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403 特報

「ベネル・ナディア(こんばんわ)かな?毎度、アンニフィルドです。超銀河転送システムが使えるようになったのでかどうかは知らないけど、ブレストがついに動き出したわ。しかも、イラージュ本星にイラージュの宇宙船を使用して、合衆国大統領を招聘しようって魂胆なの。エルフィアはそんな急激な行動は絶対にしないわ。他世界の宇宙船で自分たちの大統領がその星に行くっての、合衆国民にはどう映るのかしら?大いに心配ね。こういうの、安全な宇宙旅行なんだけど、地球的にはハードランディングって言うのよね。あは!」

■特報■




「さて、みんな、朝ご飯食べたぁ?ユティスたちについて伝えることがあるから、ちょっと聞いてくれる?」

真紀はセレアムの中型宇宙船のビュッフェで社員たちに話した。


「はぁーい」

「うっす」

「はい」

社員たちの了解が飛んだ。


「わかってるでしょうね、あなたたち?」

真紀はユティスたちエルフィア娘を見て微笑んだ。


「なに?なに?」

岡本が3人を見て茂木に囁いた。


「夕べのことじゃない?」

「キッスゲームのことぉ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「さぁ、なにかしでかすとしたら・・・。大方、アンニフィルドにじゃないのぉ・・・」

茂木は真紀に俊介がまともにキッスしたことだけ頭にこびりついていた。


「なによぉ・・・?」


じろり。

アンイフィルドが茂木を軽く睨んだ。


--- ^_^ わっはっは! ---


「えーーー、ユティスたちエルフィアからの親善使節をうちで預かることになって、早、1年以上が過ぎたわ。みんなも仲良くしてくれて、わたしも本当に助かったし、嬉しかった」


「なんか、別れの挨拶っぽくない?」

岡本が言った。


--- ^_^ わっはっは! ---


「だよね・・・」

茂木も頷いた。


「ええ?ひょっとして、ユティスさんたちと一緒に、キャムリーもエルフィアに戻っちゃうんですか?」

すぐに、石橋がキャムリエルを見て泣きそうな顔になった。


「大丈夫。一時帰還だよ、カレン」

「キャムリー・・・」

「リーエス、カレン。あは・・・」


にこにこ・・・。

キャムリエルは石橋だけが呼ぶ名前に嬉しくてしょうがなかった。


「和人のせいだな。地球は時空封鎖っすか・・・」

二宮が落ち込んだような声でイザベルに言った。


「はぁ、恐らくそうは・・・」

「まさか、あなたのせいでしょうが」

岡本がイザベルが答える前に言った。


「ユティス。アンニフィルド、クリステア、前に出て」

そこで、真紀はエルフィア娘たちの名を呼んだ。


「リーエス」

「リーエス」

「リーエス」


真紀に呼ばれて、3人のエルフィア娘たちが前に出てきて社員たちに向き直った。

くるり。


「みなさん、おはようございます。この度、わたくしたちは一度エルフィアに戻ることが決定しました。地球での予備調査の中間報告をするためです。会社の研修旅行が終わり次第地球を発つことになりそうです。エルフィアに1月くらいいて、また戻ってきますので、よろしくお願いしますわ」


にこ。

ユティスが微笑むとアンニフィルドとクリステアも会釈した。


ぺこり。


「これは、転送システムのアルゴリズム見直しに手間取ったからなんだけど、本当はもう2、3ヶ月は前になる予定だったのよ」

真紀がフォローした。


「それから、和人さん。あなたは地球におけるコンタクティーです。中間報告には地球人の代表として是非証言にお発ちいただきたく、わたくしたちとご一緒に同行をお願いしますわ」


にこ。

すぅ・・・。

ユティスは和人に手を差し出した。


「あ、リーエス・・・」


和人はユティスの前に進み出てその手を取った。

きゅ・・・。


「あらあら、朝からお熱いことで・・・」


にっ。

アンニフィルドが二人に囁いた。


「昨日の晩のきみほどじゃないよぉ」


どっきん!


--- ^_^ わっはっは! ---


「な、なにを知ってるのよぉ、和人・・・?」

アンニフィルドが慌てた。


「ここで言っていいのかなぁ・・・?」

にんまり。


--- ^_^ わっはっは! ---


「わ、わかったわよぉ・・・」


(見なかったことにすると言ったけど、聞かなかったとは言ってないわよね・・・。真紀さんから聞いたのかしら・・・?)


