408 胞子
「アンニフィルドです。あはは・・・。上陸した惑星で生物撮影なんかしちゃったんだけど、ちょっと困ったことが起きてしまったわ。知らないところって危険がいっぱいじゃない。でも、ここで言う危険てのは、なんと女性だけに関わることらしいのよねぇ。もし、本当なら、随分と不公平だと思わない?ねぇ、そう思うでしょ、みなさん。と言うことで、お話を始めましょうかぁ!」
■胞子■
地球を離れること1400光年、未知の地球型惑星上で生物調査を一通り終えた株式会社セレアム一行が、現地時間午後3時近くになって、宇宙船にグループごとに戻っていくところだった。
「俊介、あなた、結局、ほとんど生き物の写真撮ってないでしょ?」
俊介と合流した真紀は不満を双子の弟にぶつけた。
「そんなことないさ。なぁ、アンニフィルド?」
俊介はアンニフィルドに同意を求めた。
「え・・・?リーエス」
「へぇ、どんなの撮ったの?」
真紀はその言葉を信用してないかのように目を細めた。
「バクテリアとか、プランクトンとか、ほら、ちっちゃいのをたくさん。あは・・・」
こういう時のアンニフィルドは大いに怪しい。
「ふぅーーーん・・・」
どきっ・・・。
「あは。あのぉ・・・」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「それで・・・、うちの社給スマホに拡大接写用の機能付いてたっけ?」
真紀はスマホを調べ始めた。
「ナナ・・・、リーエス・・・。画像をうんと拡大すれば写ってるわよ・・・。あはは。たぶん・・・」
アンニフィルドは苦しげに笑った。
「たぶん?」
ぎろり。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「ナナン。絶対よ。絶対!あはは・・・!」
「ちょっと貸しなさい!」
ぐいっ。
「あーーー、待ってよぉ、真紀さん!」
ぴっ、ぴっ、ぴっ・・・。
真紀はアンニフィルドのスマホを取り上げるとアルバムを呼び出した。
「何よ、これ?ほとんどが、地面とか、草むらとか、水面しか写してないじゃない?しかも、思いっきりピント外れで、アングルもめちゃくちゃよねぇ・・・」
真紀が呆れ顔になった。
「えへへへ・・・」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
どう見ても、それは手に持ったスマホに指が触れて、適当にシャッターが切れて撮れたとしか思えないものばかりだった。
「アンニフィルドぉ・・・?」
「リーエス。だから、うんと拡大したら水滴中にプランクトンとか泳いでたりしてさぁ・・・」
もじもじ・・・。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「うちのスマホカメラには顕微鏡機能はないんですけどぉ?」
「ごめんなさい・・・」
「いっぱい時間はあったでしょう?」
真紀はしょうがないような顔で言った。
「リーエス。おかげさまで、いっぱい時間はありました。ねぇ、俊介ぇ・・・?」
にこ。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
アンニフィルドは赤面したまま俊介を見つめた。
「おい、こらっ!オレに振るなって!」
心外と言わんばかりに俊介は答えた。
「だって、私の分まで撮ってくれたんでしょ?」
アンニフィルドは泣きべそ一歩手前だった。
「はぁ?どういうことぉ、俊介ぇ?」
さっ。
真紀は俊介にスマホを渡すように右手を差し出した。
「オレは真面目に撮ってるぞ。別にアンニフィルドの分というわけじゃないからな」
きりっ。
「いいから、貸しなさい!」
「お子様には目の毒だぞ、姉貴ぃ・・・」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「だれがお子様よぉ」
ぴっ。
「な、何よ、これ・・・!」
「だから言ったじゃないかぁ・・・」
俊介のアルバムにあった写真には虫が2匹が重なり合っていた。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「彼らの邪魔をしちゃ悪いと思ってな、接写は一応遠慮しといたんだ」
「リーエス。水滴の中のプランクトンたちの中にも・・・。あはは」
アンニフィルドが作り笑いを浮かべた。
「黙らっしゃい!二人とも、後でゆっくりと反省してもらいますからね!」
きっ!
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「それ、返すわよ」
ぽい・・・。
中身を確認し終えて、真紀はスマホを俊介に放り投げた。
がし。
「おい、待てよ、姉貴!世界で初めて異星生物の繁殖を記録した貴重な写真なんだぞ。どんだけ価値があるのかわかってるのかぁ?大事に扱えよぉ」
「リーエス。滅茶苦茶高額で売れるわよぉ、真紀さん!」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
はっ・・・!
