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386 仕置

「はぁい、アンニフィルドです。昨日に続き投稿よぉ。あは。ところでさぁ、俊介が連れて帰ったあのセレアムの小娘のジニー・・・、もう、本当に生意気なんだから。絶対にお仕置きしてやるんだからね!覚悟しときなさい!というわけで柄にもなく大人気ない振る舞いをしてしまったわたし・・・。俊介、あれもこれも、あなたがみんなを前にしてはっきりしないからよぉ!ランベニオも女の子に手を焼いているって言うし、小娘のクイーンなんて大っ嫌い!」

■仕置■



しゅん。

エルフィアのエルドの執務室で地球常駐母船の擬似精神体が実体化した。


「アンデフロル・デュメーラ、きみか?」

「リーエス。今しがたご指示どおりブレストに伝言いたしました」


「うむ。アルダリーム(ありがとう)、アンデフロル・デュメーラ」

「パジューレ(どういたしまして)、最高理事エルド」


「わたしが直接ブレスト言ったなら、後がなくなるからな。きみが最初のクッションになってくれて助かるよ」


「パジューレ(どういたしまして)、最高理事エルド」

エストロ5級母船の擬似精神体は丁寧に頭を下げた。


「それで、ケームの状況はどうなんだろう?」

「ピュレステル・デュレッカによると、かなりの難儀をしている様子です」

アンデフロル・デュメーラは淡々と答えた。


「エルフィアの公安スタッフは準備を整えていると聞いているが?」


「リーエス。ケーム政府がランベル・ベニオスの身柄をエルフィアに預ける件は既に了解済みで、同惑星常駐母船ピュレステル・デュレッカ内で身柄を拘束中です。エルフィア送還のための公安スタッフはエルフィアにて派遣待ちです」

アンデフロル・デュメーラの答えは転送システムの復帰こそが問題解決の唯一の策だと言っていた。


「やはり、超銀河間転送システムがないと彼の身柄もエルフィア送還は不可能か・・・」

エルドは腕組みをした。


「リーエス」

「彼の健康状態は大丈夫かね?」


「リーエス。食欲旺盛で休養も十分に取っています。ピュレステル・デュレッカも彼のシステムをそのまま引き継いでいます。彼は今までどおりに生活できますので、退屈することはないでしょう」

アンデフロル・デュメーラは淡々と答えた。


「ほう。拘束されていても退屈してないと・・・。それはけっこうなことだな」

「リーエス。ただし、その彼のシステムにピュレステル・デュレッカも少々閉口している様子で・・・」


「エルフィア最強のエストロ5級母船がランベル・ベニオスのシステムに閉口しているだと?」

「リーエス」


--- ^_^ わっはっは! ---


「彼のシステムには非常に良くできた擬似精神体がいまして・・・」

「その擬似精神体に手を焼いているとでも?」

エルドは信じられないような顔になった。


「リーエス。ピュレステル・デュレッカによると、彼女は美少女育成恋愛ゲームのメインキャラとかでして・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「それで?」

「彼女はものすごい妬きもちやきなのです・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「おっほん。して、アンデフロル・デュメーラ、きみには意見がありそうだね?」

エルドは可笑しさを堪えるように下を向いた。


くっくっく・・・。


「リーエス。ここは、ピュレステル・デュレッカに現実の女性のアドバイスが是非とも必要かと・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ジニーの対応にかね?」

「リーエス」

アンデフロル・デュメーラはエルドを見つめた。


「おほん。わたしは男なんだがね・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「リーエス、最高理事・エルド。存じ上げております。わたしはメローズのことを言っています」

アンデフロル・デュメーラは落ち着いて答えた。


「メローズか・・・」

「リーエス。わたしどもは個人的恋愛問題には立ち入ることができません。あまりに危険ですので・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「なるほど、危険ねぇ・・・」

