338 船内
「はぁい、アンニフィルドです。どう、ユティスの講演は、どんどん濃くなっちゃうでしょう?あんまり硬くならないようにユーモアを交えていくから、ちゃんとついてきて欲しいなぁ・・・なんてね!」
■船内■
ざわざわ・・・。
会場はここがT大の大講堂でありながら、なんとなく、そうではないことに気づいた聴衆でざわつき始めていた。
わいわい・・・。
がやがや・・・。
「みなさん、お席にお戻りになられたでしょうか?」
壇上の右端で、ホスト役の女子学生が大講堂の中を見回して状況を確認した。
「どうしたんすかぁ・・・?」
聴衆席の最前列で二宮はイザベルに耳打ちした。
「なんか、ここ、T大の中じゃないって、みなさんが言ってるようですよ・・・」
イザベルも不安げに答えた。
「そんなことないっすよぉ。自分ら、確かにT大に入りましたっす」
二宮は自身ありげに言った。
「でも、二宮さん、ここの外、なんか変なんです」
石橋が席に戻るなり二人を向いて言った。
「あ、石橋、お前ここから出たのかぁ?」
「はい。二宮さんは?」
「オレはイザベルちゃんと一緒に仲良くここにいたぜぇ・・・。そうっすよねぇ・・・?」
にまぁ・・・。
「ええ、まぁ・・・。あはは・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「それで、ここの外、なんか白っぽい広い廊下が続いてて、とにかく変なんです・・・」
「変て、白い廊下のどこがだぁ・・・?」
二宮はなにを言うかという顔になった。
「ですから・・・、そのぉ・・・」
「そうね、石橋。照明がないのよ。照明が・・・。普通あるでしょ、廊下には?LED照明とかが・・・」
茂木が脇から言った。
「そうなんです!蛍光灯もLED灯もなにもないんです。提灯や行灯さえも・・・」
「廊下に提灯や行灯ですか?ぷふぅ・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
イザベルが思わず吹き出しそうになった。
「光源がどこにもないんです。それなのに、どこにも柔らかい白い光が溢れていて十分に明るいんです・・・」
こっくん・・・。
石橋は茂木に大きく頷いた。
「言えてる。廊下自体に光が充満していて不思議な雰囲気なのよ。SF映画に出てくる宇宙船って感じ・・・」
がさっ。
「宇宙船って、まさか・・・」
二宮が茂木に同意を求めた。
じゃーーーん!
ぴーーーっ!
どかどかどか・・・!
「ギター、大き過ぎるぞぉ!ミキサー、タムをもう少し上げてくれ!」
「了解!」
「あいよぉ!」
バンドのメンバーと数名の男たちがステージ上で音響機器の調整を急いでいた。
「なによ、これ・・・」
がらぁーーーん・・・。
T大の大講堂はスタッフを除いて人っ子一人いなかった。
「遅刻ですよぉ。どうかしましたか、瀬令奈さん?」
--- ^_^ わっはっは! ---
スタッフはまたかという顔になった。
「どうって・・・。ステージ2時間前だというのに、大学側の係りもいないなんて・・・」
「一般は警備で締め出してるんじゃないんですかぁ?」
「でも、今日はユティスの講演をやってるんじゃないのぉ?」
「さぁ・・・。ここじゃないんじゃないですか?」
「でも、大講堂って一つしかないわよねぇ・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
ぎゃーーーんっ!
ぴゃりゃりゃりゃりゃ・・・!
ぴーーーっ!
「おい、ギター、ボリューム落とせと言ってるだろ!」
「悪りぃ!」
「あ、瀬令奈さん、リハ10分後ですから」
「わ・・・、わかった・・・わよぉ・・・」
瀬令奈は目を白黒させて、大講堂の中を見つめた。
(2000人は入るのよ、ここ。ユティスの講演が終っていたとしても、30分も経ってないはず。30分くらいで聴衆の退出と後片付けが終るなんてありえない・・・。静か過ぎるわ・・・。本当に、ここ満員になるのかしら・・・?)
