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361 帰道

「アンニフィルドよぉ。さてさて、お花見会もお開きになったけど、気になるのはみんなの帰り道よねぇ・・・。あは。二宮とイザベルなんか絶対なにか起きるわよぉ。ユティスと和人?それは期待しても無駄ね。だってSSのわたしたちがいるもの。和人は遠慮してなんにもできないわ。ええ?だから、ちゃんと配慮してやらないのかってぇ・・・?うーーーん、そうとも言えるわねぇ・・・」

■帰道■




お花見会兼イザベル歓迎会は夜10時近くまで続き、すっかり飲み疲れて一同は家路に着いていた。


「今日は本当にありがとうございました」

「おす。こちらこそ」

「楽しかったです」


「うす。今度また一緒にやりましょう」

「はい、喜んで」


会場では総勢70人くらいが笑い合いながら互いに別れを惜しんでいた。


キャムリエルは掃除当番から解放されて、セレアムの社員たちに混じって、社長の国分寺真紀の締めの言葉を聞いていた。


「さぁ、元のところも和人たちが片付けているけど、ここは一旦解散ね。みんな、ありがとう。そして、イザベル、入社してくれて本当に嬉しいわ」

「こちらこそ、どうも・・・」


ぺこり

イザベルは真紀に一礼した。


「あなたにはお礼を言うわ。それに二宮、見直したわよ。やっぱり男だったのね」

「うす」


その二宮はイザベルを独占すべくしっかり脇を固めていた。


「でも、あなたたち、しっかり仕事はしてよね。いい?」


「うす!」

「はい!」

二宮とイザベルは力強く返事をした。


「で、キャムリエル?どうしてSSのあなたがユティスたちと一緒にいないのかしら?」


--- ^_^ わっはっは! ---


真紀が石橋の隣で得意顔のキャムリエルに目を写した。


「可憐を家まで送らなきゃいけませんからね」

この時とばかり、キャムリエルは用意したとっておきの答えを披露した。


「あ、そう・・・。で、それでいいの、石橋?」

「手錠とロープをいただけますか?」


--- ^_^ わっはっは! ---


きょとん・・・。


「ぼくは可憐を家まで送るのにそんなもの使わないよぉ・・・」


「わたしが使いますから、ご心配なく」

「リーエス・・・?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「わっはっは!」

「あっはっは!」

「ふふふふ!」


一同はキャムリエルに大笑いした。




「リーエス。ドクターは休んでくれたまえ」

「リーエス。もう日が暮れるから休むことにするわ」


ふわぁーーーっ。

エスチェルは髪の後ろで留め輪を外すと、長い髪が中を舞いながら降りてきた。


「まだ、地上は昼だぞ、ドクター」


--- ^_^ わっはっは! ---


フェリシアスは冷静にエスチェルの言葉を正した。


「あら、それは違うわ。ここは宇宙よぉ。宇宙じゃ、陽に面すれば昼、背を向ければ夜。夜更かしは良くなくてよ坊や」

にや。


「ドクター、わたしは立派な大人だが・・・」


「クリステアにそう振舞ってる?」

「クリステアに?」


どきっ。

フェリシアスはたちまち動揺した。


--- ^_^ わっはっは! ---


「きみには関係あるまい」


「ナナン。あなたたちSSの心の健康をウォッチするのもわたしたち医療チームの仕事よ。あんまり精神的負担を大きくするのは良くないわ」


「それで?」

フェリシアスは動揺を悟られまいとした。


「どうして。あなたが地上に赴かずにキャムリエルに行かせたかよ・・・」

「・・・」


「図星ね・・・」

「ドクター・・・!」


フェリシアスは抗議しようと口を開いたが、エスチェルはそれを制するように、フェリシアスにとってはきつい一発をお見舞いした。


「あれでもね、クリステア、相当我慢してるのよ。ユティスは言うに及ばず。アンニフィルドも国分寺俊介とよろしくやってるわ。あの二宮すらよぉ」


「あの二宮が・・・?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「フェリシアス?」

「・・・」


エスチェルは苦虫を噛んだようにフェリシアスを見つめた。


「任務中に恋人もなにもない。あるのは上司部下の関係だけだ」

「違うわ。人間の感情の強さをあなたは見くびっている・・・」

「わたしはエルフィア人だ。クリステアも」