エルドは頷いた。


「わたしからメローズに話そうか?」

「ナナン。それには及びません」

アンデフロル・デュメーラはエルドに丁寧に会釈した。


「それなら、きみから是非メローズに話してみたまえ。彼女はわたしよりはそっち方面の専門家だろうからね」

「アルダリーム(ありがとう)、最高理事・エルド」




そのケーム上空に待機しているエストロ5級母船内では、身柄を確保されているランベル・ベニオスが母船に再現した美少女恋愛システムのメインキャラ攻略で格闘していた。


「ジニー!なんで、おまいさんはそんなに怒っているんじゃ?」

ランベル・ベニオスの傍には、ケーム常駐待機のエストロ5級母船の擬似精神体が困ったような表情で立っていた。


「ランベニオ、この擬似精神体の女、船のCPUだって言ってるけど、やたらとあなたにべたべたくっ付いてるわねぇ!いつから一緒なのよ?」

ジニーの怒りは頂点に達している様子だった。


--- ^_^ わっはっは! ---


「待ってくれ、ジニー。わたしとピュレステル・デュレッカとはなにも・・・」

「そうですよ、ジニー」

ピュレステル・デュレッカも相槌を打った。


「あなたは黙ってなさい、擬似精神体!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「そういうことなら、おまいさいもじゃぞぉ、ジニー?」

ランベル・ベニオスは弱りきった声で言うと、頼み込むようにジニーを見つめた。


「うるさい!うるさい!うるさいーーーっ!」

「わたしとランベニオにはなにもありませんよ」

ピュレステル・デュレッカもなんとかこの場を収めようとした。


「じゃあ、これからなのね?」

「なんでそうなる!」


--- ^_^ わっはっは! ---


(ジニー、なんで、きみはこんなにひねくれてしまったんじゃ・・・?)

ランベル・ベニオスは困惑しきっていた。


(そうか、自室のシステムからピュレステル・デュレッカにシステムを移植再現する際、なんらかの不整合が起きてしまったんじゃな。せっかくここまで育て上げた二人の関係が、日増しに壊れていっていくようじゃわい・・)


がらがら、がっしゃーーーん!


--- ^_^ わっはっは! ---


「とにかく、わたしの好意フラッグは今日も二つ没収よぉ!」

ジニーは脹れっ面で言い放った。


「そんなぁ!もうレベル5まで後戻りしておるじゃないか!」

ランベル・ベニオスは抗議した。


「そんなことわたしの知ったことじゃないわ!」

ぷんぷん!


--- ^_^ わっはっは! ---


「ピュレステル・デュレッカ!」

「リーエス。なんでしょうか、擬似精神体のジニー?」

ピュレステル・デュレッカは気を使ってそっと答えた。


「いちいち気に障る女だわねぇ!その『擬似精神体』は止めなさいって言ってるでしょ!」

「しかし、わたしたち母船のCPUは事実しか申せませんので・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「わたしは、お・ん・な・の・こ!花も恥らう乙女!女の子なのよぉ!」


きぃーーーっ!

ジニーのヒステリーは増すばかりだった。


「重ね重ね申し上げますが、わたしには嘘は申し上げられません・・・」

一応、ピュレステル・デュレッカは正しかった。


--- ^_^ わっはっは! ---


きぃーーーっ!

「わたしは女の子よ。女の子。ぴっちぴちの女の子!」


「擬似精神体で、ぴちぴち・・・ですか?」

「うるさぁーーーい!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「そうじゃ、ジニー、おまいさんの言葉のには一理あるわい・・・」

なにを思ったか、ランベル・ベニオスがジニーの言葉を肯定した。


「あ、当ったり前よぉ!」

「生きておる・・・。おまいさんは本当に生きておるのか・・・」


「それはけっこうです。けれど、わたしの中で暴れないでいただきたいのですが・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ピュレステル・デュレッカ、人間には感情がある。ジニーも、量子コンピューターといえども生きておるんじゃ。わからんんか?そうなれば、わしにもおまいさんにも、ジニーの心は予想もつかんぞ・・・」


「要は、行き当たりばったりということですか?」

ピュレステル・デュレッカは静かにジニーを見つめた。


「なんですってぇ!?」


--- ^_^ わっはっは! ---


ぴきぴき・・・。

どっかぁーーーん!


