395 乙女
「アンニフィルドよぉ。今日もアップするわね。みなさんご存知のとおり、このお話はSFラブコメだから、恋のトキメキ要素は必須なの。トキメキってのは若さの秘訣なんだからね。だれかを好きになる、こんな素晴らしい神さま、ナナン、『すべてを愛でる善なるもの』からの贈り物を受け取らないなんて、実にもったいないと思わない?ということで、今回は恋する有機体アンドロイド乙女たちの続きよ。わたしだって恋する乙女なんだからね。俊介ぇ・・・、もっと、優しくしてほしいよぉ・・・」
■乙女■
こんこん・・・。
和人の部屋をだれかがノックした。
「はい?」
「オレだ。開けろよ、和人」
かち。
しゅぅーーーん。
和人がドアを開けると二宮がいた。
「先輩、なんでしょうか?」
「常務から召集命令だ」
「ええ?」
「まさか、この時間からベッドに潜り込むつもりじゃないだろうな?」
--- ^_^ わっはっは! ---
全員参加の宴会はお開きとなったが、時間は宵の口、まだ9時だった。
「いえ、そんなつもりは・・・」
「じゃ、おまえがユティスの部屋にでも・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「違いますよ」
「じゃ、ユティスがおまえの部屋に・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「それも違います」
「じゃ、二人で示し合わせてどっかで・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「まったく、よくもそんなにぽんぽんと出てきますね・・・」
和人は今さらながら二宮の無駄に非凡な才能に舌を巻いた。
「営業主任だからな。とっさの対応話法なら教えてやるぞ。1時間5千円で」
--- ^_^ わっはっは! ---
「いりません。先輩こそ、イザベルさんと・・・」
「そう、それだ。行くぞ。内輪だけの二次会。みんな、おまえを待っている」
「そうなんですか?」
「ああ。夜は長い。船長もミリエルもいるぞ」
一次会のことを思い浮かべて、和人はうんざりした表情になった。
「修羅場に飛び込みをかけるんじゃないでしょうね?」
「それは常務次第だな・・・」
二宮は意味深な言い方をした。
「やっぱり・・・。自分じゃあの二人から逃げ切れないんで、常務はオレたちを抱き込もうって算段でしょう?」
「お、そうとも言えるな。オレはイザベルちゃんと一緒なら、ほかはどうでも・・・」
「よくないです」
「とにかく、来い。ユティスも今頃風呂から上がって来てるはずだ」
「よく知ってますね・・・」
「当たり前だ。イザベルちゃんに女子のスケジュールは流してもらっている」
--- ^_^ わっはっは! ---
「どういうスケジュールですか・・・」
和人はこれ以上追及しても無駄だと知っていた。
「因みに、男子のスケジュールは深夜12時に・・・」
「言わなくても、よぉーーーくわかります。却下!」
--- ^_^ わっはっは! ---
ということで、二宮と和人が着いたのは宴会場の奥にあるこじんまりした和室だった。
さぁ・・・。
和人が襖を開けると、中には船長とミリエル、真紀と俊介、エルフィア娘たち、そしてイザベル、石橋、岡本に、茂木、そしてキャムリエルの面々が首を揃えて二人を待っていた。
「まぁ、遅いですわぁ」
ユティスが待ちかねたように和人を見た。
どっきんっ!
女性たちはだれが用意したのか浴衣を羽織り、髪を上げて頬も火照った感じで、いかにも風呂上りという色っぽいいでたちだった。
「よぉ、やっと来なすったか。わははは!」
「もう、シュンスケったらぁ!」
「ダメ、わたしのグラスが先!」
「こら。こらぁ、おまえら・・・。わははは!」
いちゃら、いちゃら・・・。
俊介は早くもアンニフィルドとミリエルに挟まれて上機嫌だった。
「さぁ、さぁ、和人さん、一杯召し上がれ」
早速、ユティスがビールを和人のグラスに注いだ。
「おっとっと・・・」
ぐびっ。
こぼれそうになったビールを和人がすすった。
「ホントに温泉宿に来たみたいだ・・・」
和人はみんなを眺めて、ここが本当に地球から1400光年先とは思えなかった。
「今日は、ちょっと失礼しまぁーす」
既に大分でき上がった石橋が頬を染めて和人の前に移動してきた。
「あ、石橋さん・・・」
「はい。召し上がれ」
すすす・・・。
そう言うと、石橋は箸にお新香をつまんで和人の口に運んだ。
「あーーーん・・・」
「い、石橋さん・・・?」
(あーーーあ、完璧に酔っ払っちゃってる・・・)
「あーーーんは?」
ユティスと恋に落ちている和人は、一途な石橋が自分を好きなことを知って以来、なんとなく居心地の悪さを感じていたが、石橋は和人を包むユティスの純粋で高貴な愛を知ってからは、彼女を羨んだり嫉妬するようなことはしなかった。逆に、二人の絆を目の当たりにして、石橋は自分から身を引き、和人の幸せを望んだ。
