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342 王子

「アンニフィルドよ。来た。来た。ついに来たわよぉーーー!ユティスがどうして和人をコンタクティーとして選んだかとか・・・、えへへへ、恋人みたく見えるけどどうなんですかとか・・・。だから言ったのよ。ちゃんと回答を用意しておきなさいって。ねぇ!」

■王子■




さてさて、地球上の本物のT大の大講堂ではポップシンガーの小川瀬令奈が本番に備えて最後のリハーサルを続けていた。


「オーケー、いいですよ、瀬令奈さん。そろそろ終りましょう」

PAが了解の合図を送った。


「当たり前だわ。けど、どうしてこんなに人数がいないのよぉ・・・?」


既に15時を大きく回っていたが、依然としてT大のキャンパスには人通りが少なかった。


「開演までにはまだ2時間近くありますよぉ。キャンパスのどこかで、みんなたむろしてるんでしょう」


瀬令奈の新しいマネージャーが笑顔で言ったが、不安に目は引きつっていた。


(どうしよう・・・。初のイベントをまかされたってのに・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


「そ、そうよね・・・」

さすがの瀬令奈もだんだん不安になっていた。


「瀬令奈さん、そろそろ控え室で本番用の衣裳とメイクをしないと・・・」

恐る恐るメイク係の女性が瀬令奈の様子を窺った。


「そうね。今、行くわ」

瀬令奈はそう答えるともう一度客席を見た。


がらぁーーーん・・・。


「くぅ・・・」


瀬令奈のプライドがそれを拒否しているのは明白だった。




偽の大講堂ではユティスへの質問も最後に近づいていた。


「ユティス大使への質問、もう一つくらいまいりましょう。質問のある方は挙手願います」


「はい!」

「はい!」


「では、遥々外国からお出でいただいた方もたくさんおられるようなので・・・」


ぐるり・・・。


ホスト役の女子学生は適当な人物がいないかと見回した。


「はい!」

「はい!」


「では、あなた。右中段のあなたです」

「はい。ありがとおさんです」


すく・・・。

ぺこり。


中年の外国人の男性は立ち上がると一礼した。


「わたし、名前、ポールね。ポール」

にっ。


「はい、ポールさん」


にこにこ。

ユティスは満面に笑みを湛えた。


「一つ質問あります。よろしいですか?」

「リーエス。もちろんですわ」


「えーーー、エルフィアは地球の文明支援をすると言いました。どこから、どう始めますか?やっぱりニッポンですか?合衆国や他の国はどうなりますか?一番決めること、地球200くらいの国に分裂して、とっても難しいです。わたし、そう思うけど、聞きたい思います」


「リーエス。そのような具体的なことは、現在わたくしが派遣されている予備調査の結果を十分に検討してみてからになりますわ。今は決定しているわけではありません」


「じゃ、あなた、どこを推薦します?」

「それでしたら、ポールさんからお始めしますわ。んふ?」


にこ。


「わたしから?」


「リーエス。もう、ポールさんも、ここにいらっしゃるみなさんと一緒に、アンデフロル・デュメーラに乗船していらっしゃいますから、カテゴリー2とはなにか体験されていることになるのです。おわかりになりますか?」


「イエス。バット、わたし、さっきの女の子と一緒。カテゴリー2、なにか、よくわかりません・・・」

ポール氏は両手を広げ困った顔になった。


「うふふ。わかるというのは頭でわかるのではなく、心で感じることですわ」

ユティスは優しく言った。


「心で感じる・・・?」

彼は首を傾げた。


「リーエス。さぁ、心をお開きになって」

ポール氏は大窓から見える地球を見つめた。


「あれが地球として・・・、わたし、何度もテレビで見ました」

「それは、それは・・・。で、どうお感じですか?」

「いつも一緒ね。丸い、青い、美しい・・・。でも、それだけ」


びーーー、びーーー・・・。


と、その時、アンデフロル・デュメーラから警告が発せられた。


「直径18メートルの鉄を含む岩塊が時速6万キロで地球に接近中。地球との衝突コース上に位置します。衝突推定時間25時間後。衝突推測地は合衆国西岸。都市部への落下確率18パーセント」