--- ^_^ わっはっは! ---


「それで、ユティス、一時帰郷はいつ決定したんだい・・・?」

和人がユティスを振り向いて言った。


「先ほど、わたくしにエルドから通知がありましたの」


「オレ抜きでかい・・・?」

和人はちょっと不満そうに言った。


「その時、和人さん、小室にいらしてたんで仕方なかったんです・・・」


かぁ・・・。

ユティスが頬を染めた。


「小室・・・?個室・・・?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「おじゃますると申し訳ないと、わたくしから後から伝えてほしいって・・・」

ユティスの言葉の最後はほとんど消えかけていた。


「なんで・・・?」


「エルドが遠慮したのよぉ、健康優良児さん。毎日、毎朝、お勤めご苦労様です。じゃぁーーー!」

ぱち。

そこにアンニフィルドが現れ、仕返しとばかにり和人にウィンクした。


--- ^_^ わっはっは! ---


「ああ・・・!」


かぁ・・・。

和人も真っ赤になった。


「あっはっは!」

「わははは!」

「ふふふふ!」


そこで、社員一同大爆笑になった。


「本当は、エルフィアで内緒に結婚式をあげるんじゃないのかぁ・・・?うりうり・・・」

二宮が怪しんだ。


「えええ・・・?地球のご家族は無視していいですか・・・?」

イザベルが心配そうに言った。




「お決まりのようですね?」

「イエス。ブレスト、わたしの答はこうだ・・・」

イラージュの文明支援世界の代表ブレストに、合衆国大統領は静かに口を切った。


「今回のイラージュ大統領の招聘には心から感謝する。2名とのことだが、こちらからは、国務長官のエリザベスとSSのジョーンズ、それから、ジャーナリストのファンの3名だ。残念ながら、わたしがこの場を外すわけにはいかない」


じぃ・・・。

大統領はそう言うとブレストを見つめた。


「ふむ。あなたはどうしても面子に拘るみたいですね。こちらには、なにも深い裏の意図などありませんよ」


にこ。

ブレストは大統領に微笑むと、彼の言葉を肯定するわけでも否定するわけでもなく、自分の言葉を続けた。


「国務長官とSSのジョーンズのことなら存じ上げておりますが、ジャーナリストというのは、どういうおつもりですか?」

「きみらも宣伝したいわけだろう?」


「なにをです?」


「イラージュが地球を、合衆国を最優先で文明支援を行うと。それに当たって、イラージュはエルフィアに引けを取らないくらい資格十分である、という証拠を合衆国民ならず世界中にもね」


「疑り深いんですね・・・?」

「それはきみもよく知ってるだろう?合衆国市民なんだからな」


「イエス」


「まぁ、それはいいとして、文明支援を合衆国に最優先権を与えて行うという提案に対しての回答をまだいただいておりませんが・・・。ふふ」

次に、ブレストは意味ありげに微笑んだ。


「その件は、期限がきているわけでもないだろう?」

「しかし、得点のお約束はなくなりますよ・・・」


「約束ねぇ・・・。それも含めての期限。つまり、契約。イラージュと条約を結べというわけだ」

「別に書面を交わせとは申しあげておりませんが・・・」


「けれど、それは紛れもなく契約。違うかね?」

「まぁ、大統領がそうお思いになりたければ、それもいいでしょう」


「認めたな、ブレスト・・・」

「わたしはそうだとは言っておりませんよ」


「しかし、友人なら、そのような言い方は絶対にせん・・・」

じぃ・・・。


「友人?」

ブレストはその言葉に込められた大統領の意図が読めなかった。


「イエス。友人だ。エルフィアはそう言った」

「エルフィア・・・?つまり、ユティスがそう言ったのですか?」


「ああ。そうだ。わたしがベルナールと藤岡と一緒に初めてユティスに会った時のことを、ブレスト、きみは知るまい?」

「ええ、もちろん。わたしがここに来る前でしたから・・・」


「ユティスの言葉に、わたしも、あの二人も、大いに恥じることになった・・・」

「ご提案した契約の内容にですか?」


「いや、違うな・・・。契約を交わすという精神そのものにだ・・・。カテゴリー1文明の亡霊だと一刀にされたよ。エルフィアを友人と認め信じると言うのに、何故、あらためて契約を迫るのかとね・・・」


「ユティスがですか?」


「ああ、そうだ。ユティスがそう言った。契約とは、翻せば、相手を信用していないということの証明だ。それに、こうも言った。毎日、友人とバーに行く際、飲み代を心配して契約書を交わすのかとね・・・。条約書面にサインを迫るなら、彼女たちは本気でエルフィアに戻ると言った」


「本当に・・・?」

ブレストは信じ難いといった表情になった。


「実際、後一瞬でエルフィアに帰還というところまでいったんだ。即座に、わたしは彼女たちの目の前で、補佐官に条約書を破り捨てるように言ったがね・・・。あの時の緊張は一生忘れられないな・・・」


