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045 隣席

■隣席■




神社の縁日をユティスと過ごした和人は、帰り道がてら街中を散歩していた。


「ユティス、今日はとっても楽しかったよ。アルダリーム(ありがとう)」


「パジューレ(どういたしまして)。わたくしこそとてもステキなお時間をいただきました。地球の文化も体験できましたし、なんとお礼を申しあげればいいのか・・・」


にっこり。

ユティスはなんとも言えない笑顔になった。


「で、あのさぁ・・・」

「リーエス?」


「今日はもう時間かなぁ・・・?」

「ナナン。あともう少しならご一緒できますわ」


「あは。そう言ってくれると嬉しいよ・・・」

和人の語尾が消えたが、それは和人がユティスの手を取って並んで歩きたかったからだ。


「和人さん?」

「リーエス?」


「地球の時空移動手段に電車というものがありますわね?」

「リーエス」


「わたくし先ほどはあまり注意していなかったのですが、地球の方が電車の中で通信機を用いてなにかされているのをよく見かけました。いったいなにをされているのか、とても興味がありますわ」


「スマホとかガラケーのことかい?」


ぱっ。

和人はすぐに自分のスマホを出して、ユティスに見せた。


「これじゃない?」


「リーエス。たぶんそれだと思います。ほとんどの方がお持ちになっているような気がしますわ。その方たち電車にお乗りの間、一時もお放しにならずにせっせとなにかされてましたもの。もしかしたら・・・、地球の文明を象徴するものではないかと思ったんです・・・」


「あはは。リーエス。きみの直感は当たっていると思うな。スマホは地球の一般人が利用できる最先端テクノロジーの塊だからね」


「うふふ。どんな利用法があるのでしょうか?」

ユティスは興味津々で和人のスマホを覗き込んだ。


「まずは遠くの人とのお話。ほら、こうするんだ」


ぴ、ぴっ。

和人は電話機能アプリを起動して見せた。


「この数字キーで番号を打つと、その番号を割り振られた人と会話できるんだ。でもかかってきた電話番号やこっちからかけた電話番号はスマホ自体に記憶されてるから、表示されてる番号を触るだけでそこにかけられるんだよ。例えばこんな具合に・・・」


ぴ、ぴ、ぴ、ぴ・・・。

つ、つーーー。


「申し訳ございませんが、只今、こちらの電話番号にはご事情により通話はできなくなっております」


--- ^_^ わっはっは! ---


「それはどなたにおかけしてるんですか?」

「確か二宮先輩だけど・・・」


「でも女性の方がお出になられましたわ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あれはキャリアだよ」

「では、二宮さんはキャリアさんという女性をお雇いされてるんですね?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あはは。それは違うな。コンピュータによる自動応答システムだよ。本人が留守の時や、電池切れや、回線故障とか、なんらかの事情で通話できない時、その人に代わってよくああいう音声合成システムによってアナウンスが自動で流れるんだ。別に人間が出てるってわけじゃないんだよ」


「そういうことですか・・・」

ユティスは次の疑問に移った。


「では、『ご事情により通話はできない』とかおしゃってませんでしたか?」

「そうだっけ?」

「リーエス」


「『ご事情により』ってどういうことですか?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あは。そりゃ、利用者が回線使用料を滞納してるってことだよ」


「では、二宮さんは回線使用料をお支払いしてなくて、通信キャリアさんからスマホを使えなくさせられてるってことですか?」

「ええ?先輩払ってないのかぁ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


ぴっ。


「申し訳ございませんが、只今、こちらの電話番号にはご事情により通話はできなくなっております」


「あ、ホントだぁ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「明日、お会いしたら、そっとお教えさしあげましょうね」