「なんだ、なんだ?」


びーーー、びーーー。


警告音は続いた。


「モニターに切り替えます」


ぱっ。


アンデフロル・デュメーラが言うと。会場前部の大窓がたちまち立体スクリーンになった。


「現在距離本船より150万キロ。映像拡大します」


ぶわぁーーーん。


立体スクリーンが一気に倍率を上げ、その怪しげな灰黒色の姿が大映しにされた。


「合衆国に落ちるんだって」

「大変だ.大惨事になるぞ」

「18メートルの大隕石だそうだ・・・」


ざわざわ・・・。

たちまち会場には緊張が走り、騒がしくなった。


「岩塊の軌道を変更しますか?」


アンデフロル・デュメーラの落ち着いた声がした。


「リーエス、アンデフロル・デュメーラ。二度と地球との衝突コースに入らないところに移動をお願いしますわ」

「リーエス、エージェント・ユティス」


「あのぉ、わたし、質問・・・」

合衆国出身のポールという男性はあっけにとられていた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「リーエス、アンデフロル・デュメーラ。ご免なさい、ポールさん。少しお待ちになって」


「わたし・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「重力トラクタビーム照射」

アンデフロル・デュメーラから対応処置の声がした。


ぴかぁーーーっ!

ひゅーーーん!


一瞬強力なビームが150万キロ離れた岩塊に照射された。


ぱぁーーー!


ビームは通常空間を伝わっているのではないのか、その150万キロという距離を一瞬で走っていった。


ぴかーーーぁ!

ひゅぅーーーん・・・。


岩塊は人間の目には見えないほどの軌道を修正された後、何事もなかったように宇宙空間を突き進んでいった。


「軌道修正完了。最大接近距離110万キロで10時間後地球の北極付近を通過予定。その後は主星ソルの重力で2万年以上の長周期軌道に入ります。今後の地球との500万キロ以内の接近は5000万年以上ありません」


「アルダリーム・ジェ・デーリア(ありがとうございます)。上出来ですわ、アンデフロル・デュメーラ」


くるり。

ユティスが礼を述べると、ポール氏に向き直った。


「もう、ご心配いりませんわ」


「あの・・・、あの・・・、質問・・・」

ポール氏は口を開けたまま遠ざかっていく岩塊を呆けたように見つめた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「ポールさん、あなたのリクエスト通りに、エルフィアのテクノロジーの最初のサービスで、お国の危機を回避いたしました。結果をミスタ・ガバメント(政府さん)に連絡をお入れしますか?」


「ミスタ・ガバメント(政府さん)・・・?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ミス・ガバメントでしたかしら・・・?んふ?」


にこ・・・。


--- ^_^ わっはっは! ---


「い、いや・・・。サンクス。ありがとです・・・」




「いやはや、たまげましたな・・・」


高根沢博士は目の前で起こったことを信じられないように見つめた。


「左様、あんな短時間で150万キロ先の18メートルの岩塊を捉えたうえ、軌道計算も完了し、さらに修正後の軌道の計算を5000万年分やってしまいましたぞ・・・」


高根沢博士の隣にはコーネロ大学宇宙物理学教授のサンダース博士が座っていた。


「それに、150万キロじゃ、光速でも片道5秒近い距離です。往復で10秒。われわれはそれを一瞬で確認できたんですが・・・。いったいどうなっているのか・・・。普通なら絶対にありえませんぞ・・・」


「本当に、どうなってるんですかなぁ・・・?」

高根沢博士は右手を顎にやった。


「今の地球の科学力では、到底無理ですなぁ・・・」


「イエス。いかにもです」

サンダース博士も頷いた。


「直径18メートルで比重が5としても、総質量は12万トン以上ありますな。そんなのが時速6万キロで飛んどるわけです・・・」

高根沢博士はすぐに暗算をした。


「いったい、その衝突エネルギーたるや・・・」

「わが国最大級の核爆弾並みでしょうな・・・。はぁ・・・」

サンダース博士が大窓を見つめて溜息をついた。


「よくもまぁ、その軌道を変えられました。あの光は重力トラクタビームと言っていましたが、どれくらい修正したんでしょうか?」

「150万キロもあれば、軌道修正はほんの少しで十分でしょう」



アンデフロル・デュメーラの場所内、ところ変わって、ここはフェリシアスとドクター・エスチェルたちだった。


「あなたたち、ユティスの講演、知らされてなかったの?」


「ナナン、ドクター。T大での講演自体は知っていたが、まさかこの中に2000人丸ごと転送してくるとは思っていなかった・・・」

フェリシアスはエスチェルに呟いた。


「アンデフロル・デュメーラの大会議場の改装も知らなかったの?」

エスチェルは自分もそうだと言うようにフェリシアスを見つめた。


「リーエス。ここは素晴らしく広い。改装がどこで行なわれようと、アンデフロル・デュメーラ自身が知らせてこない限り、わたしが知る由もない・・・。ひょっとして、ユティスの発案かね?」