「では、エルフィアとの文明支援契約は・・・?」

「そういう意味での契約は一切してない。友人と認めてもらうのに契約書が必要かね?」


「・・・」


びくっ。

大統領の止めの一言に驚いたブレストは、身体を震わせ声を失った。


「そこで、今は昔。合衆国市民で地球人でもある、元エルフィア人のきみが、イラージュ人として、わたしに契約を要求してきている・・・。確かに書面こそないが契約を迫っていることには違いない。考えれば、おかしなもんだ。わたしは、この場合、どうすべきかね、ブレスト・・・?」


「大統領、あなたは、無償の文明支援を旗に掲げるなら、イラージュも一切の契約はするなと・・・?」


「合衆国への文明最優先支援契約。わたしには、きみへの回答はしないつもりだ。それでも、イラージュがわれわれを招待してくれるというなら、きみもイラージュも友人だ」


「・・・」

ブレストは絶句したまま、大統領を見つめるばかりだった。


「契約はしない。だが、それはイラージュを拒否するということでは決してないぞ。誤解ないようにな。だから、回答はしないんだ。ベスたちを送るというのは不満かね?」


「い、いえ、決してそんなことは・・・」

ブレストはやっとのことで大統領に答えた。


「では、合意を見たところで・・・」


こんこんこん。

大統領執務室のドアがノックされた。


「入っていいぞ、ベス」

「ありがとう。ミスタ・プレジデント」


かちゃ・・・。




「アンデフロル・デュメーラ・・・?」

「リーエス。なにかご用ですか、リッキーさん?」


つん!


「そうツンツンするなよぉ。悪かったてば・・・」


地球上空待機中のエストロ5級母船のリビングではリッキーやドクターやら一同が、有機体アンドロイドとなったアンデフロル・デュメーラから、今後の説明を受けているところだった。


「幽霊姿でも、えらく美人だったぞ。うん。世界一。いや。宇宙一だ!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ちっとも嬉しくありませんわ!」

「ち。外したか・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あのなぁ、アンデフロル・デュメーラ、きみは、最近少々性格が変わってきたんじゃないかぁ・・・?」

「一緒です。ドクター・エスチェル、エルフィア帰還の具体的説明を続けてよろしいでしょうか?」


「リーエス。いいけど、別のところでする?」

エスチェルはリッキーの渋い表情をちらりと眺めた。


「ナナン。みなさんが一堂に会しているところがベストですから」

「オレも含めていいのか?」

リッキーが言った。


「よろしいですとも、端の方でオートナジックにしていらっしゃるなら」

「オートナジック?なんだ、そりゃ・・・?」


「たぶん、大人しくの言い間違いだろうな・・・」

フェリシアスが答えた。


「あ、そう・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「それで、地球からの転送一号はドクターたち二人になるんだな?」

フェリシアスがアンデフロル・デュメーラに確認した。


「リーエス。フェリシアスとキャムリエルは地球にまだ待機してください。ユティス帰還時まで、なにが起こるかわかりませんので」


「きみも守ってもらうということだぜ、それ」

リッキーが口を挟んだ。


「もちろんです。あなたからですわ、リッキーさん!」

つん!


ゆらっ。

アンデフロル・デュメーラは黒髪のポニーテールを揺らして横を向き、白いうなじが露になった。


どっきん・・・。

「せっかく色っぽくなってきたのになぁ・・・」


「あなたから聞きたくありません!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「おーお。すっかり嫌われちゃったわねぇ。今さら後悔してるんじゃない、リッキー?」

リッキーの隣でジェニーがリッキーをからかった。


「なにがだぁ?」


きっ。

リッキーは面白くないというように、ジェニーを横目で睨んだ。


「アンデフロル・デュメーラも人間らしい、というか、女の子らしい感情が芽生えて、日増しにキレイで可愛くなってきてるでしょ?はじめから、恋のお相手に立候補しとけば良かったんじゃないの?」


くす・・・。


--- ^_^ わっはっは! ---


「あ、あれは大いなる間違いです!」

ぷんっ。


確かに、急激にアンデフロル・デユメーラが美しい乙女へと変わりつつあった。


「こいつの考え、ぜんぜん読めん・・・」

エスパーであるリッキーが、急に気になり始めたアンデフロル・デュメーラの精神を読もうとして、即座に失敗した。


「絶対に読ませません。人の精神にアクセスするのは痴漢行為ですわ!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「痴漢って、オレを変体扱いする気か?」

むっ。


「リーエス。リッキーさん、あなたには、とっても危険なものを感じますから」


「危険なものですってぇ・・・!」

ぷふっ・・・。

エスチェルが吹き出しながらフェリシアスを振り返った。


「うん・・・?わたしも、そうなのか・・・?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「フェリシアス、あなたが真顔で言うと冗談になりませんよ。くっく・・・」