「だれのことを言ってるのよぉ!?」

「あなたとは一言も言ってませんよ、ジニー」


「今、言ったぁ!」

ジニーは揚げ足取りの達人だった。


--- ^_^ わっはっは! ---


「ピュレステル・デュレッカ、そういうおまいさんの計算尽くした言動がわしの恋路をじゃましてるんじゃぞ・・・」


ぴくぴく・・・。

ランベル・ベニオスの額の血管がぴくついた。


「あら、わたしたちの恋路じゃないのね、ランベニオ?」


じぃ・・・。

ジニーが今度はランベル・ベニオスの揚げ足を取り、彼を冷ややかに見やった。


「へっ・・・?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ランベル・ベニオス、あなたの言動も問題ありそうです」

ピュレステル・デュレッカが落ち着いて事実を告げた。


「こら、こんな時に余計なことを言いおって!」


きっ。

ランベル・ベニオスはエストロ5級母船の擬似精神体を睨みつけた。


「あの、ランベニオ・・・」

「二人とも見つめ合ったわねぇ・・・。好意フラッグがもう一つ消えたわ、ランベニオ」

ジニーは無常にも宣言した。


--- ^_^ わっはっは! ---


「わしは睨みつけたんじゃ!」

「わたしは睨みつけられたんです」


--- ^_^ わっはっは! ---


「視線は合ってたじゃない、バカぁ!」

「そんな無茶苦茶です・・・」

ピュレステル・デュレッカは処置なしと天井を見上げた。


「ジニー、わしはおまいさんの味方なんじゃぞぉ!」

「わたしは擬似精神体なんかじゃない!現実の女の子なんだからね!」

ジニーの怒りは頂点に達していた。


「そうおっしゃっても・・・」

ピュレステル・デュレッカは彼女にどう対処してよいのやら完全に迷っていた。


「うるさい!うるさい!うるさい!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「わたしと同じく、あなたも擬似精神体には変わりないのではないでしょうか?」

エストロ5級母船のCPUは自分に宿った人格アルゴリズムとデータに困りきっていた。


(ランベニオの申し出を受けるんじゃなかった・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


「ピュレステル・デュレッカよ、ジニーは特別なんじゃ。わしが精魂込めて作り上げた美少女キャラなんじゃからな」

ランベル・ベニオスはなんとか平静さを保とうとしていた。


「でも、性格は宇宙史上最悪ですわね」


--- ^_^ わっはっは! ---


「きぃーーー!この女にもっと言ってあげなさいよぉ、ランベニオ!」

ジニーは息巻いた。


(よし、チャンスじゃ!)


「わは。それじゃ、好意フラッグを全部元に戻してくれるかね?」

にこ。


「ダメ!」

しゅん・・・。


--- ^_^ わっはっは! ---


「今後も、そういった我儘を続けるなら、システムを強制終了しますよ、ジニー」

ピュレステル・デュレッカが最終手段を静かに告げた。


「きゃあ、人殺しぃ!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「人聞きの悪いことは言わないでください、ジニー」

「人殺しぃ!」


「こら、ピュレステル・デュレッカ、わしがセーブする前にジニーを消すんじゃない!」

ランベル・ベニオスは血相を変えて叫んだ。


「セ、セーブですってぇ?!」

ジニーは驚いてランベル・ベニオスを振り返った。


「これ以上好意フラッグを消されてはたまらん!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ランベニオ、わたしはあなたのものじゃないのよぉ!」

ジニーはまた爆発した。


「ナナン。この場合、ランベル・ベニオスの表現は正しいですよ、ジニー」

エストロ5級母船のCPUはあくまで冷静だった。


「セーブじゃ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ピュレステル・デュレッカ、このイケズ!何度言ったらわかるのよぉ!わたしは仮想人間じゃないんだからね!こうしてちゃんと実体化してお話してるんだから、現実の女の子として扱いなさいよぉ!オタンコナス!」


「オタンコナス?新単語です。なんという意味ですか?」

擬似精神体は首を傾げた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「真面目に聞くんじゃない、ピュレステル・デュレッカ・・・」

「しかし・・・」


「うっざぁ・・・。馬鹿ってことよぉ!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「馬鹿、馬鹿、馬鹿、馬鹿!」