「リーエス」


「うふふ」

ユティスは手で口を押さえた。


「それで、このマークは?」

「それはね、カメラ。こうやって写真や動画を撮るんだ。いくよ」

和人は笑顔のユティスにレンズを向けた。


ぱしゃ。


「あり、写ってない・・・」


「うふふ。わたくしが精神体なのをお忘れですか?」

「あはは、そうだったね」


「でも、こうすると、どうですか?」


ぱち・・・。

ユティスは悪戯っぽく微笑むと目を閉じた。


ぽわぁーーーん。


ユティスの身体から生体エネルギー場を現す虹色の光が、徐々に滲むように広がってきた。


「ユティス・・・」


「もう一度、お撮りくださいな、和人さん」

「リーエス」

和人はサイドカメラを構えた。


ぱしゃ。


「・・・」

「いかがですか?」


そこには、虹色の光をまとった天使のような優しい笑顔をしたユティスが、後ろの景色に溶け込むように写っていた。


「まるで、心霊写真だよ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ねぇ、もう一度・・・。もう一度いいかい?」

「リーエス」


「じゃ、そっち、右に寄って」

「こうですか?」


「もうちょっと右」

「こうですか?」


「そうそう。そこでストップ」

「リーエス」


和人はなるべく空をバックに逆光にならないアングルにスマホを構えた。


「もう少し後ろがいいな・・・」

和人は車が来ないのを確かめてから、道の中心を越えて少し下がった。


ぱしゃ。


「もう一枚」


ぱしゃ。


ぷ、ぷぷーーーっ。

ぶろろろーーーっ。


その時、数台の車がどこからともなく現れ、二人の前をすれ違うようにして近づいてきた。


「危ない!」


だっだっだ・・・っ。


和人は大声を出してユティスに飛込み、ユティスを掴むことなく、そのまま道の反対側まですっ飛んだ。


ずっでーーーんっ。


ぶろろろろーーー。

すぅーーー。


車はユティスを直撃し、そのままユティスの身体を通り抜けていった。


「あ・・・」

「ばっきゃろー、死にてぇのか!」


乗用車の男は通り過ぎさま怒鳴った。


ぶろろろーーー。

他の車も走り去った。


「和人さん、大丈夫ですか?」

ユティスはすぐに和人の側に屈みこんだ。


「リーエス、きみこそ・・・?」

「ナナン。なにもありませんわ。それより、お怪我されてますよ、和人さん」


じわっ・・・。

和人は口の中に血の味を覚えた。


「和人さんのお口・・・」

和人は口の中を少し切っていた。


「ん。大丈夫。ごめんよ、心配かけて・・・」

「ナナン。和人さんはわたくしを守ろうとして・・・」


「守れなかった。カッコ悪いよなぁ・・・」

「ナナン。そんこと絶対ありません。無茶しないでください・・・」

ユティスの心配そうなアメジスト色の瞳は潤んでいた。


「よいしょ・・・」

和人は立ち上がるとユティスに微笑んだ。


「それより、ほら、見てよ・・・」


ぴっ。


和人は、青い空と白い雲をバックに天使のように微笑むユティスが見事に写ったショットを、彼女に見せた。


「これ、『オレの女神さま』だよ・・・」


ぴっしゃーーーん。

ぶるっ・・・。


「か、和人さん・・・」

その瞬間、ユティスは雷に打たれたでもいうように身を震わせた。


へなへな・・・。


続いて、ユティスは和人にもたれかかるようにして、やっと立っていられるというようにしていた。


「ど、どうしたの?」

「ナナン、なんでもありませんわ・・・」


「貧血かい?」

「ナナン、少し驚いただけです」


「写真にかい?」

「ナナ・・・、リーエス。びっくりしましたわ・・・」


そういうとユティスは再び微笑んだが、それは少し引きつっているようにも見えた。


「すみません、お時間が・・・」

「え、もう?」


「申し訳ございません」


ちゅ・・・。

ユティスは和人に謝ると、和人の頬にキッスした。


「また次回に・・・」

にこっ。


微笑を残すと、ユティスはエルフィアに戻っていった。


「あれ、なんだったんだろう・・・?」


(少しユティスの唇を感じた・・・)