しーーーん・・・。
--- ^_^ わっはっは! ---
「それでは、ユティス大使の講演の後半を再開したいと思います・・・」
ばたんっ!
ホスト役の声が大講堂に響くと同時に、ステージに一番近い右扉が勢いよく開き、一人の男子学生が血相を変えて飛び込んで来た。
はぁ、はぁ・・・。
男子学生は身体で息をしていたが、一息つくと大声で叫んだ。
「おい、みんなぁ!ここは大講堂なんかじゃないぞ!宇宙船の中だぁ!」
「ええ・・・?」
「なんだってぇ?」
「宇宙船?」
「まっさかぁ・・・」
ざわざわ・・・。
がやがや・・・。
会場は一気に騒がしくなった。
「あれを見ろ!」
さっ!
男子学生は壇上の後ろに映し出されたやたらにリアルな地球の姿を指差した。
「あれは写真や映像なんかじゃない!本物の地球だぁ!オレたち、今宇宙空間にいて地球を直接眺めてるんだぁ!」
「うっそぉ・・・?」
「本物の地球だって・・・?」
「どういうことよぉ?」
さっ。
聴衆は説明を求めて、壇上の奥の特別招待席で挨拶をしているユティスを一斉に見つめた。
ステージ横ではエルフィア娘たちが和人と話していた。
「あーあ、案外早かったわね・・・」
アンニフィルドは聴衆を見つめてクリステアとユティスに言った。
「ばれちゃたみたいよ、ユティス」
クリステアが頷いた。
「リーエス、クリステア。この辺が潮時かと思いますわ。ねぇ、和人さん?」
にこ。
「いやぁ・・・。信じてくれるかなぁ・・・?」
「あは。信用するわよぉ、すぐ隣に俊介たちが横付けしてるんでしょ」
「リーエス、アンニフィルド。もうすぐ会えますわ」
「きゃあーーー!嬉しい!俊介と久々のハグとキッスだわぁ!」
--- ^_^ わっはっは! ---
アンニフィルドは本当に嬉しそうだった。
「あのねぇ、アンニフィルド・・・。きみには慎み深さってのが・・・」
「うっさいわねぇ。女心のわかんない野暮天!」
--- ^_^ わっはっは! ---
「さぁ、後半よ。いってらっしゃい、ユティス」
にこ。
クリステアがユティスに微笑んだ。
「リーエス。いってきまぁす!」
すすす・・・。
ユティスは講演台の前に移動して、全身で聴衆に面と向かった。
ぽわぁ・・・。
ゆらぁり・・・。
エルフィアの正装に身を包み天使のようないでたちのユティスの全身からは、生体エネルギー場のなんとも美しい七色の光がまとわりつくように滲み出ていた。
「きれい・・・」
「ステキね・・・」
にこ。
「みなさん、お気づきの方もいらっしゃいますが、ここは地球上空32000キロに待機中の支援宇宙船、エストロ5級母船、『アンデフロル・デュメーラ』の船内です。エルフィア文明促進推進支援委員会最高理事エルドの意志により、みなさんを内緒でご招待したことはお詫びいたします。わたくしの講演が終り次第、みなさんは元のT大の大講堂にお戻りになれますわ。地球の法律では無断出国になるかもしれませんが、決して拉致ではございませんので、どうかご安心ください」
にっこり。
ユティスは天使のような微笑をした。
「やっぱ、本当なのか?」
「らしいわよ・・・」
「ま、まじかよぉ、オレたちが宇宙にいるって・・・?」
「あれが、ただの映像に見える?」
「いや・・・、ただ、やけにリアルってことは言えるな」
「アンデフロル・デュメーラ、ご挨拶をしてくださいな」
「リーエス、エージェント・ユティス」
大講堂に柔らかで冷静なアルトが響いた。
ぽわんっ。
そして、ユティスの隣にこれまた美女が突然現われた。
「わっ!」
「なんだぁ!?」
「きゃ!」
聴衆は仰天してそれを見つめた。
「わたしは、アンデフロル・デュメーラ。この船のCPU擬似精神体です。この船の中で個別にお会いされた方々もいらっしゃいますね。みなさんにわかり易いように像を結んでいますが、実体ではありません。わたしの声は直接あなた方の頭脳に語りかけています。T大の大講堂からそっくりに用意されたこの大会場に、みなさんをご案内いたしました。わたしの後ろに広がっているのは、わたしの船体から直接宇宙空間を観察できる大窓となっています。もちろん、有害な電磁波やデブリーの類はプロテクション・フィールドで保護していますので、みなさんは安全です」