「あれ、カレン・・・?」
その後、ユティスの拉致事件解決のため派遣されたSSのキャムリエルは、ユティスと和人を優しく見守るそんな健気な石橋に一目惚れしてしまった。なにを隠そう、キャムリエル自身、ユティスに恋焦がれて破れた身なのだった。また、ユティスはそんな石橋に同情とは別の包み込むようなこの上ない愛情を注いでいた。
「あーーーっ、カレン、そりゃないよぉ!」
石橋が自分から離れて和人のところに行ったので、キャムリエルはがっかりした叫びを上げた。
「いいの、あんなことさせて?」
クリステアがでれっとしている和人を横目で見ると、ユティスにそっと耳打ちした。
「リーエス。わたくしも取り返しますから。うふふ。後で・・・」
にっこり。
ユティスは余裕を見せた。
--- ^_^ わっはっは! ---
「それなら、いいけど・・・」
クリステアは周囲を見回し、なにか感じた様子だった。
「和人さん、お隣、お久しぶりです・・・」
アルコールも入って、石橋の頬はいつも以上に紅潮していた。
「そ、そうですよね。あは・・・」
和人は隣のユティスに助けを求めるように照れ笑いをした。
「はい。あーーーん、です」
石橋の箸が和人の目の前に来た。
「ユティスぅ・・・」
ぷい。
「知りませんわ」
ユティスは横を向いた。
--- ^_^ わっはっは! ---
ぱく。
和人は仕方なく石橋の差し出すお新香を口で受け取った。
あむ、あむ・・・。
ごっくん。
「さぁ、和人さん、次は卵焼きです。あーーーん・・・」
次に、石橋は卵焼きを箸で摘むと和人の口まで持ってきた。
「自、自分でしますよぉ・・・」
和人は少し迷惑そうな顔になった。
ぴと・・・。
「・・・」
突然、石橋は箸を和人の目の前で止めると、下を向いて黙り込んだ。
「石橋さん・・・?」
和人はそのまま動かなくなった石橋を見つめて不安そうに彼女を呼んだ。
「・・・」
「い、石橋さん・・・?」
和人が再び彼女を呼びかけた。
「そうですよねぇ・・・」
石橋は独り言のように呟いた。
「なにがですか?」
訳がわからず、和人は心配になった。
「じゃあ、和人さん、これが最後にしますから、ちゃんと受け取ってください・・・」
石橋は和人を恥ずかしそうに見つめた。
「ええ?は、はい・・・」
「あーーーん・・・」
自分の口を半ば開けた石橋の声に合わせ、仕方なしに和人も口を半開きにした。
すぅ・・・。
ところが、石橋は卵焼きを摘んだまま箸をゆっくりと皿に置いた。
「え・・・?」
そして、まるで恋愛映画のワンシーンのように、石橋は目を閉じてゆっくりとその唇を半開きにしたまま、和人の半ば開いた唇に重ねた。
ぶちゅう・・・。
和人は完全に不意を突かれた。
「あ・・・!」
「きゃ・・・!」
「まぁ・・・!」
「石橋・・・?」
「カレン・・・!」
「およっ・・・?」
そして、その場にしばし静寂が訪れた。
「・・・」
「・・・」
すっ。
ちょこん。
あまりのことに、全員があっけにとられている中、石橋はさっさと立ち上がり自分の席に戻った。
「カレン・・・?」
にこ・・・。
石橋は驚いているキャムリエルを向くと苦しそうに微笑んだ。
「カレン・・・?」
「わたしの初恋の終わりです。もう、わたしは自由です・・・」
じわぁ・・・。
「ううう・・・」
どん・・・。
そして、石橋は両腕でキャムリエルを掴むとその胸に顔を埋め、全身で嗚咽し始めた。
ぶるぶる・・・。
「あちゃあ・・・」
「あーあ、和人、石橋を泣かしちゃった・・・」
「オ、オレですかぁ?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「リーエス。オレ!」
じろ。
俊介をミリエルと取り合っていたアンニフィルドが手を止め和人を睨んだ。
「おい、おい・・・」
「見間違いじゃないわよねぇ・・・」
「ねぇ、ねぇ、なんなのよ、今のは・・・?」
茂木が岡本を振り返った。
「いわゆる、単なるディープキッス・・・、かしら?」
--- ^_^ わっはっは! ---
ざわざわ・・・。
座はすっかり酔いが醒めたかのようだった。
「ちょっと、カレンを部屋まで送ってきます」
すく。
石橋命のキャムリエルがすぐに気を利かせた。
「お、お願い、キャムリエル・・・」
とっさに真紀が言った。
「ほら、カレン・・・」
「うううう・・・」
すく・・・。
キャムリエルは石橋を優しく立たせると、両腕で彼女を抱えるようにして部屋を後にした。
ぱたん。
二人は襖の向こうに消えていった。
「ユティスぅ・・・?」
和人が困惑しきった表情でユティスを見た。
「リーエス。事故ですわ。どうせ、事故ですわよね?大事故ですわよねぇ?多重衝突の死亡事故じゃなきゃいいんですけどぉ!」
ぷいっ!