和人は頬に手をやって一人呆けていた。




「なぁに、あの男?」

「中見つめて、ほっぺた指でなぞちゃって・・・」


「きゃ、変体?」


--- ^_^ わっはっは! ---


駅前の通りで群集は和人を変な人間と思って横目で見ていた。



そして、その日はユティスは和人のもとに現れなかった。和人もなんとなくひっかかるものがあり、ユティスを呼ぶ勇気が出なかった。




月曜日の朝、二宮は昨日の打ち上げ会でイザベルが中座したことによるショックから、一見立ち直っていた。


「縁日の演武、どうだった、和人?」

「あ、先輩。すごかったです。あの20枚はあろうかという瓦を、どうやったら、一瞬で割ってしまえるんです?」


「わははは。だから、言っただろ。魔法だと!」

「ウソばっかし」


「あははは。普段の鍛錬の賜物だな」

「先輩でも、あんな風になれるんですね?」


「ん?褒めてんのか、けなしてんのか?」

「褒めているに決まってますわ」


そこに、突然ユティスの精神体が現れた。


「あわ!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あ、ユティス・・・」

「リーエス。お二方ともアステラム・ベネル・ロミア(おはようございます)。うふ」


すうっ。

にこ。

ユティスはにっこり笑うと、和人のそばに立った。


「んふ?」

昨日の別れ際に見せたうろたえはまったく見られなかった。


「や、やぁ。ユティスちゃん・・・」

二宮は満面笑顔だった。


「二宮さん、とってもステキでしたわ」

「そ、そっかぁ。やっぱり、ユティスはちゃんとわかってくれるんだよなぁ」

「うふふ」


「で、今日はなにか予定でもあるの?」

二宮がユティスにきいた。


「はい。和人さんのおそばで地球文明支援の事前調査を」

「あーあー。要するにデートってことか?」


--- ^_^ わっはっは! ---


ぴとぉ。


「いけませんか?」

ユティスは嬉しそうに和人にぴったりくっつくと、その側で微笑んだ。


「あ・・・、くっついてる・・・」

「え?なにかオレにくっついてるんですか、先輩?」


--- ^_^ わっはっは! ---


ささっ。

さっ。


「あれ、なんだろ?」


和人は自分の顔や髪やをしきりに気にした。


「すっごい可愛いのがくっついてるだろうが・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「和人さん・・・」

ぴとぉ。


ユティスが答えを教えた。


「き、きみ?」

「リーエス。うふふ」


「んなことわかれよ。からかう気にもなれん・・・」

ぶすぅ・・・。


ユティスのおかげで和人は二宮に対して決定的に優位な立場になっていた。


「あーあ、わかった。わかった。ちぇ、後でぶっ殺してやる・・・。じゃあな・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


二宮がすんなり行こうとしたので、和人は不思議に思った。


「あれ、先輩、縁日の打ち上げはイザベルさんと一緒じゃなかったんですか?」

「うるさい!」


「わかった!すぐにバイトに戻っちゃったとか」

「まぁ、それは残念ですわ」


「ああ、ユティスまで、そんなこと言って」


がっくり・・・。


--- ^_^ わっはっは! ---


二宮はうなだれた。


(どうやら、図星のようですわ)

(そうだね)


(可愛そうな二宮さん・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


「二宮、常務から電話よぉ!」

「あ、はい。すぐ出ます」


岡本の声で二宮はすぐに席に戻った。




ぴっ、ぽっ。


「おう、二宮」

「うす。おはようございます」


「昨日こそはイザベルと酌み交わせたのか?」


ずきっ。


--- ^_^ わっはっは! ---


「常務、電話切ってもいいっすかぁ・・・?」

「わははは。そのぶんじゃまたダメだったようだな」


「いいんです!切りますよ。用はなんなんすかぁ?」


「お、実はな、お前に参加してもらいたいプロジェクトがあってな・・・」

「オレにですか?」


「ああ。それで、ごにょごにょ・・・って、訳だ」

「ほ、本当にですか?」


「ああ。いっちょ気張ってもらいたい」

「わかりました。で、これから・・・」


「すぐに来てくれ。待っている」

「了解です」




「仕事ですか?」

「当たり前だ。軟弱野郎め。仕事と武道に生きるナイスガイ。とは、オレのことだぜ」


「で・・・、彼女はとりあえずなしと」


--- ^_^ わっはっは! ---


「和人。てめぇ、ぶっ殺す!」


「まぁ、二宮さん、お止めになってください!」

「ジョークだよ。ジョーク」


「そ、そうですか。よかったですわ」

「くっそう・・・。和人、おまえはいいよなぁ・・・」


どろどろ・・・。


「なん、なんですか、いきなり落ち込んじゃって」

「キッスどころか手も握れない、とっても可愛い精神体の彼女がいて・・・。オレの負けかなぁ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「先輩!」