トレムディンが今にも笑い出しそうに言った。


「で、どうなのよぉ?アンデフロル・デュメ-ラは可愛くないの?答えなさいってば」

ちょん。

ジェニーがリッキーを突いた。


「オレはそんなんじゃない。彼女とは普通に話したいだけだ」

リッキーも真顔に戻った。


「要は話したいのね、彼女とぉ・・・?」

にやり・・・。


--- ^_^ わっはっは! ---


「普通の会話だ!」

リッキーはむきになって言った。


「だ、そうよ、アンデフロル・デュメーラ?」

にまぁ・・・。


「お断りします」

つん。


--- ^_^ わっはっは! ---


「ああ、それはそれでと、転送は明日になるのかい?」

トレムディンがアンデフロル・デュメーラに確かめた。


「リーエス。ドクターたちの準備状況にもよりますが・・・」

にこ。


「随分と対応に差があるな・・・?」

リッキーが不満そうに言った。


「これが普通ですわ」

つん。


--- ^_^ わっはっは! ---


「わたしはいいわよ」

エスチェルがすぐに答えた。


「わたしも・・・、いいことにするよ・・・」

トレムディンが一瞬躊躇したがエスチェルに合わせるようにして答えた。


「いいことにする?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「はっ、なんだい、それ?」

言葉尻を捕えて、リッキーがトレムディンを見た。


「彼はあなた以上に地球を愛してるのよ」

ジェニーが言った。


「あ、そうかい。地球をねぇ・・・。丸っこくて色白で可愛くて可憐で・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「なにかご不満でも?」

すました顔でトレムディンがリッキーのからかいをかわした。


「はっ。どういつも、こいつも・・・」

最後はリッキーのぼやきで終わった。




そこには国務長官のエリザベスとSSのジョーンズ、そして、ジャーナリストのファンがいた。そして、そのまた後ろには、テレビ局のカメラマンやらマスメディアと思われる大統領官邸に入ることを許された数人が続いていた。


「これは・・・?」

「ごきげんよう、ブレスト。今日は、イラージュにお招きいただいて本当に嬉しいわ。ふふ」


ぎゅ。

ベスは微笑んでブレストと握手した。


「発表だよ、ブレスト。国務長官、SS、ジャーナリストの3人がイラージュ大統領の招聘を受け、イラージュに3日訪問する。今時分はメジャーリーグやNFLの中継もないし、トップニュースだな。お、そうだ。官邸専属のメイクさんも頼んでおいたから、きみもカメラ映りもバッチリだぞ」


「わたしも出るんですか・・・?」

ブレストは先ほどのショックから立ち直りつつあった。


「当然だよ。ブレスト、きみが今回の招聘仲介人だ。もちろん、きみにも出てもらわんとな。わたしはイラージュの大統領と超時空通信で対話する。空中スクリーンくらいは利用させてもらいたいが・・・?」


「イエス・・・。しかし、発表にしても大げさ過ぎませんか?」


「いいや。こうせねばならんのだ。わたしには第三次大戦が決して起こしてはならないという使命がある。発表は全世界に流される。全地球人が注目するんだ。地球がカテゴリー1を完全に脱皮できるかどうかの試金石としてね」


「大統領・・・」


「さぁ、ブレスト、イラージュの宇宙船を呼びたまえ。月のクレータに待機させてあるんだろう?大統領官邸の真上でかまわんよ。既に、軍や航空管制局、警察には予め通達を出してある。ここの上空は1時間前から航空規制を敷いているんでね。宇宙船の接近を妨げるものはなにもないぞ。着陸するんであれば表の広場を利用してくれてけっこうだ」


「まさか・・・」

ブレストは大統領のあまりの手際のよさにわが目を疑った。


「大統領、どうして、それをご存知で・・・?」

「銀河中に、張り巡らせた合衆国の情報収集能力を、きみはまだよくわかってないようだな」


「銀河中ですとぉ・・・?」

「比喩に過ぎん。きみに言う場合は、そう言うことにしている」


--- ^_^ わっはっは! ---




「ついに動き出しおったぞ・・・」

「大統領から電話ですかな?」


日本の首相官邸では、藤岡首相が内閣特別顧問の大田原太郎と話し込んでいた。


「うむ。ブレストがイラージュとの支援契約と大統領のイラージュ招聘を迫ってきおった」

「大統領はそれに応じると・・・?」


「いや、それが違うんじゃ。そろそろ、大統領の言った緊急会見放送が始まるはずだ。そこのテレビを点けてみるとしよう」


ぴっ。

ぱぁ・・・。


藤岡がテレビのスイッチを入れた途端、緊急ニュースのテロップが流れ、同時通訳の日本語アナウンスと共に、合衆国大統領が映し出された。


「こちらは、合衆国大統領官邸です。これから、合衆国大統領より緊急速報をお届けいたします・・・」


「ん・・・?」

二人は大統領の後ろに数名の顔見知りを発見した。


「あれは国務長官のエリザベスだな?」

「ええ。大柄な黒尽くめはシークレットサービス、SSのジョーンズですね・・・」


「やや。ブレストも同席しているぞ」

「ええ。その通りです。どうやら、首相が聞いたとおりのようですな・・・」


こくん・・・。

藤岡と大田原は頷きあった。


「合衆国大統領より、全世界のみなさん向けに、緊急速報をお届けします。繰り返しお伝えします。全世界のみなさん向けの緊急速報です。合衆国市民のみならず、全世界のみなさん向けです」