--- ^_^ わっはっは! ---
ユティスが初めて見せる嫉妬らしい素振りだった。
「地、地球の危機だ・・・」
「地球の文明支援はどうなるの・・・?」
ユティスの対応に、俊介と真紀がお互いに見合った。
--- ^_^ わっはっは! ---
「和人、あなたねぇ、女神さま宣誓、まさか忘れたわけじゃないでしょうね?」
クリステアが静かに言った。
「忘れていません。今、思い出しました・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「ジニー・・・」
「戻ってきたわ、ランベニオ・・・」
自分の部屋に空中から湧き出るように現れた肉体を持ったジニーに、ランベル・ベニオスは信じられないといった様子で、ジニーとどう接したらいいのか大いに迷い、うろたえていた。
「ジニー・・・」
「・・・」
二人は、しばらくお互いを確認し合うように、見つめ合ったままだった。
「・・・」
「・・・」
とんとんとん・・・。
ぎゅっ・・・。
ジニーは、その後なにもしゃべらずに、突然、ランベル・ベニオスの元に小走りに向かうと、両腕で彼を優しく抱きしめ、顔を彼の胸にうずめた。
「ジニー・・・」
「・・・」
ランベル・ベニオスはジニーに身体を押し付けられているのを肌身で感じていた、この感触、この温もり。ジニーはもう擬似精神体ではなかった。有機体アンドロイド。どこまでも本物の人間と変わらない肉体を持ったジニーだった。
「・・・」
ぎゅう・・・。
ジニーは一言も発せず、ランベル・ベニオスを抱きしめる力を少し強めた。
ぎゅっ。
ランベル・ベニオスも、恐る恐る自分の腕をジニーの背中に回し、やっと優しく彼女を抱きしめた。
ぶるぶる・・・。
「うう・・・」
その時、ジニーから嗚咽が小さく聞こえてきて、ランベル・ベニオスは内から湧き上がってくる押さえ切れない感情に、自分がどれだけジニーを愛しているのか、初めて気付いた。
「ジニー・・・。わしは・・・」
「・・・」
ぎゅう・・・。
ジニーはそれには答えずに腕にさらに力を込めた。
じわぁ・・・。
ランベル・ベニオスの目頭が急に熱くなり、涙が今にもこぼれそうになった。
ぎゅう。
ランベル・ベニオスもジニーを抱きしめる力を強めた。
「好きよ、ランベニオ・・・」
自分の胸に頭を押し付けたまま、ジニーがやっと小声を出した。
「ああ、わしもだ・・・」
「大好きよ、ランベニオ・・・」
ジニーの声は震えていた。
「ああ、わしもだ・・・」
「ううう・・・」
ジニーが嗚咽を抑えきれなくなり、そして、二人は互いを抱きしめあったまま動かなくなった。
「・・・」
「・・・」
ややあって、最初に口を開いたのはランベル・ベニオスだった。
「ジニー・・・、大丈夫か・・・?」
「ううう・・・」
ぎゅぅ・・・。
ジニーはランベル・ベニオスの背中に両腕を回して顔を彼の胸に埋めたままだった。
「ジニー、おまいさん、そろそろ顔を上げてくれんかのう・・・?」
「ダメ・・・。ダメ・・・。顔、涙でぐちゃぐちゃだもの・・・」
ジニーの声は顔を彼の胸に埋めているせいで、かなり曇っていた。
「大丈夫じゃ。わしは気にせんぞ」
「ダメなものはダメ・・・」
「なんでじゃ?気にせんと言うとろうが・・・」
ランベル・ベニオスは困った顔になった。
「せっかく、メローズが時間をかけてメイクしてくれたのに、一瞬でダメにしちゃった。最高にキレイになって、あなたの前に現れるつもりだったのにぃ・・・」
ずっきん。
ジニーの乙女らしい純粋な気持ちに触れて、ランベル・ベニオスは心を打たれた。
「最高にキレイじゃよ、おまいさんは・・・」
ランベル・ベニオスの優しい声がジニーの頭に響いてきた。
「ランベニオ・・・?」
「さぁ、こっちを向いた、ジニー」
そう言うと、ランベル・ベニオスはジニーに回した腕をそうっと解くと、ジニーの肩を優しく掴み、ゆっくりと自分から離した。
「見、見ないで・・・」
ぱさっ。
ジニーはとっさに右手で顔を覆った。
「わしも、涙でぐじゃぐじゃじゃぞぉ・・・」
ランベル・ベニオスはジニーの左手を自分の顔にやり、それを確かめさせた。
「ランベニオ・・・」
「さぁ、お互い様じゃ。顔を上げてくれんか・・・?」
「リーエス・・・」
やっとジニーが涙ぐんだその顔をゆっくりと上げていった。
「おまいさんは、最高にキレイじゃて・・・」
自分も涙でぐじゃぐじゃになりながら、ランベル・ベニオスはジニーに微笑んだ。
「ランベニオのバカぁ・・・」
すっ。
ジニーはそう言うとさっと背伸びをすると目を閉じて、ランベル・ベニオスの唇に自分の唇をそっとつけた。
ちゅ・・・。
そして、あっという間にそれを離すと、涙まみれで悪戯っぽく微笑んだ。
にこ。
