


「ふーん、そういうことぉ・・・?」

クリステアも目を細めた。


じーーーっ。

どきっ・・・。


--- ^_^ わっはっは! ---


クリステアの大きな目に見つめられ、和人はますますドギマギしていた。


「お二人とも、和人さんがお困りになってますわ」

ユティスが戸惑いながら言った。


「はい、はい」




その時、地球の株式会社セレアムの事務所では、和人は腕を組んだまま、眠ったようになっていた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「和人さん?」

石橋は和人の横に来た。


「しー、石橋。和人は寝てるわよ・・・」

茂木が石橋に言った。


「お疲れなんですね?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「そう。でも、なんだかこの頃和人のシエスタ多くない?」

「そうそう。こいつ、前はどっかのカフェに行ってたのに今は事務所」


「それは、提案案件が多くなって、事務所で書類を作成してるからです」

石橋が和人を弁護した。


「あなたが助けてあげてるんじゃないの?」

岡本が石橋に突っ込んできた。


「そ、そんなぁ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


ぱちっ。

それを見て、俊介が真紀に片目を閉じて合図した。


すぅーーー。

真紀は石橋たちに近づくと一言言った。


「和人の寝顔、そんなに可愛い?」

「え!」


--- ^_^ わっはっは! ---


かぁーーーっ。

石橋はたちまち真っ赤になった。


「み、見てません」

「あーあ、こいつなにを夢見てんだか?」


「こいつには、これがお似合いなんだよ」

二宮が急に現われて、和人の瞼にマジックで目を描こうとした。


--- ^_^ わっはっは! ---


「止めなさい、二宮。さぁ、みんなも戻った。戻った」


ぱんぱん。

真紀はみんなを解散させた。



「姉貴、和人の昼寝、そろそろ、やばいんじゃないか?みんな怪しんでるぞ・・・」

「和人の精神が、ユティスによって召還されてるってことね?」


「姉貴もそう思うか?」

「まさか、夢を見てるわけじゃないでしょ?」


「ああ。それで、あいつは、どこへ?」

「そりゃあ・・・」

真紀は考えて言葉に詰まった。


「エルフィアってことぉ・・・?」


「だとしたら・・・?」

「和人の意識は、エルフィアに行ってるってことになるわ・・・」

真紀と俊介はお互いを見合った。


「えらいことになったぞ・・・」

「ええ。和人は、地球以外の文明世界を現実に知ったことになる・・・」


「精神体だろうが、なんだろうがエルフィアに行ったのよ!」

「ああ。地球を飛び出したんだ・・・」


「これから、どうなるの・・・?」

「そんな重要機密を知ったんじゃ、各国政府に狙われるな・・・」


「ええ。真剣にセキュリティを考えなくちゃ、手遅れになるわ」

「ああ。しかし、こいつ・・・」

俊介は、なにも考えてないような和人の寝顔を見て、ため息をついた。


「そうね。和人、堂々と寝てるんだから。人の心配なんかどこへやらか・・・」

真紀も溜息をついた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「現実問題に戻ろう。会議室で寝ろってのは?」

「だめよ。女の子たちのお弁当の場所なんだから」


「そりゃあ、おかしいぞ。毎日、予約してるのか?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「そうよ、俊介。予約Webに書かないだけ」

「いや、おかしい」


「おかしくないわよ。既成事実!だれも今までに文句を言ったものはいないし、うちの犯すべからずの慣習法だわ!」


「言えるわけないじゃないか。姉貴に、茂木に、岡本じゃ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「わかってるじゃない」


「それはそうと、和人、精神が戻ってこなきゃ和人は起きてこないんだろ?」

「それが、不思議なの。ほとんど時間きっかりに戻るのよね・・・」


「一応、ルール遵守ってわけか?」

「そうよ。エルフィアの時計は正確みたい」


「昼飯時の二宮の腹並みだな」


--- ^_^ わっはっは! ---

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