「らしいわねぇ・・・。それにエルドも・・・。みんなをあっと驚かすことで、地球人にカテゴリー2への気づきを期待したみたい。わたしもついさっきよ、知らされたの」


「ということは、エルドが精神体で来ているんだな?」

フェリシアスは確認するようにエスチェルを見た。


「リーエス」

「なら、問題はなかろう」


すっす・・・。

フェリシアスはべつに気にする様子でもなく出口に向かった。


「わたしはシェルダブロウの様子を見てくる」

「リーエス、フェリシアス」


ぱ。

フェリシアスはそれに答えるように手を上げた。


「ということは、アンニフィルドも来てるってことだよね、ドクター?」


「リーエス、キャムリエル。クリステアもね」

ドクターはわざとフェリシアスに聞こえるように言った。


ぴたっ。

一瞬、フェリシアスの足が止まった。


--- ^_^ わっはっは! ---


す・・・。


そして、フェリシアスは何事もなかったように部屋から出て行った。


「ふぅーーーん、ドクターはこれが言いたかったんだ」


にたにた・・・。

キャムリエルが笑った。


「だって、彼、クール過ぎるから、まともに言っても反発されるだけでしょ。だから・・・」


「だから?」


「そっと伝えてあげるのよ。でないと、クリステアが可哀想じゃない?なんて優しいでしょう、ドクター・エスチェルは・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「一緒だと思うけど・・・」

キャムリエルは関心なさそうに言った。


--- ^_^ わっはっは! ---


「ところでさぁ、ユティスの講演って、ねぇ、いったいどんなんでしょう?」


「聞きたいんですか、ドクター?」

トレムディンがエスチェルに尋ねた。


「リーエス。面白そうな面々が一同に会してるのよ。セレアムの社員たちもいるそうよ。ユティスったら、こんなに集めていったいどうするつもりかしら・・・?」

エスチェルも興味津々だった。


「セレアムの社員・・・?」


「リーエス。それがどうかした?」

ドクターはキャムリエルを振り返った。


「ということは・・・、当然、可憐も来てるんでしょ?」

今度はトレムディンがエスチェルを見た。


「リーエス。そうだったわ。会ってきたいの?」


「リーエス!」

「リーエス!」


キャムリエルもトレムディンもすぐに反応した。


--- ^_^わっはっは! ---


「ぼくが先だからね!」

「ナナン、わたしが先だ!」


「ぼくだ!」

「わたしだ!」


わいわい!

がやがや!


エスチェルはそんな二人に肩をすくめた。


「やれやれ・・・、セレアムの社員が来てるなんて教えるんじゃなかった・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---




結局、エルドのエスコートで小型宇宙機が戻ってくるまで、ユティスへの質疑応答が続けられることになった。


「では、次の質問を受け付けます」


「はい!」

「はい!」


一斉に何十人もの手が挙がった。


「ブレスト参事、あなたもご質問がおありですわね?」


しかし、ユティスはホスト役の女子学生が指名する前に、エルフィア人でありながら、Z国を利用してユティスを拉致しようとし、その追跡を逃れようと合衆国に亡命までした、元委員会参事を名指しした。


「ふふ・・・。もう、わたしはエルフィアの参事などではない。地球人、合衆国民だよ、ユティス・・・」

中央に座したブレストはユティスとの対話を望んでいるようだった。


「え、この人、エルフィア人なの?」


ブレストは既にエルフィアの衣裳は着けておらず、ダークスーツを纏った地球人とまったく同じ格好だった。


「だ、だれ?」

聴衆はブレストがどういう経緯でここにいるか知らなかった。


「エルドがわたしをここに招待し精神体で現われた。どうして、わたしをエルフィアに送還しようとしないんだね?容易いだろうに・・・」

まず、ブレストは核心に触れた。


「今、あなたはご自分が地球人とおっしゃられたではありませんか?」


「けっこう」

ブレストはそれを聞いて安心したのか質問を続けた。


「きみたちはよくやったよ。感心している。エルフィアは確かに平和で安全で自由だ。犯罪も滅多に起きない。しかし、ある意味非常に退屈だ」


「どう退屈なのですか?」


「スリルだよ、ユティス。スリルこそ、文明の英知を進める推進剤だ。それがわからないかね?わたしは地球人になり、合衆国市民となりわかったことだが、彼らのエネルギーには舌を巻いている。ま、多少治安が良くないところもあるが、想像を上回る知恵を出して進歩している。とても活力のあるところだ。こんな地球をエルフィアがなんとかできると思っているのかね?」