「せ、責任取りなさいよね、ランベニオ・・・」
「あ、おう・・・?と、取らさせてもらおう、か・・・?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「ふふふふ。おバカさん・・・」
にっこり。
「地球人ほどバカでもないつもりなんじゃが・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「本当はね、ランベニオ、ずっと前から、あなたへのわたしの好意フラッグ、満点状態だったんだよ」
「そうだったのか?」
「リーエス。でも、そうなる前から自分でもどうしようもなくなってたの。わたしはこんなにもあなたの傍にいたいのに、あなたはログインしてくれないと、わたしに会ってくれない。会えても、擬似精神体じゃ、あなたの腕の中にも飛び込めない。あなたのお役に立ちたくて、なにかしてあげたいのに、なんにもできない。あなたにも触れることすらできない・・・」
「ジニー・・・」
「好意フラッグがたくさん立つにしたがって、どんどん不安になっていったわ。このままずぅっと同じ状態が続くのかって・・・。気持ちに、現実がぜんぜん着いていかないんだもの・・・」
ジニーは切なげになった。
「じゃから、あのような態度に・・・」
「ごめんなさい・・・」
ジニーは前には見せたことない表情で、しおらしく謝った。
「ええ。気にせんでええ、ジニー」
「優しいのね・・・。そういうところも大好きよ、ランベニオ」
ジニーは温かいランベル・ベニオスの胸に身を預けたまま目を閉じた。
「おっほん!」
「まぁ、風邪でも引いたの?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「ナナン。気にせんでええ。しかしじゃな、ジニー・・・」
「なぁに?」
「おまいさんは、既にわしの心深くに飛び込んでおったよ。ずっと前からな・・・」
「うん。嬉しい・・・。でもね、たとえ、あなたがゲームにログインしなくても、わたしはずっと意識があったの。あなたの一挙一動を見ていたわ」
ジニーは続けて告白めいた言葉を口にした。
「どういうことじゃ?」
ゲームをログアウトしたら、いつもジニーは消えていた。
「ピュレステル・デュレッカのイケズがそうしたの。ゲームはシャットダウンしてても、わたし自身はイケズのメモリーの中で立ち上がったままだったの・・・」
「なんじゃとぉ・・・?それじゃあ、おまいさんはピュレステル・デュレッカのメモリーの中でずぅっと・・・」
ランベル・ベニオスはゲームをシャットダウンしても、ずっとジニーに見つめられ、一緒に過ごしていたことに気付いた。
「ええ・・・」
「わしの知らんうちに、好意フラッグが満杯になるはずじゃて・・・」
ランベル・ベニオスは満足そうにジニーの頭を優しく撫でた。
「そうよ。でも、あのイケズ、わたしを特定レジストリに囲い込んで、ぜんぜんメモリーを解放してくれなかったの。それだから、わたしからはあなたに語りかけることすらできなかったの。でも、ずぅっとあなたを見ていたわ。あのイケズの目を通して・・・」
じぃ・・・。・
ジニーは無念そうにランベル・ベニオスを見つめた。
「そうじゃったか・・・」
「で、わかったの」
「なにがじゃ?」
「あなたはただの一回の浮気もしなかった。ナナン、本当に、わたしを愛してくれていることが・・・」
確かに、ランベル・ベニオスはゲームの中でも他の女の子には興味を示さなかった。
「・・・」
「今になって、ピュレステル・デュレッカには感謝しなきゃと思うわ。わたし今とっても幸せよ・・・」
「そうか、幸せかぁ・・・。成長したのう、ジニー・・・」
ランベル・ベニオスは優しく微笑んだ。
「それに、メローズも。ナナン、たくさんの人たちに感謝してるわ。エルフィア行きを認めてくれた大好きなあなたには、この上なくたくさん・・・」
ジニーはランベル・ベニオスの腕の中で嬉しそうに言った。
「そ、そうじゃな・・・」
「そう言えば、メローズとエスチェルが言ってたの。わたしが幸せになったら、わかるだろうって・・・」
「なにをじゃ?」
ランベル・ベニオスはなんとなくそれが気になった。
「気付きだそうよ。なんの気付きかよくわかんないけど・・・」
「気付きか?」
「リーエス。メローズたちがわたしたちに期待してるのはそれだって・・・」
「あやつらがか?わしを捕まえることではないのか?」
「ナナン。二人ともそう言ったの・・・」
「わけがわからんな、それじゃあ・・・」
「あなたにもわからないことがあるの?」
「当たり前じゃ。特に、おまいさんの気持ちはさっぱりじゃった・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「うそ・・・。こんなに大好きなのに・・・」