アナウンスは幾分緊張気味で早口だった。


「ほう、全世界のみなさんか・・・、随分と大きくでましたなぁ・・・」

それを聞いて大田原はにやりとした。


「事前通知が10分前だったのだが、そういう成り行きになるだろうとの憶測はされていたんで?」

藤岡は大田原の顔色をうかがった。


「まぁ、いつになるかぐらいのことは思ってましたが、こう急いで発表することになったのは、多分にブレスト側の事情でしょう」


「エルフィアが超時空転送システムの改良が終了したことにも影響があったと?」

「なきにしもあらん、でしょうなぁ・・・」


「お、いよいよですぞ」


ぞろぞろ・・・。

大統領の後ろに役者が勢ぞろいしたようで、カメラが大統領をアップにした。


「合衆国ならびに全世界のみなさん、今日は地球人類にとって最も記念となる日になるでしょう。人類が公式に太陽系外世界に使節団を派遣することになったのです。派遣先は、惑星イラージュ。合衆国を地球における代表として、文明支援の一環です。わが国市民でもある元エルフィア人で惑星イラージュの文明支援最高理事、ブレストを通じ、イラージュ大統領より招聘を受けたものです」


大統領の言葉を受けて同時通訳は先を続けた。


「イラージュではまず大統領のわたしにと打診してきました。しかしながら、ご存知のとおり、文明支援については、既にエルフィアから予備調査と言う段階で地球規模で受けております。ここで、あらためてイラージュの文明支援を合衆国が優先して受けるということは、全世界に誤解と混乱を招きかねません。わたしは地球代表と言うことに対しては甚だ慎重にならざるを得ないと判断しました」


大統領は自分の机の上で両手を組んだ。


「わたし個人においても、官邸に仕事は山積みになっております。どうにも身を空けることができません。かといって、イラージュ大統領よりの有がたい申し出に答えないというのはもっての他でありましょう。つきましては、以上の理由により、今回のイラージュ招聘の件、副大統領兼国務長官のエリザベスを代表にと指名しました。その身辺護衛にジョーンズ。すべての記録を任せるジャーナリストのファン。この3名が、都合3日間のイラージュ派遣使節団です」


すっ。

大統領は席から立ち上がった。


「日程は、今日より2泊3日。イラージュは恒星間移動を可能にしたカテゴリー3の世界で、われわれと同じく、この天の川銀河にあります。太陽系からは約24000光年、銀河の中心と地球を結んだ線より、ほぼ60度のところに位置します。イラージュまでの旅はイラージュの中型宇宙船により一旦太陽系周辺宙域に出た後、超時空間移動にて瞬時に行います」


大統領は旅程の大筋を説明した。


「イラージュでは副大統領兼務のエリザベス国務長官が大統領にわたしの親書を渡し、地球の合衆国との友好を深めていくことを確認し合います。以上、簡単にわたしの緊急声明とします。では、イラージュ文明支援代表のブレストより、みなさんへのメッセージです」


ぱぁ・・・。

大統領が言うと、カメラはブレストにパンしていった。


「大統領よりご紹介のありました、合衆国技術特別長官、イラージュ文明支援代表のブレストです。今日は、突然の発表ということで、驚かれた方も大勢いるでしょう。しかし、合衆国をはじめ日本、EU等、既にエルフィアをコンタクトをしています。もう、日常的に異星人と交流する日は目の前なのです。地球人は宇宙で唯一の生命体でも、知的生命体でも、人間でもありません。われわれは一人ではないのです」


にこ。

今や、すっかり合衆国民としてみんなに顔の知れたブレストは、カメラに向かって微笑んだ。


「縁あって、イラージュと地球はお互いを知り合うことになりました。同じ天の川銀河の一員でもあります。地球とイラージュの距離は24000光年と、今のみなさんでは想像もつかない遠距離だとお思いでしょう。しかし、宇宙的規模で見てみるなら、これは恐ろしく近距離なのです。われわれはご近所同士というわけです」