「そういえば・・・、確かに、そうよねぇ・・・。売っちゃおうかしら・・・」
真紀が考え直したように言った。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「そうだよ、姉貴。雑誌や、学会や、マスコミは飛びつくぞぉ!みんなが撮った写真は膨大だ。こいつを売れば会社も当分安泰だぁ!」
「俊介、よくやったわ!あは!」
ぴょん。
ぎゅ。
アンニフィルドは俊介に抱きついた。
「おうよ!」
すりすり。
俊介はアンニフィルドの頭を撫でた。
「てへへ・・・」
「どうでもいいから、あなたたちは離れなてさい!」
きっ!
真紀が二人を睨んだ。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
現地時間の午後3時、セレアムの社員たちは宇宙船に戻ってまずやるべきことは、自分たちの写真にラベル付けをすることだった。
「いい、みんな。写真もそうだけど、ちゃんとラベル付けして分類されてないと、資料もただのゴミだわ。言い換えれば、ラベル付けしてソートされていると、どんなつまんないデータでも価値が出てくるのよ。わかってる?ラベル付けは提示した案内に基づいて、もれなくやってよね」
みんながてんでにPCに写真をアップロードさせている中、真紀は一人声を張り上げていた。
「はぁーーーい」
「うーーーす」
「リーエス」
みんなそれぞれが自分の撮った写真にラベルをつけていた。
「例のさぁ・・・、俊介の虫の写真、どうラベル付けするの・・・?えへ・・・」
アンニフィルドが興味津々で俊介のPCを覗き込んできた。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「動物、虫、甲虫、コガネムシ・・・かもしれない、交配中・・・かもしれない、撮影者:国分寺俊介っと・・・」
「かもしれない・・・?」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「まだ確定はできないだろう。オレは宇宙生物学者じゃない」
憮然として俊介が答えた。
「そんなの生物学者じゃなくたってわかるじゃない。交配中に決まってるわ」
きっぱり!
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「どうして確定できるんだよぉ?」
俊介は慎重にラベル付けを続けようとした。
「とにかく、お、女にはわかるのよぉ。虫の気持ちだって・・・」
かぁ・・・。
アンニフィルドは真っ赤になった。
「はい?」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「ねぇ、船長、どうして、わたしたちがこの人たちの写真のラベル付けを手伝わなければいけないのぉ?」
ミリエルは宇宙船内での留守番に嫌気がさしていた。
「きみはセレアムでは宇宙生物学を専攻してるんだろ、ミリエル?」
「そんなこと言ったって、一人で何百枚、何千枚で、みんなの合わせればものすごい量なのよぉ・・・。ふぅ・・・」
ミリエルはため息をついた。
「社員のみんなは宇宙生物学なんて専攻どころか、かじった人間すら一人もいないんだよ。専門家が監修して手助けするのは当たり前だと思うがね」
船長は正論を言った。
「まぁ、しょうがないわね、カテゴリー2の住人じゃぁ」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「そういうことだから、少しは文句を言わずにやってくれんかね、ミリエル」
「はい。はい。わかりました、っとぉ・・・」
ぴっ、ぴっ・・・。
ミリエルは再び写真のラベル付けに集中しようとした。
「あれ・・・?」
「どうしたんだい、ミリエル?」
ミリエルが手を止めた接写写真に船長は注意を向けた。
「この菌類の一種、アレに似てると思わない、船長?」
「そりゃ、少しは似てるさ、アレに・・・」
にや。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「アレって、宇宙によくある、人間にとって催淫効果のある化学物質を含む胞子を拡散する菌類のことよ」
写真を調べているミリエルは生物学者のような観察眼だった。
「本当かね?それはそれで大変嬉しい、もとい、大変なことだぞ・・・」
船長はすぐに真面目な顔になった。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「ただ似てるってだけかもしれないけどぉ・・・。もし、本当にそれなら、闇取引されかねない代物だわ」
ミリエルは菌類をさらに観察した。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「闇取引とは穏やかではないね・・・」
「回春剤の原料になるのよ」
「回春剤?」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「ええ・・・。カテゴリー2以下の世界では特にね。宇宙一の人気製品の一つよ・・・」
「だろうねぇ・・・」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「この菌類、写真はこれ一つかしら?」
ミリエルがその写真から他にもないかと変えようとした。
「ちょっと待ちたまえ、ミリエル。この写真を拡大してごらん。詳しいことがわかるかもしれんぞ」
「了解、船長」
ぴぴ・・・。