ドクターはフェリシアスの感情を引っ張り出そうとしたが、それでもフェリシアスは冷静に対応しようとしていた。


「冷たいわね、フェリシアス。恋人がすぐそばにいるというのに・・・。32000キロ上空だけど」


--- ^_^ わっはっは! ---


「・・・」


「もっと側にいてあげられないの?大怪我した時だって、ほんのちょっとだけでしょ、一緒にいてあげたの?」


「それはエルドの指示があったからだ」

フェリシアスは、あくまでミッションの一部と納得させたがっていた。


「任務の一環と言いたいのね?」

「・・・」


「今日、彼女たちはお花見会だったんだけど、クリステアだけ一人ぼっちだったのよ。わたしにはわかるわ。きっと、あなたが側にいて欲しかったと思う・・・」

エスチェルはクリステアの心を代弁するように言った。


「だから、それはきみの意見じゃないのか?」

「ナナン。アンデフロル・デュメーラにモニターを頼んでおいたの。これを見なさい」


さぁっ。

エスチェルが右手を横に少し振った。


しゅん。

するとフェリシアスの目の前にその様子が立体的に映し出された。


「えへへ。悪いわね、クリステア、わたしたちだけよろしくしちゃって」

「いいわよ。どうぞ、わたしにはお構いなく・・・」


「そこでストップ」


ぴっ。

クリステアの表情は冷静そうに見えたが、その一瞬によぎった影にフェリシアスは再び動揺した。


「この一瞬だけだけど、どう?」

エスチェルはチェックメイトに入った。


「ナナン。いつもと変わらんね・・・」

「あなたの態度がでしょ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---




さて、せっかく地上に降り立ったキャムリエルは石橋可憐の帰り道を送っていく気満々だった。


「帰りはぼくが送っていくよ、可憐」

キャムリエルは嬉しそうに言った。


「でも、悪いです・・・」

「ぼくは悪い男じゃありません」


--- ^_^ わっはっは! ---


「そんな意味じゃないんですけど・・・」

「夜道はなにかと危険だからね。ぼくが可憐をしっかり守るよ。こう見えたってA級SSなんだからね、ぼくは」


石橋は、キャムリエルが確かに石橋を守り切ることは確信していたが、彼女に家まで着いてこられるのには尻込みしていた。


「はい。それは存じ上げています。でも、急に来られても・・・」

「別にお泊りするわけじゃないんだし」


「お泊りするつもりだったんですか?」


ぎょっ・・・。


--- ^_^ わっはっは! ---


「ナナン。玄関先までだよ。可憐が家の中に入ったら帰るつもりだよ」

「うそ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「本当さ。すっ飛んで帰るよ」


「ふふ。エルフィア人はジャンプできますから便利ですね?」

石橋はキャムリエルに微笑んだ。


「そうだね。でも、その手には乗らないね。可憐を送っていくのにジャンプなんかしないよ。ぼくと一緒に歩いて帰ろうよ」

その時、キャムリエルの目が俊介の目と合った。


「おお、キャムリエル、じゃあなぁ!石橋をしっかり送ってけよぉ!」


「リーエス。応援ありがとう、シュンスケ!」

キャムリエルは俊介とアンニフィルドに手を振った。


「ほら、シュンスケたちもそう言ってる」

「わかりました・・・。でも、手は繋ぎませんからね・・・」


かぁ・・・。

石橋はそう言うと真っ赤になった。


「しょうがない。じゃ、抱っこしてあげる」


ひょい。

と言うが早いかキャムリエルは石橋を両手で簡単に抱えあげた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「きゃあ!」

「あーーー、お姫様抱っこだぁ!俊介、わたしもして欲しいぃーーー!」


ぴっ、ぴっ。

それを見たアンニフィルドが俊介にすがりおねだりした。


「ば、ばか、そんな恥ずかしいことできるか!」

俊介はたちまちアンニフィルドの提案を却下した。


「けち!」


ぷちっ。

「痛ぁーーーっ!」


「ふん!」


ひょい。

そしてアンニフィルドはあっという間に90キロある俊介を抱え上げてしまった。


「じゃ、わたしがしてあげる、ダーリン!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「うぉおおーーーっ、降ろせ!降ろせ!」