ちゅう・・・。
今度のキッスは先ほどとは比べ物にならないくらい長く甘かった。
「ユティス・・・?」
和人は横を向いたユティスのご機嫌を伺うように尻上がりに彼女を呼んだ。
「なんでしょうか、和人さん?」
「あのぉ・・・。そういうつもりはぜんぜんなかったんだから・・・」
和人にまったく落ち度はないとはいえ、みんの前で、しかもユティスの隣で、石橋可憐としっかりキッスしてしまったのだ。
「リーエス。怒ってなんかいませんわ、ちっとも」
--- ^_^ わっはっは! ---
ユティスは横を向いたままだった。
「ごめん・・・」
「あーら、和人さんは、わたくしに謝らなければならないようなことでもされたのですか?」
「お、怒ってる・・・?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「そう見えるんですか?」
「えーーーと・・・、そう見えるんですがぁ・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「知りません・・・」
ぴくっ。
ユティスの肩が震えた。
(怒ると恐い。確か、ユティスも武道の心得があるって、アンニフィルドが言ってなかったっけ・・・)
「ち、違うよ。だから・・・、あれは・・・」
(半殺しの目に合ったりして・・・)
和人はなんとか弁解しようとした。
「その割には、随分と長い間そのままでしたわね?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「え・・・?」
「とっても、お楽しみのようでしたけど?」
--- ^_^ わっはっは! ---
ぐっすん・・・。
ぶるっ・・・。
ユティスは肩を震わせて涙ぐんでいるようだった。
「あっちゃあ・・・。今度は、ユティスまで泣かせちゃった・・・」
茂木の一言で、和人は一斉に注目の的となった。
--- ^_^ わっはっは! ---
「ユティス、とにかくごめん。あまりにとっさのことで、きみのことまで考えが回らなかったんだ。ごめん!」
和人はユティスに頭を下げた。
「どうせ、わたくしのことはその程度なんですね・・・」
「ごめん!」
「・・・」
しばらく沈黙の後、ユティスがおもむろに口を開いた。
「では、こうしましょう。同じことをわたくしにしてください・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
ユティスはまだ横を向いたままだった。
「え?同じことだってぇ・・・!?」
(デ、ディープキッスを公衆の面前でしろ、てのかぁ!!!!)
かぁ・・・。
和人はたちまち真っ赤になった。
--- ^_^ わっはっは! ---
「リーエス。それを以って、和人さんの謝罪をお受けしますわ」
ユティスはすました調子で言った。
つん。
--- ^_^ わっはっは! ---
「ちょっと待ってよ、ユティス。みんながいるところで、それをやるのかい・・・?」
「できないんですか?」
きっ。
--- ^_^ わっはっは! ---
「おや、おやぁ・・・?」
にたにた・・・。
二宮や岡本たち全員が期待に目を輝かせはじめた。
「お、和人、色男!」
「いったい、どんな顔してするんだろうねぇ・・・?」
「うん、うん・・・」
茂木が岡本と頷き合った。
たじたじ・・・。
和人は周りを一瞥した。
(なんだ、なんだ、その食い入るような期待した目つきは・・・?)
--- ^_^ わっはっは! ---
「わたくしは、いつでもけっこうです」
そう言うと、ユティスは和人の方に向き直り、少しだけ唇を開いて目を閉じた。
「ん・・・」
(もう、ユティスったら、無茶苦茶色っぽいじゃないか・・・。た、助けてくれぇ・・・)
「やれ、和人!」
「今だ。行け!」
俊介と二宮が囃し立てた。
--- ^_^ わっはっは! ---
「まるで安見世物だわ・・・」
クリステアがあまりいい顔をしないでアンニフィルドに言った。
「いいじゃない。ユティスにだって権利はあるわよぉ」
アンニフィルドは明るく答えた。
「かもしれないけど、それは恋人同士が二人だけでするものじゃないの?」
クリステアは反論した。
「そっかぁ。あなたは、フェリシアスとしゅっ中こそこそ隠れてしていたもんね。あは!」
アンニフィルドは楽しそうに言った。
--- ^_^ わっはっは! ---
「ちょっとぉ、アンニフィルド。なによ、そのいやらしい言い方は!」
「期待してるんでしょ、あなたも?あは・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「してません!」
つん!