ミリエルが拡大すると、その菌類の様子がさらにはっきりとわかった。
「どうかね?」
「やっぱり、すっごくよく似てる。星が違っても生物の進化は大体似たような過程を経ていくわ。恐らくこれもそうだと思う」
意外にも、ミリエルは宇宙生物比較学には明るかった。
「傘が開いてるってことは、既に胞子がそこら中に撒き散らさせているってことだわね」
ミリエルは意味ありげに船長を見た。
「撮影者は胞子を吸ってるかもしれんな・・・」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「発症は3時間以内。吸った量にもよるけど、ほんの少量でも、一般的に催淫効果は10時間以上は続くの・・・」
「ミリエル、きみはそう言う話には随分と詳しんだな?」
にや。
「地球人の女の子には負けるわよ」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「念のために聞いておくが、男女ともにそうなるのかね?」
船長はさらにきいた。
「いいえ。女性の方がより顕著だわ・・・」
ミリエルは難しい表情になった。
「けしからん胞子だな・・・」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「ちなみに、これはだれが写した写真だい?」
船長がミリエルにきいた。
「えーと。これは・・・、ユティス。ユティスだわ・・・」
ミリエルは写真の撮影者ラベルを確認した。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「それは、ますますもってまずいな・・・。彼女のグループ全員が吸ってるかもしれん」
「いいえ、船長。この菌類の繁殖域は広いの。一つ見つかったってことは、そこら中に生えていた可能性が大きいわ。みんな同じような近くにいたんだから、社員全員が吸引対象になるわね」
ミリエルは確信したように言った。
「それは、一応、真紀さんに知らせた方がいいな・・・」
「もちろんよ。真紀さんだって吸ってたら・・・。今夜が大変なことにならないように祈るわ・・・」
ミリエルは手を合わせた。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「ミリエル、きみも彼らから間接的に吸った可能性があるんじゃないのかね?」
船長が疑わしげにミリエルを見た。
「じょ、冗談じゃないわ。あんな代物にやられてたまるもんですか!」
「それには中和剤はあるのかね?」
「ないわ、ここには」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「セレアムに問い合わせて、化学組成を分析後ね。少なくとも5、6時間は必要よ」
「すぐに動いた方がいいな。手遅れになるぞ」
ミリエルの言葉を受けて船長は手を打つ算段を始めた。
「ええ。船長は大叔母様に連絡を」
「わかった」
「了解よ、ミリエル。よく気がついたわね」
にこ。
真紀はミリエルの今までの行動を帳消しにするくらいの感謝を示した。
「そんなこといいです。それより、みんなを・・・」
ミリエルは心配そうに女性社員たちを見回した。
「わかったわ。そんなに強力とは・・・、やっかいだわね、確かに・・・」
ミリエルの視線を追って真紀はアンニフィルドを見た。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「アンニフィルド、彼女も吸ってたら・・・?」
ミリエルが心配そうに真紀を見つめた。
「昨晩以上に俊介が危険だわねぇ・・・」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「そんなの絶対に許されません!」
ミリエルは地団駄を踏んだ。
「当然ね。でも、わたしもあなたも吸ってる可能性はあるのよ」
真紀はミリエルに忠告した。
「わたしは吸ってても構わないけどぉ・・・」
もじもじ・・・。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「それで、もしも発症した場合だけど、本人に自覚はあるのかしら?」
巻きが詳細を確認しようと尋ねた。
「わかりません。でも、あらかじめ知らせておけば、幾らかの理性は働くと思います。あの方を除いては・・・」
ミリエルは楽しそうにユティスたちと話しているアンニフィルドを横目で睨んだ。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「そんなこと言っちゃ可哀想だわ。一応、カテゴリー4の世界の住人なのよ」
「一応でしょ?」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「どちらかというと、わたしはあなたの方が心配なんだけど、ミリエル・・・」
真紀は冷静に言った。
「えーーー!アンニフィルドに味方するんですかぁ?」
ぷくぅ・・・。
真紀の本気そうな目にミリエルは不満げに言った。
「そんなんじゃないわ。注意してもらいたいだけ。自分だけは例外だという気持ちは禁物よ」
「はぁーーーい。わかってます」
真紀がミリエルと船長と一緒に社員たちに説明を終えると、社員たちは騒めき立った。
「ちょっとぉ、真紀、それって、女性だけがそうなるってことなのぉ?」
茂木が不満たらたらといった顔になった。
「レディー・ファーストっすね?」
ーーー わっはっは! ーーー
「祐樹さん、違いますよ、それ!」
