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311 寝言

はぁーい、アンニフィルドよぉ。キャムリエルもSS辞めるとか困ったわ。二宮は二宮でイザベルとの偶然のチャンスを活かせるのかしら。えへ、興味津々ってところね。あは。みんな、ユーモアで乗り切ってよねぇ!

■寝言■




キャムリエルは、みんなを見回した。


「ボクはSSには向いてないかもしれないと、前々から思ってたんだ・・・」

「どういうことよ?」

アンニフィルドが納得がいかないというように、キャムリエルを見つめた。


「今回、ボクはアンデフロル・デュメーラに待機してたけど、必死でユティスを守ろうとしてたのは事実だよ。口で冗談はかましてたけどね」

キャムリエルはユティスを見つめた。


「だけどさ、ヤツらの手口すら見つけられなかったんだ」

「そりゃ、相手がリュミエラたちだったからよ」

すぐにクリステアが、キャムリエルをフォローした。


「ナナン。とれは違うと思う・・・。どんな状況であろうと、例外なくエージェントを守れなきゃSSじゃない・・・。あんなに簡単な手すら見抜けなかった・・・。しかも、騒ぎの張本人のブレストをあんな風に取り逃がしちゃった・・・」


「別に逃がしたわけじゃないわよぉ」

アンニフィルドが言った。


「それに、相手はわたしたちエルフィア人よ」

クリステアも言った。


「ナナン。だったら手の内を知られてるってことでしょ?余計にダメだよ・・・。つまり、ボクはここになにをしに来たんだろう・・・?なんにも役に立ってないんだ・・・。おまけに可憐にも迷惑をかけちゃった・・・」


「それは自分を責めすぎてるわ。そんなこと言ったら、わたしもクリステアもSSを辞めなきゃいけないじゃない?」

アンニフィルドはなにを言うかという表情になった。


「そうなると、わたしもクビだな・・・」

フェリシアスが真顔で言った。


「ええ?フェリシアス、なに言ってるんですか。あなた以上のSSがいるわけないじゃないですか・・・?」

キャムリエルはびっくりした。


「そうなると、本当に、わたしもSSを辞めるしかないわね・・・」

クリステアも真顔になった。


「ま、待ってよ、みんな・・・」

がばっ。

キャムリエルは思わず立ち上がった。


「じゃ、揃ってエルドに申し出る?」

ドクター・エスチェルがウィンクをした。


「そんなぁ・・・」

自分のこと以外考えていなかったキャムリエルは、予想外の展開に大いに戸惑った。


「ダメですよ、キャムリエル。それは絶対にダメです・・・」

その時、シェルダブロウが静かに言った。


「そんなことをしたら、エルフィアの文明促進推進支援はどうなるんですか?その事件を首謀した側のわたしが言うのも変ですが、そのような理由でSSを辞めるなんて、大勢のエージェントとコンタクティーを見捨てるつもりですか?」

シェルダブロウは興奮するわけでもなく、じっとキャムリエルを見つめた。


「いいんじゃないの?」


--- ^_^ わっはっは! ---


ドクター・エスチェルが言った。


「なに言ってるのよ、ドクター?」

くるっ。

アンニフィルドは慌ててエスチェルを見た。


「だって、精神的にまいってる人間に仕事をしろと鞭打つなんて、それは医者のわたしにはできないわ。キャムリエル、SSなんか辞めちゃえばいいのよ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ドクター・・・」

キャムリエルはドクターを見つめた。


「そうですね。可憐の面倒はわたしが見ますから、心配しないでけっこうです」

トレムディンが涼しげに言った。


--- ^_^ わっはっは! ---


「そ、それは・・・」

キャムリエルはたちまち口ごもった。


「あのね、エルドにはわたしから診断書を提出しておくから」


--- ^_^ わっはっは! ---


「診断書ったって・・・」

キャムリエルがうろたえ気味に言った。


「辞めるのとライセンス停止とは違う・・・」

意味ありげに、シェルダブロウが言った。


「どういうこと?」

くるっ。

アンニフィルドが今度はシェルダブロウを見た。


「そう言うことか・・・。なるほど・・・。いいだろう、ドクター、キャムリエルの診断書を頼みたい」


「フェリシアス、あなたまで・・・」

アンニフィルドは、それがどういう意味を持つか十分にわかっていた。


「アンニフィルド、キャムリエルには休養が必要なのよ。そうでしょ?」

クリステアはキャムリエルを見つめた。


「リーエス・・・。でも、ここでSSがいなくなっちゃうと・・・」

「でも、なによ?歯切れ悪いじゃない?」

アンニフィルドは不満そうに言った。


「どうして、ボクを選んだんですか、フェリシアス?」

キャムリエルは、ユティスを守る任務に自分が声をかけられた時、ためらっていたことを思い出していた。


(憧れのユティスの仕事ができるなんて・・・。でも実際は、ユティスには和人がいた。それは知っていたけど・・・。でも、どんなことがあろうが、ユティスがボクの連れ合いになってくれることはないことも悟った。和人にジェラシーというより、ユティスの気持ちがもう遠くに行っちゃったことが・・・)