ジニーはピュレステル・デュレッカにすべての不満をぶちまけた。


「ジニー、わたしもあなたへの好意フラッグを『全取り消し』しましょうか?」

ピュレステル・デュレッカが反撃に出た。


「ダメーーーっ!」


--- ^_^ わっはっは! ---




「困りますな、ミリエル。スクリーンに映す映像に手を加えるよう宇宙機のCPUに妙な指示を与えてもらっては・・・」

一方の女の子も手に負えない状況にあり、シャディオンはミリエルに業を煮やして渋い顔で言った。


--- ^_^ わっはっは! ---


「だって、善良なクルーの指示なら、なんだってしてくれるんだもん。性悪の乗客の要求と違って・・・」

「だ、だれが性悪な乗客ですってぇ・・・?」


ぴきぴき・・・。

アンニフィルドの表情が一段と強張っていった。


--- ^_^ わっはっは! ---


「素行の悪い乗客を乗せるのも降ろすのもクルーの権限ですわよ、アンニフィルド」

ミリエルは宇宙機に乗務員の立場を強調した。


「はぁ?!ねんねのあなたが宇宙機のクルーですってぇ?あなただって乗客でしょうが!1400光年タダ乗り学生!」


--- ^_^ わっはっは! ---


アンニフィルドはミリエルがクルーだとは認めなかった。


「おっほん。ミリエル、船長として言わせてもらうが、アンニフィルドさんの言うことはもっともだ。きみは本宇宙機の正規クルーではないし、よって、きみのCPUへの設備変更指示は無効だ」

シャディオンはこの辺が潮時と見て収拾をつけることにした。


「わかったわよぉ、船長さん・・・」

ぷっくう・・・。


地球旅行で社会勉強中のミリエルはまだまだ学生だ。実際、地球人なら高校生くらいの歳なのだ。彼女は仕方がないかというように頬を膨らませた。


「ふぅん・・・。あなたの仕業なのね?」

クリステアが表情一つ変えずにミリエルを見つめた。


「やったのはCPUよぉ」


ミリエルはそれを認める気がないようで、CPUの責任を転嫁し、すましてクリステアに答えた。

「指示したのはあなたでしょ?」

クリステアがなおも指摘した。


「CPUに選択権はあったわ」

ミリエルは食い下がった。


「自主的に従うか、強制的に従うかね?」

クリステアが静かに言った。


--- ^_^ わっはっは! ---


「ええ?それじゃ、わたしは丸っきり悪者じゃない」

「往生際が悪いわね、お嬢ちゃん・・・」


がたっ。

アンニフィルドが今にも飛び掛らんばかりに身を乗り出そうとした。


「アンニフィルド、止めなさい」

クリステアが左手をアンニフィルドの前で横に伸ばした。


「ねぇ、真紀お姉さまぁん!」

「ミリエル、あなったって娘は・・・」

真紀も呆れたようにミリエルを見つめた。


「ミリエル、クルーではないあなたの指示は違法だったのですか、指示前に?」


--- ^_^ わっはっは! ---


一同の様子をチェックした宇宙機のCPUが、落ち着いた声でミリエルに確認した。


「そんなことないわよ。効果は有効でしたわ。ちゃんとアンニフィルドにシンクロして欠けて見えてましたからね。上出来です」


「どういたしまして」

CPUの擬似精神体は丁寧に頭を下げた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「あなた少しも反省してないわねぇ・・・」

アンニフィルドは濃いピンク色の瞳でじっとミリエルを見据えた。


「えへ。バレちゃしょうがないわ。あは」

ミリエルは勝ち誇ったようにアンニフィルドに対して薄笑いを浮かべた。


(やっぱり懲らしめる必要がありそうね・・・)


「きみ、さっさとスクリーンの映像を元に戻したまえ」

二人の争いに終止符を打とうとして、シャディオンが冷静に宇宙機のCPUに言った。


「了解です」


ぱっ。

宇宙機のCPUが船長の指示を受けた瞬間、大スクリーンに移った小惑星が元の完全な姿に戻った。


「あーーーあ、みんな信じかけてたのに、残念!」


「なんてガキっぽい悪戯かしら!」

「アンニフィルドもミリエルも、もうそのくらいにしておけよ」

俊介が二人に言った。


べーーー!


「あ、そうですわ。シュンスケ、あっちに行きましょう、日中はわたしがあなたと一緒にいることは、アンニフィルドおばさまにも認めてもらってますわ。そうそう、セレアムでしてたように一緒に仲良く・・・」


にっこり。

ぴきん!


「お、おばさま・・・?だれのことよ・・・?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「さぁ、早くぅ。おばさまなんか放っておいて、若い二人で仲良く・・・」

ミリエルはアンニフィルドに挑戦状を叩きつけた。


「はぁ?セレアムでしてたようにですってぇ?」

アンニフィルドが俊介を振り返った。


「俊介ぇ、わたし聞いてないんだけどぉ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「し、知らん。知らんぞ。一切知らん、そんなことは!今すぐに取り消せ、ミリエル!」

俊介が否定した。


「わたしはまだ180歳にもなってないんだから・・・。250歳のおばさま」

ミリエルはアンニフィルドに流し目をした。


--- ^_^ わっはっは! ---


セレアム人もエルフィア人も地球人の10倍くらいある。


「一度、その若くて頭の中が未成熟なお嬢の青っぽいお尻にお仕置きをした方がよさそうね、ミリエル・・・」

目の色ばかりか歳のことまでバカにされたアンニフィルドの目が細くなった。


「よせ、ミリエル!」

くるっ。


「あっ、シュンスケ!」

俊介が言い終えないうちに、ミリエルは見えない手でシュンスケと引き離された。


ばぁーーーん!