「うるせぇ、バカ野郎!」


ずうーーーん。

ところが、ユティスは、二宮の言葉にショックを受けていた。


「・・・」


「あれ、どうしたのユティス?」

「い、いえ。なんでもありません・・・」


ふっ。

一瞬ユティスの顔から微笑が消えた。


「先輩!先輩がユティスを精神体だと、からかったからです」

和人は二宮を見つめて、声を低くして言った。


「い、いや、オレは和人のことを揶揄っただけで・・・、そのぉ、ユティスちゃんを傷つけるつもりなどなくてさぁ・・・」


「でも、ユティスを傷つけちゃいましたね?」

「ご、ごめん。ユティスちゃん、きみを傷つけようなんて・・・。そんなつもりで言ったんじゃないんだ」


二宮は慌ててユティスに弁解した。


「リーエス。理解してますわ・・・」


ユティスは気を取り直して二宮に微笑みかけた。

にっこり。


「二宮さんのおっしゃることも、一理あります」

「ユティス・・・」


きっぱり。


「わたくし、きっと実体でここに来ますわ。そして、和人さんにお会いします。そして・・・」


「ちゃんと和人と手を握るってか?」

二宮は確信しているかのように言った。


にこっ。


「リーエス・・・」

ユティスは頬を染めて、和人に思いを込めるように優しく微笑んだ。


「あはは。よかったな、和人」


「ははは・・・」

和人は顔を真っ赤にした。


「オレ、今朝は常務と落ち合うから、準備しないと・・・」

「はい」




事務所では、そんな3人を見ていた女性たちがそれについて話し合っていた。


「ちょっとぉ・・・」

「ユティスだってぇ・・・?」


「だれ、それ?」

「あいつら、二人してまた変な会話してるわ」


「ほんと・・・」

「ねぇ、ねぇ、ユティスってだれよ?」


「イザベルの次はユティスか・・・」

「二宮のやつ、またハーフにお熱なの?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「違うわよ。会話よ。会話」

「会話?」


「ええ。どうみても、あそこに3人目がいなきゃ成り立たない会話だわ」

「わたしもそう思う」


「でも、いるのは二宮と和人の二人だけよ」

「確かに・・・」


「そこなのよ・・・」

「変ね・・・」


「絶対になにかある・・・」

「どう思う岡本?」


「・・・。直接本人に聞いちゃえば?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「それもそうね」




つかつかつか・・・。


「ねえ、二宮?」


「あ、岡本さん、なにか?」

「ユティスってだれ?」


さっ。

二宮は和人と見つめ合った。


「ユティス・・・」

「あははは。ユティスですか。ユティスねえ・・・」


二宮はカバンにスマホを入れて、カバンを閉めた。


ちゃ。

ぱちん。


「それでしたら、和人くんが知ってますよ。オレ、常務と打ち合わせで、すぐに出かけるんで・・・。それじゃあ行ってきます!」

二宮はカバンをひったくると、慌てて事務所を後にした。


「先輩!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「いってらっしゃーーーい」

事務所でコーラスが起こった。


「ちょっと、二宮!」

岡本が叫んだが二宮はすでに外に出ていた。


「やれやれ・・・」


くるり。

そして、岡本は和人に向き直った。


「それじゃ、和人、同じ質問するけどユティスってだれ?」

「あははは。ユティス・・・、ですよね・・・?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「そう。ユティス。あなたたちが言ってた、そのユティス」


(和人さん。本当のことをおっしゃってください。変に作り話はなさらない方が、後々面倒なことにならなくて済むと思います)


(リーエス、ユティス。ありがとう)


「知っているんでしょ?」


「えーと、ユティスはですねぇ・・・」

「ユティスは?」


「地球とは別世界の人間で、地球の文明促進支援のために、事前調査でここに来ているんです。あ、でも、肉体じゃなくて精神体で。だから、普通の人には見えないんです。オレと二宮先輩以外は・・・。とりあえず」