「二宮のバーカ!バーカ!」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「本当なの、真紀?」
二宮を無視して岡本がきいた。
「そういうことらしいわ。幸いなことに男性はほとんど影響が出ないらしいの」
真紀は答えた。
「不公平ですぅ!」
「そんなぁ・・・!」
女性たちは男性たちの数倍の人数で、男性たちを怪しむように見た。
「男はいつだって発情してるから、今さらよぉ」
茂木が言った。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「この二宮が大丈夫って、信じられない」
岡本が二宮を睨んだ。
「うーーーす。自分は武道家っすから、へなちょこ胞子なんすか余裕で影響しないっすよぉ」
二宮が自信たっぷりにイザベルを見た。
「二宮もいつだってそうだから、ことさら慌てる必要もないんでしょう?」
岡本が言った。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「そんなことないっすよぉ。ねぇ、イザベルちゃん?」
二宮は真剣な目つきになった。
「ええ・・・」
「あーーー、怪しいなぁ・・・」
岡本がいぶかった。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「で、どうしてもそうなるってことぉ?」
「体質によると思います。どなたかどれくらい影響されるかはわかりません」
ミリエルが答えた。
ざわざわ・・・。
がやがや・・・。
社員たちはてんでにざわめき、互いに不安を払拭しようとした。
「みなさん、お静かに!現在、セレアム本星と連絡し合って、中和剤を調合する準備をしています。どんなに早くても5、6時間はかかります。成分による効果は半日くらいです。この胞子を吸った時間は人にもよるでしょうけど、早い人は1時間後には発症するかもしれません」
船長がざわめきを抑えるように両手でジェスチャした。
「えーーー!」
「時間がないじゃない!」
女性社員たちがパニック寸前になった。
「地球に帰るまでには、胞子の成分は自然に分解してしまいます。それまでは、女性は各自の部屋で待機していただきます。いいですね?」
「はぁーーーい」
「異常を感じたら、すぐに報告してよぉ!」
真紀が一同を見回した。
「あなた、逆夜這いかけないでよぉ・・・」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「えっちぃ!」
「どっちがよぉ!」
「きゃーーー!」
わいわい・・・。
がやがや・・・。
ちょん!
「触らないでよぉ!今のは、胞子のせいじゃないでしょ!」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「男性はこのまま写真のラベル貼りを続けるように!」
真紀は男性たちに作業継続を促した。
「うーーーす」
「了解だ」
「リーエス」
「わかりました」
和人ほか男性たちがてんでに答えた。
「いい気なもんね、あなたたち」
そんな様子の男性たちにアンニフィルドが言った。
「そんなことないっすよ。お気の毒に・・・」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「なんですってぇ!」
きっ!
二宮の言葉にアンニフィルドが反応した。
「こら、止めろよ。これは事故なんだからな」
俊介に言われてアンニフィルドは矛先を納めた。
「お風呂は血行を促進し症状を早めると思われから、中和剤投与し終えるまでは入ってはだめ。あと、食事も血糖値との関係がわからないから、後ろに延ばします。お腹が空いてもしばらくは我慢してもらうわ。茂木、お酒もご法度だからね!」
「ええーーーっ!お酒もダメなのぉ・・・!?」
茂木が鼻を鳴らした。
「ダメェ!冷蔵庫は封印します!」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「喉が渇くじゃない・・・」
茂木はなおも食い下がった。
「ミネラルウォーターでじゅうぶんでしょ。その気もないのに、二宮とか和人の部屋にふらふら行っちゃうことになるのが嫌なら、そうしなさい」
クリステアが静かに言った。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「そうです。とにかく、二宮さんはダメですよ、茂木さん!」
イザベルが血相を変えた。
「わたくしは、茂木さんがふらふらされても、和人さん以外の方ならいいですけど・・・」
ユティスは控えめに言った。
「はぁ?ありえない・・・」
茂木が反論した。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「今3時だから、食事は早くても8時だわね・・・」
クリステアが時間を確認した。
「ユティスは平気?」
アンニフィルドがユティスにきいた。
「リーエス。お腹は大丈夫ですか?」
「リーエス。私は平気よ」
クリステアがユティスたちと頷き合った。
「船長、男性たちをちゃんと監視しててね。絶対に、女性たちのフロアへ入らせないように」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「了解です、真紀社長」
船長は頷いた。
「特に、アンニフィルド、ミリエル、あなたたちは部屋から一歩も出ちゃだめよ。廊下でわたしが見張ってるからね」
めっ!