にこ。

ブレストはエリザベスを振り返ると再び微笑んだ。


「地球は、合衆国は地球を脱出し、太陽系を脱出し、他恒星系へと探査の目を送っています。立派なカテゴリー2文明世界なのです。一方、カテゴリー2とはテクノロジーに精神が追いついていない頭でっかちの世界でもあります。これを軌道修正し、幸せの世界にするための支援が文明支援であります。また、それこそがイラージュの使命であります。イラージュにとり、地球はその第一歩であり、われわれは身が引き締まる思いです」


きりり・・・。

ブレストは微笑を一旦引っ込めた。


「そんな中での、合衆国副大統領兼国務長官を代表とする地球のイラージュ訪問使節を招聘しお迎えできることは、われわれイラージュにとって大いなる喜びであります。どうか、是非、イラージュでの滞在中はカテゴリー3文明がもたらす恩恵がどのようなものか、大いにご参考くださるよう、心よりお願いいたします。では、エリザベス副大統領兼国務長官に代わります」


ブレストに代わり、エリザベスが画面に映し出された。


「えーーー、副大統領兼国務長官として、今回、カテゴリー3文明のイラージュに合衆国代表、そして、地球代表として、イラージュに訪問できることを大いに光栄としております。イラージュではお互いの利益のため最善を尽くしてまいります。ブレスト代表からうかがっていることは、地球がイラージュの文明支援として、最初に選ばれた世界だということです。これは、誠に喜ぶべきことで感謝するものであります。合衆国、並びに地球各国のみなさんを代表して、お互いが必ず成功するよう、イラージュ大統領との会談に望むつもりです」


そんな調子で、大統領の緊急速報は合衆国のみならず、世界中で生中継され放映されていた。




「どうした、アンデフロル・デュメーラ?」

「ブレストが動きました。エージェント・フェリシアス。」


「イラージュがか?」

「リーエス。月の裏面に待機していたと思われる宇宙船が表側に移動したようです。スクリーンに拡大して映します」


「リーエス。やってくれたまえ」


ぴっ。

たちまち空中立体スクリーンにそれは映し出された。


「なるほど。中型宇宙船だな・・・」


ぴっ。

「通信文を確認しました」


「了解。どういう内容だ?」

「合衆国大統領官邸の真上に移動するようにとのブレストの指示です」


「リーエス。そのほかにないか?」

「地上では大統領の緊急会見が行われているようです。世界中の主だったテレビネットワークが一斉に報道しています。映し出します」


「リーエス。そちらに切り替えてくれたまえ」

「リーエス」




Z国では、在日本領事館の商務部長を更迭されたマイクが苦虫を潰したような厳しい顔で、合衆国大統領の緊急会見をテレビで食い入るようにしてみていた。


「くっ・・・。わが国のエージェントたちはなにをやっておる!」


「あんたにはそれを言う権利はもうない」

マイクの監視につけられている黒ずくめの男が相棒に合図した。


「ふん。だから、警告したんだ。ブレストを奪い返せと・・・」

「オレに言われてもな・・・」


「テレビを見てみろ!いいようにやられてるじゃないか。ユティスの確保は頓挫し、リッキーやジェニーはエルフィア人の庇護の下、家族ごと地球にすらいない。ブレストにいたっては合衆国に亡命され、わが国は骨折り損のくたびれ儲けだ」


「あんたはそうかもしれんが、国はそうじゃない。もっと柔軟に理解しているし、対応もしている」

黒ずくめは言った。


「それに比べ、わたしはどうだ!?ええ!?」

マイクは声を張り上げた。


「われわれの庇護の下、あんたは安全に暮らせてるはないか。なにに不満があるんだ?」

黒ずくめの男は淡々と答えた。


「全部だ。全部!わたしが本国の自宅で軟禁状態でいるのはどうしてだ?ええ?」

マイクは憤懣やるかたなしというように、両手を大きく振ってアピールした。


「それは残念だ。認識の違いだな。政府のトップはあんたに最高のセキュリティをつけろと指令した。家ではなにもしていいし、プライバシーも一般人以上にそれなりにある。なに不自由なく衣食住満ち足りた生活を送れているはずだ。一般国民に、こんな特別サービスはつかないぞ」


「それを軟禁と言うのがわからんのか!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「とにかく、あんたは十分に政府の予算を使っている。大人しく現状に満足するか、鉱山送りになるか、十分に検討してからの発言なら続けていいぞ」


「くっ、足元を見おって・・・」


「一理あるな。足元をウォッチするのはエージェントの基本だ。あんたも習っただろう?」


--- ^_^ わっはっは! ---


エージェントはターゲットを追跡する際、必ずその足元を追う。


「嫌味かそれは?」

マイクはぐっと男を睨みつけた


「どう取ってもいいが、これ以上騒ぐなら、鉱山行きをオレから上にあげてもらう」

「くっそう・・・」


ぶるぶる・・・。

ぎりぎり・・・。


マイクは黒ずくめの男を睨みつけたまま身体を震わすと、いまにも組み付かんばかりに歯軋りをした。




「では、ミスター・プレジデント、合衆国市民、地球のみなさんを代表して、いくつかの質疑応答とさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」