「どういう意味ですの?」

「地球を変えることはできんさ。いや、してはいけない。この星が活力を失うことは宇宙の損失でさえある」


「なにをおっしゃっているんですか?わたくしには理解できませんわ」

「まぁ、いい。ところでせっかくの機会だから、質問させていただこう」

「リーエス」


「ここに、わたしを呼んだ理由は?」

「うふふ。あなたが地球人となられたことへの確認ですわ」


「委員会にとって、それのどこに意味があるんだ?」


ブレストはユティス拉致の首謀者として委員会にマークされていた。


「合衆国の空軍基地では、合衆国への移民宣誓書にサインをされませんでしたね・・・?」


ユティスはそれに対して直接には答えずに外堀を埋めるように事実確認をした。


「それで・・・?」

「エルフィア籍の保留をされるなら、アンデフロル・デュメーラに強制送還を要請する予定でした」


きら。


「でしたとは、わたしがサインしたことを確認しているのかね?」

ブレストの目が一瞬光った。

「ナナン。わたくし個人の予測ですわ」


「ふふふ。ご察しの通り、その後わたしはサインをした」

ブレストは探るような眼差しでユティスを見つめた。


「リーエス。では、わたくしからあなたと同じ質問をさせていただきます」

「同じ質問・・・?」


「リーエス。なぜ、エルフィアへの強制送還の危険性を伴うというのに、あなたはエルドの招待に応じられたのですか?あなたには選択権ががあったはずです・・・。わたくしたちは、合衆国憲法に則り、あなたをエルフィア人としてではなく、地球の合衆国市民として対応するつもりです・・・。それを確信されていたのですか?」


「まぁ、そういうことになるかな・・・」


「そういうことでしたら、あなたはエルフィアに送還されることはありませんわ・・・」

ユティスはそう言い切るとブレストを見つめて両手を広げた。


「それだけ?」

ブレストは拍子抜けしたようにユティスを見つめた。


「リーエス。あとは大統領さんにお任せいたします」


ユティスはブレストの質問への回答を早々に切り上げるかように締めくくった。


「けっこう・・・。きみの講演を最後まで聞かせていただこう」

「リーエス、どうぞ、ご自由に。パジューレ」


にこ・・・。

ユティスはブレストに微笑んだ。


予想外の質問者の予想外の展開に会場は固唾を呑んで見守ったが、ホスト役の女子学生の言葉にわれに返った。




「次の質問で最後にしたいと思います。どなたかおられますか?」


「はい!」

「はい!」

「こっち、こっち!」


会場はまたまた活気に溢れた声に包まれた。

「それでは、前2列目の女性。あなたです」


ホスト役の女子学生はセミロングのなかなか可愛い女子学生に発言権を与えた。


「はい、ありがとうございます」


にこにこ・・・。

すく・・・。

ぺこり。


セミロングの女子学生は立ち上がって一礼をすると早速質問に入った。


「あのぉ・・・、少しプライベートかもしれないんですけど・・・、そのぉ、コンタクティーの宇都宮さんですが、ユティス大使はどうやって宇都宮さんとお知り合いになれたんですかぁ・・・?お見受けするところ、お二人は恋人のように思えるんですけどぉ・・・、どこまでいかれたんですかぁ・・・?」


講演で最大のピンチがユティスに訪れた。


「まぁ・・・!」


--- ^_^ わっはっは! ---


ぽぉ・・・。

ユティスはたちまち頬を染めてしまった。


「来た。来た。来たわよぉ・・・。あは」


つんつん・・・。

アンニフィルドが和人を突っついた。


--- ^_^ わっはっは! ---


「なんだよぉ?」

「ほれ、男らしく宣言しちゃいなさいよ、和人」


「アンニフィルド、そんなこと言ったって・・・」

和人は尻込みした。


「ユティスの側に出て行ってらっしゃいな」


ささ・・・。

クリステアが和人を立たせようと手を伸ばした。


「ちょっと、待ってくれよ、二人とも」

和人は慌てて身をよじった。




「まぁ、和人ったら、いつの間に・・・!」


にこにこ。

和人の母親が嬉しそうに二人を見つめた。


「あーーー、お兄ちゃん、やっぱりユティスお姉ちゃんと恋人同士だったんだぁ!」


「亜矢ぁ、よかったなぁ」

「うん!」


--- ^_^ わっはっは! ---


招待者席にいた和人の家族たちも仰天していた。


「もう・・・!」

和人の姉の沙羅は羨ましそうに二人を見つめた。


「お父さん、どう思うのよ、これ?」

「結納は何時にしたらいいかなぁ?なぁ、母さん?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「まぁ!そんなに進んでるんですか、あの二人?」