真紀が視線に力を入れた。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「わかったわよ。いい通りにするわ」
アンニフィルドがあっさりと両手を広げた。
「どうして、わたしまで?!」
ミリエルはアンニフィルドと同等にされたので、怒りを真紀にぶつけた。
「下着を脱いだまま就寝するような人には要注意です!」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「困ったことになってるようだわ・・・」
セレアム本星では、船長から緊急連絡を受けて、処方を事前に検討をつけ調べていた。
「該当の成分特定は実際のサンプルがないとできないな」
「一応、観察者の服からそれらしいものを採集してあるとのことです」
女性分析官が答えた。
「ああ、これだね?」
それはユティスの服だった。
「そうです」
女性分析官は慎重にそれを取ろうとして男性分析官の制止を受けた。
「きみは止めた方がいいね。きみも女性だから取り扱いには気をつけた方がいい。それははわたしがやろう」
どっきん!
「そ、そうよね・・・」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
男性分析官は、ミリアムの宇宙船から超時空転送で密封封印されて送られてきたユティスの服を、慎重に自動サンプル分析器のチャンバーに放り込んだ。
ほいっ。
外から密封されたチャンバー内で彼はサンプルを取り出すと、そのまま分析器のサンプル位置のそれを置いた。
「これでよし。早速、分析にかけてみよう」
にやり。
男性分析官が一瞬にやついた。
「なにを期待してるんですか?」
「別に・・・」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「測定開始します」
女性分析官が空中モニターを真剣に見つめて言った。
「オーケー」
ぴぴぴ・・・。
ユティスの衣服に付着した化学成分が瞬時にモニターに表示された。
「成分表示します」
「了解」
ぴ、ぴ、ぴ・・・、ぴっ。
「どれどれ・・・」
二人の分析官は成分を認めると互いに見合った。
「あーら、あら。大当たりですわ。人間の女性だけに影響する成分ですよ」
女性分析官が目を見開いて結果を確認した。
「人類だけで十分過ぎるほど十分だよ」
「え?」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「いや。大発見だ。とにかく滅多にないミリエルの手柄だな。うむ」
男性分析官は驚いた様子で一人頷いた。
「まぁ、それはないですよ。それに、あの船の搭乗者、女性が圧倒的に多いんでしょ?気づくのが遅れたら、船内は、24時間、十分に大変なことになってたかも知れませんわよ」
女性分析官は、もし自分がそこにいたらと思ったのか身をすくめた。
「そうだね・・・」
「あら、あなたはそこにいたかったんですか?」
「じ、冗談じゃない」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「明日は、その惑星の上をうろつくのは止めさせた方がいいですわね」
「ああ。たぶんだけど、ちょうど胞子の拡散時期なんだよ」
男性分析官が自分の意見を言った。
「ええ。一年のある時期はこの菌類が大量に胞子を拡散させるはずですから」
女性分析官も相槌を打った。
「まずは、わたしから船長に連絡を入れよう。きみは中和剤の生成を急いでくれ」
「わかりましたわ」
ぴぴぴ・・・。
男性の分析官は船長と早速連絡に入った。
「ああ、きみか?」
「ええ。問題は、船内のいたるところに胞子がばらまかれてしまったことでしょう」
「なんとかならないのかね?厄介ごとはミリエルだけで十分だよ」
数時間後のことを思う船長の声は疲れていた。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「このまま、地球に戻ると、かなり確率は低いとはいえ、船内に持ち込まれた胞子が地上に落ちて成長してしまい、大パニックを引き起こす可能性があります」
分析官は淡々と喋った。
「そういうことか。ベビーブームにならなきゃいいが・・・」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「ええ。ですから、解決策が実行されるまで、船長ほか、みなさんがそこに足止めになることは避けられませんね」
分析官は結論を言った。
「それだよ。わたしが心配するのは・・・。エルフィア人のみなさんは、地球に戻り次第、エルフィアに帰還しなくちゃならんのだよ。日程が詰まっている・・・」
船長は分析官に主張した。
「けれど、なにもしないでエルフィアに戻ったら、無防備なエルフィア女性まで確実に巻き添えを食いますよ・・・」
「えええ、エルフィアもかね・・・?」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「脅さないでくれたまえ」
船長は目を大きく見開いて言った。
「というのは冗談です。胞子の該当成分は通常12時間から20時間で空気中で自然分解します。効果は半日くらいしか続きませんから、船内で放っておくという手もありますが・・・」
分析官の声の調子は変わらなかった。