クリステアはアンニフィルドから目を逸らし、横を向いた。
「ユティスぅ・・・」
どっくん、どっくん!
和人は恥ずかしさで心臓が今にも破裂しそうだった。
(わたし、なに見てるんだろう・・・?)
はっ!
「ストーーープッ!いい加減になさい、二人とも!」
あっけに取られていた真紀が我に返ると、ユティスと和人を嗜めた。
「ほっぺに、ちゅっ、ぐらいなら、エルフィア式挨拶の一つで大目に見てあげるけど、それはだめ!社則違反よぉ!それに、だれよぉ?二人を囃し立てたりして!」
真紀は絶対阻止するつもりだった。
「ちぇえ・・・」
二宮がこぼした。
「石橋は良かったの?」
茂木が残念そうに不服申し立てを行った。
--- ^_^ わっはっは! ---
「石橋・・・?仕方ないじゃない。あんな風に出し抜けにされたら、止める暇なんかないわ」
真紀はまくし立てた。
「ふぅーーーん。石橋には止める気がなかったんだ・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
石橋が和人に恋をしていて、以前、それを真紀が応援していたことを岡本はよく知っていた。
「こら、岡本まで、なに言ってるのよぉ!」
「だって、ユティスが可哀想じゃない。ねぇ、みんな?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「そうだ。そうだ」
「リーーーエス!」
「ユティスが可哀想だ!」
「そうです!」
両腕にアンニフィルドとミリエルを抱えた俊介や二宮たちが一斉にコーラスした。
--- ^_^ わっはっは! ---
「ねぇ、ユティス、あなたもそう思ったんでしょ?」
アンニフィルドがユティスに同意を求めた。
「リーエス・・・」
「やっぱり、和人が悪い!」
--- ^_^ わっはっは! ---
ばしっ!
岡本が和人を指差した。
「な、なんでなんですか?」
ぷくぅ・・・。
和人が大いに不満をぶつけた。
「迷わずにさっさとしてりゃ、こういう事態にはならなかった!」
「同意!」
アンニフィルドは首を縦に振った。
--- ^_^ わっはっは! ---
「だめーーーっ!社長命令よ!よしなさいったら、よしなさいっ!」
どかっ!
真紀は浴衣姿のまま、歌舞伎の見得を切るように立膝で和人を遮った。
「はぁ・・・、はぁ・・・」
真紀は大きく息をついた。
「止めなさい・・・!」
「オ、オレはするつもりなど・・・」
「ええーーー、なかったんですかぁ・・・」
ユティスが悲しそうな目で和人を見つめた。
--- ^_^ わっはっは! ---
「もう、お開きよ。お開き!みんな、さっさと部屋に戻りなさい!」
真紀が怒鳴った。
「ええーーー、もう・・・?」
「つまんなぁーーーい」
ぷくぅ・・・っ。
岡本と茂木は脹れっ面になった。
「あなたたち、18禁小説にするつもりぃ・・・?」
--- ^_^ わっはっは! ---
きっ!
真紀は二人を睨んだ。
「わたしたち、とっくに二十歳超えたもんねぇ!」
「ねぇーーーっ!」
--- ^_^ わっはっは! ---
「三十路も見えてきてるもんねぇ!」
「それは聞きたくない・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「だめーーーっ!」
真紀は鬼の形相だった。
「ユティス、あなたもあなただわ!」
ぎろり!