ぱっ。
アンデフロル・デュメーラはそういうと、今度は聴衆席中ほどの空中に現われた。
「きゃあ!」
「な、なんだよぉ!」
「ウッソだろ・・・?」
「本当みたいだって・・・」
「みなさんはわたくしのお話を聞いていただいてるので、もう、おわかりだと思います。みなさんは、今、まさにカテゴリー2を実体験されているんです。この大窓から見えるのはただの映像ではありません、本当に地球の姿です。既に少し前、藤岡首相さんや合衆国大統領さんと国務長官さんにもご体験いただきました。それを、みなさんもご体験されているわけです」
わいわい・・・。
がやがや・・・。
「うっそぉ・・・!」
「首相や大統領もだって・・・」
「すっげぇぞぉ!」
学生たちはにわかに感動の声を上げた。
「地球をご覧いただいて、いかがお感じでしょうか?」
にこ・・・。
ユティスは聴衆を見渡した。
「では、アンデフロル・デュメーラ、ここから、T大の大講堂をお映しください」
「リーエス、エージェント・ユティス」
ぱぁーーー。
画面がどんどん拡大されていき、やがて日本列島が大窓いっぱいになった。
ぱぁーーー。
そして、さらに画面は拡大され、ついにT大のキャンバスとわかるまでになった。
「おお、大学キャンパスだ・・・」
聴衆は固唾を呑んで画面に釘付けになった。
「大講堂だぞ・・・」
しかし、その周りは人がまばらで、いつもほどもいなかった。
「ほとんど人通りがないぞ・・・」
「ありゃ、スグルのやつじゃないか・・・?」
「鼻をほじってるわ・・・」
「きゃ、汚い!」
--- ^_^ わっはっは! ---
「じゃ、やっぱり、オレたち宇宙空間にいるんだ・・・」
「わ、すごぉ・・・」
そして、一人の女性がこちらを見上げているのが映し出された。
「あれ、小川瀬令奈じゃないか?」
「ホントだぁ・・・」
「なんか、しきりに首を傾げているわよぉ・・・」
--- ^_^ わっはっは! ---
「そういえば、緞帳横にセットがあったなぁ」
「今日、この後ミニコンサートをするはずなんだ」
「あ、そういうことかぁ・・・」
ぱぁ・・・。
大窓の宇宙景色は急に変わって、また、地球が丸ごと映し出された。
「暗闇に浮かぶ奇跡の星・・・。これが、みなさんの地球です・・・」
ユティスは両手を広げて静かに言った。
「カテゴリー2の世界は、今みなさんがそうしているように、自分の母星を直接目にします。周りには真っ暗な宇宙空間がどこまでも無限に広がり、人類的な感覚では一人ぼっちです・・・」
ユティスの言葉に聴衆は声もなく頷いた。
「この中でみなさんは暮らしています。幸い、第2、ないし第3世代の恒星、太陽をほどよい距離でほぼ円軌道で回り、月という比較的大きな衛星により地軸を安定させています。中心は何十億年もの間冷え切ることもなく、液体金属が内部で対流し地磁気を発生させ、有害な太陽風や銀河風を防いでくれています。そうして、何十億年もの間、生命を育んできました。小惑星や非常に大きな隕石や彗星、ハイパーノバのガンマ線直撃、そういったものも最近の何千万年間はありませんでした。このいずれが狂っていたとしたら・・・、みなさんまで生命は進化していたでしょうか・・・?」
ユティスはさらに続けた。
「そして、みなんさんがそれを引き継ぎました。カテゴリー2の世界は、そのことをようやく自覚するのです。自分だけのものではない掛け替えのない母星。自分自身がなにものであるか、ようやく真剣に考えるのです。わたくしがカテゴリー1と2の間の壁と言ったのはこのことです。カテゴリー1において、どんなにテクノロジーが進んでも、この自分たちに気づいた自覚と責任感は生まれてきません。常に自己中心的な世界観を持ち続けます。その変革、宇宙の高文明世界においては、最低限のルールと言うべきもの。カテゴリー2になる前には、その世界の人々に決して共有されません・・・」