「きみを選んだのは・・・。まぁ、そのぉ、空いている適当なSSはきみしかいなかったという理由が本音だが・・・」

フェリシアスはぼそりと言った。


がくっ・・・。


--- ^_^ わっはっは! ---


「そうなんですか・・・?」

キャムリエルはやっぱりかという顔をした。


「リーエス。それに関して問題があるとは思ってないぞ」

フェリシアスは自信たっぷりに言った。


「うふ。キャムリエル、あなた、誤解してない?」


はっ・・・。


「誤解・・・?どいうことぉ・・・?」

クリステアの冷静な声で、キャムリエルははっとした。


「適当なSSと言うけどね、フェリシアスがそういう時は本当に適任という意味よ。だから、今回の任務に適任のSSはそう多くはいないということ。わかんないかしら?」

クリステアが言った。


「でも、みんな、SSを辞めるって言うし・・・」

「リーエス。辞めるわよ。何回だって」

クリステアがにやりとした。


--- ^_^ わっはっは! ---


「何回も・・・って、一旦、辞めちゃったら・・・」


「また復帰するだけのことね。エルドはすぐに許可してくれるわよ」

やっと、フェリシアスとクリステアの言いたいことがわかって、アンニフィルドが言った。


--- ^_^ わっはっは! ---


「ええ・・・?」


「だから、さっさと辞めちゃえばぁ?どうせ、来週の月曜日には自動的に復帰してるんでしょ?」

エスチェルが結論した。


「な、なんなんだい・・・、それ?」

キャムリエルは目を白黒させた。


「キャムリエル、わたくしたちはチームですわ」


にっこり。

ユティスがキャムリエルに微笑んだ。


「ユティスの言うとおりです、キャムリエル。チームにとってあなたは掛け替えのない役割を受け持ってるんですよ」

ユティスの言葉を受けて、和人が言った。


「そんなこと言ったって・・・」




イザベルがシャワーを終えて、パジャマに着替えて戻ってきた。


「二宮さんは、シャワーでさっぱりしましたか?」

「うす。完璧にさっぱりっすよぉ。イザベルちゃんは?」

「わ、わたしもです。ありがとうございます」

ぺこり。


「ありがとうって、ここ、イザベルちゃんちっすよぉ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「そ、そうでしたね・・・。ふふ・・・」


にこっ。

イザベルは、これからどうなるのか不安そうな微笑みを浮かべ、二宮を見つめた。


「イザベルちゃん・・・」


すくっ。

二宮は、どういう形であれ、イザベルのマンションで彼女と一夜を明かすことになったのが、嬉しくてしょうがなかった。


「うふ。それ以上近づいたら・・・」


ささっ。

イザベルは二宮との間合いを取りながら後屈立ちの構えを取った。


--- ^_^ わっはっは! ---


「あ・・・!」


二宮はいかにもという感じでイザベルの気を逸らそうとしているかに見えた。


「ちっち。ダメです。そんなこと言ってわたしの注意を逸らそうとしても・・・」


ぷるぷる・・・。

イザベルはゆっくりと首を振った。


にこにこ・・・。

二宮は笑っていた。


「あのぉ、黒光りするちっちゃなものが動いてるんすけど・・・」

二宮の視線はイザベルの斜め後ろに注がれていた。


「ダメですよぉ・・・」

「いいんすか、ほっといてぇ・・・」


「ええ・・・?」

イザベルは一瞬自分の斜め後ろに注意をやった。


「ごそって・・・」

「うす。イザベルちゃん、じっとしててくださいっす・・・」


そろり・・・。

二宮はタオルを手に構えて一歩前に踏み出した。


「ゴ、ゴキ・・・?」

「しっ・・・」


「うっそぉ・・・」


そろり・・・。

二宮はさらに半歩前に踏み出した。


「ちょっとぉ、二宮さん・・・」

「そこだぁ!」


ばしっ!

二宮はイザベルの斜め後ろを思いっきりタオルで叩いた。


「きゃーーーあ!」


ささっ!

どたどたぁ!