「しかし、12時間とはいえ12時間だ。そんなにも効果が続くのか。当座の問題は今晩なんだがね・・・」
船長は眉間を寄せて顎に手をやった。
「お察しします。緊急処置としてなら、胞子の活動を止める中和剤を船内に撒布するしかないんですが、どうしますかねぇ・・・」
分析官は人ごとのように言った。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「もっと、確実で即効性のいい方法はないのかい?」
船長は思案顔で分析官を見つめた。
「ないですね」
「あっさり言うねぇ・・・」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「わたしが思うに、船内の空気中に中和剤をイオン化させて撒布するのが一番効果的です。イオンが一瞬で胞子に取り付いて反応しますから、胞子の成分効果はそこでお終いです」
しょうがないかと言う顔で、分析官が結論を言った。
「なるほど、それが一番か・・・。真紀にはわたしから言っておく」
船長は妥協するしかなかった。
「よろしくお願いします。では、わたしは中和剤を生成させなくてはなりませんので」
分析官は淡々と続けた。
「頼んだよ。でき次第、それを転送してくれたまえ」
「了解です。そちらの宇宙船の位置は確認していますので、撒布ロボットも一緒に転送します。撒布はそれに任せてください」
「わかった」
(やれやれ・・・)
「ここにいるみんな、菌類の胞子に含まれる成分を吸ったってことぉ?」
茂木がまさかというような顔になった。
「そうみたい。身体上は無害だけど、女性には強力な催淫作用があるんですって・・・?」
岡本が意味ありげに言った。
「女性だけって、随分と不公平よね・・・」
岡本は続けた。
「男性だけだったら、もっと怖いわ」
「あはは。言えてる!」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「私たちも既に胞子を吸い込んでるってことは・・・」
「ってことは・・・」
二人は見合った。
「だれを襲うつもりなの、茂木?」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
ぱち。
岡本は茂木に片目をつむって見せた。
「あなたこそ、男女、どっちでもいけそうって顔してるわよ、岡本」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「あは・・・」
「あはは・・・」
茂木と岡本はお互いを見合って苦笑いした。
「もし、わたしがそうなったら、思いっきり顔を引っ叩いてよね、茂木」
「ええ、そうするわよ。ところで、地球からバットは持ってきていたかしら・・・?」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「わたしを殺す気・・・?」
きっ。
岡本が茂木をにらんだ。
「違うわよ。わたしが素振りして、邪気、妄想を削ぐのよ」
「スポーツでへとへとになれば、そんなの簡単に吹っ飛んじゃうって思ってるの?」
「そうじゃないの?」
「えらく強力らしいわよ・・・」
(わざわざ真紀に加えて船長までもが警告したのよ)
岡本にはそう簡単なことではないように思えた。
「そんなに?」
「そうね。あなたの薄弱な意思くらい簡単に吹っ飛ぶわよ」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「あなたもでしょうが!」
「どうせ吹っ飛ぶんなら、王子さまを目の前にして欲しいわぁ・・・」
茂木は無い物ねだりをするように両手の平を胸の前で合わせた。
「虫とか両生類とかの王子さまはたくさんいるわよぉ」
しらぁ・・・。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「そう言えば、カエルになった王子さまってお話もあったわねぇ・・・」
岡本はさらに続けた。
「確か、お姫さまがキッスして元の姿に戻るのよね」
岡本は自分だけはロマチックだとも言いたげに茂木を見つめた。
「お姫さまがカエルに?」
ぺろっ。
茂木が舌を出した。
「バーカ。バーカ。バーカ!」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
真紀の説明はエルフィア娘たちにも話題になっていた。
「ユティス、あなたが一番危ないわね・・・」
クリステアが静かに言った。
「クリステアもアンニフィルドも同じですわ。わたくしとずうっとご一緒でしたもの・・・」
「ナナン。わたしは違うわよ」
アンニフィルドが眉をぴくつかせた。
「アンニフィルドは俊介さんと林の茂みで・・・」
かぁ・・・。
ごっくん。
ユティスは途中で言葉を飲み込んだ。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「どうしたの、ユティス?さっさと続けなさいよぉ」
ぷくぅ・・・。
アンニフィルドは自分だけ惑星の生物の写真をそんなに撮ってないことを自覚していた。
「でも、続けて言っていいわよぉ。わたしたち、なんにも悪いことなんかしてないから・・・」
アンニフィルドは虫さえも踏み潰してないのだった。
「では、いいことをしてたんですか?」
「い、いいことぉ・・・?」
どっきん!