じたばた・・・。

アンニフィルドは俊介をお姫様抱っこしたままがっしりと掴まえていた。


「さぁ、ダーリン、お家までわたしが抱っこしてあげるぅ」

「こ、こらぁ!」


くすくす・・・。

周りはそんな俊介を横目で見ながら笑っていた。




一方、すっかり公認の仲となった二宮とイザベルは帰り道をゆっくり歩いていた。


「二宮さんはおバカさんです・・・」

イザベルは拗ねたように言った。


「うっす。ああ、するしかなかったっすよぉ・・・。お昼もイザベルちゃんの機嫌損ねちゃったっすし。自分は不器用っすから・・・」


つんつんつん・・・。

イザベルは二宮の前で数歩スキップをした。


「わたしも同じです・・・。みんなの前でとっても恥ずかしかったんですからね・・・」

「うす・・・」


「責任取ってくださいよぉ・・・」

「うっす・・・」


す・・・。


二宮とイザベルはお花見仲間と別れ二人きりで駅までの道をゆっくりと歩いた。


「とりあえず・・・と」


するるる・・・。

イザベルは二宮の左手に自分の右手を絡ませた。


「二宮さん、恋人らしく腕を組みましょう・・・?」

「うす」


辺りは提灯が途切れ街灯りだけとなった。


「えへ。イザベルちゃん・・・」

「だぁーめ」


「まだ、なにも言ってないっすよぉ・・・」

「だぁーめ」


とん。


突然イザベルが二宮にすっかり身体を預けると、二宮の歩みが右に曲がった。


ぐいっ。


「あ、イザベルちゃん・・・」

「あっち・・・」


二人の目の前には小さな公園があった。


「うす・・・」


二人は進路を変え、その真ん中を一歩一歩歩んでいった。


「ここだけ人通りが少ないっすねぇ・・・」


きょろきょろ・・・。


「だからいいんです・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


イザベルの声は二宮にもやっと聞こえる程度だった。


てくてく・・・。

ぴた・・・。


二人の歩む足がさらにゆっくりとなりブランコの前で止まった。


「うふ。小学校以来かなぁ・・・、ブランコ・・・」

「うす。乗るんすか、イザベルちゃん?自分が振ってあげるっすよぉ・・・」


二宮はブランコに片手を掛けた。


「うううん。振られるのは嫌・・・」

「うす・・・?」


--- ^_^ わっはっは! ---


すぅ・・・。


そう言うとイザベルは背伸びして二宮に唇を寄せた。


ちゅう・・・。

ぎゅぅ・・・。


二宮は優しくイザベルの背中に腕を回してそれを支えた。


小さな公園の暗くて黄色い光が二人のシルエットをそっと浮かび上がらせていった。




「SS・アンニフィルドよぉ。パスワード、『早く欲しいな彼氏とブルマン!』。ドアを開けなさい、お家さん」


かちっ。


--- ^_^ わっはっは! ---


「いい子ねぇ」


会社の寮兼エルフィア大使館の玄関はエルフィア式の時空ロックがかけられていた。


「さぁ、入って、みんな」

「リーエス」


ぞろぞろ・・・。


門の前で事前に登録した人がその人なりのパスワードを口にしないと、絶対に中に入れなかった。


「時空ロックって何人まで続けて入れるの?」

和人がユティスにきいた。


「人数ではありませんわ。時間です」

「リーエス。20秒くらいかしら。それを過ぎたら回れ右ね」


クリステアが答えた。


「20秒か。十分だね」

「リーエス」


不審者が侵入としても、時空を通り抜けあっという間に玄関前に背を向けることになる。


ばさっ。


「ふぁーーーあ、今日は当てられちゃったわ、二宮たちに」

アンニフィルドはあくびを抑えるように右手を口にかざした。


「なに言ってるんだよ、きみたちも相当だっただぞ。いちゃいちゃ、ごろごろ、にゃんやんって」

和人はアンニフィルドの自覚を促した。


「あら。わたしたちはあれで普通よ。どこか変だった?」


(ぜんぜん自覚なし・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


「はいはい。もう時間が時間だから、オレは一風呂浴びてくる」


くる。

和人はアンニフィルドに背を向けた。


「あっそう。レディファーストって配慮はないのね?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「はいっ?」