ユティスは静かに話すと、一呼吸置いた。
「・・・」
「・・・」
聴衆は静かにその先を待った。
「そして、わたくしたちにも決定的なことは、わたくしたちがカテゴリー1の世界に干渉することはできないということです。つまり、カテゴリー1の世界には文明促進の支援ができないということです・・・」
「どうして?」
「なぜだ・・・?」
ざわざわ・・・。
がやがや・・・。
聴衆はざわついた。
「それは、自ら気づくということがないからです・・・」
ユティスは少し悲しそうな顔になった。
「カテゴリー1の世界は、安全も生存もなにもかもが満ち足りていない世界でもあります。人々は自分たちが奪い合う文明であることに気づいていません。例え、善意から与えられたものであっても、その方たちにとっては直ちに当たり前のことと化すだけです。次にはさらに要求をエスカレートさせるだけなのです。そして、もっと多くを当然のごとくどこまでも要求します。もし、それが拒否されると・・・」
ユティスはその先を言わなかったが、だれもがわかった。
しーーーん。
会場は静まり返った。
「悲しむべきことです・・・」
「・・・」
「エルフィアは何万年もの支援活動の中でそれを幾度となく経験しました。結果、カテゴリー1の世界には受け入れる素地がまだまだないということに気づいたのです。無理にそこに干渉することは、返って彼らに害をもたらすだけです・・・。奪い合う文明では、一方に与えれば一方が恨みを持ちます。欠乏感は満たされることはなく、精神は極度に荒廃し、混沌が覆い尽くします。文明は進むどころか後退さえしかねません。例え、支援する側に一切の悪気がないとしても、過剰に甘やかせることにしかなりません。カテゴリー1の世界に何かを与えることは対処療法に過ぎず、根本的な解決にはほど遠いのです。それはすべてを愛でる善なるものの意志、つまり愛ではありません・・・」
「・・・」
ユティスの言葉は聴衆の胸に突き刺さっていった。
「みなさんは、とても厳しいとお思いでしょう・・・。しかし、いくら厳しくてもカテゴリー1の世界は自力で文明を進め、自らの手で望んでカテゴリー2の窓を開けなければなりません。自らの世界がどういうもので、自分はどういう存在なのか、疑問を持ち確かめる勇気を持つこと・・・。そして、その目で見て感じること。わかるということはそういうことです。そういう自覚こそがカテゴリー2への唯一の道標です・・・」
「・・・」
「その過程において外からの干渉は許されません。わたしたちにできることは、そこに芽づいた文明が誤って滅びないよう、そっと外から見守り続けることだけです。基本、よほどのことがない限り、エージェントがカテゴリー1の世界の人々と直接コンタクトすることはありません。その方たちを惑星周回軌道上の文明保護観察用宇宙船に、安易に乗せることもできません。もちろん、コンタクトをするのならば、わたくしたち自身も相当な危険を覚悟しなければなりませんが・・・。しかし、本当のところ、それらが禁じられてもいるのは、わたくしたちの身の危険の可能性というより、カテゴリー1の世界が自力でカテゴリー1から脱皮するということにこそ、極めて重要な意味があるからです」
「・・・」
「加えてお話しするのならば、人は頭で理解し一時的にそう振舞えても、感情で納得しない限り、永続的な行動には結びつきません。真にわかるということは、ご自分がそう望んでこそ、達成されるものなのです。とても残念なことではありますが・・・、わたくしたちがいくら言葉と映像でそれを示してさしあげても、宇宙から母なる惑星を眺め、その時の感動とその次に来る気づきは、決して教えてさしあげることはできません。みなさんはテレビでは地球の姿をご覧になっているでしょう・・・。でも、今日、わたくしの後ろのアンデフロル・デュメーラの大窓から直接ありのままの地球をご覧になられて、どうお感じでしょうか・・・?」