合衆国の大手テレビネットワークのキャスターがマイクを持って大統領に願い出た。


「もちろんです。あなたにも知る権利が保証されている」

大統領は答えた。


「このことは、いつからあったのでしょうか?ブレスト大使が合衆国民となられた時には、もう、この話はあったのでしょうか?」

「具体化したのはここ1ヶ月といったところです。わたしが緊急閣僚会議で提案し、了承されました」


「なるほど。では、イラージュに行くのが、なぜ大統領自らではなく、国務長官なのでしょうか?なにか特別な理由でもおありなんでしょうか?」


「一つは、わたしが合衆国ではなく地球を離れるということへの影響です。滞在を含め3日間異世界に招聘されるということは、緊急時にすぐに対応ができないとういうことにもなりましょう。副大統領兼務のエリザベスが重要な地位ではないということではありませんから、誤解のないように。彼女は副大統領としての腕も、みなさんご承知のことと思います」


「二つに、イラージュの宇宙船を、さすがに、エアフォースワンと呼ばすわけにはいかんでしょう?」

にたり。


--- ^_^ わっはっは! ---


合衆国大統領が搭乗する機は、みな「エアフォースワン」とういう特別なコールサインで呼ばれ、航空管制される。


「あはは。それはさすがにそうでしょうねぇ!」

二つ目の理由は、大統領の一流のジョークとしてキャスターは捉えた。


「わははは!」

「あははは!」


その場は大爆笑となった。




「藤岡さん、ご存知ですかな?彼らは大統領のジョークと思っているが、これこそが、大統領の唯一にして最大の理由だということが?」

大田原は大統領の言葉をジョークと捉えていなかった。


「わはは・・・」

笑いかけていた藤岡は途中で止めた。


「どういうことですかな・・・?」

首相は首を傾げた。


「イラージュの最新鋭宇宙機で24000光年を一っ飛び。合衆国大統領がそれに乗って往復するんです。航空産業やIT産業のトップは、さぞかし肝を潰すでしょうな。次期エアフォースワンはイラージュに発注されると・・・。いや、軍のあらゆる輸送機器や装備は一気に一新されるでしょう。Z国やテロリストに手を焼く合衆国としては喉から手が出るほど欲しいテクノロジーですからな。しかし、上院議員や議会は黙ってはおりますまい」


「つまり、大統領はそれを頭に入れて自国の先端産業保護に徹したと・・・」

「無論です。いつだって自国の経済問題は大統領に最優先事項の一つです。ハードランディングは大事故の元ですから」


「ということは、えらいことですぞ。これは合衆国だけの問題ではないですな・・・?」

「ええ。そういうことです。影響は全世界に及びます」


「地球経済は一気に崩壊しますな・・・。さすが、大統領、そこまで考えてのことだったとは・・・」

大田原の言葉に、日本経済をしょって立つ藤岡の顔が青くなっていった。


「エルフィアと違い、イラージュは出来の悪い生徒の成長を待ってはくれんかもしれませんな」

「出来の悪い生徒?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「われわれ地球人です。わたしに、あなた・・・」


「わたしはT大主席で卒業しましたぞ」

藤岡は不満そうに言った。


--- ^_^ わっはっは! ---


「カテゴリー2のT大が宇宙で主席ならば、それもありでしょうが・・・」

くすっ・・・。


--- ^_^ わっはっは! ---




「それでは、次の質問です。回答はブレスト代表というか、ブレスト科学技術特別長官に。イラージュはどのような世界なんでしょうか?」

キャスターは、大統領の二番目の理由を一笑して片付けると、さっさと次の質問に移った。


「イラージュは恒星間航行を日常的に可能としたカテゴリー3の世界です。地球もこのまま自然な状態で進化するなら200年内にはそのレベルに達するでしょう。どのような世界かということには・・・。そうですね、町並みというか都市は存在します。しかし、ここのように特別大きな摩天楼はありません。中央政府の建物でも20階くらでしょうか。地球の経済のように中心地に物や人が集中することがありませんので」