がくっ。


「・・・」

和人は話す気力もなくなってきた。


「どうぞ、お先にお入りください、アンニフィルドさま!」

「じゃ、遠慮なくいただくわ。ユティース、背中流し合わない?一緒に入りましょうよ」


「リーエス、アンニフィルド」

鏡の前で身だしなみを確認していたユティスが明るく答えた。


「和人さん、お先にいただきますわね」

にっこり。


「あ、リーエス・・・」


(ちぇ・・・。SSたちが一緒に住むことになって、ユティスと二人っきりの時間がまるで取れないや・・・。お風呂じゃなくてもいいんだけど・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


「くっくっく・・・」

相変わらずのアンニフィルドにクリステアが笑いを押し殺した。


「なんだい、クリステア?きみはなぜ一緒に行かなかったの?」

「わたしは警護よ。SSだもの」


「そっかぁ。不審者が入ってくると困るもんね・・・」

「くっくっく。不審者ねぇ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あれ、時空ロックしてるから、不審者なんて大丈夫なんじゃなかったっけ?」

「本当にあなたってお人好しねぇ・・・」


「ひょっとしてオレのことかい・・・?」


すす・・・。

和人はクリステアの蹴りを喰らわないように距離を保った。


--- ^_^ わっはっは! ---


「ナナン。本当はあなたがそうしたかったんでしょ?」


にやり・・・。

すす・・・。


クリステアが距離を縮めた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「ええ?」

「わたしもよぉ。あーーーあ、正直、あなたたちを見ていたら耐えられないわぁ。こんなに近くにいるというのに・・・」


和人はこんなクリステアの愚痴を聞くのは初めてだった。


「クリステア?」

「なぁに?」


「きみって、フェリシアスとちゃんと会ってるんじゃないの?」

さすがに和人も察した。


「会ってはいるわよ。でもね、あなたたちが羨ましい。今夜は本当にそう思ったわ」


「ええ?冷静なきみがそんなこと言うなんて・・・」

和人は驚いてクリステアを見つめた。


「たまにはそうなるわよ・・・」

しんみりしたクリステアは美しかった。


「和人で済ませちゃおうかなぁ・・・」

にま・・・。


「二人が出たら、背中流してあげようっか・・・?」

「はい?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「冗談よ。次はわたし入るから覗かないでよ、和人。」


「リーエス。仰せの通りにいたしやす」

とこうして、今度は和人が二宮を羨ましがるのだった。




その二宮は公園でイザベルと最高の瞬間を堪能するとしっかり腕を絡めあって家路に着いていた。


「イザベルちゃん、家まで送っていくっすよぉ」

「はい。ありがとうございます、二宮さん」


「イザベルちゃんのマンションの・・・」

「だぁーーーめ。今日は姉さんがいます・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


にこ。

イザベルは悪戯っぽく微笑むと二宮に寄りかかった。


「うす。部屋に上がろうなんてこと考えてないっすよぉ」

「はい。よくできました」


「電車来ましたっす」


しゅぱぁーーー。


「さぁ、乗りますよ」

「うす」


ドアが開き二人はイザベルのマンション方面の電車に乗った。


がたん、ごとん・・・。


10時過ぎというのに、電車内はお花見の帰り客でごった返していた。


「あのぉ、二宮さん・・・」

「おす。イザベルちゃん・・・」


「その、おす、いい加減二人の時は止めていただけませんかぁ・・・。うふふ」

にこ。


「うっす。でも、もう癖になっちゃてるっすかぁ・・・」


ぽりぽり・・・。

二宮は頭を掻いた。


「仕方ないです。そのうち直してください」

「う、はい。で、イザベルちゃんも・・・」


「わたしも?」

「二宮さんじゃなくってすねぇ・・・」


イザベルがその先を続けた。


「はい。祐樹さん・・・」

「・・・」


にたぁ・・・。

たちまち二宮は顔を崩した。


「イザベルちゃん・・・」

「祐樹さん・・・」


「いい・・・、いいすねぇ・・・。くぅーーー!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「二人の時はこう呼べばいいんですよね?」