そして、ミリエルは一同と対峙するような格好で、またもや見えない手で両手をテーブルに貼り付けられ、押し付けられるように前屈みになった。


ふわぁーーーん。


そして、ふわりとスカートがめくり上がり、白いパンツに覆われたみずみずしいミリエルのお尻が衆目に晒された。


「おお!」

「おひょう!」

 二宮と俊介が同時に嬉しそうな声を漏らした。


--- ^_^ わっはっは! ---


「祐樹さん、じゃない、二宮さん、見ちゃだめです!」

イザベルがミリエルと二人の前に割って入った。


「和人さんもです!」

ユティスも従った。


--- ^_^ わっはっは! ---


「きゃあ!ちょっとぉ、なにするのよぉ!」


ミリエルの抗議も空しく、あっと言う間にパンツは彼女の膝まで下り、生のお尻が丸出しになった。

するり。


ぺろん。


「きゃあ、きゃあーーー!」

「ホントに青いお尻だこと・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「せぇのぉ!」

ばっちーーーん!


「痛っーーーい!」


なにかを打つ音が部屋に響くと、露になったミリエルのお尻に手形状に真っ赤な跡がついた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「あーーーん、パパにもママにもお尻をぶたれたことないのにぃ!シュンスケにも・・・」

「はぁ?」

シュンスケは目が点になった。


「当たり前だ!おまえの手すら触ったことすらない!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「シュンスケぇ・・・」

ミリエルの悔しそうな目が俊介を捕らえると、無念そうに変わった。


--- ^_^ わっはっは! ---


「お尻をぶつって、どういう意味よぉ?」


きっ!

アン二フィルドがミリエルを睨みつけた。


「ひ、秘儀よぉ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「そんなに秘儀が好きなら、わたしが俊介に代わって、もう一つタダで直接サービスしてあげるけど?」


はぁーーーっ!

アンニフィルドは右手に息を吹きかけると、平手を構えた。


「いくわよぉ、スペッシャル・サービス、秘儀、お尻打ち!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「きゃあ!真紀お姉さま、助けてぇ!」


「お姉さまったって、あなた170歳なんでしょ?わたし、まだ28なんだけど・・・」

真紀が困ったように言った。


--- ^_^ わっはっは! ---


「お姉さま、そんなこと言わないで助けてぇ!早くパンツとスカートを!」


ぶるん、ぶるんっ!

テーブルに両手を付けたままで、ミリエルはめくれたスカートを下ろそうと体を揺すった。


「有り難く頂戴しなさい、ミリエル!」

「きゃあーーーっ!」


「止めなさい、二人とも!アンニフィルド、行き過ぎだわ!」


ばたばた・・・。

さぁーーーっ。

ぱさっ。


真紀は急いでミリエルのところに駆けつけると、彼女のパンツを上げてスカートのめくれを直した。


「大丈夫?」

「ううう・・・。もう、お嫁に行けないわぁ・・・」


突然自由を取り戻したミリエルは、俊介を見つめて泣き声を上げると、お尻を丸出しにしてお仕置きされた屈辱ですっかり動転した。


「来なくていい!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「アンニフィルドのバカ!バカ、バカ、バカっ!」


だっだっだっ・・・。

そして、ミリエルは思いっきりアンニフィルドに悪態をついて部屋を駆けて出て行った。


「まったくぅ・・・。女同士だと容赦ないなぁ・・・」

俊介はミリエルの後姿を目で追った。


--- ^_^ わっはっは! ---


「俊介、あなたもあなたよ。あんなネンネに現を抜かすなんて」

アンニフィルドの矛先が俊介に変更された。


「えええ?信じてるのか、ミリエルの嘘っぱちを?」

俊介は慌てて自分を弁護し始めた。


「ミリエルのお尻を見て、にたにたしてたでしょ。ロリコン!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「誤解だ、アンニフィルド。オレはセレアムでミリエルとはなんにもなかったんだぞ。姉貴、証言してくれぇ!」