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「ふっふ。そりゃあ、とってもいいことしてたに違いないわぁ・・・。人生最高の日って」
くすっ。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
会社役員としてみんなの安全を預かる俊介が、真紀と船長たちの今日の変更予定を確認しあっているのを尻目に、クリステアが含み笑いした。
「でも残念。最高がキッスだけだなんて・・・」
くすくす。
「な、なんてこと言うのよ、クリステア!キッスの一つや二つを大袈裟に言わないでよぉ」
「問題は数じゃないのよぉ・・・。中身。中身だわぁ・・・」
クリステアにはフェリシアスという恋人がいた。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「そう。そう。そういうわけだから、ユティスがもしもの場合に備えて、和人はしっかりユティスを守ってなさいよぉ」
誤魔化しにかかったアンニフィルドが言った。
「リ、リーエス・・・」
和人は心配そうにユティスを見た。
「で、もしもの場合って・・・?」
ユティスはアンニフィルドに助けを求めた。
「そりゃ、我慢しても耐えられなくなれば、なんとかするか、してもらうしかないじゃない」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「なんとかとは、どういう風にですか?」
「あなたは、なんとかしてくれる人がいるんだから、その人に頼むしかないじゃない?」
アンニフィルドが言った。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「なんとかするって、和人さんがですか?なにを頼むの・・・?」
きょとん。
「えええ!」
和人はびっくり仰天した。
ーーー ^_^ わっはっはーーー
「わ、わたくし、頑張ります!」
ぎゅっ!
ユティスは両こぶしを握った。
「頑張るって、だから、なにをぉ?」
和人は白々しく聞いた。
「もう、そんなこと二人で決めなさい!」
アンニフィルドが文句を言った。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「そう言うアンニフィルドとクリステアは大丈夫なんですか?」
ユティスが心配そうに言った。
「そうだよ、アンニフィルド」
今度は和人が文句を言う番だった。
「わたしは大丈夫。みんなの前で醜態を晒すくらいなら、腕を噛んででも正気を保つわ」
きっぱり。
アンニフィルドは声を低くして3人を見つめた。
「あら。俊介の腕を噛んでもなんにもならないわよ」
にやり。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「あはは。バレてたのね」
「リーエス。あなたのことはお見通しよ」
「自分の腕を噛むって、やっぱり痛いじゃない?」
にこ。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「それじゃ、意味なしだわね。わたしは胞子成分の効果が出てこないうちに、強制睡眠でさっさと眠るわよ」
クリステアはとっくに対処法を考えていた。
「夢の中で一人で楽しもうってことね・・・?あは」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「はぁ?ナナン。強制睡眠っていいたでしょ、アンニフィルド。深い眠りの中じゃ夢も見ないの。どう、これで?あんなに大騒ぎする必要もないと思うけど」
クリステアが言った。
「どうだか・・・」
「どうなるんでしょうか・・・?」
イザベルは真紀の説明を受けて、不安そうに独り言のように言った。
「イザベルちゃん、大丈夫すっかぁ・・・?」
二宮も一見心配そうに、しかし本心は期待しながらイザベルの目を覗き込んだ。
「自分がイザベルちゃんの面倒をみるっすから・・・」
「わたしはまだそんな風にはなってません!なるとも限りません!」
きっ!
イザベルは二宮を睨んだ。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「そりゃ、良かったっす。胞子に突きや蹴りは通用しないっすからね」
にこ。
「あ、当たり前です!」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「普通、自分の嫁さんがそうなったら、どうすればいいんすかねぇ?自分は親父に聞いたことないので、のかわからないっす」
二宮は真顔でイザベルの目を覗き込んだ。
じぃ・・・。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「ええ・・・?普通はそうなりませんし、そんなことは聞くことも必要ありません」
イザベルは驚いて慌てて答えた。
「うす。そりゃ、またどうしてっす?」
「常識です。ご夫婦のことはご夫婦にお任せすればいいんです」
イザベルはまたかといったように頭をかかえる仕草をした。
「うっす。自分ち、お袋が圧倒的に強いダメ夫婦なんすけど?」
「あのですねぇ・・・」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「これについては、自分とイザベルちゃんで解決すればいいということっすから・・・」
惚けたように二宮が言いかけた。
「祐樹さん?」
それに対して、すぐにイザベルが口を挟んだ。
「うす・・・」
「まだ、わたしは祐樹さんにお嫁入りなんかしてません!」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「うーーーす。3年後っすよね?」
にこ。
「しないかもしれませんよ・・・」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「そんなぁ・・・。イザベルちゃん!」
たちまち、二宮はだらしない顔になった。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「ところで、ミリエル、きみも女性であるからには例外ではないはずだが?」
宇宙船の大食堂兼会議室で船長がミリエルに問いかけた。
「そうよねぇ・・・。でも、一応備えは考えてはいるわ」
ミリエルは大して心配はしてないように見えた。
「そうか。そいつは感心だ。初めて聞かせてもたったぞ、その言葉」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「まぁ、失礼ね。恋する乙女はいつだって備えてるんですからね」
ミリエルはなにを言うかという表情になった。
「なににだい?」
「そりゃ、そのぉ・・・。そんなこと乙女に話させないでよぉ!」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「とにかく、そうなる前にシュンスケの部屋にお邪魔しなきゃ・・・」
「なるほど、シュンスケのところか。既に先客がお邪魔してるんじゃないのかね?」
アンニフィルドと俊介がここにいないのを確認しながら、ゆっくりと船長は言った。
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「その前に行くのよ!」
ミリエルは吐き捨てるように言った。
「じゃあ、今すぐ行った方がいいな。俊介の姿が見えんぞ」
「うっそぉ・・・。あ、アンニフィルドは・・・?」
「彼女ならお手洗いかな・・・?」
船長はとぼけたように天井を見上げた。
「どうして、それを知ってるのよぉ、船長」
「同じく、彼女の姿が見えん・・・」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「きーーー、大変!それ、俊介の部屋に行ったに決まってるじゃない!知ってたんだったらもっと早く言ってよぉ!」
ミリエルは小さく叫んだ。
「今、気がついたんだ、すまない」
「もう!手遅れになったらどうするのよぉ!俊介ぇーーーっ!」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
たったった・・・!