「ご、ごめんなさい。こんなことになるなんて・・・」
ユティスはあっという間にしおれてしまった。
「テレビのドッキリ番組のように、ちょっと悪戯心を起こしただけです。もし、和人さんがわたくしに『ディープキッス』しようとしたなら、制止するつもりでした・・・」
「ディープキッスってとこ・・・、強調しないでくれる?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「ホントにそのつもりだったのぉ・・・?」
真紀はユティスを見つめた。
「オレは決して・・・」
「和人くん・・・?」
「は、はい・・・」
「きみには聞いてない!」
--- ^_^ わっはっは! ---
「で?」
真紀はユティスを振り返った。
「リーエス。いくらなんでも、恥ずかしくて、そんなこと大勢の前でできません・・・」
ユティスは自分の精神波プロテクトを外して、真紀に本心であることを見せた。
「よぉーーーし。そういうことなら、許すわ」
真紀はそれを確認すると表情を和らげた。
「あーーーあ、完璧、しらけちゃった」
岡本が言った。
「二次会、ホントに終わりにしたい?」
真紀は立て膝のまま一同を見回した。
「・・・」
「・・・」
沈黙の後、今まで黙っていた船長のシャディオンが口を開いた。
「おっほん。では、真面目に二次会を続けるとしますか・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
地球では、ジニーがケームに転送された後、彼女と同じくして有機体アンドロイドに分身を移したアンデフロル・デュメーラがエスチェルたちの歓迎を受けていた。
「ふぅーーーん。こういうのが、あなたの趣味・・・?」
エスチェルはアンデフロル・デュメーラのスーパーロングをポニーテールにした見事な黒髪を触って言った。
「ポニーテールは最強と聞きましたので」
--- ^_^ わっはっは! ---
「はぁ?」
「わが国、もとい、元わが国でも若い娘たちは長い髪は後ろで結わえている」
Z国から追放を受けたリッキー・Jがアンデフロル・デュメーラを眺めて、ジェニーに目で同意を求めた。
「そうね。ユティスが現れて以来、ポニーテールは女の子の間で流行よ」
ジェニーが同意した。
「後ろから、斜めの角度から、揺れる後ろ髪から見え隠れする白いうなじが妙に色っぽいな」
トレムディンがドクターらしく冷静に分析した。
「すべてを愛でる善なるものの意思。愛することを学び幸せになること。ということで、わたしも恋を探したいのですが、どこに落ちてるんでしょうか・・・?」
きょとん。
--- ^_^ わっはっは! ---
「そんなもの、あちらそちらに落ちてる訳がない」
ジェニーが即答した。
「それで、アンデフロル・デュメーラ、恋を探すって、これから、きみは具体的にどうするつもりなの?」
トレムディンがきいた。
「地上に降りて、薄着で適当に夜の街を歩き回ってみます」
「はぁ・・・?」
エスチェルたちは見合った。
--- ^_^ わっはっは! ---
「男性になんらかの反応があれば実験は成功です」
「反応は100パーセントあるだろうねぇ・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「ぷふっ!実験って、あなた、恋は実験して確かめるものじゃないわよぉ」
エスチェルは噴き出した。
「それに、女の子が夜の街を薄着で適当に歩き回るって、襲ってくれって言ってるようなもんじゃない。行動力あり過ぎ。正気の沙汰じゃないわ」
エスチェルは一転厳しい顔になった。
--- ^_^ わっはっは! ---
「確かに。きみが言うと、本当にしそうだな」
フェリシアスが真顔で言った。
「そんなに変ですか?」
--- ^_^ わっはっは! ---
「リーエス。無茶苦茶おかしいわね」
「では、どうすれば、恋というものを理解できるようになるんでしょうか?」
アンデフロル・デュメーラは首を傾げた。
--- ^_^ わっはっは! ---
「それは理解するものじゃなくて、自然に感じるものよ」
エスチェルは優しく答えた。
「感じる・・・?」
「ええ。まずは、あなたにとって気になる男性が現れるかどうかだわ。すぐに見つかると思うけど・・・」
ジェニーが笑いを堪えて言った。
--- ^_^ わっはっは! ---
「気になるとは?」
アンデフロル・デュメーラは突っ込んできた。
「文字通り、なんとなく、もっと見つめていたいとか、ふと気付くとその男性のことを考えていたりするとか・・・。そういったことだけど?」
ジェニーは続けて答えた。
「エルドはいつ連絡がくるかわかりませんので、わたしはいつもエルドのことを気にはしていますが・・・?」
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「それは仕事でしょ?」
エスチェルが眉をひそめた。
「やはり・・・」
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「恋ではないのですか?」
「ナナン!」
ドクターは断言した。
「恋ってのはもっと、きゅんっ、てなるのよ。急に胸が苦しくなって、動悸が激しくなって、わけもわからず涙が出てきて、その人のことが頭から離れなくなって、その人に会いたくなって、会ったら会ったで、どうしようもなく切なくて、ごはんも喉を通らなくなって・・・」
再度、ジェニーが答えた。
「要するに、急性疾患の一種でしょうか?」
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アンデフロル・デュメーラは怪訝な顔になった。
「リーエス。恋煩いっていう立派な病気よ」
エスチェルが頷いた。
「ということは・・・、わたしはわざわざ病気なることを選んだようですね・・・?」
「リーエス。その勇気と覚悟、えらい!」
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「通勤電車の中で会った男性にそんな風になったら、Z国では労災適用ですか?」
アンデフロル・デュメーラはジニーを見た。
「あっはっは!」
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「ならないわね。健保も使えない。完全自己責任よ」
ジェニーが即答した。
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「ま、恋が成就すれば、けろりと直るさ」
トレムディンがにたりとした。
「成就しなければ?」
「大概、時間が解決してくれるわね。あり余ってるんでしょ?」
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ぱちん。
エスチェルはアンデフロル・デュメーラにウィンクした。
「ドクター・エスチェル、あなたはそういう病気の患者を診断したことがあるのですか?」
「リーエス。もちろん。得意分野だからね。診断だけなら、すぐにわかるわ」
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「そんなに顕著な症状がでるんですか・・・」