くるり・・・。
ユティスは大窓から見える本物の地球を静かに振り返った。
「きれだわ・・・。でも、恐い・・・」
「ああ・・・。なんて孤独なんだ・・・」
「いかがです・・・?美しい・・・。リーエス・・・。でも、それだけではありませんよね・・・。宇宙空間に浮かぶ奇跡の世界・・・。なんとはかない、絶妙のバランスの上に成立した世界・・・。みなさんの大切なお家・・・。そこに住まえることへの感謝・・・。そして、母なる世界への責任・・・。カテゴリー1の世界には、みなさんのように宇宙の基本原則への納得はないのです。納得いただけない人々が行動を起こそうとするでしょうか・・・?ずっと行動を継続できるでしょうか・・・?」
「・・・」
聴衆は息を呑んでユティスの次の言葉を待った。
「わたくしたち、エルフィア人はテクノロジーはカテゴリー4です。しかし、全能の存在、神さまではありません。れっきとした人間です。カテゴリー1の世界の人々に、わたくしたち、ナナン、カテゴリー2の地球のみなさんでさえも、もし、一時的にでも深く係わることになってしまったとしたら、きっと神さまのような扱いを受けるでしょう。そして見返りを期待されることでしょう。カテゴリー1の世界は奪い合い、戦い合う世界です。神さまと崇められ、なにもなくて、それでよいことには決してなりません。もちろん、戦いの中、自分たちに加勢するよう、様々な機器やテクノロジーを欲しがるでしょう・・・。最初は身近なもの・・・。そして、次にはさらに多くを・・・。みなさんなら、どうしますか?いずれか一方にそれを渡しますか・・・?もし、それが超兵器にも転用できるものだとしたら・・・?」
ユティスは一気に言うと、そこで間を持った。
「・・・」
「うーーーむ・・・」
「できんよ、そんなことは・・・」
「その世界を滅ぼすことになりかねないわ・・・」
会場のあちこちで声が上がった。
「みなさんのおっしゃるとおりです・・・。それに干渉することは、その世界の人々が学ぶべき機会を永遠に奪ってしまうことになるのです。彼らは無償でなんでも提供してくれる存在に甘え切ってしまい、考え学ぶことを放棄するでしょう。辛い歴史に見舞われるとしても、人間的な悲劇で済むのであるなら・・・、天体衝突や近隣での超新星爆発など、その世界自体が破壊され滅びてしまうようなことが起きない限り、わたくしたちはカテゴリー1の世界の人々と係わることはできないのです」
「では、この地球は・・・?」
「エルフィアがコンタクトしているということは・・・」
「そういうことさ」
「地球はカテゴリー1ではなく、カテゴリー2なのよ・・・」
がやがや・・・。
会場の囁きは徐々に大きくなっていった。
「そして、地球はカテゴリー2に入りました。今までどおりの独りよがりな価値観を改めざるをえないことに気づかれました。そして、学ぶ用意が整い、他の世界からの訪問者に対しての心の準備もできました。わたくしがここにみなさまをご招待したのも、みなさまが十分に学ぶ意志を持っておられることを確認できたからです。これがカテゴリー2というものなのです。わたくしが、カテゴリー1における文明の細分類には意味がないと申しあげたことも、みなさんもご納得いただけたのではないでしょうか・・・?」
にこ。
そこで、ユティスはようやく笑顔に戻った。
「なるほどね・・・」
「異星人にしてみれば、そういうことなんだ・・・」
「地球は、ようやく異星人にお声がけいただけるくらいにか発達してないってことよ」
「んだ。んだ・・・」
「マサ兄、わかっちょんかぁ・・・?」
「わかっちょるけぇ、心配せんでもええ、トッサン」
「まこと、ほうじゃのう」
--- ^_^ わっはっは! ---