にっこり。


「うす!」

「ほら、またぁ言ったぁ!」


くすっ。


--- ^_^ わっはっは! ---




ごしごし・・・。

ざっぱぁーーーん。


「はい。お背中気持ち良いですか、アンニフィルド?」

ユティスがアンニフィルドの背中を流してにこやかに言った。


「うふん。とってもステキだったわよぉ。じゃ、今度はあなたの番」

「リーエス。よろしくお願いしますわ」


くるり。

ユティスはアンニフィルドに背中を向けた。


「あのね、ユティス・・・」

突然、アンニフィルドがユティスに重要ななにかを語ろうとした。


「どうしましたの、アンドニフィルド?」

「え、あ、うん・・・。ちょっと気になってることがあって・・・」


「リーエス。お話くださいな」

ユティスは後ろを振り向こうとした。


「実は、わたしたち、あなたと和人の邪魔してないかなって・・・」

アンニフィルドには和人の考えが筒抜けだった。


「邪魔ですか?」


ぷるぷる。

ユティスはとんでもないというように首を横に振った。


「ナナン。そんなことはありませんわ」

「だったら、いいんだけど・・・」


「なにか思う節でもおありなんですか?」

「今だって、ほら、本当なら恋人同士で仲良くお風呂でしょ?二人だけであんなことや、こんなことしてね」


「あんなことですか・・・?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「背中を流すこと以外になにかするんでしょうか?」


「もう。わたしに詳細説明させないでよぉ、ユティス!だからぁ・・・」

アンニフィルドはその先は声を低くした。


「という風に、アンニフィルドも俊介さんとよろしくしたいんですね?うふふ」

ユティスが微笑んだ。


--- ^_^ わっはっは! ---


「だぁーーー。なんで、そうなるのよぉ!」


ざっぱぁーーーっ。

アンニフィルドはユティスの背中に手桶のお湯を一気にぶちまけた。


「きゃあ!」

ユティスはびっくりして叫んだ。


「ユティス、自分のことはどうなのよぉ?白状しなさい。あなたも随分我慢してない?和人だって若くて健康な男子なんだからね、大好きな女の子と同じ屋根の下でずうっと毎日暮らして、たまにキッスする以外なにもないってのは不健康だわ。うん、そうよ、絶対に不自然!」


アンニフィルドは一人頷いた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「まぁ、アンニフィルド、そんなことでお悩みだったんですか?」

ユティスはアンニフィルドにウィンクした。


「そんなこととはなによ?せっかく人が心配してあげてるってのに」

「リーエス。アルダリーム・ジェ・デーリア(ありがとうございます)、アンニフィルド」


ぺこ。

ユティスはアンニフィルドに頭を下げた。


「だから・・・」

にっ。


「リーエス?」


「今夜はわたしの部屋を使いなさい。あなたの部屋はわたしとクリステアの間でしょ?」


にんまり・・・。

アンニフィルドはユティスに微笑んだ。


「リーエス?」


「真ん中じゃあ、周りが気になるわけよねぇ・・・」

「どうしてですか?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「あなたがそうじゃなくても、気にする人はいるでしょ?」


「クリステアですか?」

「違う!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「そうすると、わたくしのお部屋はアンニフィルドがお使いになるんですか?」


にこ。

ユティスは微笑んだ。


「そこは緩衝帯よ。だれも使わないの」

にたぁ・・・。


「だれも使わない緩衝帯ですか・・・?」

「リーエス」


--- ^_^ わっはっは! ---


「夜中にクリステアが起きてくるとまずいでしょ?」

「どうしてですか?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「がさごそと音が聞こえちゃうと・・・。ん、もう、いいから、わたしの言うとおりにしなさいってば!」


ざっぱぁーーー。

アンニフィルドは再びユティスの背中にお湯をかけた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「では、アンニフィルドはどこでお休みになるんですか?」