たちまちミリエルは走り去っていった。
どたどたぁーーーっ!
「急がなきゃ!」
「おり、なにを慌てているんだ、ミリエルのやつ?」
俊介が男子トイレから出てきて、ハンカチで手を拭きながら船長の横に立った。
「おり、トイレ行ったのは俊介の方だったか・・・」
「はぁ?」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「本当にそれで大丈夫なんですか?」
ユティスが心配そうにクリステア見つめた。
「和人、だから、あなたという保険をかけておけばいいのよ。ユティスがどっかに行かないように」
クリステアは和人を諭すように言った。
「オレは保険なのかい?」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「リーエス。だから、今晩は特に保険をかけて、あなたたちは二人で一緒に床に着くように」
クリステアは真面目顔で言った。
「えええ・・・!」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「うふふ。ご一緒でお布団なんて、随分お久しぶりですわ」
ユティスが嬉しそうに和人を見つめた。
「いい・・・!」
「真紀さんの説得はわたしがするわ。外からも厳重にロックするようにって」
クリステアが続けた。
「閉じ込めかい・・・?」
「ナナン。物理的時空封鎖ってとこね」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
すくっ。
にや。
ちょうどミリエルからは死角になるようにイスに座っていたアンニフィルドは、立ち上がると片目をつむった。
「わたしは俊介と一緒しようっと」
アンニフィルドが歩き始めようとした時だった。
「きっとダメよ。ミリエルが許さない」
走り去って行くミリエルの後ろ姿を目で追いながら、クリステアが言った。
「あら、あの娘、なに慌ててんのかしら?」
アンニフィルドもクリステアに見倣ったが、すぐに視線を戻した。
「しょうがないわ。じゃ、また一緒ね。あは」
アンニフィルドは誤魔化し笑いをしたが、クリステアの警戒網に引っかかった。
「またぁ・・・?それってどう言うことぉ・・・?」
どっきん!
(しまったぁ・・・。まったく、よく気がつくことで・・・)
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「そうですわ、アンニフィルド。以前も3人でご一緒したことがあるようなおっしゃい方ですわ」ユティスも目を細めた。
「怪しいなぁ・・・」
和人も含めて3人はアンニフィルドを見つめた。
じぃ・・・!
(この二人までも・・・。なんとか誤魔化さなきゃ・・・)
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「そ、そんなことないわよぉ。一緒に3人で眠ったなんて、そんなことしてないわよぉ」
早速、アンニフィルドが誤魔化しにかかった。
「ふぅ・・・ん、3人で一緒に寝たんだぁ・・・」
和人が目を細めた。
(あれれれ?しまったぁ・・・)
「語るに落ちたわね、アンニフィルド。さぁ、白状なさい。一体、なにがあったの、昨晩?」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「今更、精神波をシールドしても遅いですわ。うふふ」
げげげ・・・。
「わかったわよぉ。これこれ、しかじか、あーなって、こーなって、そうーなったのぉ!」
アンニフィルドは一気に言った。
「ミリエルさんもご一緒にですかぁ・・・?」
おっとり屋のユティスも呆れ顔になった。
「大胆ねぇ・・・」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「し、知らないわよ。ぜんぜん、記憶にはないんだからね!」
アンニフィルドは開き直った。
「常務は記憶にあるんじゃないのかい?」
ーーー ^_^ わっはっは! ーーー
「ナナン!ない!ないったら、ない!」
「そんなこと威張ってもしょうがないと思うけど?とにかく、今晩は要注意ってところね」
クリステアが会話を収束させた。