「では、どんな景観で?」

「そうですね。大都市の中心から数十キロはなれた郊外という雰囲気でしょうか」


「では、ヒバリーヒルズのような?」

「ええ。大体そんなところですが、ヒバリーヒルズまでの大邸宅ではありません。実際、国務長官にご覧いただくのがいいと思います」


「それを含めて、訪問中のできごとは、テレビ中継するんでしょうか?」

「やってできないことはありませんが、メディアスタッフが限られていますので生中継は計画していません。、後日、編集後に放映とさせてもらうことになっています」


「わたしも搭乗させていただけるなら、レポーターしますけど?」

「あはは。申し訳ございません。他に地球の名産物とか、大統領からのお土産とか搭載物が多くて、人数制限がありますので・・・」


「わたしより、ビールやバーボンの方が大事だとぉ?」

「あはは。一応、スポンサー企業の意思を優先しませんと・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あはは。わかりました。仕方ありませんね、そういう理由じゃあ。では、次に、エルフィア人はユティス大使をはじめ、とても美しい人たちですが、イラージュにも美人は多いんですか・・・」

「ええ、そう思いますよ。バリウッドが女優男優探しにまったく困らない程度には」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あはは。そんなことおっしゃって、まさか、コメディーではないでしょうね?」

「入用でしたら、そっちのキャストも特別に用意させますが?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「わはは。了解です」

キャスターの質問はどんどん外れていった。




「えらいことになったわい・・・」


そのT大の理学部宇宙物理学教室の高根沢教授は、藤岡首相の秘書からの連絡を受け、研究室で同じくテレビで合衆国大統領の緊急会見を見ていた。


るるるる・・・。

そこに電話が入った。


「ハロー、わたしだ、高根沢!」

それは合衆国で高根沢と同じく宇宙物理学の研究をしている、コーネロ大教授のサンダース教授だった。


「久しぶりじゃな?」

「イエス。テレビは見ているかね?」

サンダースは陽気に話し始めた。


「ああ。大統領の緊急会見とやら、日本でも同時生中継しとりますわい」

「合衆国は国務長官のエリザベスを送ることにした。エルフィアの手前、大統領が出向く訳にはいかんからな」


「イエス。しかし、使節団とやらがたった3人とはたまげたわい。そんなに人材が乏しいとも思えんが?」

「だから、グッドなんだよ。大げさにしない。大統領の思慮深い決定だ」


「なるほど。ブレストくんは相当焦っておるようじゃな?」

「ああ。合衆国の科学技術特別長官の立場をもってしても、彼の望みは叶えられてはおらんということだな」


「望み?」

「イエス。イラージュ代表として・・・、これこそ、彼の真の地位を表すものだな。それで、高根沢教授、あなたに一つ頼みがあるんだが?」


「頼みじゃと?なにを・・・?」

「今さら隠すこともないだろう?例の『時空素粒子統一理論』だよ。教え子と進めているんだろう?」


「まったく、あんたも、いったいどこで聞きつけたんじゃ・・・?」

高根沢はまたかという声を出した。


まだ、教え子の禅寺の宗家、小山大山以外、だれにも話していない高根沢はびっくりしたように聞き返した。


「ははは。障子に目あり壁に耳あり、ネットにスパイありだよ」

サンダースの声は明るかった。


--- ^_^ わっはっは! ---


「情報の違法抜き取りを公に認めるというのかね、サンダース教授?」

高根沢の声は低くなった。


「わたしの指示ではないぞ。一方的にこちらに情報が入れられた」


「だれじゃ、それは?」

「さて、それを言ったところで状況は変わらんだろう?違うかね?」


「イエス。そちらの依頼要求は?」

「わたしを研究チームに加えてはもらえんだろうか?」


「やはりか。まったく、あんたという人は食えん人間じゃわい」

「いいではないか。どうせ、途中理論までは一緒に検討したことはあるんだからね」


「それで?」

高根沢は声を低くしたままその先を訊ねた。


「わたしは、合衆国東部仕官で明日の午後ここを経つ。あなたに会いにね。例の教え子とも会えれば最高だ。セットアップは任せる。そっちの条件を優先してけっこうだ。そうだな。明後日、もしくは、明々後日というのはどうだろう?」


「明日じゃとぉ?相変わらず強引じゃな・・・」

高根沢の声は呆れ返っていた。


「こちらからは合衆国の最先端教授を数名連れて行く。なお、この会談は内密にお願いする。Zの連中とか、情報を抜き取る盗人が多くてね」


「最初に抜いたのはあなたじゃろうが?」

「あはは。Zに言わせれば、抜かれる方が悪い」


「エルフィア人かセレアム人を立ち合わせるが、ええじゃろうな?」

「ええ?」

サンダースはびっくりして言った。


「それでは・・・」

「恐らく、カテゴリー3への扉じゃ。われわれの研究方向に誤解がないよう聞いてもらう。じゃが、口出しはせんじゃろうな。彼らは、自分で見つけろと言うに違いないから・・・」


「イエス。了解した。日本で会おう。それから、大統領の緊急会見のあなたの意見も聞きたい」

かちゃ。


「本当に、えらいことになったぞ・・・」


「それでは、大統領、次の質問ですが・・・」

テレビでは大統領へのキャスターの質問が続いていた。

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