「そうだなぁ・・・。向こうさんのご両親はご存知みたいだぞ・・・」

さっきのエルドの様子で父親はほぼ確信していた。


「やったぁ!お兄ちゃん、すごいよぉ!」


「私もそう思う。和人の赤くなりようは絶対に怪しいわねぇ・・・。よし、わたしも覚悟を決めたわ!」


ぎゅ!

姉の沙羅は両手で拳を握った。


「なんで沙羅が覚悟を決める必要があるんだぁ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「お父さん!わたしは異星人の姉になるんでしょ?これが覚悟なしでできる?」

「別に必要ないじゃないか。なぁ、母さん?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「そうですよ。エルフィアの方だろうがどこだろうが、とっても可愛らしくて器量もよくて、別嬪さんよぉ・・・。文句なしよねぇ、父さん?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「そうだよぉ。いいお嫁さんになるに違いない。問題なんかあるもんか」

「わぁーーーい。わぁーーーい。ユティスお姉ちゃんが、お姉ちゃんになるぅ!」


--- ^_^ わっはっは! ---




「えーーーと、それはですねぇ・・・。あのぉ・・・」

ユティスはしきりに和人に視線を送って助けを求めた。


きゃあーーー!

ぴゅーーー!


男子学生が口笛を吹いた。


「えーーーと、そのぉ・・・、お話が長くなりますんで、省略ということではいけませんか・・・?うふ・・・」

にこっ。


「誤魔化さないでぇーーー!」


--- ^_^ わっはっは! ---


間髪置かずに、男子学生の野次が飛んだ。


(和人さん!)

ユティスは赤くなりながら、必死で和人に助けを求めた。


(どうしろって言うんだよぉ・・・?)


「ダメです。ユティス大使が地球とかかわりになった大切なきっかけですよぉ?こんなに重要なことを省略するなんて勿体ないと思いませんか?知りたいですよねぇ、会場のみなさん!」


--- ^_^ わっはっは! ---


ぱらぱら・・・!

セミロングの女子学生は後ろを振り返って大きく手を振った。


きゃぁーーー!

きゃぁーーー!


「そうだ!」

「そうだ!」


「知りたいでぇーーーす!」

「きっかけってなんですかぁ!?」


「お二人は恋人同士なんでしょうか?」

「もう、キッスは済まされたんですかぁ!?」


--- ^_^ わっはっは! ---


わいわい・・・。

がやがや・・・。


会場は今までになく大きくどよめいた。



ぎょ・・・。


(ど、どうしよう・・・)

(和人さん、和人さん・・・、どうしたらよろしいですか・・・?)


和人とユティスは見合った。


「ん、もう!そんなの簡単じゃない。和人がユティスのところに言って二人で腕を組んじゃえばいい話しよ」

「アンニフィルドぉ!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「リーエス。そして、二人で『ちゅっ』てやれば、会場も納得、文句もなくなるわ。後は祝福あるのみ」

「クリステア!」


--- ^_^ わっはっは! ---


「さっさと出ておいき、王子さま!」


ぽーーーん。

クリステアが精神波で和人をユティスの前に押し出した。


「げげげ・・・」


ふわり。

つつつぅーーー。


和人はステージ上に数センチくらい浮かぶとそのままユティスに向かっていった。


「あわわわわ!」


ばたばた・・・。

和人はバランスを取ろうとして両手両足をばたつかせた。


--- ^_^ わっはっは! ---


つつつーーーぅ・・・。


和人は滑るようにしてユティスの側に来た。


「わぁーーーとぉ!」

「和人さん・・・」


ぎゅ。

漂うようにやってきた和人をユティスは優しく抱きとめた。


「いらっしゃい。お待ちしておりましたわ」

にこ。


--- ^_^ わっはっは! ---


「ど、どうも・・・。かっこ悪い・・・」


ぺこり。

和人は聴衆に向き直ると礼をした。


--- ^_^ わっはっは! ---


「あははは」

「わははは」


それを見て会場は笑いに包まれた。


「和人さん・・・?」


にこ。

ユティスはほっとしたように和人を見た。


「あははは・・・。ところで、オレ、なにすればいいかなぁ・・・?」


--- ^_^ わっはっは! ---

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