ミリエルは甘やかされて育ったためか、世間知らずで性格に大いに問題ありだった。一方、大人しくさえしていれば、とても可愛らしかった。この地球派遣には、カテゴリー2世界で社会勉強という名目の下、エメリア・エメリアナのたっての希望で同行を許されていたのだ。


「なにもないと言えば、確かにわたしは見なかったわね」

真紀は双子の弟に頷いた。


「ほら、アンニフィルド、姉貴が証人だ!」

「二人だけでよく会っていたのは知ってるけど・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「姉貴、それ、ぜんぜんフォローになってないぞ!」


「あら、一言多かったかしら?」

にこ。


--- ^_^ わっはっは! ---


「それ見たことですか。ふん!」


くるっ。

アンニフィルドは腕組みをして俊介に背中を向けた。


「アンニフィルド、誤解だってば!」

「わかるもんですか!」




ここは太陽系から凡そ50光年に位置するある赤色矮星系だった。


しゅん・・・。

直径50メートルという一つの中型宇宙機が実体化した。


「転送完了。すべて異常なし」

「了解した」


「転送による時空振動は最小です」

「エルフィアのエストロ5級母船に気取られていないか?」

「はい。予定どおり宇宙塵溜りの裏に実体化しています」


「よし。地球までの段取りを再確認しよう」

「了解です」


宇宙機の司令室では数人のクルーたちがなにやら今後の行動のチェックを入れていた。


「まず、ブレスト様の合図があるまでここで待機」

「了解」


「発進合図があると同時に太陽系のカイパーベルトにジャンプ」


カイパーベルトは太陽系の冥王星の先にあるとてつもなく広大な空間で、時には準惑星にまで成長した氷と塵でできた塊が無数に浮遊する。


「了解」


「さらに、最終合図があるまでカイパーベルトで待機」

直径50メートルの宇宙機が身を隠すにはもってこいの場所だ。


「了解」


「最終合図で地球の衛星の月の裏側へジャンプ」

「了解」


「月上空で周回の後、ブレスト様の号令で100秒より秒読み開始」

「了解」


「ブレスト様の地球上の座標、合衆国大統領官邸執務室」

「座標確認」


「時間ジャストでブレスト様を転送収容」

「了解」


「よし。次は撤収手順の確認をする」

「了解」


という具合に、その宇宙機の指令室では慌しく確認作業が行われていった。


「宇宙機の偽装の準備」

「了解。彗星成分を表層に装着準備完了」


「偽装開始」

「了解」


司令官の一声でその宇宙機は表層は、辺りの塵や氷を吸い寄せると、次第に泥にまみれた雪ダルマのようになっていった。




「ランベル・ベニオスのエルフィア引渡し、ケーム政府はこちらの申し出を了承しています。しかし、ピュレステル・デュレッカ内はエルフィアの治外法権。手出し無用で、ケームの検察権は及びません。しかも・・・」


「しばらくは、エルフィアは転送システムが使えないのを見越して、ピュレステル・デュレッカ内に篭城か・・・。ランベル・ベニオスのやつ、もし、計画していたとしたら、とても一筋縄ではいかんみたいだね」

メローズの報告を聞いて、エルドは苦笑いした。


「そこで提案ですけど、彼の作り出した美少女ゲームキャラ、擬似精神体のジニーを使ってみるのもいいと思いますけど?」

エルドの執務室で秘書のメローズがにこやかに言った。


「ゲームキャラの擬似精神体を使うのかい?」

いったいどういうことかと、エルドはアンデフロル・デュメーラの要請を思い出して、興味をそそられた。


「リーエス。その擬似精神体をです」

メローズはにっこり笑った。


「どうやって?」

「そこは女性同士。きっと協力してもらえると思います」


「美少女ゲームキャラがきみに協力?まさか・・・」

エルドは右眉を上げた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「まぁ、男性には理解できるかどうかわかりませんけど・・・」


「これは、これは・・・」


(個人的恋愛問題か・・・。なるほど・・・)