ずっでーーーん・・・・。

がし・・・。


「大丈夫っすかぁ?」

「は、はい・・・」

こけそうになったイザベルを、二宮ががっしりと捕まえた。


「逃げられちゃったっす・・・」

「いえ・・・。掴まっちゃいました・・・」


イザベルは完全に二宮の腕の中に収まっていた。


--- ^_^ わっはっは! ---




「ま、どっちにしろ、休養は必要ね。あなたも、しばらくここにいなさい」

エスチェルがキャムリエルにアンデフロル・デュメーラの中にいるように言った。


「アンデフロル・デュメーラ、この二人の面倒を見てやってくれたまえ」

フェリシアスが言うと、エストロ5級母船のCPU擬似精神体が答えた。


「リーエス、SS・フェリシアス。仰せのとおりに」

そして、フェリシアスはキャムリエルを振り返ると、静かに指令を出した。


「キャムリエル、たった今から、アンデフロル・デュメーラでの勤務を命ずる」


にっ・・・。

「別に寝ててもかまわんぞ」


--- ^_^ わっはっは! ---


「じゃ、わたしたちは、家に戻りましょう」

エスチェルが言った。


「後片付けは?」

和人がテーブルの食器を見て言った。


「ご心配はいりません、コンタクティー・カズト。わたしがすべてをいたします」

アンデフロル・デュメーラがすぐに答えた。




さ、さ・・・。

二宮はすぐにイザベルを立ち上がらせると、彼女を放した。


「す、すいません・・・」


ぺこり。

二宮は頭を下げると、そのままの姿勢でイザベルに謝った。


「いいんです。仕方なかったんですから・・・」

「うす。それが、違うんっす・・・」


「なにが違うんですか?」

「うす・・・。ゴキはウソっす・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


イザベルは頭を下げたままの二宮を、上からじっと見つめた。


「わかってます・・・」

「あの、そのぉ・・・」


「わたし、気にしてません。このマンション新築だし、毎日お掃除もちゃんとしてるし、水周りも気をつけています。一度だって、虫なんか出たことなんかないんですからね・・・」


「うす。すみません・・・」

かくん・・・。


「二宮さん、顔を上げてください・・・」

二宮はうなだれていたが、イザベルの言葉で頭を上げた。


「すいません・・・。ちょっとイタズラを・・・」

「・・・」


二宮はドアに目をやった。


ささ・・・。

すぐにイザベルはドアと二宮の間に入った。


さぁ・・・。

イザベルは両手を広げた。


ばっ。


「もう1時なんですよ。今更夜道を独りで行くのは危険過ぎます」

「うす。でも、ここにいたら、自分・・・」


「暗闇で襲われでもしたらどうするんですか?」

イザベルは本気で心配そうに言った。


「襲う・・・、だれが?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「ど、泥棒です。ひったくりとか、この時間よく出るんですからね・・・」

「あの、自分も一応・・・」


「ダメです。そんなことでケンカしたりケガしたりして、また昇段の機会をフイにするつもりですか?」

イザベル二宮の目をまっすぐに見つめて、やがて目を伏せた。


「うす・・・」


「また、わたしのせいで二宮さんが昇段審査を受けれなくなったら、わたし、二宮さんにどう謝ればいいんですか・・・。三度目なんですよ・・・」


「うっす・・・」

二宮は力なく言った。


「少しは、ご自分のことを大切になさってください・・・」


うるる・・・。

イザベルは二宮を見つめて、今にも涙をこぼしそうになっていた。


「イザベルちゃん・・・」

「もう、お休みしましょう、二宮さん。そこのソファーベッドを使ってください」


「うす。すいません・・・」


すたすた・・・。

二宮はソファーベッドのところまで歩いた。


「謝らないでください。わたしだって・・・」

イザベルは二宮をもう一度見つめ直した。


「わたしだって・・・、本当は嬉しかったんですからね・・・」

「ええ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「でも、そのままキッスなんかしちゃったら・・・」


どっきん!

「キ、キッスぅ・・・?」


「もう、なに言わせるんですか・・・」

「うす。なにって・・・。ナニがなんで・・・」


--- ^_^ わっはっは! ---


「二人とも一晩中眠れなくなっちゃうじゃないですか・・・」

「ええ・・?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「いや、しなけりゃ、余計眠れないんじゃないかと。おす・・・」

「はいっ?」


--- ^_^ わっはっは! ---


「うっす・・・」

「もう、二宮さんのバカ!」


ばーーーんっ。

イザベルは二宮に枕を投げつけた。


「えへ・・・」

にた・・・。


「はいどうぞ。お使いください!」

「うっす・・・」


「おやすみなさい!」

「うっす・・・」


ばたむ・・・。


イザベルはそう言うと踵を返して、となりの部屋に入りドアを閉めた。


「ふぅ・・・」

(国際展示場の時の飲み屋では、超間接ディープキッスまでいったのに・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


(ちぇ、お酒入ってなかったのが失敗だな・・・)


--- ^_^ わっはっは! ---


「ちょっとくらいは期待してたんだけどなぁ・・・」

二宮はドアの向こうに向かって一人つぶやいた。


きぃ・・・。

いきなりドアが開いて、イザベルが顔を覗かせた。


「二宮さん、寝言、しっかりと聞こえてます!」

ばたん。


--- ^_^ わっはっは! ---

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