「わたしはお布団引っ下げて、一階の和人の部屋で休むわ。いい?」

アンニフィルドはそれ以上の会話はなしとばかりに言った。


「それでは、和人さんはお休みになるお部屋がありませんわ。どこでお休みになるんですか?」


「あのねぇ・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「どこかの部屋が二人部屋になるってこと」


「アンニフィルドは和人さんとご一緒にお休みになるんですか?」

ユティスが怪訝そうな表情になった。


--- ^_^ わっはっは! ---


「違う。違う。違う!それじゃ、なんの意味もないでしょうが。あなたの部屋よ!」


「それは、わたくしのお部屋に和人さんをお招きするってことでしょうか?」

「お招きでも拉致でもなんでもいいから、今日は二人で一緒に休みなさい」


--- ^_^ わっはっは! ---


「クリステアには内緒にしといてあげる・・・」

にまぁ・・・。


「あのぉ、アンニフィルド、それって・・・」


かぁ・・・。

ユティスの頬がみるみるうちに赤く染まっていった。


「嬉しいです・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---




さて、次の朝方、エルフィア大使館はちょっとした騒ぎになっていた。


がさごそぉ・・・。


「ううーーーん・・・」

和人の隣でだれかが寝返りを打った。


ぬくぬく・・・。


(いつもと違って、なんて暖かくて気持ちいいんだぁ・・・)


ベッドは温かく、和人はとても居心地が良かった。


ぽよぉーーーん。

なにか柔らかいものが和人の腕に当たった。


「うん、なんだぁ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


ぱちり・・・。


とても柔らかく暖かい感覚に目を覚ました和人は、自分の隣にネグリジェ姿のユティスが幸せそうに眠っているのを見つけた。


「和人さぁ・・・ん・・・」

「どわぁーーー!」


(なんで、ユティスがオレのベッドにぃ?)


--- ^_^ わっはっは! ---


和人はベッド中で飛び起きた。


(ぎゃ、なんでオレ、パンツ一丁なんだぁ・・・?)


--- ^_^ わっはっは! ---


そろぉ・・・。

和人は辺りを観察した。


しーーーん。


(良かった。だれもいない・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


(げげげ。ここ、ユティスの部屋じゃないか・・・。なんで、オレここに・・・?)

和人はこうなった経緯を必死で思い出そうとしていた。


(思い出せない。風呂から出てからの記憶が飛んじゃってる・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


和人の側に静かに寝息をたてているユティスは、天使のように美しく思わず抱きしめたくなるほど可愛らしかった。


(待てよ・・・。もしもだぞ・・・。もしも、そのぉ、ユティスと間違いがあったとしたら・・・、無茶苦茶悔しいかも・・・)


「一生に一度の大切なイベントの思い出が・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


どさっ。


「重いで・・・す・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


ユティスがゆっくりと目を開けた。


「和人さん・・・?」

「どわぁーーー!なんにもしてないからね、オレ!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「リーエス・・・?」

ぽかん・・・。


「してない!してない!記憶にございませんったら、ございません!」

「あのぉ、和人さん・・・?」


「想定外だよぉ!オレ、本当に知らない!」


どたばた!

ぎゅっ。

どたぁーーーん!


和人は、立ち上がろうとしたところをユティスに手を引っ張られ、そのまま床に倒れた。


「痛ぁ!」

ばさっ。


「大丈夫ですか、和人さん!」


すぐにユティスはベッドから飛び出して和人の側に座った。


ばん!


「朝からうるさいわねぇ・・・。なんの騒ぎよぉ?」

時空ロックを掛け忘れたユティスの部屋にクリステアが入ってきた。


「・・・」

クリステアの目が点になった。


「お・・・、お取り込み中だったわけね・・・。ごめんなさい・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


ぱたん。


クリステアはそう言うとそっとドアを締めてユティスの部屋から出て行った。


「・・・」

「思いっきり誤解された・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---




「それでぇ?」

アンニフィルドは信じられないという目でユティスを見つめた。


「アンニフィルド、おかげさまで和人さんのお側で安心して眠ることができました。わたくし、とっても幸せです。ステキな一夜をありがとうございました」


「言うことはそれだけ?」

「他になにかぁ・・・?」


ばーーーん!


--- ^_^ わっはっは! ---


「リーエス。はいはい!」

アンニフィルドはユティスに背を向けて洗面所に消えていった。

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