エルドは面白そうに笑った。


「ピュレステル・デュレッカ、聞こえて?わたしは最高理事エルドの秘書、メローズです」


にっこり。

メローズもエルドにゆっくりと微笑むと、惑星ケーム上空に待機しているエストロ5級母船、ピュレステル・デュレッカを呼び出した。


「勿体をつけてないで、どんな内容なのか、詳細を聞かせてもらえないかね、メローズ?」

エルドは興味津々で言った。


「少々お待ちください、エルド」

メローズはエルドに背を向けた。


「リーエス、最高理事秘書メローズ。ピュレステル・デュレッカです」


しゅん。

たちまち彼女の擬似精神体がエルドの執務室に実体化した。


「なにかご用でしょうか?」

メローズの優しい眼差しを受けて、ピュレステル・デュレッカが彼女をを見つめ返した。


「リーエス。あなたに大切なお話があります」

「リーエス」


「あなたと女性同士のお話です。ここではなんです。わたしの部屋に来てくれない?」

「リーエス、最高理事秘書、メローズ」

ピュレステル・デュレッカは即答した。


「はは・・・。男のわたしは邪魔かね?」

エルドは面白そうに成り行きを見守った。


「うふふ。後で報告することにいたしますわ」

メローズはそれに答えずにウィンクした。


ぱち。

それを見たピュレステル・デュレッカが真似をした。


「そういうことですので・・・」

ぱち。


--- ^_^ わっはっは! ---


「おやおや、きみもすっかり乗り気じゃないか」

エルドは楽しそうに言った。


「リーエス。はるばるケームより参りましたので」


ぺこり。

ピュレステル・デュレッカはエルドにお辞儀をした。


「それは遠くからわざわざ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「パジューレ(どうぞ)、お好きなように・・・」


にっこり。

エルドが両手を広げると、二人はメローズの部屋に消えていった。




一件落着し、間近に見る小惑星の印象は、セレアムの社員にとっては一生忘れられないほどの衝撃だった。


「さてと、みなさん、それでは研修目的地の第4惑星に移動いたします」

船長のシャディオンはそう言うと宇宙機のCPUに指示を出した。


「了解です」

そして、CPUは乗客に進路の説明をした。


「これから第4惑星に向かいます。着地点の選定と地上の状況把握のため、600キロ上空で周回した後、着地点に降り立ちます。では、みなさん、1分後ジャンプいたします」


「ありゃ。席についてシートベルトとかしなくていいんすかぁ?」

二宮が俊介に確認した。


--- ^_^ わっはっは! ---


「いらん。地球の飛行機じゃあるまいし」


「そうよ、二宮。宇宙機は時空を潜り抜ける方法で目的の星に一瞬で移動するの。時空中を高速移動するわけではないから、宇宙機自体に加速度はかからないわ。船長もジャンプっていったでしょ?」

真紀がそれに答えた。


「うす。イザベルちゃん、要するにタダってことっす。心配はないっすよぉ」

「確かにタダですけどぉ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ええ。ありがとう、二宮さん・・・」


(理解できてるのかしら、祐樹さん。あは。わたしもだけど・・・)

イザベルが巻きに苦笑いした。


--- ^_^ わっはっは! ---


「みなさん、そのままの位置にいらして結構です」

シャディオンが言った。


「ちょっと待ってくださいっす」

そいの二宮が突然船長に質問した。


「それで、小惑星はいつその第4惑星に落っこちるんっすかぁ?」

「その確率は90パーセント以上でしたが、今、接近して正確に軌道を再計算した結果、惑星17万キロ上空をぎりぎり通過しそうですな・・・」


「ホントすかぁ?」

二宮はほっとしたような顔になった。


「ええ。今し方、アンニフィルドさんが小惑星を食べられて、それ自体の質量に変化が生じましたので、軌道がずれたようです」


--- ^_^ わっはっは! ---


「はぁ?!!!!。わけわかんない!」

アンニフィルドが船長を見て叫んだ。


--- ^_^ わっはっは! ---


「だそうよ、石橋。よかったわね」

「はい、真紀社長。アンニフィルドさん、どうもありがとうございます!」


ぺこっ。


--- ^_^ わっはっは! ---


「ぜんぜん、良くないわよ!」


「というのは冗談でして、この先数億年は衝突コースには乗らないと思われます」

シャディオンは真面目な顔に戻った。


「どちらにしろ、ありがとうございます、アンニフィルドさん」


ぺこり。

石橋が頭を下げた。


「だから、違うって言ってるでしょう、石橋!」


--- ^_^ わっはっは! ---

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