--- ^_^ わっはっは! ---


「はぁ・・・?」

岡本は口をあんぐり開けて和人を見つめた。


「そして。オレは彼女のコンタクティーとして選ばれまして・・・」

「和人、あなた正気?」


「彼女、そう、女性なんですが、オレがいろいろと地球の様子を教えてるって訳です。はい・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


ぱちくり・・・。

岡本は瞬きをして和人を見つめ直した。


「和人。あなた、なに言ってるの・・・?」

「ですからユティスについて・・・」


「ユティス?だれも、いないじゃない?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ユティスはちゃんとここにいますよ」


(リーエス!)


--- ^_^ わっはっは! ---


「本気で言ってるの?」

「ええ。もちろん」


「・・・」


「ですが、個人個人の相性とか頭脳派の活性化パターンとかあって、オレには見えますけど、岡本さんには見えないかも・・・。あはは・・・」


にこっ。

和人はユティスに向かってにんまりした。


「ほら」

(リーエス。上出来ですわ!)


--- ^_^ わっはっは! ---


「バッカじゃない。どうせウソつくんならもっとましなのにしたら?」


ぷい。




(あらあら。本当のことですのに・・・。うふふふ・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


「アホくさ・・・」


岡本は踵を返すと、すたすたと自分の席の方に歩いていった。


(では、和人さん。わたくしも少しの間エルフィアに戻ります)

(うん。残念だけど・・・)


(また、すぐにお会いできますわ)

(そうだね。じゃあ・・・)


(はい。また・・・)


ユティスはエルフィアに戻っていった。




「どう?」

「わかった?」


「ユティスって、どっか、地球外の別世界の人間だってさぁ・・・」

「え・・・?」


しーーーん。

一瞬、沈黙が彼女たちを支配した。


--- ^_^ わっはっは! ---


「で?」

「精神体なんで人間には見えないんだって・・・」


しーーーん。


--- ^_^ わっはっは! ---


「そんでもって、和人にだけ見えるんだって・・・」

「大丈夫、和人ぉ・・・?」


「ぷ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あはははは!」

「バッカじゃない?」


「あっはっは!」

「ひーーー、おっかしい!」


「最高のジョークだわ!」

「あはははは・・・!」

女性たちは大笑いした。


「それで、岡本、あなた納得したって訳?」

「じょ、冗談じゃないわ!なによ、まったく人をバカにして!」


「別世界から来た精神体・・・?」

「くっくっく・・・!」


「幽霊の方がまだ納得するわね」

「でなきゃ、守護霊とかね・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あーーー、はっは・・・!」


その隣では、石橋が疑わしそうに二人の会話を聞いていた。


「でも・・・」

「なによ、石橋?」


「和人さんも二宮さんも、確かにだれかがいるような感じで、お話されてました・・・」


「考えすぎよぉ」

「そうよ、石橋」


「あなた、二人のそばにだれか見た?」

「いいえ・・・」


「見えなかったでしょ?」

「は、はい・・・」


「だったら、そんな人物いないのよ」

「でも、精神体だって・・・」


「石橋。あなたねぇ、人間の精神が、あっちでふあふわ、こっちでふわふわしてたら、変よ」

「そうそう、幽霊じゃあるまいし・・・」


「幽霊・・・?」


ぞくっ・・・。


--- ^_^ わっはっは! ---


「精神体て言ってなかった・・・?」

「ということは、肉体じゃないわけでしょ・・・?」


「それって、まさか・・・」


ぴと・・・。


「ぎゃあーーー!」


--- ^_^ わっはっは! ---


岡本に冷たいアイスコーヒーのグラスをつけられて、茂木は悲鳴を上げた。


「な、なにすんのよ、岡本!」

「感じた精神体?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「はぁ、はぁ、はぁ・・・。それってねのはねぇ、『冷たい』って言うのよぉ!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「もう、いい。仕事に戻ろう・・・」


セレアムの事務所で和人の一言が本当だと証明されるのは、もう少し後だった。

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