「リーエス!」
にこ。
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「つい、先ほどもジニーに処方したばっかりよ」
「さすがですね、ドクター・・・」
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「ジニー・・・。なるほど、なんとなく理解できます」
「で、きみは、その恋をしたいばっかりに、有機体アンドロイドになったのかね?」
理解に苦しむといった様子でフェリシアスが言った。
「リーエス」
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「エージェント・ユティスやSS・アンニフィルド、みなさんを拝見していて、ぜひとも、わたしも恋というものを体験したいと思いました。得るものが大きいと・・・。特に、アンニフィルドには強く推薦いただきまして・・・」
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「アンニフィルド・・・?あ、そう。確かに、恋をすると得るものが大きいわねぇ・・・」
エスチェルが優しく言った。
「例えば、どんなものを?」
「男・・・。男よ。いい男」
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「おっほん!」
フェリシアスは咳払いした。
「一生幸せになるんだからね、いい男を掴んだなら・・・」
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「ですから、男性をパートナーとして得るのは理解しましたが、それによってなにを得ることができるんでしょうか?」
「また、質問?意外に、ひつこいわねぇ・・・」
アンデフロル・デュメーラは手強かった。
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「そりゃ、人それぞれじゃない?」
ジェニーが答えた。
「それをわたしは知りたいのです」
「それを知って、あなたはどうしたいの?」
エスチェルが腕組みをした。
「それも聞きたいことの一つです。どうしましょうか・・・?」
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「とにかく、恋をしてみることだね、アンデフロル・デュメーラ」
トレムディンが言った。
「では、まずは、ドクター・トレムディン、あなたからいかがですか?」
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「待ってくれ。適当に相手を決めないでくれるかなぁ・・・」
トレムディンは困った風に言った。
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「いけませんか?」
「ナナン。もちろんダメに決まってる」
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「わたしにはカレンがいるし、そんなに大真面目な顔して言われてもねぇ・・・」
トレムディンは苦笑した。
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にこ・・・。
アンデフロル・デュメーラは恥らうように可愛く微笑んだ。
「ドクター・トレムディン、あなたが好きです・・・」
「へ・・・!」
どきっ!
トレムディンは一瞬ときめきそうになった。
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「これならどうですか?」
アンデフロル・デュメーラは真顔に戻った。
「い、今のはステキだよ・・・。でも、やっぱり、ダメ」
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「告白の言葉にぜんぜん感情が入ってないからねぇ・・・」
にたにた・・・。
ジェニーがそのやり取りを見て可笑しそうに論評した。
「告白・・・?感情・・・?」
アンデフロル・デュメーラは不思議そうにした。
「リーエス。恋は感情のこもった告白が付きものなの。アンデフロル・デュメーラ?好きな男性ができたら、しっかり感情を込めて告白するのよ。今時は女性からでも、好きな人に告白するんだからね」
エスチェルは期待するようにゆっくりと話した。
「なるほど。しっかりと感情を込めるんですね・・・」
アンデフロル・デュメーラは頷いた。
「そう。そう」
「それで、その告白ですけど、ジニーが少し話していたのですが、好意フラッグの本数とか、相手に対する好意パラメータはどのくらい値が上がれば、男性に告白してもいいんでしょうか?」
「好意パラーメータの値・・・?」
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「そんなディジタルにしなくていいの。自分で堪らなくなったらよ」
「随分とファジーですね・・・」
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「あーーー、じれったい。説明を聞くより体験しなさい」
「では・・・、元エージェント・リッキー、あなたも男性です。一つ、わたしの恋のお相手をしていただけますか?」
「断る。気安くオレに振るんじゃない、お嬢さん」
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「冷たいですね」
「クールだと言ってくれ」
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「フェリシアス?」
「辞退する」
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フェリシアスは一も二もなく即答した。
「では、ここに男性は他には・・・」
アンデフロル・デュメーラは、今まで沈黙していたシェルダブロウに、視点を合わせた。
「リーエス。わたしが実験台になろう。きみはなにも知らない無垢な女性だ。調教に耐えられるなら、わたしがめろめろにさせてあげるが・・・?」
にたり。
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「それは楽しみで・・・」
アンデフロル・デュメーラは期待するような目でシェルダブロウを見つめた。
「却下します!」
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きっ。
たちまち、エスチェルは両手を広げ、慌てて二人の間に割って入った。
「シェルダブロウ、あなたはなにを考えているんですか!」
「ほんの冗談です」
「相手を見て言いなさい!相手を!」
「わたしには魅力がないんでしょうか・・・?」
アンデフロル・デュメーラが上目遣いに純真無垢な乙女の顔で心配そうに言った。
「大いにあるから言ってるの!」
「それなら、大いに安心しました・・・」
にこ。
--- ^_^ わっはっは! ---




